JP2012216324A - 有機el素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウェットコーティング法によって、有機EL素子の有機発光媒体層の少なくとも1つの層を形成するとき、形成される薄膜の平坦性が悪化することによって、有機EL素子の発光のムラが発生したり、その寿命が低下するといった問題がある。
【解決手段】有機EL素子は、基板上に、画素電極と、この画素電極の上に積層された複数の層からなる有機発光媒体層と、この画素電極を区画するための絶縁性を有する隔壁とを備え、有機発光媒体層を構成する少なくとも一つの層はウェットコーティング法によって形成される。この際、隔壁は、少なくとも、基板に近い方に形成された第1隔壁部と、この第1隔壁部の上に形成された第2隔壁部とを備え、第1隔壁部の側壁面と画素電極の表面の成す角度は90度以上であり、且つ、第2隔壁部の側壁面と画素電極の表面の成す角度は90度以下とする。
【選択図】図6

Description

本発明は、有機EL表示装置の技術に関し、特に有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)、及びその製造方法に関する。
有機EL表示装置において、有機EL素子を構成する導電性の有機発光媒体層に電圧が印加されることにより、有機発光媒体層中の有機発光層において注入された電子と正孔が再結合する。有機発光層中の有機発光分子は、再結合エネルギーによりいったん励起状態となり、その後、励起状態から基底状態に戻る。この際に放出されるエネルギーが光として取り出されることにより有機EL素子は発光する。有機発光媒体層に電圧を印加するために上記有機発光媒体層の両側には画素電極と対向電極が設けられており、有機発光層からの光を外部へ取り出すために少なくとも一方の電極は透光性を有する。このような有機EL表示装置の構造の一例としては、透光性基板上に、透光性の画素電極、有機発光媒体層、対向電極を順次積層したものが挙げられる。ここで、基板上に形成される画素電極を陽極とし、有機発光媒体層上に形成される対向電極を陰極として利用する態様が挙げられる。
さらに発光効率を増大させる等の目的から、有機EL素子として、陽極と有機発光層との間に設けられる正孔輸送層、正孔注入層に加え、有機発光層と陰極との間に電子輸送層、電子注入層が適宜選択して設けられることが多い。これら正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層は、キャリア輸送層と呼ばれている。これらキャリア輸送層と有機発光層、さらには正孔ブロック層や電子ブロック層等を合わせて有機発光媒体層と呼ぶ。
有機EL素子は、有機発光層に用いられる有機発光材料に応じて、低分子有機発光材料を用いた有機EL素子(以下、低分子有機EL素子と称する)と、高分子有機発光材料を用いた有機EL素子(以下、高分子有機EL素子と称する)とに大別される。
低分子有機EL素子を形成する方法においては、一般的に真空蒸着法等のドライコーティング法を用いて有機発光媒体層を構成する各層(機能層)の薄膜が形成される。このような低分子有機EL素子を形成する方法において、正孔輸送層又は有機発光層のパターニングが必要である場合は、メタルマスク等を用いて、マスクの開口部に応じたパターンを有する層が形成される。しかしながら、このようなパターニング方法においては、基板の面積が増加するほど、所望のパターニング精度を得ることが難しいという問題がある。
高分子有機EL素子を形成する方法においては、各機能層を構成する材料を溶剤に溶かし塗工液とし、ウェットコーティング法を用いてこの塗工液を基板上に塗布し各機能層の薄膜を形成する方法が試みられている。薄膜を形成するためのウェットコーティング法としては、スピンコート法、バーコート法、突出コート法、ディップコート法等が知られている。しかしながら、これらのウェットコーティング法を用いる場合においては、高精細に薄膜をパターニングしたり、R、G、Bからなる3色を別々に塗布して薄膜を形成したりすることが難しい。そのため、高分子有機EL素子を形成する方法においては、複数の材料を別々に塗布しながらパターニングすることが可能な印刷法やインクジェット法を用いて薄膜を形成することが最も有効であると考えられる。
有機EL表示装置は、縦横に並べられている多数の画素によって、画像を表示する。そのため、有機EL表示装置を作成する場合には発光材料や正孔注入材料などを画素電極上に選択的に配し、各画素ごとに独立した有機EL素子を形成する必要がある。その際、材料を各画素に均一に配し、均一に発光させる為、予め各画素を区画する隔壁を設ける手法が一般的に用いられている。
しかしながら、各機能層を前述したウェットコーティング法を用いて形成した場合は、塗工液が隔壁表面に濡れあがり、画素中央部に対して隔壁近傍の膜厚が極端に厚くなる(後述する図5(A)参照)現象が生じ、又は塗工液が隔壁表面からはじかれ画素中央部が隔壁近傍の膜厚に対して極端に厚くなる(後述する図5(B)参照)現象が生じ、画素内に形成される薄膜の平坦性を悪化させるという問題がある。平坦性が悪化することにより、画素内に形成される薄膜の膜厚が薄い箇所に電流が集中し、膜厚の薄い箇所のみ強く発光し膜厚の厚い箇所は発光しないといった発光ムラの発生や、膜厚の薄い箇所のみに負荷がかかるため劣化が不均一となり、寿命が低下するといった問題が生じる。
これに対し、例えば、特許文献1には、隔壁に溌液性部と親液性部を作製し塗工液の濡れ上がりやはじきを抑制する方法が開示されている。また、隔壁構造の形状を工夫することで有機膜の膜厚分布等を改善する手法も検討されている。例えば、特許文献2には、隔壁構造をT字型構造にすることが開示されており、特許文献3には、隔壁構造を逆テーパー構造にすることが開示されており、特許文献4には、隔壁構造を二段隔壁構造にすることが開示されている。
特開2005−326799号公報 特開2007−220656号公報 特開2007−95630号公報 特開2006−286309号公報
しかし、特許文献1に記載の方法では、材料の種類や濃度によって条件が大きく変わるため、制御が困難という問題があった。また、特許文献2や特許文献3に記載の隔壁構造では、画素電極側に隔壁構造が飛び出しており、発光領域を低減させてしまうという問題があった。また、特許文献4に記載の二段隔壁構造では、第一隔壁部分近傍における膜厚は厚くなってしまうため、充分な平坦性を得られないという問題があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主たる目的は、画素を区画する隔壁の形状を工夫することで、発光領域を最大に維持したまま、画素内に形成される薄膜の膜厚分布を改善することができる有機EL素子及びその製造方法を提供することである。
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の構成を採用した。
本発明に係る有機EL素子は、基板上に、画素電極と、当該画素電極の上に積層された複数の層からなる有機発光媒体層と、当該画素電極を区画するための絶縁性を有する隔壁と、当該有機発光媒体層及び当該隔壁の上に積層された対向電極とを備え、有機発光媒体層を構成する少なくとも一つの層はウェットコーティング法によって形成される有機EL素子であって、隔壁は、少なくとも、基板に近い方に形成された第1隔壁部と、当該第1隔壁部の上に形成された第2隔壁部とを備え、第1隔壁部の側壁面と画素電極の表面の成す角度は90度以上であり、且つ、第2隔壁部の側壁面と画素電極の表面の成す角度は90度以下であることを特徴とする。
