本発明の第1実施形態に係る蓋開閉装置について、図1〜図10を参照しつつ説明する。まず、本実施形態に係る蓋開閉装置が開閉する蓋について、図1を参照しつつその概要を説明する。
本実施形態では、発電用水車のケーシング9に設けられるマンホール(開口)91を閉塞するマンホール蓋(蓋)92を例に説明する。このマンホール91は、ケーシング9の内部を点検するための点検孔として設けられる。そして、本実施形態に係る蓋開閉装置1は、このマンホール91に対してマンホール蓋92を開閉するために用いられる。この蓋開閉装置1は、マンホール91及び該マンホール91を閉塞するマンホール蓋92がどのような向きに設けられていても、開閉することができるよう構成されている。本実施形態では、図1(側面図)に示すように、マンホール91及びマンホール蓋92が水平な床面に対して約45度傾斜して設けられる例を説明する。
マンホール91は、ケーシング9の内外を貫通する略円状の開口であり、その開口の縁に沿って外側に向かって突出して形成される円筒状の開口端部91aと、該開口端部91aの外側面上の周方向に沿って所定間隔おきに設けられるボルト穴91b,…と、を備える。
マンホール蓋92は、マンホール91の開口端部91aに嵌め込まれる鋼鉄製で凸状の蓋本体93と、該蓋本体93の表面側の略中央に配置され、一般的にアイボルトなどを取付可能な取付座94と、蓋本体93の外周面上に設けられ、作業者が把持する把持部95,95と、マンホール91の開口端部91aの外側面上に配置され、蓋本体93との隙間を塞いでその密閉性を高める円環状のパッキン96と、蓋本体93をマンホール91に固定すべく、マンホール91のボルト穴91b,…に螺合可能なボルト97,…と、を備える。なお、取付座94は、図3(蓋開閉装置1の先端部を拡大した要部断面図)に示すように、蓋本体93から表面側に突出して形成された円柱状の基部94aと、該基部94aの先端側の面(蓋本体93と対向する面)に設けられ、内周面に雌ネジが切られた筒状の被嵌合部94bと、を備える。
次に、本実施形態に係る蓋開閉装置1の構成について、図1〜図8を参照しつつ、詳細に説明する。
本実施形態に係る蓋開閉装置1は、図1(蓋開閉装置1の側面図)及び図2(同正面図)に示すように、マンホール91に対してマンホール蓋92を開閉操作する蓋開閉治具2と、該蓋開閉治具2をマンホール蓋92の開閉操作に適した位置に配置可能なリフター3と、を備える。
蓋開閉治具2は、マンホール蓋92の取付座94を結合可能な結合手段4と、該結合手段4を支持する長尺状の支持手段5と、を備える。
結合手段4は、図3(マンホール蓋92に結合される前の状態の断面図)及び図4(マンホール蓋92に結合された後の状態の断面図)に示すように、マンホール蓋92の取付座94の被嵌合部94bの嵌合構造に合わせて取り替え可能である。すなわち、結合手段4は、各マンホール蓋92の取付座94ごとに用意されている。結合手段4は、マンホール蓋92の取付座94を結合可能な結合部41と、支持手段5を連結可能な連結部42と、を備える。
結合部41は、マンホール蓋92の取付座94の被嵌合部94bと嵌合可能な雄ネジが外周面に切られた嵌合凸部41aと、該嵌合凸部41aを先端に有する円柱形状の結合基部41bと、該結合基部41bの軸心方向に対して直角に貫通する回り止め孔41cと、を備える。
連結部42は、結合部41の結合基部41bを嵌め込み可能な凹状の嵌め込み凹部42aと、結合基部41bを回り止めするために設けられた連通口42b,42bと、結合基部41bと連結可能な連結部材42cと、該連結部材42cを嵌め込み凹部42aに固定するために連結部材42cを締付ける締付部材42dと、を備える。
嵌め込み凹部42aは、結合部41の結合基部41bを軸方向に挿入可能であるとともに、挿入された結合基部41bを軸心回りに回動自在に嵌め込むことができる。すなわち、嵌め込み凹部42aは、当該嵌め込み凹部42aに形成された開口側から軸心方向に結合基部41bを回動させつつ、挿入可能に構成されている。
連通口42bは、嵌め込み凹部42aの筒心方向に対して直角に貫通する開口である。連通口42bは、結合基部41bが嵌め込み凹部42aに嵌め込まれた状態で、結合部41の回り止め孔41cと連通可能な位置に設けられている。すなわち、連通口42bは、嵌め込み凹部42aに嵌め込まれた結合基部41bを軸心回りに回動するのを回り止めするために連結部材42cを挿通させるために設けられている。なお、連通口42bは、図3及び図4では、回り止め孔41cと略同一径の開口として図示したが、連結部材42cを挿入しやすいように、周方向に長径を有する長孔としてもよいし、又は、回り止め孔41cの径よりも大きい径の開口としてもよい。
