JP2012230435A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内部に定着熱源を有する定着部材と、該定着部材を押圧する加圧部材との定着ニップに搬送された、記録媒体上の未定着のトナー像を前記記録媒体上に熱定着する定着装置において、印刷動作終了後に前記定着部材の前記定着熱源を消灯した後に前記定着部材を回転させる時間を変更する回転時間変更制御回路30を備え、該回転時間変更制御回路30は、印刷動作時の条件により、印刷動作後の消灯回転時間を変更する定着装置。
【選択図】図5
Description
一般的に、トナー像として形成された電子写真画像を記録媒体に定着する定着装置は、定着熱源であるヒータに電力を供給して、定着ローラ、定着ベルト等の定着部材を発熱させ、この熱でトナー像を加熱溶融して記録媒体に定着する処理を行なう。
このような定着装置では、電子写真画像を記録媒体に定着している間の定着温度を一定にするために、前記ヒータに電力を供給し、所定の温度(目標制御温度)に昇温させて定着可能状態とし、この所定定着温度を維持しつつ定着装置へ記録媒体を通過させるという構成になっている。
近年では、定着可能状態への昇温時間(ウォームアップ時間)の短縮化や、消費電力の低減化の観点から、定着部材には、薄肉ローラや定着ベルトといった熱容量の小さい媒体を使用することが多くなってきている。
このような熱容量の小さい構成の場合、熱し易く冷め易い特性から、温度が変動し易く、目標制御温度に対する定着部材の温度の異常昇温、すなわちオーバーシュート(以下、単にオーバーシュート)が発生し易いことが挙げられる。
かかるオーバーシュートが起こった場合、定着部材の温度が高温となるため、劣化あるいは破損する、あるいはまた、定着部材の温度が目標制御温度に対して安定しないことにより、定着後の画質が安定しないという懸念がある。
この原因の1つとして挙げられるのは、印刷動作時はトナー像を記録媒体に溶融させるために、熱源へ大電力を供給し定着部材を加熱している。一方、印刷動作終了後は供給電力が少なくて済むが、印刷動作終了後に熱源への供給電力を減らすように温度コントローラが指令を出しても、熱源への供給電力と定着部材の温度変化には応答遅れがあり、直ぐには反映されないため、印刷動作終了後に温度が上昇する。
また、他の原因としては、印刷動作時は定着部材が回転しており、熱源からの熱量が定着部材や対向する加圧部材上に広く供給される。さらに、記録媒体が定着部材から奪う熱量と、定着部材上の温度を目標制御温度に保つために必要な熱量とのバランスにより、熱源へ電力が供給される。しかし、回転が停止したことにより熱源からの熱量が、熱源に近い局所的な部分に集中するため、熱源付近の定着部材の温度が急激に上昇する。
熱源への供給電力と定着部材の温度変化の応答遅れによる印刷動作終了後の温度上昇、熱源付近の定着部材の温度の急激な上昇を回避するために、従来から幾つかの技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特許文献1では、一連のジョブにおける最終記録媒体の後端が定着位置を通過する時点よりも所定時間前に熱源をオフにすることにより、応答遅れの問題を回避している。
特許文献2では、印刷動作終了後、一定時間の間、熱源への電力供給をストップした状態のまま定着部材を回転させることにより、印刷動作終了後の温度上昇を回避している。
しかし、印刷動作時の条件(通紙枚数や記録媒体の厚さなど)によって、印刷時に必要な定着熱源への供給電力は異なるため、印刷動作後のオーバーシュートの大きさは印刷動作時の条件によって異なる。
また、従来技術では、例えば、最もオーバーシュートが大きくなる条件(印刷動作時に必要な電力が大きい条件)の元で適切な印刷動作後の消灯回転時間あるいは印刷動作後の消灯回転速度を設定し、それを全ての条件で一律に適用している。
そのため、オーバーシュートが小さい条件(印刷動作時に必要な電力が小さい条件)では必要以上の時間や速度で印刷動作後の消灯回転を行うことになり、印刷動作後に温度が下がり過ぎてしまうことがあった。また、回転数増加に伴い定着部材の寿命を短くする要因にもなっていた。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、印刷動作終了後の定着部材の温度のオーバーシュートを防ぐために、実施する印刷動作後の定着部材の消灯回転の回転時間、又は回転速度を、印刷動作時の条件により可変にすることで定着部材の温度のオーバーシュートを適切に防ぐ定着装置及び画像形成装置を提供することにある。
