JP2012226837A - 電極用ペースト組成物、太陽電池素子及び太陽電池 - Google Patents

電極用ペースト組成物、太陽電池素子及び太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】焼成時における銅の酸化が抑制され、抵抗率の低い電極を形成でき、さらに銅とシリコン基板との反応物相の形成が抑制され良好なオーミックコンタクトを有する銅含有電極を形成できる電極用ペースト組成物、並びに、該電極用ペースト組成物を用いて形成された電極を有する太陽電池素子及び太陽電池を提供する。
【解決手段】電極用ペースト組成物を、リン含有銅合金粒子と、錫含有粒子と、示差熱分析による軟化点が650℃以下のガラス粒子と、溶剤と、樹脂とを含んで構成する。また、該電極用ペースト組成物を用いて形成された電極を有する太陽電池素子及び太陽電池である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電極用ペースト組成物、太陽電池素子及び太陽電池に関する。
一般にシリコン系太陽電池の受光面及び裏面には電極が形成されている。光の入射により太陽電池内で変換された電気エネルギーを効率よく外部に取出すためには、前記電極の体積抵抗率が充分に低いことと、Si基板と良好なオーミックコンタクトを形成することが必要である。特に受光面の電極は、太陽光の入射量損失を最低限に抑えるために、配線幅を小さく、また電極のアスペクト比を高くする傾向にある。
太陽電池の受光面に用いられる電極は、通常以下のようにして形成される。すなわち、p型シリコン基板の受光面側にテクスチャ(凹凸)形成を施し、次いでリン等を高温で熱的に拡散させることにより形成されたn型シリコン層上に、導電性組成物をスクリーン印刷等により塗布し、これを大気中800〜900℃で焼成することで受光面電極が形成される。この受光面電極を形成する導電性組成物には、導電性金属粉末、ガラス粒子及び種々の添加剤等が含まれる。
前記導電性金属粉末としては、銀粉末が一般的に用いられている。これは、銀粒子の体積抵抗率が1.6×10−6Ω・cmと低いことと、上記焼成条件において銀粒子が自己還元して焼結すること、シリコン基板と良好なオーミックコンタクトを形成できること、また、銀粒子からなる電極に対する半田材料の濡れ性が優れ、太陽電池素子をガラス基板などで封止する、所謂モジュール化において、太陽電池素子間を電気的に接続するタブ線を好適に接着することができることが理由として挙げられる。
上記に示すように、銀粒子を含む導電性組成物は、太陽電池の電極として優れた特性を発現する。一方で銀が貴金属で地金自体が高価であるため、また資源の問題からも、銀含有導電性組成物に代わるペースト材料の提案が望まれている。銀に代わる有望な材料としては、半導体配線材料に適用されている銅が挙げられる。銅は資源的にも豊富で、地金コストも銀の約100分の1と安価である。しかしながら、銅は大気中200℃以上の高温で容易に酸化される材料であり、上記工程で電極を形成することは困難である。
銅が有する上記課題を解決するために、銅に種々の手法を用いて耐酸化性を付与し、高温焼成でも酸化されない銅粒子が報告されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
特開2005−314755号公報 特開2004−217952号公報
しかしながら、上記銅粒子でも、耐酸化性を有するのは高々300℃までで、800〜900℃の高温ではほとんど酸化されてしまうため、太陽電池用電極として実用に至っていない。さらに耐酸化性を付与するために適用した添加剤等が焼成中の銅粒子の焼結を阻害し、結果として銀のような低抵抗の電極が得られないという課題がある。
また銅の酸化を抑える別の手法として、導電性金属粉末に銅を用いた導電性組成物を、窒素等の雰囲気下で焼成するという特殊な工程が挙げられる。
しかしながら、上記手法を用いる場合、銅粒子の酸化を完全に抑えるためには上記雰囲気ガスで完全密封した環境が必要となり、工程コストの面で太陽電池セルの量産には不向きである。
銅を太陽電池電極に適用するためのもう一つの課題として、シリコン基板とのオーミックコンタクト性が挙げられる。すなわち、銅からなる電極を高温焼成中に酸化させずに形成できたとしても、銅がシリコン基板と直に接触することで、銅とシリコンの相互拡散が生じ、電極とシリコン基板の界面に銅とシリコンからなる反応物相(CuSi)が形成されることがある。
このCuSiの形成はシリコン基板の界面から数μmにまで及ぶことがあり、Si基板側に亀裂を生じる場合がある。またシリコン基板上に予め形成されたn型シリコン層を貫通し、太陽電池が持つ半導体性能(pn接合特性)を劣化させる場合がある。また形成したCuSiが銅からなる電極を持ち上げるなどして、シリコン基板との密着性を阻害し、電極の機械的強度低下をもたらす恐れがある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、焼成時における銅の酸化が抑制されることにより抵抗率の低い電極が形成可能な、さらに銅とシリコン基板との反応物相の形成が抑制されることにより良好なオーミックコンタクトを有する銅含有電極が形成可能な電極用ペースト組成物、並びに、該電極用ペースト組成物を用いて形成された電極を有する太陽電池素子及び太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意研究した結果、本発明を完成した。すなわち本発明は以下の通りである。
本発明の第一の態様は、リン含有銅合金粒子と、錫含有粒子と、示差熱分析による軟化点が650℃以下のガラス粒子と、溶剤と、樹脂と、を含む電極用ペースト組成物である。
前記電極用ペースト組成物は、前記リン含有銅合金粒子中のリン含有率が6質量%以上8質量%以下であることが好ましい。
また前記錫含有粒子は、錫粒子及び錫含有率が1質量%以上である錫合金粒子から選ばれる少なくとも1種類であることが好ましい。
前記電極用ペースト組成物は、前記リン含有銅合金粒子及び前記錫含有粒子の総含有率を100質量%としたときの前記錫含有粒子の含有率が、5質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
前記電極用ペースト組成物は、銀粒子を更に含むことが好ましく、前記リン含有銅合金粒子、前記錫含有粒子及び銀粒子の総含有率を100質量%としたときの前記銀粒子の含有率が0.1質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
前記電極用ペースト組成物は、前記リン含有銅合金粒子、前記錫含有粒子及び前記銀粒子の総含有率が70質量%以上94質量%以下であって、前記ガラス粒子の含有率が0.1質量%以上10質量%以下であって、前記溶剤及び前記樹脂の総含有率が3質量%以上29.9質量%以下であることが好ましい。
本発明の第二の態様は、シリコン基板上に付与された前記電極用ペースト組成物を焼成して、前記シリコン基板上に形成された電極を有する太陽電池素子である。
前記電極は、Cu−Sn合金相及びSn−P−Oガラス相を含むことが好ましく、前記Sn−P−Oガラス相は、前記Cu−Sn合金相とシリコン基板との間に配置されていることがより好ましい。
本発明の第三の態様は、前記太陽電池素子と、前記太陽電池素子の電極上に配置されたタブ線とを有する太陽電池である。
本発明によれば、焼成時における銅の酸化が抑制されることにより抵抗率の低い電極が形成可能な、さらに銅とシリコン基板との反応物相の形成が抑制されることにより良好なオーミックコンタクトを有する銅含有電極が形成可能な電極用ペースト組成物、並びに、該電極用ペースト組成物を用いて形成された電極を有する太陽電池素子及び太陽電池を提供することができる。
本発明にかかるシリコン系太陽電池素子の一例を示す概略断面図である。 本発明にかかるシリコン系太陽電池素子の受光面の一例を示す概略平面図である。 本発明にかかるシリコン系太陽電池素子の裏面の一例を示す概略平面図である。 本発明にかかるバックコンタクト型太陽電池素子の裏面側電極構造の一例を示す概略平面図である。 本発明にかかるバックコンタクト型太陽電池素子のAA断面構成の一例を示す概略斜視図である。 本発明にかかるバックコンタクト型太陽電池素子のAA断面構成の一例を示す概略斜視図である。 本発明にかかるバックコンタクト型太陽電池素子のAA断面構成の一例を示す概略斜視図である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
さらに本明細書において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<電極用ペースト組成物>
本発明の電極用ペースト組成物は、リン含有銅合金粒子の少なくとも1種と、錫含有粒子の少なくとも1種と、示差熱分析による軟化点が650℃以下のガラス粒子の少なくとも1種と、溶剤の少なくとも1種と、樹脂の少なくとも1種とを含む。かかる構成であることにより、大気中焼成時における銅の酸化が抑制され、抵抗率の低い電極を形成できる。さらに銅とシリコン基板との反応物相の形成が抑制され、形成される電極とシリコン基板とが良好なオーミックコンタクトを形成できる。
(リン含有銅合金粒子)
電極ペースト組成物は、リン含有銅合金粒子の少なくとも1種を含む。リン含有銅合金としては、リン銅ろう(リン濃度:通常7質量%程度以下)と呼ばれるろう付け材料が知られている。リン銅ろうは、銅と銅との接合剤としても用いられるものである。本発明の電極用ペースト組成物においてリン含有銅合金粒子を用いることで、リンの銅酸化物に対する還元性を利用し、耐酸化性に優れ、体積抵抗率の低い電極を形成することができる。さらに電極の低温焼成が可能となり、プロセスコストを削減できるという効果を得ることができる。
