JP2006270336A - 表示装置および表示方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成で、2変調系のカラーマネージメント処理の色再現の高精度化を図ることができる表示装置を提供する。
【解決手段】輝度変調用の液晶輝度パネルと色変調用の液晶色パネルとを別の変調素子で構成した表示装置において、入力信号を再現するために入力信号から輝度パネルの輝度制御信号Lと色パネルの色制御信号Ro、Go、Boとを決定する際に、所定の輝度値に対応する色制御信号Ro、Go、Boに係る信号値をパラメータとする測定結果に基づいて作成された三次元ルックアップテーブルを用いて、入力信号から色パネルの色制御信号Ro、Go、Boを決定する三次元ルックアップテーブル計算部110と、別系統で輝度値を求める輝度値決定部130とを備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、2変調系を用いたHDR(High Dynamic Range)ディスプレイ、PTV(Projection TV)、DTV(Digital TV)、FPD(Flat Panel Display)等に用いて好適な表示装置に関する。
2変調系のディスプレイ装置の場合、通常の1変調系に光学的に直列にもう1つの変調系をならべるため、通常の1変調系のカラーマネージメント処理では対応できない。そのため、以下に述べるような提案がなされてきた。
特許文献1に記載されている従来例は、2変調系であり、1つの変調系として変調光源を用いている。光源を変調する仕組みとしては、冷陰極管による定常照明と白色LED(Light Emitting Diode)による変調照明の組み合わせになっている。そのため、冷陰極管と白色LEDの発光スペクトルの違いに起因して変調に従い光源光の色度が変化する。その色度変化を以下の(2)式を用いて定式化している。ここで、(1)式は冷陰極管で定常照明した場合の変換式である。
Figure 2006270336
ここで、R,G,BはRGB(Red-Green-Blue)信号、X,Y,Zは3刺激値、Mは冷陰極管で定常照明した場合の3×3線形変換マトリクス、M’は白色LEDで照明した場合の3×3線形変換マトリクス、gは定数(ゲイン=白色LEDの輝度レベルによって決定される値)である。
しかし、(3)式ではもう一つの変調素子が例えば液晶パネルのように変調に従い色度が変化するような場合には対応できない。また、上記変調光源の代わりに例えば液晶パネルを用いて変調する場合には色度の変化は非線形となり、上記(2)式の白色LEDのようにgM’といった形で単純に表すことはできない。
なお、本願に係る一般的技術として、カラーマネージメント処理においては、変換マトリクスを用いた演算処理のほか、対応する入出力値をあらかじめ複数組格納したルックアップテーブルによる変換処理が用いられている。ルックアップテーブルには、入力の要素数が3つある三次元のルックアップテーブルや、入力の要素数が1つである一次元のルックアップテーブル等が用いられている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
特許第3523170号公報 特開2001−203903号公報 特開昭63−162248号公報
上述したように従来の技術では、2変調系の表示装置において、液晶パネルのように変調に対して色度が非線形に変化する特性を有する変調素子を用いる場合にには、高精細な色再現性を得ることが困難であるという課題があった。
また、2変調系の表示装置において高精細な色再現性を得ようとすると、複数の特性要素を考慮した処理が必要になるため、単純に処理対象となる要素を増やした場合には、処理ステップが増加したり、LSI(Large Scale Integration)等のハードウェアによって実現するときには回路規模が増大したりするといった課題が考えられる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、2変調系のカラーマネージメント処理において高精度な色再現を実現することができる表示装置及び方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、輝度変調素子と色変調素子とを別の変調素子で構成した表示装置において、入力信号を再現するために入力信号から輝度変調素子の輝度制御信号と、色変調素子の色制御信号とを決定する際に、所定の輝度値に対応する色制御信号に係る測定結果に基づいて作成された三次元ルックアップテーブルを用いて入力信号から色変調素子の色制御信号を決定することを特徴とする。この発明によれば、三次元ルックアップテーブルを用いることによって色変換部分は簡易な処理となるためコストが安く済む。また、プリンタ等で一般に用いられている三次元ルックアップテーブル処理用の処理回路が流用できるため、高速でコストが安く済む。
