JP2012218532A - 車両用照明装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 自車のヘッドランプからの照明により自車前方の他車の運転者に与える眩しさを精度良く推定することができる車両用照明装置の提供。
【解決手段】 本発明による車両用照明装置は、自車前方を照明するヘッドランプと、処理装置とを備え、前記処理装置は、自車から自車前方の他車両までの車間距離と、自車に対する前記他車両の方向と、前記他車両の方向と前記他車両の進行方向のなす角度とに基づいて、自車のヘッドランプからの照明により前記他車の運転者に与える眩しさを推定することを特徴とする。
【選択図】 図12

Description

本発明は、自車前方を照明するヘッドランプを備える車両用照明装置及び自車前方を照明するヘッドランプを用いる車両用照明方法に関する。
従来から、Schmidt‐Clausen and Bindelsの式に基づいて防眩エリアマップを生成し、リアルタイムで防眩エリアマップを参照することによって、自車のヘッドランプからの照明により対向車の運転者に与える眩しさが許容限度を超えるか否かを推定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示される防眩エリアマップでは、分割領域毎に対向車の運転者のアイポイントが位置するものとして演算されており、分割領域毎に対向車の運転者の視線と自車のヘッドランプの照射方向とがなす入射角度および対向車の運転者の眼前照度をSchmidt‐Clausen and Bindelsの式に入力することによって算出された不快グレアの評価値が予め設定された閾値以下となる距離の最大値を境界距離として設定している。入射角度は、対向車の運転者のアイポイントと自車のヘッドランプの照射方向とのなす角度として算出されている。
特開2010‐030522号公報(段落0052−0055、0072、図6)
ところで、特許文献1に記載の構成では、対向車の運転者の視線方向は、アイポイントから自車のヘッドランプに向かう方向であると仮定している。しかしながら、自車前方の他車両の運転者は自身の進行方向を見ているのが一般的であるので、特許文献1に記載するように推定方法では、自車のヘッドランプからの照明により自車前方の他車の運転者に実際に与える眩しさを精度良く推定できない場合がある。
そこで、本発明は、自車のヘッドランプからの照明により自車前方の他車の運転者に与える眩しさを精度良く推定することができる車両用照明装置及び方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一局面によれば、自車前方を照明するヘッドランプと、
処理装置とを備え、
前記処理装置は、自車から自車前方の他車両までの車間距離と、自車に対する前記他車両の方向と、前記他車両の方向と前記他車両の進行方向のなす角度とに基づいて、自車のヘッドランプからの照明により前記他車の運転者に与える眩しさを推定することを特徴とする、車両用照明装置が提供される。
本発明によれば、自車のヘッドランプからの照明により自車前方の他車の運転者に与える眩しさを精度良く推定することができる車両用照明装置及び方法が得られる。
車両用照明装置1の一実施例を示す要部構成図である。 ヘッドランプ50の一例を示す断面図である。 ランプシェード70の一例を概略的に示す斜視図である。 ランプシェード70により実現される配光パターンの代表的な例を示す図である。 本実施例の眩しさ推定部49による眩しさ推定方法の説明図である。 前方車両が3台存在する状況下でのカメラ10の画像の一例を示す図である。 図6に示すようなカメラ10の前方環境画像に対して画像認識処理を行うことで認識される前方車両の光の位置を概略的に示す図である。 判定マップの説明図である。 判定マップの説明図である。 判定マップの説明図である。 他の一例の判定マップを示す図である。 本実施例の制御ECU40により実現される主要処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。 スイブル及び配光切換態様の一例を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