また、請求項2に記載の発明は、前記回転時間変更制御回路が、前記定着部材の前記印刷動作後の前記電力供給オフ回転時間を、印刷枚数により変更する請求項1記載の定着装置を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記回転時間変更制御回路が、前記印刷枚数により決定された前記印刷動作後の前記電力供給オフ回転時間を、印刷動作時の環境の温度により、補正する請求項2記載の定着装置を特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記回転時間変更制御回路が、前記印刷枚数により決定された前記印刷動作後の前記電力供給オフ回転時間を、印刷動作時の前記定着部材の設定温度により、補正する請求項2記載の定着装置を特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、内部に定着熱源を有する定着部材と、該定着部材を押圧する加圧部材により、記録媒体に作像したトナー像を前記記録媒体上に熱定着する定着装置において、印刷動作終了後に前記定着熱源への電力供給をオフして前記定着部材を回転させる切断回転速度を変更する回転速度変更制御回路を備え、前記電力供給オフ回転速度を、印刷動作時の条件により変更する定着装置を特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、前記回転速度変更制御回路が、前記印刷枚数によって決定された前記印刷動作後の前記電力供給オフ回転速度を、印刷動作時の記録媒体の厚さにより、補正する請求項6記載の定着装置を特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、前記回転速度変更制御回路が、前記印刷枚数によって決定された前記印刷動作後の前記電力供給オフ回転速度を、印刷動作時の環境の温度により、補正する請求項6記載の定着装置を特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、前記記録媒体が定着ニップを通過するタイミングを検知し得る検知機構を具備し、前記タイミングを検知した時点から定着熱源より定着部材へ供給する熱量を増加させて供給し、前記記録媒体の後端が前記定着ニップを通過するより前に前記定着熱源から前記定着部材へ供給する熱量を減少させて供給するフィードフォワード制御を用いて、印刷動作中の前記定着部材の前記定着熱源を制御する請求項1乃至10の何れか1項記載の定着装置を特徴とする。
また、請求項12に記載の発明は、像担持体上に形成された静電潜像をトナーで現像して可視化し、トナー像を記録媒体上に転写し、該記録媒体上の前記トナー像を熱及び圧力により前記記録媒体上に定着させる画像形成装置において、前記記録媒体上に前記トナー像を定着させる定着装置として、請求項1乃至11の何れか1項記載の定着装置を搭載する画像形成装置を特徴とする。
図1に示す画像形成装置Aは電子写真方式を採用しており、画像形成装置本体1の上方に画像読み取り装置2を設置し、右側面に両面ユニット3を取り付けて構成されている。
画像形成装置本体1内には中間転写装置4を備えている。この中間転写装置4は、複数のローラに掛け渡したエンドレスの中間転写ベルト5を含み、そして画像形成装置本体1内でこの中間転写ベルト5をほぼ水平に張り渡し、反時計回りに走行するように設けている。
中間転写装置4の下には、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラックの作像装置12c、12m、12y、12kを、中間転写ベルト5の張り渡し方向に沿って四連タンデム式に並べて設けている。
各作像装置12c、12m、12y、12kは、図中時計回りに回転するドラム状の像担持体である感光体ドラム6c、6m、6y、6kの周りに帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置などを設置して構成する。作像装置12c、12m、12y、12kの下には、露光装置7を備えている。
記録媒体搬送路10は、画像形成装置本体1内の右側に下方から上方に向けて形成し、画像形成装置本体1上方の画像読み取り装置2との間に形成する胴内排紙部14へと通ずるように設けている。
