JP2012209464A - 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】画素内で発生する発光ムラや輝度低下が改善され、画素内での発光領域が拡がり、画素毎の輝度増加が可能な有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板と、前記基板上に形成された第一電極と、前記基板上に形成され且つ前記第一電極の周囲を囲む隔壁と、前記隔壁内で前記第一電極上に形成された発光媒体層と、前記隔壁及び前記発光媒体層上に形成された第二電極と、を備える有機EL素子において、前記発光媒体層は、前記隔壁から離れた部分ほど膜厚が減少している有機発光層を含み、前記有機発光層上に第一電子注入層と第二電子注入層が形成され、且つ、前記第一電子注入層は前記隔壁の上部を覆わないよう形成され、前記第二電子注入層は一部が前記隔壁を覆うように形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機薄膜のエレクトロルミネッセンス(以下、ELと略称する)現象を利用した有機EL素子及びその製造方法に関するものである。
有機EL素子は、基板上に透明電極としての電極と、陰極としての電極との間に、少なくともEL現象を呈する有機発光層を挟持してなる構造を有し、電極間に電圧が印加されると、有機発光層に正孔と電子が注入され、この正孔と電子とが有機発光層で再結合することにより、有機発光層が発光する自発光型の素子である。さらに、発光効率を増大させるなどの目的から、透明電極と有機発光層との間に正孔注入層、正孔輸送層、及び、有機発光層と陰極との間に電子輸送層、電子注入層などが適宜選択して設けられている。
これら各層は、有機材料や無機材料からなる。有機材料には低分子系材料と高分子系材料とがある。
低分子系材料を用いた例としては、例えば、正孔注入層に銅フタロシアニン(CuPc)、正孔輸送層にN,N’―ジフェニル―N,N’―ビス(3―メチルフェニル)―1,1’―ビフェニル―4,4’ジアミン(TPD)、有機発光層にトリス(8―キノリノール)アルミニウム(Alq3)、電子輸送層に2―(4―ビフェニリル)―5―(4―tert―ブチル―フェニル)―1,3,4,―オキサジゾール(PBD)、電子注入層にLiFなどを用いたものが挙げられる。
これら低分子系材料よりなる各層は、一般に0.1〜200nm程度の膜厚で、主に抵抗加熱方式などの真空蒸着法やスパッタ法などの真空中の乾式法(ドライプロセス)によって成膜されている。
また、低分子系材料は種類が豊富で、その組み合わせによって発光効率や発光輝度、寿命などの向上が期待されている。
高分子系材料としては、例えば有機発光層として、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾールなどの高分子中に低分子の発光色素を溶解させたものや、ポリフェニレンビニレン誘導体(以下、PPVと略す)、ポリアルキルフルオレン誘導体(以下、PAFと略す)等の高分子蛍光体や、希土類金属系等の高分子燐光体が用いられている。
これら高分子系材料は一般に、溶剤に溶解または分散され、塗布や印刷などの湿式法(ウエットプロセス)を用いて、1〜100nm程度の膜厚で成膜されている。
湿式法を用いた場合、真空蒸着法などの真空中の乾式法を用いた場合に比べ、大気中で成膜が可能、設備が安価である、大型化が容易である、短時間に効率よく成膜可能である、などの利点がある。
また、高分子系材料を用いて成膜した有機薄膜は結晶化や凝集が起こりにくく、さらには他層のピンホールや異物を被覆するため、短絡やダークスポットなどの不良を防ぐことができる利点もある。
高分子系材料の塗液を用いてウェットコーティング法で有機発光層を含む有機発光媒体
層を形成する場合、有機発光層はカラーパネル化するために赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの発光色をもつ有機発光材料を溶剤中に溶解または安定して分散してなる有機発光インキを用いて塗り分ける必要がある。
一般に、有機EL素子は、TFT(Thin Film Transistor)基板の一方の面に、形成すべき画素に対応してパターニングされた第一電極と、第一電極の周縁を囲むように形成された隔壁と、隔壁で囲まれた第一電極の上面及び隔壁の上面に形成された無機または有機の正孔輸送層と、第一電極と対向する有機発光層の上面に形成された第二電極とから構成されている。
