JP2012220517A - 投写型表示装置 - Google Patents

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昭雄 連
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Abstract

【課題】ホワイトバランス補正に伴う画像品質の低下を抑制できる投写型表示装置を提供する。
【解決手段】プロジェクタは、光源ランプ201と、光源ランプ201からの光を映像信号に基づいて変調する液晶パネル211、213、216と、光源ランプ201の出力を調整するCPU401と、光源ランプ201の出力に応じて映像信号のホワイトバランス補正を行うホワイトバランス補正回路410と、前記ホワイトバランス補正によって色が薄くなる色領域に対応する映像信号を、彩度が上昇するように補正するカラーゲイン補正回路411と、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、光源からの光を変調して被投写面に投写する投写型表示装置に関する。
投写型表示装置(以下、「プロジェクタ」という)は、光源からの光を光変調素子で変調し、変調された光(以下、「映像光」という)を被投写面に投写する。
かかるプロジェクタでは、コントラスト感を高めるために、被投写面に投写される画像の輝度に応じて光源の出力を調整する構成が採られ得る(特許文献1参照)。たとえば、被投写面に投写される画像が暗いほど、光源の出力が低くされる。
光源によっては、出力が変化することによって、出射される光のスペクトルが変化するものがある。このような光源が用いられた場合、光源の出力が変化すると、これに伴ってホワイトバランスにずれが生じる。この場合、光源の出力の変化に応じて、RGB信号のゲイン制御がなされることにより、ホワイトバランスが補正され得る。
たとえば、水銀ランプ等、水銀を含む蒸気中での放電による発光を利用したランプでは、ランプの出力が小さくなると、出射される光において黄色の波長成分が増加する。この場合、ランプの出力が小さくなると、R信号とG信号のゲインが低減されることにより、ホワイトバランスが維持される。
特開2004−264819号公報
上記構成のように、光源の出力に応じてホワイトバランスの補正が行われる場合、この補正に起因して、特定の色領域において、色が薄くなる現象が生じる。
図8は、色度図を模式的に示す図である。たとえば、上記のように、黄色の波長成分の増加に伴ってR信号とG信号のゲインが低減されると、これにより、図8の矢印のように、白色(W)の位置が青色(B)の方向にシフトする。これに伴い、彩度が高い色(色に対応するRGB信号)の光学特性が無彩色の光学特性にシフトする(図8の破線矢印参照)。この結果として、被投写面に投写される画像において、赤色近傍の色領域(マゼンダから黄色まで色相)の色および緑色近傍の色領域(黄色からシアンまでの色相)の色が薄くなる現象が生じ得る。これにより、画像品質が低下する虞がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ホワイトバランス補正に伴う画像品質の低下を抑制できる投写型表示装置を提供することを目的とする。
本発明の投写型表示装置は、光源と、前記光源からの光を映像信号に基づいて変調する光変調部と、前記光源の出力を調整する出力調整部と、前記光源の出力に応じて前記映像信号のホワイトバランス補正を行うホワイトバランス補正部と、前記ホワイトバランス補正によって色が薄くなる色領域に対応する映像信号を、彩度が上昇するように補正するカラー補正部と、を備える。
本発明の投写型表示装置によれば、カラー補正部により、ホワイトバランス補正に起因して色が薄くなる領域の彩度が高められる。よって、ホワイトバランス補正が行われた際に特定の色領域の色が薄くなる現象を抑制できる。
本発明の投写型表示装置は、さらに、前記ホワイトバランス補正が行われた前記映像信号の、各画素に対応するRGB信号が、前記色が薄くなる色領域に含まれるか否かを判別する判別部を備えるような構成とされ得る。この場合、前記カラー補正部は、前記色が薄くなる色領域に含まれる各画素の前記RGB信号に対して前記補正を行う。
このような構成とすれば、ホワイトバランス補正に起因して色が薄くなる色領域に含まれる各画素のRGB信号を検出して、対象となるRGB信号を適正に補正することができる。