連結部材42cは、結合部41の回り止め孔41c及び連結部42の連通口42b,42bに挿入可能な外形を有するボルトである。連結部材42cは、一方の連通口42bから他方の連通口42bまで貫通可能な長さを有する。連結部材42cは、少なくとも先端部側に雄ネジが切られており、具体的には、一方の連通口42bに挿入されたときに、少なくとも他方の連通口42bから突出する可能性のある部分に雄ネジが切られている。そして、連結部材42cは、結合部41の回り止め孔41c及び連結部42の連通口42b,42bに挿入することにより、連結部42は、結合部41の軸心回りを回動不能となり、結合部41に対して回り止めされる。
締付部材42dは、連結部材42cの雄ネジに螺合可能な雌ネジを有するナットと、該ナットの締付を補助する平座金及びバネ座金とを有する。締付部材42dは、一方の連通口42bから挿入され他方の連通口42bから突出する連結部材42cの雄ネジに螺合する。よって、締付部材42dは、連結部材42cを嵌め込み凹部42aの連通口42b,42bから脱落しないように、嵌め込み凹部42aに取り付けることができる。
支持手段5は、図5(側面図)に示すように、一端に結合手段4(連結部42)を有する長尺状の連結手段51と、該連結手段51を支持する第1の支持部材52(図6等参照)と、該第1の支持部材52を支持可能な第2の支持部材53,53と、連結手段51の長手方向を所定の角度に設定して、連結手段51の長手方向に結合手段4を進退移動させる移動手段54と、連結手段51の長手方向の角度を変更可能な角度変更手段55(図8等参照)と、リフター3(昇降アーム31a)に蓋開閉治具2を装着可能な装着手段56と、を備える。
連結手段51は、図6(断面図)に示すように、連結部42の嵌め込み凹部42aの開口のある面と反対側の面にその先端部を固定し、嵌め込み凹部42aの筒心が連結手段51の軸心と一致する位置に嵌め込み凹部42aを固定する。また、連結手段51は、軸心方向の一端部から他端部まで雄ネジが形成される雄ネジ部54cである。
第1の支持部材52は、図6及び図8(正面図)に示すように、所定の厚さを有する長方形状の板であり、連結手段51を貫通させる対向する一対の第1の面52a,52aと、当該第1の支持部材52が回動する際の回動軸と直交する一対の第2の面52b,52bと、を備える。
第2の支持部材53は、図5,図7(断面図)及び図8に示すように、外形が角柱形状に形成されており、第1の支持部材52の第2の面52b,52bにそれぞれ対向して配置される。第2の支持部材53,53は、第1の支持部材52を挟むことで第1の支持部材52を回動可能に支持する。第2の支持部材53,53は、第1の支持部材52の第2の面52b,52bと対向する第1の面53a,53aと、該第1の面53a,53aと対向する第2の面53b,53bと、をそれぞれに備える。
移動手段54は、図6に示すように、連結手段51を軸心回りに回動しつつ軸心方向(長手方向)に移動可能な送りネジ54aと、連結手段51を回動可能な回動手段54bと、を備える。
送りネジ54aは、連結手段51の雄ネジ部54cと、第1の支持部材52の第1の面52a,52aを貫通して、雄ネジ部54cと螺合可能な雌ネジをその内周面に形成する雌ネジ部54dと、を備える。すなわち、送りネジ54aは、雄ネジ部54cを雌ネジ部54dに螺合することにより、連結手段51の回動を受け止めて連結手段51の軸心回りの回転運動を連結手段51の軸心方向への直線運動に変換する。
雄ネジ部54cは、結合部41の嵌合凸部41aの周面に形成されたネジに対して逆ネジとなる左ネジを形成する。よって、雄ネジ部54cと嵌合凸部41aとは、同軸上に配置されるが、連結手段51の回動によって、同時に締付けられる関係にはない。
雌ネジ部54dは、第1の支持部材52の第1の面52a,52aの略中央を直交方向に貫通して形成されている。雌ネジ部54dは、連結手段51を軸支する機能も兼ね備える。
回動手段54bは、連結手段51の他端に取り付けられ、連結手段51を軸心回りに回動させるために設けられたハンドルである。回動手段54bは、連結手段51を回動することにより、該連結手段51の周面に形成される雄ネジ部54cを回転させ、連結手段51を軸心方向に移動させる。回動手段54bは、連結手段51の軸心を回転中心として左回りに回転することにより連結手段51を軸心方向に前進させる(マンホール蓋92に接近させる)ことができる。回動手段54bは、連結手段51の軸心を回転中心として右回りに回転することにより連結手段51を軸心方向に後退させる(マンホール蓋92から離間させる)ことができる。
角度変更手段55は、図8に示すように、第1の支持部材52が第2の支持部材53,53に対して回動する際の軸心となる回動軸55a,55aと、第2の支持部材53,53の第1の面53a,53aから第2の面53b,53bまで貫通して形成され、回動軸55a,55aを軸支する軸支孔55b,…と、回動軸55a,55aの回動を規制する角度規制手段55c,55cと、を備える。