記録媒体搬送路10には、レジストローラ(搬送ローラ)15、中間転写ベルト5と対向して2次転写装置16、定着装置17、1対の排紙ローラよりなる排紙装置18などを画像形成装置本体1内の右側に下方から上方に向けて順に設けている。
レジストローラ15の上流には、両面ユニット3から再給紙し、又は両面ユニット3を横切って手差し給紙装置19から手差し給紙する記録媒体Pを記録媒体搬送路10に合流する給紙路20を設ける。また、定着装置17の下流には、両面ユニット3への再給紙搬送路22を分岐して設けている。
一方、給紙コロ11の1つを選択的に回転して、対応する給紙カセット9から記録媒体Pを繰り出して記録媒体搬送路10に入れ、又は、手差し給紙装置19から手差しの記録媒体Pを給紙路20に入れる。
記録媒体Pを、記録媒体搬送路10を通してレジストローラ15で搬送してタイミングを取って2次転写位置へと送り込み、上述したごとく中間転写ベルト5上に形成したカラー画像を2次転写装置16で記録媒体Pに転写する。画像転写後の記録媒体Pは、定着装置17で画像定着後、排紙装置18で排出して胴内排紙部14上にスタックする。
記録媒体Pの裏面にも画像を形成する時には、再給紙搬送路22に入れて両面ユニット3で反転してから給紙路20を通して再給紙し、別途中間転写ベルト5上に形成したカラー画像を記録媒体Pに2次転写して後、再び、定着装置17で定着して排紙装置18で胴内排紙部14に排出する。
これらのローラ23、24のうちの一方のローラ(例えば、定着ローラ23)の回転軸は固定され、他方のローラ(例えば、加圧ローラ24)の回転軸は移動自在としている。
他方のローラ(例えば、加圧ローラ24)が一方のローラ(例えば、定着ローラ23)に対して接離可能に支持され、かつ図示はしていないが他方のローラ(例えば、加圧ローラ24)が一方のローラ(例えば、定着ローラ23)に向けてばね、その他の弾性部材で付勢されている。
定着ローラ23と加圧ローラ24との間で定着ニップnが形成される。定着ローラ23には、内部に定着熱源25が内蔵されており、この定着熱源25で定着ローラ23が加熱されるようになっている。
なお、この実施の形態では、定着熱源25としては、ハロゲンヒータやカーボンヒータなどの加熱ヒータを使用するが、ヒータに限らず、例えば、電磁誘導を利用して発熱する熱源を用いるようにしてもよい。
予め指定された目標制御温度と、温度検知手段26により検知された定着ローラ23の温度との間の温度偏差の情報を基に温度コントローラ27がPWM駆動回路28を通して、定着ローラ23の定着電源25への印加電力を制御する。
図示の定着装置17は、定着熱源25により定着ローラ23が加熱され、この定着ローラ23は、これと加圧ローラ24との間の定着ニップnを通過する記録媒体の画像面に接触する。その画像面のトナー像が定着ローラ23からの熱によって溶融されることにより記録媒体に定着される。
図2及び図3を参照して、立ち上げ状態では、定着ローラ23及び加圧ローラ24を回転させた状態で温度を上昇させ、印刷可能状態とする。この時点でユーザーからの印刷の要求が無い場合は、待機状態として定着ローラ23及び加圧ローラ24の回転を停止させる。
この待機状態は、印刷要求がきた場合に、即座に印刷動作へ移れるように、定着ローラ23の温度を一定温度に保っている。ユーザーから印刷要求がきた場合には、回転をスタートさせて印刷動作を行ない、印刷終了後に回転を停止し、再び待機状態へ移行する。
図4では、通紙後定着ローラ23の消灯回転を実施した場合、及び実施しなかった場合の定着部材である定着ローラ23の温度のオーバーシュートの大きさの比較を示している。印刷動作後に消灯回転を実施することで、オーバーシュートを小さくすることができる。
以下、印刷動作後の定着ローラの消灯回転の回転時間を印刷動作時の条件により変更することで、オーバーシュート量を適切に調節する手段について述べる。例えば、図2に示す定着装置17において、印刷動作終了後に定着ローラ23の定着熱源25への電力供給をオフ(消灯)した後、定着ローラ23を回転させる時間(以下、印刷動作後の消灯(電力供給オフ)回転時間)を印刷動作時の条件により変更する。
その一例として、ユーザーからの印刷要求に対して、図5の印刷動作条件入力部34で印刷枚数をカウントし、カウントした印刷枚数により、制御手段33及び補正部32で補正して、回転時間設定部31で印刷動作後の消灯回転時間を決定する。