本発明の投写型表示装置において、前記光源は、出力の低下に応じて、出射される光における所定の色の波長成分が増加する特性を有するような構成とされ得る。この場合、前記ホワイトバランス補正部は、前記所定の色が抑制されるよう前記映像信号を低減させる。そして、前記判別部は、前記RGB信号の3つの信号のうち前記ホワイトバランス補正により調整された信号が最も大きくなる色領域を、前記色が薄くなる色領域として前記判別を行う。さらに、前記カラー補正部は、前記色が薄くなる色領域に含まれる各画素の前記RGB信号の中で最も小さな信号を低減させる。
このような構成とされた場合、前記光源は、出力の低下に応じて、出射される光において黄色の波長成分が増加する特性を有するような構成とされ得る。この場合、前記ホワイトバランス補正部は、黄色が抑制されるよう前記映像信号を低減させる。そして、前記判別部は、前記R信号および前記G信号が最も大きくなる色領域を、前記色が薄くなる色領域として前記判別を行う。
ホワイトバランス補正によりR信号およびG信号を低減させた場合には、赤または緑の原色に近い色領域において色が薄くなる現象が顕著に現れやすい。
そこで、上記のような構成とされた場合、さらに、前記カラー補正部は、補正されるRGB信号に対応する色が、赤または緑の原色に近い色であるほど、前記補正されるRGB信号の中で最も小さな信号を大きく低減させるような構成とされ得る。
このような構成とすれば、赤または緑の原色に近い色領域の色に対応するRGB信号であるほど、カラー補正部により、彩度を大きく上昇させる補正がなされる。よって、ホワイトバランス補正が行われた際に特定の色領域の色が薄くなる現象を、より効果的に抑制できる。
本発明の投写型表示装置において、前記カラー補正部は、前記光源の出力に応じて前記映像信号を補正するような構成とされ得る。
このような構成とすれば、光源の出力に応じて変わるホワイトバランスの補正具合に合わせて、カラー補正部による映像信号の補正を行うことができる。よって、光源の出力の変化に寄らず、色が薄くなる現象を安定的に抑制できる。
以上のとおり、本発明によれば、ホワイトバランス補正に伴う画像品質の低下を抑制できる投写型表示装置を提供することができる。
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
実施の形態に係るプロジェクタの構成を示す図である。 実施の形態に係る光学エンジンの構成を示す図である。 実施の形態に係るプロジェクタの回路系の構成を示す図である。 実施の形態に係るランプ出力テーブル、カラーゲイン係数テーブルおよびホワイトバランス係数テーブルについて説明するための図である。 実施の形態に係るカラーゲイン補正回路によるカラーゲイン補正について説明するための図である。 実施の形態に係るカラーゲイン補正回路によるカラーゲイン補正について説明するための図である。 実施の形態に係るカラーゲイン補正回路によるカラーゲイン補正の内容を具体的に説明するための図である。 色度図を模式的に示す図である。
以下、図面を参照して、実施の形態に係るプロジェクタについて説明する。
図1は、プロジェクタの構成を示す図である。同図を参照して、プロジェクタは、横長の略直方体形状を有するキャビネット10を備えている。キャビネット10には、前面左側に投写窓101が形成されており、前面右側および右側面にキャビネット10内部から排気を行うための排気口102、103がそれぞれ形成されている。また、キャビネット10の上面には、操作部104が設けられている。操作部104には、複数の操作キーが配されている。
キャビネット10の内部には、光学エンジン20および投写レンズ30が配されている。光学エンジン20は、映像信号に基づいて変調された映像光を生成する。光学エンジン20には、投写レンズ30が装着されており、投写レンズ30の前端部が、投写窓101から前方に露出している。投写レンズ30は、光学エンジン20で生成された映像光を、プロジェクタの前方に配されたスクリーン面に拡大投写する。
図2は、光学エンジン20の構成を示す図である。
光源ランプ201は、白色光を発する発光体と、発光体から発せられた光を反射するリフレクターとを備えている。発光体としては、たとえば、水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、あるいはメタルハライドランプが用いられる。即ち、光源ランプ201は、水銀を含む蒸気中での放電による発光を利用したランプである。
光源ランプ201から出射された白色光は、フライアイインテグレータ202、PBSアレイ203、コンデンサレンズ204を通過する。フライアイインテグレータ202は一対のレンズ202a、202bからなり、各レンズ202a、202bは蠅の目状に配列された多数の小レンズから構成されている。これら小レンズによって入射された光が分割される。分割された各光は、コンデンサレンズ204により液晶パネル(後述する)に重畳される。これにより、液晶パネルに照射される光の光量分布が均一化される。また、フライアイインテグレータ202により分割された各光は、PBSアレイ203によって偏光方向が一方向に揃えられる。