回動軸55a,55aは、第1の支持部材52の第2の面52b,52bのそれぞれに設けられる。回動軸55a,55aは、第1の支持部材52の第2の面52b,52bにお互いの軸心を一致させ、且つ、各面に対してそれぞれ直交させて固定されている。回動軸55a,55aは、軸支孔55b,…に挿入して、第1の支持部材52の第2の面52b,52bに第2の支持部材53,53の第1の面53a,53aを当接させた状態で、第2の支持部材53の第2の面53b,53b側の軸支孔55b,55bから突出する範囲に少なくとも雄ネジが形成されている。
軸支孔55b,…は、第2の支持部材53,53の第1の面53a,53aから第2の面53b,53bまで中心を一致させて貫通した孔である。軸支孔55b,…は、挿入される回動軸55a,55aを回動自在に軸支する。
角度規制手段55c,55cは、回動軸55a,55aの雄ネジに螺合可能な雌ネジを有するナットと、該ナットの締付を補助する平座金及びバネ座金とを有する。角度規制手段55c,55cは、回動軸55a,55aに軸支孔55b,…を挿入して、第2の支持部材53の第2の面53b,53b側の軸支孔55b,55bから突出する回動軸55a,55aの雄ネジに螺合することにより、回動軸55a,55aを回動不能に第2の支持部材53,53に固定する。また、角度規制手段55c,55cは、第2の支持部材53,53を回動軸55a,55aの軸心方向への移動も規制する。また、角度規制手段55c,55cは、回動軸55a,55aに対する締め付けを緩めることにより、回動軸55a,55aを回動自在に第2の支持部材53,53に支持する。
装着手段56は、図7及び図8に示すように、蓋開閉治具2を装着するための長尺状のリフター3の昇降アーム31a,31aを挿入してリフター3に支持手段5を装着する装着部56a,56aと、該装着部56a,56aを長尺状の昇降アーム31a,31aに固定する固定手段56b,…と、を備える。
装着部56a,56aは、第2の支持部材53,53の長手方向の一端から他端に至るリフター3の昇降アーム31a,31aを挿入可能な孔である。すなわち、装着部56a,56aは、外形が四角形の筒体である。装着部56a,56aは、昇降アーム31a,31aの幅と略同等の内径を有し、昇降アーム31a,31aの厚さ(高さ)より広い(高い)内径を有する。
固定手段56b,…は、装着部56aの下面に開口される挿通口56c,…と、該挿通口56c,…に挿通し、装着部56a,56aに挿入された昇降アーム31a,31aを装着部56a,56aの内面に押し付ける押付部材56d,…と、該押付部材56d,…で昇降アーム31a,31aを装着部56a,56aに押し付けた状態で固定する固定部材56e,…と、を備える。
挿通口56c,…は、装着部56a,56aの長手方向の両側にそれぞれ1箇所づつ配置される。挿通口56c,…は、タップ等で内周面に雌ネジが切られている。押付部材56d,…は、挿通口56c,…の雌ネジに対応する雄ネジを外周面に備える六角ボルトである。
よって、固定手段56b,…は、押付部材56d,…を締め付けることにより、押付部材56d,…の先端で昇降アーム31a,31aを固定手段56b,…の内周面に押し付けて固定する。
リフター3は、図1及び図2に示すように、蓋開閉治具2を昇降可能な昇降手段31と、蓋開閉治具2でマンホール蓋92を開閉するのに適した位置に走行可能な走行手段32と、を備える。
昇降手段31は、蓋開閉治具2の装着部56a,56aを支持可能な昇降アーム31a,31aと、該昇降アーム31a,31aを昇降させる昇降機構31bと、を備える。昇降アーム31a,31aは、設置面に対して略水平に配置されるとともに、お互いに略平行に配置される二つの長尺状の部材である。昇降機構31bは、昇降アーム31a,31aを上下方向に昇降させるべく、吊り上げ及び吊り下げ可能に構成されている。本実施形態に係る昇降機構31bは、手動で昇降し、ハンドルの回転運動を昇降アーム31a,31aの上下方向の直線運動に変換する機構を備えている。よって、昇降機構31bは、そのハンドルの回転量により、昇降アーム31a,31aの昇降量、すなわち、昇降アーム31a,31aの位置(高さ)を調整することができる。
走行手段32は、正面及び背面側の底面に配された車輪32a,…と、該車輪32a,…を回動させてリフター3を前進又は後退させるためにリフター3を操作する(押す、引く)取っ手32b,32bと、車輪32a,…の回動を規制するロック機構32cと、車輪32a,…の向きを変更してそのリフター3の進路を変更可能な進路変更手段32dと、を備える。
次に、本実施形態に係る蓋開閉装置1による蓋開閉操作について、図9及び図10の全体外観図(側面図)を参照しつつ説明する。まず、マンホール91からマンホール蓋92を開く操作について、説明する。