図1は、車両用照明装置1の一実施例を示す要部構成図である。車両用照明装置1は、図1に示すように、カメラ10と、スイッチ20と、車速センサ30と、制御ECU(Electronic Control Unit)40と、ヘッドランプ50とを含む。
カメラ10は、CCD(charge‐coupled device)やCMOS(complementary metal oxide semiconductor)等の撮像素子により、車両前方の風景の画像(前方環境画像)を捕捉する。カメラ10は、車両前方の風景を撮像できるような態様で車両に搭載される。例えば、カメラ10は、例えばルームミラーの裏側(車両前側の面)に取り付けられる。カメラ10は、車両走行中にリアルタイムに前方環境画像を取得し、例えば所定のフレーム周期のストリーム形式で制御ECU40に供給するものであってよい。尚、カメラ10は、以下で説明する車両配光制御用の専用のセンサであってもよいし、他の用途(例えば前方監視カメラ、レーンキープアシスト用カメラ等)と兼用であってもよい。また、カメラ10は、カラー又はモノクロ画像のいずれを取得するカメラであってもよい。
スイッチ20は、ヘッドランプ50のON/OFFや、ヘッドランプ50の配光制御ON/OFFなどのヘッドランプ作動関係のスイッチを含む。スイッチ20は、例えばステアリングコラム等のような車室内の適切な位置に配置されてよい。尚、ヘッドランプ50の配光制御は、ヘッドランプ50のON時に自動的に実行されてもよいし、ハイビームが使用される時に自動的に実行されてもよい。
車速センサ30は、車輪速に応じた電気信号(車速パルス)を制御ECU40に出力する。
制御ECU40は、図示しないバスを介して互いに接続されたCPU、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータとして構成されている。制御ECU40は、主なる機能として、マップ記憶部41と、画像認識部42と、ヘッドランプ制御部44と、ランプシェード制御部46と、スイブル制御部48と、眩しさ推定部49とを含む。マップ記憶部41は、制御ECU40内の記憶装置により実現されてもよいし、制御ECU40に接続される外部の記憶装置により実現されてもよい。また、その他の各部42,44,46,48,49は、CPUがROM等の記憶装置に記憶されたプログラムを実行することで実現されてもよい。また、例えば画像認識部42は、専用のハードウェア回路を用いて実現されてもよい。また、これらの各部42,44,46,48,49は、必ずしも同一のECUユニット内に組み込まれる必要はなく、複数のECUにより協動して実現されてもよい。例えば、画像認識部42等は、カメラ制御ICとしてカメラ10に組み込まれてもよい。
ヘッドランプ50は、車両の前部左右にそれぞれ設けられる。尚、以下で、特に左右のヘッドランプ50を区別する際には、左側のヘッドランプに符号50Lを付し、右側のヘッドランプに符号50Rを付す。ヘッドランプ50は、車両前方領域に向けて可視光を照射するロービーム及びハイビームを含む。ロービーム及びハイビームは、それぞれ専用のランプにより構成されてもよいし、単一のランプの照射パターンをランプシェードにより可変することで実現されてもよい(図2参照)。ヘッドランプ50は、スイブルアクチュエータ52と、シェード駆動用アクチュエータ54とを含む。
図2は、ヘッドランプ50の一例を示す断面図である。
図示のヘッドランプ50は、プロジェクタ型のヘッドランプであり、主に、光源であるバルブ80と、投影レンズ82と、リフレクタ84と、これらを保持するホルダ86とを含む。リフレクタ84と投影レンズ82との間にはランプシェード70が設けられる。ヘッドランプ50は、バルブ80から出射した光をリフレクタ84に反射させ、リフレクタ84から前方に向かう光の一部をランプシェード70で遮蔽して、車両前方に配光パターンを投影する。バルブ80は、白熱球やハロゲンランプ、放電球、LED等であってよい。リフレクタ84は、車両前後方向に延びる光軸を中心軸とする略楕円球面状の反射面を有している。投影レンズ82は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズであり、光軸上に配置されている。
ヘッドランプ50は、ヘッドランプ50の光軸の向きを略水平面内で変化させるスイブルアクチュエータ52を備える。スイブルアクチュエータ52は、ホルダ86の下底部に取り付けられ、軸52aのまわりにホルダ86を回動可能に支持している。