コンデンサレンズ204を通過した光は、ダイクロイックミラー205に入射する。ダイクロイックミラー205は、入射した光のうち、赤色波長帯の光(以下、「R光」という)と緑色波長帯(以下、「G光」という)を透過し、青色波長帯(以下、「B光」という)を反射する。
ダイクロイックミラー205を透過したR光およびG光は、ダイクロイックミラー206に入射する。ダイクロイックミラー206は、R光を透過しG光を反射する。
ダイクロイックミラー206を透過したR光は、リレーレンズ207および反射ミラー208、209によってコンデンサレンズ210に導かれ、コンデンサレンズ210を通過して液晶パネル211に照射される。液晶パネル211は、赤色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてR光を変調する。なお、液晶パネル211の入射側には、図示しない入射側偏光板が配されており、入射側偏光板を介して液晶パネル211にR光が照射される。また、液晶パネル211の出射側には図示しない出射側偏光板が配されており、液晶パネル211から出射されたR光が出射側偏光板に入射する。
ダイクロイックミラー206で反射されたG光は、コンデンサレンズ212を通過して液晶パネル213に照射される。液晶パネル213は、緑色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてG光を変調する。なお、液晶パネル213の入射側には、図示しない入射側偏光板が配されており、入射側偏光板を介して液晶パネル213にG光が照射される。また、液晶パネル213の出射側には図示しない出射側偏光板が配されており、液晶パネル213から出射されたG光が出射側偏光板に入射する。
ダイクロイックミラー205で反射されたB光は、反射ミラー214によってコンデンサレンズ215に導かれ、コンデンサレンズ215を通過して液晶パネル216に照射される。液晶パネル216は、青色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてB光を変調する。なお、液晶パネル216の入射側には、図示しない入射側偏光板が配されており、入射側偏光板を介して液晶パネル216にB光が照射される。また、液晶パネル216の出射側には図示しない出射側偏光板が配されており、液晶パネル216から出射されたB光が出射側偏光板に入射する。
液晶パネル211、213、216によって変調され、出射側偏光板から出射されたR光、G光、B光は、ダイクロイックプリズム217に入射する。ダイクロイックプリズム217は、R光、G光およびB光のうち、R光とB光を反射するとともにG光を透過し、これにより、B光、G光およびR光を色合成する。こうして、色合成された映像光が、ダイクロイックプリズム217から投写レンズ30に向けて出射される。
なお、光学エンジン20を構成する光変調素子としては、上記透過型の液晶パネル211、213、216の他、反射型の液晶パネルや、MEMSデバイスを用いることもできる。また、光学エンジン20は、上記のように3つの光変調素子を備えた3板式の光学系ではなく、たとえば、1つの光変調素子とカラーホイールを用いた単板式の光学系により構成することもできる。
図3は、プロジェクタの回路系の構成を示す図である。
液晶パネル211、213、216、光源ランプ201等を制御するため、プロジェクタは、CPU401、メモリ402、キー入力回路403、入力切替回路404、A/Dコンバータ405、映像信号解析回路406、信号処理回路407、パネル駆動回路408、ランプ駆動回路409を備えている。
キー入力回路403は、操作部104のキー操作に応じた入力信号をCPU401へ出力する。
入力切替回路404は、複数の入力端子の中から接続する入力端子を切り替える。入力切替回路404によって接続された入力端子から映像信号、たとえば、RGB信号が入力される。入力されたRGB信号がアナログである場合には、A/Dコンバータ405によってデジタルのRGB信号に変換されて映像信号解析回路406に入力される。なお、RGB信号がデジタル信号である場合には、A/Dコンバータ405を介することなく映像信号解析回路406に入力される。また、映像信号がRGB信号以外の信号の場合には、図示しない変換回路によりRGB信号に変換された後に、映像信号解析回路406に入力される。
