本願発明の各実施の形態について説明する前に、本願発明者が行った津波に対する分析と導き出した結論を先に説明する。
ここで、先に当該分析を説明する理由は、津波が人類にとって敵であるためである。試合において敵を見事攻略するためには、敵の本質、力、弱点を予め調べることは必須である。ましてや津波は人を殺す殺人鬼であり、津波と対峙することは死合である。敵を見誤って殺されましたではすまされない。すべての発明は、自然法則を利用した技術的思想の創作であり、従来技術に深い洞察を行うことで捉えた課題を解決するための技術的手段である。しかしながら、こと災害対策の発明は、人の命に係るものであり、失敗は許されないため、対峙を試みる災害の本質を的確に捉えることが更に求められる。このような認識の下、本願が提供する津波用のシェルターについて津波に対する分析を交えながら説明を行う。
一般に、災害から身を守るシェルターと言えば外界からの衝撃に耐えうる重厚な建造物であることが多い。例えば、アメリカ合衆国のオクラホマ州では、竜巻が頻繁に発生する。巨大竜巻は、瞬間最大風速が150m/秒に達することもあり、家屋の壁がこの突風を受けると、家屋にかかる力は壁の面積Sに比例するため、非常に大きな負荷がかかり、家屋をいとも容易く吹き上げてしまう。そこで、竜巻から身を守るため、多くの家庭で地下に竜巻用シェルターが設置されている。
津波が竜巻に通じるところは多い。家屋の壁に強い圧力(流水圧)がかかることで、柱が耐えられなくなり、家屋が崩壊する点で共通する。しかしながら、上方から襲ってくる竜巻に対して下方(地下)に退避することと比べて津波は下方から襲ってくる。すなわち、津波は下方から浸水してくるため、竜巻のように地下にシェルターを作って対応することはできず、避難方向はおのずと上方になる。通常は、建物を高くすることで、下からの浸水に対して上方に逃げ道を残しておくことが最も単純な解である。
しかしながら、いくら上階へ避難していても津波の高さが建物の高さを上回った場合、助かる術はない。また、津波の高さが最上階まで到達しなくても、建物事態が崩壊してしまえば結果は同じである。津波の高さが高くなるほど、流水圧を受ける面積が広がるため、建物にかかる負荷が大きくなる。また、建物に流れ着いた他の家屋等が建物の壁にへばり付くことで流水圧を受ける実行面積が大幅に増大するため、建物に係る負荷の最大値を想定することは困難である。このような負荷は非常に大きく、また、一般的に柱の基礎部分周辺にその負荷が集中する。このことは、津波後の映像から分かるように、建物が流され、基石のみが残されていることからも、柱の基礎部分で破壊が始まり、上層部が流される過程で建物全体が破壊されたことを物語っている。以上の点を鑑みると、津波の高さと強さ如何では、鉄筋コンクリートの建物であっても倒壊の危険は免れない。現に、今回の津波において、大船渡で23.2mの津波が観測されている。これは、6階の高さに相当し、4階建ての建物に避難していながら助からなかった事例や、その力の大きさから鉄筋コンクリートでありながら倒壊した事例が散見されている。
従って、高さ及び強さの最大値を想定しきれない津波に対しては、鉄筋コンクリートの高層建築物であっても、決して安全ではなく、その機能が失われた場合には、全滅の危険性が高いという点からも最良の津波用シェルターであると断定することはできない。
本発明者は、津波用シェルターの別の形態を模索するに当たり、第1に、家屋等は木片レベルにまで破壊し尽されている一方、自家用車は原型を留めているものが多く、中には窓ガラスも割れていない点に着目した。
分析を行った結果、固定されている家屋は巨大な圧力がかかることで破壊され、さらに水中に引き擦り込まれることで破壊が進んだのに対し、車は浮力が大きく水中に引き擦り込まれることなく、水面付近をさ迷いながら津波に流されたことで破壊を免れたことが判明した。
この点を更に詳しく調べるため、津波犠牲者の死因を調べると9割以上の方の死因は水死であった。この事実は、津波によって殆どのものが等しく流されるため、周囲で流されている物体との相対速度が小さく、外的衝撃が津波の見かけの激しさから予想されるほどには生じないことを意味している。一方、津波に巻き込まれた人の大半が水死する原因は、津波の流れが速く、また、乱流や下降流が様々な場所で発生しているため、そのような流れに巻き込まれるとかなりの浮力を有さなければ再浮上は困難であることを意味している。
次に、本願発明者は、水位の定点観測を行った。一例として、今回釜石市で観測された津波を例にとると、津波の高さは17.7mであり、防波堤を超えて海水が進入してきてから引き波に変わるまでの時間は約3分30秒である。
ここで、撮影された様々な映像から17.7mの津波が壁となって町中に侵入してきたのではなく、時間と共に水位が上がっていった結果、最高点で17.7mの津波の高さとなっていることを確認した。すなわち、定点観測では(17.7m/3分30秒)≒8cm/秒の平均速度で水位が上昇していったことを意味している。この事実は、シェルターを構築する上で非常に重要なデータである。なぜならば、津波が大壁となってシェルターを飲み込むならば、シェルターは、その巨大な第一波に耐えられる強度を有しておくことが求められるためである。一方、徐々に水位が上がるのであれば、シェルターには瞬間的な衝撃はかからないためである。
