JP2012219118A - 押出し成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダイスの寸法との乖離が小さい、成形体を与え得る熱可塑性エラストマー組成物を提供すること。
【解決手段】 下記成分(A)30〜70重量部および下記成分(B)70〜30重量部を含有してなる熱可塑性エラストマー組成物を押出し成形して得られる成形体(ただし、成分(A)と成分(B)の合計を100重量部とする)。
成分(A):ポリプロピレン系樹脂
成分(B):125℃におけるムーニー応力緩和面積が100〜300であるエチレン−α−オレフィン共重合体
成分(A)の20℃キシレンに不溶の成分の固有粘度(135℃、テトラリン)[ηcxis]が0.8〜2.3dl/gである前記成形体。
成分(A)の20℃キシレンに可溶の成分の含有量が8〜30重量%であり、該成分の固有粘度(135℃、テトラリン)[ηcxs]が1〜10dl/gである前記成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性エラストマー組成物を押出し成形により加工されてなる成形体に関するものである。
特許文献1に示されている様なポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン樹脂とエチレン−α−オレフィン共重合体から熱可塑性エラストマー組成物は、低比重、耐衝撃性、耐薬品性、耐熱性等に優れていることから自動車部品をはじめとする様々な用途に使用されている。
特表平8−501343
しかしながら、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を押出し成形により加工されてなる成形体の寸法は、ダイスの寸法との乖離が大きく、所望の寸法の成形体を得るのが困難であった。
かかる状況の下、本発明が解決しようとする課題は、ダイスの寸法との乖離が小さい、成形体を与え得る熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
本発明は、下記成分(A)30〜70重量部および成分(B)70〜30重量部を含有してなる熱可塑性エラストマー組成物を押出し成形して得られる成形体にかかるものである。
成分(A):ポリプロピレン系樹脂
成分(B):125℃におけるムーニー応力緩和面積が180〜300であるエチレン−α−オレフィン共重合体。
本発明により、ダイスの寸法との乖離が小さい成形体を提供することができる。
成分(A)は、ポリプロピレン系樹脂である。ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、又は、プロピレンと炭素数が2個以上のα−オレフィンとの共重合体が好ましく、プロピレンと炭素数が2〜10のα−オレフィン(ただし、プロピレンを除く)との共重合体がより好ましく、共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。炭素数が2個以上のα−オレフィンとしては、たとえば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−デセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどがあげられ、好ましくは、エチレンである。
ポリプロピレン系樹脂としては、炭素数が2個以上のα−オレフィンに基づく単量体単位の含有量が、ポリプロピレン系樹脂100重量%に対し、50重量%未満であり、好ましくは20重量%以下である。
プロピレン単位の含有量およびα−オレフィン単位の含有量は、赤外分光法により求めることができる。
ポリプロピレン系樹脂の20℃のキシレンに不溶の成分の固有粘度(135℃、テトラリン)[ηcxis]は、好ましくは0.8〜2.3dl/gであり、より好ましくは0.9〜1.5dl/gである。該[ηcxis]が過大であると、押出し成形により得られる成形体の寸法とダイスの寸法の乖離が大きくなり、該[ηcxis]が過小であると、押出し成形により得られる成形体の機械物性が十分でない場合がある。
成分(A)ポリプロピレン系樹脂の20℃のキシレンに可溶の成分の含有量は、好ましくは8〜30重量%であり、より好ましくは10〜25重量%である。該キシレンに可溶の成分の固有粘度(135℃、テトラリン)[ηcxs]は、1.0〜10dl/gであることが好ましく、より好ましくは1.5〜8dl/gである。該含有量および[ηcxs]が過大であると、押出し成形時の流動性が低下し、該含有量および[ηcxs]が過小であると、押出し成形により得られる成形体の機械物性が十分でない場合がある。
成分(A)ポリプロピレン系樹脂の20℃のキシレンに不溶または可溶の成分の固有粘度は、ウベローデ型粘度計を用いて、135℃のテトラリン中で還元粘度を測定し、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法に従い外挿法によって求められる。ここで、20℃のキシレン不溶部(CXIS部)は、次の方法により得ることができる。成分(A)約5gを沸騰キシレン500mlに完全に溶解した後、キシレン溶液を室温まで徐冷し、20℃で4時間以上状態調整し、析出物と溶液とをろ別し、析出物をCXIS部とする。また、溶液から溶媒を除去して、溶液中に溶解している重合体を回収することにより、CXS部を得ることができる。
成分(A)のポリプロピレン系樹脂の製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。例えば、チーグラー・ナッタ触媒を用いた多段重合法をあげることができる。該多段重合法には、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等を用いることができ、これらを2種以上組み合わせてもよい。また、市販の該当品を用いることも可能である。
成分(B)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体またはそれらの混合物である。該α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、2−メチルプロピレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンがあげられる。好ましくは、炭素原子数3〜10のα−オレフィンであり、より好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。これらは1種以上用いられる。