ヘッドランプ50は、バルブ80から発せられる光の一部を遮蔽した配光パターンを形成するランプシェード70を備える。ランプシェード70は、水平方向に二分割されたサブシェードから構成されている(図3参照)。ランプシェード70は、その開閉状態がシェード駆動用アクチュエータ54により駆動制御される。図示の例では、各サブシェードの下端には、シェード駆動用アクチュエータ54により回転駆動される回転体72が取り付けられている。両方のサブシェードの直立時には、ロービーム用配光パターンが形成される。回転体72を回転させて両方のサブシェードを略水平に傾斜させると、ハイビーム用配光パターンが形成される。シェードの構造および作用については、図3を参照して詳述する。
図3は、ランプシェード70の一例を概略的に示す斜視図である。ランプシェード70は、水平方向に二分割されたサブシェード70a,70bを備える。サブシェード70a,70bの下端には、支持軸71により回転可能に支持された回転体72a、72bが取り付けられている。支持軸71は、ホルダ86に連結されており、ホルダ86と一体にスイブル可能にされている。各回転体72a、72bは、それぞれに対して設けられるシェード駆動用アクチュエータ54により回転駆動される。尚、サブシェード70a,70bは、他の態様で駆動されてもよい。サブシェード70a,70bは、例えばソレノイド(シェード駆動用アクチュエータ54の一例)により駆動されるプランジャの往復動により直立状態と傾斜状態との間で切り換えされてもよい。
図4は、ランプシェード70により実現される配光パターンの代表的な例を示す図である。尚、図4において、配光パターンは、車両前方の所定位置の仮想的な鉛直スクリーン上に形成される配光パターンとして示されている。また、ラインVは、鉛直方向のラインを示し、ラインHは、水平方向のラインを示す。尚、ヘッドランプ50の中心軸はラインV上に位置するものとする。
図4(A)は、右側一部遮光パターンの一例を示す。この右側一部遮光パターンは、ハイビーム光を左側に含むパターンである。右側一部遮光パターンは、左側のヘッドランプ50Lにおけるランプシェード70のサブシェード70a,70bの一方(車両内側のサブシェード)を略水平に傾斜させ、他方(車両外側のサブシェード)を直立させることにより形成される。或いは、右側一部遮光パターンは、右側のヘッドランプ50Rにおけるランプシェード70のサブシェード70a,70bの一方(車両外側のサブシェード)を略水平に傾斜させ、他方(車両内側のサブシェード)を直立させることにより形成される。
図4(B)は、左側一部遮光パターンの一例を示す。この左側一部遮光パターンは、ハイビーム光を右側に含むパターンである。左側一部遮光パターンは、右側のヘッドランプ50Rにおけるランプシェード70のサブシェード70a,70bの一方(車両内側のサブシェード)を略水平に傾斜させ、他方(車両外側のサブシェード)を直立させることにより形成される。或いは、左側一部遮光パターンは、左側のヘッドランプ50Lにおけるランプシェード70のサブシェード70a,70bの一方(車両外側のサブシェード)を略水平に傾斜させ、他方(車両内側のサブシェード)を直立させることにより形成される。
図4(C)は、ヘッドランプ50により生成されるハイビームパターンの一例を示す。このハイビームパターンは、ヘッドランプ50の双方のサブシェード70a,70bを略水平に傾斜させることにより形成される。
図4(D)は、左側のヘッドランプ50Lにより生成されるロービームパターンの一例を示す。このロービームパターンは、ヘッドランプ50の双方のサブシェード70a,70bを直立させることにより形成される。
ここで、図1を再度参照して、本実施例の制御ECU40について説明する。制御ECU40は、上述の如く、主なる機能として、マップ記憶部41と、画像認識部42と、ヘッドランプ制御部44と、ランプシェード制御部46と、スイブル制御部48と、眩しさ推定部49とを含む。