また、第1隔壁部及び第2隔壁部は、それぞれ無機絶縁材料で形成されていてもよい。
また、第1隔壁部及び第2隔壁部は、それぞれ同一の無機絶縁材料で形成されていてもよい。
また、基板は、画素電極に接続されるように形成された薄膜トランジスタを備え、第1隔壁部は、薄膜トランジスタの保護絶縁層によって形成されていてもよい。
また、第1隔壁部の高さは50〜400nmであってもよい。
また、第2隔壁部の高さは50〜600nmであってもよい。
また、隔壁部は、さらに、第2隔壁部の上に形成された有機絶縁材料からなる第3隔壁部を備えてもよい。
また、第3隔壁部の高さは500〜3000nmであってもよい。
また、ウェットコーティング法によって形成された有機発光媒体層を構成する少なくとも一つの層の一部は、第1隔壁部と第2隔壁部の壁面により構成される凹凸構造に入り込んでもよい。
以上では、有機EL素子として本発明を構成する場合について記載した。しかし、本発明は、有機EL素子の製造方法として構成されてもよい。
上記した構成によれば、隔壁として、少なくとも第1隔壁部及び第1隔壁部上の第2隔壁部を有し、第1隔壁部は、その壁面と画素電極の表面の成す角度が90度以上の角度になるように設けられ、第1隔壁部上の第2隔壁部は、その壁面と画素電極の表面の成す角度が90度以下の角度になるように設けられる。このことにより、第1隔壁部と第2隔壁部の壁面により画素電極の表面と垂直方向に凹部(以下、隔壁凹部と称する)が形成される。この結果、画素内にウェットコーティング法を用いて形成した発光媒体層の画素内膜厚分布を改善することが可能になる。0026具体的には、隔壁の壁面が画素に対して隔壁凹部を有することにより、画素内にウェットコーティング法を用いて塗布した発光媒体材料が隔壁凹部に入り込み、隔壁近傍の膜厚が低下し、画素内の膜厚分布が改善される。したがって、画素内に形成された薄膜の平坦性が向上し、画素内の有効発光領域は増加し、また、局所的な発光材料への負荷が低減されることにより、高輝度化、低電圧化、長寿命化が可能となる。
また、基板表面から隔壁凹部までの距離や、凹部の大きさにより膜厚分布は変化する。そこで、特に、第1隔壁部の膜厚を、有機発光媒体層の総膜厚に対し同程度に設けることによって、より画素内の膜厚分布の向上が可能となる。
以上より、本発明によれば、画素を区画する隔壁の形状を工夫することで、発光領域を最大に維持したまま、画素内に形成される薄膜の膜厚分布を改善することができる有機EL素子及びその製造方法を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態である有機EL素子を用いた有機EL表示装置の断面模式図 本発明の一実施形態である有機EL素子を用いた有機EL表示装置の断面模式図 本発明の一実施形態である有機EL素子を用いたパッシブ型有機EL表示装置の電極構成を示す平面模式図 本発明の一実施形態である有機EL素子の積層構造を示す断面模式図 従来の有機EL表示装置の一例を示した断面模式図 本発明の一実施形態である有機EL素子を用いた有機EL表示装置の断面模式図 本発明の一実施形態である有機EL素子を用いた有機EL表示装置の断面模式図 本発明の一実施形態である有機EL素子の製造に用いられる凸版印刷装置の一例を示す概略図
以下、本発明の一実施形態である有機EL素子について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、このような有機EL素子を製造する製造方法であってもよい。また、以下の実施形態の説明において参照する図面で図示される各部の大きさや厚さ、寸法の比率等は、単なる一例に過ぎず、本発明の範囲を逸脱しなければ他の値であっても、本発明を実現できることは言うまでもない。
(有機EL表示装置)
まず、本実施形態に係る有機EL素子を用いた有機EL表示装置について説明する。図1は、本発明の実施形態を説明するための有機EL素子を用いた有機EL表示装置の断面図である。
本実施形態に係る有機EL素子を用いた有機EL表示装置100には、基板101と、正孔輸送層104とインターレイヤ105と有機発光層106を含む有機発光媒体層108を挟んで、画素電極102と、対向電極107とが対向配置して設けられている。また、第1隔壁部103aと第2隔壁部103bと第3隔壁部103cを含む隔壁103が、基板101上に設けられている。すなわち、有機EL表示装置100には、図1に示すように、基板101の上に、画素毎に具備された画素電極(陽極)102と、画素電極102の画素間を区画する第1隔壁103aと、第1隔壁上に形成される第2隔壁103bと、第2隔壁部103b上に形成される第3隔壁部103cと、画素電極102の上に形成される正孔輸送層104と、この正孔輸送層104の上に形成されるインターレイヤ105と、インターレイヤ105の上に形成される有機発光層106と、有機発光層106上の全面を被覆するように形成される対向電極(陰極)107とが設けられている。また、上記画素電極102、隔壁103、有機発光媒体層108、及び対向電極107を覆うようにして形成される封止体109が設けられている。なお、図6は図1の1画素分を拡大したものである。
また、基板101としては、アクティブマトリクス方式の有機EL表示装置として、各画素を制御するためのスイッチング素子(薄膜トランジスタ:TFT)が画素電極に接続されるよう形成されたTFT基板を用いることできるが、TFTや画素電極との接続部は特に図示していない。なお、図3に示すように、ストライプ状の画素電極と、対向電極を交差させて所定の画素を点灯させるパッシブマトリクス方式の有機EL表示装置としても良い。本実施形態においてはどちらの方式を用いても良いが、アクティブマトリクス方式を用いた場合は第1隔壁部103aとしてTFTを保護するための保護絶縁層を用いることができる。以下、画素電極102及び対向電極107で有機発光媒体層108が挟持されてなる領域を発光領域あるいは有機EL素子と呼び、隔壁103を含む有機EL素子のアレイ全体を表示領域と呼ぶ。
ここで有機発光媒体層108は、画素電極(陽極)102と対向電極(陰極)107との間に配置された層である。図1の有機EL表示装置における有機EL素子では、正孔輸送層104とインターレイヤ105と有機発光層106が、有機発光媒体層108に相当する。これ以外にも、有機発光媒体層108として、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層等の層を適宜加えても良い。
有機発光媒体層108の膜厚は、発光層単層から構成される場合も、多層構造の場合も、発光媒体層全体として1000nm以下であり、好ましくは50〜300nmである。
図1及び図2の有機EL表示装置の構成では、パターニングされた電極ごとに有機発光層106が、赤(R)、緑(G)、青(B)の発光波長に対応するようにそれぞれパターニングされた有機発光層106R,106G,106Bとして形成されていることで、フルカラーのディスプレイパネルが実現される。これ以外の方式として、青色発光層と色素変換層を用いた色素変換方式を用いてもよく、白色の発光層を用い、基板や封止基板にカラーフィルタを設けた構成としても良い。