そこで、ウェットコーティング法で膜形成を行うと、各画素電極を絶縁するために設けられた隔壁の形状に沿って、厚膜化するため平坦性が悪くなってしまう。そのため、画素内での発光が不均一となり、1画素内のピーク輝度に対して画素内全輝度が低減する。そのため、発光効率や寿命に影響を与える問題があった。さらに、ある程度厚くなると有機層の導電性が悪くなり、発光しない部分が生じるため、実開口率が小さくなる問題もあった。
ウェットコーティング法を用いて有機発光材料を塗布する場合、インクジェット法によるパターン形成方法が提案されている。特許文献1では、予め基板上にフォトリソグラフィ法などを用いて、撥インキ性のある材料でバンクを形成し、そこにインク液滴を着弾させることで、バンク形状に応じてインクがはじかれ、直線性のパターンが得られるという方法が開示されている。
また、特許文献2では、隔壁を親液性を有する第一絶縁層と第一絶縁層上に疎液性を有する第二絶縁層を積層した構造を形成し、そこにインクジェット法を用いて有機発光層を形成することで、画素内の有機発光層の膜厚バラツキを抑制する方法が開示されている。
特開2002−305077号公報 特開2004−319119号公報
しかし、上記した特許文献1の方法では、はじかれたインクが画素内に戻るときに画素内部でインクが盛り上がり、画素内の有機発光層の膜厚にばらつきができてしまうという問題が残る。また、特許文献2の方法では、第一電極と有機発光層の間に正孔輸送層または正孔注入層を形成する工程で、スパッタ法または蒸着法等によりベタ成膜した場合、疎液性を有した第二絶縁層も覆ってしまうため、有機発光層の膜厚の不均一性を抑制する効果が失われてしまう問題があった。
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたもので、画素内で発生する発光ムラや輝度低下が改善され、画素内での発光領域が拡がり、画素毎の輝度増加が可能な有機EL素子及びその製造方法を提供することを課題としている。
本発明の請求項1に係る発明は、
基板と、前記基板上に形成された第一電極と、前記基板上に形成され且つ前記第一電極の
周囲を囲む隔壁と、前記隔壁内で前記第一電極上に形成された発光媒体層と、前記隔壁及び前記発光媒体層上に形成された第二電極と、を備える有機EL素子において、
前記発光媒体層は、前記隔壁から離れた部分ほど膜厚が減少している有機発光層を含み、前記有機発光層上に第一電子注入層と第二電子注入層が形成され、且つ、前記第一電子注入層は前記隔壁の上部を覆わないよう形成され、前記第二電子注入層は一部が前記隔壁を覆うように形成されていることを特徴とする有機EL素子である。
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記有機発光層の中心から前記隔壁へ向かう方向で、前記有機発光層の膜厚が中心部の膜厚に対して0〜30nm未満まで増加する領域には前記第一電子注入層が設けられ、前記有機発光層の膜厚が中心部の膜厚に対して30nm以上増加する領域には、前記第二電子注入層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載する有機EL素子である。
また、本発明の請求項3に係る発明は、前記第一電子注入層は、前記有機発光層の中心から前記隔壁へ向かう方向へ、発光強度が50%低下する領域まで設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載する有機EL素子である。
また、本発明の請求項4に係る発明は、前記第一電子注入層及び前記第二電子注入層は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物を用いて形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載する有機EL素子である。
また、本発明の請求項5に係る発明は、前記第一電子注入層及び前記第二電子注入層は、有機物を用いて形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載する有機EL素子である。
また、本発明の請求項6に係る発明は、前記発光媒体層は、前記有機発光層の下に形成された正孔注入層を含むことを特徴とする請求項1に記載する有機EL素子である。
次に、本発明の請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載する有機EL素子を製造する有機EL素子の製造方法であって、
前記発光媒体層を構成する層のうち少なくとも1つの層は、ウェットプロセス法を用いて形成されていることを特徴とする有機EL素子の製造方法である。