本発明におけるリン含有銅合金に含まれるリン含有率としては、耐酸化性と低抵抗率の観点から、リン含有率が6質量%以上8質量%以下であることが好ましく、6.3質量%以上7.8質量%以下であることがより好ましく、6.5質量%以上7.5質量%以下であることがより好ましい。リン含有銅合金に含まれるリン含有率が8質量%以下であることで、より低い抵抗率を達成可能であり、また、リン含有銅合金粒子の生産性に優れる。また6質量%以上であることで、より優れた耐酸化性を達成できる。
前記リン含有銅合金粒子は、銅とリンを含む合金であるが、他の原子をさらに含んでいてもよい。他の原子としては、例えば、Ag、Mn、Sb、Si、K、Na、Li、Ba、Sr、Ca、Mg、Be、Zn、Pb、Cd、Tl、V、Sn、Al、Zr、W、Mo、Ti、Co、Ni、及びAu等を挙げることができる。
また前記リン含有銅合金粒子に含まれる他の原子の含有率は、例えば、前記リン含有銅合金粒子中に3質量%以下とすることができ、耐酸化性と低抵抗率の観点から、1質量%以下であることが好ましい。
また本発明において、前記リン含有銅合金粒子は、1種単独でも又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記リン含有銅合金粒子の粒子径としては特に制限はないが、積算した重量が50%の場合における粒子径(以下、「D50%」と略記することがある)として、0.4μm〜10μmであることが好ましく、1μm〜7μmであることがより好ましい。0.4μm以上とすることで耐酸化性がより効果的に向上する。また10μm以下であることで電極中におけるリン含有銅合金粒子同士、または後述する錫含有粒子との接触面積が大きくなり、抵抗率がより効果的に低下する。尚、リン含有銅合金粒子の粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装社製、MT3300型)によって測定される。
前記リン含有銅合金粒子の形状としては特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、及び鱗片状等のいずれであってもよく、耐酸化性と低抵抗率の観点から、略球状、扁平状、または板状であることが好ましい。
電極用ペースト組成物におけるリン含有銅合金粒子の含有率は特に制限されない。低抵抗率の観点から、電極用ペースト組成物中に20質量%以上85質量%以下であることが好ましく、25質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上75質量%以下であることがさらに好ましい。
リン含有銅合金は、通常用いられる方法で製造することができる。また、リン含有銅合金粒子は、所望のリン含有率となるように調製したリン含有銅合金を用いて、金属粉末を調製する通常の方法を用いて調製することができ、例えば、水アトマイズ法を用いて定法により製造することができる。尚、水アトマイズ法の詳細については金属便覧(丸善(株)出版事業部)等の記載を参照することができる。
具体的には、リン含有銅合金を溶解し、これをノズル噴霧によって粉末化した後、得られた粉末を乾燥、分級することで、所望のリン含有銅合金粒子を製造することができる。また、分級条件を適宜選択することで所望の粒子径を有するリン含有銅合金粒子を製造することができる
(錫含有粒子)
本発明の電極用ペースト組成物は、錫含有粒子の少なくとも1種を含む。リン含有銅合金粒子に加えて、錫含有粒子を含むことにより、後述する焼成工程において、抵抗率の低い電極を形成できる。
これは例えば以下のように考えることができる。リン含有銅合金粒子と錫含有粒子とが、焼成工程で互いに反応して、Cu−Sn合金相とSn−P−Oガラス相からなる電極を形成する。ここで前記Cu−Sn合金相は、電極内で緻密なバルク体を形成し、これが導電層として機能することで抵抗率の低い電極を形成できると考えられる。尚、ここでいう緻密なバルク体とは、塊状のCu−Sn合金相が互いに密に接触し、三次元的に連続な構造を形成していることを意味する。
また本発明の電極用ペースト組成物を用いてシリコンを含む基板(以下、単に「シリコン基板」ともいう)上に電極を形成する場合、シリコン基板に対する密着性が高い電極を形成することができ、さらに電極とシリコン基板との良好なオーミックコンタクトを達成することができる。
これは例えば以下のように考えることができる。リン含有銅合金粒子と錫含有粒子とが、焼成工程で互いに反応して、Cu−Sn合金相とSn−P−Oガラス相からなる電極を形成する。上記Cu−Sn合金相が緻密なバルク体であるために、このSn−P−Oガラス相は、Cu−Sn合金相とシリコン基板との間に形成される。これによりCu−Sn合金相のシリコン基板に対する密着性が向上すると考えることができる。またSn−P−Oガラス相が、銅とシリコンとの相互拡散を防止するためのバリア層として機能することで、焼成して形成される電極とシリコン基板との良好なオーミックコンタクトが達成できると考えることができる。すなわち銅を含む電極とシリコンを直に接触して加熱したときに形成される反応相(CuSi)の形成を抑制し、半導体性能(例えば、pn接合特性)を劣化することなくシリコン基板との密着性を保ちながら、良好なオーミックコンタクトを発現することができると考えられる。
このような効果は、シリコンを含む基板上に本発明の電極用ペースト組成物を用いて電極を形成する場合であれば、一般的に発現するものであり、シリコンを含む基板の種類は特に制限されるものではない。シリコンを含む基板としては、例えば太陽電池形成用のシリコン基板、太陽電池以外の半導体デバイスの製造に用いるシリコン基板等を挙げることができる。
すなわち本発明においては、電極用ペースト組成物中にリン含有銅合金粒子と錫含有粒子を組み合わせることで、まずリン含有銅合金粒子中のリン原子の銅酸化物に対する還元性を利用し、耐酸化性に優れ、体積抵抗率の低い電極が形成される。次いでリン含有銅合金粒子と錫含有粒子との反応により、体積抵抗率を低く保ったままCu−Sn合金相からなる導電層とSn−P−Oガラス相とが形成される。そして例えば、Sn−P−Oガラス相が銅とシリコンの相互拡散を防止するためのバリア層として機能することで電極とシリコン基板との間に反応物相が形成されることを抑制し、銅電極との良好なオーミックコンタクトが形成されるという2つの特徴的な機構を、焼成工程で同時に実現できると考えることができる。
前記錫含有粒子としては、錫を含む粒子であれば特に制限はない。中でも、錫粒子及び錫合金粒子から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、錫粒子及び錫含有率が1質量%以上である錫合金粒子から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
錫粒子における錫の純度は特に制限されない。例えば錫粒子の純度は、95質量%以上とすることができ、97質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることが好ましい。
また錫合金粒子は、錫を含む合金粒子であれば合金の種類は特に制限されない。中でも、錫合金粒子の融点、及びリン含有銅合金粒子との反応性の観点から、錫の含有率が1質量%以上である錫合金粒子であることが好ましく、錫の含有率が3質量%以上である錫合金粒子であることがより好ましく、錫の含有率が5質量%以上である錫合金粒子であることがさらに好ましく、錫の含有率が10質量%以上である錫合金粒子であることが特に好ましい。
錫合金粒子としては、例えば、Sn−Ag系合金、Sn−Cu系合金、Sn−Ag−Cu系合金、Sn−Ag−Sb系合金、Sn−Ag−Sb−Zn系合金、Sn−Ag−Cu−Zn系合金、Sn−Ag−Cu−Sb系合金、Sn−Ag−Bi系合金、Sn−Bi系合金、Sn−Ag−Cu−Bi系合金、Sn−Ag−In−Bi系合金、Sn−Sb系合金、Sn−Bi−Cu系合金、Sn−Bi−Cu−Zn系合金、Sn−Bi−Zn系合金、Sn−Bi−Sb−Zn系合金、Sn−Zn系合金、Sn−In系合金、Sn−Zn−In系合金、Sn−Pb系合金等が挙げられる。
前記錫合金粒子のうち、特に、Sn−3.5Ag、Sn−0.7Cu、Sn−3.2Ag−0.5Cu、Sn−4Ag−0.5Cu、Sn−2.5Ag−0.8Cu−0.5Sb、Sn−2Ag−7.5Bi、Sn−3Ag−5Bi、Sn−58Bi、Sn−3.5Ag−3In−0.5Bi、Sn−3Bi−8Zn、Sn−9Zn、Sn−52In、Sn−40Pb等の錫合金粒子は、Snのもつ融点(232℃)と同じ、もしくはより低い融点をもつ。そのため、これら錫合金粒子は焼成の初期段階で溶融することで、リン含有銅合金粒子の表面を覆い、リン含有銅合金粒子と均一に反応することができるという点で、好適に用いることができる。尚、錫合金粒子における表記は、例えばSn−AX−BY−CZの場合は、錫合金粒子の中に、元素XがA質量%、元素YがB質量%、元素ZがC質量%含まれていることを示す。
本発明において、これらの錫含有粒子は1種単独で使用してもよく、又2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
前記錫含有粒子は、不可避的に混入する他の原子をさらに含んでいてもよい。不可避的に混入する他の原子としては、例えば、Ag、Mn、Sb、Si、K、Na、Li、Ba、Sr、Ca、Mg、Be、Zn、Pb、Cd、Tl、V、Al、Zr、W、Mo、Ti、Co、Ni、及びAu等を挙げることができる。
また前記錫含有粒子に含まれる他の原子の含有率は、例えば前記錫含有粒子中に3質量%以下とすることができ、融点及びリン含有銅合金粒子との反応性の観点から、1質量%以下であることが好ましい。
