JP2016189308A - 電極形成用組成物、電極、太陽電池素子及びその製造方法、並びに太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】抵抗率が低く、半導体基板との良好なオーミックコンタクトを有し、更に半導体基板との密着力に優れた銅含有電極を形成可能な電極形成用組成物の提供。【解決手段】リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を含む金属粒子と、ガラス粒子と、を含有し、前記リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子は、銅含有率が、60.0質量%〜95.0質量%である電極形成用組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、電極形成用組成物、電極、太陽電池素子及びその製造方法、並びに太陽電池に関する。
一般に太陽電池の受光面及び裏面には電極が形成されている。光の入射により太陽電池内で変換された電気エネルギーを効率よく外部に取り出すためには、電極の体積抵抗率(以下、単に「抵抗率」ともいう)が十分に低いことと、電極が半導体基板と良好なオーミックコンタクトを形成し、更に半導体基板に対し高強度で密着していることが必要である。受光面の電極については、太陽光の入射量の損失を最低限に抑える観点から、配線幅を小さくし、そして電極のアスペクト比を高くする傾向にある。
太陽電池としては、シリコン基板を用いたシリコン系太陽電池が一般的であり、シリコン系太陽電池の受光面の電極は、通常以下のようにして形成される。すなわち、p型シリコン基板の受光面側にテクスチャ(凹凸)を形成する。次いでリン等を高温で熱的にp型シリコン基板の表面に拡散させることにより形成されたn型拡散層上に、導電性組成物をスクリーン印刷等により付与し、これを大気中800℃〜900℃で熱処理(焼成)することで受光面の電極が形成される。また裏面の電極についても、受光面とは反対側の面に形成されること以外は、受光面の電極と同様に形成される。受光面の電極、及び裏面の電極を形成する導電性組成物には、導電性金属粒子、ガラス粒子、種々の添加剤等が含有される。
特に、受光面の電極及び裏面の電極のうち出力を取り出すための電極については、導電性金属粒子として、銀粒子が一般的に用いられている。この理由として、銀粒子の抵抗率が1.6×10−6Ω・cmと低いこと、上記熱処理(焼成)条件において銀粒子が自己還元して焼結すること、シリコン基板と良好なオーミックコンタクトを形成できること、及び銀粒子から形成された電極は、はんだ材料の濡れ性に優れ、太陽電池素子間を電気的に接続する配線材料(タブ線等)を好適に接着可能であることが挙げられる。
上記に示すように、銀粒子を含む導電性組成物から形成された電極は、太陽電池の電極として優れた特性を発現する。一方で、銀は貴金属であって地金自体が高価であり、また資源の問題からも、銀に代わる導電材料が望まれている。銀に代わる有望な導電材料としては、半導体配線材料に適用されている銅が挙げられる。銅は資源的にも豊富で、地金の価格も銀の約100分の1と安価である。しかしながら、銅は大気中200℃以上の高温で容易に酸化される材料であり、上記工程で電極を形成することは困難である。
銅が有する上記課題を解決するために、種々の手法を用いて銅に耐酸化性を付与し、高温の熱処理(焼成)でも酸化され難い銅粒子が報告されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の銅粒子でも、耐酸化性を有するのは高々300℃までで、800℃〜900℃の高温ではほとんど酸化されてしまうことから、銅粒子から形成される電極は、太陽電池用電極としては実用化に至っていない。更に耐酸化性を付与するために適用した添加剤等が熱処理(焼成)中の銅粒子の焼結を阻害し、結果として銀のような低抵抗率の電極が得られないという課題がある。
また銅の酸化を抑えて電極を得る別の手法として、導電性金属粒子として銅を用いた導電性組成物を、窒素等の雰囲気下で熱処理(焼成)するという特殊な製造工程を経る方法が挙げられる。しかしながら、上記手法を用いる場合、銅粒子の酸化を抑えるためには窒素等で充満させた雰囲気となるように密封した環境が必要となり、製造コストの面で太陽電池素子の量産には不向きである。
銅を太陽電池用電極に適用するためのもう一つの課題として、半導体基板とのオーミックコンタクト性が挙げられる。すなわち、銅含有電極を高温熱処理(焼成)中に酸化せずに形成できたとしても、銅が半導体基板と接触することで、銅と半導体基板との間で相互拡散が生じ、電極と半導体基板との界面に、銅と半導体基板とによる反応物相が形成されることがある。例えば、シリコン基板を用いた場合には、銅がシリコン基板と接触することで、銅とシリコンとの相互拡散が生じ、電極とシリコン基板との界面に、銅とシリコンとによる反応物相であるCu3Siが形成されることがある。
このようなCu3Siといった反応物相の形成は半導体基板の界面から深さ数μmにまで及ぶことがあり、半導体基板に亀裂を生じさせる場合がある。また、反応物相は、半導体基板に予め形成されたn型拡散層を貫通し、太陽電池が持つ半導体性能(pn接合特性)を劣化させる場合がある。また形成された反応物相が銅含有電極を持ち上げる等して、電極と半導体基板との密着性を阻害し、電極の機械的強度の低下をもたらす恐れがある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、抵抗率が低く、半導体基板との良好なオーミックコンタクトを有し、更に半導体基板との密着力に優れた銅含有電極を形成可能な電極形成用組成物、並びに該電極形成用組成物を用いて形成された電極、該電極を有する太陽電池素子及びその製造方法、並びに太陽電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために鋭意研究した結果、本発明に至った。すなわち本発明は以下の実施態様を含む。
<1> リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を含む金属粒子と、ガラス粒子と、を含有し、前記リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子は、銅含有率が、60.0質量%〜95.0質量%である電極形成用組成物。
<2> 前記リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子は、リン含有率が2.0質量%〜15.0質量%である前記<1>に記載の電極形成用組成物。
<3> 前記リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子は、錫含有率が3.0質量%〜30.0質量%である前記<1>又は<2>に記載の電極形成用組成物。
<4> 前記リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子は、ニッケル含有率が3.0質量%〜30.0質量%である前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
<5> 前記ガラス粒子は、軟化点が650℃以下であり、結晶化開始温度が650℃を超える前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
<6> 前記金属粒子が、リン含有銅合金粒子、錫含有粒子、及びニッケル含有粒子からなる群より選択される少なくとも1種を更に含む前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
<7> 前記リン含有銅合金粒子は、リン含有率が0.1質量%〜8.0質量%である前記<6>に記載の電極形成用組成物。
<8> 前記錫含有粒子は、錫粒子及び錫含有率が1.0質量%以上である錫合金粒子からなる群より選択される少なくとも1種である前記<6>又は<7>に記載の電極形成用組成物。
<9> 前記ニッケル含有粒子は、ニッケル粒子及びニッケル含有率が1.0質量%以上であるニッケル合金粒子からなる群より選択される少なくとも1種である前記<6>〜<8>のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
<10> 前記金属粒子が、銀粒子を更に含む前記<1>〜<9>のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
<11> 前記金属粒子の含有率が、65.0質量%〜95.0質量%である前記<1>〜<10>のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
<12> 前記金属粒子の含有率を100.0質量%としたときの銅含有率が60.0質量%〜95.0質量%である前記<1>〜<11>に記載の電極形成用組成物。
<13> 前記ガラス粒子の含有率が、0.1質量%〜15.0質量%である前記<1>〜<12>のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
<14> 更に、樹脂を含む前記<1>〜<13>のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
<15> 更に、溶剤を含む前記<1>〜<14>のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
<16> 前記<1>〜<15>のいずれか1項に記載の電極形成用組成物の熱処理物である電極。
<17> 半導体基板と、前記半導体基板上に設けられる前記<1>〜<15>のいずれか1項に記載の電極形成用組成物の熱処理物である電極と、を有する太陽電池素子。
<18> 前記電極は、銅と錫とニッケルとを含有する合金相及び錫とリンと酸素とを含有するガラス相を含む前記<17>に記載の太陽電池素子。
<19> 半導体基板上に前記<1>〜<15>のいずれか1項に記載の電極形成用組成物を付与する工程と、
前記電極形成用組成物を熱処理する工程と、
を有する太陽電池素子の製造方法。
前記電極形成用組成物を熱処理する工程と、
を有する太陽電池素子の製造方法。
<20> 前記<17>又は<18>に記載の太陽電池素子と、前記太陽電池素子の電極上に配置される配線材料と、を有する太陽電池。
本発明によれば、抵抗率が低く、半導体基板との良好なオーミックコンタクトを有し、更に半導体基板との密着力に優れた銅含有電極を形成可能な電極形成用組成物、並びに該電極形成用組成物を用いて形成された電極、該電極を有する太陽電池素子及びその製造方法、並びに太陽電池を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合、原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。また、本明細書において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。また、本明細書において「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。
<電極形成用組成物>
電極形成用組成物は、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を含む金属粒子と、ガラス粒子と、を含有し、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子中の銅含有率が60.0質量%〜95.0質量%である。電極形成用組成物がかかる構成であることにより、大気中での熱処理(焼成)における銅の酸化が抑制され、抵抗率の低い電極が形成される。更に、電極形成用組成物を半導体基板に付与して電極を形成する際、形成される電極と半導体基板とが良好なオーミックコンタクトを形成でき、更に半導体基板に対して密着力に優れた電極を形成できる。
電極形成用組成物は、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を含む金属粒子と、ガラス粒子と、を含有し、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子中の銅含有率が60.0質量%〜95.0質量%である。電極形成用組成物がかかる構成であることにより、大気中での熱処理(焼成)における銅の酸化が抑制され、抵抗率の低い電極が形成される。更に、電極形成用組成物を半導体基板に付与して電極を形成する際、形成される電極と半導体基板とが良好なオーミックコンタクトを形成でき、更に半導体基板に対して密着力に優れた電極を形成できる。
(金属粒子)
電極形成用組成物は、金属粒子としてリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の少なくとも1種を含み、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子中の銅含有率は60.0質量%〜95.0質量%である。電極形成用組成物は、必要に応じて、金属粒子としてリン含有銅合金粒子、錫含有粒子、及びニッケル含有粒子からなる群より選択される少なくとも1種、更には、銀粒子等を含有してもよい。
電極形成用組成物は、金属粒子としてリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の少なくとも1種を含み、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子中の銅含有率は60.0質量%〜95.0質量%である。電極形成用組成物は、必要に応じて、金属粒子としてリン含有銅合金粒子、錫含有粒子、及びニッケル含有粒子からなる群より選択される少なくとも1種、更には、銀粒子等を含有してもよい。
電極形成用組成物における金属粒子の含有率は特に限定されない。金属粒子の含有率は、電極形成用組成物中、例えば、65.0質量%〜質量%であることが好ましく、68.0質量%〜92.0質量%であることがより好ましく、70.0質量%〜90.0質量%であることが更に好ましい。金属粒子の含有率が65.0質量%以上であることで、電極形成用組成物を付与する際に好適な粘度に調整しやすい傾向にある。また金属粒子の含有率が95.0質量%以下であることで、電極形成用組成物を付与する際のかすれの発生が効果的に抑制される傾向にある。
−リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子−
電極形成用組成物は、金属粒子としてリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の少なくとも1種を含む。一般にリンを含む銅合金としては、リン銅ろう(リン濃度:7質量%程度以下)と呼ばれるろう付け材料が知られている。リン銅ろうは、銅と銅との接合材としても用いられるものである。電極形成用組成物に金属粒子としてリンを含む銅合金粒子を用いることで、リンの銅酸化物に対する還元性を利用し、耐酸化性に優れ、抵抗率の低い電極を形成することができる。
電極形成用組成物は、金属粒子としてリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の少なくとも1種を含む。一般にリンを含む銅合金としては、リン銅ろう(リン濃度:7質量%程度以下)と呼ばれるろう付け材料が知られている。リン銅ろうは、銅と銅との接合材としても用いられるものである。電極形成用組成物に金属粒子としてリンを含む銅合金粒子を用いることで、リンの銅酸化物に対する還元性を利用し、耐酸化性に優れ、抵抗率の低い電極を形成することができる。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子は、リンに加えて錫とニッケルとを更に含む銅合金の粒子である。銅合金粒子が錫及びニッケルを含むことにより、後述する熱処理(焼成)工程において、抵抗率が低く、密着性に優れる電極を形成することができ、また電極の耐酸化性を更に向上させることができる。
これは、例えば、以下のように考えることができる。銅合金粒子がリンと錫とを含むと、後述する熱処理(焼成)工程でリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子中のリン、錫及び銅が互いに反応して、Cu−Sn合金相及びSn−P−Oガラス相を形成する。Cu−Sn合金相の形成により、低抵抗率の電極を形成することができる。ここで、Cu−Sn合金相は、500℃程度の比較的低温で生成する。銅合金粒子がニッケルを含むことで、上記で形成されたCu−Sn合金相とニッケルが更に反応し、Cu−Sn−Ni合金相を形成すると考えられる。このCu−Sn−Ni合金相は500℃以上の高温(例えば、800℃)でも形成されることがある。結果として、高温での熱処理(焼成)工程でも耐酸化性を保ったまま低抵抗率の電極を形成できる。
また、Cu−Sn−Ni合金相は、Cu−Sn−Ni合金相同士で、電極内で緻密なバルク体を形成する。このバルク体が導電部として機能することで、電極の低抵抗率化が図られる。ここでいう緻密なバルク体とは、塊状のCu−Sn−Ni合金相が互いに密に接触し、三次元的に連続している構造が形成されていることを意味する。このような構造が形成されていることは、電極を形成した基板について、電極形成面と垂直方向の任意の断面を、走査型電子顕微鏡(例えば、(株)日立ハイテクノロジーズ、TM−1000型走査型電子顕微鏡)を用いて、100倍〜10000倍の倍率で観察することによって確認することができる。ここで、観察用の断面は、リファインテック(株)のRCO−961型ダイヤモンドカッター等により切断したときの断面とする。尚、切断後の観察用の断面は、切断機による切削傷等が残っていることがあるので、研磨紙等を用いて研磨し、観察断面の表面凹凸を除去することが好ましく、その後バフ等を用いて鏡面研磨することがより好ましい。
また、本発明の電極形成用組成物を用いて半導体基板上に電極を形成する場合、半導体基板に対する密着性の高い電極を形成することができ、更に電極と半導体基板とのオーミックコンタクトが良好となる。これはシリコンを含む半導体基板(以下、単に「シリコン基板」ともいう)を例に以下のように考えることができる。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子中のリンと錫とが熱処理(焼成)工程で反応して形成されるSn−P−Oガラス相は、電極内のCu−Sn−Ni合金相の三次元バルク体の間(空隙部)及び、Cu−Sn−Ni合金相とシリコン基板との間に存在する。Cu−Sn−Ni合金相及びSn−P−Oガラス相は互いに三次元に連続しており、また熱処理(焼成)して形成された後も混和しないため、電極自身の強度は高く保たれる。また、シリコン基板と電極との界面にSn−P−Oガラス相が介在することで、電極とシリコン基板との間の密着性が向上する。
また、Sn−P−Oガラス相が、銅とシリコンとの間での相互拡散を防止するためのバリア層として機能することで、熱処理(焼成)して形成される電極とシリコン基板とのオーミックコンタクトが良好になると考えることができる。すなわち、本発明の電極形成用組成物を用いることで、銅とシリコンとの反応を抑えて反応物相(Cu3Si)の形成を抑制し、半導体性能(例えば、pn接合特性)を低下させることなく、形成された電極のシリコン基板に対する密着性を保ちながら、電極とシリコン基板との良好なオーミックコンタクトを発現することができると考えられる。