図4(A)及び図4(B)は、本実施形態における有機EL素子の積層部分の断面図である。図4(A)はボトムエミッション型の有機EL素子の例である。この例では、基板101上に透明電極からなる画素電極102、正孔輸送層104、有機発光層106、対向電極107aの順で積層されている。これらの各層がこの順番に積層されていれば、インターレイヤ105や、その他の層をそれぞれの間に介挿しても良い。ボトムエミッション型の場合には、対向電極107aは光不透過性電極であり、対向電極107a側に放出された光は、対向電極107aで反射して光透過性電極である画素電極102側から外部へ出射する。
図4(B)はトップエミッション型の有機EL素子の例である。この例では、基板101上に反射層201、画素電極102、正孔輸送層104、インターレイヤ105、有機発光層106、透明電極からなる対向電極107bの順で積層されている。これらの各層がこの順番に積層されていれば、その他の層をそれぞれの間に介挿しても良い。トップエミッション型の場合には対向電極107bは光透過性電極であり、画素電極102側に放出された光は、画素電極102を透過して反射層201で反射して対向電極107側から外部へ出射する。一方、対向電極107b側に放出された光は、同じく対向電極107bを透過して外部へ出射する。
以降の説明では、ボトムエミッション型の有機EL素子を代表させて説明を行うが、対向電極107bを透明導電膜としたトップエミッション型についても、同様に適用することが出来る。
(基板)
基板101の材料としては、例えば、ガラスや石英、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルムやシートを挙げることが出来る。トップエミッション型の有機EL素子の場合には、これに加えて、上記のプラスチックフィルムやシートに酸化珪素、酸化アルミニウム等の金属酸化物や、弗化アルミニウム、弗化マグネシウム等の金属弗化物、窒化珪素、窒化アルミニウムなどの金属窒化物、酸窒化珪素などの金属酸窒化物、アクリル樹脂やエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂などの高分子樹脂膜を単層もしくは積層させた光透過性基材や、アルミニウムやステンレスなどの金属箔、シート、板、プラスチックフィルムやシートにアルミニウム、銅、ニッケル、ステンレスなどの金属膜を積層させた光不透過性基材などを用いることができる。ただし、本実施形態はこれらに限定されるわけではない。
有機EL表示装置100の光取り出しを行う面は、ボトムエミッション型では基板101と隣接する電極側から行えばよい。トップエミッション型では基板101と対向する電極側から行えばよい。上述した材料からなる基板101は、有機EL表示装置100内への水分や酸素の浸入を避けるために、基板101の全面もしくは片面に無機膜の形成、樹脂の塗布などにより、防湿処理や疎水性処理を施してあることが好ましい。特に、有機発光媒体層108への水分の浸入を避けるために、基板101における含水率及びガス透過係数を小さくすることが好ましい。
(画素電極)
画素電極102は、基板101上に成膜し、必要に応じてパターニングを行う。画素電極102は、第1隔壁部103aによって区画され、各画素に対応した画素電極102となる。
画素電極102の材料としては、ITO(インジウムスズ複合酸化物)やIZO(インジウム亜鉛複合酸化物)、AZO(亜鉛アルミニウム複合酸化物)などの金属複合酸化物や、金、白金などの金属材料を使用することが出来る。また、これら金属酸化物や金属材料の微粒子をエポキシ樹脂やアクリル樹脂などに分散した微粒子分散膜を、単層もしくは積層したものを使用することができる。ただし本実施形態はこれらに限定されるわけではない。
画素電極102を陽極とする場合、ITOなど仕事関数の高い材料を選択することが好ましい。TFT駆動の有機EL表示装置において電極は低抵抗であればよく、シート抵抗で20Ω・sq以下であれば好適に用いることが可能となる。
画素電極102の形成方法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの乾式成膜法や、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法など既存の成膜法を用いることができる。ただし、本実施形態はこれらに限定されるわけではない。
画素電極102のパターニング方法としては、材料や成膜方法に応じて、マスク蒸着法、フォトリソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法などの既存のパターニング法を用いることができる。
トップエミッション型の有機EL素子の場合、画素電極102の下部に反射層201(図4(B)を参照)を形成することが好ましい。反射層201の材料としては、高反射率かつ低抵抗であることが好ましく、Cr、Mo、Al、Ag、Ta、Cu、Ti、Niを一種以上含んだ単膜および積層膜、合金膜、上記材料を用いた膜にSiO、SiO2、TiO2等の保護膜を形成したものを用いることが出来る。反射率として可視光波長領域の全平均で80%以上あればよく、90%以上であれば好適に用いることが可能となる。有機発光媒体層108または画素電極102が光不透過性材料である場合はこの限りではない。
画素電極102の形成方法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの乾式成膜法や、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法など既存の成膜法を用いることができる。ただし、本実施形態はこれらに限定されるわけではない。
反射層201のパターニング方法としては、材料や成膜方法に応じて、マスク蒸着法、フォトリソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法などの既存のパターニング法を用いることができる。
(隔壁)
本実施形態に係る隔壁103は、各画素に対応した発光領域を区画するように形成する。このとき、隔壁103は、画素電極102の端部を覆うように形成することが好ましい。一般的にアクティブ駆動型有機EL表示装置100は、各画素に対して画素電極102が形成され、それぞれの画素ができるだけ広い面積を占有しようとするため、画素電極102の端部を覆うように形成される。平面視における、隔壁103の最も好ましい形状は、各画素電極102を最短距離で区切る格子状を基本とする。
隔壁103は、複数の画素の各々を仕切る仕切り部材として機能する。このため、ウェットコーティング法を用いるパターニングによって有機発光媒体層108を各画素に配置する場合、上記隔壁103によって、互いに隣接する画素間において混色を防ぐことが可能になる。
本実施形態の隔壁103は、少なくとも断面が順テーパー形状を有する第1隔壁部103aと、第1隔壁部103aの上に形成される断面が逆テーパー形状を有する第2隔壁部103bとの2層構造で設けられる。さらに第2隔壁部103bの上に第3隔壁部103cを設ける多段隔壁構造としてもよい。これによって、後述のようにウェットコーティング法を用いて画素内に形成される有機発光媒体層108の画素内平坦性が向上する。
第1隔壁部103aの断面は、順テーパー形状となっていることから、図7(A)に示すように、第1隔壁部103aの壁面と画素電極102の表面の成す角度が90度以上となっている。このことにより、隣り合う第1隔壁部103aの間の間隔は、画素電極102から離れるほど大きくなるように設定される。