また、他の発明は、入力信号から、三次元ルックアップテーブルを用いずに独立して輝度制御信号を決定することを特徴とする。この発明によれば、輝度信号に関する処理の自由度を上げることできるので、輝度信号をより正確に決定することなどで、構成を複雑化せず、画質の向上を図ることができる。
また、他の発明は、入力信号に含まれる各要素に対応する複数の一次元ルックアップテーブルを用いて各要素に対応する複数の輝度信号を決定する輝度値決定手段と、輝度値決定手段の出力信号を入力し、複数の輝度信号から最大値を有する輝度信号を出力する最大値決定手段とによって輝度制御信号を決定することを特徴とする。この発明によれば、非常に簡単な回路を付加するだけで処理ができ、高速化、低コスト化を図ることができ、精度が良いために画質が良いという効果が容易に得られる。
また、他の発明は、三次元ルックアップテーブルの各グリッド点が、色制御信号の各要素の値と輝度制御信号の値とを保持していて、その三次元ルックアップテーブルを用いて入力信号から色変調素子の色制御信号と輝度変調素子の輝度制御信号との両方を決定することを特徴とする。この発明によれば、処理が非常に簡易であるため低コスト化を容易に図ることができる。さらに、例えば既存の4色用(CMYK(Cyan-Magenta-Yellow-blacK)など)の処理回路が流用できるので、高速化、低コスト化をきわめて容易に図ることができる。
また、他の発明は、各テーブルの値が、当該表示装置に独立な色空間で定義された入力信号の各要素と色制御信号との関係を表すマトリクスを用いて計算によって決定された値であることを特徴とする。この発明によれば、テーブルのグリッド点を全て実測しなくても、テーブルが簡易に作成できる。
また、本発明の他の態様は、輝度変調素子と色変調素子とを別の変調素子で構成した表示装置の制御において、入力信号を再現するために入力信号から輝度変調素子の輝度制御信号と色変調素子の色制御信号とを決定する際に、所定の輝度値に対応する色制御信号に係る測定結果に基づいて作成された三次元ルックアップテーブルを用いて入力信号から色変調素子の色制御信号を決定することを特徴とする。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本発明の実施の形態は、色変調素子と輝度変調素子を別系統で備えた2変調系の表示装置である。その表示装置において各変調素子の制御信号を生成したり、カラーマネージメント処理等を行うための信号処理部については、例えばLSI等のハードウェアや、ソフトウェアプログラムを組み込んで動作するマイクロプロセッサシステムとして構成することができる。ただし、その一部または全部を汎用のコンピュータと本発明の処理を記述したプログラムとから構成することも可能である。
図1は本発明による表示装置の一実施の形態における信号処理部100の構成例を表すブロック図である。図2は本実施の形態の表示装置の一構成例としてのHDRディスプレイ1の構成を示している。
図2に示すように、本実施の形態のHDRディスプレイ1における各変調素子及びその周辺部の構成は、前段の3板式液晶色パネル31、32、33(色変調素子)と後段の単板式液晶輝度パネル50(輝度変調素子)をリレーレンズ40を用いて光学的に直列につなげたものとなっている。前段後段の関係が逆になってもまったく同様に処理が可能である。液晶パネルへの入力としては色パネル31〜33へはRGBそれぞれ8ビットの計24ビットの信号、輝度パネル50へは8ビットの輝度信号が与えられる。
図2のHDRディスプレイ1は、投射型表示装置(プロジェクタ)としての構成例として示されている。HDRディスプレイ1は、光源10と、光源10から入射した光の輝度分布を均一化する均一照明手段20と、均一照明手段20から入射される入射光のうちの3原色(R,G,B)の輝度をそれぞれ変調する色変調部30と、色変調部30から入射した光をリレーするリレーレンズ40と、リレーレンズ40から入射した光の全波長領域の輝度を変調する液晶輝度パネル50と、液晶輝度パネル50からから入射した光をスクリーン(不図示)に投射する投射レンズ60とで構成されている。