しかしながら、印刷動作後の消灯回転時間の決定方法は、本発明では、表1のように、予め関連付けておいた印刷枚数と印刷動作後の消灯(電力供給オフ)回転時間のテーブルを参照して回転時間変更制御回路30を動作することにより決定する。
図6の(a)では、印刷動作後の消灯回転時間を一定値とした場合の、定着ローラ23の温度のオーバーシュートを、図6の(b)では、印刷枚数により可変にした場合の、定着ローラ23の温度のオーバーシュートを比較結果として示している。
このために、回転終了後、定着ローラ23(図2)の温度が下がり過ぎ、その後待機目標温度に到達するまでの時間を多く要することになる。従って、続けてユーザーから印刷指令がきた場合に、即座に印刷ができないため、待ち時間を発生させてしまっている。
一方、本発明のように、印刷動作後の定着ローラ23の消灯回転時間を、印刷枚数により可変とした場合では、印刷枚数が300枚の時には消灯回転時間t1にて回転するが、印刷枚数が10枚の時にはt2にて回転するため、図6の(b)に破線で示すように、印刷枚数に応じて適切にオーバーシュートを防ぐことができる。
なお、本実施の形態では、テーブルによる印刷枚数と印刷動作後の消灯回転時間の関連付けの例を示したが、両者の関係を実験的に求めた数式により記述するなどして使用しても差し支えない。
また、本発明による定着装置では、前述した印刷枚数により決定された印刷動作後の消灯回転時間を、印刷動作時の記録媒体の厚さに応じて、補正するように設定することもできる。
次に記録媒体の厚さにより、印刷動作後の消灯回転時間を補正する手順を述べる。記録媒体が厚いほど、印刷動作時に定着熱源25(図2)へ投入する電力が多く必要となることから、前述のように、印刷動作後の定着ローラ23の温度のオーバーシュートが大きくなる。
記録媒体の厚さはそれを示す単位として、坪量や連量がよく用いられる。そこで、本実施の形態では印刷時の記録媒体の厚さを坪量(g/m2)で表し、記録媒体の厚さに対して表2のように重み付けを行ない、表1の印刷枚数から決定される印刷動作後の定着ローラ23の消灯回転時間へ、重みを掛け合わせることにより、印刷動作後の消灯回転時間を決定する。
例えば、印刷枚数が60枚、記録媒体の坪量が90g/m2の場合は、印刷動作後消灯回転時間tは、
t=2.0×1.2=2.4[s]
となる。
このように、図5の回転時間変更制御回路30の印刷動作条件入力部34に表2の重み計数を含む記録媒体の厚さを入力し、記録媒体の厚さを測定し、厚さに応じて、制御手段33及び補正部32で印刷動作後の消灯回転時間を補正することにより、印刷動作後のオーバーシュート量を最適化することが可能となる。
初めに、環境の温度を測定する。一般には画像形成装置には温湿度センサなどが取り付けられていることが多い。従って、それらを使用しても良いし、本発明のために別途温度センサを取り付けてもよい。それらを回転時間変更制御回路30の印刷動作条件入力部34に入力してもよい。
次に測定した環境の温度により、印刷動作後の消灯回転時間を補正する手順を述べる。環境の温度が低い場合、記録媒体の温度も低くなり、印刷動作時に定着熱源25(図2)へ投入する電力は、大きな電力が多く必要となる。このため、前述のように印刷動作後の定着ローラ23(図2)の温度のオーバーシュートが大きくなる。
そこで、印刷時の環境温度に対して、表3のように重み付けを行い、表1の印刷枚数から決定される印刷動作後消灯回転時間に対して、重み係数を掛け合わせることにより、印刷動作後の消灯回転時間を決定する。
例えば、印刷枚数が120枚、環境温度が20℃であった場合は、印刷動作後の消灯回転時間tは、
t= 4.0×2.5=10.0[s]
となる。
以上のように、印刷動作時の環境温度を考慮し、印刷動作後のオーバーシュート量を最適化することができる。
そこで、印刷動作時の定着ローラ23の設定温度に対して、表4のように重み付けを行い、表1の印刷枚数から決定される印刷動作後の消灯回転時間に対して、重みを掛け合わせることにより、回転時間変更制御回路30において印刷動作後の消灯回転時間を決定する。
例えば、印刷枚数が30枚、定着ローラ23の目標制御温度が160℃であった場合は、印刷動作後の消灯回転時間tは、
t=1.0×3.0=3.0[s]
となる。
以上のように、印刷時の定着ローラ23の設定温度を考慮することで、印刷動作後のオーバーシュート量をさらに最適化することができる。