前記錫含有粒子の粒子径としては特に制限はないが、積算した重量が50%の場合における粒子径(以下、「D50%」と略記することがある)として、0.5μm〜20μmであることが好ましく、1μm〜15μmであることがより好ましく、5μm〜15μmであることがさらに好ましい。0.5μm以上とすることで錫含有粒子自身の耐酸化性が向上する。また20μm以下であることで電極中におけるリン含有銅合金粒子との接触面積が大きくなり、リン含有銅合金粒子との反応が効果的に進む。
前記錫含有粒子の形状としては特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、及び鱗片状等のいずれであってもよく、耐酸化性と低抵抗率の観点から、略球状、扁平状、または板状であることが好ましい。
また本発明の電極用ペースト組成物における錫含有粒子の含有率は特に制限されない。中でも、前記リン含有銅合金粒子と前記錫含有粒子及びの総含有率を100質量%としたときの錫含有粒子の含有率が、5質量%以上70質量%以下であることが好ましく、7質量%以上65質量%以下であることがより好ましく、9質量%以上60質量%以下であることがさらに好ましい。
錫含有粒子の含有率を5質量%以上とすることで、リン含有銅合金粒子との反応をより均一に生じさせることができる。また錫含有粒子を70質量%以下とすることで、充分な体積のCu−Sn合金相を形成することができ、電極の体積抵抗率がより低下する。
(ガラス粒子)
本発明の電極用ペースト組成物は、示差熱分析による軟化点が650℃以下のガラス粒子の少なくとも1種を含む。電極用ペースト組成物がガラス粒子を含むことにより、焼成時に電極部と基板との密着性が向上する。また。特に太陽電池受光面側の電極形成において、焼成時にいわゆるファイアースルーによって反射防止膜である窒化ケイ素膜が取り除かれ、電極とシリコン基板とのオーミックコンタクトが形成される。
特に、本発明におけるガラス粒子は、ガラス軟化点が650℃以下であり、630℃以下であることが好ましく、580℃以下であることがより好ましい。ガラス粒子のガラス軟化点を650℃以下とすることで、基板との密着性と電極の低抵抗率化の点で優れる。これは以下のように考えることができる。
本発明の電極用ペースト組成物を焼成することで太陽電池電極を形成する。ガラス軟化点を650℃以下と低くすることで前記焼成を低い温度で行うことができる。これにより、銅を含む粒子を用いて電極を形成する場合であっても、銅の酸化を抑えることができ、結果として、電極の低低効率化が図られる。特に本発明は、銅を含む粒子として耐酸化性に優れるリン含有合金粒子を用いており、またリンの添加により融点が低下して低温焼成が可能となっているため、ガラス粒子の選択による更なる焼成温度の低下は、銅の酸化を防ぐ観点からより効果的である。更に加えて、本発明の電極ペースト組成物は錫合金粒子を含むため融点が低下しており、ガラス粒子の選択による焼成温度の低下は、銅の酸化防止の観点から一段と有効である。
また、ガラス軟化点が650℃以下の場合には、金属粒子が焼結時に十分結合(ネッキング)し、緻密な構造となって、基板との密着性が高まる。
前記ガラス軟化点は、熱機械分析装置(TMA)を用いて通常の方法によって測定される。
また、前記ガラス粒子の結晶化開始温度は、650℃を超えることが好ましい。前記結晶化開始温度は、示差熱−熱重量分析装置(TG−DTA)を用いて通常の方法によって測定される。
本発明の電極用ペースト組成物を太陽電池受光面側の電極の形成に用いる場合は、前記ガラス粒子は、電極形成温度で軟化・溶融し、接触した反射防止膜である窒化ケイ素膜を酸化し、酸化された二酸化ケイ素を取り込んでいわゆるファイアースルーし、電極とシリコン基板とのオーミックコンタクトが形成される。
一般に電極用ペースト組成物に含まれるガラス粒子は、二酸化ケイ素を効率よく取り込み可能であることから鉛を含むガラスから構成される。このような鉛を含むガラスとしては、例えば、特許第03050064号公報等に記載のものを挙げることができ、本発明においてもこれらを好適に使用することができる。
また本発明においては、環境に対する影響を考慮すると、鉛を実質的に含まない鉛フリーガラスを用いることが好ましい。鉛フリーガラスとしては、例えば、特開2006−313744号公報の段落番号0024〜0025に記載の鉛フリーガラスや、特開2009−188281号公報等に記載の鉛フリーガラスを挙げることができ、これらの鉛フリーガラスから適宜選択して本発明に適用することもまた好ましい。
また、本発明の電極用ペースト組成物を太陽電池受光面側の電極以外、例えば裏面取出し電極、バックコンタクト型太陽電池セルにおけるスルーホール電極及び裏面電極として用いる場合には、ガラス軟化点が650℃以下であって、結晶化開始温度が650℃を超えるガラスを含むガラス粒子であれば、上記鉛のようなファイアースルーに必要な成分を含むことなく用いることができる。
本発明の電極用ペースト組成物に用いられるガラス粒子を構成するガラス成分としては、二酸化ケイ素(SiO)、酸化リン(P)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ホウ素(B)、酸化バナジウム(V)、酸化カリウム(KO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化リチウム(LiO)、酸化バリウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉛(PbO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化スズ(SnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化タングステン(WO)、酸化モリブデン(MoO)、酸化ランタン(La)、酸化ニオブ(Nb)、酸化タンタル(Ta)、酸化イットリウム(Y)、酸化チタン(TiO)、酸化ゲルマニウム(GeO)、酸化テルル(TeO)、酸化ルテチウム(Lu)、酸化アンチモン(Sb)、酸化銅(CuO)、酸化鉄(FeO)、酸化銀(AgO)及び酸化マンガン(MnO)が挙げられる。
上記ガラス成分を適宜組み合わせ、また成分比を調整することで、ガラス軟化点を調整することができる。
ガラス軟化点を効果的に低下させる観点からは、上記ガラス成分の中でも、SiO、P、Al、B、V、Bi、ZnO、及びPbOから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
具体的には、酸化リン(P)に加えて酸化バナジウム(V)を更に含むガラス粒子(P−V系ガラス粒子)が挙げられる。酸化バナジウム(V)を更に含むことでガラスの軟化点が低下する。
特に、上記ガラス成分の中でも、SiO、PbO、B、Bi及びAlを含むものがより好ましい。このようなガラス粒子の場合には、軟化点が効果的に低下し、さらにリン含有銅合金粒子及び必要に応じて添加された銀粒子との濡れ性が向上するため,焼成過程での前記粒子間の焼結が進み,抵抗率の低い電極を形成することができる。
本発明におけるガラス粒子の粒子径としては特に制限はないが、積算した重量が50%である場合における粒子径(D50%)が、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、0.8μm以上8μm以下であることがより好ましい。0.5μm以上とすることで電極用ペースト組成物作製時の作業性が向上する。また10μm以下であることで、電極用ペースト組成物中に均一に分散し、焼成工程で効率よくファイアースルーを生じることができ、さらにシリコン基板との密着性も向上する。
粒子径(D50%)は、レーザー回折・散乱法を用いて測定され、重量累積粒度分布曲線を小粒径側から描いた場合に、重量累積が50%となる粒子径に対応する。レーザー回折法を用いた粒度分布測定は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、島津製作所製SALD−2100、日機装株式会社のマイクロトラックシリーズMT3300)を用いて行なうことができる。
また前記ガラス粒子の形状としては特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、及び鱗片状等のいずれであってもよいが、耐酸化性と低抵抗率の観点から、略球状、扁平状、または板状であることが好ましい。
前記ガラス粒子の含有率としては電極用ペースト組成物の全質量中に0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.5質量%〜8質量%であることがより好ましく、1質量%〜7質量%であることがさらに好ましい。
かかる範囲の含有率でガラス粒子を含むことで、より効果的に耐酸化性、電極の低抵抗率化、及び低接触抵抗化が達成され、また前記リン含有銅合金粒子と前記錫含有粒子との反応を促進させることができる。
(溶剤及び樹脂)
本発明の電極用ペースト組成物は、溶剤の少なくとも1種と樹脂の少なくとも1種とを含む。これにより本発明の電極用ペースト組成物の液物性(例えば、粘度、表面張力等)を、シリコン基板等に付与する際の付与方法に応じて必要とされる液物性に調整することができる。