このような効果は、シリコンを含む基板上に本発明の電極形成用組成物を用いて電極を形成する場合であれば、一般的に発現するものであるが、その他の半導体基板であっても同様の効果を期待することができ、半導体基板の種類は特に制限されるものではない。半導体基板としては、シリコン基板、リン化ガリウム基板、窒化ガリウム基板、ダイヤモンド基板、窒化アルミニウム基板、窒化インジウム基板、ヒ化ガリウム基板、ゲルマニウム基板、セレン化亜鉛基板、テルル化亜鉛基板、テルル化カドミウム基板、硫化カドミウム基板、リン化インジウム基板、炭化ケイ素基板、ケイ化ゲルマニウム基板、銅インジウムセレン基板等が挙げられる。中でも、シリコン基板に好適に用いることができる。尚、太陽電池形成用の半導体基板に限定されるものではなく、本発明の電極形成用組成物は太陽電池以外の半導体デバイスの製造に用いる半導体基板等にも用いることができる。
すなわち、電極形成用組成物中に金属粒子としてリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を含有することで、まず、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子中のリン原子の銅酸化物に対する還元性を利用し、耐酸化性に優れ、抵抗率の低い電極が形成される。次いで、合金粒子が錫及びニッケルを含有することで、得られる電極は抵抗率を低く保ったまま、Cu−Sn合金相又はCu−Sn−Ni合金相とSn−P−Oガラス相とが電極中に形成される。そして例えば、Sn−P−Oガラス相が、Cu−Sn合金相、又はCu−Sn−Ni合金相の三次元連続構造中に形成されることで、電極自身を緻密な構造にし、結果として電極内の強度の向上が得られる。また、Sn−P−Oガラス相が銅とシリコンの相互拡散を防止するためのバリア層として機能することで、銅を含む電極とシリコン基板との間に良好なオーミックコンタクトが形成される。このような特徴的な機構を、熱処理(焼成)工程で実現できると考えることができる。
上記のような効果は、電極形成用組成物中にリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を用いずに、例えば、リン含有銅合金粒子、錫含有粒子及びニッケル含有粒子を併用した場合でも得られる。しかし、電極形成用組成物中にリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を用いることで、例えば、リン含有銅合金粒子、錫含有粒子及びニッケル含有粒子を併用した場合に比べ、得られる電極は、抵抗率が更に低減し、またシリコン基板との密着力が向上する。
これは、例えば、以下のように考えることができる。電極形成用組成物中にリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を用いずに、例えば、リン含有銅合金粒子、錫含有粒子及びニッケル含有粒子を併用した場合でも、熱処理(焼成)工程で、上記金属粒子同士が反応することでCu−Sn−Ni合金相及びSn−P−Oガラス相を形成する。しかし、金属粒子同士の反応が進む一方で、別個の金属粒子としたことに起因して電極内に空隙部が形成されたり、Sn−P−Oガラス相が局所的に厚く形成されたりすることがある。これによりシリコン基板への電極の付着面積が小さくなる傾向にある。更には、熱処理(焼成)時の降温過程におけるSn−P−Oガラス相とCu−Sn−Ni合金相との熱膨張係数差により、Sn−P−Oガラス相とCu−Sn−Ni合金相との間での亀裂、又はSn−P−Oガラス相内の亀裂が生じやすくなる傾向がある。結果として、電極内の強度が低下し、電極に配線材料を接続する際の接続強度が保たれない等の問題を生じる可能性がある。
これに対し、本発明では電極形成用組成物中にリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を用いるため、電極を形成する元素が個々の合金粒子中に含まれることで、Cu−Sn−Ni合金相のネットワーク形成が均一に起こりやすく、形成される電極の抵抗率が低下する。また、Sn−P−Oガラス相は個々のリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子内から作り出されるため、Sn−P−Oガラス相を電極内に均一に分布させやすい。これにより、Sn−P−Oガラス相が局所的に厚く形成されることが抑制され、Sn−P−Oガラス相に起因する亀裂の発生が抑えられる。その結果として電極内の強度を向上させることができる。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を構成するリン−錫−ニッケル含有銅合金に含まれる銅含有率(つまり、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子中の銅含有率)は、電極の抵抗率の低減とSn−P−Oガラス相の形成能の観点から、60.0質量%〜95.0質量%であり、例えば、65.0質量%〜88.0質量%であることが好ましく、65質量%〜85.0質量%であることがより好ましい。
リン−錫−ニッケル含有銅合金に含まれる銅含有率が95.0質量%以下であることで、Sn−P−Oガラス相を効果的に形成することができ、シリコン基板に対する密着性とオーミックコンタクトに優れた電極を形成することができる。銅含有率が60.0質量%以上であることで、形成される電極の低抵抗率化が図られる。また、銅含有率が60.0質量%以上であると、形成される電極の組織が緻密化し、結果として電極内の強度及び半導体基板との密着性が向上する。
リン−錫−ニッケル含有銅合金に含まれる銅含有率が95.0質量%以下であることで、Sn−P−Oガラス相を効果的に形成することができ、シリコン基板に対する密着性とオーミックコンタクトに優れた電極を形成することができる。銅含有率が60.0質量%以上であることで、形成される電極の低抵抗率化が図られる。また、銅含有率が60.0質量%以上であると、形成される電極の組織が緻密化し、結果として電極内の強度及び半導体基板との密着性が向上する。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を構成するリン−錫−ニッケル含有銅合金に含まれるリン含有率は特に制限されない。耐酸化性の向上(電極の低抵抗率化)とSn−P−Oガラス相の形成能の観点から、例えば、リン含有率が2.0質量%〜15.0質量%であることが好ましく、2.5質量%〜12.0質量%であることがより好ましく、3.0質量%〜10.0質量%であることが更に好ましい。リン−錫−ニッケル含有銅合金に含まれるリン含有率が15.0質量%以下であることで、低い抵抗率を有する電極を得ることが可能であり、またリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の生産性に優れる傾向にある。また、リン−錫−ニッケル含有銅合金に含まれるリン含有率を2.0質量%以上とすることで、Sn−P−Oガラス相を効果的に形成することができ、半導体基板に対する密着性とオーミックコンタクトに優れた電極を形成することができる傾向にある。上記含有率を満たすリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子は、電極形成用合金粒子として好適に用いることができる。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を構成するリン−錫−ニッケル含有銅合金に含まれる錫含有率は特に制限されない。耐酸化性、熱処理(焼成)時の銅及びニッケルとの反応性並びにSn−P−Oガラス相の形成能の観点から、リン−錫−ニッケル含有銅合金に含まれる錫含有率は、例えば、3.0質量%〜30.0質量%であることが好ましく、4.0質量%〜25.0質量%であることがより好ましく、5.0質量%〜20.0質量%であることが更に好ましい。リン−錫−ニッケル含有銅合金に含まれる錫含有率が30.0質量%以下であることで、低抵抗率のCu−Sn−Ni合金相を形成することができる傾向にある。また、リン−錫−ニッケル含有銅合金に含まれる錫含有率を3.0質量%以上とすることで、熱処理(焼成)時の銅及びニッケルとの反応性、並びにリンとの反応性が向上し、Cu−Sn−Ni合金相及びSn−P−Oガラス相を効果的に形成することができる傾向にある。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を構成するリン−錫−ニッケル含有銅合金に含まれるニッケル含有率は特に制限されない。耐酸化性の観点から、リン−錫−ニッケル含有銅合金に含まれるニッケル含有率は、例えば、3.0質量%〜30.0質量%であることが好ましく、3.5質量%〜25.0質量%であることがより好ましく、4.0質量%〜20.0質量%であることが更に好ましい。リン−錫−ニッケル含有銅合金に含まれるニッケル含有率が30.0質量%以下であることで、低抵抗率のCu−Sn−Ni合金相を効果的に形成することができる傾向にある。また、リン−錫−ニッケル含有銅合金に含まれるニッケル含有率を3.0質量%以上とすることで、特に500℃以上の高温領域での耐酸化性を向上させることができる傾向にある。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を構成するリン−錫−ニッケル含有銅合金に含まれるリン含有率、錫含有率、及びニッケル含有率の組み合わせとしては、耐酸化性、得られる電極の抵抗率、熱処理(焼成)時の銅、リン、錫及びニッケルの反応性、Sn−P−Oガラス相の形成能、並びに電極とシリコン基板との密着性の観点から、例えば、リン含有率が2.0質量%〜15.0質量%であって、且つ錫含有率が3.0質量%〜30.0質量%であって、且つニッケル含有率が3.0質量%〜30.0質量%であることが好ましく、リン含有率が2.5質量%〜12.0質量%であって、且つ錫含有率が4.0質量%〜25.0質量%であって、且つニッケル含有率が3.5質量%〜25.0質量%であることがより好ましく、リン含有率が3.0質量%〜10.0質量%であって、且つ錫含有率が5.0質量%〜20.0質量%であって、且つニッケル含有率が4.0質量%〜20.0質量%であることが更に好ましい。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子は、リンと錫とニッケルとを含む銅合金粒子であるが、不可避的に混入する他の原子を更に含んでいてもよい。不可避的に混入する他の原子としては、例えば、Ag、Mn、Sb、Si、K、Na、Li、Ba、Sr、Ca、Mg、Be、Zn、Pb、Cd、Tl、V、Al、Zr、W、Mo、Ti、Co、Au及びBiを挙げることができる。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子に含まれる不可避的に混入する他の原子の含有率は、例えば、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子中に3質量%以下とすることができ、耐酸化性と電極の低抵抗率化の観点から、1質量%以下であることが好ましい。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子に含まれる不可避的に混入する他の原子の含有率は、例えば、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子中に3質量%以下とすることができ、耐酸化性と電極の低抵抗率化の観点から、1質量%以下であることが好ましい。
尚、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を構成するリン−錫−ニッケル含有銅合金における各元素の含有率は、誘導結合プラズマ質量分析(Inductively Coupled Plasma-Mass Spectrometry、ICP−MS)法の定量分析によって測定することができる。
また、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を構成するリン−錫−ニッケル含有銅合金における各元素の含有率は、エネルギー分散型X線分光(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy、EDX)法の定量分析によって測定することもできる。具体的には、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を樹脂に埋め込み、硬化させた後にダイヤモンドカッター等で切断し、必要に応じて耐水研磨紙、研磨液等を用いて研磨し、得られた断面にあるリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の断面を分析することが好ましい。この理由は、例えば、以下のように考えることができる。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子はリンを含有しているため、取り扱う環境によっては、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の吸湿が生じ、その結果として、粒子の表面が酸化される可能性がある。この酸化によって生じた皮膜はごく表面に形成され、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の品質に影響をほとんど与えないと考えられるが、粒子表面における酸素の含有率の増加等によって、粒子表面と粒子内部とで各金属元素の含有率に差が生じてしまう可能性がある。従って、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子中の各元素の含有率を測定する際は、粒子表面ではなく、粒子断面を測定することが好ましいと考えられる。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子は、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子中の銅含有率が60.0質量%〜95.0質量%であれば、1種単独で用いても、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明において「リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の2種以上を組み合わせて用いる」とは、成分比率が異なるものの粒子径、粒度分布等の粒子形状が同じである2種以上のリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を組み合わせて用いる場合、成分比率は同じであるものの粒子形状の異なる2種以上のリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を組み合わせて用いる場合、成分比率及び粒子形状がともに異なる2種以上のリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を組み合わせて用いる場合等が挙げられる。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の粒子径としては特に制限はない。粒度分布において小径側から積算した体積が50%の場合における粒子径(以下、「D50%」と略記することがある)が、例えば、0.4μm〜10μmであることが好ましく、1μm〜7μmであることがより好ましい。リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子のD50%を0.4μm以上とすることで、耐酸化性が効果的に向上する傾向がある。リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子のD50%を10μm以下とすることで、電極中におけるリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子同士の接触面積が大きくなり、電極の抵抗率が効果的に低下する傾向がある。
尚、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の粒子径は、レーザー回折式粒度分布計(例えば、ベックマン・コールター(株)、LS 13 320型レーザー散乱回折法粒度分布測定装置)によって測定される。具体的には、溶剤(テルピネオール)125gに、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を0.01質量%〜0.3質量%の範囲内で添加し、分散液を調製する。この分散液の約100ml程度をセルに注入して25℃で測定する。粒度分布は溶媒の屈折率を1.48として測定する。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の形状としては特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等のいずれであってもよい。耐酸化性と電極の低抵抗率化の観点から、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の形状は、略球状、扁平状又は板状であることが好ましい。
金属粒子の含有率を100.0質量%としたときのリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の含有率は、例えば、10.0質量%〜100.0質量%であることが好ましく、10.0質量%〜98.0質量%であることがより好ましく、15.0質量%〜96.0質量%であることが更に好ましく、20.0質量%〜95.0質量%であることが特に好ましく、25.0質量%〜92.0質量%であることが極めて好ましい。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の含有率を10.0質量%以上とすることで、電極内の空隙部を効果的に低減させ、電極を緻密化させることができる傾向にある。またリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の含有率を98.0質量%以下とすることで、他の金属粒子を含有したことによる電極の低抵抗率化、シリコン基板への電極の密着力の向上等の効果を発現させることができる傾向にある。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の含有率を10.0質量%以上とすることで、電極内の空隙部を効果的に低減させ、電極を緻密化させることができる傾向にある。またリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の含有率を98.0質量%以下とすることで、他の金属粒子を含有したことによる電極の低抵抗率化、シリコン基板への電極の密着力の向上等の効果を発現させることができる傾向にある。