まず、図9(a)に示すように、蓋開閉治具2の結合部41(結合手段4)をマンホール蓋92の取付座94に取り付ける。すなわち、取付座94の被嵌合部94bの構造(雌ネジのピッチ、高さ、巻き方向などの形式)に適合する嵌合凸部41aを有する結合部41を選択し、結合部41の嵌合凸部41aを取付座94の被嵌合部94bに螺合させて、結合部41と取付座94とを結合する。
次に、図9(b)に示すように、リフター3の昇降アーム31a(昇降手段31)に蓋開閉治具2を装着する。具体的には、蓋開閉治具2は、移動手段54を操作して、連結手段51を前進させる(マンホール蓋92に接近させる)その軸心方向の延長線上に結合部41の結合基部41bの筒心中心が略一致する昇降アーム31aの位置に装着される。なお、この際、蓋開閉治具2は、適宜、リフター3の昇降手段31を用いて昇降アーム31aの高さを変更し、走行手段32を用いてそのリフター3の配置を変更して、昇降アーム31aに装着される。
すなわち、リフター3は、作業者によって取っ手32b,32bが押されて、マンホール蓋92の開閉に適した位置に配置される。具体的には、リフター3は、マンホール蓋92が正面に位置するように配置される。リフター3の昇降アーム31a,31aは、連結手段51がマンホール蓋92の取付座94に届く高さに昇降させる。
蓋開閉治具2は、昇降アーム31a,31aのそれぞれに、装着手段56の装着部56aを装着する。装着部56a,56aは、連結手段51がマンホール蓋92の取付座94に届く昇降アーム31a,31aの位置に装着される。なお、装着部56a,56aは、昇降アーム31a,31aの長手方向の中央近辺に配置されることが望ましい。装着部56a,56aが昇降アーム31a,31aの先端側(正面側)寄りに装着されると、リフター3の重心は、マンホール蓋92を蓋開閉治具2が受けた際に昇降アーム31a,31aの先端側に移り、リフター3は、正面側に転倒する恐れがでるためである。
移動手段54は、回動軸55aを回動中心にして連結手段51を回転させた際に、連結手段51又は該連結手段51の一端に固定される連結部42がマンホール蓋92の取付座94に結合された結合部41と干渉しない範囲まで回動手段54bを操作して後退させる(背面側に移動させる)。
角度変更手段55は、回動軸55aを回動中心にして連結手段51を回転させて、連結手段51の軸心方向の延長線上に結合部41の結合基部41bの筒心中心が略一致する角度に変更する。なお、角度変更手段55は、本実施形態に係るマンホール蓋92のように、床面(水平方向)に対して45度傾斜していることがわかっている場合であれば、蓋開閉治具2をリフター3の昇降アーム31a,31aに装着する前に、連結手段51の角度を45度に変更しておいてもよい。
このようにして、蓋開閉治具2が昇降アーム31a,31aの適当な位置に配置されると、角度変更手段55の角度規制手段55c,55cでその連結手段51の回動を規制し、連結手段51の傾斜角度を固定する。また、装着手段56の固定手段56bでリフター3の昇降アーム31a,31aに蓋開閉治具2を固定する。具体的には、蓋開閉治具2は、装着部56a,56aが昇降アーム31a,31aの適当な位置に配置された状態で、装着手段56の挿通口56c,…に押付部材56d,…を締め付けて、昇降アーム31a,31aに押し付け、昇降アーム31a,31aを装着部56a,56aの内面と押付部材56d,…の先端部とで挟んで固定する。更には、リフター3の走行手段32のロック機構32cで車輪32aの回動を規制し、リフター3をその位置に固定する。
次に、移動手段54は、図10(a)に示すように、回動手段54bを回動して、連結手段51を結合部41に向けて前進させる。移動手段54は、連結手段51を、その先端に固定される連結部42の嵌め込み凹部42aに、結合部41の結合基部41bが嵌まり込むまで前進させる。その際、連結部42は、連結手段51と共に回動しながら前進するが、その嵌め込み凹部42aの内側を、結合部41が軸心回りを回動しつつ、軸心方向に移動することができる。
嵌め込み凹部42aが結合部41の結合基部41bに嵌まり込むまで連結手段51を前進させた後、結合部41は、連結部42の連通口42b,42b及び回り止め孔41cに連結部材42cを挿入して締付部材42dで締付け、連結部42と連結する。すなわち、マンホール蓋92は、連結手段51(支持手段5)に支持される。
その後、マンホール蓋92は、ボルト97,…を取り外して、マンホール91と縁切りされる。もちろん、マンホール蓋92は、連結手段51(支持手段5)によって支持されており、作業者が把持部95を把持して支える必要はない。