映像信号解析回路406は、所定の演算を行うことによりRGB信号から輝度を算出し、1フレーム分の画像の画面平均輝度(APL:average picture level)を求める。そして、求めたAPLをCPU401へ出力する。
映像信号解析回路406から出力されたRGB信号は、信号処理回路407に入力される。
信号処理回路407は、ホワイトバランス補正回路410と、カラーゲイン補正回路411と、ガンマ補正回路412を含む。
ホワイトバランス補正回路410は、光源ランプ201の出力に応じて、RGB信号のゲインを制御することにより、ホワイトバランス補正を行う。
カラーゲイン補正回路411は、ホワイトバランス補正によって色が薄くなる色領域に含まれる各画素に対応するRGB信号に対して、彩度を上昇させるゲイン制御を行う。
ガンマ補正回路412は、カラーゲイン補正回路411から出力されたRGB信号に対して、ガンマ補正を行う。
なお、ホワイトバランス補正回路410およびカラーゲイン補正回路411による補正動作については、追って詳述する。
信号処理回路407から出力されたRGB信号は、パネル駆動回路408に入力される。パネル駆動回路408は、入力されたRGB信号に従って液晶パネル211、213、216を駆動する。
ランプ駆動回路409は、CPU401からの制御信号に従って光源ランプ201を駆動する。
メモリ402は、RAM、ROMを含む。メモリ402には、CPU401に制御機能を付与するための制御プログラムが記憶されている。また、メモリ402には、ランプ出力テーブル402a、カラーゲイン係数テーブル402bおよびホワイトバランス係数テーブル402cが記憶されている。
図4(a)は、ランプ出力テーブル402aの設定内容を示す図である。ランプ出力テーブル402aには、APLに対応付けて、光源ランプ201の出力値が設定されている。ランプ出力テーブル402aは、CPU401による光源ランプ201の制御に用いら
れる。投写される画像が暗く、APLが低いほど、光源ランプ201の出力が小さくされる。本実施の形態では、たとえば、光源ランプ201の出力が、APLに応じて6段階の値に調整される。
図4(b)は、カラーゲイン係数テーブル402bの設定内容を示す図である。カラーゲイン係数テーブル402bには、光源ランプ201の出力値に対応付けて、カラーゲイン係数αが設定されている。カラーゲイン係数αは、カラーゲイン補正回路411による補正動作に用いられる。カラーゲイン係数αは、「0」より大きく「1」以下の値である。光源ランプ201の出力値が小さくなるほど、カラーゲイン係数αが小さな値とされる。光源ランプ201の出力値が最大であるとき、カラーゲイン係数が「1」とされる。
図4(c)は、ホワイトバランス係数テーブル402cの設定内容を示す図である。ホワイトバランス係数テーブル402cには、光源ランプ201の出力値に対応付けて、ホワイトバランス係数βが設定されている。ホワイトバランス係数βは、ホワイトバランス補正回路410による補正動作に用いられる。ホワイトバランス係数βは、「0」より大きく「1」以下の値である。光源ランプ201の出力値が小さくなるほど、ホワイトバランス係数βが小さな値とされる。光源ランプ201の出力値が最大であるとき、ホワイトバランス係数βが「1」とされる。
CPU401は、メモリ402に記憶された制御プログラムに従って、信号処理回路407を制御する。
また、CPU401は、制御プログラムに従って、ランプ駆動回路409に制御信号を出力することにより、光源ランプ201を制御する。
即ち、CPU401は、映像信号解析回路406からAPLを取得すると、複数のフレームからなる1つのブロックのAPLを算出する。各フレームのAPLの平均値が、1つのブロックにおけるAPLとなる。次に、CPU401は、ランプ出力テーブル402aから、算出したAPLに対応する光源ランプ201の出力値を取得する。そして、CPU401は、求めた出力値に対応する制御信号をランプ駆動回路409へ出力する。これにより、光源ランプ201が、求めた出力値となるよう駆動される。
このようにして、スクリーンに投写される画像が明るいほど、光源ランプ201の出力が大きくされ、画像が暗いほど、光源ランプ201の出力が小さくされる。即ち、画像の明るさに応じて液晶パネル211、213、216に照射される光量が調整されるので、投写される画像のコントラストを向上させることができる。
また、CPU401は、光源ランプ201の出力値に応じたカラーゲイン係数αおよびホワイトバランス係数βを、それぞれ、カラーゲイン係数テーブル402bおよびホワイトバランス係数テーブル402cから読み出して、信号処理回路407に出力する。カラーゲイン係数αは、カラーゲイン補正回路411に入力され、ホワイトバランス係数βは、ホワイトバランス補正回路410に入力される。