光源10は、高圧水銀ランプ等のランプ11と、ランプ11からの出射光を反射するリフレクタ12とで構成されている。光源10から出射した光束は第1フライアイレンズ21、第2フライアイレンズ22等が順次設置された均一照明手段20で均一化される。
均一照明手段20を出射した偏光が揃った光は色変調部30に入射し、3原色(R,G,B)に分離され、それぞれの色成分を変調する液晶色パネル31、32、33によって変調を受ける。変調された3原色光(R,G,B)はクロスダイクロイックプリズム34によって合成されリレーレンズ40に出射する。ここで、液晶色パネル31はR成分用、液晶色パネル32はG成分用、液晶色パネル33はB成分用の光変調素子をそれぞれ形成し、ダイクロイックミラー35はR成分の光を透過させ、ダイクロイックミラー36はB成分の光を透過させる。また、液晶色パネル31に対しては反射ミラー37が設けられ、液晶色パネル33に対しては、リレーレンズ38と2個の反射ミラー39aおよび39bが設けられている。
リレーレンズ40を出射した変調光はもう一方の液晶輝度パネル50に入射し、第二の変調を受ける。液晶輝度パネル50では、入射した光の全波長領域の輝度を変調し、その変調光は投射レンズ60へ出射され、投射レンズ60によって図示しないスクリーンに投影される。この様に投影画像は光学的に直列に配置されたそれぞれの光変調素子(液晶輝度パネル50および液晶色パネル31、32、33)が画素単位で変調を行うことで形成される。
さて、図1に示すHDRディスプレイ1(表示装置)の信号処理部100は、色変調素子(液晶色パネル31、32、33)の制御値である色制御値を出力するための三次元ルックアップテーブル(3D-LUT)計算部110及び非線形補正部120と、輝度変調素子(液晶輝度パネル50)の制御値である輝度制御値(以下、輝度値L)を出力するための輝度値決定部130とから構成されている。三次元ルックアップテーブル計算部110は、入力RGB信号の3要素(3成分)Ri、Gi、Biに対応して所定の記憶領域にあらかじめ格納されている複数の参照点からなる三次元ルックアップテーブルを参照し、線形出力信号の各要素R'、G'、B'の値を求めて出力する。ここで三次元ルックアップテーブルは、所定の輝度値Lに対応する入力RGB信号、線形RGB信号、出力RGB信号等の色制御信号に係る信号値をパラメータとする測定の結果に基づいて作成されている(詳細は後述)。
例えば、入力の3つの要素である入力信号Ri、Gi、Biがそれぞれ8ビット(256値)である場合、3つの要素全ての値に対して参照点を持っているとすると、三次元ルックアップテーブルを構成するデータは、莫大なデータ量(2563個)となる。そのため、通常はグリッド点と呼ばれる特定の入力値に対応する参照点のみ値を保持し、グリッド点間の参照点に関しては、周りのグリッド点の値を用いて補間することによって値を求めるのが一般的である。本実施の形態では、3つの要素が入力信号Ri、Gi、Biがそれぞれ8ビット(256値)であり、RGBそれぞれ0、32、64、96、128、160、192、224、255の値をとるグリッド点、つまり9×9×9=729のグリッド点にのみ線形出力信号のR'、G'、B'値を保持している。そして、グリッド点間の参照点の場合には、その近傍8つのグリッド点の値を補間することによって値を決定する。この場合に必要となるテーブルデータの記憶容量であるが、一つのグリッド点に対してRGB=8ビット×3=24ビット=3バイトであるため、合計では729×3=2187バイトである。
グリッド間の参照点における補間方法としては線形補間が簡便なため、よく使用される。そのためLUTを参照するための3要素としては線形に補間しやすい色空間が用いられることが多い。例としては、Lab、Luv等の均等色空同等である。ただし、入力三要素とグリッド点の値との対応関係を別の1次元テーブルで保持して変換を行うようにすれば、入力三要素は線形色空間または均等色空間でなくても良い(このような1次元テーブルについては例えば特許文献3に示されている。)。つまり、非線形データから線形データへの変換に相当する一次元ルックアップテーブル(1D-LUT)を使用すれば、線形補間でも精度良く出力値を得られることになる。本実施の形態においても、図示はしないが、必要であれば入力信号Ri、Gi、Biそれぞれについて一次元ルックアップテーブルによる変換を行うようにしてもよい。
また、三次元ルックアップテーブル計算部110で求めた線形出力信号R'、G'、B'値に対しては、非線形補正部120において非線形補正処理を行う。すなわち線形出力信号R'、G'、B'それぞれに、ガンマおよび変調素子の非線形特性を考慮した一次元ルックアップテーブル(1D-LUT)121、122、123を参照することに非線形補正を行って、色変調素子(液晶色パネル31、32、33)の色制御信号である出力Ro、Go、Boを求めている。