一般には、定着ローラ23の設定温度は、記録媒体の厚さ、環境の温度などを考慮して予め決定されているため、表4の重み係数には、表2、表3に示した、記録媒体の厚さ及び、環境の温度の重み情報が含まれていると考えられる。
しかし、必要に応じて、記録媒体の厚さ、環境の温度、定着ローラ23の印刷動作時の設定温度の情報を併用して(つまり、表2、表3、表4の重み係数を併用して、)印刷動作後の消灯回転時間を補正してもよい。
本発明による定着装置では、また、印刷動作後の消灯(切断)回転の回転速度を印刷動作時の条件により変更する。その一例として、本発明による定着装置17(図2)では、図7の回転速度変更制御回路35を利用してユーザーからの印刷要求に対して、印刷枚数をカウントし、印刷枚数により、印刷動作後の消灯回転速度を決定する。
以下、印刷動作後の消灯回転の回転速度を印刷動作時の条件により変更することで、オーバーシュート量を適切に調節する手段について述べる。まずは、図7の回転速度変更制御回路35の印刷動作条件入力部39に印刷枚数を入力して回転速度を変更する場合を説明する。
図8では、印刷動作後の消灯回転速度を一定速度のv1とした場合と、印刷枚数により可変にした場合(v1及びv2)のオーバーシュートの比較の結果を示している。
回転速度が速いほど、定着ローラ23の熱が対向する加圧ローラ24(図2)へ早く伝達するため、同時間だけ消灯回転を行なうとした場合、定着ローラ23の温度のオーバーシュート量は回転速度が速いほど小さくすることができる。
なお、本実施の形態では、使用する回転速度を3つとしているが、目的に応じて、さらに細かく回転速度を分けて使用できるようにしても良いし、使用する定着駆動の構成により連続的に速度を変えられる場合には、印刷枚数と回転速度の関係を数式で記述し、印刷枚数に対して、連続的に回転速度を変化させてもよい。以上のように、印刷枚数に応じて印刷動作後の消灯回転速度を変化させることにより、印刷動作後のオーバーシュート量を最適化することができる。
また、本発明による定着装置では、前述した印刷枚数により決定された印刷動作後の消灯回転速度を、記録媒体の厚さに応じて補正する。補正の手順を以下に述べる。まず、記録媒体の厚さの判断方法は図5に関連して上述したのと同様の方法を用いることができるため、割愛する。
そこで、印刷時の記録媒体の厚さに対して、表6のテーブルを用いて回転速度補正を行なう。この回転速度補正は、表6を考慮して、図7の回転時間変更制御回路35において実施される。
例えば、印刷枚数が60枚、記録媒体の厚さが95[g/m2]であった場合には、表5から決定される印刷枚数60枚に対する回転速度100[mm/s]に対して、+1の補正であるから、1段階速い回転速度にシフトさせ、150[mm/s]で回転させる。
また、例えば、印刷枚数が60枚、転写紙の厚さが200[g/m2]であった場合には、印刷枚数60枚に対する回転速度100[mm/s]に対して、+2の補正であるため、2段階速い回転速度へシフトを行なうことを意味する。しかし、本実施の形態では、所有している回転速度が150[mm/s]を上限としているため、150[mm/s]を選択することになる。
このように回転速度だけでの補正では頭打ちとなってしまう場合には、図5に示した回転時間偏向制御回路30により回転時間も同時に調節することによって、さらに、高精度にオーバーシュートを防ぐこともできる。
以上のように、記録媒体の厚さを考慮し、印刷動作後の消灯回転速度を決定することによって、印刷動作後のオーバーシュート量を最適化することが可能である。
また、本発明による定着装置では、前述した印刷枚数により決定された印刷動作後の消灯回転速度を、図7の回転時間変更制御回路35において印刷動作時の環境の温度により補正する。補正の手順において、環境の温度の判断方法などは、表3に関連して説明したのと同様であるため、割愛する。
そこで、印刷時の環境温度に対して、表7のテーブルを用いて回転速度補正を行なう。表5の印刷枚数から決定される印刷動作後の消灯回転速度に対して、図7の回転速度変更制御回路35で、表7のテーブルを考慮して、回転速度補正を行なうことにより、印刷動作後の消灯回転速度を決定する。
例えば、印刷枚数が35枚、環境の温度が18℃で合った場合には、表5から決定される印刷枚数に対する回転速度50[mm/s]に対して、表7のテーブルにより「+1」の回転速度補正がなされるので、100[mm/s]の回転速度にて印刷動作後の消灯回転を行なう。