光源ランプ201は、その出力が変化すると、出射される光のスペクトルが変化する特性を有する。本実施の形態のように、光源ランプ201が、水銀を含む蒸気中での放電による発光を利用したランプである場合、出力値が小さくなると、出射される光において黄色の波長成分が増加する。この場合、光源ランプ201の出力が低下すると、白色となるべき画像が若干黄色く映ることとなる。
このため、光源ランプ201の出力が変化してもホワイトバランスが維持されるように
、ホワイトバランス補正回路410によってホワイトバランス補正が行われる。
即ち、ホワイトバランス補正回路410は、RGB信号が入力されると、液晶パネル211、213、216の全ての画像に対応するR信号およびG信号に、CPU401から入力されたホワイトバランス係数βを乗算し、これらR信号およびG信号のゲインを低減させる。
上記のように、光源ランプ201の出力値が小さいほど、ホワイトバランス係数βは小さな値となるため、黄色の波長成分が増加するほど、R信号およびG信号のゲインが小さくされる。こうして、黄色が抑制されることにより、ホワイトバランスが維持され、白色の画像が黄色く映るのが抑えられる。
しかしながら、ホワイトバランス補正によってR信号およびG信号が低減された場合、上述した通り、図8に示す白色(W)がシフトすることに伴い、赤色近傍の色領域(マゼンダ〜黄色の色相)の属する色および緑色近傍の色領域(黄色〜シアンの色相)に属する色が薄くなる現象が生じる。
なお、白色(W)が青色(B)の方向へシフトする関係上、上述した、彩度が高い色における無彩色への光学特性のシフトは、マゼンダやシアンに近くなる色領域ほど小さくなる。このため、色相がマゼンダやシアンの境界に近いほど、色が薄くなりにくくなる。また、黄色の近傍領域では、無彩色への光学特性のシフトは赤色や緑色の近傍領域と変わらないものの、赤色や緑色に比べて色の薄さが目立ちにくい。よって、色が薄くなる現象は、赤または緑の原色に近い色領域において顕著に現れやすくなる。
上記のように、ホワイトバランス補正に起因する、赤色近傍の色領域および緑色近傍の色領域で色が薄くなる現象を抑えるべく、カラーゲイン補正回路411によって、赤色近傍の色領域および緑色近傍の色領域に対応するRGB信号に対しカラーゲイン補正が行われる。
図5は、カラーゲイン補正回路411によるカラーゲイン補正の処理動作を示すフローチャートである。図6(a)は、色相スケールを模式的に表わす図である。図6(b)は、カラーゲイン補正の対象となる色相の範囲について説明するための図である。図6(c)は、色相と彩度の補正量との関係について説明するための図である。
カラーゲイン補正回路411による補正動作は、液晶パネル211、213、216の各画素に対応するRGB信号に対して個々に実行される。
図5を参照して、まず、処理の対象となるRGB信号の色相値θ(°)が、次式により算出される(S1)。
[R信号が最大の場合]
θ=60°×(G−B)/(Max−Min)+0° ・・・(1)
[G信号が最大の場合]
θ=60°×(B−R)/(Max−Min)+120° ・・・(2)
[B信号が最大の場合]
θ=60°×(R−G)/(Max−Min)+240° ・・・(3)
ここで、「R」はR信号の値、「G」はG信号の値、「B」はB信号の値である。また、「Max」および「Min」は、それぞれ、RGB信号の各信号の中での最大値および最小値である。なお、RGB信号は、たとえば、8ビット(0〜255)の信号とされる。
次に、求められた色相値θが、0°≦θ<60°または300°≦θ<360°であるか否かが判定される(S2)。色相値θが、0°≦θ<60°または300°≦θ<360°であれば(S2:YES)、図6(a)に示すように、対象となるRGB信号の色相は、赤色近傍の色相、即ちマゼンダ〜黄色の範囲の色相である。
一方、ステップS2において、色相値θが、0°≦θ<60°または300°≦θ<360°でないと判定されれば(S2:YES)、色相値θが、60°≦θ<180°であるか否かが判定される(S3)。
色相値θが、60°≦θ<180°であれば(S3:YES)、図6(a)に示すように、対象となるRGB信号の色相は、緑色近傍の色相、即ち黄色〜シアンの範囲の色相である。