また、津波の被害を受ける時間は津波到来〜最高水位到達までの時間(=3分30秒)+最高水位到達〜潮が引く時間(≒3分30秒)と合わせて10分にも満たない。従って、この10分間を耐えることができれば生き残ることができる。また、津波の速度は場所にも拠るが、陸に遡上してからの速度は約10m/秒であった。
以上の考察を纏めると以下のようになる。(1)私達は自宅から身動きが取れない人達にも津波から生還する手段を与えるため、自宅の庭や部屋の一室に配置可能な小型シェルターを構築しなければならない。(2)しかしながら、起こり得る津波の最大高さを予測することは不可能であり、建造物の高さ及び強度を津波が上回った場合に全滅の危険性がある高層建築物は最後の砦となるシェルターとしては不適合である。(3)ここで、固定されている建造物に対しては外部より大きな力がかかる一方、津波と共に流される場合には、津波の大きさが圧倒的であるためすべてのものが等しく流され、周りに漂う物体との相対速度が小さいため外部より大きな衝撃が加わることが少ない。そこで、固定建造物によるシェルターよりも津波の流れに従って移動できるシェルターの方が、遥かに強度が小さくて済み、緊急用として求められる「安価であること」の要件をクリアできる。(4)しかし、流されるシェルターであっても、水中は乱流が発生しているため破壊能力が比較的高いことと、シェルターに破損が生じた場合に呼吸の確保が困難になることから、水中ではなく水面付近を浮遊しながら流される構成であることが要求される。ここで、水面付近を浮遊していても途中で乱流や流れ着いた漂流物に巻き込まれる可能性があるため、再浮上できるように一定の浮力を有していること及び水中に引き擦り込まれてもシェルター内部の呼吸を確保できるように構成する必要がある。(5)なお、巨大津波であっても巨大な水壁が押し寄せて一瞬ですべてを破壊することはなく、徐々に水位を上げながら破壊が進行していくという特徴があるため、浮遊することができれば水圧によるシェルター破壊は起こらない。(6)さらに津波の第1波の被害を受ける時間は10分程度と短い時間であるため、この短い時間を耐えることができればシェルターとしての役目を果たしているといえる。
上記(1)〜(6)に示した設定すべき課題及び津波に対する考察、さらに後述する実施の形態内で示す他の考察等を経て導きだした本願発明の津波用シェルターに関する各実施の形態について、以下、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1における津波用シェルター100の本体部分の6面図であり、(a)正面図、(b)背面図、(c)左側面図、(d)右側面図、(e)底面図、(f)平面図、である。津波用シェルター100の本体は、内部に空洞を有する胴体部分10の上方に開口部11が設けられている。開口部は人が出入りするための穴である。胴体部分は、滑らかな曲面を有しており、本実施の形態1の津波用シェルター100は、内部に避難スペース用の空間を有する球体形状である金属から成る構造体である。なお、以降断らない限り図面で示す(a)〜(f)は6面図における正面図、背面図、左側面図、右側面図、底面図、平面図をそれぞれ表しているものとする。
図2は、開口部11を閉じるための蓋部12の6面図である。ただし、蓋部12は回転対称につき、(a)正面図と(b)背面図は同一、また、(c)左側面図と(d)右側面図は同一であるため、(b)背面図と(d)右側面図は省略する。
蓋部12は、ねじ切り加工13が施されている。また、本体部分の開口部11にも蓋部と合わさるようにねじ切り加工が施されている。当該蓋部12をシェルター本体内部から開口部11に押し付けながら回転させることにより胴体部分と蓋部をねじ合することができ、内部空間を密封することができる。なお、蓋部12には、内部より回転しやすいようにハンドル14が設けられている。内部に避難した人は、開口部11を蓋部12で内側から閉じることにより、内部空間の密閉性を保つことができ、津波が襲ってきても内部空間への浸水を防ぐことができる。
図3は、本体部分の開口部11が蓋部12で閉じられた状態の津波用シェルター100の正面図である。また図4は、内部に2人の人物が避難している状態の当該津波用シェルターの透視図を示している。本実施の形態1の津波用シェルターは、定員2名、直径1.6mの金属球体型シェルターである。ここで直径は1.6m、胴体部分の金属の厚さは2cmである。ここでは、本シェルターを構成する金属は鉄であるとする。