以上のように、印刷動作時の環境温度を考慮し、図7の回転時間変更制御回路35において、印刷動作後の消灯回転速度を決定することにより、印刷動作後のオーバーシュート量を最適化することができる。
そこで、印刷動作時の定着ローラ23の設定温度に対して、表8のテーブルを用いて回転速度補正を行なう。表5の印刷枚数から決定される印刷動作後の消灯回転速度に対して、回転速度補正を行なうことにより、印刷動作後の消灯回転速度を決定する。
一般には、定着ローラ23の設定温度は、記録媒体の厚さ、環境の温度などを考慮して決定されるため、表8の回転速度補正の値には、表6、表7に示した、記録媒体の厚さ及び、環境の温度による回転速度補正の情報が含まれていると考えられる。
しかし、必要に応じて、記録媒体の厚さ、環境の温度、定着ローラ23の印刷動作時の設定温度の情報を併用して、図7の回転時間変更制御回路35で印刷動作後の消灯回転速度を補正してもよい。
以上のように、印刷動作時の定着ローラ23の印刷動作時の設定温度を考慮し、印刷動作後の消灯回転速度を決定することにより、印刷動作後のオーバーシュート量を最適化することができる。
このことから、記録媒体が定着装置17を通過する時刻を予測し、記録媒体が定着装置17を通過するより前に、定着熱源25からの熱入力供給を前もって開始するか、あるいは増幅させる。そして、記録媒体の後端が定着装置17を抜けるより前に、定着熱源25からの熱入力供給を前もって遮断するか、あるいは減少させる。
記録媒体P(図1参照)が定着装置17へ通過するタイミングの検知方法としては、例えば、レジストローラ(搬送ローラ)19(図1参照)の回転がオフからオンになった時刻に対して、レジストローラ19と定着装置17の間の搬送距離と搬送速度から割り出される、通過に要する時間を考慮すれば、定着装置17に記録媒体が通過するタイミングを捉えることができる。
この定着装置17に記録媒体が通過するタイミングを捉えることを予兆と呼び、記録媒体Pが定着ニップを通過する予兆を検知するので、レジストローラ19と定着装置17の間の搬送距離と搬送速度から通過に要する時間を考慮してタイミングを割り出すことを、予兆を検知し得る検知機構として述べている。なお、タイミングの検知方法はこの限りではない。
上記のフィードフォワード制御を用いることで、印刷動作終了前に、前もって定着熱源25からの供給熱量を減少させることができるため、印刷動作後のオーバーシュート量は小さくなる。この状態で、上述した印刷消灯後の定着ローラの回転時間、及び回転速度を最適化すれば、さらにオーバーシュート量を緻密に制御することが可能となる。
n 定着ニップ
P 記録媒体(用紙、転写紙、記録材)
4 転写装置
5 中間転写ベルト
6c 像担持体(感光体ドラム)
8 給紙装置
12c 作像装置
17 定着装置
23 定着部材(定着ローラ)
24 加圧ローラ
25 定着熱源
26 温度検知手段
27 温度コントローラ
28 PWM駆動回路
30 回転時間変更制御回路
31 回転時間設定部
32 補正部
33 制御手段
34 印刷動作条件入力部
35 回転速度変更制御回路
36 回転速度設定部
37 補正部
38 制御手段
39 印刷動作条件入力部
また、請求項2に記載の発明は、像担持体上に形成された静電潜像をトナーで現像して可視化し、トナー像を記録媒体上に転写し、該記録媒体上の前記トナー像を熱及び圧力により前記記録媒体上に定着させる画像形成装置において、前記記録媒体上に前記トナー像を定着させる定着装置として、請求項1記載の定着装置を搭載する画像形成装置を特徴とする。
予め指定された目標制御温度と、温度検知手段26により検知された定着ローラ23の温度との間の温度偏差の情報を基に温度コントローラ27がPWM駆動回路28を通して、定着ローラ23の定着電源25への印加電力を制御する。
図示の定着装置17は、定着熱源25により定着ローラ23が加熱され、この定着ローラ23は、これと加圧ローラ24との間の定着ニップnを通過する記録媒体の画像面に接触する。その画像面のトナー像が定着ローラ23からの熱によって溶融されることにより記録媒体に定着される。
以下、印刷動作後の定着ローラの消灯回転の回転時間を印刷動作時の条件により変更することで、オーバーシュート量を適切に調節する手段について述べる。例えば、図2に示す定着装置17において、印刷動作終了後に定着ローラ23の定着熱源25への電力供給をオフ(消灯)した後、定着ローラ23を回転させる時間(以下、印刷動作後の消灯(電力供給オフ)回転時間)を印刷動作時の条件により変更する。