前記溶剤としては特に制限はない。例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素系溶剤;ジクロロエチレン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼンなどの塩素化炭化水素系溶剤;テトラヒドロフラン、フラン、テトラヒドロピラン、ピラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、トリオキサンなどの環状エーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系化合物;2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノプロピオレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリエチル−1,3−ペンタンジオールモノアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどの多価アルコールのエステル系溶剤;ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなとの多価アルコールのエーテル系溶剤;α−テルピネン、α−テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン、ターピネオール、カルボン、オシメン、フェランドレンなどのテルペン系溶剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
本発明における前記溶剤としては、電極用ペースト組成物をシリコン基板に形成する際の塗布性、印刷性の観点から、多価アルコールのエステル系溶剤、テルペン系溶剤、及び多価アルコールのエーテル系溶剤から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、多価アルコールのエステル系溶剤及びテルペン系溶剤から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
また本発明において前記溶剤は1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また前記樹脂としては焼成によって熱分解されうる樹脂であれば、当該技術分野において通常用いられる樹脂を特に制限なく用いることができる。具体的には例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリビニルアルコール類;ポリビニルピロリドン類;アクリル樹脂;酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体;ポリビニルブチラール等のブチラール樹脂;フェノール変性アルキド樹脂、ひまし油脂肪酸変性アルキド樹脂のようなアルキド樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;ロジンエステル樹脂等を挙げることができる。
本発明における前記樹脂としては、焼成時における消失性の観点から、セルロース系樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また本発明において前記樹脂は1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また本発明における前記樹脂の重量平均分子量は特に制限されない。中でも重量平均分子量は5000以上500000以上が好ましく、10000以上300000以下であることがより好ましい。前記樹脂の重量平均分子量が5000以上であると、電極用ペースト組成物の粘度が増加することを抑制できる。これは例えばリン含有銅合金粒子及び錫含有粒子に吸着させたときの立体的な反発作用が不足し、粒子同士が凝集してしまうためと考えることができる。一方、樹脂の重量平均分子量が500000以下であると、樹脂同士が溶剤中で凝集することが抑制され、電極用ペースト組成物の粘度が増加することを抑制できる。
またこれに加え樹脂の重量平均分子量が500000以下であると、樹脂の燃焼温度が高くなることが抑制され、電極用ペースト組成物を焼成する際に樹脂が完全に燃焼されず異物として残存することが抑制され、電極をより低抵抗に構成することができる。
本発明の電極用ペースト組成物において、前記溶剤と前記樹脂の含有率は、所望の液物性と使用する溶剤及び樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、溶剤と樹脂の総含有率が、電極用ペースト組成物の全質量中に3質量%以上29.9質量%以下であることが好ましく、5質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、7質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。
溶剤と樹脂の総含有率が前記範囲内であることにより、電極用ペースト組成物をシリコン基板に付与する際の付与適性が良好になり、所望の幅及び高さを有する電極をより容易に形成することができる。
さらに本発明の電極用ペースト組成物においては、耐酸化性と電極の低抵抗率の観点から、リン含有銅合金粒子及び錫含有粒子の総含有率が70質量%以上94質量%以下であって、ガラス粒子の含有率が0.1質量%以上10質量%以下であって、溶剤及び樹脂の総含有率が3質量%以上29.9質量%以下であることが好ましく、リン含有銅合金粒子及び錫含有粒子の総含有率が74質量%以上88質量%以下であって、ガラス粒子の含有率が0.5質量%以上8質量%以下であって、溶剤及び樹脂の総含有率が7質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、リン含有銅合金粒子及び錫含有粒子の総含有率が74質量%以上88質量%以下であって、ガラス粒子の含有率が1質量%以上8質量%以下であって、溶剤及び樹脂の総含有率が7質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。
(銀粒子)
本発明の電極用ペースト組成物は、銀粒子を更に含むことが好ましい。銀粒子を含むことで耐酸化性がより向上し、電極としての抵抗率がより低下する。また、前記リン含有銅合金粒子と前記錫含有粒子との反応によって生成したSn−P−O系ガラス相の中にAg粒子が析出することで、電極層の中のCu−Sn合金相とシリコン基板間のオーミックコンタクト性がより向上する。さらに太陽電池モジュールとした場合のはんだ接続性が向上するという効果も得られる。
前記銀粒子を構成する銀は、不可避的に混入する他の原子を含んでいてもよい。不可避的に混入する他の原子としては、例えば、Sb、Si、K、Na、Li、Ba、Sr、Ca、Mg、Be、Zn、Pb、Cd、Tl、V、Sn、Al、Zr、W、Mo、Ti、Co、Ni、及びAu等を挙げることができる。
また前記銀粒子に含まれる他の原子の含有率は、例えば銀粒子中に3質量%以下とすることができ、融点及び電極の低抵抗率化の観点から、1質量%以下であることが好ましい。
本発明における銀粒子の粒子径としては特に制限はないが、積算した重量が50%である場合における粒子径(D50%)が、0.4μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることがより好ましい。0.4μm以上とすることでより効果的に耐酸化性が向上する。また10μm以下であることで電極中における銀粒子とリン含有銅合金粒子及び錫含有粒子との接触面積が大きくなり、抵抗率がより効果的に低下する。
前記銀粒子の形状としては特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、及び鱗片状等のいずれであってもよく、耐酸化性と低抵抗率の観点から、略球状、扁平状、または板状であることが好ましい。
また本発明の電極用ペースト組成物が銀粒子を含有する場合、銀粒子の含有率としては、前記リン含有銅合金粒子と前記錫含有粒子及び前記銀粒子の総含有率を100質量%としたときの銀粒子の含有率が0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上8質量%以下であることがより好ましい。
また本発明の電極用ペースト組成物においては、耐酸化性、電極の低抵抗率化、シリコン基板への塗布性の観点から、電極用ペースト組成物は、リン含有銅合金粒子、錫含有粒子及び銀粒子の総含有率が70質量%以上94質量%以下であることが好ましく、74質量%以上88質量%以下であることがより好ましい。リン含有銅合金粒子、錫含有粒子及び銀粒子の総含有率が70質量%以上であることで、電極用ペースト組成物を付与する際に好適な粘度を容易に達成することができる。またリン含有銅合金粒子、錫含有粒子及び銀粒子の総含有率が94質量%以下であることで、電極用ペースト組成物を付与する際のかすれの発生をより効果的に抑制することができる。
さらに本発明の電極用ペースト組成物が銀粒子を更に含む場合においては、耐酸化性と電極の低抵抗率の観点から、リン含有銅合金粒子、錫含有粒子及び銀粒子の総含有率が70質量%以上94質量%以下であって、ガラス粒子の含有率が0.1質量%以上10質量%以下であって、溶剤及び樹脂の総含有率が3質量%以上29.9質量%以下であることが好ましく、リン含有銅合金粒子、錫含有粒子及び銀粒子の総含有率が74質量%以上88質量%以下であって、ガラス粒子の含有率が0.5質量%以上8質量%以下であって、溶剤及び樹脂の総含有率が7質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、リン含有銅合金粒子、錫含有粒子及び銀粒子の総含有率が74質量%以上88質量%以下であって、ガラス粒子の含有率が1質量%以上8質量%以下であって、溶剤及び樹脂の総含有率が7質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。
(フラックス)
電極用ペースト組成物は、フラックスの少なくとも1種をさらに含むことができる。フラックスを含むことでリン含有銅合金粒子の表面に形成された酸化膜を除去し、焼成中のリン含有銅合金粒子の還元反応を促進させることができる。また焼成中の錫含有粒子の溶融も進むためリン含有銅合金粒子との反応が進み、結果として耐酸化性がより向上し、形成される電極の抵抗率がより低下する。さらに電極材とシリコン基板の密着性が向上するという効果も得られる。