ホワイトバランス補正により、黄色を抑制するよう、R信号およびG信号が低減された場合には、図6(b)の斜線で示すように、マゼンダ〜シアンの色相の領域において、色が薄くなる現象が生じ得る。よって、この領域に含まれる各画素に対応するRGB信号がカラーゲイン補正の対象となる。なお、マゼンダ〜黄色の色相の領域では、RGB信号の3つの信号の中でR信号が最も大きくなる。また、黄色〜シアンの色相の領域では、RGB信号の3つの信号の中でG信号が最も大きくなる。
色相値θが、0°≦θ<60°または300°≦θ<360°である場合には(S2:YES)、対象となるRGB信号に対し、色相がマゼンダ〜黄色の範囲である場合のカラーゲイン補正が行われる(S4)。カラーゲイン補正には、CPU401から入力されるカラーゲイン係数αが用いられる。
まず、対象となるRGB信号の各信号の中で値が最も小さな信号が抽出される。そして、抽出された最小信号が、次式によって補正される。
[0°≦θ<60°の場合]
Saft=Sbef×(α+(1−α)/60×θ) ・・・(4)
[300°≦θ<360°の場合]
Saft=Sbef×(α+(1−α)/60×(360−θ)) ・・・(5)
ここで、「Saft」は、最小信号の補正後の値であり、「Sbef」は、最小信号の補正前の値である。
一方、色相値θが、60°≦θ<180°であれば(S3:YES)、対象となるRGB信号に対し、色相が黄色〜シアンの範囲である場合のカラーゲイン補正が行われる(S5)。
まず、対象となるRGB信号の各信号の中で最も値が小さな信号が抽出される。そして、抽出された最小信号が、次式によって補正される。
[60°≦θ<120°の場合]
Saft=Sbef×(α+(1−α)/60×(120−θ)) ・・・(6)
[120°≦θ<180°の場合]
Saft=Sbef×(α+(1−α)/60×(θ−120)) ・・・(7)
このように、ステップS4およびステップS5の処理によって、RGB信号の中の最小信号が小さくなるように補正される。これにより、色が薄くなる色領域に含まれる画素に対応するRGB信号の彩度が大きくなる。
なお、ステップS3において、色相値θが、60°≦θ<180°でないと判定された
場合には(S3:NO)、図6(a)に示すように、対象となるRGB信号の色相は、青色近傍の色相、即ちシアン〜マゼンダの範囲の色相である。よって、この場合は、対象となるRGB信号に対してカラーゲイン補正が行われない。
このように、本実施の形態では、各画素のRGB信号が、赤色近傍の色領域および緑色近傍の色領域に含まれる色に対応するもの場合には、当該RGB信号の彩度が大きくなるように補正される。これにより、ホワイトバランス補正に起因して色が薄くなる現象を抑えることができる。
上記のように、光源ランプ201の出力が小さいほど、ホワイトバランス補正により、R信号およびG信号が大きく低減されるので、赤色近傍の色領域および緑色近傍の色領域において、色がより薄くなり得る。
これに対し、本実施の形態では、図4(b)に示す通り、光源ランプ201の出力が小さいほど、カラーゲイン係数αが小さな値とされる。このため、ホワイトバランス補正によって、R信号およびG信号が大きく低減されるほど、カラーゲイン補正によって彩度が大きくされる。よって、光源ランプ201の出力の変化に寄らず、色が薄くなる現象を安定的に抑えることができる。
また、上記の式(4)、(5)に示すように、RGB信号は、色相値が0°(360°)に近づくほど、即ち、色相が赤の原色に近づくほど、最小信号が小さくなるように補正される。同様に、上記の式(6)、(7)に示すように、RGB信号は、色相値が120°に近づくほど、即ち、色相が緑の原色に近づくほど、小さくなるように補正される。これにより、図6(c)に示すように、色相が赤の原色および緑の原色に近いほど、補正後の彩度は大きくなる。
このように、本実施の形態では、色が薄くなる現象が顕著に現れやすい赤または緑の原色に近い色領域において十分に彩度を高めることができる。よって、ホワイトバランス補正に起因して色が薄くなる現象を、より効果的に抑えることができる。
図7は、カラーゲイン補正回路411によるカラーゲイン補正の内容を具体的に説明するための図である。
図7には1フレームにおける一部の画素が示されている。図7(a)には、1画素毎に、当該画素が表示する色に応じたR、G、Bの各信号が表されている。まず、これらRGB信号を用いて、上記式(1)〜(3)をもとに、各画素に対応するRGB信号の色相値θが算出される。図7(b)には、画素毎に算出された色相値θが示されている。
次に、色相値θに基づいて、画素に表示される色が赤色近傍の色相また緑色近傍の色相であるか否かが判別される。図7(c)には、表示される色が赤色近傍の色相また緑色近傍の色相となる画素が、カラー補正の対象となる画素として、他の画素と異なる表示形態で示されている。