続けて、図10(b)に示すように、移動手段54の回動手段54bを操作して、連結手段51を後退させて、マンホール91からマンホール蓋92を取外す。このとき、マンホール蓋92は、マンホール91の中心線上を移動するため、凸状の蓋本体93がマンホール91の筒状の開口端部に干渉することなく、マンホール91からマンホール蓋92を離間させることができる。また、連結手段51は、右回転しながら連結手段51を後退させるが、連結手段51の先端に固定される結合部41は、マンホール蓋92の取付座94に対して締め付ける方向に回転(右回転)するため、連結部41の嵌合凸部41aが緩むことがない。なお、マンホール蓋92を他の場所に移動させるような場合は、リフター3のロック機構32cを解除して、走行手段32で移動させてもよい。
なお、マンホール蓋92を閉じる操作について、開く操作と逆の手順で行えばよいので、説明は省略する。
このように、マンホール蓋92が閉塞する開口の向きに連結手段51の長手方向の角度を設定し、連結手段51を長手方向に進退移動させることにより、連結手段51は、結合手段4をマンホール蓋92に離接させることができる。作業者は、マンホール蓋92を開放する際、支持手段5を適当な位置となるように昇降手段31を昇降させ、連結手段51の結合手段4をマンホール蓋92に向かって前進させ、結合手段4をマンホール蓋92に結合し、マンホール蓋92を開口に固定するボルトを取り外し、マンホール蓋92を結合させたまま連結手段51の結合手段4を後退させて開口からマンホール蓋92を離間する。また、マンホール蓋92を取り付ける場合は、取り外す場合と逆の手順で行えばよい。よって、どのような向きに設けられるマンホール蓋92であっても、この蓋開閉治具1は、開口の向きに合わせてマンホール蓋92を開閉することができる。
また、角度変更手段55は、マンホール蓋92が閉塞する開口の向きに合わせて、連結手段51の長手方向の角度を変更することができる。よって、どのような向きに設けられるマンホール蓋92であっても、この蓋開閉治具1は、開口の向きに合わせてマンホール蓋92を開閉することができる。
角度変更手段55は、マンホール蓋92が閉塞する開口の向きに合わせて、連結手段51の長手方向の角度を変更するとともに、その位置で回動規制することができる。よって、作業者が、マンホール蓋92に結合手段4を結合して開口からマンホール蓋92を取外す際に、マンホール蓋92の荷重が結合手段4を介して連結手段51にかかり、その荷重によって連結手段51の長手方向の角度が変わり、すなわち、連結手段51が下方に回動して、マンホール蓋92が落下することを防止できる。
また、第1の支持部材52で連結手段51を支持しつつ、移動手段54によりその一端に設けられる結合手段4を進退移動させ、第2の支持部材53で第1の支持部材52を支持しつつ、角度変更手段55により第1の支持部材52を回動軸回りに回動する。よって、連結手段51は、マンホール蓋92が閉塞する開口の向きに合わせて、角度変更手段55で第1の支持部材52の回動軸回りに回動させ、その長手方向の角度を設定するとともに、移動手段54で結合手段4を前進させ、マンホール蓋92に結合手段4を結合させ、そのまま、結合手段4を後退させることにより、マンホール蓋92を開口から取外す。すなわち、連結手段51は、角度の変更操作と、マンホール蓋92への進退移動操作とを、それぞれ別々に行うことができ、各操作を完結して行うことができる。
また、連結手段51は、送りネジ54aでマンホール蓋92に対して軸心方向に進退させることができ、連結手段51が軸回りに回動することにより、結合手段4に結合されるマンホール蓋92も回転可能な状態となるが、結合手段4が連結手段51に対して従動しない構造となっている。よって、連結手段51は、マンホール蓋92が開口に固定されている状態でマンホール蓋92を回転させて、開口にマンホール蓋92を固定するボルト97を折損するようなことを防止できる。また、マンホール蓋92が閉塞する開口の向きだけでなく、そのマンホール蓋92への取り付け構造(例えば、ネジ溝のピッチや口径など)に合わせて、結合手段4を取り替えることができる。
次に、本発明の第2実施形態に係る蓋開閉装置について、図11(斜視図)を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態に係る蓋開閉装置1と同じ構成については、同じ符号をふるとともに、その説明を省略する。具体的には、第2実施形態は、第1実施形態に係る蓋開閉装置1の角度変更手段55の異なる実施形態の例であるため、以下、この角度変更手段を中心に説明するものとする。
本実施形態に係る蓋開閉装置101は、第1実施形態と同様に、結合手段4及び支持手段105が設けられた蓋開閉治具102と、リフター3と、を備える。支持手段105は、第1実施形態に係る角度変更手段55に、連結手段51の角度を任意に選択可能な角度選択手段155d,155dを備えている。