リン−錫−ニッケル含有銅合金は、通常用いられる方法で製造することができる。また、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子は、所望の銅含有率、リン含有率、錫含有率、及びニッケル含有率となるように調製したリン−錫−ニッケル含有銅合金を用いて、金属粉末を調製する通常の方法を用いて調製することができる。例えば、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子は、水アトマイズ法を用いて定法により製造することができる。尚、水アトマイズ法の詳細については金属便覧(丸善(株)出版事業部)等の記載を参照することができる。
具体的には、リン−錫−ニッケル含有銅合金を溶融し、これをノズル噴霧によって粉末化した後、得られた粉末を乾燥及び分級することで、所望のリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を製造することができる。また、分級条件を適宜選択することで所望の粒子径を有するリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を製造することができる。
具体的には、リン−錫−ニッケル含有銅合金を溶融し、これをノズル噴霧によって粉末化した後、得られた粉末を乾燥及び分級することで、所望のリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を製造することができる。また、分級条件を適宜選択することで所望の粒子径を有するリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を製造することができる。
電極形成用組成物は、金属粒子として、リン含有銅合金粒子、錫含有粒子、及びニッケル含有粒子からなる群より選択される少なくとも1種を更に含んでいてもよい。また、電極形成用組成物は、金属粒子として、銀粒子を更に含んでいてもよい。
−リン含有銅合金粒子−
電極形成用組成物は、金属粒子としてリン含有銅合金粒子の少なくとも1種を更に含んでもよい。リン含有銅合金粒子を含むことで、形成された電極の抵抗率が低下し、半導体基板に対する電極の密着力が向上する傾向にある。これは例えば、以下のようにして考えることができる。すなわち、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の組成とリン含有銅合金粒子の組成との組み合わせによっては、リン含有銅合金粒子の方が、熱処理(焼成)時に低い温度で、且つ大きな発熱を伴って反応を開始することがある。これにより、熱処理(焼成)中の電極形成用組成物が比較的低温の状態から、発熱を伴うことで、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の反応(Cu−Sn−Ni合金相の形成、及びSn−P−Oガラス相の形成)を促進させることができる。
電極形成用組成物は、金属粒子としてリン含有銅合金粒子の少なくとも1種を更に含んでもよい。リン含有銅合金粒子を含むことで、形成された電極の抵抗率が低下し、半導体基板に対する電極の密着力が向上する傾向にある。これは例えば、以下のようにして考えることができる。すなわち、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の組成とリン含有銅合金粒子の組成との組み合わせによっては、リン含有銅合金粒子の方が、熱処理(焼成)時に低い温度で、且つ大きな発熱を伴って反応を開始することがある。これにより、熱処理(焼成)中の電極形成用組成物が比較的低温の状態から、発熱を伴うことで、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の反応(Cu−Sn−Ni合金相の形成、及びSn−P−Oガラス相の形成)を促進させることができる。
更に、リン含有銅合金粒子自身も熱処理(焼成)工程においてリンによる還元で銅を生じることがあり、電極全体としての抵抗率を低くできると考えられる。またリン含有銅合金粒子が、熱処理(焼成)によってリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子由来のCu−Sn−Ni合金相及びSn−P−Oガラス相からなるネットワークに参加することで、電極全体の抵抗率が低減するほか、電極の組織が緻密化し、結果として電極内の強度及び半導体基板との密着性が向上すると考えられる。
電極形成用組成物にリン含有銅合金粒子を含有させる場合のリン含有銅合金粒子に含まれるリン含有率としては、耐酸化性と熱処理(焼成)中の発熱効果の観点から、例えば、0.1質量%〜8.0質量%であることが好ましく、0.2質量%〜8.0質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜7.7質量%であることが更に好ましい。
リン含有銅合金粒子は、銅とリンを含む合金であるが、不可避的に混入する他の原子を更に含んでいてもよい。不可避的に混入する他の原子としては、例えば、Ag、Mn、Sb、Si、K、Na、Li、Ba、Sr、Ca、Mg、Be、Zn、Pb、Cd、Tl、V、Sn、Al、Zr、W、Mo、Ti、Co、Ni、Au及びBiを挙げることができる。
但し、他の原子としてSn又はNiを含む場合には、リン含有銅合金粒子中に含まれるSn又はNiの含有率はそれぞれ1.0質量%未満である。
また前記リン含有銅合金粒子に含まれる不可避的に混入する他の原子の含有率は、例えば、リン含有銅合金粒子中に3質量%以下とすることができ、耐酸化性と電極の抵抗率化の観点から、1質量%以下であることが好ましい。
但し、他の原子としてSn又はNiを含む場合には、リン含有銅合金粒子中に含まれるSn又はNiの含有率はそれぞれ1.0質量%未満である。
また前記リン含有銅合金粒子に含まれる不可避的に混入する他の原子の含有率は、例えば、リン含有銅合金粒子中に3質量%以下とすることができ、耐酸化性と電極の抵抗率化の観点から、1質量%以下であることが好ましい。
また、リン含有銅合金粒子は、1種単独でも又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明において「リン含有銅合金粒子の2種以上を組み合わせて用いる」とは、成分比率が異なるものの粒子径、粒度分布等の粒子形状が同じである2種以上のリン含有銅合金粒子を組み合わせて用いる場合、成分比率は同じであるものの粒子形状の異なる2種以上のリン含有銅合金粒子を組み合わせて用いる場合、成分比率及び粒子形状がともに異なる2種以上のリン含有銅合金粒子を組み合わせて用いる場合等が挙げられる。
リン含有銅合金粒子の粒子径としては特に制限はなく、D50%が、例えば、0.4μm〜10μmであることが好ましく、1μm〜7μmであることがより好ましい。リン含有銅合金粒子のD50%を0.4μm以上とすることで、効果的に耐酸化性が向上する傾向にある。また、リン含有銅合金粒子のD50%を10μm以下とすることで、電極中におけるリン含有銅合金粒子と、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子並びに後述するように必要に応じて添加される錫含有粒子、ニッケル含有粒子及び銀粒子との接触面積が大きくなり、電極の抵抗率が効果的に低下する傾向にある。
尚、リン含有銅合金粒子の粒子径(D50%)の測定方法は、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の粒子径の測定方法と同様である。
また、リン含有銅合金粒子の形状としては特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等のいずれであってもよい。耐酸化性と電極の低抵抗率化の観点から、リン含有銅合金粒子の形状は、略球状、扁平状又は板状であることが好ましい。
尚、リン含有銅合金粒子の粒子径(D50%)の測定方法は、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の粒子径の測定方法と同様である。
また、リン含有銅合金粒子の形状としては特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等のいずれであってもよい。耐酸化性と電極の低抵抗率化の観点から、リン含有銅合金粒子の形状は、略球状、扁平状又は板状であることが好ましい。
また電極形成用組成物が金属粒子としてリン含有銅合金粒子を含む場合、金属粒子の含有率を100.0質量%としたときのリン含有銅合金粒子の含有率は、例えば、0.1質量%〜50.0質量%であることが好ましく、0.5質量%〜45.0質量%であることがより好ましい。
尚、上記リン含有銅合金粒子中のリン、銅及びその他の原子の含有率についても、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子と同様に、誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)法、又はエネルギー分散型X線分光(EDX)法の定量分析によって測定することができる。
−錫含有粒子−
電極形成用組成物は、金属粒子として錫含有粒子の少なくとも1種を更に含んでもよい。錫含有粒子を含むことで、得られる電極内の強度が向上し、半導体基板に対する電極の密着力が向上する傾向にある。これは例えば、以下のようにして考えることができる。すなわち、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子と錫含有粒子の組み合わせによっては、Sn−P−Oガラス相の生成を促進させることができ、電極内の空隙部を低減させる(電極組織を緻密化させる)ことができる。その結果として、電極内の強度が向上し、半導体基板に対する電極の密着力が向上すると考えられる。
電極形成用組成物は、金属粒子として錫含有粒子の少なくとも1種を更に含んでもよい。錫含有粒子を含むことで、得られる電極内の強度が向上し、半導体基板に対する電極の密着力が向上する傾向にある。これは例えば、以下のようにして考えることができる。すなわち、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子と錫含有粒子の組み合わせによっては、Sn−P−Oガラス相の生成を促進させることができ、電極内の空隙部を低減させる(電極組織を緻密化させる)ことができる。その結果として、電極内の強度が向上し、半導体基板に対する電極の密着力が向上すると考えられる。
錫含有粒子としては、錫を含む粒子であれば特に制限はない。中でも、錫粒子及び錫合金粒子からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、錫粒子及び錫含有率が1.0質量%以上である錫合金粒子からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
錫粒子における錫の純度は特に制限されない。例えば、錫粒子の純度は、95.0質量%以上とすることができ、97.0質量%以上であることが好ましく、99.0質量%以上であることがより好ましい。
錫粒子における錫の純度は特に制限されない。例えば、錫粒子の純度は、95.0質量%以上とすることができ、97.0質量%以上であることが好ましく、99.0質量%以上であることがより好ましい。
また錫合金粒子は、錫を含む合金粒子であれば合金の種類は制限されない。中でも、錫合金粒子の融点、及び熱処理(焼成)時のリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子との反応性の観点から、例えば、錫の含有率が1.0質量%以上の錫合金粒子であることが好ましく、錫の含有率が3.0質量%以上の錫合金粒子であることがより好ましく、錫含有率が10.0質量%以上の錫合金粒子であることが更に好ましい。
錫合金粒子を構成する合金としては、Sn−Ag合金、Sn−Cu合金、Sn−Ag−Cu合金、Sn−Ag−Sb合金、Sn−Ag−Sb−Zn合金、Sn−Ag−Cu−Zn合金、Sn−Ag−Cu−Sb合金、Sn−Ag−Bi合金、Sn−Bi合金、Sn−Ag−Cu−Bi合金、Sn−Ag−In−Bi合金、Sn−Sb合金、Sn−Bi−Cu合金、Sn−Bi−Cu−Zn合金、Sn−Bi−Zn合金、Sn−Bi−Sb−Zn合金、Sn−Zn合金、Sn−In合金、Sn−Zn−In合金、Sn−Pb合金等が挙げられる。
錫合金粒子を構成する合金のうち、特に、Sn−3.5Ag、Sn−0.7Cu、Sn−3.2Ag−0.5Cu、Sn−4Ag−0.5Cu、Sn−2.5Ag−0.8Cu−0.5Sb、Sn−2Ag−7.5Bi、Sn−3Ag−5Bi、Sn−58Bi、Sn−3.5Ag−3In−0.5Bi、Sn−3Bi−8Zn、Sn−9Zn、Sn−52In、Sn−40Pb等の錫合金は、その融点がSnの融点(232℃)と同じか、又はそれよりも低い。そのため、これら錫合金で構成される錫合金粒子は熱処理(焼成)の初期段階で溶融することで、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の表面を覆い、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子と均一に反応することができるという点で、好適に用いることができる。尚、錫合金粒子における表記は、例えば、Sn−AX−BY−CZの場合は、錫合金粒子の中に、元素XがA質量%、元素YがB質量%、元素ZがC質量%含まれていることを示す。
これらの錫含有粒子は1種単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明において「錫含有粒子の2種以上を組み合わせて用いる」とは、成分比率が異なるものの粒子径、粒度分布等の粒子形状が同じである2種以上の錫含有粒子を組み合わせて用いる場合、成分比率は同じであるものの粒子形状の異なる2種以上の錫含有粒子を組み合わせて用いる場合、成分比率及び粒子形状がともに異なる2種以上の錫含有粒子を組み合わせて用いる場合等が挙げられる。
錫含有粒子は不可避的に混入する他の原子を更に含んでいてもよい。不可避に混入する他の原子としては、例えば、Ag、Mn、Sb、Si、K、Na、Li、Ba、Sr、Ca、Mg、Be、Zn、Pb、Cd、Tl、V、Al、Zr、W、Mo、Ti、Co、Ni、Au、及びBiを挙げることができる。但し、他の原子としてNiを含む場合には、錫含有粒子中に含まれるNiの含有率は1.0質量%未満である。
また、錫含有粒子に含まれる不可避的に混入する他の原子の含有率は、例えば、錫含有粒子中に3.0質量%以下とすることができ、融点及びリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子との反応性の観点から、1.0質量%以下であることが好ましい。
また、錫含有粒子に含まれる不可避的に混入する他の原子の含有率は、例えば、錫含有粒子中に3.0質量%以下とすることができ、融点及びリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子との反応性の観点から、1.0質量%以下であることが好ましい。
錫含有粒子の粒子径(D50%)としては特に制限はない。錫含有粒子のD50%は、例えば、0.5μm〜20μmであることが好ましく、1μm〜15μmであることがより好ましく、3μm〜15μmであることが更に好ましい。
錫含有粒子のD50%を0.5μm以上とすることで、錫含有粒子自身の耐酸化性が向上する傾向にある。また、錫含有粒子のD50%を20μm以下とすることで、電極中における錫含有粒子と、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子並びに必要に応じて含有されるリン含有銅合金粒子、銀粒子及びニッケル含有粒子との接触面積が大きくなり、熱処理(焼成)中の反応が効果的に進む傾向にある。
錫含有粒子のD50%を0.5μm以上とすることで、錫含有粒子自身の耐酸化性が向上する傾向にある。また、錫含有粒子のD50%を20μm以下とすることで、電極中における錫含有粒子と、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子並びに必要に応じて含有されるリン含有銅合金粒子、銀粒子及びニッケル含有粒子との接触面積が大きくなり、熱処理(焼成)中の反応が効果的に進む傾向にある。
尚、錫含有粒子の粒子径(D50%)の測定方法は、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の粒子径の測定方法と同様である。
また、錫含有粒子の形状としては特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等のいずれであってもよい。耐酸化性と電極の低抵抗率化の観点から、錫含有粒子の形状は、略球状、扁平状又は板状であることが好ましい。
また、錫含有粒子の形状としては特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等のいずれであってもよい。耐酸化性と電極の低抵抗率化の観点から、錫含有粒子の形状は、略球状、扁平状又は板状であることが好ましい。
金属粒子の含有率を100.0質量%としたときの錫含有粒子の含有率は、例えば、0.1質量%〜50.0質量%であることが好ましく、0.5質量%〜45.0質量%であることがより好ましい。
−ニッケル含有粒子−
電極形成用組成物は、金属粒子としてニッケル含有粒子の少なくとも1種を更に含んでもよい。ニッケル含有粒子を含むことで、熱処理(焼成)工程において、高温での耐酸化性を発現させる傾向にある。
電極形成用組成物は、金属粒子としてニッケル含有粒子の少なくとも1種を更に含んでもよい。ニッケル含有粒子を含むことで、熱処理(焼成)工程において、高温での耐酸化性を発現させる傾向にある。
ニッケル含有粒子としては、ニッケルを含む粒子であれば特に制限はない。中でも、ニッケル粒子及びニッケル合金粒子からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、ニッケル粒子及びニッケル含有率が1.0質量%以上であるニッケル合金粒子からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
ニッケル粒子におけるニッケルの純度は特に制限されない。例えば、ニッケル粒子の純度は、95.0質量%以上とすることができ、97.0質量%以上であることが好ましく、99.0質量%以上であることがより好ましい。
ニッケル粒子におけるニッケルの純度は特に制限されない。例えば、ニッケル粒子の純度は、95.0質量%以上とすることができ、97.0質量%以上であることが好ましく、99.0質量%以上であることがより好ましい。
ニッケル合金粒子は、ニッケルを含む合金粒子であれば合金の種類は制限されない。中でも、ニッケル合金粒子の融点、及びリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子との熱処理(焼成)時の反応性の観点から、例えば、ニッケルの含有率が1.0質量%以上のニッケル合金粒子であることが好ましく、ニッケル含有率が3.0質量%以上のニッケル合金粒子であることがより好ましく、ニッケルの含有率が5.0質量%以上のニッケル合金粒子であることが更に好ましく、ニッケルの含有率が10.0質量%以上のニッケル合金粒子であることが特に好ましい。