次に、カラー補正の対象となる画素に対応するRGB信号が、カラーゲイン係数α(図7の例では、α=0.5としている)を用いて、上記式(4)〜(7)により補正される。図7(d)には、対象となる画素に対応するRGB信号が補正された状態が示されている。
以上のとおり、本実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、上記実施の形態以外に、種々の変更が
可能である。
たとえば、上記実施の形態では、RGB信号の中の最小信号の補正量が、カラーゲイン係数αと色相値θとをパラメータとする演算式(4)〜(7)により決定される構成とされている。しかしながら、これに限らず、補正前の最小信号の値に、カラーゲイン係数αのみが乗算される演算式により、最小信号の補正量が決定される構成とされても良い。
また、上記実施の形態では、ホワイトバランス補正回路410の後段にカラーゲイン補正回路411が設けられ、ホワイトバランス補正後のRGB信号に対しカラーゲイン補正が行われる構成とされている。しかしながら、これに限らず、ホワイトバランス補正回路410の前段にカラーゲイン補正回路411が設けられ、ホワイトバランス補正前のRGB信号に対しカラーゲイン補正が行われる構成とされても良い。
さらに、上記実施の形態では、投写された画像の明るさをAPLにより判定し、これに基づいて、光源ランプ201の出力が調整される構成とされている。しかしながら、これに限らず、R信号、G信号、B信号のそれぞれの階調のヒストグラムを作成し、投写された画像の明るさがヒストグラムにより判定される構成とされても良い。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
201 光源ランプ(光源)
211、213、216 液晶パネル(光変調部)
401 CPU(出力調整部)
410 ホワイトバランス補正回路(ホワイトバランス補正部)
411 カラーゲイン補正回路(カラー補正部、判別部)

Claims (6)

  1. 光源と、
    前記光源からの光を映像信号に基づいて変調する光変調部と、
    前記光源の出力を調整する出力調整部と、
    前記光源の出力に応じて前記映像信号のホワイトバランス補正を行うホワイトバランス補正部と、
    前記ホワイトバランス補正によって色が薄くなる色領域に対応する映像信号を、彩度が上昇するように補正するカラー補正部と、
    を備えたことを特徴とする投写型表示装置。
  2. 請求項1に記載の投写型表示装置において、
    前記ホワイトバランス補正が行われた前記映像信号の、各画素に対応するRGB信号が、前記色が薄くなる色領域に含まれるか否かを判別する判別部を、さらに備え、
    前記カラー補正部は、前記色が薄くなる色領域に含まれる各画素の前記RGB信号に対して前記補正を行う、
    ことを特徴とする投写型表示装置。
  3. 請求項2に記載の投写型表示装置において、
    前記光源は、出力の低下に応じて、出射される光において所定の色の波長成分が増加する特性を有し、
    前記ホワイトバランス補正部は、前記所定の色が抑制されるよう前記映像信号を低減させ、
    前記判別部は、前記RGB信号の3つの信号のうち前記ホワイトバランス補正により調整された信号が最も大きくなる色領域を、前記色が薄くなる色領域として前記判別を行い、
    前記カラー補正部は、前記色が薄くなる色領域に含まれる各画素の前記RGB信号の中で最も小さな信号を低減させる、
    ことを特徴とする投写型表示装置。
  4. 請求項3に記載の投写型表示装置において、
    前記光源は、出力の低下に応じて、出射される光において黄色の波長成分が増加する特性を有し、
    前記ホワイトバランス補正部は、黄色が抑制されるよう前記映像信号を低減させ、
    前記判別部は、前記R信号および前記G信号が最も大きくなる色領域を、前記色が薄くなる色領域として前記判別を行う、
    ことを特徴とする投写型表示装置。
  5. 請求項4に記載の投写型表示装置において、
    前記カラー補正部は、補正されるRGB信号に対応する色が、赤または緑の原色に近い色であるほど、前記補正されるRGB信号の中で最も小さな信号を大きく低減させる、
    ことを特徴とする投写型表示装置。
  6. 請求項1ないし5の何れか一項に記載の投写型表示装置において、
    前記カラー補正部は、前記光源の出力に応じて前記映像信号を補正する、
    ことを特徴とする投写型表示装置。
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