角度選択手段155d,155dは、支持手段105の第1の支持部材52の第2の面52bに回動軸55a,55aの軸心方向と平行に突出する凸状の突起部155e,155e,…と、第2の支持部材53,53の第1の面53a,53aに軸支孔55b,…の中心線と平行に凹状の掛止部155f,…とを備える。
突起部155e,…は、少なくとも1箇所以上設けられ、第1の支持部材52の第2の面52bにそれぞれ設けられることが好ましいが、一方の面にのみ設けられていてもよい。掛止部155f,…は、突起部155e,…が設けられた第1の支持部材52の第2の面52bと対向する第2の支持部材53の第1の面53aに設けられる。
掛止部155f,…は、回動軸55aの中心から突起部155e,…の軸心が離間する距離と同じ距離を軸支孔55bの中心線から離間して複数配置される。掛止部155f,…は、軸支孔55bを中心に、所定角度、好ましくは、45度間隔に8個づつ設けられる。
このように構成することにより、角度変更手段155は、回動軸55aの角度を第2の支持部材53,53に設けられる複数の掛止部155f,…から一組の掛止部155f,155fを選択して、第1の支持部材52に設けられる突起部155e,155eを挿入することにより、連結手段51の角度を特定の角度に設定することができる。本実施形態に係る角度選択手段155dによれば、0度、45度、90度、135度、180度、225度、270度及び315度の8種類の角度に対応することができる。なお、角度変更手段155は、その掛止部155f,…の位置(ピッチ、数等)を変更することにより、選択可能な角度やその選択肢の数を変更することができる。
また、角度変更手段155は、回動軸55aの軸心回りの回動を回り止めする機能も兼ね備えており、すなわち、角度規制手段としても機能する。すなわち、本実施形態に係る角度選択手段155dは、回動軸55aの軸心回りの回動を回り止め可能であり、角度規制手段55cでは、主に、回動軸55aに対して第2の支持部材53の軸心方向の移動を規制する。
次に、本発明の第3実施形態に係る蓋開閉装置について、図12〜図16を参照しつつ説明する。なお、第1及び第2実施形態に係る蓋開閉装置1,101と同じ構成については、同じ符号をふるとともに、その説明を省略する。
本実施形態に係る蓋開閉装置201は、第1実施形態と同様に、結合手段204及び支持手段205が設けられた蓋開閉治具202と、リフター3と、を備える。
結合手段204は、図12(側面図)、図13(a)(正面図)及び図13(b)(断面図)に示すように、第1及び第2実施形態と同様に、結合部241と、連結部242と、を備える。
結合部241は、嵌合凸部41aと、該嵌合凸部41aを先端に有する角柱形状の結合基部241bと、該結合基部241bの軸心方向に対して直角に貫通する連結孔241cと、を備える。
連結部242は、結合部241の結合基部241bを嵌め込み可能な凹状の嵌め込み凹部242aと、結合部241の結合基部241bを軸心方向に抜け止めするために設けられた連通口242b,242bと、連結部材42cと、締付部材42dと、を備える。嵌め込み凹部242aは、結合部241の結合基部241bを軸心方向に挿入されて嵌め込まれる。連通口242b,242bは、嵌め込み凹部242aの筒心方向に対して直角に貫通する開口である。連通口242b,242bは、結合基部241bが嵌め込み凹部242aに嵌め込まれた状態で、結合部241の連結孔241cと連通可能な位置に設けられている。すなわち、連通口242b,242bは、嵌め込み凹部242aに嵌め込まれた結合基部241bを軸心方向に抜けるのを防止するために連結部材42cを挿通させるために設けられている。
支持手段205は、図12及び図14(断面図)に示すように、第1及び第2実施形態と同様に、連結手段251と、第1の支持部材252と、第2の支持部材253,253と、移動手段254と、角度変更手段255と、装着手段56,56と、を備える。
連結手段251は、軸心方向の一端部から他端部まで歯(ギア)を切ったラック254dである。
移動手段254は、図15(a)(図14の矢視A−Aの断面図),図15(b)(図14の矢視B−Bの断面図)及び図15(c)(図14の矢視C−Cの断面図)に示すように、連結手段251を軸心方向(長手方向)に移動可能なラック・アンド・ピニオン254aと、該ラック・アンド・ピニオン254aを駆動可能な駆動手段254bと、ラック・アンド・ピニオン254aの駆動を制限する駆動制限手段254cと、を備える。