ここで、第1隔壁部103aの壁面は、画素電極102の表面に対して垂直に立ち上がっていても良い(垂直構造)(図7(B)参照)。この場合には、第1隔壁部103aの壁面と画素電極102の表面の成す角度が90度となり、隣り合う第1隔壁部103aの間の間隔は、画素電極102から離れる方向に沿って等しい間隔となる。
次に、第2隔壁部103bは、断面逆テーパー形状であることから、隣り合う第2隔壁部103bの間の間隔は、画素電極102から離れるほど小さくなるように設定される。また、上記第1隔壁部103aの上に形成された上記第2隔壁部103bの基板101側の底部の幅(m)は、第1隔壁部103a上部の幅(n)より大きくても良く(図7(C)参照)、等しくても良く(図7(A)参照)、小さくても良い(図7(D)参照)が、第2隔壁部103bの上部の幅が、第1隔壁部103aの底部の幅より小さく、第2隔壁部103bの上部の端部が画素領域の内側にないことが好ましい。第2隔壁部103bの上部が、画素領域の内側にあると、第2隔壁部103bの上部が、画素領域からの発光をさえぎってしまうため、有効発光領域が小さくなってしまうからである。
以上のように隔壁103は、少なくとも第1隔壁部103a及び第1隔壁部103a上の第2隔壁部103bの2つの層を有し、第1隔壁部103aは、画素電極に対して垂直か、または順テーパー形状に設けられ、第2隔壁部103bは逆テーパー形状に設けられる。このことにより隔壁103は画素電極102の表面と垂直方向の面に第1隔壁部103aの壁面と第2隔壁部103bの壁面よりなる凹部(隔壁凹部)を有する。この結果、有機発光媒体層108をウェットコーティング法を用いて形成した場合に、隔壁103近傍に成膜されたインキが隔壁凹部に入り混むことにより、隔壁近傍の膜厚を隔壁凹部がない場合に比べて薄くすることが可能となり、画素内の有機発光媒体層108の平坦性が向上する。
特に、第1隔壁部103aと第2隔壁部103bからなる隔壁凹部の位置が、ウェットコーティング法を用いて形成した有機発光媒体層108と、基板101の表面から垂直方向に同等の高さにあることが好ましい。この場合、塗工液が隔壁凹部に入りやすく画素内の平坦性がより向上する。
本実施形態の第1隔壁部103aの材料としては絶縁性を有する必要があり、無機絶縁材料または有機絶縁材料を用いることができる。また、アクティブマトリクス方式を用いた場合は第1隔壁103aとしてTFTを保護するためのSiN等の保護絶縁層を用いることができる。
第1隔壁部103aを形成する無機絶縁材料としてはSiO2、TiO2、SiN等があげられる。また、有機絶縁材料としては感光性材料等を用いることができ、感光性材料としては、ポジ型であってもネガ型であってもよく、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、ポリイミド樹脂、およびシアノエチルプルラン等を用いることができる。
第1隔壁部103aの形成方法としては、材料に応じて、スパッタリング法、プラズマCVD法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法に代表されるドライコーティング法や、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、スピンコート法などのウェットコーティング法など既存の成膜法を用いることができる。ただし本実施形態はこれらに限定されるわけではない。
第1隔壁部103aを構成する順テーパー構造(図7(A)参照)及び垂直構造(図7(B)参照)のパターニング方法としては、材料に応じて以下の方法が挙げられるが、本実施形態はこれらに限定されるわけではなく、他の方法をもちいてもかまわない。例えば、第1隔壁部103aとして無機絶縁材料を用いた場合は、基板101及び画素電極102上に無機膜を一様に形成し、レジストでマスキングした後、反応性イオンビームエッチング,反応性ガスエッチング,反応性イオンエッチングなどに代表されるドライエッチング法をパターニング方法として用いることができる。また、腐食溶解する性質を持つ液体の薬品を使ったウェットエッチング法を用いることもできる。また、例えば、第1隔壁部103aとして感光性材料を用いた場合は、基板101及び画素電極102上に感光性樹脂を塗工し、フォトリソグラフィ法により所定のパターンとするパターニング方法を用いることができる。
第1隔壁部103aの膜厚は、絶縁性を確保するために、20nm以上500nm以下が好ましい。また、隔壁凹部の位置は、第1隔壁部103aの壁面と第2隔壁部103bの壁面よりなる凹部にウェットコーティング法により成膜される有機発光媒体層108となる塗工液が入りこみやすいように、基板101の表面から垂直方向に有機発光媒体層108の高さと同程度であることが好ましい。このため、隔壁凹部の位置は、基板101の表面から垂直方向に20nm以上200nm以下がより好ましい。
本実施形態の第2隔壁部103bの材料としては絶縁性を有する材料を用いる必要があり、無機絶縁材料または有機絶縁材料を用いることができる。
第2隔壁部103bを形成する無機絶縁材料としてはSiO2、TiO2、SiN等があげられる。また、有機絶縁材料としては感光性材料等を用いることができ、感光性材料としては、ポジ型であってもネガ型であってもよく、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、ポリイミド樹脂、およびシアノエチルプルラン等を用いることができる。
第2隔壁部103bの形成方法としては、材料に応じて、スパッタリング法、プラズマCVD法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法に代表されるドライコーティング法や、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、スピンコート法などのウェットコーティング法など既存の成膜法を用いることができる。ただし本実施形態はこれらに限定されるわけではない。
第2隔壁部103bを構成する逆テーパー構造のパターニング方法としては、材料に応じて以下の方法が挙げられるが、本実施形態はこれらに限定されるわけではなく、他の方法をもちいてもかまわない。例えば、第2隔壁部103bとして無機絶縁材料を用いた場合は、画素電極102及び第1隔壁部103a上に無機膜を一様に形成し、レジストでマスキングした後、反応性イオンビームエッチング,反応性ガスエッチング,反応性イオンエッチングなどに代表されるドライエッチング法をパターニング方法として用いることができる。また、腐食溶解する性質を持つ液体の薬品を使ったウェットエッチング法を用いることもできる。また、例えば、第2隔壁部103bとして感光性材料を用いた場合は、画素電極102及び第1隔壁部103a上に感光性樹脂を塗工し、フォトリソグラフィ法により所定のパターンとするパターニング方法を用いることができる。
第2隔壁部103bの膜厚は、絶縁性を確保し、また第1隔壁部103aの壁面と凹部を形成するために、20nm以上が好ましい。凹部がある程度の大きさを有することで、塗工されたインキの凹部に入り込む量が増え、画素内の平坦性が増すため、より好ましくは50nm以上である。
また、第1隔壁部103aと第2隔壁部103bを積層して形成した後に、同時にパターニングを行うことも可能である。