ニッケル合金粒子を構成する合金としては、Ni−Fe合金、Ni−Cu合金、Ni−Cu−Zn合金、Ni−Cr合金、Ni−Cr−Ag合金等が挙げられる。
特に、Ni−58Fe、Ni−75Cu、Ni−6Cu−20Zn等で構成されるニッケル合金粒子は、熱処理(焼成)時にリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子と均一的に反応することができるという点で、好適に用いることができる。尚、ニッケル合金粒子における表記は、例えば、Ni−AX−BY−CZの場合は、ニッケル合金粒子の中に、元素XがA質量%、元素YがB質量%、元素ZがC質量%含まれていることを示す。
特に、Ni−58Fe、Ni−75Cu、Ni−6Cu−20Zn等で構成されるニッケル合金粒子は、熱処理(焼成)時にリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子と均一的に反応することができるという点で、好適に用いることができる。尚、ニッケル合金粒子における表記は、例えば、Ni−AX−BY−CZの場合は、ニッケル合金粒子の中に、元素XがA質量%、元素YがB質量%、元素ZがC質量%含まれていることを示す。
これらのニッケル含有粒子は1種単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明において「ニッケル含有粒子の2種以上を組み合わせて用いる」とは、成分比率が異なるものの粒子径、粒度分布等の粒子形状が同じである2種以上のニッケル含有粒子を組み合わせて用いる場合、成分比率は同じであるものの粒子形状の異なる2種以上のニッケル含有粒子を組み合わせて用いる場合、成分比率及び粒子形状がともに異なる2種以上のニッケル含有粒子を組み合わせて用いる場合等が挙げられる。
本発明において「ニッケル含有粒子の2種以上を組み合わせて用いる」とは、成分比率が異なるものの粒子径、粒度分布等の粒子形状が同じである2種以上のニッケル含有粒子を組み合わせて用いる場合、成分比率は同じであるものの粒子形状の異なる2種以上のニッケル含有粒子を組み合わせて用いる場合、成分比率及び粒子形状がともに異なる2種以上のニッケル含有粒子を組み合わせて用いる場合等が挙げられる。
ニッケル含有粒子は、不可避的に混入する他の原子を更に含んでいてもよい。不可避的に混入する他の原子としては、例えば、Ag、Mn、Sb、Si、K、Na、Li、Ba、Sr、Ca、Mg、Be、Zn、Pb、Cd、Tl、V、Al、Zr、W、Mo、Ti、Co、Sn、Au、及びBiを挙げることができる。但し、他の原子としてSnを含む場合には、ニッケル含有粒子中に含まれるSnの含有率は1.0質量%未満である。
また、ニッケル含有粒子に含まれる不可避的に混入する他の原子の含有率は、例えば、ニッケル含有粒子中に3.0質量%以下とすることができ、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子との反応性の観点から、1.0質量%以下であることが好ましい。
また、ニッケル含有粒子に含まれる不可避的に混入する他の原子の含有率は、例えば、ニッケル含有粒子中に3.0質量%以下とすることができ、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子との反応性の観点から、1.0質量%以下であることが好ましい。
ニッケル含有粒子の粒子径としては特に制限はない。ニッケル含有粒子のD50%は、例えば、0.5μm〜20μmであることが好ましく、1μm〜15μmであることがより好ましく、3μm〜15μmであることが更に好ましい。
ニッケル含有粒子のD50%を0.5μm以上とすることで、ニッケル含有粒子自身の耐酸化性が向上する傾向にある。また、ニッケル含有粒子のD50%を20μm以下とすることで電極中におけるリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子との接触面積が大きくなり、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子との熱処理(焼成)時の反応が効果的に進む傾向にある。
尚、ニッケル含有粒子の粒子径(D50%)の測定方法は、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の粒子径の測定方法と同様である。
ニッケル含有粒子の形状としては特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等のいずれであってもよい。耐酸化性と電極の低抵抗率化の観点から、ニッケル含有粒子の形状は、略球状、扁平状又は板状であることが好ましい。
ニッケル含有粒子のD50%を0.5μm以上とすることで、ニッケル含有粒子自身の耐酸化性が向上する傾向にある。また、ニッケル含有粒子のD50%を20μm以下とすることで電極中におけるリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子との接触面積が大きくなり、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子との熱処理(焼成)時の反応が効果的に進む傾向にある。
尚、ニッケル含有粒子の粒子径(D50%)の測定方法は、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の粒子径の測定方法と同様である。
ニッケル含有粒子の形状としては特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等のいずれであってもよい。耐酸化性と電極の低抵抗率化の観点から、ニッケル含有粒子の形状は、略球状、扁平状又は板状であることが好ましい。
電極形成用組成物が金属粒子としてニッケル含有粒子を含む場合、ニッケル含有粒子の含有率は特に制限されない。中でも、金属粒子の含有率を100.0質量%としたときのニッケル含有粒子の含有率が、例えば、0.1質量%〜50.0質量%であることが好ましく、0.5質量%〜45.0質量%であることがより好ましい。
−銀粒子−
電極形成用組成物は、金属粒子として銀粒子の少なくとも1種を更に含んでもよい。銀粒子を含むことで、耐酸化性が向上し、電極の抵抗率が低下する傾向にある。また、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の反応によって生成したSn−P−Oガラス相の中にAg粒子が析出することで、電極中のCu−Sn−Ni合金相と半導体基板のオーミックコンタクト性が向上する傾向にある。更に、太陽電池モジュールとした場合のはんだ接続性が向上する傾向にある。
電極形成用組成物は、金属粒子として銀粒子の少なくとも1種を更に含んでもよい。銀粒子を含むことで、耐酸化性が向上し、電極の抵抗率が低下する傾向にある。また、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の反応によって生成したSn−P−Oガラス相の中にAg粒子が析出することで、電極中のCu−Sn−Ni合金相と半導体基板のオーミックコンタクト性が向上する傾向にある。更に、太陽電池モジュールとした場合のはんだ接続性が向上する傾向にある。
銀粒子を構成する銀は、不可避的に混入する他の原子を含んでいてもよい。不可避的に混入する他の原子としては、例えば、Mn、Sb、Si、K、Na、Li、Ba、Sr、Ca、Mg、Be、Zn、Pb、Cd、Tl、V、Sn、Al、Zr、W、Mo、Ti、Co、Ni、Au及びBiを挙げることができる。但し、他の原子としてSn又はNiを含む場合には、銀粒子中に含まれるSn又はNiの含有率はそれぞれ1.0質量%未満である。
また、銀粒子に含まれる不可避的に混入する他の原子の含有率は、例えば、銀粒子中に3質量%以下とすることができ、融点及び電極の低抵抗率化の観点から、1質量%以下であることが好ましい。
また、銀粒子に含まれる不可避的に混入する他の原子の含有率は、例えば、銀粒子中に3質量%以下とすることができ、融点及び電極の低抵抗率化の観点から、1質量%以下であることが好ましい。
銀粒子の粒子径としては特に制限はない。D50%として、例えば、0.4μm〜10μmであることが好ましく、1μm〜7μmであることがより好ましい。銀粒子のD50%を0.4μm以上とすることで、効果的に耐酸化性が向上する傾向にある。また、銀粒子のD50%を10μm以下とすることで、電極中における銀粒子と、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子並びに必要に応じて含有されるリン含有銅合金粒子、錫含有粒子及びニッケル含有粒子との接触面積が大きくなり、電極の抵抗率が効果的に低下する傾向にある。
尚、銀粒子の粒子径(D50%)の測定方法は、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の粒子径の測定方法と同様である。
また、銀粒子の形状としては特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等のいずれであってもよい。耐酸化性と電極の低抵抗率化の観点から、銀粒子の形状は、略球状、扁平状又は板状であることが好ましい。
また、銀粒子の形状としては特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等のいずれであってもよい。耐酸化性と電極の低抵抗率化の観点から、銀粒子の形状は、略球状、扁平状又は板状であることが好ましい。
また、電極形成用組成物が金属粒子として銀粒子を含む場合、金属粒子の含有率を100.0質量%としたときの銀粒子の含有率は、例えば、0.1質量%〜20.0質量%であることが好ましく、0.5質量%〜15.0質量%であることがより好ましい。
また、耐酸化性とSn−P−Oガラス相の形成能の観点から、金属粒子の含有率を100.0質量%としたときの銅含有率は、例えば、60.0質量%〜95.0質量%であることが好ましく、65.0質量%〜88.0質量%であることがより好ましく、70質量%〜85.0質量%であることが更に好ましい。
(ガラス粒子)
電極形成用組成物は、ガラス粒子の少なくとも1種を含む。電極形成用組成物がガラス粒子を含むことにより、熱処理(焼成)において、形成した電極と半導体基板との密着性が向上する。また、特に太陽電池の受光面側の電極形成において、熱処理(焼成)時にいわゆるファイアースルーによって反射防止層を構成する窒化ケイ素が取り除かれ、電極と半導体基板とのオーミックコンタクトが形成される。
電極形成用組成物は、ガラス粒子の少なくとも1種を含む。電極形成用組成物がガラス粒子を含むことにより、熱処理(焼成)において、形成した電極と半導体基板との密着性が向上する。また、特に太陽電池の受光面側の電極形成において、熱処理(焼成)時にいわゆるファイアースルーによって反射防止層を構成する窒化ケイ素が取り除かれ、電極と半導体基板とのオーミックコンタクトが形成される。
ガラス粒子は、形成される電極の低抵抗率化及び電極と半導体基板との密着性の向上の観点から、例えば、軟化点が650℃以下であり、結晶化開始温度が650℃を超えることが好ましい。尚、軟化点及び結晶化開始温度は、示差熱−熱重量分析装置(Thermo Gravimeter-Differential Thermal Analysis、TG−DTA)を用いて通常の方法によって測定される。
電極形成用組成物を太陽電池の受光面側の電極の形成に用いる場合、ガラス粒子は、電極形成温度で軟化又は溶融し、窒化ケイ素で構成される反射防止層に接触して窒化ケイ素を酸化して二酸化ケイ素を生成し、この二酸化ケイ素を取り込むことで、反射防止層を除去可能なものであれば、当該技術分野において通常用いられるガラス粒子を特に制限なく用いることができる。
一般に電極形成用組成物に含まれるガラス粒子は、二酸化ケイ素を効率よく取り込み可能になるという観点から、鉛を含むことが好ましい。このような鉛を含むガラスとしては、特許第3050064号公報等に記載のものを挙げることができ、本発明においてもこれらを好適に使用することができる。また、環境に対する影響を考慮すると、鉛を実質的に含まない鉛フリーガラスを用いることが好ましい。鉛フリーガラスとしては、特開2006−313744号公報の段落番号0024〜0025に記載の鉛フリーガラス、特開2009−188281号公報に記載の鉛フリーガラス等を挙げることができ、これらの鉛フリーガラスから適宜選択して適用することもまた好ましい。
電極形成用組成物を太陽電池の受光面側の電極以外の電極、例えば、裏面出力取出電極、バックコンタクト型太陽電池素子におけるスルーホール電極及び裏面電極の形成に用いる場合には、ガラス粒子は、例えば、軟化点が650℃以下であり、結晶化開始温度が650℃を超えることが好ましい。このようなガラス粒子であれば、鉛のようなファイアースルーに必要な成分を含まないガラス粒子を用いることができる。
ガラス粒子を構成するガラス成分としては、例えば、酸化ケイ素(SiO又はSiO2)、酸化リン(P2O5)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ホウ素(B2O3)、酸化バナジウム(V2O5)、酸化カリウム(K2O)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化リチウム(Li2O)、酸化バリウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉛(PbO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化スズ(SnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タングステン(WO3)、酸化モリブデン(MoO3)、酸化ランタン(La2O3)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化ゲルマニウム(GeO2)、酸化テルル(TeO2)、酸化ルテチウム(Lu2O3)、酸化アンチモン(Sb2O3)、酸化銅(CuO)、酸化鉄(FeO、Fe2O3又はFe3O4)、酸化銀(AgO又はAg2O)及び酸化マンガン(MnO)が挙げられる。
中でも、例えば、SiO2、P2O5、Al2O3、B2O3、V2O5、Bi2O3、ZnO及びPbOからなる群より選択される少なくとも1種を含むガラス粒子を用いることが好ましく、SiO2、PbO、B2O3、Bi2O3、及びAl2O3からなる群より選択される少なくとも1種を含むガラス粒子を用いることがより好ましい。このようなガラス粒子の場合には、軟化点が効果的に低下する傾向にある。更にこのようなガラス粒子は、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子との濡れ性が向上するため、熱処理(焼成)工程での前記粒子間の焼結が進み、抵抗率の低い電極を形成することができる傾向にある。
他方、電極の接触抵抗率を低下させる観点からは、例えば、五酸化二リンを含むガラス粒子(リン酸ガラス、P2O5ガラス粒子)であることが好ましく、五酸化二リンに加えて五酸化二バナジウムを更に含むガラス粒子(P2O5−V2O5ガラス粒子)であることがより好ましい。五酸化二バナジウムを更に含むことで、耐酸化性が向上し、電極の抵抗率が低下する傾向にある。これは、例えば、五酸化二バナジウムを更に含むことでガラスの軟化点が低下することに起因すると考えることができる。五酸化二リン−五酸化二バナジウムガラス粒子(P2O5−V2O5ガラス粒子)を用いる場合、五酸化二バナジウムの含有率としては、例えば、ガラスの全質量中に1質量%以上であることが好ましく、1質量%〜70質量%であることがより好ましい。
ガラス粒子の粒子径としては特に制限はない。ガラス粒子のD50%は、例えば、0.5μm〜10μmであることが好ましく、0.8μm〜8μmであることがより好ましい。ガラス粒子のD50%を0.5μm以上とすることで、電極形成用組成物の調製における作業性が向上する傾向にある。ガラス粒子のD50%を10μm以下とすることで、電極形成用組成物中にガラス粒子が均一に分散し、熱処理(焼成)工程で効率よくファイアースルーを生じることができ、更に、形成される電極の半導体基板との密着性も向上する傾向にある。
尚、ガラス粒子のD50%の測定方法は、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の粒子径の測定方法と同様である。
尚、ガラス粒子のD50%の測定方法は、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の粒子径の測定方法と同様である。
ガラス粒子の形状としては特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等のいずれであってもよい。耐酸化性と電極の低抵抗率化の観点から、ガラス粒子の形状は、略球状、扁平状又は板状であることが好ましい。
ガラス粒子の含有率としては電極形成用組成物の全質量中に、例えば、0.1質量%〜15.0質量%であることが好ましく、0.5質量%〜12.0質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜10.0質量%であることが更に好ましい。かかる範囲の含有率でガラス粒子を含むことで、効果的に耐酸化性、電極の低抵抗率化、及び低接触抵抗率化が達成される傾向にある。更に、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子間の接触、及び反応を促進させることができる傾向にある。
電極形成用組成物中において、金属粒子の質量に対するガラス粒子の質量の比(ガラス粒子/金属粒子)が、例えば、0.01〜0.20であることが好ましく、0.03〜0.15であることがより好ましい。かかる範囲の含有率でガラス粒子を含むことで、効果的に耐酸化性、電極の低抵抗率化、及び低接触抵抗率化が達成される傾向にある。更に、金属粒子間の接触、及び反応を促進させることができる傾向にある。
更に、金属粒子の粒子径(D50%)に対するガラス粒子の粒子径(D50%)の比(ガラス粒子/金属粒子)が、例えば、0.05〜100であることが好ましく、0.1〜20であることがより好ましい。かかる粒子径の比とすることで、効果的に耐酸化性、電極の低抵抗率化、及び低接触抵抗率化が達成される傾向にある。更に、金属粒子間の接触、及び反応を促進させることができる傾向にある。
(溶剤及び樹脂)
電極形成用組成物は、樹脂の少なくとも一種を含んでいてもよい。また、電極形成用組成物は、溶剤の少なくとも一種を含んでいてもよい。これにより電極形成用組成物の液物性(粘度、表面張力等)を、半導体基板等に付与する際の付与方法に適した範囲内に調製することができる。
電極形成用組成物は、樹脂の少なくとも一種を含んでいてもよい。また、電極形成用組成物は、溶剤の少なくとも一種を含んでいてもよい。これにより電極形成用組成物の液物性(粘度、表面張力等)を、半導体基板等に付与する際の付与方法に適した範囲内に調製することができる。