三次元ルックアップテーブル計算部110の線形補間に関しては、マトリクス演算等の積和演算よりもLSI化を考えた場合には簡易な処理となるため、LSIの規模が小さくて済む。また、これらの三次元ルックアップテーブル計算部110に関する処理は、通常の表示デバイスにおける色処理LSIをそのまま流用することが可能なため、さらにコストを下げることも可能である。
次に、輝度値決定部130の処理について図3のブロック図を用いて説明する。図3中、輝度値決定部130には、3つの入力信号Ri、Gi、Biに対応する3つの一次元ルックアップテーブル(1D-LUT)131、132、133と、一次元ルックアップテーブル131、132、133の3つの出力値から最大のものを選択して出力する最大値選択部134とが存在する。この一次元ルックアップテーブル131、132、133は、Ri、Gi、Biそれぞれに対して、その入力信号を再現するために必要な輝度変調素子(液晶輝度パネル50)の制御値である輝度値Lとの対応関係を示すテーブルとなっている。つまり、入力信号の各RGB要素それぞれに独立に対応する輝度値LR、LG、LBを決定し、その3つの決定値中の最大値を出力信号Lo(=輝度制御信号値L)とすることによって、色を正確に再現できるようにしている。
このように本実施の形態では輝度パネル(液晶輝度パネル50)の制御信号である輝度値Lを、三次元ルックアップテーブル計算部110の三次元ルックアップテーブルを用いずに、輝度値決定部130において独立して決定している。そのため、輝度値の設定の自由度を容易に高めることができる。一方、三次元ルックアップテーブル計算部110の三次元ルックアップテーブルは、参照値の制限から、求められる色制御値に多少の誤差を含んでいることが考えられる。しかしながら、色に関する知覚能力は輝度に関する知覚能力よりも劣るという人間の視覚特性を考慮すると、輝度値決定部130が決定する輝度値を正確に設定することで、色制御値が多少の誤差が含まれていたとしても、最終的に得られる画質の劣化は非常に少なくて済む。
ここで各RGB要素に独立して対応する輝度値LR、LG、LBを求め、その3つの決定値中の最大値を輝度制御信号値Lとする構成の利点について、輝度値Lを輝度信号Y値に従って決定する方法と比較して説明する。例えばL値を輝度信号Y値に従って決定する方法を採用した場合を考えると、輝度信号Yは人間の視覚特性を考慮して例えば式(4)のように各RGB値に重みを掛けた値となっている。
Figure 2006270336
そのため、例えばBが大きな値をとっても、Y値はあまり大きな値とならない。そのY値に従ってL値を決定したとするとL値も大きな値とならない。つまり、暗い表示となってしまうため、Bだけが大きな値をとるような、つまり明るい青色の表示が出来なくなってしまうのである。そのため、本実施の形態では上記図3に示す構成(方法)を用いて、色を正しく再現できるようにしている。
最大値を用いるという意味では入力信号Ri、Gi、Biの最大値をL値とするという単純な方式も考えられるが、本実施の形態では、入力信号に対する液晶輝度パネル50の色再現特性および入力信号の非線形性および輝度パネルの非線形性を補償するために、3つの一次元ルックアップテーブル131、132、133を用いてその特性を補償している。
次に、図1の三次元ルックアップテーブル計算部110内の三次元ルックアップテーブルに格納するデータの構成について説明する。本実施の形態では、各グリッド点に対応する各参照値を直接測定によって求めるのではなく、所定の測定結果に基づいて、入力信号のRGB値と線形出力信号のR'、G'、B'値との対応関係を示す三次元マトリクスを求め、その三次元マトリクスを用いた計算結果によって各グリッド点の値を求めるようにしている。これによれば、グリッド点の値を直接測定によって求める場合と比較して、特にグリッド数を増やしだ場合に測定にかかる工数を減らすことが可能となる。
そのマトリクスは、例えばつぎのようにして求めることができる。まず、あるL値(ここではLが0〜255の値を取る場合にL=128であるとする)において、Rmax、Gmax、Bmax、Kの4パターンの実際の表示色を絶対XYZ値によって測定する。すなわち、4パターン測定値が、Rmaxの絶対XYZ値=(XR,YR,ZR)、Gmaxの絶対XYZ値=(XG,YG,ZG)、Bmaxの絶対XYZ値=(XB,YB,ZB)、Kの絶対XYZ値=(XK,YK,ZK)であったとする。ここで、Rmax、Gmax、Bmaxは、RGBの各要素のいずれかが最大となるRGB信号であり、Rmax=(255,0,0)、Gmax=(0,255,0)、Bmax(0,0,255)である。Kは黒を表すRGB信号であり、K=(0,0,0)である。