さらに必要に応じてレジスト及び感光性樹脂に撥水剤を添加したり、親水性材料と疎水性材料の多層構造にしたり、プラズマやUVを照射したりして形成後に次の成膜材料に対する撥水性または親水性を付与することもできる。
また、画素毎に有機発光媒体層108を塗り分ける際には、混色を防ぐため、ある程度の高さを有する第3隔壁部103cを設けても良い。
第3隔壁部103cの材料や形成方法としては、上記第1隔壁部103aや上記第2隔壁部103bと同様である。第3隔壁部103cの好ましい高さは0.1μm以上30μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上2μm以下程度である。30μmより高すぎると対向電極107の形成及び封止を妨げ、0.1μmより低すぎると有機発光媒体層108が混色してしまうからである。
(正孔注入層、正孔輸送層)
正孔注入層は、画素電極102(陽極)から正孔を注入する機能を有する層であり、正孔輸送層104は、有機発光層106に正孔を輸送する機能を有する層である。これらの層は、正孔注入機能と正孔輸送機能とを共に有する場合がある。この場合、これらの機能の程度に応じてどちらか一方の名称で、或いは両方の名称で機能層が称されている。本実施形態においては、正孔輸送層104と称されている層は、正孔注入層も含む。
正孔輸送層104の物性値としては、画素電極102の仕事関数と同等以上の仕事関数を有することが好ましい。これは画素電極102からインターレイヤ105へ効率的に正孔注入を行うためである。画素電極102の材料により異なるが、正孔輸送層104の仕事関数は4.5eV以上6.5eV以下であることが好ましく、画素電極102がITOやIZOの場合、正孔輸送層104の仕事関数は5.0eV以上6.0eV以下であることが好ましい。正孔輸送層104の比抵抗に関しては、膜厚30nm以上の状態で、1×103〜2×106Ω・mであることが好ましく、より好ましくは5×103〜1×106Ω・mである。また、ボトムエミッション構造では画素電極102側から放出光を取り出すため、光透過性が低いと取り出し効率が低下してしまう。このため、正孔輸送層104の光透過性は、可視光波長領域の全平均で75%以上が好ましく、85%以上ならば正孔輸送層104を好適に用いることが可能である。
正孔輸送層104を構成する材料(正孔輸送材料)としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物等の高分子材料を用いることができる。この他にも、導電率が10-2S/cm以上10―6S/cm以下である導電性高分子を好ましく用いることができる。高分子材料は、湿式法による成膜工程に使用可能である。このため、正孔注入層又は正孔輸送層104を形成する際に高分子材料を用いることが好ましい。このような高分子材料は、水又は溶剤によって分散或いは溶解され、分散液又は溶液として使用される。
また、正孔輸送材料として無機材料を用いる場合、Cu2O、Cr23、Mn23、FeOx(x〜0.1),NiO、CoO、Bi23、SnO2、ThO2、Nb25、Pr23、Ag2O、MoO2、ZnO、TiO2、V25、Nb25、Ta25、MoO3、WO3、MnO2等を用いることができる。
正孔輸送層104を形成する方法としては、基板101上の表示領域全面にスピンコート法,ダイコート法,ディッピング法,又はスリットコート法等の簡便な方法で一括形成する方法が採用される。正孔輸送層104を形成する際には、上記正孔輸送材料が水、有機溶剤、或いはこれらの混合溶剤に溶解されたインキ(液体材料)が用いられる。有機溶剤としては、トルエン、キシレン、アニソール、メシチレン、テトラリン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル等が使用できる。また、インキには、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等を添加してもよい。正孔輸送層104を無機材料で形成する場合には抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等のドライプロセスを用いることができる。
(インターレイヤ)
インターレイヤ105は、有機発光層106と正孔輸送層104の間に積層することで、有機EL素子の発光寿命を向上させる機能を有する。トップエミッション型の有機EL素子構造では、正孔輸送層104を形成後に積層することができる。通常は正孔輸送層104を被覆するように形成するが、必要に応じてパターニングを行っても良い。
インターレイヤ105の材料(インターレイヤ材料)としては、有機材料ではポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体、アリールアミン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などの、芳香族アミンを含むポリマーなどが挙げられる。また無機材料では、Cu2O、Cr23、Mn23、NiO、CoO、Pr23、Ag2O、MoO2、ZnO、TiO2、V25、Nb25、Ta25、MoO3、WO3、MnO2等の遷移金属酸化物およびこれらの窒化物、硫化物を一種以上含んだ無機化合物が挙げられる。ただし、本実施形態はこれらに限定されるわけではない。
これらの有機材料は、溶媒に溶解または安定に分散させてインターレイヤ105のインキとなる。これらの有機材料を溶解または分散する溶媒としては、トルエン、キシレン、アセトン、アニソール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの単独またはこれらの混合溶媒が上げられる。中でもトルエン、キシレン、アニソールといった芳香族有機溶媒が有機材料の溶解性の面から好適である。また、有機材料から生成されるインターレイヤ105のインキには必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等が添加されてもよい。
これらインターレイヤ材料としては、正孔輸送層104よりも仕事関数が同等以上の材料を選択することが好ましく、更に有機発光層106よりも仕事関数が同等以下であることがより好ましい。これは正孔輸送層104から有機発光層106へのキャリア注入時に不必要な注入障壁を形成しないためである。また有機発光層106から発光に寄与できなかった電荷を閉じ込める効果を得るため、バンドギャップが3.0eV以上であることが好ましく、より好ましくは3.5eV以上であるとインターレイヤ105を好適に用いることが出来る。
インターレイヤ105の形成法としては、材料に応じて、インクジェット印刷法、凸版印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法など既存の成膜法を用いることができる。
ここで、凸版印刷法は、例えば図8に示す凸版印刷装置300を使用すればよい。図8中、符号301はステージを、符号302は被印刷基板を、符号303はインキタンクを、符号304はインキチャンバを、符号305はアニロックスロールを、符号306はドクタを、符号307は凸版を、符号308は版胴を、符号309はインキ層をそれぞれ示す。
(有機発光層)