その一例として、ユーザーからの印刷要求に対して、図5の印刷動作条件入力部34で印刷枚数をカウントし、カウントした印刷枚数により、制御手段33及び補正部32で補正して、回転時間設定部31で印刷動作後の消灯回転時間を決定する。
しかしながら、印刷動作後の消灯回転時間の決定方法は、表1のように、予め関連付けておいた印刷枚数と印刷動作後の消灯(電力供給オフ)回転時間のテーブルを参照して回転時間変更制御回路30を動作することにより決定する。
このために、回転終了後、定着ローラ23(図2)の温度が下がり過ぎ、その後待機目標温度に到達するまでの時間を多く要することになる。従って、続けてユーザーから印刷指令がきた場合に、即座に印刷ができないため、待ち時間を発生させてしまっている。
一方、印刷動作後の定着ローラ23の消灯回転時間を、印刷枚数により可変とした場合では、印刷枚数が300枚の時には消灯回転時間t1にて回転するが、印刷枚数が10枚の時にはt2にて回転するため、図6の(b)に破線で示すように、印刷枚数に応じて適切にオーバーシュートを防ぐことができる。
なお、本形態では、テーブルによる印刷枚数と印刷動作後の消灯回転時間の関連付けの例を示したが、両者の関係を実験的に求めた数式により記述するなどして使用しても差し支えない。
また、前述した印刷枚数により決定された印刷動作後の消灯回転時間を、印刷動作時の記録媒体の厚さに応じて、補正するように設定することもできる。
初めに、環境の温度を測定する。一般には画像形成装置には温湿度センサなどが取り付けられていることが多い。従って、それらを使用しても良いし、別途温度センサを取り付けてもよい。それらを回転時間変更制御回路30の印刷動作条件入力部34に入力してもよい。
次に測定した環境の温度により、印刷動作後の消灯回転時間を補正する手順を述べる。環境の温度が低い場合、記録媒体の温度も低くなり、印刷動作時に定着熱源25(図2)へ投入する電力は、大きな電力が多く必要となる。このため、前述のように印刷動作後の定着ローラ23(図2)の温度のオーバーシュートが大きくなる。
そこで、印刷時の環境温度に対して、表3のように重み付けを行い、表1の印刷枚数から決定される印刷動作後消灯回転時間に対して、重み係数を掛け合わせることにより、印刷動作後の消灯回転時間を決定する。
そこで、印刷動作時の定着ローラ23の設定温度に対して、表4のように重み付けを行い、表1の印刷枚数から決定される印刷動作後の消灯回転時間に対して、重みを掛け合わせることにより、回転時間変更制御回路30において印刷動作後の消灯回転時間を決定する。
定着装置では、また、印刷動作後の消灯(切断)回転の回転速度を印刷動作時の条件により変更する。その一例として、定着装置17(図2)では、図7の回転速度変更制御回路35を利用してユーザーからの印刷要求に対して、印刷枚数をカウントし、印刷枚数により、印刷動作後の消灯回転速度を決定する。
以下、印刷動作後の消灯回転の回転速度を印刷動作時の条件により変更することで、オーバーシュート量を適切に調節する手段について述べる。まずは、図7の回転速度変更制御回路35の印刷動作条件入力部39に印刷枚数を入力して回転速度を変更する場合を説明する。
なお、本形態では、使用する回転速度を3つとしているが、目的に応じて、さらに細かく回転速度を分けて使用できるようにしても良いし、使用する定着駆動の構成により連続的に速度を変えられる場合には、印刷枚数と回転速度の関係を数式で記述し、印刷枚数に対して、連続的に回転速度を変化させてもよい。以上のように、印刷枚数に応じて印刷動作後の消灯回転速度を変化させることにより、印刷動作後のオーバーシュート量を最適化することができる。
また、定着装置では、前述した印刷枚数により決定された印刷動作後の消灯回転速度を、記録媒体の厚さに応じて補正する。補正の手順を以下に述べる。まず、記録媒体の厚さの判断方法は図5に関連して上述したのと同様の方法を用いることができるため、割愛する。
例えば、印刷枚数が60枚、記録媒体の厚さが95[g/m2]であった場合には、表5から決定される印刷枚数60枚に対する回転速度100[mm/s]に対して、+1の補正であるから、1段階速い回転速度にシフトさせ、150[mm/s]で回転させる。
また、例えば、印刷枚数が60枚、転写紙の厚さが200[g/m2]であった場合には、印刷枚数60枚に対する回転速度100[mm/s]に対して、+2の補正であるため、2段階速い回転速度へシフトを行なうことを意味する。しかし、本形態では、所有している回転速度が150[mm/s]を上限としているため、150[mm/s]を選択することになる。