溶剤としては特に制限はない。溶剤としては、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素溶剤、ジクロロエチレン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、フラン、テトラヒドロピラン、ピラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、トリオキサン等の環状エーテル溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド溶剤、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール溶剤、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノプロピオネート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の多価アルコールのエステル溶剤、ブチルセルソルブ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールのエーテル溶剤、テルピネン、テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、ピネン、カルボン、オシメン、フェランドレン等のテルペン溶剤などが挙げられる。溶剤は、1種単独で用いても、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶剤としては、電極形成用組成物を半導体基板に付与する際の付与性(塗布性及び印刷性)の観点から、例えば、多価アルコールのエステル溶剤、テルペン溶剤及び多価アルコールのエーテル溶剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、多価アルコールのエステル溶剤及びテルペン溶剤からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
樹脂としては、熱処理(焼成)によって熱分解され得る樹脂であれば、当該技術分野において通常用いられる樹脂を特に制限なく用いることができ、天然高分子化合物であっても、合成高分子化合物であってもよい。具体的には、樹脂としては、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアクリル酸エチル等のアクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、ポリビニルブチラール等のブチラール樹脂、フェノール変性アルキド樹脂、ひまし油脂肪酸変性アルキド樹脂等のアルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ロジンエステル樹脂などを挙げることができる。樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂は、熱処理(焼成)における消失性の観点から、セルロース樹脂、及びアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
樹脂は、熱処理(焼成)における消失性の観点から、セルロース樹脂、及びアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
樹脂の重量平均分子量は特に制限されない。中でも樹脂の重量平均分子量は、例えば、5000〜500000が好ましく、10000〜300000であることがより好ましい。樹脂の重量平均分子量が5000以上であると、電極形成用組成物の粘度の増加が抑制できる傾向にある。これは例えば、樹脂を金属粒子に吸着させたときの立体的な反発作用が充分となり、これら樹脂同士の凝集が抑制されるためと考えることができる。一方、樹脂の重量平均分子量が500000以下であると、樹脂同士が溶剤中で凝集することが抑制され、電極形成用組成物の粘度の増加が抑制できる傾向にある。また樹脂の重量平均分子量が500000以下であると、樹脂の燃焼温度が高くなることが抑制され、電極形成用組成物を熱処理(焼成)する際に樹脂が燃焼されずに異物として残存することが抑制され、低抵抗率な電極を形成することができる傾向にある。
重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定される分子量分布から標準ポリスチレンの検量線を使用して換算して求められる。検量線は、標準ポリスチレンの5サンプルセット(PStQuick MP−H、PStQuick B、東ソー(株))を用いて3次元で近似する。GPCの測定条件は、以下の通りである。
・装置:(ポンプ:L−2130型[(株)日立ハイテクノロジーズ])、(検出器:L−2490型RI[(株)日立ハイテクノロジーズ])、(カラムオーブン:L−2350[(株)日立ハイテクノロジーズ])
・カラム:Gelpack GL−R440 + Gelpack GL−R450 + Gelpack GL−R400M(計3本)(日立化成(株))
・カラムサイズ:10.7mm×300mm(内径)
・溶離液:テトラヒドロフラン
・試料濃度:10mg/2mL
・注入量:200μL
・流量:2.05mL/分
・測定温度:25℃
・装置:(ポンプ:L−2130型[(株)日立ハイテクノロジーズ])、(検出器:L−2490型RI[(株)日立ハイテクノロジーズ])、(カラムオーブン:L−2350[(株)日立ハイテクノロジーズ])
・カラム:Gelpack GL−R440 + Gelpack GL−R450 + Gelpack GL−R400M(計3本)(日立化成(株))
・カラムサイズ:10.7mm×300mm(内径)
・溶離液:テトラヒドロフラン
・試料濃度:10mg/2mL
・注入量:200μL
・流量:2.05mL/分
・測定温度:25℃
電極形成用組成物が溶剤及び樹脂を含む場合、溶剤及び樹脂の含有率は、電極形成用組成物が所望の液物性となるように、使用する溶剤及び樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、溶剤及び樹脂の総含有率が、電極形成用組成物の全質量中、例えば、3.0質量%〜50質量%であることが好ましく、5.0質量%〜45質量%であることがより好ましく、7.0質量%〜40質量%であることが更に好ましい。
溶剤及び樹脂の総含有率が上記範囲内であることにより、電極形成用組成物を半導体基板に付与する際の付与適性が良好になり、所望の幅及び高さを有する電極を簡便に形成することができる傾向にある。
電極形成用組成物が溶剤及び樹脂を含む場合、溶剤及び樹脂の含有比は、電極形成用組成物が所望の液物性となるように、使用する溶剤及び樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。
溶剤及び樹脂の総含有率が上記範囲内であることにより、電極形成用組成物を半導体基板に付与する際の付与適性が良好になり、所望の幅及び高さを有する電極を簡便に形成することができる傾向にある。
電極形成用組成物が溶剤及び樹脂を含む場合、溶剤及び樹脂の含有比は、電極形成用組成物が所望の液物性となるように、使用する溶剤及び樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。
電極形成用組成物は、耐酸化性、電極の低抵抗率化及び半導体基板への密着性の観点から、例えば、金属粒子の含有率が65.0質量%〜95.0質量%であり、ガラス粒子の含有率が0.1質量%〜15.0質量%であることが好ましく、金属粒子の含有率が68.0質量%〜92.0質量%であり、ガラス粒子の含有率が0.5質量%〜12.0質量%であることがより好ましく、金属粒子の含有率が70.0質量%〜90.0質量%であり、ガラス粒子の含有率が1.0質量%〜10.0質量%であることが更に好ましい。
電極形成用組成物が溶剤及び樹脂を含む場合、電極形成用組成物は、耐酸化性、電極の低抵抗率化及び半導体基板への密着性の観点から、例えば、金属粒子の含有率が65.0質量%〜95.0質量%であり、ガラス粒子の含有率が0.1質量%〜15.0質量%であり、溶剤及び樹脂の総含有率が3.0質量%〜50質量%であることが好ましく、金属粒子の含有率が68.0質量%〜92.0質量%であり、ガラス粒子の含有率が0.5質量%〜12.0質量%であり、溶剤及び樹脂の総含有率が5.0質量%〜45質量%であることがより好ましく、金属粒子の含有率が70.0質量%〜90.0質量%であり、ガラス粒子の含有率が1.0質量%〜10.0質量%であり、溶剤及び樹脂の総含有率が7.0質量%〜40質量%であることが更に好ましい。
(フラックス)
電極形成用組成物は、フラックスの少なくとも1種を更に含有してもよい。フラックスを含むことで、金属粒子の表面に酸化膜が形成された場合に該酸化膜を除去し、熱処理(焼成)中のリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の反応を促進させることができる傾向にある。またフラックスを含むことで、電極と半導体基板との密着性が向上する傾向にある。
電極形成用組成物は、フラックスの少なくとも1種を更に含有してもよい。フラックスを含むことで、金属粒子の表面に酸化膜が形成された場合に該酸化膜を除去し、熱処理(焼成)中のリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の反応を促進させることができる傾向にある。またフラックスを含むことで、電極と半導体基板との密着性が向上する傾向にある。
フラックスとしては、金属粒子の表面に形成される酸化膜を除去可能であれば特に制限はない。具体的には、例えば、脂肪酸、ホウ酸化合物、フッ化化合物、及びホウフッ化化合物を好ましいフラックスとして挙げることができる。フラックスは、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フラックスとしてより具体的には、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ソルビン酸、ステアロール酸、プロピオン酸、酸化ホウ素、ホウ酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸リチウム、ホウフッ化カリウム、ホウフッ化ナトリウム、ホウフッ化リチウム、酸性フッ化カリウム、酸性フッ化ナトリウム、酸性フッ化リチウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、及びフッ化リチウムが挙げられる。
中でも、熱処理(焼成)時の耐熱性(フラックスが熱処理(焼成)の低温時に揮発しない特性)及び金属粒子の耐酸化性の補完の観点から、ホウ酸カリウム及びホウフッ化カリウムがより好ましいフラックスとして挙げられる。
電極形成用組成物がフラックスを含有する場合、フラックスの含有率としては、金属粒子の耐酸化性を効果的に発現させる観点及び熱処理(焼成)完了時にフラックスが除去されることで形成される空隙率の低減の観点から、電極形成用組成物の全質量中、例えば、0.1質量%〜5.0質量%であることが好ましく、0.3質量%〜4.0質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜3.5質量%であることが更に好ましく、0.7質量%〜3.0質量%であることが特に好ましく、1.0質量%〜2.5質量%であることが極めて好ましい。
(その他の成分)
電極形成用組成物は、上述の成分に加え、必要に応じて、当該技術分野で通常用いられるその他の成分を更に含有することができる。その他の成分としては、可塑剤、分散剤、界面活性剤、無機結合剤、金属酸化物、セラミック、有機金属化合物等を挙げることができる。
電極形成用組成物は、上述の成分に加え、必要に応じて、当該技術分野で通常用いられるその他の成分を更に含有することができる。その他の成分としては、可塑剤、分散剤、界面活性剤、無機結合剤、金属酸化物、セラミック、有機金属化合物等を挙げることができる。
<電極形成用組成物の製造方法>
電極形成用組成物の製造方法としては特に制限はない。金属粒子、ガラス粒子、及び必要に応じて用いられる溶剤、樹脂等のその他の成分を、通常用いられる分散方法又は混合方法を用いて、分散又は混合することで製造することができる。
分散方法及び混合方法は特に制限されず、通常用いられる分散方法及び混合方法から適宜選択して適用することができる。
電極形成用組成物の製造方法としては特に制限はない。金属粒子、ガラス粒子、及び必要に応じて用いられる溶剤、樹脂等のその他の成分を、通常用いられる分散方法又は混合方法を用いて、分散又は混合することで製造することができる。
分散方法及び混合方法は特に制限されず、通常用いられる分散方法及び混合方法から適宜選択して適用することができる。
<電極形成用組成物を用いた電極及びその製造方法>
本発明の電極は、本発明の電極形成用組成物の熱処理物である。本発明の電極は、本発明の電極形成用組成物を用いて製造される。
具体的には、例えば、本発明の電極形成用組成物を用いて電極を形成する場合、電極形成用組成物は半導体基板上に所望の形状となるように付与され、必要に応じて乾燥した後に、熱処理(焼成)されることで、抵抗率の低い電極を所望の領域に所望の形状に形成することができる。また、本発明の電極形成用組成物を用いることで、酸素の存在下(例えば、大気中)で熱処理(焼成)を行っても、抵抗率の低い電極を形成することができる。更に、本発明の電極形成用組成物を用いて半導体基板上に形成された電極は、半導体基板との密着性に優れ、良好なオーミックコンタクトを達成することができる。
本発明の電極は、本発明の電極形成用組成物の熱処理物である。本発明の電極は、本発明の電極形成用組成物を用いて製造される。
具体的には、例えば、本発明の電極形成用組成物を用いて電極を形成する場合、電極形成用組成物は半導体基板上に所望の形状となるように付与され、必要に応じて乾燥した後に、熱処理(焼成)されることで、抵抗率の低い電極を所望の領域に所望の形状に形成することができる。また、本発明の電極形成用組成物を用いることで、酸素の存在下(例えば、大気中)で熱処理(焼成)を行っても、抵抗率の低い電極を形成することができる。更に、本発明の電極形成用組成物を用いて半導体基板上に形成された電極は、半導体基板との密着性に優れ、良好なオーミックコンタクトを達成することができる。
電極形成用組成物を付与する方法としては、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット法、及びディスペンサー法を挙げることができ、生産性の観点から、スクリーン印刷法が好ましい。
電極形成用組成物をスクリーン印刷法によって半導体基板等に付与する場合、電極形成用組成物は、ペースト状であることが好ましい。ペースト状の電極形成用組成物は、20Pa・s〜1000Pa・sの範囲の粘度を有することが好ましい。尚、電極形成用組成物の粘度は、ブルックフィールドHBT粘度計を用いて25℃の温度及び回転数5.0min−1の条件で測定される。
電極形成用組成物の半導体基板への付与量は、形成する電極の大きさ等に応じて適宜選択することができる。例えば、電極形成用組成物の付与量としては、2g/m2〜10g/m2とすることができ、4g/m2〜8g/m2であることが好ましい。
電極形成用組成物を用いて半導体基板上に電極を形成する際の熱処理(焼成)条件としては、当該技術分野で通常用いられる熱処理(焼成)条件を適用することができる。
一般に、熱処理(焼成)温度としては800℃〜900℃であるが、本発明の電極形成用組成物を用いる場合には、低温での熱処理(焼成)条件から一般的な熱処理(焼成)条件までの広範な範囲とすることができる。例えば、450℃〜900℃の広範な熱処理(焼成)温度で良好な特性を有する電極を形成することができる。
また熱処理(焼成)時間は、熱処理(焼成)温度等に応じて適宜選択することができ、例えば、1秒〜20秒とすることができる。
一般に、熱処理(焼成)温度としては800℃〜900℃であるが、本発明の電極形成用組成物を用いる場合には、低温での熱処理(焼成)条件から一般的な熱処理(焼成)条件までの広範な範囲とすることができる。例えば、450℃〜900℃の広範な熱処理(焼成)温度で良好な特性を有する電極を形成することができる。
また熱処理(焼成)時間は、熱処理(焼成)温度等に応じて適宜選択することができ、例えば、1秒〜20秒とすることができる。
熱処理装置としては、上記温度に加熱できるものであれば適宜採用することができ、赤外線加熱炉、トンネル炉等を挙げることができる。赤外線加熱炉は、電気エネルギーを電磁波の形で加熱材料に投入し熱エネルギーに変換されるため高効率であり、また、短時間での急速加熱が可能である。更に、燃焼による生成物が少なく、また非接触加熱であるため、生成する電極の汚染を抑えることが可能である。トンネル炉は、試料を自動で連続的に入り口から出口へ搬送し、熱処理(焼成)するため、炉体の区分けと搬送スピードの制御によって、均一に熱処理(焼成)することが可能である。太陽電池素子の発電性能の観点からは、トンネル炉により熱処理することが好適である。
<太陽電池素子及びその製造方法>
太陽電池素子は、半導体基板と、この半導体基板上に設けられる本発明の電極形成用組成物の熱処理物(焼成物)である電極と、を少なくとも有する。本発明の太陽電池素子の製造方法は、半導体基板上に本発明の電極形成用組成物を付与する工程と、この電極形成用組成物を熱処理する工程と、を有する。これにより、良好な特性を有する太陽電池素子が得られ、該太陽電池素子の生産性に優れる。
なお、本明細書において太陽電池素子とは、pn接合が形成された半導体基板と、半導体基板上に形成された電極と、を有するものを意味する。
太陽電池素子は、半導体基板と、この半導体基板上に設けられる本発明の電極形成用組成物の熱処理物(焼成物)である電極と、を少なくとも有する。本発明の太陽電池素子の製造方法は、半導体基板上に本発明の電極形成用組成物を付与する工程と、この電極形成用組成物を熱処理する工程と、を有する。これにより、良好な特性を有する太陽電池素子が得られ、該太陽電池素子の生産性に優れる。
なお、本明細書において太陽電池素子とは、pn接合が形成された半導体基板と、半導体基板上に形成された電極と、を有するものを意味する。
以下、太陽電池素子の具体例を、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
代表的な太陽電池素子の一例として、図1、図2及び図3に、それぞれ、概略断面図、受光面の概略平面図及び裏面の概略平面図を示す。
代表的な太陽電池素子の一例として、図1、図2及び図3に、それぞれ、概略断面図、受光面の概略平面図及び裏面の概略平面図を示す。