画像認識部42は、カメラ10から得られる前方環境画像を画像処理して、車両前方に存在しうる前方車両(先行車や対向車)を検出する。画像中の前方車両を検出する方法は、多種多様であり、任意の方法が採用されてもよい。典型的には、前方車両は、移動体であり、ブレーキランプ(又はテールランプ)やヘッドランプから光を発すると共に、後方から受けた光を反射する反射部(リフレクタ)を車両後部に備える。従って、かかる光の特徴に基づいて、画像中の前方車両を検出してもよい。例えば、画像中の光の特徴が所定の条件(明るさ、色、大きさ、パターン、動き等)を満たす場合に、当該光に関する像が、前方車両として検出(特定)されてもよい。より具体的には、前方車両検出方法の一例として、カメラ10から得られる前方環境画像を画像処理して、画像中の光(所定輝度以上の画素)を検出し、検出した光の中から、明るさ・光の動き(例えば光の物体の速度、進行方向等)・色(例えば、ブレーキランプの発光色や反射部の反射光の色等)、方向性、属性(例えば2個ペアか否か)、連続性等の要素に基づいて、当該光が前方車両によるものか或いは前方車両以外の外乱光(道路標識の反射板等による反射光)なのかを判断するものであってよい。また、この際、自車の速度、加減速度、ヨーレート、自車のヘッドランプの種類、走行環境(例えば明るい市街地を走行しているか否か等)のような他車両以外の他の要素が考慮されてもよい。画像認識部42は、前方車両の存在を検出すると、当該前方車両の位置や方位等を算出してもよい。例えば、画像認識部42は、後述のパラメータd、θ及びφを算出してもよい。
ヘッドランプ制御部44は、スイッチ20の状態に基づいて、ヘッドランプ50のON/OFFの切り替え制御を行う。なお、ヘッドランプ制御部44は、日照センサの出力信号等に基づいて、周囲が暗くなったときに自動的にヘッドランプ50をオンする制御を実行してもよい。
ランプシェード制御部46は、スイッチ20の状態に基づいて、例えばヘッドランプ50の配光制御がオンであるとき、シェード駆動用アクチュエータ54を介して配光パターンを制御する。具体的には、ランプシェード制御部46は、画像認識部42の前方車両の検出状況に基づいて、シェード駆動用アクチュエータ54によりランプシェード70を制御して、ヘッドランプ50の配光パターンを制御する。基本的には、ランプシェード制御部46は、画像認識部42により前方車両の位置及び方向等に基づいて、当該前方車両がハイビームにより照射されないようにサブシェード70a,70bの開閉状態を制御する。これにより、例えば図4に示すような各種配光パターンが選択的に実現される。尚、ランプシェード制御部46による制御方法の一例は、図13を参照して後述する。
スイブル制御部48は、スイッチ20の状態に基づいて、例えばヘッドランプ50の配光制御がオンであるとき、スイブルアクチュエータ52を介して配光パターンの照射方向(ヘッドランプ50のスイブル角)を制御する。具体的には、スイブル制御部48は、画像認識部42の前方車両の検出状況に基づいて、スイブルアクチュエータ52によりヘッドランプ50の光軸方向を制御する。基本的には、スイブル制御部48は、画像認識部42により前方車両の位置及び方向等に基づいて、当該前方車両がハイビームにより照射されないようにヘッドランプ50の光軸の向きを制御する。尚、スイブル制御部48による制御方法の一例は、図13を参照して後述する。
眩しさ推定部49は、自車のヘッドランプ50からの照明により前方車両の運転者に与える眩しさを推定する。これについて、以下で詳説する。
図5は、本実施例の眩しさ推定部49による眩しさ推定方法の説明図である。図5には、自車101が示されると共に、前方車両として対向車102が示されている。図5中において、自車のヘッドランプ50の照明方向(光軸方向)が矢印103で示され、自車に対する前方車両の方向(自車から前方車両に向かう方向)が矢印104で示され、前方車両の運転者の視線方向が矢印105で示され、前方車両の進行方向(走行路方向)が一点鎖線106で示されている。角度θは、前方車両の運転者の視線方向105と前方車両の方向104とのなす角度であり(上面視で前方車両の方向104に対して反時計まわりを正とする)、角度φは、ヘッドランプ50の照明方向103と前方車両の方向104とのなす角度である。
眩しさ推定部49は、Schmidt‐Clausen and Bindelsの式に基づいて、ヘッドランプ50からの照明により前方車両の運転者に与える眩しさを推定する。Schmidt‐Clausen and Bindelsの式は、以下で表される。(φ−θ)≧0のとき(図5(A)参照)、