シェルターの重さは、鉄の密度7874(kg/m^3)×4πr^2(m^2)×0.02(m)≒1266kg。平均体重60kgが定員人数分2人により60×2=120kg。従って、避難状態におけるシェルター全体の重量は、合わせて約1386kgとなる。一方、シェルター全体積の浮力は、海水の温度を20度として、海水の比重(1.025)×4πr^3/3(m^3)×1000(kg/m^3)≒2746kgとなる。従って、シェルターの約半分は図5の状態のように海水から浮き出ることができるため、津波に襲われても本シェルターは海面を漂うことができる。また、上記計算より、シェルターに出入りするための開口部11は胴体部10の半分より上方に設けられることが望ましい。避難中は蓋部13により密閉が保たれるが、外的衝撃によりシェルターにゆがみが生じ、浸水することを妨げるためである。なお、水面付近の波を考慮して開口部はシェルターの70%以上の高さの場所に設けられることが望ましい。ここではシェルターの高さが1.6mであるため、底面から1.12m以上の場所に開口部が設けられることが望ましい。更に望ましくは、図1に示すシェルターのように頂上部を含む位置に開口部が設けられることが望ましい。
このように、本実施の形態1の津波用シェルターは、内部に人間が避難して待機可能な大きさの空間を有する金属から成る構造体と、前記構造体の上方に少なくとも1つ設けられた前記人間が通れる大きさの開口部と、前記開口部を内側から密閉可能な蓋部と、を有し、前記シェルターの全重量に前記シェルターの定員数分の平均体重を足した重量が、前記シェルターの体積分の海水の重量よりも軽いという条件を満たすように前記構造体を形成していることを特徴としている。従って、津波に飲み込まれても、シェルターの体積分の海水の重量よりも軽いという条件を満たすように前記構造体を形成していることで水中と比べて比較的穏やかな海面付近を漂うことができる。また、開口部を上方に設けていることで海水がシェルター内部に浸水してくることを妨げることができる。更に、開口部を蓋部で内部から閉じることができる構成とすることで更に浸水を防ぐことができる。
次に、シェルター内部について説明する。シェルター内部には、定員数分の固定ベルトが備え付けられていることを特徴とする。固定ベルトは、避難者をシェルターに固定しておくための固定器具であり、より具体的には、シェルター内部の所定の避難ポジションにシェルターに固定された簡易座席が設けられ、当該座席部分に避難者が固定できるようにシートベルトが設けられている。ここで簡易座席は、避難者が一時的に座った体勢で待機できるようにするためものであり、柔軟性のあるクッション等を用いて座部を構成しただけの簡易な座席であっても良い。
津波は、等しく物を押し流すため、近くを浮遊する物体との相対速度は小さいため、外部衝撃は少ない。しかしながら、流されている途中で未だ残っている建造物に衝突した場合や波のうねりに巻き込まれた場合などは、比較的大きな外的衝撃が発生し、大きな慣性力がシェルター内部の人間に働く。
釜石市の例からもわかるように、津波は水深が下がるにつれて速度が低下していくため、陸に遡上した後の津波の速度は、一般的に10m/s以下となる。これは、36km/hと同等であり、中速度で走る車の速度と等しい。津波の海面上を漂いながら流される場合は、津波の速度を超えることがないため、流されている途中に固定されている建造物に衝突した場合は、36km/hで電信柱と衝突した車の運転者と同等の衝撃がかかりうる。
これが、一般的な他のシェルターと大きな違いとなる。すなわち、竜巻シェルターや核シェルターなど一般的な避難シェルターは固定されているために、避難中に慣性力を受けることはない。しかしながら、本発明のシェルターはあえて移動可能な状態とすることで外的衝撃を和らげる構成を取っているため、内部に様々な慣性力が発生する。そこで、本発明のシェルターは避難者をシェルターに安全に固定させておくための固定具としてシートベルト等が備え付けられている。
また、シェルターは外的衝撃から内部を守るために金属等で形成されるが、内部は避難者がシェルター内壁にぶつかる時の衝撃を和らげるために皮やゴム、エアークッションなどの柔軟性を有する部材で内装されていることが望ましい。また、避難定員数分設けられた座席部分も柔軟性あるクッションなどを用いることが望ましい。ここで、取り外し可能なエアークッションをシェルターに固定することで、座席部分とし、更にシェルターに固定されたシートベルトを用いて避難者を座席に固定するように構成するとなお良好である。さらに非常時には当該座席部分のエアークッションの一部を取り外して浮き輪代わりに使用することができる。
図6に、シェルターの透視図を示す。シェルター内部にはシートベルト15とバックル16が定員数分設けられている。当該シートベルト15とバックル16は、シェルター本体の座席位置の内壁に固定されている。従って、シェルターに避難した人は、シートベルトをしておくことで、流されている途中で大きな慣性力が加わっても適切に避難行動を継続できる。なお、図6では、通常の自家用車で用いられているシートベルト同様3点式シートベルトである場合を示したが、更に複数の固定点を有するシートベルトを備えているとなお良好である。