図1の概略断面図に示されるように、半導体基板1の一方の面の表面付近にはn+型拡散層2が形成され、n+型拡散層2上に受光面電極(受光面出力取出電極を含む)4及び反射防止層3が形成されている。また他方の面の表面付近にはp+型拡散層7が形成され、p+型拡散層7上に裏面出力取出電極6及び裏面集電用電極5が形成されている。通常、太陽電池素子の半導体基板1には、単結晶又は多結晶シリコン基板が使用される。この半導体基板1には、ホウ素等が含有され、p型半導体を構成している。受光面側には太陽光の反射を抑制するために、NaOHとIPA(イソプロピルアルコール)とを含有するエッチング溶液を用いて、凹凸(テクスチャともいう、図示せず)が形成されている。その受光面側にはリン等が拡散(ドーピング)され、n+型拡散層2がサブミクロンオーダーの厚さで形成され、p型バルク部分との境界にpn接合部が形成されている。更に受光面側には、n+型拡散層2上に窒化ケイ素等の反射防止層3が、PECVD(plasma-enhanced chemical vapor deposition、プラズマ励起化学気相成長)等によって厚さ90nm前後で設けられている。
次に、図2に概略を示す受光面側に設けられた受光面電極4、並びに図3に概略を示す裏面に形成される裏面集電用電極5及び裏面出力取出電極6の形成方法について説明する。
受光面電極4及び裏面出力取出電極6は、本発明の電極形成用組成物から形成される。また裏面集電用電極5は、ガラス粒子を含むアルミニウム電極形成用組成物から形成されている。受光面電極4、裏面集電用電極5及び裏面出力取出電極6を形成する第一の方法として、本発明の電極形成用組成物及びアルミニウム電極形成用組成物をスクリーン印刷等にて所望のパターンで付与した後、大気中450℃〜900℃程度で一括して熱処理(焼成)する方法が挙げられる。本発明の電極形成用組成物を用いることで、比較的低温で熱処理(焼成)しても、抵抗率及び接触抵抗率に優れる受光面電極4及び裏面出力取出電極6を形成することができる。
受光面電極4及び裏面出力取出電極6は、本発明の電極形成用組成物から形成される。また裏面集電用電極5は、ガラス粒子を含むアルミニウム電極形成用組成物から形成されている。受光面電極4、裏面集電用電極5及び裏面出力取出電極6を形成する第一の方法として、本発明の電極形成用組成物及びアルミニウム電極形成用組成物をスクリーン印刷等にて所望のパターンで付与した後、大気中450℃〜900℃程度で一括して熱処理(焼成)する方法が挙げられる。本発明の電極形成用組成物を用いることで、比較的低温で熱処理(焼成)しても、抵抗率及び接触抵抗率に優れる受光面電極4及び裏面出力取出電極6を形成することができる。
熱処理(焼成)の際に、受光面側では、受光面電極4を形成する本発明の電極形成用組成物に含まれるガラス粒子と、反射防止層3とが反応(ファイアースルー)して、受光面電極4とn+型拡散層2とが電気的に接続(オーミックコンタクト)される。
本発明の電極形成用組成物を用いて受光面電極4が形成されることで、導電性金属として銅を含みながら、銅の酸化が抑制され、低抵抗率の受光面電極4が、良好な生産性で形成される。
更に、形成される電極は、Cu−Sn−Ni合金相(銅と錫とニッケルとを含有する合金相)とSn−P−Oガラス相(錫とリンと酸素とを含有するガラス相)とを含んで構成されることが好ましく、Sn−P−Oガラス相(不図示)が受光面電極4又は裏面出力取出電極6と半導体基板1との間に配置されることがより好ましい。これにより銅と半導体基板との反応が抑制され、低抵抗率で密着性に優れる電極を形成することができる。
また、裏面側では、熱処理(焼成)の際に、裏面集電用電極5を形成するアルミニウム電極形成用組成物中のアルミニウムが半導体基板1の裏面に拡散して、p+型拡散層7を形成することによって、半導体基板1と裏面集電用電極5との間にオーミックコンタクトを得ることができる。
受光面電極4と、裏面集電用電極5及び裏面出力取出電極6とを形成する第二の方法として、裏面集電用電極5を形成するアルミニウム電極形成用組成物を先に印刷し、乾燥後に大気中750℃〜900℃程度で熱処理(焼成)して裏面集電用電極5を形成した後に、本発明の電極形成用組成物を受光面側及び裏面側に付与し、乾燥後に大気中450℃〜650℃程度で熱処理(焼成)して、受光面電極4及び裏面出力取出電極6を形成する方法が挙げられる。
この方法は、例えば以下の場合に有効である。すなわち、裏面集電用電極5を形成するアルミニウム電極形成用組成物を熱処理(焼成)する際に、650℃以下の熱処理(焼成)温度では、アルミニウム電極形成用組成物の組成によっては、アルミニウム粒子の焼結及び半導体基板1へのアルミニウム拡散量が不足して、p+型拡散層7を充分に形成できない場合がある。この状態では裏面における半導体基板1と裏面集電用電極5及び裏面出力取出電極6との間にオーミックコンタクトが十分に形成できなくなり、太陽電池素子としての発電性能が低下する場合がある。そこで、アルミニウム電極形成用組成物に最適な熱処理(焼成)温度(例えば、750℃〜900℃)で裏面集電用電極5を形成した後、本発明の電極形成用組成物を付与し、乾燥後に比較的低温(例えば、450℃〜650℃)で熱処理(焼成)して、受光面電極4と裏面出力取出電極6を形成することが好ましい。
また、別の態様であるいわゆるバックコンタクト型太陽電池素子に共通する裏面側電極構造の概略平面図を図4に、それぞれ別の態様のバックコンタクト型太陽電池素子である太陽電池素子の概略構造を示す斜視図を図5、図6及び図7にそれぞれ示す。尚、図5は、図4におけるAA断面における斜視図である。
図5の斜視図に示す構造を有する太陽電池素子の半導体基板1には、レーザードリル、エッチング等によって、受光面側及び裏面側の両面を貫通したスルーホールが形成されている。また受光面側には光入射効率を向上させるテクスチャ(図示せず)が形成されている。更に、受光面側にはn型化拡散処理によるn+型拡散層2と、n+型拡散層2上に反射防止層(図示せず)が形成されている。これらは従来のシリコン系太陽電池素子と同様の工程により製造される。尚、n+型拡散層2は、スルーホールの表面及びスルーホールの裏面側開口部の周りにも形成される。
次に、先に形成されたスルーホール内部に、本発明の電極形成用組成物が印刷法、インクジェット法等により充填され、更に受光面側にも本発明の電極形成用組成物がグリッド状に付与され、スルーホール電極9及び受光面集電用電極8を形成する組成物層が形成される。
ここで、充填用と付与用に用いる電極形成用組成物は、粘度等の物性など、それぞれのプロセスに最適な組成のものを使用することが好ましいが、同じ組成の電極形成用組成物を用いて充填及び付与を一括で行ってもよい。
ここで、充填用と付与用に用いる電極形成用組成物は、粘度等の物性など、それぞれのプロセスに最適な組成のものを使用することが好ましいが、同じ組成の電極形成用組成物を用いて充填及び付与を一括で行ってもよい。
一方、裏面側には、キャリア再結合を防止するためのn+型拡散層2及びp+型拡散層7が形成される。ここでp+型拡散層7を形成する不純物元素として、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)等が用いられる。このp+型拡散層7は、例えば、Bを拡散源とした熱拡散処理が、反射防止層の形成前の工程において実施されることで形成されてもよく、不純物元素としてAlを用いる場合には、電極形成用組成物の付与工程において、反対面側にアルミニウム電極形成用組成物を付与し、熱処理(焼成)して形成されてもよい。
裏面側には図4の平面図で示すように、本発明の電極形成用組成物をそれぞれn+型拡散層2上及びp+型拡散層7上にストライプ状に付与することによって、裏面電極10及び裏面電極11が形成される。ここで、アルミニウム電極形成用組成物を用いてp+型拡散層7を形成する場合は、n+型拡散層2上にのみ本発明の電極形成用組成物を用い、裏面電極を形成すればよい。
また、図6の斜視図に示す構造を有する太陽電池素子は、受光面集電用電極8を形成しないこと以外は、図5の斜視図に示す構造を有する太陽電池素子と同様にして製造することができる。すなわち図6の斜視図に示す構造を有する太陽電池素子において、本発明の電極形成用組成物は、スルーホール電極9、裏面電極10及び裏面電極11の形成に用いることができる。
また、図7の斜視図に示す構造を有する太陽電池素子は、半導体基板にn型シリコン基板12を用いたこと、スルーホールを形成しないこと、及び受光面集電用電極8を形成しないこと以外は、図5の斜視図に示す構造を有する太陽電池素子と同様にして製造することができる。すなわち図7の斜視図に示す構造を有する太陽電池素子において、本発明の電極形成用組成物は、裏面電極10及び裏面電極11の形成に用いることができる。
なお、本発明の電極形成用組成物は、上記の太陽電池用電極の用途に限定されるものではなく、プラズマディスプレイの電極配線、シールド配線、セラミックスコンデンサ、アンテナ回路、各種センサー回路、半導体デバイスの放熱材料等の用途にも好適に使用することができる。
これらの中でも特にシリコンを含む基板上に電極を形成する場合に好適に用いることができる。
これらの中でも特にシリコンを含む基板上に電極を形成する場合に好適に用いることができる。
<太陽電池>
本明細書において太陽電池とは、太陽電池素子の電極上にタブ線等の配線材料が設けられ、必要に応じて複数の太陽電池素子が配線材料を介して接続されて構成された状態のものを意味し、封止樹脂等で封止されることが好ましい。
本発明の太陽電池は、本発明の太陽電池素子と、この太陽電池素子の電極上に配置される配線材料と、を有する。本発明の太陽電池は、本発明の太陽電池素子の少なくとも1つを含み、太陽電池素子の電極上に配線材料が配置されて構成されていればよい。太陽電池は更に必要に応じて、配線材料を介して複数の太陽電池素子が連結され、更に封止材で封止されて構成されていてもよい。
配線材料及び封止材としては特に制限されず、当業界で通常用いられているものから適宜選択することができる。
本明細書において太陽電池とは、太陽電池素子の電極上にタブ線等の配線材料が設けられ、必要に応じて複数の太陽電池素子が配線材料を介して接続されて構成された状態のものを意味し、封止樹脂等で封止されることが好ましい。
本発明の太陽電池は、本発明の太陽電池素子と、この太陽電池素子の電極上に配置される配線材料と、を有する。本発明の太陽電池は、本発明の太陽電池素子の少なくとも1つを含み、太陽電池素子の電極上に配線材料が配置されて構成されていればよい。太陽電池は更に必要に応じて、配線材料を介して複数の太陽電池素子が連結され、更に封止材で封止されて構成されていてもよい。
配線材料及び封止材としては特に制限されず、当業界で通常用いられているものから適宜選択することができる。
配線材料としては、例えば、太陽電池用のはんだ被覆された銅線(タブ線)を好適に用いることができる。はんだの組成は、例えば、Sn−Pb系、Sn−Pb−Ag系、及びSn−Ag−Cu系を挙げることができ、環境に対する影響を考慮すると、実質的に鉛を含まないSn−Ag−Cu系はんだを用いることが好ましい。
タブ線の銅線の厚さは、加熱加圧処理時の太陽電池素子との熱膨脹係数差又は接続信頼性及びタブ線自身の抵抗率の観点から、例えば、0.05mm〜0.5mmとすることができ、0.1mm〜0.5mmとすることが好ましい。
また前記タブ線の断面形状は、断面形状が長方形(平タブ)及び楕円形(丸タブ)のいずれも適用でき、断面形状が長方形(平タブ)を用いることが好ましい。
また、タブ線の総厚みは、例えば、0.1mm〜0.7mmとすることが好ましく、0.15mm〜0.5mmとすることがより好ましい。
また前記タブ線の断面形状は、断面形状が長方形(平タブ)及び楕円形(丸タブ)のいずれも適用でき、断面形状が長方形(平タブ)を用いることが好ましい。
また、タブ線の総厚みは、例えば、0.1mm〜0.7mmとすることが好ましく、0.15mm〜0.5mmとすることがより好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
<実施例1>
(a)電極形成用組成物1の調製
75.0質量%の銅と、6.0質量%のリンと、9.0質量%の錫と、10.0質量%のニッケルとを含むリン−錫−ニッケル含有銅合金を常法により調製し、これを熔解して水アトマイズ法により粉末化した後、乾燥し、分級した。尚、分級には、日清エンジニアリング(株)、強制渦式分級機(ターボクラシファイア;TC−15)を用いた。分級した粉末を不活性ガスとブレンドして、脱酸素及び脱水処理を行い、75.0質量%の銅と、6.0質量%のリンと、9.0質量%の錫と、10.0質量%のニッケルとを含むリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を作製した。尚、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の粒子径(D50%)は5.0μmであり、その形状は略球状であった。
(a)電極形成用組成物1の調製
75.0質量%の銅と、6.0質量%のリンと、9.0質量%の錫と、10.0質量%のニッケルとを含むリン−錫−ニッケル含有銅合金を常法により調製し、これを熔解して水アトマイズ法により粉末化した後、乾燥し、分級した。尚、分級には、日清エンジニアリング(株)、強制渦式分級機(ターボクラシファイア;TC−15)を用いた。分級した粉末を不活性ガスとブレンドして、脱酸素及び脱水処理を行い、75.0質量%の銅と、6.0質量%のリンと、9.0質量%の錫と、10.0質量%のニッケルとを含むリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を作製した。尚、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の粒子径(D50%)は5.0μmであり、その形状は略球状であった。
二酸化ケイ素(SiO2)3.0質量%、酸化鉛(PbO)60.0質量%、酸化ホウ素(B2O3)18.0質量%、酸化ビスマス(Bi2O3)5.0質量%、酸化アルミニウム(Al2O3)5.0質量%、及び酸化亜鉛(ZnO)9.0質量%からなるガラス(以下、「G01」と略記することがある)を調製した。得られたガラスG01の軟化点は420℃、結晶化開始温度は650℃を超えていた。
得られたガラスG01を用いて、粒子径(D50%)が2.5μmであるガラスG01粒子を得た。またその形状は略球状であった。
得られたガラスG01を用いて、粒子径(D50%)が2.5μmであるガラスG01粒子を得た。またその形状は略球状であった。
なお、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子及びガラス粒子の形状は、(株)日立ハイテクノロジーズ、TM−1000型走査型電子顕微鏡を用いて観察して判定した。リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子及びガラス粒子の粒子径(D50%)はベックマン・コールター(株)、LS 13 320型レーザー散乱回折法粒度分布測定装置(測定波長:632nm)を用いて算出した。ガラス粒子の軟化点及び結晶化開始温度は(株)島津製作所、DTG−60H型示差熱−熱重量同時測定装置を用いて、示差熱(DTA)曲線により求めた。具体的には、DTA曲線において、吸熱部から軟化点を、発熱部から結晶化開始温度を見積もることができる。
上記で得られたリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を70.8部、ガラスG01粒子を4.2部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)を20.0部、及びポリアクリル酸エチル(EPA、藤倉化成(株)、重量平均分子量:155000)を5.0部混ぜ合わせ、自動乳鉢混練装置を用いて混合してペースト化し、電極形成用組成物1を調製した。
(b)太陽電池素子の作製
受光面にn+型拡散層、テクスチャ及び反射防止層(窒化ケイ素層)が形成された厚さ190μmのp型半導体基板を用意し、125mm×125mmの大きさに切り出した。その受光面上に、上記で得られた電極形成用組成物1を図2に示すような電極パターンとなるようにスクリーン印刷法を用いて印刷した。電極のパターンは150μm幅のフィンガーラインと1.5mm幅のバスバーで構成され、熱処理(焼成)後の厚さが20μmとなるよう、印刷条件(スクリーン版のメッシュ、印刷速度及び印圧)を適宜調整した。これを150℃に加熱したオーブンの中に15分間入れ、溶剤を蒸散により取り除いた。
受光面にn+型拡散層、テクスチャ及び反射防止層(窒化ケイ素層)が形成された厚さ190μmのp型半導体基板を用意し、125mm×125mmの大きさに切り出した。その受光面上に、上記で得られた電極形成用組成物1を図2に示すような電極パターンとなるようにスクリーン印刷法を用いて印刷した。電極のパターンは150μm幅のフィンガーラインと1.5mm幅のバスバーで構成され、熱処理(焼成)後の厚さが20μmとなるよう、印刷条件(スクリーン版のメッシュ、印刷速度及び印圧)を適宜調整した。これを150℃に加熱したオーブンの中に15分間入れ、溶剤を蒸散により取り除いた。
続いて、受光面とは反対側の面(以下、「裏面」ともいう)上に、電極形成用組成物1とアルミニウム電極形成用組成物(PVG Solutions社、PVG−AD−02)を、上記と同様にスクリーン印刷で、図3に示すような電極パターンとなるように印刷した。
電極形成用組成物1を用いて形成された裏面出力取出電極6のパターンは、2本のラインで構成され、1本のラインの大きさが123mm×5mmとなるように印刷した。尚、熱処理(焼成)後の裏面出力取出電極6の厚さが15μmとなるよう、印刷条件(スクリーン版のメッシュ、印刷速度及び印圧)を適宜調整した。またアルミニウム電極形成用組成物を、裏面出力取出電極6以外の全面に印刷して裏面集電用電極5のパターンを形成した。また熱処理(焼成)後の裏面集電用電極5の厚さが30μmとなるように、アルミニウム電極形成用組成物の印刷条件を適宜調整した。これを150℃に加熱したオーブンの中に15分間入れ、溶剤を蒸散により取り除いた。
続いてトンネル炉((株)ノリタケカンパニーリミテド、1列搬送W/Bトンネル炉)を用いて大気雰囲気下、最高温度800℃で保持時間10秒の熱処理(焼成)を行って、所望の電極が形成された太陽電池素子1を作製した。
<実施例2>
実施例1において、電極形成時の熱処理(焼成)条件を最高温度800℃で10秒間から、最高温度850℃で8秒間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池素子2を作製した。
実施例1において、電極形成時の熱処理(焼成)条件を最高温度800℃で10秒間から、最高温度850℃で8秒間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池素子2を作製した。
<実施例3>
実施例1において、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の銅含有率を75.0質量%から68.0質量%に変更し、リン含有率を6.0質量%から5.5質量%に変更し、錫含有率を9.0質量%から12.5質量%に変更し、ニッケル含有率を10.0質量%から14.0質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、電極形成用組成物3を調製し、太陽電池素子3を作製した。
