JP2012217441A - タキサン類の生産方法、およびカルス誘導方法 - Google Patents

タキサン類の生産方法、およびカルス誘導方法 Download PDF

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【課題】イチイ属植物から形成されたカルス細胞から、タキサン類をより大量に生産する方法、および植物細胞または植物組織片から効率よくカルス誘導を行う方法の提供。
【解決手段】イチイ(Taxus)属植物の植物細胞または植物組織片から形成されたカルス細胞を、植物ホルモン、水素ガス、および一酸化窒素ガスからなる群より選択される1種以上のガスを含有する微細気泡を含む培養液中で懸濁培養し、培養後のカルス細胞または培養液からタキサン類を回収することを特徴とする、タキサン類の生産方法、並びに植物細胞または植物組織片を、二酸化塩素溶液を用いて殺菌処理する表面殺菌工程と、前記表面殺菌工程後に、当該植物細胞または植物組織片をカルス誘導固体培地で培養し、カルス化を誘導することによりカルス細胞を形成する培養工程と、を有することを特徴とするカルス誘導方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、イチイ(Taxus)属植物から形成されたカルス細胞からタキサン類を生産する方法、および植物細胞または植物組織片からカルス細胞を形成する方法に関する。
タキソール(パクリタキセル)は、イチイ属植物から単離されたアルカロイドであって、種々の癌細胞に対して抗腫瘍活性を呈する。また、イチイ属植物からはその他にも、バッカチンIIIやタキサジエン等のタキソールと同様に抗腫瘍活性を有するタキサン類が単離されている。これらのタキサン類は、主に抗癌剤の有効成分として利用されている。
タキソールの製造方法としては、例えば、イチイ属植物の葉からバッチカンIIIを抽出した後、これを原料化合物として化学合成を行い、タキソールを生産する方法が開発されている。しかしながら、化学合成法では高コストとなるという問題があった。
一方で、タキソールは主としてタキサス・ブレビフォーリア(Taxus brevifolia)の樹皮に、グラム乾燥質量当たりおよそ0.02%含まれることが知られている。このように、タキソールのイチイ属植物中のタキソール含有量は非常に少ないため、十分な量のタキソールを回収するためには、イチイ属植物が大量に必要になる。その上、イチイ属植物の成長速度は著しく遅い。このため、需要に足る分のタキソールを天然資源から回収することは、森林の生態系に甚大な影響を及ぼす可能性がある。
そこで、イチイ属植物から得られた培養細胞等にタキソールを生産させ、これを回収する方法が検討されている。例えば特許文献1には、次亜塩素酸による殺菌処理後にカルス誘導を行うことによって、イチイ属植物の組織片からカルス細胞を得、当該カルス細胞を、植物種ごとに最適化されたタキソール生産培地中で懸濁培養することにより、高収率でタキソールを回収することができる方法が開示されている。また、特許文献2には、イチイ属植物の組織片を次亜塩素酸により殺菌処理した後に、ジベレリンを含む固体培地で培養することによってカルス細胞を得、当該カルス細胞を、ジベレリンを含む液体培地で懸濁培養することにより、タキソールを回収することができる方法が開示されている。その他、特許文献3には、イチイ属植物の中でその他の植物組織よりも多くのタキソールを含有している接合体胚に対して、次亜塩素酸による殺菌処理後にカルス誘導を行うことによってカルス細胞を得た後、当該カルス細胞の培養を継続することにより、元の胚の分量の数十万倍もの胚発生カルスを得、当該胚発生カルスからタキソールを回収することができる方法が開示されている。
特許第3513151号公報 特開平6−296493号公報 特許第2795542号公報
しかしながら、例えば特許文献1に記載の方法では、タキソール生産培地の組成や培養条件を、植物種ごとに最適化する必要があり、非常に煩雑であるという問題がある。また、特許文献2や3に記載の方法では、従来よりもタキソールの生産効率は改善されているものの、未だ十分ではなかった。
また、特許文献1〜3に記載の方法では、いずれもカルス誘導の前処理である殺菌処理を、次亜塩素酸を用いて行っている。次亜塩素酸による殺菌処理は、カルス誘導の前処理として一般的であるが、消毒、殺菌能力が不安定であるという問題がある。すなわち、次亜塩素酸が高濃度の場合には、植物組織にダメージを与え、カルスが形成されず、低濃度の場合にはカビが発生するという問題があり、カルスを安定して誘導することができなかった。
本発明は、イチイ属植物から形成されたカルス細胞から、タキサン類をより大量に生産する方法、および植物細胞または植物組織片から効率よくカルス誘導を行う方法を提供することを目的とする。
本発明では、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
(1) イチイ属植物の植物細胞または植物組織片から形成されたカルス細胞を、植物ホルモン、水素ガス、および一酸化窒素ガスからなる群より選択される1種以上のガスを含有する微細気泡を含む培養液中で懸濁培養し、培養後のカルス細胞または培養液からタキサン類を回収することを特徴とする、タキサン類の生産方法。
(2) 前記微細気泡の平均気泡径が10μm以下である、前記(1)に記載のタキサン類の生産方法。
(3) 前記微細気泡の気泡数が、培養液1mLあたり1,000個以上である、前記(1)または(2)に記載のタキサン類の生産方法。
(4) 前記微細気泡がエチレンを含有するガスを含む微細気泡である、前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載のタキサン類の生産方法。
(5) 前記培養液が、さらにエリシターを含む、前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載のタキサン類の生産方法。
(6) 前記エリシターが、ジャスモン酸またはその誘導体である、前記(5)に記載のタキサン類の生産方法。
(7) カルス細胞から分泌されたタキサン類を、培養後の培養液から回収する、前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載のタキサン類の生産方法。
(8) 回収されるタキサン類がタキソールである、前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載のタキサン類の生産方法。
(9) 前記カルス細胞が、イチイ属植物の植物細胞または植物組織片を、二酸化塩素溶液を用いて殺菌処理した後に、カルス化が誘導されて形成された、前記(1)〜(8)のいずれか一項に記載のタキサン類の生産方法。
(10) 植物細胞または植物組織片を、二酸化塩素溶液を用いて殺菌処理する表面殺菌工程と、
前記表面殺菌工程後に、当該植物細胞または植物組織片をカルス誘導固体培地で培養し、カルス化を誘導することによりカルス細胞を形成する培養工程と、
を有することを特徴とするカルス誘導方法。
(11) 前記植物細胞または植物組織片が、イチイ属植物の植物細胞または植物組織片である、前記(10)に記載のカルス誘導方法。
本発明のタキサン類の生産方法により、イチイ属植物の植物細胞または植物組織片から形成されたカルス細胞から、従来になく大量のタキサン類を生産することができる。
また、本発明のカルス誘導方法においては、カルス誘導前の殺菌処理を、二酸化塩素溶液を用いて行うため、従来の次亜塩素酸による殺菌処理を行った場合よりも、効率よくカルス細胞を形成することができる。
本発明のタキサン類の生産方法において用いられる植物ホルモン等を含有する微細気泡を含む培養液を製造するための装置の一例を示した図である。 製造例1および比較製造例1の培養液中のエチレンを含有するガスからなる気泡の安定性を示したグラフである。 実施例2〜3および比較例1〜3におけるタキサン類の生成の結果を示したグラフである。
カルスとは、構造的に未分化であり、固体培地上に培養された際に形成される植物細胞塊を意味する。また、カルス細胞とは、カルス中の細胞を意味する。カルスは、分化後の植物細胞や植物組織から適切な条件で培養することによって誘導される。
<タキサン類の生産方法>
本発明および本願明細書において、タキサン類とは、タキサン環またはその類縁構造を有する化合物を意味する。タキサン環を有する化合物としては、タキソール、バッカチンIII、10−デアセチルバッカチンIII、タキサジエン、ドセタキセル等が挙げられる。タキサン環の類縁構造を有する化合物としては、タクスチニンA、ブレビフォリオール等が挙げられる。タキサン類は、イチイ属植物から適切な条件のもと生産できることが知られている。