例えば、図7に示すように4点式シートベルトや6点式シートベルトであるとなお良好である。これは、自家用車が事故を起こす場合は、前方に進む自動車の性質上運転手にかかる慣性力も前方の1方向である。しかしながら、本津波用シェルターでは360度すべての方向から衝撃が加わりうるため、内部に発生する慣性力も360度すべての方向にかかる可能性がある。従って、前方向だけではなく上方向や左右に対する慣性力がかかることを想定して、2点式ではなく、4点以上の固定点を有するシートベルトであるとなお良好である。
また、避難者を固定するための避難者固定用装置としては上記シートベルト以外の形態をとることができる。例えば図8に示す構成であっても良い。図8では、座席位置に2本の安全バー17が内壁に固定されている。安全バー17は、避難者への衝撃を吸収できるよう、ゴムのような弾力性のある素材やウレタンのような柔軟性のある素材で覆われている。安全バー17は20cm〜50cmの間隔で2本備え付けられており、図8に示すように間から首を出して肩で固定し、腕で更に安全バーを掴むことで体を固定できるように構成されている。このように構成されていても良い。また、図7のシートベルトと組み合わせて構成するとなお良好である。
その他、内部には出入りが簡単になるように梯子が設けられていても良い。例えば胴体部分であるシェルター本体の内部において、開口部付近と、床の部分に縄梯子を接続するためのリングを配置し、フック付縄梯子を当該リングに接続することで開口部から床まで縄梯子を伝って安全に降りられるよう構成していても良い。なお、あえて縄梯子にしている理由は、狭い避難スペースを有効に利用するとともに、避難中の外的衝撃により梯子が避難者に当たることを防ぐためである。また、開口部から大地までについても同様梯子が設けられていても良い。
また、図9に示すように、中心部分に台座部分18が設けられていても良い。このように開口部11直下に足場が形成されるため出入りが容易となる。さらに台座部分18は、図のように内部に備品保管用空洞19を有しており、当該空洞部分に食料や懐中電灯や小型酸素ボンベや救急救命キッドやヘルメットなどが保管できるよう構成されていても良い。また、内部の酸素濃度を測定する測定装置と、酸素濃度が空気の酸素濃度と近い濃度(約21%)となるように酸素ボンベからの酸素放出を制御する制御装置を合わせて設置される構成されていても良い。また、酸素濃度の低下や二酸化炭素の上昇に伴い警告を行う警告装置が設置されているとなお良い。
また、内部には補強用の柱が備え付けられていても良い。図10において、内部底面から垂直に伸びる柱と中間付近の高さで交差している十字型フレームが補強フレームとして配置されている。外的衝撃は前後左右又は下方向からの衝撃が強いため、潰れる事を防ぐためにこのような構成であっても良い。なお、下方向からの衝撃は逃げることができるため、前後左右の衝撃よりは小さい。従って図11のように十字型フレームを補強フレームとして配置していても良い。また、図12のように三角錐の頂点を結んだ補強フレームを用いることが可能である。このような補強フレームを用いるメリットは、内部に入出用の足場ができると共に、軽量な構成でシェルターを補強ができることである。外壁を厚くして対応すると重量が増して沈むこととシェルターの材料費が上がる。一生に1回使うか使わないかの物であるため、コストを考えても内部フレームで補強するメリットは大きい。また、図10〜図12のように補助フレームと内壁の接地面は広くとることが望ましい。フレームの接地面付近に力が集中する点と、接地面を小さくすることで内壁の破損を防ぐためである。
次に、本シェルターを保管しておくための安置台について説明する。本シェルターは、津波で発生する各種の衝撃を分散させるため比較的曲面が多く用いられている。従って、安定性にやや欠ける部分がある。従って、通常は別途安置台を用いて固定して置くことが好ましい。図13は、図1のシェルターに対応する安置台である。
安置台は、シェルターを安置する台座20と、脚部21と、梯子22を有する。台座20は同心円のリング状の形をしており、内円の直径は、図1のシェルターの直径よりも僅かに小さくなっている。脚部21は4方向に伸びており、脚部21の高さは、シェルターの半径と同一又は僅かに高くなるような高さになっている。また、台座20に上がれるように梯子22が2つ設けられている。なお、脚部の数や梯子の数や配置は適宜変更可能である。
図14は、安置台に載せられるシェルターを示している。図14左図のように安置台上部からシェルターを下すことにより、シェルターより小さな同心円を有する台座20によってシェルターが図14右図のように固定される。
この状態で、津波を生じると、下方から水かさが上がって行き、安置台は水中に沈み、シェルターがその浮力によって浮き上がることで安置台と分離され、シェルターは海面を漂うことができる。なお、安置台は地面に打ちつけて固定されているとより安定性が増すため良好である。
なお、シェルターを安置台を用いずに置けるように構成しても良い。例えば図15に示すようにシェルターを構成しても良い。当該シェルターは、全体を球面形状としながらも底面に平らな面を設けている。従って、安置台を用いなくても地面に安定して置くことができる。また、図15のシェルターを図13の安置台を用いて更に固定しても良い。