有機発光層106は、トップエミッション型の有機EL素子の場合、インターレイヤ105の形成後に積層することが出来る。有機発光層106から放出される表示光が単色の場合、インターレイヤ105を被覆するように形成するが、多色の表示光を得るには必要に応じてパターニングを行うことにより好適に用いることができる。
有機発光層106を形成する有機発光材料は、例えばクマリン系、ペリレン系、ピラン系、アンスロン系、ポルフィレン系、キナクリドン系、N,N'−ジアルキル置換キナクリドン系、ナフタルイミド系、N,N'−ジアリール置換ピロロピロール系、イリジウム錯体系などの発光性色素をポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール等の高分子中に分散させたものや、ポリアリーレン系、ポリアリーレンビニレン系やポリフルオレン系の高分子材料が挙げられる。ただし、本実施形態はこれらに限定されるわけではない。
これらの有機発光材料は、溶媒に溶解または安定に分散させ有機発光インキとなる。有機発光材料を溶解または分散する溶媒としては、トルエン、キシレン、アセトン、アニソール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの単独またはこれらの混合溶媒が挙げられる。中でもトルエン、キシレン、アニソールといった芳香族有機溶媒が、有機発光材料の溶解性の面から好適である。また、有機発光インキには必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等が添加されてもよい。
上述した高分子材料に加え、9,10−ジアリールアントラセン誘導体、ピレン、コロネン、ペリレン、ルブレン、1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン、トリス(8−キノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノラート)アルミニウム錯体、ビス(8−キノラート)亜鉛錯体、トリス(4−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−5−シアノ−8−キノラート)アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−シアノー8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8−キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス[8−(パラ−トシル)アミノキノリン]亜鉛錯体及びカドミウム錯体、1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエン、ポリ−2,5−ジヘプチルオキシ−パラ−フェニレンビニレンなどの低分子系発光材料を有機発光材料として使用することができる。
有機発光層106の形成法としては、材料に応じて、ノズルプリント法、インクジェット印刷法、凸版印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法など既存の成膜法を用いることができる。
(対向電極)
対向電極107は、有機発光層106上に形成される。対向電極107の材料には、例えばMg、Al、Yb等の金属単体を用いたり、有機発光媒体層108と接する界面にLiや酸化Li、LiF等の化合物を1nm程度挟んで、安定性・導電性の高いAlやCuを積層して用いたりしてもよい。または電子注入効率と安定性とを両立させるため、仕事関数が低いLi、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb等の金属1種以上と、安定なAg、Al、Cu等の金属元素との合金系を用いてもよい。具体的にはMgAg、AlLi、CuLi等の合金を使用することができる。またITO(インジウムスズ複合酸化物)やIZO(インジウム亜鉛複合酸化物)、AZO(亜鉛アルミニウム複合酸化物)などの金属複合酸化物等の透明導電膜を用いることができる。
トップエミッション構造におけるこれらの対向電極107は、有機発光媒体層108から放出される表示光を透過するため、可視光波長領域に対して光透過性が必要である。対向電極107にMg、Al、Yb等の金属単体を用いる場合には、対向電極107の膜厚は20nm以下であることが好ましく、更には2nm以上7nm以下の範囲内であることがより好ましい。透明導電膜においては可視光波長領域の平均光透過性として85%以上を保つように膜厚を調節することで対向電極107を好適に用いることができる。
対向電極107の形成法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの乾式成膜法や、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法など既存の成膜法を用いることができるが本実施形態ではこれらに限定されるわけではない。
(封止体)
封止体109は、例えば画素電極102、隔壁103、有機発光媒体層108、対向電極107が形成された基板101の周辺部において、基板101に接着される。このことにより封止が行われる。この際、トップエミッション構造では有機発光媒体層108から基板101側と反対側の封止体109を通して放射される表示光を取り出すため、可視光波長領域に対して光透過性が必要となる。このため、可視光波長領域の平均光透過性として85%以上であることが好ましい。
なお、例えば画素電極102、隔壁103、有機発光媒体層108、対向電極107が形成された基板101に対して、封止材209と樹脂層210の2層構造からなる封止体109を設けることにより封止が行われるようにしてもよい。具体的には、樹脂層210により封止材209と基板101とが貼りあわせられることによって封止が行われる(図2参照)。
このとき封止材209の材料として、水分や酸素の光透過性が低い基材を用いる必要がある。また、材料の一例として、アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素等のセラミックス、無アルカリガラス、アルカリガラス等のガラス、石英、耐湿性フィルムなどを挙げることができる。耐湿性フィルムの例として、プラスチック基材の両面にSiOxをCVD法で形成したフィルムや、光透過性の小さいフィルムと吸水性のあるフィルムまたは吸水剤を塗布した重合体フィルムなどがあり、耐湿性フィルムの水蒸気光透過性は、10E-6g/m2/day以下であることが好ましい。
樹脂層210としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン樹脂などからなる光硬化型接着性樹脂、熱硬化型接着性樹脂、2液硬化型接着性樹脂や、エチレンエチルアクリレート(EEA)ポリマー等のアクリル系樹脂、エチレンビニルアセテート(EVA)等のビニル系樹脂、ポリアミド、合成ゴム等の熱可塑性樹脂や、ポリエチレンやポリプロピレンの酸変性物などの熱可塑性接着性樹脂を挙げることができる。樹脂層210を封止材209の上に形成する方法の一例として、溶剤溶液法、押出ラミ法、溶融・ホットメルト法、カレンダー法、ノズル塗布法、スクリーン印刷法、真空ラミネート法、熱ロールラミネート法などを挙げることができる。必要に応じて吸湿性や吸酸素性を有する材料を含有させることもできる。封止材209上に形成する樹脂層210の厚みは、封止する有機EL素子の大きさや形状により任意に決定されるが、5μm〜500μm程度が望ましい。