本発明におけるフラックスとしては、リン含有銅合金粒子の表面に形成された酸化膜を除去可能で、錫含有粒子の溶融を促進するものであれば特に制限はない。具体的には例えば、脂肪酸、ホウ酸化合物、フッ化化合物、及びホウフッ化化合物等を好ましいフラックスとして挙げることができる。
フラックスとしてより具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ソルビン酸、ステアロール酸、プロピオン酸、酸化ホウ素、ホウ酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸リチウム、ホウフッ化カリウム、ホウフッ化ナトリウム、ホウフッ化リチウム、酸性フッ化カリウム、酸性フッ化ナトリウム、酸性フッ化リチウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム等が挙げられる。
中でも、電極材焼成時の耐熱性(フラックスが焼成の低温時に揮発しない特性)及びリン含有銅合金粒子の耐酸化性補完の観点から、ホウ酸カリウム及びホウフッ化カリウムが特に好ましいフラックスとして挙げられる。
本発明においてこれらのフラックスは、それぞれ1種単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の電極用ペースト組成物がフラックスを含有する場合、フラックスの含有率としては、リン含有銅合金粒子の耐酸化性を効果的に発現させ、錫含有粒子の溶融を促進させる観点及び電極材の焼成完了時にフラックスが除去された部分の空隙率低減の観点から、電極用ペースト組成物の全質量中に、0.1質量%〜5質量%であることが好ましく、0.3質量%〜4質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜3.5質量%であることがさらに好ましく、0.7〜3質量%であることが特に好ましく、1質量%〜2.5質量%であることが極めて好ましい。
(その他の成分)
本発明の電極用ペースト組成物は、上述した成分に加え、必要に応じて、当該技術分野で通常用いられるその他の成分をさらに含むことができる。その他の成分としては、例えば、可塑剤、分散剤、界面活性剤、無機結合剤、金属酸化物、セラミック、有機金属化合物等を挙げることができる。
本発明の電極用ペースト組成物の製造方法としては特に制限はない。前記リン含有銅合金粒子、前記錫含有粒子、ガラス粒子、溶剤、樹脂、及び必要に応じて含まれる銀粒子等を、通常用いられる分散・混合方法を用いて、分散・混合することで製造することができる。
分散・混合方法は特に制限されず、通常用いられる分散・混合方法から適宜選択して適用することができる。
<電極用ペースト組成物を用いた電極の製造方法>
本発明の電極用ペースト組成物を用いて電極を製造する方法としては、前記電極用ペースト組成物を、電極を形成する領域に付与し、乾燥後に、焼成することで所望の領域に電極を形成することができる。前記電極用ペースト組成物を用いることで、酸素の存在下(例えば、大気中)で焼成処理を行っても、抵抗率の低い電極を形成することができる。
具体的には例えば、前記電極用ペースト組成物を用いて太陽電池用電極を形成する場合、電極用ペースト組成物はシリコン基板上に所望の形状となるように付与され、乾燥後に、焼成されることで、抵抗率の低い太陽電池電極を所望の形状に形成することができる。また前記電極用ペースト組成物を用いることで、酸素の存在下(例えば、大気中)で焼成処理を行っても、抵抗率の低い電極を形成することができる。さらにシリコン基板上に形成された電極は、シリコン基板との密着性に優れ、良好なオーミックコンタクトを達成することができる。
電極用ペースト組成物をシリコン基板上に付与する方法としては、例えば、スクリーン印刷、インクジェット法、ディスペンサー法等を挙げることができるが、生産性の観点から、スクリーン印刷による塗布であることが好ましい。
本発明の電極用ペースト組成物をスクリーン印刷によって塗布する場合、電極用ペースト組成物は、80Pa・s〜1000Pa・sの範囲の粘度を有することが好ましい。尚、電極用ペースト組成物の粘度は、ブルックフィールドHBT粘度計を用いて25℃で測定される。
前記電極用ペースト組成物の付与量は、形成する電極の大きさに応じて適宜選択することができる。例えば、電極用ペースト組成物付与量として2g/m〜10g/mとすることができ、4g/m〜8g/mであることが好ましい。
また本発明の電極用ペースト組成物を用いて電極を形成する際の熱処理条件(焼成条件)としては、当該技術分野で通常用いられる熱処理条件を適用することができる。
一般に、熱処理温度(焼成温度)としては800℃〜900℃であるが、本発明の電極用ペースト組成物を用いる場合には、より低温での熱処理条件を適用することができ、例えば、450℃〜850℃の熱処理温度で良好な特性を有する電極を形成することができる。
また熱処理時間は、熱処理温度等に応じて適宜選択することができ、例えば、1秒〜20秒とすることができる。
熱処理装置としては、上記温度に加熱できるものであれば適宜採用することができ、例えば、赤外線加熱炉、トンネル炉、などを挙げることができる。赤外線加熱炉は、電気エネルギーを電磁波の形で加熱材料に直接投入し、熱エネルギーに変換されるため高効率であり、また短時間での急速加熱が可能である。更に、燃焼による生成物がなく、また非接触加熱であるため、生成する電極の汚染を抑えることが可能である。トンネル炉は、試料を自動で連続的に入口から出口へ搬送し、焼成するため、炉体の区分けと搬送スピードの制御により、均一に焼成することが可能である。太陽電池セルの発電性能の観点からは、トンネル炉により熱処理することが好適である。
<太陽電池素子及びその製造方法>
本発明の太陽電池素子は、シリコン基板上に付与された前記電極用ペースト組成物を、焼成して形成された電極を有する。これにより、良好な特性を有する太陽電池素子が得られ、該太陽電池素子の生産性に優れる。
尚、本明細書において太陽電池素子とは、pn接合が形成されたシリコン基板と、シリコン基板上に形成された電極とを有するものを意味する。また太陽電池とは、太陽電池素子の電極上にタブ線が設けられ、必要に応じて複数の太陽電池素子がタブ線を介して接続されて構成され、封止樹脂等で封止された状態のものを意味する。
以下、本発明の太陽電池素子の具体例を、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
代表的な太陽電池素子の一例を示す断面図、受光面及び裏面の概要を、それぞれ図1、図2及び図3に示す。
図1に概略を示すように、通常、太陽電池素子の半導体基板1には、単結晶または多結晶シリコンなどが使用される。この半導体基板1には、ホウ素などが含有され、p型半導体を構成している。受光面側は太陽光の反射を抑制するために、NaOHとIPA(イソプロピルアルコール)からなるエッチング溶液により凹凸(テクスチャともいう、図示せず)が形成されている。その受光面側にはリンなどがドーピングされ、n拡散層2がサブミクロンオーダーの厚さで設けられているとともに、p型バルク部分との境界にpn接合部が形成されている。さらに受光面側には、n拡散層2上に窒化ケイ素などの反射防止膜3が、PECVDなどによって膜厚90nm前後で設けられている。
次に、図2に概略を示す受光面側に設けられた受光面電極4と、図3に概略を示す裏面に形成される集電用電極5及び出力取出し電極6の形成方法について説明する。
受光面電極4と裏面出力取出し電極6は、本発明の前記電極用ペースト組成物から形成される。また裏面集電用電極5はガラス粉末を含むアルミニウム電極ペースト組成物から形成されている。受光面電極4と、裏面集電用電極5及び裏面出力取出し電極6を形成する第一の方法として、前記ペースト組成物をスクリーン印刷等にて所望のパターンに塗布した後、乾燥後に、大気中450〜850℃程度で同時に焼成して形成することが挙げられる。本発明においては前記電極用ペースト組成物を用いることで、比較的低温で焼成しても、抵抗率及び接触抵抗率に優れる電極を形成することができる。
その際に、受光面側では、受光面電極4を形成する前記電極用ペースト組成物に含まれるガラス粒子と、反射防止層3とが反応(ファイアースルー)して、受光面電極4とn拡散層2が電気的に接続(オーミックコンタクト)される。
本発明においては、前記電極用ペースト組成物を用いて受光面電極4が形成されることで、導電性金属として銅を含みながら、銅の酸化が抑制され、低抵抗率の受光面電極4が、良好な生産性で形成される。
さらに本発明においては形成される電極がCu−Sn合金相とSn−P−Oガラス相とを含んで構成されることが好ましく、Sn−P−Oガラス相がCu−Sn合金相とシリコン基板との間に配置される(不図示)ことがより好ましい。これにより銅とシリコン基板との反応が抑制され、低抵抗で密着性に優れる電極を形成することができる。
また、裏面側では、焼成の際に裏面集電用電極5を形成するアルミニウム電極ペースト組成物中のアルミニウムがp型シリコン基板1の裏面に拡散して、p拡散層7を形成することによって、p型シリコン基板1と裏面集電用電極5、裏面出力取出し電極6との間にオーミックコンタクトを得ることができる。
受光面電極4と、裏面集電用電極5及び裏面出力取出し電極6を形成する第二の方法として、裏面集電用電極5を形成するアルミニウム電極ペースト組成物を先に印刷し、乾燥後に大気中750〜850℃程度で焼成して裏面集電用電極5を形成した後に、本発明の電極用ペースト組成物を受光面側及び裏面側に印刷し、乾燥後に大気中450〜650℃程度で焼成して、受光面電極4と裏面出力取出し電極6を形成する方法が挙げられる。