なお、上記説明ではシェルター本体の避難スペースの大きさが直径1.6mの球体状の空間であり、避難定員数が2名の場合について示したが、これに限るものではない。避難定員数が2名の場合は、直径が1.2m〜1.6mの大きさとすると良好である。また、避難定員数が4名の場合は1.6m〜2mの大きさとすることが良好である。なお、2mの大きさがあれば6名〜8名を避難定員数とすることも可能であり大家族の家庭であっても、適切に避難する事が可能となる。
(実施の形態2)
図16は、本実施の形態2にかかる津波用シェルター300の6面図である。
シェルター300は、シェルター200に加えて窓32と、換気口33と、姿勢安定スタビライザー34と、とめ具35と、パッキン36とを更に備える。
避難中に外部の様子を観察できるようにシェルター300には窓32が設けられている。窓は強化プラスチックや強化ガラスで密閉されていることが好ましい。
換気口33は、シェルター内部を換気するための穴である。図17に換気口33の構成の一例示す。換気口33は、通常は(a)で示すように換気口33を閉じるための蓋である換気口栓38で閉じられている。換気口栓38はシャフト37の先端に取り付けられており、シャフト37は図示せぬばね機構に取り付けられている。内部に避難している避難者が当該ばね機構に連結されたハンドルを引くことでばねが縮み、シャフト37が外に押し出されることにより換気口33が図17(b)のように開き、換気が行われる。レバーから手を離せばばねが伸びることで換気口33が自動的に閉じられるため継続して浸水してくることを防ぐことができる。なお、換気口の構成は、上記構成に限るものではなく、内部から開閉可能な構成であれば構成の変更は可能である。
図25に、当該通気口の開閉機構の断面図の一例を示す。換気口栓38は、連結用のシャフト37を介してシェルターに避難した避難者から前記換気口を開閉する操作を受ける操作部であるハンドル39と接続されている。当該開閉機構は、図に示すように2本のばねを有しており、(a)に示すように、ハンドル39に外力が加えられない場合はばねの弾性力により換気口33は換気口栓38で閉じられている。一方、(b)に示すように、避難者がハンドル39を引くことでハンドル39に外力が加えられると、てこの原理により、シャフト37が押し上げられる。シャフト37が押しあがることにより、ばねが押し縮められつつ、換気口栓38が押し上げられて換気口33が開かれる。
このように操作部であるハンドルに外力が加えられた場合に換気口栓がばねからの弾性力を受けた状態で開かれる構成とすることで、万が一換気口栓から海水がシェルター内に浸入してきた場合に、避難者がハンドルから手を離すことで自動的に換気口栓が閉じられ、過度の浸水を抑えることができる。
姿勢安定スタビライザー34は、シェルター下方の4方向又は8方向に取り付けられた水流を受けるための板である。本発明のシェルターは流水圧を逃がすために曲面を中心に構成されている。一方で、シェルターが回転すると、効力を受けにくいために回転が持続してしまう。そこで、回転を止め、姿勢を安定させるために、姿勢安定スタビライザー34が取り付けられている。また、姿勢安定スタビライザー34は、地面との設置面積を広げ、通常時の安定性を高める効果も有する。
とめ具35は、地面とシェルター300を紐やゴムといった接続部材で繋げておくための接続機構であり例えば紐等を結んでおく突起などである。上述したように、大きな津波が来ても家の基石などは流水圧がほとんどかからないため残る。従って、このような基石などの大地とシェルターを伸張性のある紐やゴムで繋いでおくことで、図19のように津波に襲われてもシェルターを繋ぎとめておくことができる。
ただし、巨大な津波である場合に、シェルターが地面に固定され続けるとかえって被害が増える場合が想定されるため、一定の力がかかった場合に接続部材である紐等が切れる、とめ具35が外れる、ことにより接続機能が喪失される構成であることが望ましい。最低でもシェルターの全浮力を超える力が所定の時間(数秒以上)当該紐等に加わる場合には、接続機能が喪失され、シェルターが完全に離脱できることが望ましい。例えば、シェルターの全浮力と同じ力が10秒程度紐に加われば確実にシェルターが津波の中へ引きずり込まれることになる。
そのような状態になることを比べると、大地との接続が失われ、自由浮遊状態になるほうがシェルターとして好ましい。巨大津波発生後は救援隊がすぐに駆けつけるため外洋に流されてもすぐにシェルターごと回収してもらえる可能性が高いことと、巨大津波により陸地深くまで運ばれた場合は、引き波で外洋まで運ばれること無く陸地部分に不時着できる可能性が高いためである。