実施例1において、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の銅含有率を75.0質量%から68.0質量%に変更し、リン含有率を6.0質量%から5.5質量%に変更し、錫含有率を9.0質量%から12.5質量%に変更し、ニッケル含有率を10.0質量%から14.0質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、電極形成用組成物3を調製し、太陽電池素子3を作製した。
<実施例4>
実施例1において、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の銅含有率を75.0質量%から66.0質量%に変更し、リン含有率を6.0質量%から4.0質量%に変更し、錫含有率を9.0質量%から20.0質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、電極形成用組成物4を調製し、太陽電池素子4を作製した。
実施例1において、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の銅含有率を75.0質量%から66.0質量%に変更し、リン含有率を6.0質量%から4.0質量%に変更し、錫含有率を9.0質量%から20.0質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、電極形成用組成物4を調製し、太陽電池素子4を作製した。
<実施例5>
実施例1において、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の含有量を70.8部から72.7部に変更し、またガラスG01粒子の含有量を4.2部から7.3部に変更し、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)の含有量を20.0部から16.0部に変更し、ポリアクリル酸エチル(EPA)の含有量を5.0部から4.0部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして電極形成用組成物5を調製し、太陽電池素子5を作製した。
実施例1において、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の含有量を70.8部から72.7部に変更し、またガラスG01粒子の含有量を4.2部から7.3部に変更し、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)の含有量を20.0部から16.0部に変更し、ポリアクリル酸エチル(EPA)の含有量を5.0部から4.0部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして電極形成用組成物5を調製し、太陽電池素子5を作製した。
<実施例6>
実施例1において、電極形成用組成物に7.0質量%のリンを含むリン含有銅合金粒子を加えた。リン含有銅合金粒子は、実施例1のリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子と同様に、水アトマイズ後に分級、脱酸素及び脱水処理して作製した。尚、リン含有銅合金粒子の粒子径(D50%)は5.0μmであり、その形状は略球状であった。
具体的には、電極形成用組成物中の各成分の含有量を、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を49.5部、リン含有銅合金粒子を21.2部、ガラスG01粒子を4.2部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)を20.0部、及びポリアクリル酸エチル(EPA)を5.0部としたこと以外は、実施例1と同様にして、電極形成用組成物6を調製し、太陽電池素子6を作製した。
実施例1において、電極形成用組成物に7.0質量%のリンを含むリン含有銅合金粒子を加えた。リン含有銅合金粒子は、実施例1のリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子と同様に、水アトマイズ後に分級、脱酸素及び脱水処理して作製した。尚、リン含有銅合金粒子の粒子径(D50%)は5.0μmであり、その形状は略球状であった。
具体的には、電極形成用組成物中の各成分の含有量を、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を49.5部、リン含有銅合金粒子を21.2部、ガラスG01粒子を4.2部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)を20.0部、及びポリアクリル酸エチル(EPA)を5.0部としたこと以外は、実施例1と同様にして、電極形成用組成物6を調製し、太陽電池素子6を作製した。
<実施例7>
実施例6において、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の含有量を49.5部から63.7部に変更し、リン含有銅合金粒子の含有量を21.2部から7.1部に変更したこと以外は、実施例6と同様にして、電極形成用組成物7を調製し、太陽電池素子7を作製した。
実施例6において、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の含有量を49.5部から63.7部に変更し、リン含有銅合金粒子の含有量を21.2部から7.1部に変更したこと以外は、実施例6と同様にして、電極形成用組成物7を調製し、太陽電池素子7を作製した。
<実施例8>
実施例1において、電極用形成組成物に錫粒子(Sn;粒子径(D50%)は5.0μm;純度99.9質量%)を加えた。
具体的には、電極形成用組成物中の各成分の含有量を、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を63.7部、錫粒子を7.1部、ガラスG01粒子を4.2部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)を20.0部、及びポリアクリル酸エチル(EPA)を5.0部としたこと以外は、実施例1と同様にして、電極形成用組成物8を調製し、太陽電池素子8を作製した。
実施例1において、電極用形成組成物に錫粒子(Sn;粒子径(D50%)は5.0μm;純度99.9質量%)を加えた。
具体的には、電極形成用組成物中の各成分の含有量を、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を63.7部、錫粒子を7.1部、ガラスG01粒子を4.2部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)を20.0部、及びポリアクリル酸エチル(EPA)を5.0部としたこと以外は、実施例1と同様にして、電極形成用組成物8を調製し、太陽電池素子8を作製した。
<実施例9>
実施例1において、電極形成用組成物にニッケル粒子(Ni;粒子径(D50%)は5.0μm;純度99.9質量%)を加えた。
具体的には、電極形成用組成物中の各成分の含有量を、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を67.2部、ニッケル粒子を3.5部、ガラスG01粒子を4.2部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)を20.0部、及びポリアクリル酸エチル(EPA)を5.0部としたこと以外は、実施例1と同様にして、電極形成用組成物9を調製し、太陽電池素子9を作製した。
実施例1において、電極形成用組成物にニッケル粒子(Ni;粒子径(D50%)は5.0μm;純度99.9質量%)を加えた。
具体的には、電極形成用組成物中の各成分の含有量を、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を67.2部、ニッケル粒子を3.5部、ガラスG01粒子を4.2部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)を20.0部、及びポリアクリル酸エチル(EPA)を5.0部としたこと以外は、実施例1と同様にして、電極形成用組成物9を調製し、太陽電池素子9を作製した。
<実施例10>
実施例1において、電極形成用組成物に銀粒子(Ag;粒子径(D50%)は3.0μm;純度99.5質量%)を加えた。具体的には各成分の含有量を、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を56.6部、銀粒子を14.2部、ガラスG01粒子を4.2部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)を20.0部、及びポリアクリル酸エチル(EPA)を5.0部としたこと以外は、実施例1と同様にして、電極形成用組成物10を調製し、太陽電池素子10を作製した。
実施例1において、電極形成用組成物に銀粒子(Ag;粒子径(D50%)は3.0μm;純度99.5質量%)を加えた。具体的には各成分の含有量を、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を56.6部、銀粒子を14.2部、ガラスG01粒子を4.2部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)を20.0部、及びポリアクリル酸エチル(EPA)を5.0部としたこと以外は、実施例1と同様にして、電極形成用組成物10を調製し、太陽電池素子10を作製した。
<実施例11>
実施例10において、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の含有量を56.6部から67.2部に変更し、銀粒子の含有量を14.2部から3.5部に変更し、更に電極形成時の熱処理(焼成)条件を最高温度800℃で10秒間から、最高温度850℃で8秒間に変更したこと以外は、実施例10と同様にして、電極形成用組成物11を調製し、太陽電池素子11を作製した。
実施例10において、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の含有量を56.6部から67.2部に変更し、銀粒子の含有量を14.2部から3.5部に変更し、更に電極形成時の熱処理(焼成)条件を最高温度800℃で10秒間から、最高温度850℃で8秒間に変更したこと以外は、実施例10と同様にして、電極形成用組成物11を調製し、太陽電池素子11を作製した。
<実施例12〜20>
上記実施例において、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の銅含有率、リン含有率、錫含有率及びニッケル含有率、粒子径(D50%)並びにその含有量、リン含有銅合金粒子のリン含有率、粒子径(D50%)及びその含有量、錫含有粒子の組成、粒子径(D50%)及びその含有量、ニッケル含有粒子の組成、粒子径(D50%)及びその含有量、銀粒子の含有量、ガラス粒子の種類及びその含有量、溶剤の種類及びその含有量、並びに樹脂の種類及びその含有量を、表1〜表2に示したように変更したこと以外は、上記実施例と同様にして電極形成用組成物12〜20をそれぞれ調製した。
上記実施例において、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の銅含有率、リン含有率、錫含有率及びニッケル含有率、粒子径(D50%)並びにその含有量、リン含有銅合金粒子のリン含有率、粒子径(D50%)及びその含有量、錫含有粒子の組成、粒子径(D50%)及びその含有量、ニッケル含有粒子の組成、粒子径(D50%)及びその含有量、銀粒子の含有量、ガラス粒子の種類及びその含有量、溶剤の種類及びその含有量、並びに樹脂の種類及びその含有量を、表1〜表2に示したように変更したこと以外は、上記実施例と同様にして電極形成用組成物12〜20をそれぞれ調製した。
ガラスG02粒子を用いる際は、まず、酸化バナジウム(V2O5)45.0質量%、酸化リン(P2O5)24.2質量%、酸化バリウム(BaO)20.8質量%、酸化アンチモン(Sb2O3)5.0質量%、及び酸化タングステン(WO3)5.0質量%からなるように調製し、これを粉砕して、粒子径(D50%)が1.5μmであるガラスG02粒子を得た。尚、ガラスG02の軟化点は492℃で、結晶化開始温度は650℃を超えていた。更にガラスG02粒子の形状は略球状であった。
また、表2中の溶剤「Ter」はテルピネオールを、樹脂「EC」はエチルセルロース(ダウ・ケミカル日本(株)、重量平均分子量:190000)をそれぞれ表す。
次いで、得られた電極形成用組成物12〜20をそれぞれ用い、熱処理(焼成)条件を表3に示したように変更したこと以外は、上記実施例と同様にして所望の電極が形成された太陽電池素子12〜20をそれぞれ作製した。
<実施例21>
上記で得られた電極形成用組成物1を用いて、図5に示したような構造を有する太陽電池素子21を作製した。具体的な作製方法を以下に示す。まずp型シリコン基板について、レーザードリルによって、受光面側及び裏面側の両面を貫通した直径100μmのスルーホールを形成した。また受光面側にはテクスチャ、n+型拡散層、及び反射防止層を順次形成した。尚、n+型拡散層は、スルーホール内部、及び裏面の一部にもそれぞれ形成した。次に、先に形成されたスルーホール内部に電極形成用組成物1をインクジェット法により充填し、更に受光面側にも受光面集電用電極8をグリッド状に印刷した。
上記で得られた電極形成用組成物1を用いて、図5に示したような構造を有する太陽電池素子21を作製した。具体的な作製方法を以下に示す。まずp型シリコン基板について、レーザードリルによって、受光面側及び裏面側の両面を貫通した直径100μmのスルーホールを形成した。また受光面側にはテクスチャ、n+型拡散層、及び反射防止層を順次形成した。尚、n+型拡散層は、スルーホール内部、及び裏面の一部にもそれぞれ形成した。次に、先に形成されたスルーホール内部に電極形成用組成物1をインクジェット法により充填し、更に受光面側にも受光面集電用電極8をグリッド状に印刷した。
一方、裏面には、電極形成用組成物1とアルミニウム電極形成用組成物を用いて、図4に示すようなパターンで、ストライプ状に印刷し、スルーホールの下に電極形成用組成物1が印刷されるように形成した。印刷は、熱処理(焼成)後の電極幅がそれぞれ150μmとなるように、また電極厚みがそれぞれ15μmとなるように行なった。
これをトンネル炉((株)ノリタケカンパニーリミテド、1列搬送W/Bトンネル炉)を用いて大気雰囲気下、焼成最高温度800℃で保持時間10秒の加熱処理を行って、所望の電極が形成された太陽電池素子21を作製した。
このときアルミニウム電極形成用組成物を印刷した部分については、焼成によりp型シリコン基板内にAlが拡散することで、p+型拡散層が形成されていた。
このときアルミニウム電極形成用組成物を印刷した部分については、焼成によりp型シリコン基板内にAlが拡散することで、p+型拡散層が形成されていた。
<実施例22>
実施例21において、電極形成用組成物1から上記で得られた電極形成用組成物7に変更して、受光面集電用電極、スルーホール電極及び裏面電極を形成したこと以外は、実施例21と同様にして、太陽電池素子22を作製した。
実施例21において、電極形成用組成物1から上記で得られた電極形成用組成物7に変更して、受光面集電用電極、スルーホール電極及び裏面電極を形成したこと以外は、実施例21と同様にして、太陽電池素子22を作製した。
<実施例23>
上記で得られた電極形成用組成物1を用いて、図6に示したような構造を有する太陽電池素子23を作製した。作製方法は、受光面電極を形成しないこと以外は、実施例21と同様にして、太陽電池素子23を作製した。尚、焼成条件は最高温度800℃で保持時間10秒とした。
上記で得られた電極形成用組成物1を用いて、図6に示したような構造を有する太陽電池素子23を作製した。作製方法は、受光面電極を形成しないこと以外は、実施例21と同様にして、太陽電池素子23を作製した。尚、焼成条件は最高温度800℃で保持時間10秒とした。
<実施例24>
実施例23において、電極形成用組成物1から電極形成用組成物24に変更したこと以外は、実施例23と同様にして、太陽電池素子24を作製した。具体的には電極形成用組成物に含まれるガラス粒子をG01粒子からガラスG03粒子に変更した。
尚、ガラスG03粒子を用いる際は、まず、二酸化ケイ素(SiO2)13.0質量%、酸化ホウ素(B2O3)25.0質量%、酸化亜鉛(ZnO)38.0質量%、酸化アルミニウム(Al2O3)12.0質量%、及び酸化バリウム(BaO)12.0質量%からなるように調製し、これを粉砕して、粒子径(D50%)が2.5μmであるガラスG03粒子を得た。尚、ガラスG03の軟化点は583℃で、結晶化開始温度は650℃を超えていた。更にガラスG03粒子の形状は略球状であった。
実施例23において、電極形成用組成物1から電極形成用組成物24に変更したこと以外は、実施例23と同様にして、太陽電池素子24を作製した。具体的には電極形成用組成物に含まれるガラス粒子をG01粒子からガラスG03粒子に変更した。
尚、ガラスG03粒子を用いる際は、まず、二酸化ケイ素(SiO2)13.0質量%、酸化ホウ素(B2O3)25.0質量%、酸化亜鉛(ZnO)38.0質量%、酸化アルミニウム(Al2O3)12.0質量%、及び酸化バリウム(BaO)12.0質量%からなるように調製し、これを粉砕して、粒子径(D50%)が2.5μmであるガラスG03粒子を得た。尚、ガラスG03の軟化点は583℃で、結晶化開始温度は650℃を超えていた。更にガラスG03粒子の形状は略球状であった。
<実施例25>
上記で得られた電極形成用組成物1を用いて、図7に示したような構造を有する太陽電池素子25を作製した。作製方法は、ベースとなる基板にn型シリコン基板を用いたことと、受光面電極、スルーホール及びスルーホール電極を形成しないこと以外は、実施例21と同様である。尚、焼成条件は最高温度800℃で保持時間10秒とした。
上記で得られた電極形成用組成物1を用いて、図7に示したような構造を有する太陽電池素子25を作製した。作製方法は、ベースとなる基板にn型シリコン基板を用いたことと、受光面電極、スルーホール及びスルーホール電極を形成しないこと以外は、実施例21と同様である。尚、焼成条件は最高温度800℃で保持時間10秒とした。
<実施例26>
実施例25において、電極形成用組成物1から電極形成用組成物24に変更したこと以外は、実施例25と同様にして、太陽電池素子26を作製した。
実施例25において、電極形成用組成物1から電極形成用組成物24に変更したこと以外は、実施例25と同様にして、太陽電池素子26を作製した。
<比較例1>
実施例1における電極形成用組成物の調製において、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を用いずに、表1〜表2に示した組成となるように各成分を変更したこと以外は、実施例1と同様にして電極形成用組成物C1を調製した。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を含まない電極形成用組成物C1を用いたこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池素子C1を作製した。