ここで、Hは、ヘッドランプ50の輝度(既知)であり、dは、車間距離(図5参照)であり、C1−C5は、定数であり、(φ−θ)は、前方車両の運転者の視線方向とヘッドランプ50の照明方向のなす角度である(図5参照)。ここで、従って、d、θ及びφの3つのパラメータを代入することで、眩しさの評価値Wを求めることができる。眩しさ推定部49は、評価値Wが所定閾値以上である場合に、ヘッドランプ50からの照明が前方車両の運転者に与える眩しさが許容限度を超えると判断してよい。所定閾値は、一般的に採用される値“4”であってもよい。尚、(φ−θ)が負のときは(図5(B)参照)、眩しさは単調減少するので後述のステップ1214の処理(ハイビームからロービームへの切り換え等)は不要である。
ここで、3つのパラメータd、θ及びφの導出方法について説明する。
車間距離dは、任意の方法で算出されてよい。車間距離dは、典型的には、自車のヘッドランプ50の照明方向(光軸方向)103又は自車の進行方向に沿った車間距離であるが、概略的に直線距離(前方車両の方向104に沿った車間距離)であってもよい。車間距離dは、例えばレーダ(ミリ波レーダやレーザーレーダ等)により検出されてもよい。また、車間距離dは、ステレオカメラを用いて算出されてもよい。或いは、車間距離dは、車車間通信を介して得られる前方車両の位置情報に基づいて算出されてもよい。或いは、車間距離dは、画像認識部42により検出された前方車両の光の位置等に基づいて算出されてもよい。この場合、車間距離dは、画像認識部42により算出されてもよい。例えば、図7は、図6に示すようなカメラ10から得られる前方環境画像に対して画像認識した前方車両の光の位置を概略的に示す。即ち、図7は、図6の前方環境画像のうちの所定の閾値(明るさ)で二値化した画像を示し、3台の車両の対のヘッドランプ部分(高輝度画素部分)301L,301R;302L,302R;303L,303Rを示す。図6において、ライン201は、無限遠点の位置を示す。図6に示すように、画像の光点(ヘッドランプ)位置である像高は、前方環境画像中における無限遠点の位置と現在位置との縦方向の変化量(図6の矢印参照)であり、車間距離dに比例する。従って、前方車両の像高に基づいて車間距離dが算出されてもよい。また、ヘッドランプ部分301L,301R等の直径や面積(画素数)は車間距離dに反比例する。従って、前方車両のヘッドランプ部分の直径や面積に基づいて車間距離dが算出されてもよい。また、前方車両の対のヘッドランプ部分の距離(ヘッドランプ間の距離)304(図7参照)についても車間距離dに反比例する。従って、前方車両のヘッドランプ間の距離に基づいて車間距離dが算出されてもよい。ヘッドランプ部分の直径、面積、ヘッドランプ間の距離等を用いる場合には、車両のピッチングの影響を受けないので、像高に基づいて車間距離dを算出する場合に比べて算出精度を高めることができる。
角度φは、ヘッドランプ50の照明方向103と前方車両の方向104とのなす角度であるが、任意の方法で算出されてよい。ヘッドランプ50の照明方向103は、原則として、自車の進行方向と同一であるとみなしてよい。また、スイブル制御部48によりヘッドランプ50の光軸の向きが変化されている場合には、その変化角度(スイブル角度)だけ自車の進行方向から回転した方向に補正されてもよい。前方車両の方向104は、例えばレーダにより検出されてもよい。或いは、前方車両の方向104は、車車間通信を介して得られる前方車両の位置情報に基づいて算出されてもよい。或いは、前方車両の方向104は、カメラ10から得られる前方環境画像中における前方車両の横位置(ヘッドランプ部分の画像横方向の位置)に基づいて算出されてもよい。この場合、前方車両の方向104は、画像認識部42により算出されてもよい。
角度θは、前方車両の運転者の視線方向105と前方車両の方向104とのなす角度であるが、任意の方法で算出されてよい。但し、前方車両の運転者の視線方向105は、前方車両の進行方向に基づいて設定される。例えば、前方車両の運転者の視線方向105は、前方車両の進行方向と同一であると仮定されてよい。これは、一般的に、車両の運転者は、進行方向を見て運転を行うためである。前方車両の進行方向(移動方向)は、例えばレーダや車車間通信を介して得られる前方車両の位置情報の変化に基づいて算出されてもよい。或いは、前方車両の進行方向は、カメラ10から得られる前方環境画像中における前方車両の位置の変化態様に基づいて算出されてもよい。例えば、前方車両の進行方向は、任意の2時点間での前方環境画像中におけるヘッドランプ部分の移動ビット量(シフトビット数)に基づいて算出されてもよい。この場合、前方車両の進行方向は、画像認識部42により算出されてもよい。尚、角度φと角度θは、必ずしも別々に算出される必要はなく、角度(φ−θ)が算出されてもよい。例えば、角度(φ−θ)は、車間距離dと、2時点間での前方環境画像中におけるヘッドランプ部分の移動ビット量とに基づいて算出されてもよい。