本発明のタキサン類の生産方法は、イチイ属植物の植物細胞または植物組織片から形成されたカルス細胞を、植物ホルモン、水素ガス、および一酸化窒素ガスからなる群より選択される1種以上のガスを含有する微細気泡を含む培養液中で懸濁培養し、培養後のカルス細胞または培養液からタキサン類を回収することを特徴とする。イチイ属植物の植物細胞または植物組織片から形成されたカルス細胞を、植物ホルモン、水素ガス、および一酸化窒素ガスからなる群より選択される1種以上のガスを含有する微細気泡を含む培養液中で懸濁培養することにより、大量のタキサン類を生産させることができる。このため、本発明のタキサン類の生産方法は、タキサン類の安定的な供給に資することができる。なお、本発明のタキサン類の生産方法により、カルス細胞によるタキサン類の生産量を増大させられる理由は明らかではないが、植物ホルモンを微細気泡に含有させた状態で培養液に導入することにより、当該微細気泡に含まれている植物ホルモン、水素ガス、および一酸化窒素ガスを効率よくカルス細胞に作用させられる結果、カルス細胞の増殖速度が高められ、タキサン類を高速度で生産できる、または一のカルス細胞あたりのタキサン類の生産量を増大させることができるためと推察される。
本発明のタキサン類の生産方法に供されるカルス細胞は、イチイ属植物の植物細胞または植物組織片からカルス誘導され形成されたものである。イチイ属植物としては特に限定されるものではなく、例えば、タキサス・シネンシス(Taxus chinensis)、タキサス・ブレビフォーリア、タキサス・カナデンシス(Taxus canadensis)、タキサス・カスピダータ(Taxus caspidata)、タキサス・バッカータ(Taxus baccata)、タキサス・グロボーサ(Taxus globosa)、タキサス・フロリダーナ(Taxus floridata)、タキサス・ワリキアーナ(Taxus wallichiana)、タキサス・メディア(Taxus media)、タキサス・スマトラーナ(Taxus sumatrana)、黄金イチイ(黄金キャラボクとセイヨウイチイの交配種)等が挙げられる。
カルス誘導がなされる植物細胞または植物組織片(以下、単に「植物材料」ということがある。)は、イチイ属植物由来のものであれば特に限定されるものではなく、樹皮、形成層、茎、枝、葉、種子、きゅう果、根を含む任意の組織から採取された植物細胞または植物組織片であればよい。タキサン類の収率をより高めることができるため、本発明のタキサン類の生産方法に供されるカルス細胞としては、葉または種子から形成されたカルス細胞であることが好ましく、新しく成長した葉や種子から形成されたカルス細胞であることがより好ましい。
本発明のタキサン類の生産方法に供されるカルス細胞としては、例えば、前処理として、イチイ属植物の植物材料を殺菌処理した後、カルス誘導を行うための固体培地に接種して培養することにより得られたものを用いることができる。殺菌処理およびカルス誘導は、常法により行うことができる。
殺菌処理は、エタノール、塩酸ベンザコルニウム、次亜塩素酸ナトリウム水溶液等の周知の殺菌剤・滅菌剤を適宜組み合わせて行うことができる。例えば、70〜80%エタノール等のアルコール水溶液に浸漬させた後、1〜2%程度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬させることにより行うことができる。アルコール水溶液の濃度や浸漬時間、次亜塩素酸溶液の濃度や浸漬時間は、植物材料の種類や状態に応じて適宜調整することができる。また、殺菌処理の前に、界面活性剤溶液等により、植物材料の表面を洗浄してもよい。
また、カルス誘導を行うための固体培地としては、一般的に植物細胞の培養に用いられる植物培養用の液体培地に、ゲランガムや寒天等の培地固定剤と、カルス誘導能を発揮する植物ホルモンとを添加したものを用いることができる。当該植物培養用の液体培地としては、WP培地(Woody Plant培地)、MS培地(Murashige−Skoog培地)、GamborgB5培地等が挙げられる。また、当該植物ホルモンとしては、オーキシン類、ジベレリン類、カイトカイニン類等が挙げられる。用いる植物培養用の液体培地や植物ホルモンの種類や添加量等は、植物材料に合わせて適宜調整することができる。
本発明のタキサン類の生産方法においては、後述のカルス誘導方法に従い、二酸化塩素溶液を用いて殺菌処理が行われたカルス細胞を用いることが好ましい。殺菌力が弱い場合はカルス誘導の途中でカビ等が発生し、殺菌力が強い場合には組織を破壊し培養できなくなる。特に、イチイ属植物の植物材料に対して、次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて殺菌処理を行った場合には、殺菌力の強弱によってカルス誘導が影響を受けやすく、安定してカルス細胞を得ることができない。本発明のカルス誘導方法のように、二酸化塩素溶液を用いることにより、確実にカルス誘導することができる。
本発明のタキサン類の生産方法においては、カルス細胞を、植物ホルモン等を含有する微細気泡を含む培養液中で懸濁培養することにより、当該カルス細胞にタキサン類を生産させる。なお、懸濁培養とは、細胞を培養液中に分散された状態で培養することを意味する。具体的には、液体培地に植物ホルモン等を含有する微細気泡を通気することにより得られた培養液に、カルス細胞を投入し、懸濁培養する。カルスをそのまま培養液に投入してもよい。
懸濁培養の培養液に用いられる液体培地は、一般的に植物細胞の培養に用いられる植物培養用の液体培地の中から、カルス細胞の形成に用いられた植物材料の種類等を考慮して適宜選択して用いることができる。当該液体培地としては、例えば、前述のWP培地、MS培地、GamborgB5培地に加えて、LS培地(Linsmeier−Skoog培地)、White培地、Nitch培地、KS培地(Kohlennbach−Schmidt培地)、またはそれらの改変培地が挙げられる。また、これらの液体培地は、カルス細胞の種類等を考慮して、栄養源となるグルコース等の炭素源をさらに添加してもよい。
当該液体培地には、界面活性作用を示す物質(界面活性剤)が添加されていることが好ましい。液体培地に界面活性剤が添加されていることにより、微細気泡を安定して発生させやすくなるため、培養液の製造が容易になり、かつ培養液中における微細気泡の安定性も向上する。また、培養液中に界面活性剤が含まれていることにより、培養液中の各種成分が植物組織に摂取されやすくなる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができるが、好ましくは非イオン性界面活性剤である。また、非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよびポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレン縮合物等が挙げられる。また、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの一例としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween80の名でAtlas Powder社から市販されている。)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(Tween60)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(Tween40)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween20)等が挙げられる。
これら以外にも、トライトンX−100(Triton X−100)、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(Brij−58)やノニルフェノールエトキシレート(Tergitol NP−40)等の一般的に生物学の分野で用いられる界面活性剤が利用可能である。
これらの界面活性剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
培養液中の界面活性剤の含有量は、界面活性剤の種類によっても異なるが、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.01〜2質量%であることがより好ましい。界面活性剤の含有量が0.001質量%以上であれば、培養液の製造が容易になり、培養液中における微細気泡の安定性も向上する。また、界面活性剤の含有量が5質量%以下であれば、微細気泡を生成する際の過度な発泡を防止しやすく、コストを低減できる。
培養液に通気させる微細気泡は、植物ホルモン、水素ガス、および一酸化窒素ガスからなる群より選択される1種以上のガスを少なくとも含む。当該植物ホルモンとしては、培養環境下でガス状であり、かつカルス細胞によるタキサン類の生産効率を高める効果を有する植物ホルモンであれば、特に限定されるものではない。例えば、当該植物ホルモンとしては、カルス細胞の増殖を促進する作用、またはカルス化を誘導する作用を有する常温でガス状の植物ホルモンが挙げられる。本発明においては、特に、エチレンであることが好ましい。