例えば、図1の形態のシェルターでは、上述の通りシェルターの重さが1266kg。平均体重60kgが2人で120kg。合わせて約1386kgの重量があり、一方、シェルター全体積の浮力は2746kgであるためこの差にあたる1360kgの力で下方に引っ張られるとシェルターの浮力がシェルターの重量と当該張力を上回ってしまう。従って、シェルターが完全に水没してしまう。そこで、シェルターと地面を接続する紐、ゴム、ロープ、バネなどは(シェルターの全浮力)―(シェルター総重量)の力がかかった場合に切れる構成であることが望ましい。又は当該紐等を接続する上記留め具35が(シェルターの全浮力)―(シェルター総重量)の力がかかった場合にシェルターから離脱するように構成されていると望ましい。例えば、とめ具35はシェルター本体に弱く接着されており、上記力がかかると接着が外れてシェルターから分離される構成や、上記力がかかると上記とめ具35折れて上記紐等がシェルターから外れることで、シェルターが地面との接続から解き放たれる構成であることが望ましい。
一方、〜2m程度の弱い津波である場合にシェルターが自由に動き回ることを防ぐため、一定の張力に対しては固定状態が維持されることは望ましい。例えば、上記例ではシェルターの70%以上の高さの部分に開口部が設けられていることから、(シェルターの開口部の高さまでの合計浮力)−(シェルター総重量)の張力には耐えられる程度の強度で上記紐やとめ具35が構成されていることが望ましい。どのような条件を満たすように紐や留め金の強度を設計するかは想定される津波の大きさや周りの環境(流されてきた住宅に巻き込まれて水中に引き擦り込まれる可能性があるか等)を考慮しながら設定されるが、一般的に20〜30%程度のマージンを持たせて設計されることが安全の観点から好ましい。従って、大地とシェルターを繋ぎとめる紐等の接続部材が破断・分離する限界の張力Pの値や力積Tを以下の式(1)または(2)の範囲内に収まるように設計すると良好である。なお、これらの設定値は一例であって、これに限られるものではない。
(1)0.7×{(シェルターの開口部の高さまでの合計浮力)−(シェルター総重量+シェルター定員数×平均体重)}≦P≦1.3×(シェルターの全浮力)
(2)0.7×1秒×{(シェルターの開口部の高さまでの合計浮力)―(シェルター総重量+シェルター定員数×平均体重)}≦T≦1.3×10秒×(シェルターの全浮力)
上記条件式の範囲内で紐等が破断・分離する限界張力Pや限界力積Tを設定しておけば、万が一紐等に家屋の残骸が絡みつきシェルターが水中に引き擦り込まれても、数秒の内に再浮上することができる。シェルターの約半分は図5の状態のように海水から浮き出ることができるため、津波に襲われても本シェルターは海面を漂うことができる。
パッキン36は蓋部12を閉めたときの密閉状態を強化する。シェルター300では、蓋部12は、回動可能なヒンジを用いて開閉される。ヒンジは図示せぬばね機構と接続されており、外力が加わらない状態では自動的に開放されるように蓋部12は構成されている。また蓋部12には紐がつけられており、内部に避難した後に当該紐を引くことで蓋部12を内側から閉めてロックすることができる。
図18は、シェルター300の透視図である。下方からの外的衝撃が大きいため、下方のシェルター厚みを上方よりも厚くしている。具体的にはシェルター下方の大部分においてその厚みは2cm<厚みX≦10cm程度、シェルター上方で0.2cm<厚みX≦2cm程度の厚さの金属が用いられている。また、当該構成により重心が下がり姿勢が安定する。
なお、とめ具35には、2本以上の接続部材により大地と接続されていても良い。ここで、第1の接続部材と第2の接続部材の長さを異なるようにするとなお良好である。小さい津波には長さの短い第1の接続部材により大地との接続が維持される。
一方、津波が大きくなってきた所定の段階で第1の接続部材は破断等により接続機能を喪失し、より長く、自由度の高い第2の接続部材による大地との接続に移行される。従って、大きな津波でも未だ大地との接続機能は第2の接続部材により維持される。そして、さらに大きな津波になった段階で第2の接続部材も接続機能を失い、完全自由浮遊状態に移行するようにするとなお良好である。これば、比較的長い第2の接続部材のみでシェルターと大地を接続していると水深1m程度の津波によってもシェルターが浮き上がり、第2の接続部材の長さの範囲で周囲の建物にぶつかり、周囲の建物にダメージを与えうる。
そこで、小さな津波に対しては、シェルターが必要以上動き回らないように、1〜3m程度の比較的短い第1の接続部材でシェルターが接続されることで、シェルターの移動範囲を制限することができる。一方、津波が大きくなり、移動範囲の小さい状態で必要以上に接続され続けると、津波内部に引き擦り込まれる危険性が高まるため、第1の接続部材は第2の接続部材と比較して弱い張力で破断するように構成されているとなお良好である。これにより、第1の接続部材による接続から解き放たれ、3m〜20m程度の比較的長い第2の接続部材による接続状態に移行することで、自由度の高い接続状態が適切に津波を受け流すことを可能としつつ、大地との接続を維持することができる。そして、さらに巨大な津波に襲われた場合や、シェルターに流れ着いた残骸等の影響で水中に引き擦り込まれる場合には、第2の接続部材も、それにかかる張力により接続機能を失う構成とすることで、シェルターの安全度を高めることができる。