眩しさ推定部49は、マップ記憶部41内の判定マップに基づいて、上述の眩しさを推定してもよい。判定マップは、上述のSchmidt‐Clausen and Bindelsの式に基づいて、パラメータをd、θ及びφとして、評価値Wが所定閾値以上であるか否かを表すマップである。
図8乃至図10は、判定マップの説明図であり、判定マップの概念を模式的に示す図である。具体的には、図8は、ヘッドランプ50の等照度曲線と共に、ある複数の地点での閾値角度範囲ηを示す上面図であり、図9は、カメラ10から得られる前方環境画像中における閾値角度範囲η内の幾つかの方向を模式的に示す図であり、図10は、図8に示されたある1つの地点での閾値角度範囲ηのみを抽出して示す図である。尚、図8及び図9では、ヘッドランプ50の照明方向103が中心軸に対応している。
閾値角度範囲ηは、上述の角度θがこの範囲内に入った場合に、評価値Wが所定閾値以上であることを表す。尚、図8に示す例では、閾値角度範囲ηは、代表的な11個の地点での各閾値角度範囲ηを示しているが、実際の判定マップは、より多数の地点(ヘッドランプ50の照射領域の各ポイント)における各閾値角度範囲ηを有する。尚、判定マップで規定されていない地点の閾値角度範囲ηは、補間により演算されてもよい。各地点の閾値角度範囲ηは、上述のSchmidt‐Clausen and Bindelsの式を用いて、各地点のd、φに基づいて、評価値Wが所定閾値以上となるパラメータθの範囲として算出され、判定マップが生成される。
眩しさ推定部49は、例えばパラメータd、φに基づいて地点P1(図8参照)に前方車両が検出された場合、パラメータθが地点P1での閾値角度範囲η内に入るか否かを判定し、パラメータθが閾値角度範囲η内に入る場合には、評価値Wが所定閾値以上であると判定する(即ち、ヘッドランプ50からの照明が前方車両の運転者に与える眩しさが許容限度を超えると判定する)。
尚、図8に示す判定マップの特徴は、車間距離dが長くなるほど閾値角度範囲ηが小さくなり、同一の車間距離dであっても角度φがゼロのときに閾値角度範囲ηが最も大きく、角度φが大きくなるほど閾値角度範囲ηが小さくなることである。
図11は、他の一例の判定マップを示す図である。ヘッドランプ50の配光自体は、一般的に左右非対称であるので、等照度曲線は、図11に示すように、左右非対称となる。図11は、これに応じて左右で非対称な閾値角度範囲ηを持つ判定マップを示す。
尚、図8乃至図11に示した判定マップは、パラメータd、φをSchmidt‐Clausen and Bindelsの式に代入したときの、パラメータθに対する閾値角度範囲ηを示しているが、他の態様であってよい。例えば、パラメータdをSchmidt‐Clausen and Bindelsの式に代入したときに評価値Wが所定閾値以上となるパラメータφ−θに対する閾値角度範囲がマップで規定されてもよい。或いは、パラメータφ−θをSchmidt‐Clausen and Bindelsの式に代入したときに評価値Wが所定閾値以上となるパラメータdに対する閾値距離範囲がマップで規定されてもよい。
図12は、本実施例の制御ECU40により実現される主要処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。図12に示す処理は、車両のイグニッションスイッチがオンされた場合に起動されるものであってよい。
ステップ1202では、スイッチ20の状態に基づいて、ヘッドランプ50がオンであるか否かが判定される。ヘッドランプ50がオンである場合は、ステップ1204に進み、ヘッドランプ50がオフである場合は、そのまま終了する。
ステップ1204では、スイッチ20の状態に基づいて、ヘッドランプ50の配光制御がオンであるか否かが判定される。ヘッドランプ50の配光制御がオンである場合は、ステップ1206に進み、ヘッドランプ50の配光制御がオフである場合は、そのまま終了する。