微細気泡中の植物ホルモン、水素ガス、または一酸化窒素ガスの濃度は、0.1〜99.9体積%であることが好ましく、2〜99体積%であることがより好ましく、5〜90体積%であることがさらに好ましい。前記植物ホルモン等の濃度が0.1体積%以上であれば、植物ホルモン等によるカルスの誘導やタキサン類の生成促進等の効果が得られやすい。また、前記植物ホルモン等の濃度が99.9体積%以下であれば、コストを低減できる。
微細気泡中の植物ホルモン等の濃度は、該微細気泡の発生に用いる、植物ホルモン、水素ガス、および一酸化窒素ガスからなる群より選択される1種以上のガスを少なくとも含有するガス(以下、「有効成分含有ガス」という。)中の植物ホルモン等の濃度を調整することにより調整できる。
有効成分含有ガス中の植物ホルモン等の濃度の調整に使用するガスは、培養液によるカルス細胞の培養に悪影響を与えないガスであればよく、例えば、窒素ガス、希ガス等の不活性ガス、炭酸ガス、細胞への呼吸促進を目的とした酸素ガスが挙げられる。これらのガスは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用した混合ガスであってもよい。
本発明のタキサン類の生産方法においては、培養液中に有効成分含有ガスを微細気泡として存在させる。これにより、培養液中に植物ホルモン等を含む気泡を長期間培養液中に留めておくことができ、植物ホルモン等による効果が高効率でかつ安定して得られる。特に、植物ホルモンとしてエチレンを用いる場合、エチレンが水に難溶であるため、エチレン含有ガスを単に液体培地へ通気しただけでは、大部分のエチレンが気相中に放散され、エチレンの効果が充分に得られにくい。本発明においては、エチレン含有ガスを微細気泡として培養液中に存在させることにより、培養液中にエチレンを安定して維持することができ、エチレンによる効果を高効率でかつ安定して得られる。
培養液中の植物ホルモン等を含有する微細気泡の平均気泡径は、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることがさらに好ましい。ただし、平均気泡径とは培養液中の微細気泡の気泡径の数平均を意味する。気泡径が10μm以下であれば、培養液中で微細気泡が上昇していく速度が小さくなるため、該気泡が培養液から気相中に放出されるまでの滞留時間を長くしやすく、エチレン等の植物ホルモンによるカルスの誘導やタキサン類の生成促進の効果、水素ガスによる抗酸化効果、一酸化窒素ガスによる情報伝達経路の活性化効果等が充分に得られやすい。また、植物ホルモン等を含有する微細気泡の平均気泡径は、気泡形成の容易性から、0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。
植物ホルモン等を含有する微細気泡の平均気泡径の測定方法としては、例えば、レーザー回折散乱法により測定するLS 13 320(ベックマンコールター社製)、細孔電気抵抗法により測定するMultisizer3(ベックマンコールター社製)等が挙げられる。
培養液中の植物ホルモン等を含有する微細気泡の気泡数は、培養液1mLあたり、1,000個以上であることが好ましく、10,000個以上であることがより好ましく、50,000個以上であることがさらに好ましい。気泡数が培養液1mLあたり1,000個以上であれば、植物ホルモンによるカルスの誘導やタキサン類の生成の促進効果等が得られやすく、特に10,000個以上であれば植物ホルモン等を含有する微細気泡と植物組織の接触効率が向上して得られる効果がより高まる。また、植物ホルモン等を含有する微細気泡の気泡数は、気泡形成の容易性から、培養液1mLあたり、1,000万個以下であることが好ましく、100万個以下であることがより好ましい。
植物ホルモン等を含有する微細気泡の気泡数の測定方法としては、例えば、Multisizer3(ベックマンコールター社製)が挙げられる。
液体培地に植物ホルモン等を含有する微細気泡を通気する方法としては、微細気泡を発生させることができる方法であればよく、公知の旋回流方式、加圧溶解方式、機械撹拌方式、超音波方式、膜透過方式、もしくは、これらの方式を組み合わせた方式等を用いることができる。
植物ホルモン等を含有する微細気泡を含む培養液は、例えば、特開2010−193838号公報に開示されているような培養液製造装置を用いて製造することができる。当該培養液製造装置の一例を図1に示す。培養液製造装置3は、通気前の培養液(液体培地)を貯留する培養液貯留部11と、有効成分含有ガスを貯留する有効成分含有ガス貯留部12(以下、単に「ガス貯留部12」という。)と、通気前の培養液に有効成分含有ガスを通気して有効成分含有気泡を発生させる有効成分含有気泡発生部13(以下、単に「気泡発生部13」という。)と、通気後の培養液を供給する培養液供給部14とを備えている。また、培養液貯留部11と気泡発生部13とが配管21で連結されており、ガス貯留部12と気泡発生部13とが配管22で連結されており、気泡発生部13の下流側と培養液貯留部11とが配管27で連結されており、培養液貯留部11と培養液供給部14とが配管28で連結されている。
培養液貯留部11に貯留される通気前の培養液(液体培地)の量は、通気後の培養液により培養されるカルス細胞の種類や培養規模等に応じて適宜決定できる。まず、ポンプ15により、培養液貯留部11に貯留されている通気前の培養液が配管21を通じて気泡発生部13に液送され、気泡発生ノズル16に通液される。同時に、ガス貯留部12に貯留されている有効成分含有ガスが配管22を通じて気泡発生部13の気泡発生ノズル16に供給される。有効成分含有ガスの供給機構は、加圧により気泡発生部16に送られる機構であってもよく、減圧により気泡発生部16内に吸引される機構であってもよい。
気泡発生ノズル16内では、通液される液体培地により旋回流が形成されており、該旋回流により生じた渦流の中心部には、植物ホルモン等を含む気体空洞部が形成される。この植物ホルモン等を含む気体空洞部の先端部が、液体培地の旋回流によるせん断力により引きちぎられることにより、植物ホルモン等を含有する微細気泡が発生する。
通気後の培養液中の植物ホルモン等を含有する気泡の平均気泡径、および気泡数は、気泡発生ノズル16の形状および生じさせる旋回流の度合い、気泡発生ノズル16に通液する通気前の培養液の液流量、有効成分含有ガスの流量、界面活性剤の種類や添加量等を調整することにより制御できる。
培養液製造装置3では、培養液貯留部11から液送される通気前の培養液(液体培地)を、配管21、気泡発生部13、配管27を順次通過させて培養液貯留部11へと戻して循環させる。これにより、連続的に有効成分含有ガスを通気することで、植物ホルモン等を含有する気泡の気泡数を容易に向上させることができる。そして、植物ホルモン等を含有する気泡を含む通気後の培養液を、配管28を通じて培養液供給部14に送液し、培養液供給部14からバルブ等の操作により所定の容器等に供給する。
培養液製造装置3における培養液供給部14は、培養液貯留部11の底部付近の一画に連結されることが好ましい。
気泡発生部13は、前述の旋回流方式には限定されず、加圧溶解方式、機械攪拌方式、超音波方式、膜透過方式を採用したものであってもよく、それらを組み合わせたものであってもよい。
例えば、膜透過方式としては、多孔質ガラス膜を有し、内部に培養液を通液できる多孔質ガラスモジュール(気泡発生部)等が挙げられる。該多孔質ガラスモジュールでは、モジュール内に通液されている培養液に対して、微細な孔を多数有する多孔質ガラス膜を介して有効成分含有ガスを通気することにより、培養液中に有効成分含有気泡を発生させることができる。
膜透過方式における通気後の培養液中の植物ホルモン等を含有する気泡の平均気泡径は、有効成分含有ガスを通気する孔の平均孔径、有効成分含有ガスの圧力、通液する培養液の液流量、界面活性剤の種類や添加量を調整することにより制御できる。また、気泡数は、多孔質ガラス膜の表面積(孔数)、有効成分含有ガスの通気時間、通液する培養液の液流量、界面活性剤の種類や添加量を調整することにより制御できる。
前記モジュールにおいて平均気泡径が10μm以下の植物ホルモン等を含有する気泡を充分に発生させるには、有効成分含有ガスを通気する孔の平均孔径は0.05〜1μmであることが好ましい。
通気する際の有効成分含有ガスの圧力は、通常、膜の平均孔径や界面活性剤の添加量等に依存するが、例えば、膜の平均孔径が0.08μmの場合、ガス圧力は2.5〜3.5MPaであることが好ましい。培養液の液流量は、作製する培養液の量により異なるが、培養液1Lの場合、0.5〜10L/分であることが好ましい。