ラック・アンド・ピニオン254aは、連結手段251のラック254dと、該ラック254dと噛み合うようにラック254dに対向して配置されるピニオン254eと、ピニオン254eとで挟んでラック254dが軸心方向に移動するのを案内する案内部材254fと、ラック254dがピニオン254eから脱落するのを防止するために連結手段251の軸心方向の他端に設けられる脱落防止手段254gと、を備える。すなわち、ラック・アンド・ピニオン254aは、ラック254dをピニオン254eに噛み合わせることにより、ピニオン254eの回転運動を連結手段251の軸心方向への直線運動に変換する。
駆動手段254bは、ピニオン254eの回動軸254hに直結されて、当該回動軸254hを回動するハンドルである。
駆動制限手段254cは、ピニオン254eの回動軸254hに直結されたラチェット歯車254kと、該ラチェット歯車254kの歯に噛み合い可能に配置されたラチェットツメ254mと、該ラチェットツメ254mの支持軸254nと直結されてそのラチェットツメ254mの姿勢を切換可能な切換手段254pと、を備える。
ラチェット歯車254kとラチェットツメ254mは、ラチェットを構成し、ピニオン254eの回動軸254hの回動を規制する。すなわち、ラチェット歯車254kは、ラチェットツメ254mを噛み合わせることにより、ラック254dが連結手段251を軸心方向に前進させるピニオン254eの回動を許容し、ラック254dが連結手段251を軸心方向に後退させるピニオン254eの回動を規制する。
切換手段254pは、そのラチェットツメ254mの姿勢を変更することにより、ラチェット歯車254kに噛み合っているラチェットツメ254mを引き離すことができ、ピニオン254eを回動自在にする。よって、切換手段254pは、ラチェットツメ254mがラチェット歯車254kに噛み合う姿勢に切り換えることにより、駆動手段254bは、連結手段251の軸心方向に前進させる(繰り出す)操作を可能とする一方、後退させる(繰り戻す)操作は不能となる。また、切換手段254pは、ラチェットツメ254mがラチェット歯車254kから引き離される姿勢に切り換えることにより、駆動手段254bは、連結手段251の軸心方向に前進及び後退の何れも可能となる。
角度変更手段255は、図15及び図16(断面図)に示すように、第1の支持部材252を第2の支持部材253,253に支持する支持軸255a,255aと、第1の支持部材252の第2の面252b,252bを貫通して形成される第1の軸支孔255b,…と、第2の支持部材253,253の第1の面253a,253aから第2の面253b,253bまで貫通して形成される第2の軸支孔255c,…と、該軸支孔255b,…,255c,…に対する支持軸255a,255aの回動を規制する角度規制手段55c,55cと、を備える。
支持軸255a,255aは、少なくとも2本のボルトを備える。各支持軸255a,255aは、一方の第2の支持部材253の第2の面253b側の第2の軸支孔255cから第1の面253aの第2の軸支孔255c、第1の支持部材252の第2の面252bの第1の軸支孔255b,255b、他方の第2の支持部材253の第1の面253a側の第2の軸支孔255c、そして、第2の面253b側の第2の軸支孔255cまで挿通可能な長さを有するボルトである。各支持軸255a,255aは、一方の第2の支持部材253に設けられる第2の軸支孔255c,255cから挿入され、他方の第2の支持部材253に設けられる第2の軸支孔255c,255cから突出する範囲に少なくとも雄ネジを有する。
第1の軸支孔255b,…及び第2の軸支孔255c,…は、支持軸255a,255aを挿通可能な径を有する孔である。第1の軸支孔255b,…及び第2の軸支孔255c,…は、挿入される支持軸255a,255aを軸支する。
第1の軸支孔255b,…は、第1の支持部材252の第2の面252b,252bに、当該第2の面252b,252bに対して直交方向に互いに平行に貫通する支持軸255a,255aの離間距離を直径とし、その中間位置を中心とする円周上に配置される複数の孔である。本実施形態の第1の軸支孔255b,…は、45度間隔に配置され、中心を通る線で線対称となるように配置される。
第2の軸支孔255c,…は、第2の支持部材253の第1の面253a,253a及び第2の面253b,253bに、当該第1の面253a,253a及び第2の面253b,253bに対して直交方向に互いに平行に貫通する支持軸255a,255aの離間距離を離して、平行に配置される。
なお、第1の軸支孔255b,…は、複数ある第1の軸支孔255b,…から支持軸255a,255aを挿入する第1の軸支孔255b,255bを選択することにより、連結手段251の角度を選択することができる角度選択手段として機能する。