画素電極102、隔壁103、有機発光媒体層108、対向電極107が形成された基板101と封止体109との貼り合わせは、封止室で行われる。封止体109を、封止材209と樹脂層210の2層構造とし、樹脂層210に熱可塑性樹脂を使用した場合は、加熱したロールで圧着のみ行うことが好ましい。熱硬化型接着樹脂を使用した場合は、加熱したロールで圧着した後、さらに硬化温度で加熱硬化を行うことが好ましい。光硬化性接着樹脂を使用した場合は、ロールで圧着した後、さらに光を照射することで硬化を行うことができる。なお、ここでは封止材209上に樹脂層210を形成したが、基板101上に樹脂層210を形成して封止材209と貼りあわせることも可能である。
封止材209を用いて封止を行う前や当該封止材209の代わりに、例えばパッシベーション膜として、EB蒸着法やCVD法などのドライプロセスを用いて、窒化珪素膜など無機薄膜を形成して、封止体109とすることも可能であり、また、これらを組み合わせることも可能である。パシベーション膜の膜厚は、100nm以上500nm以下の範囲とすれば良く、材料の透湿性、水蒸気光透過性などにより異なるが150nm以上300nm以下とすることでパシベーション膜を好適に用いることができる。トップエミッション型の構造では、上記の特性に加え、光透過性の考慮する必要があり、可視光波長領域の全平均で70%以上であれば好適に用いることが可能である。
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
次に、上述した実施形態に基づき、有機EL表示装置の実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例によって制限されない。
[実施例1]
まず、対角5インチのガラス基板を準備した。このガラス基板上に、スパッタ法を用いてITO(インジウム―酸化錫)薄膜を50nmの膜厚で形成し、フォトリソグラフィ法によりパターニングを行った。これによって、複数のラインパターンを有する画素電極102を作製した。この複数のラインパターンにおいて、120μmピッチで電極間スペース30μmの960本のラインが形成されている。次に、この基板101をアセトン、純水、ブラシ洗浄、超音波洗浄などの従来のウェットプロセスによって洗浄し、さらにUVオゾン処理により洗浄した。
次に、第1隔壁部103aを以下のように形成した。表示領域の全面が成膜されるように、CVD法を用いてSiNを成膜した。CVD法においては、純度99.9999のSiH4,NH3,H2ガスを用いた。チャンバー内で基板101はホットプレートにより加熱を行い、基板101表面が130℃になるように調節を行い、プラズマ電力を1.5kWで400秒間成膜して400nmの膜厚を得た。この時、真空度は150PaとなるようにSiH4,NH3,H2を1:2:10の比率で供給した。
次に第1隔壁部103a上にポジ型感光性レジスト(日本ゼオン製,ZEP520A)を全面にスピンコートした。スピンコート条件として、4000rpmで50秒間回転させた後、ホットプレートにより180℃で5分間ベーキングを行い薄膜とした。レジスト膜形成後に、第1隔壁部103aとなる部分のみを残して露光、現像、洗浄を行いレジストパターンを形成した。
レジストパターン形成後、反応性イオンエッチングにより第1隔壁部103aの順テーパー形状を形成する。反応性ガスはフッ素と酸素を用い、フッ素ガスおよび酸素ガスの混合ガスをチャンバー内に導入した。各流量を調整し、フッ素ガスの流量を100sccmとし、酸素ガスの流量を400sccmとし、チャンバー内の圧力が10Paになるように調節を行った。また、出力周波数が13.56MHzの高周波電源によって高周波電力700Wを印加した。隔壁103部以外の窒化シリコン膜がドライエッチングにより除去され、画素電極表面との接触面のテーパー角度が110度となり、底部が40μmの順テーパー形状の第1隔壁部103aが形成された。ドライエッチングの後、レジストの剥離を行った。
次に、第2隔壁部103bを以下のように形成した。表示領域の全面が成膜されるようにCVD法を用いてSiNを成膜した。CVD法においては、純度99.9999のSiH4,NH3,H2ガスを用いた。チャンバー内で基板101はホットプレートにより加熱を行い、基板101表面が130℃になるように調節を行い、プラズマ電力を1.5kWで300秒間成膜して300nmの膜厚を得た。この時、真空度は150PaとなるようにSiH4,NH3,H2を1:2:10の比率で供給した。
次に第2隔壁部103b上にポジ型感光性レジスト(日本ゼオン製,ZEP520A)を全面にスピンコートした。スピンコート条件として、4000rpmで50秒間回転させた後、ホットプレートにより180℃で5分間ベーキングを行い薄膜とした。レジスト膜形成後に、第2隔壁部103bとなる部分のみを残して露光、現像、洗浄を行いレジストパターンを形成した。
レジストパターン形成後、反応性イオンエッチングにより第2隔壁部103bの逆テーパー形状を形成する。反応性ガスはフッ素と酸素を用い、フッ素ガスおよび酸素ガスの混合ガスをチャンバー内に導入した。各流量を調整し、フッ素ガスの流量を100sccmとし、酸素ガスの流量を400sccmとし、チャンバー内の圧力が10Paになるように調節を行った。また、出力周波数が13.56MHzの高周波電源によって高周波電力700Wを印加した。隔壁103部以外の窒化シリコン膜がドライエッチングにより除去され、画素電極102表面とのテーパー角度が45度となり、上部が37μm、底部が上記第1隔壁部103aの上部と同一幅の逆テーパー形状の第2隔壁部103bが形成された。ドライエッチングの後、レジストの剥離を行った。
次に、第3隔壁部103cを以下のように形成した。画素電極102、第1隔壁部103a、第2隔壁部103bを覆うように、基板101全面にポジ型感光性ポリイミド(東レ社製フォトニース,DL−1000)をスピンコートした。スピンコートの条件として、ガラス基板を110rpmで5秒間回転させた後に、ガラス基板を400rpmで20秒間回転させた。ポジ型感光性ポリイミドの膜厚は1.5μmである。第3隔壁部103c上のみ隠されたフォトマスクを準備し、フォトリソグラフィ法を用いて基板101の全面に塗布された感光性材料の第3隔壁部103cの上部以外をi線ステッパーにより180mJ/cm2露光した。露光した後現像を行い、オーブンを用いて、230℃で30分の条件で焼成し第2隔壁部103b上に第3隔壁部103cを得た。こうして形成された第3隔壁部103cは、画素電極102の表面とのテーパー角度が50度となり、その底部の幅が上記第2隔壁部103bの上部の幅に対して小さい33μm、上部の幅が15μmとなった。
次にITOの表面処理としてオーク製作所製UV/O3洗浄装置にて隔壁を形成したガラス基板に対して3分間紫外線照射を行った。ITOの仕事関数は照射前の4.8eVから5.3eVに変化した。
次に正孔輸送層104を形成した。無機材料として酸化モリブデンを用いて表示領域全面が成膜されるようにスパッタリング法を用いて50nm成膜した。パターニングは77mm×103mmの開口のあるメタルマスクを用いた。