本発明のタキサン類の生産方法において用いられる培養液には、微細気泡に含有させる植物ホルモン以外のその他の植物ホルモンが添加されていてもよい。培養液に添加される植物ホルモンとしては、例えば、オーキシン類、サイトカイニン類、ジベレリン類、アブジシン類、ブラシノステロイド類、ジャスモン酸、もしくはこれらの類似物質、エリシター類、および増殖促進活性を有する物質が挙げられる。
増殖促進活性を有する物質としては、例えば、ココナッツミルク、カゼイン分解物、酵母抽出物、ビタミン類、無機塩類、ペプチド性植物増殖因子等が挙げられる。
エリシターとは、生物学的由来または非生物由来の化合物であって、植物または植物細胞培養に適用されたときに、二次的中間代謝生産の増加を引き起こすものである。エリシターとしては、通常、(1)選ばれたグループの真菌、バクテリア、酵母からの細胞壁からの抽出物またはろ過物、並びにそれらの精製フラクションを含む生物エリシター類、(2)化学ストレス剤および生物由来の若干の化合物を含む非生物エリシター類を使用することができる。
具体的には、生物エリシター類のうち、微生物としては、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)、フィトフトラ・メガスペルマ(Phytophthora megasperma)、ピネラス・ストリプチクム(Pinellas stripticum)、オリゴスポラス sp.(Oligosporus sp.)、ピチウム・マミアラツム(Pythium mamiallatum)、ピチウム・シルバチクム(Pythium sylvaticum)、バーティシリウム・ダリアエ(Verticillium dahl iae)、バーティシリウム sp.(Verticillium sp.)、ペニシリウム ミニオルテウム(Penicillium minioluteum)、フィトフトラ・ラテラリス(Phytophthora lateralis)、シトスポラ・シンクタ(Cytospora cincta)、シトスポラ・リューコストーマ(Cytospora leucostoma)、アルターナリア・ブラッシシコラ(Alternaria brassicicola)、アルターナリア・ソラニ(Alternaria solani)、アルターナリア・ククメリナ(Alternaria cucumerina)、ボトリチス・スクアモサ(Botrytis squamosa)、コクリオポラス・ヘテロストロフス(Cochliobolus heterostrophus)、コレトトリクム・トリホリイ(Colletotrichum trifolii)、コレトトリクム・オルビキュラレ(Colletotrichum orbiculare)、コレトトリクム・グラミニコ−ラ(Colletotrichum graminicola)、コレトトリクム・グロエオスポリオイデス(Colletotrichum gloeosporioides)、シリンドロクラジウム・フロリダヌム(Cylindrocladium floridanum)、フザリウム・クロオクウェレンス(Fusarium crookwellense)、フザリウム・ヘテロスポリウム(Fusarium heterosporium)、フザリウム・オキシスポラム f.sp.コングルチナンス(Fusarium oxysporum f.sp.conglutinans)、フザリウム・オキシスポラム f.sp.リコペルシシ(Fusarium oxysporum f.sp.lycopersici)、フザリウム・オキシスポラム f.sp.ピジ(Fusarium oxysporum f.sp.pisi)、ギべレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)、ガエウマンノミセス・グラミニス バ−ル.トリチシ(Gaeumannomyces graminis var.tritici)、ジエオトリクム sp.(Geotrichum sp.)、レプトスファエリア・コラエ(Leptosphaeria Korrae)、ネクトリア・ハエマトコッカ MPVI(Nectria haematococca MPVI)、ミコスファエレラ・ピノデス(Mycosphaerelia pinodes)、オフィオストーマ・ウルミ(Ophiostoma ulmi)、ホーマ・リンガム(Phoma lingam)、ホーマ・ピノデラ(Phoma pinodella)、フィトフトーラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)、フィチウム・アリストスポルム(Pythium aristosporum)、フィチウム・グラミニコ−ラ(Pythium graminicola)、フィチウム・ウルチムム(Pythium ultimum)、リゾクトニア・ソラーニ(Rhizoctonia solani)、スクレロチニア sp.(Sclerotinia sp.)、S.ノドルムD−45(S.nodorum D−45)、トラメテス・ベルシコロール(Trametes versicolor)、ウスチラゴ・マイディス(Ustilago maydis)、およびベンテュリア・イネクワリス(Venturia inequalis)が挙げられる。生物エリシター類のうち、微生物フラクション又は生産物としては、キトサン(Chitosan)、リケナン(Lichenan)、グルコマンナン(Glucomannan)、プルラン(Pleuran)、グルカン(Glucan)、カルボキシメチルグルカン、ヒドロキシメチルグルカン、スルホエチルグルカン、マンナン(Mannan)、キシラン(Xylan)、マンノビオース(Mannobiose)、マンノトリオース(Mannotriose)、マンノペンタオース(Mannopentaose)、マンノテトラオース(Mannotetraose)、セルリシン(Cellulysin)、マルチフェクト XL(Multifect XL)、マルチフェクト CL(Multifect CL)、レジナーゼ(Resinase)、パルプキシム(Pulpxyme)、SP431、ペクチノール(Pectinol)、ラピダーゼ(Rapidase)、クレルザイム(Klerzyme)、およびキチナーゼ(Chi tinase)が挙げられる。非生物エリシター類としては、アラキドン酸、エライジン酸、サイクリックAMP(Cyclic AMP)、ジプチリル環状AMP(Dibutyryl Cyclic AMP)、メチルジャスモネート、シス−ジャスモン、ミコナゾ−ル(Miconazol)、フェルラ酸(Ferulic acid)、AMO−1618、トリトン X−100(Triton X−100)、安息香酸、サリチル酸、没食子酸プロピル、セサモール(Sesamol)、塩化クロロコリン(Chlorocholine chloride)、3,4−ジクロロフェノキシトリエチル(アミン)、クロロエチルホスホン酸、ジエチルジチオカルバミン酸、ノルジヒドログアセレト酸(Nordihydroguaiaretic acid)、ジチオトレイトール(Dithiothreitol)、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、β−アミノ−DL−フェニルアラニン、硫酸バナジル(Vanadyl sulfate)、ユニコナゾ−ル(Uniconazol)、バクロブトラゾ−ル(Paclobutrazol)、スペルミン(Spermine)、スペルミジン(Spermidine)、プトレシン(Putrescine)、カダバリン(Cadavarine)、硫酸プロタミン(Protamine Salfate)、SKP−7997、MER 29、アンシミド−ル(Ancymidol)、トリアジメフォン(Triadimefon)、フォスフォン D(Phosphon D)、チオ尿素(Thiourea)、硫酸デキストラン(Dextran Sulfate)、ハイドロキノン、グルタミン酸キトサン(Chitosan glutamate)、フェンプロペモルフ(Fenpropemorph)、プロクロラズ(Prochloraz)、ナプチフィン(Naptifine)、EDU、HTA、MPTA、グルタチオン、EGTA、ジベレリン類(Gibberellins)、アプシジン酸、1,3−ジフェニル尿素、ジアゾリジニル尿素(Diazolidinyl urea)、フロログルシノール(Phloroglucinol)、アルギン酸ナトリウム、およびカラギーナン(Carragenan)が挙げられる。
これら他の植物ホルモンは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、植物ホルモン等を含有する微細気泡を通気させる前の液体培地に添加してもよく、微細気泡を通気させた後の培養液に添加してもよい。
エリシター類は、溶存ガスと相互作用する場合があり、このため、培養液に通気させるガスの種類によっては、懸濁培地中にガスが留まっていることができず、このため、エチレンガス等の有効成分含有ガスを培養液に通気させたとしても、当該ガスによる効果を十分に発揮できないという問題があった。本発明においては、有効成分含有ガスを微細気泡として培養液中に存在させるため、ジャスモン酸等のエリシターが培養液中に存在したとしても、有効成分含有ガスによる十分な効果が得られる。