本発明によれば、最適なキャリアバランスを考慮して、有機発光層上に形成する第一電子注入層と第二電子注入層の形成領域が分けられていることで、有機発光層の膜厚の厚い部分が発光し、かつ輝度が向上する。その結果、画素内での発光領域が拡がり、画素毎の輝度増加が可能な有機EL素子を得ることが可能となる。
本発明の有機EL素子の、一実施形態における概略構成例を断面で示す模式図である。 本発明の有機EL素子に係る、基板の詳細な構成例を断面で示す模式図である。 凸版印刷法に用いる凸版印刷装置の概略構成を説明する模式図である。 本発明の有機EL素子の、電子注入層の成膜に用いるマスクパターン例である。 本発明の有機EL素子に係る、実施例及び比較例の、短辺方向の画素幅に対する輝度依存性を示すグラフである。 従来の有機EL素子の、概略構成例を断面で示す模式図である。
本発明の有機EL素子を一実施形態に基づいて、図面を参照しつつ、以下に詳細説明する。なお、以下の説明で、本発明と従来とで同一の呼称の部材については同一の符号を用いて説明する。
[構成]
図1は、本発明の有機EL素子の、一実施形態における概略構成例を断面で示す模式図である。図1に示すように、有機EL素子1は、基板2と、第一電極4と、隔壁6と、発光媒体層8と、第二電極10を備えている。なお、本実施形態では、一例として、有機EL素子1を、第一電極4を陽極とし、第二電極10を陰極としたアクティブマトリクス駆動型の有機EL素子とした場合について説明する。この場合、第一電極4は、画素ごとに隔壁6で区画された画素電極として形成され、第二電極10は、素子全面に形成した対向電極として形成される。なお、有機EL素子1の構成は、上記の構成に限定するものではなく、例えば、各電極(第一電極4、第二電極10)がそれぞれ直交するストライプ状とした、パッシプマトリクス駆動型の有機EL素子であってもよい。また、第一電極4を陰極とし、第二電極10を陽極とした逆構造としてもよい。
[基板2]
図2は、基板2の詳細な構成を示す断面図である。本実施形態では、基板2として、第一電極4及び隔壁6が設けられたTFT基板を用いた場合を例に挙げて説明する。図2に示すように、本発明の有機EL素子1が備える基板2は、薄膜トランジスタ20(TFT)と第一電極4(画素電極)が設けられている。薄膜トランジスタ20と第一電極4とは、電気接続している。また、薄膜トランジスタ20は、基板2(支持体)で支持されている。
基板2としては、機械的強度及び絶縁性を有し、寸法安定性に優れていれば、如何なる材料も使用することが可能である。ここで、基板2の材料としては、例えば、ガラスや石英、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルムやシートを用いることが可能である。
また、基板2の材料としては、例えば、上記のプラスチックフィルムやシートに、酸化珪素、酸化アルミニウム等の金属酸化物や、弗化アルミニウム、弗化マグネシウム等の金属弗化物、窒化珪素、窒化アルミニウム等の金属窒化物、酸窒化珪素等の金属酸窒化物、アクリル樹脂やエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等の高分子樹脂膜を単層もしくは積層させた透光性基材や、アルミニウムやステンレス等の金属箔、シート、板等を用いることが可能である。さらに、基板2の材料としては、例えば、上記のプラスチックフィルムやシートにアルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属膜を積層させた非透光性基材等を用いることが可能である。ここで、基板2の透光性は、光の取出しをどちらの面から行うかに応じて選択すればよい。
上記の材料からなる基板2は、有機EL素子1内への水分の侵入を避けるために、無機膜を形成したり、フッ素樹脂を塗布したりして、防湿処理や疎水性処理を施してあることが好適である。特に、発光媒体層8への水分の侵入を避けるために、基板2における含水率及びガス透過係数を小さくすることが好適である。
薄膜トランジスタ20としては、公知の薄膜トランジスタを用いることが可能である。具体的には、主として、ソース/ドレイン領域及びチャネル領域が形成される活性層22と、ゲート絶縁膜24及びゲート電極26から構成される薄膜トランジスタが挙げられる。ここで、薄膜トランジスタ20の構造は、特に限定されるものではなく、例えば、スタガ型、逆スタガ型、トップゲート型、コプレーナ型等が挙げられる。また、活性層22の構成は、特に限定されるものではなく、例えば、非晶質シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、セレン化カドミウム等の無機半導体材料、または、チオフェンオリゴマー、ポリ(p−フェリレンビニレン)等の有機半導体材料により形成することが可能である。