この方法は、例えば以下の場合に有効である。すなわち、裏面集電用電極5を形成するアルミニウム電極ペーストを焼成する際に、650℃以下の焼成温度では、アルミニウムペーストの組成によっては、アルミニウム粒子の焼結及びp型シリコン基板1へのアルミニウム拡散量が不足して、p拡散層を充分に形成できない場合がある。この状態では裏面におけるp型シリコン基板1と裏面集電用電極5、裏面出力取出し電極6との間にオーミックコンタクトが十分に形成できなくなり、太陽電池セルとしての発電性能が低下する場合がある。そこで、アルミニウム電極ペースト組成物に最適な焼成温度(例えば750〜850℃)で裏面集電用電極5を形成した後、本発明の電極用ペースト組成物を印刷し、乾燥後に比較的低温(450〜650℃)で焼成して、受光面電極4と裏面出力取出し電極6を形成することが好ましい。
また本発明の別の態様であるいわゆるバックコンタクト型太陽電池素子に共通する裏面側電極構造の概略平面図を図4に、それぞれ別の態様のバックコンタクト型太陽電池素子である太陽電池素子の概略構造を示す斜視図を図5、図6及び図7にそれぞれ示す。尚、図5、図6及び図7は、それぞれ図4におけるAA断面における斜視図である。
図5の斜視図に示す構造を有する太陽電池素子は、p型シリコン基板1には、レーザードリルまたはエッチング等によって、受光面側及び裏面側の両面を貫通したスルーホールが形成されている。また受光面側には光入射効率を向上させるテクスチャー(図示せず)が形成されている。さらに受光面側にはn型化拡散処理によるn拡散層2と、n拡散層2上に反射防止膜(図示せず)が形成されている。これらは従来の結晶Si型太陽電池セルと同一の工程により製造される。
次に、先に形成されたスルーホール内部に、本発明の電極用ペースト組成物が印刷法やインクジェット法により充填され、さらに受光面側には同じく本発明の電極用ペースト組成物がグリッド状に印刷され、スルーホール電極9及び受光面集電用電極8を形成する組成物層が形成される。
ここで、充填用と印刷用に用いるペーストでは、粘度を始めとして、それぞれのプロセスに最適な組成のペーストを使用するのが望ましいが、同じ組成のペーストで充填、印刷を一括で行ってもよい。
一方、裏面側には、キャリア再結合を防止するためのn拡散層2及びp拡散層7が形成される。ここでp拡散層7を形成する不純物元素として、ボロン(B)やアルミニウム(Al)が用いられる。このp拡散層7は、例えばBを拡散源とした熱拡散処理が、前記反射防止膜形成前のセル製造工程において実施されることで形成されていてもよく、あるいは、Alを用いる場合には、前記印刷工程において、反対面側にアルミニウムペーストを印刷、焼成することで形成されていてもよい。
裏面側には図4の平面図で示すように、本発明の電極用ペースト組成物をそれぞれn拡散層2上及びp拡散層7上にストライプ状に印刷することによって、裏面電極10及び11が形成される。ここで、p拡散層7をアルミニウムペーストを用いて形成する場合は、n拡散層2側についてのみ本発明の電極用ペースト組成物を用い、裏面電極を形成すればよい。
その後乾燥して大気中450〜850℃程度で焼成して、受光面集電用電極8とスルーホール電極9、及び裏面電極10、11が形成される。また先述したように、裏面電極の一方にアルミニウム電極を用いる場合は、アルミニウムの焼結性と裏面電極とp拡散層7とのオーミックコンタクト性の観点から、先にアルミニウムペーストを印刷、焼成するによって裏面電極の一方を形成し、その後、本発明の電極用ペースト組成物を印刷、充填し、焼成することで受光面集電用電極8とスルーホール電極9、及び裏面電極の他方を形成してもよい。
また図6の斜視図に示す構造を有する太陽電池素子は、受光面集電用電極を形成しないこと以外は、図5の斜視図に示す構造を有する太陽電池素子と同様にして製造することができる。すなわち図6の斜視図に示す構造を有する太陽電池素子において、本発明の電極用ペースト組成物は、スルーホール電極9と裏面電極10、11に用いることができる。
また、図7の斜視図に示す構造を有する太陽電池素子は、ベースとなる基板にn型シリコン基板を用いたことと、スルーホールを形成しないこと以外は、図5の斜視図に示す構造を有する太陽電池素子と同様にして製造することができる。すなわち図7の斜視図に示す構造を有する太陽電池素子において、本発明の電極用ペースト組成物は、裏面電極10、11に用いることができる
なお、本発明の電極用ペースト組成物は、上記したような太陽電池電極の用途に限定されるものではなく、例えば、プラズマディスプレイの電極配線及びシールド配線、セラミックスコンデンサ、アンテナ回路、各種センサー回路、半導体デバイスの放熱材料等の用途にも好適に使用することができる。
これらの中でも特にシリコンを含む基板上に電極を形成する場合に好適に用いることができる。
<太陽電池>
本発明の太陽電池は、前記太陽電池素子の少なくとも1つを含み、太陽電池素子の電極上にタブ線が配置されて構成される。太陽電池はさらに必要に応じて、タブ線を介して複数の太陽電池素子が連結され、さらに封止材で封止されて構成されていてもよい。
前記タブ線及び封止材としては特に制限されず、当業界で通常用いられているものから適宜選択することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない、尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<実施例1>
(a)電極用ペースト組成物の調製
7質量%のリンを含むリン含有銅合金粒子を定法により調製し、これを溶解して水アトマイズ法により粉末化した後、乾燥、分級した。分級した粉末をブレンドして、脱酸素・脱水処理し、7質量%のリンを含むリン含有銅合金粒子を作製した。尚、リン含有銅合金粒子の粒子径(D50%)は5.0μmであり、その形状は略球状であった。
二酸化ケイ素(SiO)3部、酸化鉛(PbO)60部、酸化ホウ素(B)18部、酸化ビスマス(Bi)5部、酸化アルミニウム(Al)5部、酸化亜鉛(ZnO)9部からなるガラス(以下、「G01」と略記することがある)を調製した。得られたガラスG01の軟化点は、420℃、結晶化温度は650℃を超えていた。
得られたガラスG01を用いて、粒子径(D50%)が2.5μmであるガラスG01粒子を得た。またその形状は略球状であった。
上記で得られたリン含有銅合金粒子を39.9部、錫粒子(Sn;粒子径(D50%)は10.0μm;純度99.9%)を41.5部、ガラスG01粒子を4.1部、テルピネオール(Ter)を14.1部、エチルセルロース(EC)を0.4部混ぜ合わせ、メノウ乳鉢の中で20分間かき混ぜ、電極用ペースト組成物1を調製した。
(b)太陽電池素子の作製
受光面にn拡散層、テクスチャ及び反射防止膜(窒化ケイ素膜)が形成された膜厚190μmのp型半導体基板を用意し、125mm×125mmの大きさに切り出した。その受光面にスクリーン印刷法を用い、上記で得られた電極用ペースト組成物1を図2に示すような電極パターンとなるように印刷した。電極のパターンは150μm幅のフィンガーラインと1.5mm幅のバスバーで構成され、焼成後の膜厚が20μmとなるよう、印刷条件(スクリーン版のメッシュ、印刷速度、印圧)を適宜調整した。これを150℃に加熱したオーブンの中に15分間いれ、溶剤を蒸散により取り除いた。
続いて、電極用ペースト組成物1とアルミニウム電極ペーストを、上記と同様にスクリーン印刷で、図3に示すような電極パターンとなるように印刷した。
電極用ペースト組成物1からなる裏面出力取出し電極のパターンは、123mm×5mmで構成され、計2ヶ所印刷した。尚、裏面出力取出し電極は焼成後の膜厚が20μmとなるよう、印刷条件(スクリーン版のメッシュ、印刷速度、印圧)を適宜調整した。またアルミニウム電極ペーストを、裏面出力取出し電極以外の全面に印刷して裏面集電用電極パターンを形成した。また焼成後の裏面集電用電極の膜厚が30μmとなるように、アルミニウム電極ペーストの印刷条件を適宜調整した。これを150℃に加熱したオーブンの中に15分間いれ、溶剤を蒸散により取り除いた。
続いてトンネル炉(ノリタケ社製、1列搬送W/Bトンネル炉)を用いて大気雰囲気下、焼成最高温度800℃で保持時間10秒の加熱処理(焼成)を行って、所望の電極が形成された太陽電池素子1を作製した。
<実施例2>
実施例1において、電極形成時の焼成条件を最高温度800℃で10秒間から、最高温度850℃で8秒間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池素子2を作製した。
<実施例3>
実施例1において、リン含有銅合金粒子のリン含有量を7質量%から6質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、電極用ペースト組成物3を調製し、太陽電池素子3を作製した。
<実施例4>
実施例3において、電極形成時の焼成条件を最高温度800℃で10秒間から、最高温度750℃で12秒間に変更したこと以外は、実施例3と同様にして太陽電池素子4を作製した。
<実施例5>
実施例1において、リン含有銅合金粒子のリン含有量を7質量%から8質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、電極用ペースト組成物5を調製し、太陽電池素子5を作製した。
<実施例6>
実施例1において、リン含有銅合金粒子の粒子径(D50%)を5.0μmから1.5μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、電極用ペースト組成物6を調製し、太陽電池素子6を作製した。
<実施例7>
実施例1において、リン含有銅合金粒子と錫含有粒子の含有量を変更して、リン含有銅合金粒子の含有量を56.3部、錫含有粒子の含有量を25.1部としたこと以外は、実施例1と同様にして、電極用ペースト組成物7を調製し、太陽電池素子7を作製した。
<実施例8>
実施例1において、リン含有銅合金粒子と錫含有粒子の含有量を変更して、リン含有銅合金粒子の含有量を73.0部、錫含有粒子の含有量を8.4部としたこと以外は、実施例1と同様にして、電極用ペースト組成物8を調製し、太陽電池素子8を作製した。