該非共役ジエンとしては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどの鎖状非共役ジエン;シクロへキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネンなどの環状非共役ジエンがあげられる。好ましくは、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンである。
成分(B)のエチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−オクテン共重合体があげられる。また、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体としては、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン−プロピレン−5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体があげられる。これらは、1種以上用いられる。
成分(B)の共重合体のエチレン単位の含有量は、60重量%以上であり、成形体の機械強度を高めるために、好ましくは65重量%以上である。また、エチレン単位の含有量は、柔軟性を高めるために、85重量%以下であり、好ましくは80重量%以下である。成分(B)の共重合体のα−オレフィン単位の含有量は、40重量%以下であり、成形体の機械強度を高めるために、好ましくは35重量%以下である。また、α−オレフィン単位の含有量は、15重量%以上であり、柔軟性を高めるために、好ましくは20重量%以上である。但し、エチレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量との合計を100重量%とする。エチレン単位の含有量およびα−オレフィン単位の含有量は、赤外分光法により求めることができる。
成分(B)のエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体の非共役ジエン単位の含有量は、該共重合体を100重量%として、通常10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下である。非共役ジエン単位の含有量は、赤外分光法により求めることができる。
成分(B)の125℃におけるムーニー応力緩和面積は、180〜300であり、好ましくは200〜290である。ムーニー応力緩和面積は、ASTM D1646に従った応力緩和試験で得られる応力緩和曲線から、ASTM D1646に従って計算した緩和時間1秒〜100秒間での応力緩和曲線の面積である。該ムーニー応力緩和面積が過小であると、押出し成形により得られる成形体の寸法とダイスの寸法の乖離が大きくなり、該ムーニー応力緩和面積が過大であると、押出し成形により得られる成形体の表面外観が十分でない場合がある。
成分(B)は、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン錯体や非メタロセン錯体などの錯体触媒を用いて、エチレンとα−オレフィンと非共役ジエンとを共重合する方法、長鎖分岐を有する重合体を製造する重合触媒を用いて、エチレンとα−オレフィンとを共重合する方法、エチレンとα−オレフィンとマクロモノマーとを共重合する方法などによって、製造される。成分(B)の製造方法としては、例えば、国際公開第01/85839号パンフレットに記載された方法があげられる。
熱可塑性エラストマー組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、無機フィラー(タルク、炭酸カルシウム、焼成カオリン等)、有機フィラー(繊維、木粉、セルロースパウダー等)、滑剤(シリコーンオイル、シリコーンガム等)、酸化防止剤(フェノール系、イオウ系、燐系、ラクトン系、ビタミン系等)、耐候安定剤、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、アニリド系、ベンゾフェノン系等)、熱安定剤、光安定剤(ヒンダードアミン系、ベンゾエート系等)、顔料、造核剤、吸着剤(金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウム等)、金属塩化物(塩化鉄、塩化カルシウム等)、ハイドロタルサイト、アルミン酸塩等)等を含有してもよい。
本発明に用いられる熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)と成分(B)と、必要に応じて他の成分とを、公知の方法、例えば、二軸押出機、バンバリーミキサーなどにより溶融混練することにより得ることができる。
本発明に用いられる熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)30〜70重量部および成分(B)70〜30重量部を含有してなり、好ましくは、成分(A)40〜60重量部および成分(B)60〜40重量部を含有してなる(成分(A)と成分(B)の合計を100重量部とする)。
本発明に用いられる熱可塑性エラストマー組成物は、公知の押出し成形法、特に異形押出し成形により、種々の形状の成形体に成形される。
異形押出しにより成形されてなる成形体の用途しては、例えば、ファイルフォルダーのクリップ部、ボールペン、シャープペンシルの中芯、カレンダー用の止め具などの文房具部材、テーブルエッジ、配線カバー、ホワイトボード枠材などの家具部材、照明カバーなどの電機部材、ガラスとサッシ間のガスケット、外壁の目地材などの建築部材、ワイパー、バンパー、衝撃緩衝材などの自動車部材等に用いられる。
本発明の成形体の用途は、これらに限定されるものではない。
以下、実施例および比較例によって本発明を説明する。
[I.測定・評価]
1.メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
成分(A)のメルトフローレートは、JIS K7210に従って、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定した。