上記の活性層22は、例えば、以下の(a)から(c)に記載する方法を用いて形成することが出来る。
(a)アモルファスシリコンをプラズマCVD法により積層し、イオンドーピングする方法。具体的には、SiHガスを用いて、LPCVD法によりアモルファスシリコンを形成し、固相成長法によりアモルファスシリコンを結晶化してポリシリコンを得た後、イオン打ち込み法によりイオンドーピングする方法。
(b)Siガスを用いたLPCVD法により、また、SiHガスを用いたPECVD法によりアモルファスシリコンを形成し、エキシマレーザー等のレーザーによりアニールし、さらに、アモルファスシリコンを結晶化してポリシリコンを得た後、イオンドーピング法によりイオンドーピングする方法(低温プロセス)。
(c)減圧CVD法またはLPCVD法によりポリシリコンを積層し、1000℃以上で熱酸化してゲート絶縁膜を形成し、その上にn+ポリシリコンのゲート電極8を形成し、その後、イオン打ち込み法によりイオンドーピングする方法(高温プロセス)。
ゲート絶縁膜24としては、一般的にゲート絶縁膜として使用されているものを用いることが可能である。すなわち、ゲート絶縁膜24としては、例えば、PECVD法、LPCVD法等により形成されたSiOや、ポリシリコン膜を熱酸化して得られるSiO等を用いることが可能である。ゲート電極26としては、一般的にゲート電極として使用されているものを用いることが可能である。すなわち、ゲート電極26の材料としては、例えば、アルミ、銅等の金属(チタン、タンタル、タングステン等の高融点金属)や、ポリシリコン、高融点金属のシリサイド、ポリサイド等が挙げられる。
なお、薄膜トランジスタ20の構造は、シングルゲート構造、ダブルゲート構造、ゲート電極が三つ以上のマルチゲート構造であってもよい。また、LDD構造、オフセット構造を有していてもよい。さらに、一つの画素中に二つ以上の薄膜トランジスタが配置されていてもよい。また、本実施形態の有機EL素子1は、薄膜トランジスタ20が有機EL素子1のスイッチング素子として機能するように接続されている必要がある。このため、薄膜トランジスタ20のドレイン電極28と、第一電極4を電気的に接続している。なお、図2では、ソース電極に符号30を付し、走査線に符号32を付し、薄膜トランジスタ20と第一電極4及び隔壁6との間に介装したトランジスタ絶縁膜に、符号34を付している。
[第一電極4]
次に、第一電極4の詳細な構成について説明する。第一電極4は、基板2上にパターン化して形成されており、隔壁6によって区画されて、各画素に対応した画素電極を形成している。第一電極4の材料としては、ITO(インジウムスズ複合酸化物)やインジウム亜鉛複合酸化物、亜鉛アルミニウム複合酸化物等の金属複合酸化物や、金、白金等の金属材料や、これら金属酸化物や金属材料の微粒子をエポキシ樹脂やアクリル樹脂等に分散した微粒子分散膜を、単層もしくは積層したものを、いずれも使用することが可能である。
ここで、第一電極4を陽極とする場合には、ITO等の仕事関数の高い材料を選択することが好適である。特に、通常の有機EL素子では、陽極を通して光が放出されるために、陽極が透明であることが要求され、ITO等の導電性金属酸化物が用いられる。また、有機EL素子が、上方から光を取り出す、いわゆるトップエミッション構造の場合は、透明であることは必要ではないが、ITO、IZO(インジウムと亜鉛の複合酸化物)等の導電性金属酸化物を用いて、第一電極を形成してもよい。
さらに、第一電極4の材料として、ITO等の導電性金属酸化物を用いる場合、その下に反射率の高い反射電極(Cr、A1、Ag、Mo、W等)を用いることが好適である。この場合、反射電極は、導電性金属酸化物よりも抵抗率が低いため、補助電極として機能するとともに、後述する有機発光層14にて発光される光を、第二電極10側に反射して、光の有効利用を図ることが可能となる。また、有機EL素子が、下方から光を取り出す、いわゆるボトムエミッション構造の場合は、透光性のある材料を選択する必要がある。さらに、必要に応じて、第一電極4の配線抵抗を低くするために、銅やアルミニウム等の金属材料を補助電極として併設してもよい。
[隔壁6]