<実施例9>
実施例1において、錫含有粒子として錫粒子(Sn)の代わりにSn−58Bi(Snに58質量%のBiを含む合金)からなる錫合金粒子を用い、その粒子径(D50%)を15μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、電極用ペースト組成物9を調製し、太陽電池セル9を作製した。
<実施例10>
実施例1において、錫含有粒子として錫粒子(Sn)の代わりにSn−4Ag−0.5Cu(Snに4質量%のAgと0.5質量%のCuを含む合金)からなる錫合金粒子を用い、その粒子径(D50%)を8μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、電極用ペースト組成物10を調製し、太陽電池素子10を作製した。
<実施例11>
実施例1において、錫含有粒子の粒子径(D50%)を10μmから6μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、電極用ペースト組成物11を調製し、太陽電池素子11を作製した。
<実施例12>
実施例1において、電極用ペースト組成物に銀粒子(Ag;粒子径(D50%)3μm;純度99.5%)を加えた。具体的には各成分の含有量を、リン含有銅合金粒子を37.9部、錫粒子を39.5部、銀粒子を4.0部、ガラスG01粒子を4.1部、テルピネオールを14.1部、エチルセルロースを0.4部と変更したこと以外は、実施例1と同様にして、電極用ペースト組成物12を調製し、太陽電池素子12を作製した。
<実施例13>
実施例1において、電極用ペースト組成物に銀粒子(Ag;粒子径(D50%)3μm)をさらに加えた。具体的には各成分の含有量を、リン含有銅合金粒子を36.9部、錫粒子を38.4部、銀粒子を6.1部、ガラスG01粒子を4.1部、テルピネオールを14.1部、エチルセルロースを0.4部と変更したこと以外は、実施例1と同様にして、電極用ペースト組成物13を調製し、太陽電池素子13を作製した。
<実施例14>
実施例1において、ガラスG01粒子の含有量を変更した。具体的には各成分の含有量を、リン含有銅合金粒子を38.3部、錫粒子を39.9部、ガラスG01粒子を7.8部、テルピネオールを13.5部、エチルセルロースを0.4部と変更したこと以外は、実施例1と同様にして、電極用ペースト組成物14を調製し、太陽電池素子14を作製した。
<実施例15>
実施例1において、ガラス粒子の組成をガラスG01から、以下に示すガラスG02に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、電極用ペースト組成物15を調製し、太陽電池セル15を作製した。
ガラスG02は、酸化バナジウム(V)45部、酸化リン(P)24.2部、酸化バリウム(BaO)20.8部、酸化アンチモン(Sb)5部、酸化タングステン(WO)5部からなるように調製した。またこのガラスG02の軟化点は492℃で、結晶化開始温度は650℃を超えていた。
得られたガラスG02を用いて、粒子径(D50%)が2.5μmであるガラスG02粒子を得た。またその形状は略球状であった。
<実施例16>
実施例1において、樹脂をテルピネオールからジエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)に、また樹脂をエチルセルロースからポリアクリル酸エチル(EPA)にそれぞれ変更した。具体的には各成分の含有量を、リン含有銅合金粒子を39.9部、錫粒子を41.5部、ガラスG01粒子を4.1部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを12.3部、ポリアクリル酸エチルを2.2部と変更したこと以外は、実施例1と同様にして、電極用ペースト組成物16を調製し、太陽電池素子16を作製した。
<実施例17〜20>
実施例1において、リン含有銅合金粒子のリン含有量、粒子径(D50%)及びその含有量、錫含有粒子の組成、粒子径(D50%)及びその含有量、銀粒子の含有量、ガラス粒子の種類及びその含有量、溶剤の種類及びその含有量、樹脂の種類及びその含有量を表1に示したように変更したこと以外は、実施例1と同様にして電極用ペースト組成物17〜20をそれぞれ調製した。
次いで、得られた電極用ペースト組成物17〜20をそれぞれ用い、加熱処理の温度及び処理時間を表1に示したように変更したこと以外は、実施例1と同様にして所望の電極が形成された太陽電池素子17〜20をそれぞれ作製した。
<実施例21>
受光面にn拡散層、テクスチャ及び反射防止膜(窒化ケイ素膜)が形成された膜厚190μmのp型半導体基板を用意し、125mm×125mmの大きさに切り出した。その後、裏面にアルミニウム電極ペーストを印刷して裏面集電用電極パターンを形成した。裏面集電用電極パターンは、図3に示すように裏面出力取出し電極以外の全面に印刷した。また焼成後の裏面集電用電極の膜厚が30μmとなるように、アルミニウム電極ペーストの印刷条件を適宜調整した。これを150℃に加熱したオーブンの中に15分間いれ、溶剤を蒸散により取り除いた。
続いてトンネル炉(ノリタケ社製、1列搬送W/Bトンネル炉)を用いて大気雰囲気下、焼成最高温度800℃で保持時間10秒の加熱処理(焼成)を行って、裏面の集電用電極及びp拡散層を形成した。
その後、上記で得られた電極用ペースト組成物1を図2及び図3に示すような電極パターンとなるように印刷した。受光面の電極のパターンは150μm幅のフィンガーラインと1.5mm幅のバスバーで構成され、焼成後の膜厚が20μmとなるよう、印刷条件(スクリーン版のメッシュ、印刷速度、印圧)を適宜調整した。また裏面の電極のパターンは123mm×5mmで構成され、焼成後の膜厚が20μmとなるように、計2ヶ所印刷した。これを150℃に加熱したオーブンの中に15分間いれ、溶剤を蒸散により取り除いた。
これをトンネル炉(ノリタケ社製、1列搬送W/Bトンネル炉)を用いて大気雰囲気下、焼成最高温度650℃で保持時間10秒の加熱処理(焼成)を行って、所望の電極が形成された太陽電池素子21を作製した。
<実施例22>
実施例21における、受光面の電極及び裏面出力取出し電極の作製において、上記で得られた電極用ペースト組成物5を用いたこと以外は、実施例21と同様にして太陽電池素子22を作製した。
<実施例23>
実施例21における、受光面の電極及び裏面出力取出し電極の作製において、上記で得られた電極用ペースト組成物9を用いたことと、電極形成時の焼成条件を最高温度650℃で10秒間から、最高温度620℃で10秒間に変更したこと以外は、実施例21と同様にして太陽電池セル23を作製した。
<実施例24>
上記で得られた電極用ペースト組成物1を用いて、図5に示したような構造を有する太陽電池セル24を作製した。具体的な作製方法を以下に示す。まずp型シリコン基板について、レーザードリルによって、受光面側及び裏面側の両面を貫通した直径100μmのスルーホールを形成した。また受光面側にはテクスチャ、n拡散層、反射防止膜を順次形成した。尚、n拡散層は、スルーホール内部、及び裏面の一部にもそれぞれ形成した。次に、先に形成されたスルーホール内部電極用ペースト組成物1をインクジェット方により充填し、さらに受光面側にもグリッド状に印刷した。
一方、裏面側には、電極用ペースト組成物1とアルミニウム電極ペーストを用いて、図4に示すようなパターンで、ストライプ状に印刷し、スルーホールの下に電極用ペースト組成物1が印刷されるように形成した。これをトンネル炉(ノリタケ社製、1列搬送W/Bトンネル炉)を用いて大気雰囲気下、焼成最高温度800℃で保持時間10秒の加熱処理を行って、所望の電極が形成された太陽電池素子24を作製した。
このときアルミニウム電極ペーストを形成した部分については、焼成によりp型シリコン基板内にAlが拡散することで、p拡散層が形成されていた。
<実施例25>
実施例24において、電極用ペースト組成物1から電極用ペースト組成物12に変更して、受光面集電用電極、スルーホール電極、裏面電極を形成したこと以外は、実施例24と同様にして、太陽電池素子25を作製した。
<実施例26>
実施例24において、電極形成時の焼成条件を最高温度800℃で10秒間から、最高温度850℃で8秒間に変更したこと以外は、実施例24と同様にして太陽電池素子26を作製した。
<実施例27>
実施例24において、電極用ペースト組成物1から電極用ペースト組成物9に変更して、受光面集電用電極、スルーホール電極、裏面電極を形成したこと以外は、実施例24と同様にして、太陽電池素子27を作製した。
<実施例28>
実施例1において、ガラス粒子をガラスG01粒子からガラスG03粒子に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、電極用ペースト組成物28を調製した。
尚、ガラスG03は、二酸化ケイ素(SiO)13部、酸化ホウ素(B)58部、酸化亜鉛(ZnO)38部、酸化アルミニウム(Al)12部、酸化バリウム(BaO)12部からなるように調製した。得られたガラスG03の軟化点は、583℃、結晶化温度は650℃を超えていた。
得られたガラスG03を用いて、粒子径(D50%)が2.5μmであるガラスG03粒子を得た。またその形状は略球状であった。
次いで、上記で得られた電極用ペースト組成物28を用いて、図6に示したような構造を有する太陽電池素子28を作製した。作製方法は、受光面電極を形成しないこと以外は、実施例24〜27と同様である。尚、焼成条件は最高温度800℃で保持時間10秒とした。
<実施例29>
実施例28において、電極形成時の焼成条件を最高温度800℃で10秒間から、最高温度850℃で8秒間に変更したこと以外は、実施例28と同様にして太陽電池素子29を作製した。
<実施例30>