微細気泡に含有させる植物ホルモンとしてエチレンを用いる場合には、培養液にさらにエリシターとしてジャスモン酸またはその誘導体を添加することが好ましい。培養液中にエチレンガスを含有した微細気泡と、ジャスモン酸またはその誘導体が含まれている場合には、カルス細胞によるタキサン類の生産がより増大する。これは、エチレンとジャスモン酸またはその誘導体との組み合わせが、カルス細胞の代謝経路で代謝を繰り返し、細胞の二次代謝に影響を与えるためと考えられる。
ジャスモン酸またはその誘導体としては、下記一般式(1)〜(4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2012217441
[一般式(1)〜(4)中、Rは、アルキル基またはアルケニル基であり;Rは水素原子またはアルキル基であり;R3a、R3b、R3c、およびR3dは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、アルキル基、またはアルコキシ基であり;nは、1〜7の整数を表す。]
一般式(I)〜(4)中、Rはアルキル基またはアルケニル基である。アルキル基またはアルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
のアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基等が挙げられる。
のアルケニル基としては、炭素数2〜20のアルケニル基であることが好ましく、炭素数2〜6のアルケニル基であることがより好ましい。具体的には、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基等が挙げられる。
一般式(I)〜(4)中、Rは水素原子またはアルキル基である。Rのアルキル基としては、Rのアルキル基と同様のものが挙げられる。
一般式(I)〜(4)中、R3a、R3b、R3c、およびR3dは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、アルキル基、またはアルコキシ基である。
3a、R3b、R3c、およびR3dのアルキル基としては、Rのアルキル基と同様のものが挙げられる。
3a、R3b、R3c、およびR3dのアルコキシ基としては、炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜6のアルコキシ基であることがより好ましい。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、エトキシカルボニルプロポキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基等が挙げられる。
一般式(I)〜(4)中、nは1〜7の整数を表す。本発明においては、nは1〜3の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。
ジャスモン酸またはその誘導体は、塩として培養液に添加してもよい。塩としては、ジャスモン酸またはその誘導体の効果を損なわず、かつカルス細胞の培養に影響しないものであれば特に限定されず、無機塩であってもよく、有機塩であってもよい。例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、グルコサミン塩、トリエチルアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアミン塩等を挙げることができる。
本発明においては、培養液に添加するエリシターが、ジャスモン酸(上記一般式(1)において、Rが(Z)−2−ペンテニル基であり、nが1であり、Rが水素原子である化合物。)またはジャスモン酸アルキルエステル(上記一般式(1)において、Rが(Z)−2−ペンテニル基であり、nが1であり、Rがアルキル基である化合物。)であることが好ましく、ジャスモン酸または炭素数1〜6のアルキル基を有するジャスモン酸アルキルエステルであることがより好ましく、ジャスモン酸またはメチルジャスモン酸であることがさらに好ましい。
例えば、エチレンガス含有微細気泡とメチルジャスモン酸とを含む培養液は、液体培地に、エチレンガス含有微細気泡を通気し、フィルターろ過等により除菌し、メチルジャスモン酸を加えることにより、製造することができる。
本発明のタキサン類の生産方法において、植物ホルモン等を含有する微細気泡を含む培養液中でカルス細胞を懸濁培養する際の培養条件は、カルス細胞の種類に応じて適宜設定することができる。例えば、培養温度は10〜40℃であり、20〜37℃であることが好ましい。また、pHは、植物ホルモン等を含有する微細気泡を発生させる前の培養液のpHを予め調整しておいてもよく、植物ホルモン等を含有する微細気泡を発生させた後に培養液のpHを調整してもよい。溶存酸素濃度(DO)は、植物ホルモン等を含有する微細気泡を発生させる有効成分含有ガスに予め所定の濃度で酸素を含有させておいてもよく、培養液中に酸素を別途供給するようにしてもよい。
また、培養中の光照射量、攪拌、振とう等の条件についても、培養するカルス細胞の種類に応じて、適宜条件を選択でき、通常の植物材料やカルス細胞の培養と比べて、特別な条件を設定する必要はない。特に、本発明における培養液では、植物材料やカルス細胞の培養に通常採用される条件で攪拌または振とうを行った場合でも、植物ホルモン等を含有する微細気泡の安定性はほとんど低下しないため。植物ホルモンによる効果を安定して充分に得ることが可能である。
懸濁培養により、カルス細胞によってタキサン類が生産される。このため、懸濁培養後のカルス細胞からタキサン類を回収することができる。また、本発明のタキサン類の生産方法においては、タキサン類は細胞内に存在するだけでなく、培養液中にも分泌される。このため、タキサン類を連続的に生産することが可能である。さらに、培養液中への分泌量自体も、従来法よりも多い傾向がある。このため、懸濁培養後の培養液からも、分泌されたタキサン類を回収することができる。
懸濁培養後のカルス細胞または培養液からのタキサン類の回収は、通例の方法を用いることができる。
例えば、懸濁培養を行った培養液を遠心分離して、細胞からなる沈殿物と、培養濾液からなる上清とに分離する。
沈殿物は、凍結乾燥した後、微粉化し、有機溶媒を使って抽出を行う。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジクロロメタン、ベンゼン、クロロホルム、ジオキサン、アセトン等をあげることができる。これらは2種以上を併用してもよい。タキサン類が抽出された溶媒は、エバポレータを使用して溶媒を除去することにより、タキサン類を含む抽出物を得ることができる。これらの抽出物を少量のメタノールに溶解させ、その抽出物中のタキサン類を定量することができる。
一方、本発明のタキサン類の生産方法では、前述の通り、培養液中に大量にタキソールまたはタキサン類が分泌される。このため、遠心分離後の上清(培養液)からもタキサン類を回収することができる。例えば、上清は、前述した有機溶媒のいずれかを使って抽出を行う。特に、ジクロロメタンが好ましい。その後の抽出物を得るプロセスは、沈殿物の場合と同じプロセスで行うことができる。
回収されたタキサン類は、高速クロマトグラフィ(HPLC)法や、タキソール抗体を用いて抗原抗体反応を利用する方法により、定量することができる。さらに、定量結果から、乾燥細胞重量あたりのタキサン類の収量を見積もることもできる。
HPLC法では、タキサン類の標準品のピークと抽出物中に含まれるタキサン類のピークが、同じ保持期間に現れるか否かを調べることにより、生産されたタキサン類を同定し、定量することができる。
タキソール抗体を用いる方法としては、例えば、抗−タキソール・モノクローナル抗体および抗−タキソール・モノクローナル抗体を用いたELISA(Enzyme Linked Immuno Solvent Assay)法を用いることができる。
<カルス誘導方法>
本発明のカルス誘導方法は、植物材料からカルスを誘導する際の、植物材料の殺菌方法に関する。具体的には、本発明のカルス誘導方法は、植物細胞または植物組織片を、二酸化塩素溶液を用いて殺菌処理する表面殺菌工程と、前記表面殺菌工程後に、当該植物細胞または植物組織片をカルス誘導固体培地で培養し、カルス化を誘導することによりカルス細胞を形成する培養工程と、を有することを特徴とする。カルス誘導前の植物材料の殺菌処理を、二酸化塩素溶液を用いて行うことにより、次亜塩素酸を用いる従来法に比べて、より安定かつ確実にカルス細胞を得ることができる。