成分(B)のメルトフローレートは、JIS K7210に従って、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定した。
2.エチレン単位、プロピレン単位の含有量(単位:重量%)
単量体単位量は、赤外分光法により測定を行った。
3.固有粘度([ηcxs],[ηcxis]、単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用い、テトラリンを溶媒として135℃で、固有粘度を測定した。
4.ムーニー粘度(ML1+4125℃)
ムーニー粘度は、ASTM D1646に従って、試験温度125℃、ローター回転時間4分の条件で測定した。
5.ムーニー応力緩和面積(MLRA)
ASTM D1646に従って、試験温度125℃にて応力緩和試験を行い、緩和時間1秒〜100秒間での応力緩和曲線の面積をASTM D1646に従って求めた。
6.押出し成形による寸法特性評価
幅30mm、厚み2mmのダイスを用い、30mmφ単軸押出し機(田辺プラスチックス株式会社)にてシリンダー温度180℃、スクリュー回転数40回転の条件において熱可塑性エラストマー組成物を押出し、速度3m/分の引き取り速度にてウォーターバスで冷却しながら成形体を得た。得られた成形体の幅と厚みの比(=成形体の幅/成形体の厚み)がダイスの幅とダイスの厚みとの比(=15)に近いものほど寸法特性が良好とした。
[II.試料]
1.ポリプロピレン系樹脂
A−1:住友化学株式会社製 商品名 住友ノーブレン S131
(MFR=1.5g/10分、CXSの含有量=5重量%、CXSの固有粘度[ηcxs]=0.88、CXISの固有粘度[ηcxis]=2.24)
A−2:住友化学株式会社製 商品名 住友ノーブレン Y501N
(MFR=13g/10分、CXSの含有量=0重量%、CXSの固有粘度[ηcxs]=0、CXISの固有粘度[ηcxis]=1.45)
A−3:住友化学株式会社製 商品名 住友ノーブレン AY564
(MFR=15g/10分、CXSの含有量=12重量%、CXSの固有粘度[ηcxs]=2.35、CXISの固有粘度[ηcxis]=1.29)
A−4:ザ・ポリオレフィンカンパニー社製 コスモプレン AGN380
(MFR=38g/10分、CXSの含有量=18重量%、CXSの固有粘度[ηcxs]=1.51、CXISの固有粘度[ηcxis]=1.07)
2.エチレン−α−オレフィン共重合体
B−1:ダウケミカル社製 商品名 ENGAGE 7387
(ムーニー粘度(ML1+4,125℃)=51、MLRA=229、エチレン単位含有量=74重量%、1−ブテン単位含有量=26重量%)
B−2:ダウケミカル社製 商品名 ENGAGE 6386
(ムーニー粘度(ML1+4,125℃)=27、MLRA=275、エチレン単位含有量=77重量%、プロピレン単位含有量=23重量%)
B−3:ダウケミカル社製 商品名 ENGAGE 8150
(ムーニー粘度(ML1+4,125℃)=35、MLRA=162、エチレン単位含有量=66重量%、1−オクテン単位含有量=34重量%)
B−4:ダウケミカル社製 商品名 ENGAGE 7447
(ムーニー粘度(ML1+4,125℃)=6、MLRA=13、エチレン単位含有量=70重量%、1−ブテン単位含有量=30重量%)
実施例1
[熱可塑性エラストマー組成物]
ポリプロピレン系樹脂A−1を50重量部と、エチレン−α−オレフィン共重合体B−1を50重量部と、エルカ酸アミド(日本精化製 商品名ニュートロンS)を0.05重量部と、酸化防止剤(住友化学株式会社製 商品名スミライザーGA80)を0.1重量部とを配合し、二軸押出機(日本製鋼所製 TEX−44HCT)により、温度200℃で溶融混練して、熱可塑性エラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を押出し成形により加工し、成形品の寸法測定を実施した。評価結果を表1に示す。
実施例2
エチレン−α−オレフィン共重合体B−1に替えて、エチレン−α−オレフィン共重合体B−2を使用した以外は、実施例1と同様に行った。得られた成形体の評価結果を表1に示す。
比較例1
エチレン−α−オレフィン共重合体B−1に替えて、エチレン−α−オレフィン共重合体B−3を使用した以外は、実施例1と同様に行った。得られた成形体の評価結果を表1に示す。
比較例2
エチレン−α−オレフィン共重合体B−1に替えて、エチレン−α−オレフィン共重合体B−4を使用した以外は、実施例1と同様に行った。得られた成形体の評価結果を表1に示す。
実施例3
ポリプロピレン系樹脂A−2を50重量部、エチレン−α−オレフィン共重合体B−2を50重量部とした以外は、実施例1と同様に行った。得られた成形体の評価結果を表1に示す。
実施例4
ポリプロピレン系樹脂A−3を50重量部、エチレン−α−オレフィン共重合体B−2を50重量部とした以外は、実施例1と同様に行った。得られた成形体の評価結果を表1に示す。
実施例5
ポリプロピレン系樹脂A−4を50重量部、エチレン−α−オレフィン共重合体B−2を50重量部とした以外は、実施例1と同様に行った。得られた成形体の評価結果を表1に示す。
Figure 2012219118

Claims (4)

  1. 下記成分(A)30〜70重量部および下記成分(B)70〜30重量部を含有してなる熱可塑性エラストマー組成物を押出し成形して得られる成形体(ただし、成分(A)と成分(B)の合計を100重量部とする)。
    成分(A):ポリプロピレン系樹脂
    成分(B):125℃におけるムーニー応力緩和面積が180〜300であるエチレン−α−オレフィン共重合体
  2. 成分(A)の20℃キシレンに不溶の成分の固有粘度(135℃、テトラリン)[ηcxis]が0.8〜2.3dl/gである請求項1記載の成形体。
  3. 成分(A)の20℃キシレンに可溶の成分の含有量が8〜30重量%であり、該成分の固有粘度(135℃、テトラリン)[ηcxs]が1.0〜10dl/gである請求項1または2記載の成形体。
  4. 成分(B)がエチレン−プロピレン共重合体またはエチレン−1−ブテン共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の成形体。
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