上記で得られた電極用ペースト組成物28を用いて、図7に示したような構造を有する太陽電池素子30を作製した。作製方法は、ベースとなる基板にn型シリコン基板を用いたことと、受光面電極、スルーホール及びスルーホール電極を形成しないこと以外は、実施例24と同様である。尚、焼成条件は最高温度800℃で保持時間10秒とした。
<実施例31>
実施例5において、ガラス粒子をガラスG01粒子からガラスG03粒子に変更したこと以外は、実施例5と同様にして、電極用ペースト組成物31を調製した。これを用いて実施例30と同様にして、図7に示したような構造を有する太陽電池素子31を作製した。
<実施例32>
実施例12において、ガラス粒子をガラスG01粒子からガラスG03粒子に変更したこと以外は、実施例12と同様にして、電極用ペースト組成物32を調製した。これを用いて実施例30と同様にして、図7に示したような構造を有する太陽電池素子32を作製した。
<比較例1>
実施例1における電極用ペースト組成物の調製において、リン含有銅合金粒子及び錫含有粒子を用いずに、表1に示した組成となるように各成分を変更したこと以外は、実施例1と同様にして電極用ペースト組成物C1を調製した。
リン含有銅合金粒子及び錫含有粒子を含まない電極用ペースト組成物C1を用いたこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池素子C1を作製した。
<比較例2〜4>
リンの含有量の異なるリン含有銅合金粒子を用い、錫含有粒子を用いずに、表1に示す組成の電極用ペースト組成物C2〜C4をそれぞれ作製した。
電極用ペースト組成物C2〜C4をそれぞれ用いたこと以外は、比較例1と同様にして太陽電池素子C2〜C4をそれぞれ作製した。
<比較例5>
実施例1に置ける電極用ペースト組成物の調整において、リン含有銅合金粒子の代わりに銅粒子(純度99.5%、粒子径(D50%)5.0μm、含有量39.9部)を用いて、表1に示した組成となるように各成分を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、電極用ペースト組成物C5を調製した。
電極用ペースト組成物C5を用いたこと以外は、比較例1と同様にして太陽電池素子C5を作製した。
<比較例6>
実施例24について、電極用ペースト組成物1から電極用ペースト組成物C1に変更して、受光面集電用電極、スルーホール電極、裏面電極を形成したこと以外は、実施例24と同様にして、太陽電池素子C6を作製した。
<比較例7>
実施例28において、電極用ペースト組成物28から電極用ペースト組成物C1に変更したこと以外は、実施例28と同様にして太陽電池素子C7を作製した。
<比較例8>
実施例30において、電極用ペースト組成物28から電極用ペースト組成物C1に変更したこと以外は、実施例30と同様にして太陽電池素子C8を作製した。



<評価>
作製した太陽電池素子の評価は、擬似太陽光として(株)ワコム電創製WXS−155S−10、電流―電圧(I−V)評価測定器としてI−V CURVE TRACER MP−160(EKO INSTRUMENT社製)の測定装置を組み合わせて行った。太陽電池としての発電性能を示すJsc(短絡電流)、Voc(開放電圧)、FF(フィルファクター)、Eff(変換効率)は、それぞれJIS−C−8912、JIS−C−8913及びJIS−C−8914に準拠して測定を行うことで得られたものである。両面電極構造の太陽電池素子において、得られた各測定値を、比較例1(太陽電池素子C1)の測定値を100.0とした相対値に換算して表2に示した。尚、比較例2においては、銅粒子の酸化によって電極の抵抗率が大きくなり、評価不能であった。
さらに作製した電極用ペースト組成物を焼成して形成した受光面電極の断面を走査型電子顕微鏡Miniscope TM−1000((株)日立製作所製)を用いて、加速電圧15kVで観察し、電極内のCu−Sn合金相、Sn−P−Oガラス相の有無及びSn−P−Oガラス相の形成部位を調査した。その結果も併せて表2に示した。
表2から、比較例3〜5においては、比較例1よりも発電性能が著しく劣化したことが分かる。
これは例えば以下のように考えられる。比較例3及び比較例4においては、錫含有粒子が含まれていないために、焼成中にシリコン基板と銅の相互拡散が起こり、基板内のpn接合特性が劣化したことが考えられる。また比較例5においては、リン含有銅合金粒子を用いずに純銅(リン含有量が0質量%)を用いたために、焼成中に錫含有粒子と反応する前に銅粒子が酸化し、Cu−Sn合金相が形成されずに電極の抵抗が増加したことが考えられる。
一方、実施例1〜23で作製した太陽電池素子の発電性能は、比較例1の太陽電池素子の測定値と比べほぼ同等であった。特に太陽電池素子21〜23は、電極用ペースト組成物を比較的低温(620〜650℃)で焼成したにもかかわらず、高い発電性能を示した。
また組織観察の結果、実施例1〜23のいずれも受光面電極内にはCu−Sn合金相とSn−P−Oガラス相が存在し、Sn−P−Oガラス相がCu−Sn合金相とシリコン基板との間に形成されていた。
続いて、バックコンタクト型の太陽電池素子のうち、図5の構造を有するものについて、得られた各測定値を、比較例6の測定値を100.0とした相対値に換算して表3に示した。さらに受光面電極の断面を観察した結果も併せて表3に示した。
表3から、実施例24〜27で作製した太陽電池素子は、比較例6の太陽電池素子とほぼ同等の発電性能を示したことが分かる。また組織観察の結果、実施例24〜27のいずれも受光面電極内にはCu−Sn合金相とSn−P−Oガラス相が存在し、Sn−P−Oガラス相がCu−Sn合金相とシリコン基板との間に形成されていた。
続いて、バックコンタクト型の太陽電池セルのうち、図6の構造を有するものについて、得られた各測定値を、比較例7の測定値を100.0とした相対値に換算して表4に示した。さらに裏面電極のうち、作製した電極用ペースト組成物を焼成して形成した電極の断面を観察した結果も併せて表4に示した。

表4から、実施例28〜29で作製した太陽電池素子は、比較例7の太陽電池素子とほぼ同等の発電性能を示したことが分かる。また組織観察の結果、実施例28〜29のいずれも、裏電極のうち作製した電極用ペースト組成物を焼成して形成した電極内にはCu−Sn合金相とSn−P−Oガラス相が存在し、Sn−P−Oガラス相がCu−Sn合金相とシリコン基板との間に形成されていた。
続いて、バックコンタクト型の太陽電池素子のうち、図7の構造を有するものについて、得られた各測定値を、比較例8の測定値を100.0とした相対値に換算して表5に示した。さらに裏面電極のうち、作製した電極用ペースト組成物を焼成して形成した電極の断面を観察した結果も併せて表5に示した。

実施例30〜32で作製した太陽電池素子は、比較例8の太陽電池素子とほぼ同等の発電性能を示したことが分かる。また組織観察の結果、実施例30〜32のいずれも、裏電極のうち、作製した電極用ペースト組成物を焼成して形成した電極内にはCu−Sn合金相とSn−P−Oガラス相が存在し、Sn−P−Oガラス相がCu−Sn合金相とシリコン基板との間に形成されていた。
1 p型シリコン基板
2 n拡散層
3 反射防止膜
4 受光面集電用電極及び出力取出し電極
5 裏面集電用電極
6 裏面出力取出し電極
7 p拡散層
8 受光面集電用電極
9 スルーホール電極
10 裏面電極
11 裏面電極
12 n型シリコン基板

Claims (11)

  1. リン含有銅合金粒子と、錫含有粒子と、示差熱分析による軟化点が650℃以下のガラス粒子と、溶剤と、樹脂とを含む電極用ペースト組成物。
  2. 前記リン含有銅合金粒子のリン含有率が6質量%以上8質量%以下である請求項1に記載の電極用ペースト組成物。
  3. 前記錫含有粒子は、錫粒子及び錫含有率が1質量%以上である錫合金粒子から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の電極用ペースト組成物。
  4. 前記リン含有銅合金粒子と前記錫含有粒子の総含有率を100質量%としたときの前記錫含有粒子の含有率が、5質量%以上70質量%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電極用ペースト組成物。
  5. 銀粒子を更に含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電極用ペースト組成物。
  6. 前記リン含有銅合金粒子、前記錫含有粒子及び前記銀粒子の総含有率を100質量%としたときの前記銀粒子の含有率が0.1質量%以上10質量%以下である請求項5に記載の電極用ペースト組成物。
  7. 前記リン含有銅合金粒子、錫含有粒子及び銀粒子の総含有率が70質量%以上94質量%以下であって、前記ガラス粒子の含有率が0.1質量%以上10質量%以下であって、前記溶剤及び前記樹脂の総含有率が3質量%以上29.9質量%以下である請求項5又は請求項6に記載の電極用ペースト組成物。
  8. シリコン基板上に付与された請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の電極用ペースト組成物を焼成して形成された電極を有する太陽電池素子。
  9. 前記電極は、Cu−Sn合金相及びSn−P−Oガラス相を含む請求項8に記載の太陽電池素子。
  10. 前記Sn−P−Oガラス相は、前記Cu−Sn合金相と前記シリコン基板との間に配置されている請求項9に記載の太陽電池素子。
  11. 請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載の太陽電池素子と、前記太陽電池素子の電極上に配置されたタブ線とを有する太陽電池。
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