本発明のカルス誘導方法に供される植物材料は、一般的にカルス誘導に用いられるものであれば特に限定されるものではなく、樹皮、形成層、茎、枝、葉、種子、きゅう果、根を含む任意の組織から採取された植物細胞または植物組織片であればよい。また、当該植物材料は、いずれの植物種由来のものであってもよい。例えば、本発明のカルス誘導方法に供される植物材料としては、イチイ(Taxales)目、ハナシノブ目(Polemoniales)、アカネ目(Rubiales)、ムラサキ目(Boraginales)、キンポウゲ目(Ranunculales)、イチョウ目(Ginkgoales)、ウリ目(Cucurbitales)、ミズキ目(Cornales)、セリ目(Umbellales)、アカザ目(Chenopodiales)、ヒガンバナ目(Amaryllidales)、トウダイグサ目(Euphorbiales)またはユリ目(Liliales)に属する植物が挙げられる。イチイ目に属する植物の中では、イチイ科(Taxaceae)植物が好ましく、イチイ属植物がより好ましい。
ハナシノブ目に属する植物の中では、ナス科(Solanaceae)植物およびゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)植物が好ましい。ナス科植物の中では、ズボイシア・ミオポロイダス(Duboisia myoporoides)などを含むズボイシア(Duboisia)属植物、およびヒヨス(Hyoscyamus niger)などを含むヒヨスチアムス(Hyoscyamus)属植物がさらに好ましい。ゴマノハグサ科植物の中では、ジギタリス(Digitalis purpurea)、ケジギタリス(Digitalis lanata)などを含むジギタリス(Digitalis)属植物がさらに好ましい。
アカネ目に属する植物の中では、アカネ科(Rubiaceae)植物が好ましく、その中でもアカネ(Rubia akane)などを含むルビア(Rubia)属植物がさらに好ましい。ムラサキ目に属する植物の中では、ムラサキ科(Boraginaceae)植物が好ましく、その中でもムラサキ(Lithospermum erythrorhizon)などを含むリソスペルマム(Lithospermum)属植物がさらに好ましい。
キンポウゲ目に属する植物の中では、キンポウゲ科(Ranunculaceae)植物、メギ科(Berberidaceae)植物、およびツヅラフジ科(Menispermaceae)植物が好ましい。キンポウゲ科植物の中では、オウレン(Coptis japonica)などを含むコプチス(Coptis)属植物がさらに好ましい。メギ科植物の中では、メギ(Berberis thunbergii)などを含むベルベリス(Berberis)属植物、およびポドフィルム・ペルタツム(Podophyllum peltatum)などを含むポドフィルム(Podophyllum)属植物がさらに好ましい。ツヅラフジ科植物の中では、タマサキツヅラフジ(Stephania cepharantha)などを含むステファニア(Stephania)属植物がさらに好ましい。
イチョウ目に属する植物の中では、イチョウ(Ginkgo biloba)が好ましい。ウリ目に属する植物の中では、ウリ科(Cucurbitaceae) 植物が好ましく、その中でもヘチマ(Luffa cylindrica)などを含むルファ(Luffa)属植物、メロン(Cucumis melo)などを含むククミス(Cucumis)属植物、およびスイカ(Citrullus vulgaris)などを含むキトルルス(Citrullus)属植物がさらに好ましい。
ミズキ目に属する植物の中では、ニッサ科(Nyssaceae)植物が好ましく、その中でもキジュ(Camptotheca acuminata)などを含むカンプトテカ(Camptotheca)属植物がさらに好ましい。セリ目に属する植物の中では、ウコギ科(Araliaceae)植物が好ましく、その中でもオタネニンジン(Panax ginseng)などを含むパナクス(Panax)属植物がさらに好ましい。
アカザ目に属する植物の中では、ヤマゴボウ科(Phytolaccaceae)植物、およびアカザ科(Chenopodiaceae)植物が好ましい。ヤマゴボウ科植物の中では、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)などを含むフィトラッカ(Phytolacca)属植物がさらに好ましい。アカザ科植物の中では、ビート(Beta vulgaris)などを含むベータ(Beta)属植物がさらに好ましい。
ヒガンバナ目に属する植物の中では、ヤマノイモ科(Dioscoreaceae)植物が好ましく、その中でもジオスコリア・コンポジータ(Dioscorea composita)などを含むジオスコリア(Dioscorea)属植物、およびオニドコロ(Aspidistra elatior)などを含むアスピディストラ(Aspidistra)属植物がさらに好ましい。トウダイグサ目に属する植物の中では、トウダイグサ科(Euphorbiaceae) 植物が好ましく、その中でもハナキリン(Euhprbia millii)などを含むユーフォルビア(Euphorbia)属植物がさらに好ましい。
ユリ目に属する植物の中ではユリ科(liliaceae)植物が好ましく、その中でもイヌサフラン(Colchicum antumnale)などを含むコルキカム(Colchicum)属植物がさらに好ましい。
上記植物の中でも、イチイ属植物、ズボイシア属植物、ルビア属植物、リソスペルマム属植物、コプチス属植物、イチョウ、ベルベリス属植物、ポドフィルム属植物、ステファニア属植物、ルファ属植物、ククミス属植物、キトルルス属植物、カンプトテカ属植物、パナクス属植物、フィトラッカ属植物、ベータ属植物、およびコルキカム属植物がよりさらに好ましい。
本発明のカルス誘導方法に供される植物材料としては、特にイチイ属植物の植物材料であることが好ましい。イチイ属植物は、次亜塩素酸による影響を受けやすく、このため、次亜塩素酸により殺菌処理がなされた植物材料は、カルス誘導が不安定であり、確実性に乏しい。これに対して、二酸化塩素溶液を用いて殺菌処理を行うことにより、イチイ属植物の植物材料に対する誘導効率が安定し、一度の処理で確実にカルス細胞が形成できる。
二酸化塩素溶液を用いた殺菌処理は、二酸化塩素溶液に植物材料を浸漬させることにより行われる。二酸化塩素溶液中の二酸化塩素の濃度や浸漬時間は、植物材料の種類に応じて適宜調整することができる。例えば、イチイ属植物の植物材料の場合には、10〜1000ppmの二酸化塩素溶液に10〜80分間浸漬させることが好ましく、30〜100ppmの二酸化塩素溶液に20〜40分間浸漬させることがより好ましい。殺菌力の高い二酸化塩素溶液を低濃度で使用するため、確実にカルス誘導を実現できる。
表面殺菌工程では、二酸化塩素溶液による処理と二酸化塩素溶液以外の消毒剤や殺菌剤とを併用することもできる。例えば、二酸化塩素溶液に、界面活性剤、エタノール溶液、次亜塩素酸ナトリウム溶液等を適宜組み合わせて、消毒または表面殺菌することができる。次亜塩素酸ナトリウム溶液のみを用いる場合よりも、二酸化塩素溶液を組み合わせることにより、よりカルス誘導の効率を改善することができる。また、各処理を終了するごとに、滅菌水により洗浄することも好ましい。
本発明においては、中でも、界面活性剤と、エタノール溶液と、二酸化塩素溶液とを組み合わせて消毒または表面殺菌することが好ましい。これらの処理はそれぞれ別個に行い、各処理が終了するごとに滅菌水により洗浄する。
本発明のカルス誘導方法では、表面殺菌工程後、培養工程として、表面殺菌処理後の植物材料をカルス誘導固体培地で培養し、カルス化を誘導することによりカルス細胞を形成する。当該培養工程は、植物材料の種類等を考慮し、公知のいずれのカルス誘導方法により行ってもよい。
本発明のカルス誘導方法により形成されたカルスおよびカルス細胞は、その他のカルス誘導方法により得られたカルス等と同様に、有用物質を生産させることや、再分化させることができる。
以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。なお、本実施例においては特に明記しない限り「%」は「質量%」を意味する。
<エチレン含有気泡の安定性>
エチレン含有気泡を含む培養液を製造し、該培養液中におけるエチレン含有気泡の安定性を評価した。
[製造例1]
培養液製造装置は、気泡発生部として、多孔質ガラス膜(平均孔径0.08μm、SPGテクノ社製)を用いた膜透過方式を採用した気泡発生部を有する図1の培養液製造装置3(以下、「製造装置3A」という。)を用いた。
また、通気前の培養液は、GamborgB5培地に界面活性剤としてTween80(和光純薬工業社製)を0.02%添加した培養液(a1)を用い、液温は25℃に設定した。
製造装置3Aにおいて、気泡発生部内部に培養液(a1)を循環(液流量1.3L/分)させ、該気泡発生部において培養液(a1)中に、窒素で希釈したエチレン濃度5.0体積%のエチレン含有ガスを3.5MPaの圧力で多孔質ガラス膜を介して10分間通気し、エチレン含有気泡を含む培養液(A1)を製造した。