次に、隔壁6の詳細な構成について説明する。隔壁6は、基板2上に形成されており、第一電極4の周囲を囲むことにより、画素に対応した発光領域を区画するように形成されている。ここで、一般的に、アクティブマトリクス駆動型の有機EL素子は、各画素(サブピクセル)に対して第一電極が形成されており、それぞれの画素が、できるだけ広い面積を占有しようとするため、第一電極の端部(側面)を覆うように形成される隔壁の最も好適な形状は、第一電極を最短距離で区切る格子状を基本とする。
また、隔壁6の材料は、少なくとも、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤及びアルカリ可溶性バインダーを含有する。さらに、隔壁6の材料は、界面活性剤等を含有することが好適であり、溶剤も含有している。隔壁6の好適な高さは、0.1μm以上10μm以下の範囲内であり、より好適には、0.5μm以上2μm以下の範囲内である。その理由は、隔壁6の高さが高すぎる場合は、第二電極10(対向電極)の形成及び封止が妨げられ、隔壁6の高さが低すぎる場合は、第一電極4の端部を覆い切れず、また、発光媒体層8の形成時に隣接する画素と混色してしまうためである。
隔壁6の断面形状としては、順テーパ形状、逆テーパ形状等の台形状や、半円形等が挙げられ、また、多段状になっていても良い。ここで、隔壁6の断面形状が多段状である場合には、下の基板側の下段と上の基板側の上段とが異なる材料・形成方法であっても、同じ材料・形成方法であってもよい。この場合、例えば、下段はSiN等の無機材料からなり、上段は上述した材料からなる構成等が挙げられる。
[発光媒体層8]
次に、発光媒体層8の詳細な構成について説明する。発光媒体層8は、隔壁6内で第一電極4上に形成されて、第一電極4と第二電極10との間に挟持されており、正孔注入層12と、有機発光層14と、第一電子注入層16と、第二電子注入層17と、インターレイヤー層18を含んでいる。正孔注入層12は、電子または正孔を注入するキャリア注入層を構成しており、第一電極4上及び隔壁6上、具体的には、第一電極4上と、隔壁6上の全面とを覆うように形成されている。これにより、画素領域での膜形状が平坦になるため、画素ごとの膜厚を均一にすることが可能となる。
なお、正孔注入層12の詳細な構成については、後述する。有機発光層14は、発光に寄与する層であり、正孔注入層12上に形成されている。すなわち、正孔注入層12は、有機発光層14の下に形成されている。また、有機発光層14は、隔壁6から離れた部分
ほど厚さが減少しており、その中心において、厚さが最小となっている。なお、有機発光層14の詳細な構成については、後述する。第一電子注入層16と、第二電子注入層17は、電子を注入する層であり、有機発光層14上に形成されている。また、第一電子注入層16は隔壁6の上部を覆わないよう形成され、第二電子注入層17は隔壁6の一部を覆うように形成されている。なお、電子注入層の詳細な構成については、後述する。
インターレイヤー層18は、正孔注入層12と有機発光層14との間に形成されて、正孔注入層12及び有機発光層14と積層している。また、インターレイヤー層18は、電子注入層や電子ブロック層を形成している。また、発光媒体層8は、隔壁6内で第一電極4上に形成されることにより、有機EL素子1を、画素(サブピクセル)として配列することを可能とし、画像表示装置とすることが可能となる。すなわち、各画素を構成する有機発光層14を混色することなく、例えば、R(赤色)、G(緑色)及びB(青色)の三色に塗り分けることで、フルカラーのディスプレイパネルを作製することが可能となる。
[正孔注入層12]
次に、正孔注入層12の詳細な構成について説明する。正孔注入層12の膜厚は、20nm以上100nm以下の範囲内であることが好適である。これは、正孔注入層12の膜厚が20nmよりも薄くなると、ショート欠陥が生じやすくなり、また、正孔注入層12の膜厚が100nmを超えると、高抵抗化により低電流化してしまうためである。
正孔注入層12の材料としては、例えば、ポリアニリン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリビニルカルバゾール(PVK)誘導体、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)等が挙げられる。これらの材料は、溶媒に溶解または分散させ、スピンコーター等を用いた各種塗布方法や凸版印刷方法を用いることにより、正孔注入層12を形成する。