次に、インターレイヤ105の材料であるポリビニルカルバゾール誘導体を濃度0.5%になるようにトルエンに溶解させたインキを用い、隔壁103に挟まれた正孔輸送層104の真上にインターレイヤ105を、画素電極102のラインパターンに一致するように、凸版印刷法で印刷した。塗布されたインキは隔壁凹部に入り込み、隔壁近傍のインキの濡れ上がりが抑制された。乾燥後のインターレイヤ105の膜厚は中央部が20nm、隔壁近傍は35nmとなり、平坦率は80%となった。
次に、有機発光材料として、ポリフェニレンビニレン誘導体を採用し、この材料の濃度が1%になるように、この材料がトルエンに溶解された有機発光インキを準備した。このインキを用いて、隔壁103に挟まれた画素電極102上に、画素電極102のラインパターンに一致するように、凸版印刷法を用いて有機発光層106を印刷した。塗布されたインキは隔壁凹部に入り込み、隔壁近傍のインキの濡れ上がりが抑制された。乾燥後の有機発光層106の膜厚は中央部が80nm、隔壁近傍は110nmとなり、平坦率は70%となった。
次に、有機発光層106上にカルシウム膜と、アルミニウム膜からなる陰極層(対向電極107)をメタルマスクを用いてラインパターン状に形成した。具体的には、陰極層のラインパターンと画素電極102のラインパターンとが直交するように、抵抗加熱蒸着法を用い、膜厚は100nmとなった。
その後、封止体109として陰極の上部を覆うように厚めのガラス中央部を凹状に加工したガラスを用いて封止を行った。ガラスの凹部には吸湿剤を設置し、封止環境による劣化を低減させた。
このようにして得られた有機ELディスプレイパネルの表示部の周辺部においては、画素電極102毎に接続されている陽極側の取り出し電極と、陰極層に接続されている陰極側の取り出し電極とが設けられている。これら取り出し電極を電源に接続し、有機EL表示装置を点灯かつ表示させ、点灯状態及び表示状態を確認した。
得られた有機EL表示装置を駆動し、表示確認を行ったところ、パネル輝度200cd/cm2時の画素内の発光面積は70%と良好であった。
[実施例2]
実施例2においては、第2隔壁部103bを形成する際のレジストパターンの幅を実施例1より小さくした。その他の条件は実施例1と同様である。ドライエッチング後、第2隔壁部103bは、画素電極102表面からのテーパー角度が45度、上部の幅が35μm、底部の幅が上記第1隔壁部103aの上部の幅より小さい逆テーパー形状として形成された。
形成後のインターレイヤ105の膜厚は中央部が30nm、隔壁近傍は40nmとなり、平坦率は90%となった。また、形成後の有機発光層106の膜厚は中央部が70nm、隔壁近傍は90nmとなり、平坦率は80%となった。
得られた有機EL表示素子を駆動し、表示確認を行ったところ、パネル輝度200cd/cm2時の画素内の発光面積は80%と良好であり、駆動電圧は実施例1に対し1V低電圧化した。
[比較例1]
比較例1においては、ドライエッチング後、第2隔壁部103bは、画素電極102表面からのテーパー角度が120度、その上部の幅が33μm、底部の幅が上記第1隔壁部103aの上部と同等の幅である順テーパー形状として形成された。その他の条件は実施例1と同様である。
形成後のインターレイヤ105の膜厚は中央部が20nm、隔壁近傍は40nmとなり、平坦率は70%となった。また、発光層形成後の有機発光層106の膜厚は中央部が80nm、隔壁近傍は150nmとなり、平坦率は55%となった。
得られた有機EL表示素子を駆動し、表示確認を行ったところ、パネル輝度200cd/cm2時の画素内の発光面積は55%と低下し、駆動電圧は実施例1に対し1.5V高電圧化した。
100 有機EL表示装置
101 基板
102 画素電極
103 隔壁
103a 第1隔壁部
103b 第2隔壁部
103c 第3隔壁部
104 正孔輸送層
105 インターレイヤ
106 有機発光層
107 対向電極
108 有機発光媒体層
109 封止体
201 反射層
209 封止材
210 樹脂層
300 凸版印刷装置
301 ステージ
302 被印刷基板
303 インキタンク
304 インキチャンバ
305 アニロックスロール
306 ドクタ
307 凸版
308 版胴
309 インキ層

Claims (10)

  1. 基板上に、画素電極と、当該画素電極の上に積層された複数の層からなる有機発光媒体層と、当該画素電極を区画するための絶縁性を有する隔壁と、当該有機発光媒体層及び当該隔壁の上に積層された対向電極とを備え、前記有機発光媒体層を構成する少なくとも一つの層はウェットコーティング法によって形成される有機EL素子であって、
    前記隔壁は、少なくとも、前記基板に近い方に形成された第1隔壁部と、当該第1隔壁部の上に形成された第2隔壁部とを備え、
    前記第1隔壁部の側壁面と前記画素電極の表面の成す角度は90度以上であり、且つ、前記第2隔壁部の側壁面と前記画素電極の表面の成す角度は90度以下であることを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記第1隔壁部及び前記第2隔壁部は、それぞれ無機絶縁材料で形成されている、請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記第1隔壁部及び前記第2隔壁部は、それぞれ同一の無機絶縁材料で形成されている、請求項1に記載の有機EL素子。
  4. 前記基板は、前記画素電極に接続されるように形成された薄膜トランジスタを備え、
    前記第1隔壁部は、前記薄膜トランジスタの保護絶縁層によって形成されている、請求項1乃至3のいずれかに記載の有機EL素子。
  5. 前記第1隔壁部の高さは50〜400nmである、請求項1乃至4のいずれかに記載の有機EL素子。
  6. 前記第2隔壁部の高さは50〜600nmである、請求項1乃至5のいずれかに記載の有機EL素子。
  7. 前記隔壁部は、さらに、前記第2隔壁部の上に形成された有機絶縁材料からなる第3隔壁部を備える、請求項1乃至6に記載の有機EL素子。
  8. 前記第3隔壁部の高さは500〜3000nmである、請求項7に記載の有機EL素子。
  9. 前記ウェットコーティング法によって形成された前記有機発光媒体層を構成する少なくとも一つの層の一部は、前記第1隔壁部と前記第2隔壁部の壁面により構成される凹凸構造に入り込む、請求項1乃至8に記載の有機EL素子。
  10. 基板上に、画素電極を形成するステップと、当該画素電極の上に複数の層を積層することで有機発光媒体層を形成する有機発光媒体層形成ステップと、当該画素電極を区画するための絶縁性を有する隔壁を形成する隔壁形成ステップとを備え、前記有機発光媒体層形成ステップでは、前記有機発光媒体層を構成する少なくとも一つの層をウェットコーティング法によって形成する有機EL素子の製造方法であって、
    前記隔壁形成ステップは、少なくとも、前記基板に近い方に第1隔壁部を形成する第1隔壁部形成ステップと、当該第1隔壁部の上に第2隔壁部を形成する第2隔壁部形成ステップとを備え、
    前記第1隔壁部形成ステップでは、前記第1隔壁部の側壁面と前記画素電極の表面の成す角度が90度以上になるように当該第1隔壁部を形成し、且つ、前記第2隔壁部形成ステップでは前記第2隔壁部の側壁面と前記画素電極の表面の成す角度が90度以下になるように当該第2隔壁部を形成することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
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