培養液(A1)の作成直後に培養液(A1)中に残存するエチレン含有気泡の平均気泡径および気泡数をMultisizer3(検出限界0.4μm、ベックマンコールター社製)で測定したところ、平均気泡径は1.0μm、気泡数(測定気泡径:0.4〜2μm)は培養液(A1)1mLあたり約57,000個であった。
[比較製造例1]
製造例1の前記培養液(a1)に、窒素で希釈したエチレン濃度5.0体積%のエチレン含有ガスを、内径5mmのチューブ管を用いて10分間通気して培養液(B1)を製造した。
培養液(B1)の作成直後に培養液(B1)中に残存するエチレン含有気泡の平均気泡径および気泡数をMultisizer3(ベックマンコールター製)で測定したところ、平均気泡径は約51μm、培養液(B1)1mLあたりの気泡数(測定気泡径:2〜80μm)は、約300個であった。通気時に生成する気泡径が数mm〜数cmの気泡は、すぐに浮上して気相中に放散されてしまい、測定できなかった。
[評価方法]
製造例1および比較製造例1で得られたエチレン含有気泡を含む培養液(A1)、(B1)について、1時間、3時間、24時間、および72時間静置したときの、培養液(A1)、(B1)がそれぞれ含有するエチレン濃度をガスクロマトグラフィー(GC−18A、島津製作所製、カラム:Porapack Q(Mesh60/80)、測定温度75℃)により測定した。その結果を図3に示す。
図3に示すように、製造例1の培養液(A1)では、72時間経過後においてもエチレン濃度が5mg/kgに維持されており、エチレンを含有する微細気泡を用いることで培養液(A1)中にエチレンが長時間保持された。
一方、比較製造例1の培養液(B1)は、24時間後にはすでにエチレン濃度がほぼ0mg/Lとなっており、72時間後には培養液(B1)中のエチレン含有気泡が全て空気中に放散していた。
<カルス細胞の誘導>
[実施例1]
イチイ(タキサス・カスピダータ)の種子を植物材料とし、カルス誘導を行った。イチイの種子は、筑波大学実験植物園、森林総合研究所林木育種センターなどから入手し、使用するまで4℃で保存した。
最初に、種子と各薬品との接触を向上させる目的で、種子を、界面活性剤としてTween80(和光純薬工業社製)を0.2%添加した溶液に、10分間浸漬させた。次いで、当該種子を、70%エタノール(和光純薬工業製)水溶液に5分間浸漬して消毒した。さらに、当該種子を、50ppm二酸化塩素溶液に30分間浸漬して殺菌を行った。その後、当該種子を滅菌水に3分間浸漬することを3回繰り返し、すすぎを行った。
そして、当該種子を取り出し、半分に切断した中身を固体培地50mlあたり3〜5個、固体培地上に置き、25℃の明所で静置培養を行った。培地の観察は毎日実施し、カビや微生物等による汚染の有無を観察した。1〜2週間後には、種子表面にカルス形成が認められ、1〜2ケ月後には、半分に切断した種子の2〜5倍量のカルスが形成された。
なお、固体培地の組成は、WP培地に、ゲランガム(和光純薬工業製)を0.2%添加した水溶液、ナフタレン酢酸を2mg/l、グルコースを20g/l、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸を0.5mg/lを添加したものとした。
また滅菌水は、蒸留水を121℃で20分間、オートクレーブ滅菌したものを用いた。
[実施例2]
実施例1と同じ種子を植物材料として使用し、カルス誘導を行った。
最初に、種子と各薬品との接触を向上させる目的で、種子を、界面活性剤としてTween80(和光純薬工業社製)を0.2%添加した溶液に、10分間浸漬させた。次いで、当該種子を、70%エタノール(和光純薬工業製)水溶液に5分間浸漬して消毒した。さらに、当該種子を、5ppm二酸化塩素溶液に1時間浸漬して殺菌を行った。その後、当該種子を滅菌水に3分間浸漬することを3回繰り返し、すすぎを行った。
そして、当該種子を取り出し、半分に切断し中身を固体培地50mlあたり3〜5個、固体培地に置き、25℃の明所で静置培養を行った。培地の観察は毎日実施し、カビや微生物等による汚染の有無を観察した。この結果、幾つかの種子から、カルスが形成された。
[比較例1]
実施例1と同じ種子を植物材料として使用し、カルス誘導を行った。
最初に、種子と各薬品との接触を向上させる目的で、種子を、界面活性剤としてTween80(和光純薬工業社製)を0.2%添加した溶液に、10分間浸漬させた。次いで、当該種子を、70%エタノール(和光純薬工業製)水溶液に5分間浸漬して消毒した。さらに、当該種子を、1.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液に1時間浸漬して殺菌を行った。その後、当該種子を滅菌水に3分間浸漬することを3回繰り返し、すすぎを行った。
そして、当該種子を取り出し、半分に切断し中身を固体培地50mlあたり3〜5個、固体培地に置き、25℃の明所で静置培養を行った。培地の観察は毎日実施し、カビや微生物等による汚染の有無を観察した。この結果、1週間経過してもカルスは形成されなかった。殺菌時に種子にダメージを与えたものと考えられた。
[比較例2]
実施例1と同じ種子を植物材料として使用し、カルス誘導を行った。
最初に、種子と各薬品との接触を向上させる目的で、種子を、界面活性剤としてTween80(和光純薬工業社製)を0.2%添加した溶液に、10分間浸漬させた。次いで、当該種子を、70%エタノール(和光純薬工業製)水溶液に5分間浸漬して消毒した。さらに、当該種子を、1.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液に20分間浸漬して殺菌を行った。その後、当該種子を滅菌水に3分間浸漬することを3回繰り返した後、さらに滅菌水に12時間浸漬し、すすぎを行った。さらに、当該種子を、1.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液に10分間浸漬して2回目の殺菌を行った。その後、当該種子を滅菌水に3分間浸漬することを3回繰り返し、すすぎを行った。
そして、当該種子を取り出し、半分に切断し中身を固体培地50mlあたり3〜5個、固体培地に置き、25℃の明所で静置培養を行った。培地の観察は毎日実施し、カビや微生物等による汚染の有無を観察した。この結果、1週間後、種子のほぼ全面にカビの発生が見られ、カルスの形成は確認できず、十分な殺菌ができていなかったことが確認された。
<タキサン類の生産>
[実施例3]
実施例1で得られたカルス細胞を用いて、懸濁培養を行い、タキサン類の生産を行った。
(培養)
培養液は、WP培地に界面活性剤としてTween80(和光純薬工業社製)を0.02%添加した培養液(a2)を用い、液温は25℃に設定した。製造装置3Aにおいて、気泡発生部内部に培養液(a2)を循環(液流量1.3L/分)させ、該気泡発生部において培養液(a2)中に、窒素で希釈したエチレン濃度5.0体積%のエチレン含有ガスを3.5MPaの圧力で多孔質ガラス膜を介して10分間通気し、エチレン含有気泡を含む培養液(A2)を製造した。これをさらに、孔径0.8μmのフィルター(アドバンテック社製)で濾過して除菌を行った。この培養液25mlを含む100ml容の三角フラスコに、実施例1で得たカルスを湿重量(fresh weight)2g投入した後、エリシターとしてメチルジャスモン酸(和光純薬工業製)を培養液中の濃度が100μMになるように添加し、25℃、110rpm、暗黒下で回転振とう培養を行った。その後7日間培養を行い、下記の方法でタキサン類を抽出した。
(抽出)
抽出方法は、まず培養液を遠心分離(遠心効果800G、15分間)して、沈殿物(細胞)と上清(培養瀘液)とに分離した。沈殿物は凍結乾燥した後、凍結乾燥物の全重量を測定した(全細胞量)。その後、微粉化し、150mgを100mlメタノールを溶媒として20℃、24時間でタキサン類の抽出を行った。そして、当該溶媒を遠心分離(1700G、10分間)して、上清のみを回収して残査を除去した。当該上清をエバボレートした後、ジクロロメタン(CHCl、和光純薬工業製)20mlと水20mlを1:1で分液ロートを用いて分配し、ジクロロメタン画分を回収し、さらにエバボレートした後、メタノール(和光純薬工業製)1mlに再懸濁し、分析用サンプルとした。
一方、初期の遠心分離で得られた上清(培養瀘液)は、上清15mlに対してジクロロメタン(和光純薬工業製)15mlを加え、分液ロートを用いて30秒間、激しく攪拌した後、分配し、ジクロロメタン画分を回収し、エバボレートした後、メタノール(和光純薬工業製)1mlに再懸濁し、分析用サンプルとした。
(評価)
得られた分析用サンプルは、HPLCにより、標準タキソールとの比較と、タキソールイムノアッセイキット(Cardax Pharmaceuticals, Inc., Hawaii)とを用いて定量を行った。