このように構成することにより、角度変更手段255は、第2の軸支孔255c,…に支持軸255a,255aを挿入するとともに、連結手段251の軸心方向の延長線上に結合部241の結合基部241bの筒心中心が略一致する角度となる第1の軸支孔255b,255bの組み合わせを選択して支持軸255a,255aを挿入する。よって、角度変更手段255は、連結手段251の角度を選択可能に変更することができる。
移動手段254は、昇降アーム31a,31aのそれぞれに、装着手段56の装着部56aを装着した際に、連結手段251又は該連結手段251の一端に固定される連結部242がマンホール蓋92の取付座94に結合された結合部241と干渉しない範囲まで駆動手段254bを操作して後退させる(背面側に移動させる)。
蓋開閉治具202は、昇降アーム31a,31aのそれぞれに、装着手段56の装着部56aを装着した後、切換手段254pをラチェットツメ254mがラチェット歯車254kに噛み合う姿勢に切り換え、駆動手段254bを駆動して、連結手段251を軸心方向に前進させる(繰り出す)ことができる。
また、マンホール蓋92の取付座94に結合部241を結合し、マンホール91を固定するボルト97を取外すことにより、マンホール蓋92の荷重が当該結合部241を介して連結手段251にかかる場合であっても、切換手段254pによって、ラチェットツメ254mがラチェット歯車254kに噛み合う姿勢に切り換えられており、連結手段251が後退する方向に力が加わることによりピニオン254eが回動して連結手段251を後退させることがない。
その一方で、蓋開閉治具202は、切換手段254pをラチェットツメ254mがラチェット歯車254kから引き離される姿勢に切り換え、駆動手段254bを駆動して、連結手段251を軸心方向に後退させる(繰り戻す)ことができる。なお、切換手段254pがこの姿勢のときは、駆動手段254bは、連結手段251を軸心方向に前進及び後退の何れの操作も可能である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
上記実施形態に係る蓋開閉装置1,101,201は、フランシス水車やプロペラ水車などのケーシング9の内部を点検するために開閉可能に設けられたマンホール91に適用する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、蓋開閉装置は、燃焼ボイラのボイラ容器に設けられるマンホールや、給排気設備の大口径のダクトに設けられるマンホール、煙道に設けられて内部を清掃するための清掃孔などを閉塞する(マンホール)蓋に適用することができる。
上記実施形態に係る蓋開閉装置1,101,201は、マンホール91及びマンホール蓋92が水平な床面に対して約45度傾斜して設けられる例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明に係る蓋開閉装置は、下方向や側(横)方向、上方向その他様々な角度に開口が向いた蓋に適用することができる。このような蓋は、上方に開口が開いていないため、チェーンブロック等による吊り上げには不向きであるが、本発明に係る蓋開閉装置であれば適用することができる。
上記第1及び第2実施形態に係る蓋開閉治具1,101は、移動手段54が雄ネジ部54cと雌ネジ部54dとで構成される送りネジ54aで回動手段(ハンドル)54bの回転運動を連結手段51の軸心方向の直線運動に変換して移動させる例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、移動手段54は、雌ネジ部54dがチェンジナットやボールネジであってもよいし、ウォーム歯車(ウォーム及びウォームホイール)であってもよく、回動手段の回転運動を連結手段の軸心方向の直線運動に変換し、回転トルクを下げたり、連結手段の送り速度を高速にするようにしてもよい。
上記実施形態に係る蓋開閉装置1,101,201は、リフター3に蓋開閉治具2,102,202を装着して開閉操作する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明に係る蓋開閉装置は、蓋開閉治具にリフターの昇降手段及び走行手段を一体に備えたものであってもよい。また、蓋開閉装置は、このリフター3の換わりにフォークリフトを用いてもよい。このフォークリフトを用いた蓋開閉装置は、重量の重いものや大型のマンホールを開閉するのに適している。なお、この際、本発明に係る蓋開閉治具は、フォークリフトのツメ(フォーク)に装着されて使用される。また、蓋開閉装置で用いられるリフターは、手動で操作させるものに限定されず、電動で操作されるものであってもよい。
上記実施形態に係る蓋開閉装置1,101,201は、回動手段54b及び駆動手段254bがハンドルである例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、回動手段及び駆動手段は、電動モータ等で送りネジやピニオンを回動させてもよい。