なお、複数の段階で接続部材の長さを変更する機能を達成するためには2つの接続部材を用いる方法以外にもあり、様々な構成を採用することができる。例えば、長い接続部材を一定の長さ束ねて、又はロール状に巻いた状態で固定部材により固定しておくことで短い接続部材とすることができる。ここで、津波により一定量の張力や力積が接続部材にかかる場合、又は一定時間固定部材が水没している場合に、固定部材が外れて接続部材の長さが本来の長さとなるよう構成していても良い。
(実施の形態3)
図20は、本実施の形態3にかかるシェルター400の6面図である。シェルター400は、略球体状の胴体部分40と、胴体部分40の下方部分を覆う略半球体状の船底部である船殻41とから構成される。胴体部分40は、実施の形態1及び2と同様、内部空間に避難スペースを提供する金属等の硬物質でできた球体状の構造体である。
船殻41は、下方からの外的衝撃から避難スペースを保護するための外壁として機能すると共に、船殻41と胴体部分40の間に更に閉じられた空間を作ることでシェルター400の浮力を向上させる機能を有する。
図21に示すように胴体部分40と船殻41との間には空間43が設けられており、船殻41に損傷が起きても胴体部分40内部へは浸水しない構造をとっている。また、空間43は、複数の部屋に分かれており、当該部屋の一部に浸水が起きても空間43すべてが浸水することはないため高い浮力を維持できる。また、重心を下げることで安定性を増す効果も有する。
なお、胴体部分40と船殻41とをばね等の弾力性のある部材で連結し、当該サスペンション機構により、外的衝撃が船殻41に加えられても、シェルター内部に伝わる振動を軽減できるよう構成されていても良い。このような緩衝効果はバネに限らず、胴体部分40と船殻41との間をゴムや発泡スチロールやエアークッション等の柔軟性を有する部材を用いて詰めて接続されることで達成することも可能である。
シェルター400には入り口へ続く足場42が設けられている。これにより、シェルター内への出入りが簡単になる。
(実施の形態4)
図22は、本実施の形態に係るシェルター500の6面図である。シェルター500は、出入り口が2箇所あることを特徴とする。
シェルター400と同様、主に胴体部分と当該胴体部分の下方を覆う船殻から構成されるシェルター500は、胴体部分の上方に2つの開口部11を備えている。2箇所から内部避難できることで避難速度を向上させることができるとともにトラブルで1つの蓋部12が開かなくなっても、他方から適切に出入りが可能となる。
(実施の形態5)
図23は、本実施の形態に係るシェルター600の6面図である。シェルター600は、2重構造の蓋部を有している。図24は、蓋部の開いた状態と閉まった状態を表している。(a−1)は、蓋部12全体が開いている状態、(a−2)は、蓋部12aと蓋部12bがそれぞれ開いた状態、(a−3)は、蓋部12aのみが開いている状態をそれぞれ表している。
このように蓋部12は、ドーナツ状の蓋部12bの内円を閉じるように蓋部aが設けられている。すなわち、蓋部12は、その一部に第2の開口部を有し、当該第2の開口部を内部から閉じることができる第2の蓋部12aを具備することを特徴とする。当該構成とすることで、シェルターに2つの開口部を設けることができるため、1つの開口部がシェルターに加えられた外力により生じる歪みにより開けることが困難となっても、第2の開口部をあけることで適切にシェルター内部から外に脱出することができる。ここで、第1の蓋部である蓋部12と第2の蓋部である蓋部12aは、異なる開閉方法をとるとなお良好である。例えば、一般的な出入りに用いる開口部11を閉じる蓋部12はヒンジを用いて回動可能な構成であるのに対し、蓋部12に設けられた緊急用の第2の蓋部12aは、実施の形態1のようにネジ式で開閉される構成であるとなお良好である。
また、蓋部12に設けられた開口部は換気口として活用することも可能である。
以上説明したように、本発明のシェルターによれば、津波警報が出された場合に、避難できない人に対して、生き残りの道を与えるべく、自宅等に接地可能な小型の津波シェルターを提供することができる。
なお、上記説明では、蓋部は内側から開閉できる構成について説明したが、外側からも開閉可能な構成であるとなお良好である。例えば蓋部の外側にハンドルを設け、ハンドルを回すことで蓋部を外側から開けることができる構成であるとなお良好である。当該構成とすることで救助に来た救助隊がシェルターを外から空けて内部に避難している避難者を助けることができる。
また、上記説明では、換気口は閉まっている状態をデフォルトとして説明したが、開いている状態をデフォルトとすることも可能である。開いている状態をデフォルトとすることでシェルター内の換気が促進される。なお、上記説明では、換気口は、内部に避難している人の操作で開け閉めできる構成にしたが、これに限るものではない。換気口栓が開いている状態をデフォルトとし、当該換気口栓まで海水が迫った場合に、外側からかかる水圧により換気口が換気口栓により自動的に閉じられる構成であっても良い。当該構成であれば、避難者の操作を必要とせずに、自動的に換気口が外部からの圧力により閉じられるため、操作部は必要にならず、避難者の負担を減らすことができる。