ステップ1206では、車速センサ30に基づいて、車速が所定値以上か否かが判定される。所定値はゼロより大きい任意の値であってよい。車速が所定値以上である場合は、ステップ1208に進み、車速が所定値未満である場合は、そのまま終了する。
ステップ1208では、画像認識部42は、カメラ10からリアルタイムで提供される前方環境画像を画像処理して、前方車両を検出したか否かを判定する。前方車両が検出された場合は、ステップ1210に進み、それ以外の場合は、そのまま終了する。
ステップ1210では、画像認識部42は、カメラ10からリアルタイムで提供される前方環境画像を画像処理して、検出した前方車両に対するパラメータd、θ及びφを算出する。尚、上述の如く、パラメータd、θ及びφは、画像処理以外の方法で算出されてもよい。
ステップ1212では、眩しさ推定部49は、上記ステップ1210で得られたパラメータd、θ及びφに基づいて、上述の如くヘッドランプ50からの照明が前方車両の運転者に与える眩しさが許容限度を超えるか否かを判定する。ヘッドランプ50からの照明が前方車両の運転者に与える眩しさが許容限度を超える場合には、ステップ1214に進み、それ以外の場合は、そのまま終了する。
ステップ1214では、ランプシェード制御部46及びスイブル制御部48は、前方車両に対してハイビーム光が照射されないように、ヘッドランプ50の配光制御を実行する。この配光制御の一例は、図13を参照して説明する。尚、単にハイビームとロービームの切り替えのみを行う構成の場合には、ステップ1214において、ハイビームからロービームへの切り換えが実行される。
図13は、本実施例の制御ECU40により実現される配光制御の一例を示す図である。図13では、左側ヘッドランプ50Lによる配光パターンが記号PLにより指示され、右側ヘッドランプ50Rによる配光パターンが記号PRにより指示されている。尚、本例では、図13に示すように、左右のヘッドランプ50L,50Rのハイビームパターン、ロービームパターン及びそれらによる照射領域は略同一であるとする。
図13(A)は、車両前方がハイビームパターンで照射された状態(初期状態)を示す。この状態にて車両前方に前方車両がカメラ10及び画像認識部42により検出された場合、スイブル制御部48は、画像認識部42から得られる前方車両の位置に基づいて、目標スイブル角を決定し、該目標スイブル角が実現されるようにスイブルアクチュエータ52によりヘッドランプ50の光軸方向を変化させる。ここでは、一例として、目標スイブル角は、一部遮光パターンの遮断部分内に前方車両が含まれ、且つ、一部遮光パターンのカットオフラインCL,CR(図4(A)及び図4(B)参照)が前方車両の近接側端部から所定距離離間した位置(方向)に来るように決定される。尚、一部遮光パターンの遮断部分とは、ハイビームパターン(図4(C)参照)から一部遮光パターン(図4(A)及び図4(B)参照)を差し引いた部分に相当する。また、ランプシェード制御部46は、右側ヘッドランプ50Rのランプシェード70を制御して、右側ヘッドランプ50Rの配光パターンをハイビームパターン(図13(A)の初期のパターン)から左側一部遮光パターン(図13(B))へと変更する。同様に、左側ヘッドランプ50Lのランプシェード70を制御して、左側ヘッドランプ50Lの配光パターンをハイビームパターン(図13(A)の初期のパターン)から右側一部遮光パターン(図13(B))へと変更する。以後、スイブル制御部48は、前方車両が所定の消失状態になるまで、前方車両の位置の変化に応じて、前方車両の右端に右側ヘッドランプ50Rのランプ中心軸が略一致した状態が維持されるように、右側ヘッドランプ50Rのスイブル角を制御・調整してもよい。このようにして、前方車両の運転者にグレアを与えるのを適切に防止することができる。尚、配光制御の態様は、多種多様であり、任意の態様が採用されてもよい。例えばスイブルアクチュエータ52及びシェード駆動用アクチュエータ54のうちのいずれか一方のみを用いる態様であってもよい。また、スイブル動作は、ホルダ86をスイブルアクチュエータ52により回転させることにより実現されているが、例えば特開2009‐227088号公報に開示されるような構成(照射領域を垂直方向に区切って遮蔽するシェードを左右に移動させる構成)により実現されてもよい。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例では、主に対向車に対する眩しさの推定・判定方法が例示されているが、先行車についても同様に適用可能である。例えば、先行車については、ルームミラーから後方に向けて視線方向があると仮定し、先行車の進行方向の反対方向を運転者の視線方向と看做して、上述の対向車の場合と同様に扱うことができる。