このように回転速度だけでの補正では頭打ちとなってしまう場合には、図5に示した回転時間偏向制御回路30により回転時間も同時に調節することによって、さらに、高精度にオーバーシュートを防ぐこともできる。
以上のように、記録媒体の厚さを考慮し、印刷動作後の消灯回転速度を決定することによって、印刷動作後のオーバーシュート量を最適化することが可能である。
また、定着装置では、前述した印刷枚数により決定された印刷動作後の消灯回転速度を、図7の回転時間変更制御回路35において印刷動作時の環境の温度により補正する。補正の手順において、環境の温度の判断方法などは、表3に関連して説明したのと同様であるため、割愛する。
Claims (12)
- 内部に定着熱源を有する定着部材と、該定着部材を押圧する加圧部材と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材との定着ニップに搬送された記録媒体上の未定着トナー像を前記記録媒体上に熱定着する定着装置において、印刷動作終了後に前記定着熱源への電力供給をオフして前記定着部材を回転させる電力供給オフ回転時間を変更する回転時間変更制御回路を備え、該回転時間変更制御回路は、印刷動作時の条件により、前記電力供給オフ回転時間を変更することを特徴とする定着装置。
- 前記回転時間変更制御回路は、前記定着部材の前記切断回転時間を、印刷枚数により変更することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記回転時間変更制御回路は、前記印刷枚数により設定された前記電力供給オフ回転時間を、印刷動作時の前記記録媒体の厚さにより補正することを特徴とする請求項2記載の定着装置。
- 前記回転時間変更制御回路は、前記印刷枚数により決定された前記電力供給オフ回転時間を、印刷動作時の環境の温度により補正することを特徴とする請求項2記載の定着装置。
- 前記回転時間変更制御回路は、前記印刷枚数により決定された前記電力供給オフ回転時間を、印刷動作時の前記定着部材の設定温度により補正することを特徴とする請求項2記載の定着装置。
- 内部に定着熱源を有する定着部材と、該定着部材を押圧する加圧部材により、記録媒体に作像したトナー像を前記記録媒体上に熱定着する定着装置において、印刷動作終了後に前記定着熱源への電力供給をオフして前記定着部材を回転させる前記電力供給オフ回転速度を変更する回転速度変更制御回路を備え、前記電力供給オフ回転速度を、印刷動作時の条件により変更することを特徴とする定着装置。
- 前記回転速度変更制御回路は、前記電力供給オフ回転速度を印刷枚数により変更することを特徴とする請求項6記載の定着装置。
- 前記回転速度変更制御回路は、前記印刷枚数によって決定された前記電力供給オフ回転速度を、印刷動作時の前記記録媒体の厚さにより補正することを特徴とする請求項6記載の定着装置。
- 前記回転速度変更制御回路は、前記印刷枚数によって決定された前記電力供給オフ回転速度を、印刷動作時の環境の温度により補正することを特徴とする請求項6記載の定着装置。
- 前記回転速度変更制御回路は、前記印刷枚数によって決定された前記電力供給オフ回転速度を、印刷動作時の前記定着部材の設定温度により、補正することを特徴とする請求項6記載の定着装置。
- 前記記録媒体が前記定着ニップを通過するタイミングを検知し得る検知機構を具備し、前記タイミングを検知した時点から定着熱源より定着部材へ供給する熱量を増加させて供給し、前記記録媒体の後端が前記定着ニップを通過するより前に前記定着熱源から前記定着部材へ供給する熱量を減少させて供給するフィードフォワード制御を用いて、印刷動作中の前記定着部材の前記定着熱源を制御することを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項記載の定着装置。
- 像担持体上に形成された静電潜像をトナーで現像して可視化し、トナー像を記録媒体上に転写し、該記録媒体上の前記トナー像を熱及び圧力により前記記録媒体上に定着させる画像形成装置において、前記記録媒体上に前記トナー像を定着させる定着装置として、請求項1乃至11の何れか1項記載の定着装置を搭載することを特徴とする画像形成装置。
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