また、上記説明では換気口は手動で内部から開け閉めできる構成について説明したが、自動で開け閉め可能な構成とすることも可能である。しかし、海水が換気口から流入してくることは避ける必要がある。従って、換気口付近、特に換気口下部の外壁に海水が浸かっているかどうかを検出する検出器を配置する。このような検出器は、例えば検出器に加えられる圧力を検出する圧力計を用いることができる。当該圧力計に水圧がかかっているかどうかに基づいて換気口付近まで海水が迫っているかを検出することができる。
また、換気口栓に連結部を介して接続される操作部としてモーター等の駆動機構を用いることができる。モーターが順回転、逆回転することでシャフトが上げ下げされることで換気口栓の開閉が行われていても良い。なお、当該モーターの制御を行う制御部及びこれらに電力を供給する電池等の電力供給部が必要となる。
纏めると、上記自動開閉機構は、換気口近くのシェルター外壁に設置される海水検出器と、当該海水検出器で検出される検出結果に基づいて、駆動機構を制御する制御部を備える。駆動機構は連結部を介して換気口栓に接続されており、駆動機構が制御部による制御に基づいて換気口栓が上げ下げされることで換気口の開閉が行われることになる。なお、当該構成では自動で開閉が行われるため、ばねは必要ない。
その他、本発明は適宜変更が可能である。例えば以下の構成を取ることができる。
第1の形態としては、津波からの一時的な避難に用いられるシェルターであって、当該シェルターは、内部に人間が入れる大きさの空間を有する金属から成る構造体と、前記構造体の上方に設けられた人間が通れる大きさの開口部と、前記開口部を内側から密閉可能な蓋部と、前記構造体内側に避難した人間を固定するための固定装置と、を備え、シェルターの全重量に前記シェルターの定員数分の平均体重を足した重量が、前記シェルターが作り出す空間体積分の海水の重量よりも軽いという条件を満たすように前記構造体を形成していることを特徴とするシェルターとすることができる。
また、第2の形態として、前記構造体は、前記開口部より小さな換気口と、前記構造体内側から前記換気口の開閉が可能な開閉機構と、を更に具備するシェルターとすることができる。
また、前記開閉機構は、前記換気口を閉じる換気口用蓋部と、シェルターに避難した避難者から前記換気口を開閉する操作を受ける操作部と、前記換気用蓋部と前記操作部を連結する連結部と、弾性体と、を具備し、前記換気口は、前記操作部に外力が加えられない場合は前記換気口用蓋部で閉じられ、前記操作部に外力が加えられた場合は前記換気口用蓋部が前記弾性体からの弾性力を受けた状態で開かれることを特徴とすることができる。
また、第3の形態として、前記構造体内側に避難した人間が着席する座席部を更に具備し、前記座席部は前記構造体に固定され、前記固定装置は、前記避難した人間を前記座席部に固定するシートベルトであり、前記操作部は、前記座席部に着席している人が操作可能な位置に設けられていることを特徴とすることができる。
また、前記シートベルトは、4点以上の固定点で前記避難した人間を前記座席部に固定することを特徴とする。また、前記固定装置は安全バーとすることも可能である。
また、第4の形態として、前記構造体の下方を覆う金属から成る船底部を更に具備し、前記船底部と前記構造体との間の空間を仕切り板で複数の空間に分割していることを特徴とすることができる。
また、第5の形態として、前記構造体の下方を覆う金属から成る船底部を更に具備し前記構造体と前記船底部を弾性体で接続することを特徴とすることができる。
また、第6の形態として、大地とシェルターを繋ぐ所定の長さを有する接続部材を更に具備する。ここで、前記接続部材は、長さが1mから20mの間であることを特徴とすることができる。
さらに、前記接続部材は、シェルターの有する全浮力からシェルター総重量を引いた張力がかかる場合に接続機能を喪失することを特徴とすることができる。
また、前記接続部材は、0.7×1秒×{(シェルターの開口部の高さまでの合計浮力)―(シェルター総重量+シェルター定員数×平均体重)}≦T≦1.3×10秒×(シェルターの全浮力)の関係式を満たす力積Tが加えられた場合にその接続機能を喪失することを特徴とすることができる。
また、大地とシェルターを繋ぐ第1の接続部材と、大地とシェルターを繋ぐ第2の接続部材と、を更に具備し、第1の接続部材は、第2の接続部材よりも短く、第1の接続部材は、第2の接続部材よりも先に接続機能を喪失することを特徴とすることができる。
また、第7の形態として、前記構造体は、上方に前記開口部を複数有することができる。ここで、前記構造体上方に設けられた前記開口部を閉じる前記蓋部は、その一部に第2の開口部と当該第2開口部を内部から閉じることができる第2の蓋部を具備することを特徴とする。
さらに、前記構造体は、直径が1.2mから2mの略球体であり、内部に避難する定員数が2人から8人であるシェルターとすることができる。