実施例1における電極形成用組成物の調製において、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を用いずに、表1〜表2に示した組成となるように各成分を変更したこと以外は、実施例1と同様にして電極形成用組成物C1を調製した。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を含まない電極形成用組成物C1を用いたこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池素子C1を作製した。
<比較例2>
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の代わりに、銅粒子(純度99.5質量%)を用い、表1〜表2に示す組成の電極形成用組成物C2を調製した。
電極形成用組成物C2を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、太陽電池素子C2を作製した。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子の代わりに、銅粒子(純度99.5質量%)を用い、表1〜表2に示す組成の電極形成用組成物C2を調製した。
電極形成用組成物C2を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、太陽電池素子C2を作製した。
<比較例3>
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を用いずに、リンを7.0質量%含むリン含有銅合金粒子のみを金属粒子として用いて、表1〜表2に示す組成の電極形成用組成物C3を調製した。
電極形成用組成物C3を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、太陽電池素子C3を作製した。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を用いずに、リンを7.0質量%含むリン含有銅合金粒子のみを金属粒子として用いて、表1〜表2に示す組成の電極形成用組成物C3を調製した。
電極形成用組成物C3を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、太陽電池素子C3を作製した。
<比較例4>
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を用いずに、リンとニッケルとを含む銅合金粒子のみを金属粒子として用いて、表1〜表2に示す組成の電極形成用組成物C4を調製した。
電極形成用組成物C4を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、太陽電池素子C4を作製した。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を用いずに、リンとニッケルとを含む銅合金粒子のみを金属粒子として用いて、表1〜表2に示す組成の電極形成用組成物C4を調製した。
電極形成用組成物C4を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、太陽電池素子C4を作製した。
<比較例5>
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を用いずに、錫とニッケルとを含む銅合金粒子のみを金属粒子として用いて、表1〜表2に示す組成の電極形成用組成物C5を調製した。
電極形成用組成物C5を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、太陽電池素子C5を作製した。
リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を用いずに、錫とニッケルとを含む銅合金粒子のみを金属粒子として用いて、表1〜表2に示す組成の電極形成用組成物C5を調製した。
電極形成用組成物C5を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、太陽電池素子C5を作製した。
<比較例6>
実施例1における電極形成用組成物の調製において、銅含有率が45.0質量%、リン含有率が5質量%、錫含有率が25.0質量%、ニッケル含有率が25.0質量%のリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電極形成用組成物C6を調製した。
電極形成用組成物C6を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、太陽電池素子C6を作製した。
実施例1における電極形成用組成物の調製において、銅含有率が45.0質量%、リン含有率が5質量%、錫含有率が25.0質量%、ニッケル含有率が25.0質量%のリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電極形成用組成物C6を調製した。
電極形成用組成物C6を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、太陽電池素子C6を作製した。
<比較例7>
実施例21において、電極形成用組成物1から、上記で得られた電極形成用組成物C1に変更して、受光面集電用電極、スルーホール電極及び裏面電極を形成したこと以外は、実施例21と同様にして、太陽電池素子C7を作製した。
実施例21において、電極形成用組成物1から、上記で得られた電極形成用組成物C1に変更して、受光面集電用電極、スルーホール電極及び裏面電極を形成したこと以外は、実施例21と同様にして、太陽電池素子C7を作製した。
<比較例8>
実施例23において、電極形成用組成物1から、上記で得られた電極形成用組成物C1に変更したこと以外は、実施例23と同様にして太陽電池素子C8を作製した。
実施例23において、電極形成用組成物1から、上記で得られた電極形成用組成物C1に変更したこと以外は、実施例23と同様にして太陽電池素子C8を作製した。
<比較例9>
実施例25において、電極形成用組成物1から、上記で得られた電極形成用組成物C1に変更したこと以外は、実施例25と同様にして太陽電池素子C9を作製した。
実施例25において、電極形成用組成物1から、上記で得られた電極形成用組成物C1に変更したこと以外は、実施例25と同様にして太陽電池素子C9を作製した。
但し、比較例2の「リン含有銅合金粒子」は、リンを含まない「銅粒子」である。
<評価>
作製した太陽電池素子の評価は、擬似太陽光として(株)ワコム電創、WXS−155S−10と、電流−電圧(I−V)評価測定器としてI−V CURVE TRACER MP−160(EKO INSTRUMENT社)の測定装置とを組み合わせて行った。太陽電池としての発電性能を示すJsc(短絡電流)、Voc(開放電圧)、F.F.(フィルファクター、形状因子)及びη(変換効率)は、それぞれJIS−C−8912:2011、JIS−C−8913:2005及びJIS−C−8914:2005に準拠して測定を行うことで得られたものである。
作製した太陽電池素子の評価は、擬似太陽光として(株)ワコム電創、WXS−155S−10と、電流−電圧(I−V)評価測定器としてI−V CURVE TRACER MP−160(EKO INSTRUMENT社)の測定装置とを組み合わせて行った。太陽電池としての発電性能を示すJsc(短絡電流)、Voc(開放電圧)、F.F.(フィルファクター、形状因子)及びη(変換効率)は、それぞれJIS−C−8912:2011、JIS−C−8913:2005及びJIS−C−8914:2005に準拠して測定を行うことで得られたものである。
両面電極構造の太陽電池素子において得られた各測定値は、比較例1(太陽電池素子C1)の測定値を100.0とした相対値に換算して表4に示した。尚、比較例2においては、形成された電極の抵抗率が大きくなり、評価不能であった。その理由は、銅粒子の酸化によるものと考えられる。
次に調製した電極形成用組成物を熱処理(焼成)して形成した電極のうち、実施例1〜20及び比較例1〜6については裏面出力取出電極について、実施例21〜26及び比較例7〜9については裏面電極について、それぞれ電極の断面を走査型電子顕微鏡Miniscope TM−1000((株)日立製作所)を用いて、加速電圧15kVで観察し、電極内のCu−Sn−Ni合金相及びSn−P−Oガラス相の有無を調査した。その結果も併せて表4〜表7に示した。なお、比較例1の電極についての電極内のCu−Sn−Ni合金相及びSn−P−Oガラス相の有無は、電極形成用組成物C1において金属粒子として銀粒子のみを用いたことから調査しなかった。
更に、調製した電極形成用組成物を熱処理(焼成)して形成した電極のうち、実施例1〜20及び比較例1〜6のものについては裏面出力取出電極について、シリコン基板に対する密着力を測定した。具体的には、電極の上にスタッドピン(ピン径;4.1mm)を接着剤で接合し、これを180℃のオーブンで、大気中で1時間加熱し、その後、室温(25℃)まで冷却した。その後、薄膜密着強度測定装置(Romulus、QUAD GROUP社)を用いてスタッドピンに引張り荷重を印加し、破断時荷重を評価した。このとき破断箇所も観察した。尚、評価は各電極について6点行い、その平均値を密着力とした。
表4から、比較例3〜5においては、比較例1よりも発電性能が劣化したことが分かる。これは例えば、以下のように考えられる。比較例3及び比較例4については、用いた合金粒子中に錫が含まれていないために、Sn−P−Oガラス相が形成せず、熱処理(焼成)中にシリコン基板における銅とケイ素との相互拡散が起こり、基板内のpn接合特性が劣化したことが考えられる。また比較例5については、用いた合金粒子中にリンが含まれていないために、比較例3及び比較例4と同様、Sn−P−Oガラス相が形成せず、熱処理(焼成)中にシリコン基板における銅とケイ素との相互拡散が起こり、基板内のpn接合特性が劣化したことと、合金粒子中の銅が、錫及びニッケルと反応してCu−Sn−Ni合金相を形成する前に酸化してしまい、電極の抵抗が増加したことが考えられる。
比較例6では、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を用いているが、作製した太陽電池素子の発電性能は、比較例1の太陽電池素子の測定値と比べてやや低下した。これは、次のように考えることができる。すなわち、リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子中の銅含有率が60質量%未満と低いために、焼成中に低抵抗率の導電層が形成されず、太陽電池素子としての発電性能が低くなったと考えられる。
一方、実施例1〜20で作製した太陽電池素子の発電性能は、比較例1の太陽電池素子の測定値と比べて、ほぼ同等であった。また組織観察の結果、裏面出力取出電極内にはCu−Sn−Ni合金相とSn−P−Oガラス相が存在していた。
また表4の結果から、実施例1〜20で作製した太陽電池の裏面出力取出電極のシリコン基板に対する密着力は、比較例1のものと比べてほぼ同等であった。特に破断の箇所がシリコン基板内であったことから、形成した電極はシリコン基板に高い強度で密着していることが分かる。比較例2については、電極内が酸化銅とガラスフリットの溶融物で占められており、シリコン基板にある程度の強度で密着しているものと考えられる。また比較例3〜5については、上述するように熱処理(焼成)後の電極とシリコン基板との間で銅とケイ素との相互拡散が生じ、反応物相(Cu3Si)が形成され、これが電極の一部を基板から持ち上げることで、電極の密着力が大幅に低下したものと考えられる。
続いて、バックコンタクト型の太陽電池素子のうち、図5の構造を有するものについて、両面電極構造の太陽電池素子と同様の評価方法を実施し、得られた各測定値を、比較例7の測定値を100.0とした相対値に換算して表5に示した。更に裏面電極のうち、調製した電極形成用組成物を熱処理(焼成)して形成した電極の断面を観察した結果も併せて表5に示した。
表5から、実施例21及び実施例22で作製した太陽電池素子は、比較例7の太陽電池素子とほぼ同等の発電性能を示したことが分かる。また組織観察の結果、電極内にはCu−Sn−Ni合金相とSn−P−Oガラス相が存在していた。なお、比較例7に係る電極についての電極内のCu−Sn−Ni合金相及びSn−P−Oガラス相の有無は、電極形成用組成物C1において金属粒子として銀粒子のみを用いたことから調査しなかった。
続いて、バックコンタクト型の太陽電池素子のうち、図6の構造を有するものについて、両面電極構造の太陽電池素子と同様の評価方法を実施し、得られた各測定値を、比較例8の測定値を100.0とした相対値に換算して表6に示した。更に裏面電極のうち、調製した電極形成用組成物を熱処理(焼成)して形成した電極の断面を観察した結果も併せて表6に示した。
表6から、実施例23及び実施例24で作製した太陽電池素子は、比較例8の太陽電池素子とほぼ同等の発電性能を示したことが分かる。また組織観察の結果、電極内にはCu−Sn−Ni合金相とSn−P−Oガラス相が存在していた。なお、比較例8に係る電極についての電極内のCu−Sn−Ni合金相及びSn−P−Oガラス相の有無は、電極形成用組成物C1において金属粒子として銀粒子のみを用いたことから調査しなかった。
続いて、バックコンタクト型の太陽電池素子のうち、図7の構造を有するものについて、両面電極構造の太陽電池素子と同様の評価方法を実施し、得られた各測定値を、比較例9の測定値を100.0とした相対値に換算して表7に示した。更に裏面電極のうち、調製した電極形成用組成物を熱処理(焼成)して形成した電極の断面を観察した結果も併せて表7に示した。
表7から、実施例25及び実施例26で作製した太陽電池素子は、比較例9の太陽電池素子とほぼ同等の発電性能を示したことが分かる。また組織観察の結果、電極内にはCu−Sn−Ni合金相とSn−P−Oガラス相が存在していた。なお、比較例9に係る電極についての電極内のCu−Sn−Ni合金相及びSn−P−Oガラス相の有無は、電極形成用組成物C1において金属粒子として銀粒子のみを用いたことから調査しなかった。
1 半導体基板
2 n+型拡散層
3 反射防止層
4 受光面電極及び出力取出電極
5 裏面集電用電極
6 裏面出力取出電極
7 p+型拡散層
8 受光面集電用電極
9 スルーホール電極
10 裏面電極
11 裏面電極
12 n型シリコン基板
2 n+型拡散層
3 反射防止層
4 受光面電極及び出力取出電極
5 裏面集電用電極
6 裏面出力取出電極
7 p+型拡散層
8 受光面集電用電極
9 スルーホール電極
10 裏面電極
11 裏面電極
12 n型シリコン基板
Claims (20)
- リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子を含む金属粒子と、ガラス粒子と、を含有し、前記リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子は、銅含有率が、60.0質量%〜95.0質量%である電極形成用組成物。
- 前記リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子は、リン含有率が2.0質量%〜15.0質量%である請求項1に記載の電極形成用組成物。
- 前記リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子は、錫含有率が3.0質量%〜30.0質量%である請求項1又は請求項2に記載の電極形成用組成物。
- 前記リン−錫−ニッケル含有銅合金粒子は、ニッケル含有率が3.0質量%〜30.0質量%である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
- 前記ガラス粒子は、軟化点が650℃以下であり、結晶化開始温度が650℃を超える請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
- 前記金属粒子が、リン含有銅合金粒子、錫含有粒子、及びニッケル含有粒子からなる群より選択される少なくとも1種を更に含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
- 前記リン含有銅合金粒子は、リン含有率が0.1質量%〜8.0質量%である請求項6に記載の電極形成用組成物。
- 前記錫含有粒子は、錫粒子及び錫含有率が1.0質量%以上である錫合金粒子からなる群より選択される少なくとも1種である請求項6又は請求項7に記載の電極形成用組成物。
- 前記ニッケル含有粒子は、ニッケル粒子及びニッケル含有率が1.0質量%以上であるニッケル合金粒子からなる群より選択される少なくとも1種である請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
- 前記金属粒子が、銀粒子を更に含む請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
- 前記金属粒子の含有率が、65.0質量%〜95.0質量%である請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
- 前記金属粒子の含有率を100.0質量%としたときの銅含有率が60.0質量%〜95.0質量%である請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
- 前記ガラス粒子の含有率が、0.1質量%〜15.0質量%である請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
- 更に、樹脂を含む請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
- 更に、溶剤を含む請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の電極形成用組成物。
- 請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の電極形成用組成物の熱処理物である電極。
- 半導体基板と、前記半導体基板上に設けられる請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の電極形成用組成物の熱処理物である電極と、を有する太陽電池素子。
- 前記電極は、銅と錫とニッケルとを含有する合金相及び錫とリンと酸素とを含有するガラス相を含む請求項17に記載の太陽電池素子。
- 半導体基板上に請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の電極形成用組成物を付与する工程と、
前記電極形成用組成物を熱処理する工程と、
を有する太陽電池素子の製造方法。 - 請求項17又は請求項18に記載の太陽電池素子と、前記太陽電池素子の電極上に配置される配線材料と、を有する太陽電池。
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