1 車両用照明装置
10 カメラ
20 スイッチ
30 車速センサ
40 制御ECU
41 マップ記憶部41
42 画像認識部
44 ヘッドランプ制御部
46 ランプシェード制御部
48 スイブル制御部
49 眩しさ推定部
50(50L,50R) ヘッドランプ
52 スイブルアクチュエータ
54 シェード駆動用アクチュエータ
70 ランプシェード
70a,70b サブシェード
71 支持軸
72(72a,72b) 回転体
80 バルブ
82 投影レンズ
84 リフレクタ
86 ホルダ

Claims (5)

  1. 自車前方を照明するヘッドランプと、
    処理装置とを備え、
    前記処理装置は、自車から自車前方の他車両までの車間距離と、ヘッドランプの光軸方向と前記他車両の方向のなす角度と、前記他車両の方向と前記他車両の進行方向のなす角度とに基づいて、自車のヘッドランプからの照明により前記他車の運転者に与える眩しさを推定することを特徴とする、車両用照明装置。
  2. 前記車間距離と前記2つの角度とをパラメータとして、前記ヘッドランプからの照明が前記他車の運転者に与える眩しさが許容限度を超えるか否かを表すマップを記憶する記憶装置を備え、
    前記処理装置は、前記マップに基づいて、前記ヘッドランプからの照明が前記他車の運転者に与える眩しさが許容限度を超えるか否かを推定する、請求項1に記載の車両用照明装置。
  3. 前記マップは、Schmidt‐Clausen and Bindelsの式に基づいて生成される、請求項2に記載の車両用照明装置。
  4. 前記処理装置は、前記ヘッドランプがハイビームで照明している状況下で前記ヘッドランプからの照明が前記他車の運転者に与える眩しさが許容限度を超えると判断した場合に、前記ヘッドランプの照明をハイビームからロービームに変更する、又は、前記ヘッドランプのハイビームの照射範囲を制限する、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の車両用照明装置。
  5. 自車前方を照明するヘッドランプを用いた車両用照明方法であって、
    処理装置が、自車から自車前方の他車両までの車間距離と、ヘッドランプの光軸方向と前記他車両の方向のなす角度と、前記他車両の方向と前記他車両の進行方向のなす角度とに基づいて、自車のヘッドランプからの照明により前記他車の運転者に与える眩しさを推定する推定ステップと、
    処理装置が、前記推定ステップの結果に基づいて、前記ヘッドランプがハイビームで照明している状況下で前記ヘッドランプからの照明が前記他車の運転者に与える眩しさが許容限度を超えると判断した場合に、処理装置が、前記ヘッドランプの照明をハイビームからロービームに変更する、又は、前記ヘッドランプのハイビームの照射範囲を制限するステップとを備えることを特徴とする、車両用照明方法。
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JP2014225762A (ja) * 2013-05-15 2014-12-04 富士通株式会社 情報処理システム、情報処理装置、プログラム及び情報処理方法
AT517415A1 (de) * 2015-06-29 2017-01-15 Zkw Group Gmbh Steuerungsvorrichtung für eine Beleuchtungsvorrichtung eines Kraftfahrzeuges sowie Verfahren zum Steuern einer solchen Beleuchtungsvorrichtung
CN112291900A (zh) * 2020-10-23 2021-01-29 一汽奔腾轿车有限公司 一种汽车信号灯发光强度自动控制系统及控制方法

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