HPLCでは、カラム(東ソー製、TSK−gel ODS−80Ts:Φ4.6x250 mm)に、流速1ml/分で、分析用サンプルと標準タキサン類(和光純薬工業製)をそれぞれ流して比較した。双方とも、ピークの検出波長220nmが同一の保持時間(40分)で出現することが示され、これらの化合物が同じであることが示唆された。
タキソールイムノアッセイキットによる定量は、商品の取扱説明書に記載の手順に従って、分析用サンプルと標準タキソールとを処理した。そして、標準タキソールと吸光度との検量線を導き、分析用サンプル中の吸光度からタキサン類の量を見積もった。その結果、沈殿物からは乾燥細胞1gあたり0.13mg、上清からは乾燥細胞1gあたり2.78mg、合計で乾燥細胞1gあたり2.9mgのタキサン類が得られた。特に、上清が95%を占めており、タキサン類が細胞外へ効率よく分泌されており、連続的に生産できる可能性があることが示唆された。
[実施例4]
実施例1で得られたカルス細胞を用いて、懸濁培養を行い、タキサン類の生産を行った。
(培養・抽出)
実施例3で製造されたエチレン含有気泡を含む培養液(A2)に対して、さらに、孔径0.8μmのフィルター(アドバンテック社製)で濾過して除菌を行った。この培養液25mlを含む100ml容の三角フラスコに、実施例1で得たカルスを湿重量(fresh weight)2g投入し、25℃、110rpm、暗黒下で回転振とう培養を行った。その後10日間培養を行い、実施例3と同様の方法でタキサン類を抽出した。
(評価)
得られた分析用サンプルに対して、実施例3と同様にして、HPLCにより、標準タキソールとの比較と、およびタキソールイムノアッセイキットとを用いた定量を行った。
この結果、HPLCでは、実施例1と同様に、分析用サンプルと標準タキサン類のピークの検出波長220nmが、同一の保持時間(40分)で出現することが示された。
また、タキソールイムノアッセイキットによる定量の結果、沈殿物からは乾燥細胞1gあたり0.64mg、上清からは乾燥細胞1gあたり1.44mg、合計で乾燥細胞1gあたり2.08mgのタキサン類が得られた。全生産量のうち、上清中のタキサン類が占める割合は69%であった。
実験例3と実験例4の結果を比較すると、メチルジャスモン酸が含まれている培養液中で懸濁培養した実施例3のほうが、メチルジャスモン酸が含まれていない培養液中で懸濁培養した実験例4よりも、乾燥細胞重量あたりのタキサン類の生産量が多く、また、培養液へ分泌されるタキサン類の割合も多いことがわかった。
[比較例3]
実施例1で得られたカルス細胞中のタキサン類を定量した。
具体的には、実施例1で得たカルスの湿重量(fresh weight)2gを凍結乾燥した後、凍結乾燥物の全重量を測定した(全細胞量)。当該凍結乾燥物から、実施例1と同様にして、タキサン類を抽出し、分析用サンプルを調製した。
(評価)
得られた分析用サンプルに対して、実施例3と同様にして、HPLCにより、標準タキソールとの比較と、およびタキソールイムノアッセイキットとを用いた定量を行った。
この結果、HPLCでは、実施例1と同様に、分析用サンプルと標準タキサン類のピークの検出波長220nmが、同一の保持時間(40分)で出現することが示された。
また、タキソールイムノアッセイキットによる定量の結果、沈殿物からは乾燥細胞1gあたり0mg、上清からは乾燥細胞1gあたり0.3mg、合計で乾燥細胞1gあたり0.3mgのタキサン類が得られた。
[比較例4]
実施例1で得られたカルス細胞を用いて、懸濁培養を行い、タキサン類の生産を行った。
(培養)
培養液は、WP培地に界面活性剤としてTween80(和光純薬工業社製)を0.02%添加した培養液(a2)を用い、液温は25℃に設定した。この培養液25mlを含む100ml容の三角フラスコに、実施例1で得たカルスを湿重量(fresh weight)2g投入し、その後7日間培養を行い、実施例3と同様の方法でタキサン類を抽出した。
(評価)
得られた分析用サンプルに対して、実施例3と同様にして、HPLCにより、標準タキソールとの比較と、およびタキソールイムノアッセイキットとを用いた定量を行った。
この結果、HPLCでは、実施例1と同様に、分析用サンプルと標準タキサン類のピークの検出波長220nmが、同一の保持時間(40分)で出現することが示された。
また、タキソールイムノアッセイキットによる定量の結果、沈殿物からは乾燥細胞1gあたり0mg、上清からは乾燥細胞1gあたり0.3mg、合計で乾燥細胞1gあたり0.3mgのタキサン類が得られた。
比較例3の結果と比較して明らかなように、比較例4では、懸濁培養によりカルス細胞が生産するタキサン類はほとんど増大していなかった。
[比較例5]
実施例1で得られたカルス細胞を用いて、懸濁培養を行い、タキサン類の生産を行った。
(培養)
培養液は、WP培地に界面活性剤としてTween80(和光純薬工業社製)を0.02%添加した培養液(a2)を用い、液温は25℃に設定した。この培養液25mlを含む100ml容の三角フラスコに、実施例1で得たカルスを湿重量(fresh weight)2g投入し、その後10日間培養を行い、実施例3と同様の方法でタキサン類を抽出した。
(評価)
得られた分析用サンプルに対して、実施例3と同様にして、HPLCにより、標準タキソールとの比較と、およびタキソールイムノアッセイキットとを用いた定量を行った。
この結果、HPLCでは、実施例1と同様に、分析用サンプルと標準タキサン類のピークの検出波長220nmが、同一の保持時間(40分)で出現することが示された。
また、タキソールイムノアッセイキットによる定量の結果、沈殿物からは乾燥細胞1gあたり0.5mg、上清からは乾燥細胞1gあたり1.0mg、合計で乾燥細胞1gあたり1.5mgのタキサン類しか得られなかった。
実施例4、比較例3、および比較例4の結果と比較して明らかなように、懸濁培養時間がより長かった比較例5では、比較例4よりも懸濁培養によりカルス細胞が生産するタキサン類は増えていたものの、同じ培養時間であった実施例4と比べて明らかに少なかった。
本発明のタキサン類の生産方法により、従来になく大量のタキサン類を生産することができるため、当該方法は、タキサン類を有効成分とする医薬品の製造分野等で特に有用である。
また、本発明のカルス誘導方法により、効率よくカルス細胞を形成することができるため、当該方法は、カルス細胞を利用する多くの分野において有用である。
3 培養液製造装置、11 培養液貯留部、12 有効成分含有ガス貯留部、13 有効成分含有気泡発生部、14 培養液供給部、15 ポンプ、16 気泡発生ノズル、21、22、27、28 配管

Claims (11)

  1. イチイ(Taxus)属植物の植物細胞または植物組織片から形成されたカルス細胞を、植物ホルモン、水素ガス、および一酸化窒素ガスからなる群より選択される1種以上のガスを含有する微細気泡を含む培養液中で懸濁培養し、培養後のカルス細胞または培養液からタキサン類を回収することを特徴とする、タキサン類の生産方法。
  2. 前記微細気泡の平均気泡径が10μm以下である、請求項1に記載のタキサン類の生産方法。
  3. 前記微細気泡の気泡数が、培養液1mLあたり1,000個以上である、請求項1または2に記載のタキサン類の生産方法。
  4. 前記微細気泡がエチレンを含有するガスを含む微細気泡である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタキサン類の生産方法。
  5. 前記培養液が、さらにエリシターを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のタキサン類の生産方法。
  6. 前記エリシターが、ジャスモン酸またはその誘導体である、請求項5に記載のタキサン類の生産方法。
  7. カルス細胞から分泌されたタキサン類を、培養後の培養液から回収する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のタキサン類の生産方法。
  8. 回収されるタキサン類がタキソールである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のタキサン類の生産方法。
  9. 前記カルス細胞が、イチイ属植物の植物細胞または植物組織片を、二酸化塩素溶液を用いて殺菌処理した後に、カルス化が誘導されて形成された、請求項1〜8のいずれか一項に記載のタキサン類の生産方法。
  10. 植物細胞または植物組織片を、二酸化塩素溶液を用いて殺菌処理する表面殺菌工程と、
    前記表面殺菌工程後に、当該植物細胞または植物組織片をカルス誘導固体培地で培養し、カルス化を誘導することによりカルス細胞を形成する培養工程と、
    を有することを特徴とするカルス誘導方法。
  11. 前記植物細胞または植物組織片が、イチイ属植物の植物細胞または植物組織片である、請求項10に記載のカルス誘導方法。
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