なお、絶対XYZ値は、XYZ色空間(表色系)を用いて表した色の値である。本願においては、XYZ色空間の表現方法を、絶対XYZと相対XYZとの2種類に分け、絶対XYZ値は、Yが輝度値(cd/m2)になっている3刺激値XYZによって色を数値化して表すものとしている。他方、相対XYZは、何らかの正規化がなされている3刺激値から色を数値化するものである。相対XYZでは、例えば、通常白色点におけるYが100または1という値で正規化されている。なお、XYZ色空間は、CIE(国際照明委員会)標準表色系であり、色をYxyの3つの値で表現するものであり、Yが輝度を表し、xyが色度を表す。
また、絶対XYZによれる色空間では、デバイス(表示装置)に独立な色の指定ができるので、カラーマネージメントがしやすいという利点がある。なお、種々のデバイス独立な色空間としては、他にQMh、相対XYZ、Lab、JCh、Luv等がある。ただし、本実施の形態で絶対XYZを使用している理由は、Labや相対XYZのような白色点による正規化を行うような色空間では、HDRディスプレイのように非常に高い輝度を持つHDR画像を扱いかつ表示できるシステムに使用すると、白色点が最大輝度値にマッピングされるため、非常に不自然な表示になりかねないためである。また、HDRの特長の一つである光の再現という意味では、輝度の絶対値も非常に重要な要素となるため、本実施の形態では測定の際に用いる色空間として絶対XYZを使用している。
上記の4パターンの値から、L=128の場合における線形出力信号のR'、G'、B'値と、その場合の絶対XYZ値の関係は以下の式(5)で表すことができる。
Figure 2006270336
ここで、XR’=XR−XK、YR’=YR−XK、ZR’=ZR−ZK、XG’=XG−XK、YG’=YG−XK、ZG’=ZG−ZK、XB’=XB−XK、YB’=YB−XK、ZB’=ZB−ZKである。
逆に式(5)から、絶対XYZから線形出力信号のR'、G'、B'値への変換は以下の式(6)で求めることができる。
Figure 2006270336
この2つの式を用いて、絶対XYZ値と線形出力信号のR'、G'、B'値は相互に変換可能である。また、他のL値についても同様にして、L値ごとに上記変換マトリクスおよびKベクトルを求めることで、絶対XYZ値と線形出力信号のR'、G'、B'値は相互に変換可能である。
入力信号の値Ri、Gi、Biから絶対XYZ値への変換は、入力値RGBを所定の変換式に基づいて相対XYZ値に変換し、それを測定結果に基づいて絶対XYZ値に変換することで行うことができる。このようにして入力信号RGB値Ri、Gi、Biを絶対XYZ値に変換し、それを式(6)に代入することで、線形出力信号のR'、G'、B'値を求めることができる。これらの対応関係に基づいて、三次元ルックアップテーブル計算部110内の三次元ルックアップテーブルに格納する各グリッド点の値を求めることができる。
次に、図4を参照して、本発明の別の実施の形態について説明する。図4は本発明の別の実施例を示したブロック図である。本実施の形態においでは、図1の信号処理部100に対応する信号処理部100Aを、図1の輝度値決定部130の機能を包含する三次元ルックアップテーブル計算部110Aと非線形補正部120Aとから構成している。三次元ルックアップテーブル計算部110A内の三次元ルックアップテーブルのグリッド点に、線形出力信号R'、G'、B'値だけではなく線形出力信号L'値(輝度値Lの線形信号)を保持しており、R'、G'、B'値だけではなくL'値に関しても三次元ルックアップテーブルを用いた計算によって求めるようにしている。非線形補正部120Aには、線形出力信号R'、G'、B'値に対する非線形変換用の一次元ルックアップテーブルだけではなく線形出力信号L'値に対する非線形変換用の一次元ルックアップテーブルを含む4つの一次元ルックアップテーブルが設けられている。
図4の構成によって、通常プリンタ等に用いられるCMYKという4値の三次元ルックアップテーブル計算と同様の処理で出力信号を決定できるため、既存の処理LSI等を活用し、さらにコストを下げることができる。ただし、図1に示す構成に比べ、構成は簡単化できるものの、輝度値Lの出力値の精度は若干落ちる可能性がある。
以上のように本発明の各実施の形態によれば、輝度変調素子と色変調素子との2変調系表示装置において、そのカラーマネージメント処理を、所定の輝度値Lに対応する色制御信号に係る測定結果に基づいて作成された三次元ルックアップテーブルを用いて入力信号RGBから色変調素子(液晶色パネル31、32、33)の色制御信号である出力Ro、Go、Boを決定するようにしているので、正確な色の表示が、少ないリソースで実現できる(すなわち演算、データ準備負荷が少ない)。
なお、本発明の実施の形態は上記のものに限定されず、例えば、各処理ブロックを分割あるいは統合したり、入力ビット数、出力ビット数や演算時のビット数などを変更したりする変更が適宜可能である。
また、特許請求における構成要素と、実施の形態における構成との関係は次のとおりである。輝度変調素子:液晶輝度パネル50。色変調素子:液晶色パネル31、32、33。三次元ルックアップテーブル:三次元ルックアップテーブル計算部110又は110Aが用いる三次元ルックアップテーブル。輝度変調素子の輝度制御値:L値。入力信号:入力信号Ri、Gi、Bi。色変調素子の制御値:色制御信号Ro、Go、Bo又は線形出力信号の各要素R'、G'、B'。輝度値決定手段:輝度値決定部130。最大値決定手段:最大値選択部134。表示装置に独立な色空間で定義された入力信号の各要素と色制御信号との関係を表すマトリクス:式(5)〜式(6)。
本発明による表示装置の一実施の形態における信号処理部100の構成を表すブロック図。 本実施の形態の表示装置としてのHDRディスプレイ1の構成図。 図1の輝度値決定部130の構成例を示すブロック図。 本発明による表示装置の他の実施の形態における信号処理部100Aの構成を表すブロック図。
符号の説明
1 HDRディスプレイ(表示装置)、31、32、33 液晶色パネル、50 液晶輝度パネル、100 信号処理部、110 三次元ルックアップテーブル計算部、110A 三次元ルックアップテーブル計算部、120 非線形補正部、120A 非線形補正部、130 輝度値決定部、134 最大値選択部

Claims (6)

  1. 輝度変調素子と色変調素子とを別の変調素子で構成した表示装置において、
    入力信号を再現するために入力信号から輝度変調素子の輝度制御信号と、色変調素子の色制御信号とを決定する際に、
    所定の輝度値に対応する色制御信号に係る測定結果に基づいて作成された三次元ルックアップテーブルを用いて入力信号から色変調素子の色制御信号を決定する
    ことを特徴とする表示装置。
  2. 入力信号から、前記三次元ルックアップテーブルを用いずに独立して前記輝度制御信号を決定することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  3. 入力信号に含まれる各要素に対応する複数の一次元ルックアップテーブルを用いて各要素に対応する複数の輝度信号を決定する輝度値決定手段と、
    輝度値決定手段の出力信号を入力し、複数の輝度信号から最大値を有する輝度信号を出力する最大値決定手段と
    によって前記輝度制御信号を決定することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
  4. 前記三次元ルックアップテーブルの各グリッド点が、色制御信号の各要素の値と輝度制御信号の値とを保持していて、
    その三次元ルックアップテーブルを用いて入力信号から色変調素子の色制御信号と輝度変調素子の輝度制御信号との両方を決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  5. 前記各テーブルの値が、当該表示装置に独立な色空間で定義された入力信号の各要素と色制御信号との関係を表すマトリクスを用いて計算によって決定された値であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示装置。
  6. 輝度変調素子と色変調素子とを別の変調素子で構成した表示装置の制御において、
    入力信号を再現するために入力信号から輝度変調素子の輝度制御信号と色変調素子の色制御信号とを決定する際に、
    所定の輝度値に対応する色制御信号に係る測定結果に基づいて作成された三次元ルックアップテーブルを用いて入力信号から色変調素子の色制御信号を決定する
    ことを特徴とする表示方法。

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