また、正孔注入層12の材料として無機材料を用いる場合、無機材料としては、例えば、CuO、Cr、Mn、FeOx(x〜0.1)、NiO、CoO、Pr、AgO、MoO、Bi、ZnO、TiO、SnO、ThO、V、Nb、Ta、MoO、WO、MnO等の無機材料を用いる。そして、蒸着法、または、スパッタリング法を用いて、正孔注入層12を形成する。ただし、上記の材料は、これらに限定されるものではない。
[有機発光層14]
次に、有機発光層14の詳細な構成について説明する。有機発光層14は、正孔と電子を再結合させることで発光する層であり、有機発光層14から放出される表示光が単色の場合は、インターレイヤー層18を被覆するように形成するが、多色の表示光を得るためには、必要に応じてパターニングを行うことにより、好適に用いることが可能である。
有機発光層14を形成する有機発光材料は、例えば、クマリン系、ペリレン系、ピラン系、アンスロン系、ポルフィレン系、キナクリドン系、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系、ナフタルイミド系、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系、イリジウム錯体系等の発光性色素を、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール等の高分子中に分散させたものや、ポリアリーレン系、ポリアリーレンビニレン系やポリフルオレン系の高分子材料が挙げられるが、本実施形態では、これらの材料に限定するものではない。
また、上記の有機発光材料は、溶媒に溶解または安定に分散させることにより、有機発光インキとなる。ここで、有機発光材料を溶解または分散する溶媒としては、トルエン、キシレン、アセトン、アニソール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シク
ロヘキサノン等の単独、または、これらの混合溶媒が挙げられる。特に、トルエン、キシレン、アニソールといった芳香族有機溶媒が、有機発光材料の溶解性の面から好適である。また、上記の有機発光インキには、必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等が添如されていてもよい。
[第一電子注入層16、第二電子注入層17]
以下、第一電子注入層16と第二電子注入層17の詳細な構成について説明する。本発明においては、有機発光層14の厚みにより最適なキャリアバランスが異なるため、膜厚分布が存在する有機発光層14上に設けた電子注入層は第一電子注入層16と第二電子注入層17に分けて形成させている。第一電子注入層16及び第二電子注入層17の材料としては、透過性が高く、有機発光層14への電子注入効率が高い、さらに仕事関数の小さい材料を用いる。この場合、具体的な材料としては、Ca、Cs、LiF、BaF2等の、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の化合物が挙げられる。これ以外にも、電子注入層16の材料としては、例えば、有機材料として、A1q3等が挙げられる。前述で挙げた材料の中から、キャリアバランスを考慮し第一電子注入層16と第二電子注入層17の材料選択を行う。例えば、前述で設けた有機発光層14が電子輸送性の高い材料であれば、有機発光層14の膜厚が厚くなると導電性が悪くなり電子の注入性が低下するため、厚膜部上には仕事関数が小さいなど電子注入性が高くなる材料を選択することが好ましい。また、有機発光層14が正孔輸送性の高い材料であれば、逆にキャリアバランスを考え厚膜部上に仕事関数が高いなど電子注入性の低くなる材料を選択する。ただし、上述した材料の選定に限定するものではない。
第一電子注入層16と第二電子注入層17の形成領域としては、有機発光層14の中心から隔壁6へ向かう方向で、有機発光層14の膜厚が中心部の膜厚に対して0〜30nm未満まで増加する領域には第一電子注入層16を設け、有機発光層14の膜厚が中心部の膜厚に対して30nm以上増加する領域には第二電子注入層17が設けられているように形成されている。また、第一電子注入層16は有機発光層14の中心から隔壁6へ向かう方向へ、画素内の中心発光強度から50%低下する領域まで設けるように形成されている。
[第二電極10]
第二電極10は、基板2及び発光媒体層8上に形成されており、第一電極4と対向している。ここで、第二電極10は、例えば、第一電子注入層16及び第二電子注入層への、水や酸素の浸入を防ぐために、隔壁6及び発光媒体層8全体を覆うように形成する。第二電極10の材料としては、第二電極10を陰極とする場合には、例えば、Mg、A1、Yb等の金属単体を用いる。
[封止体]
有機EL素子1を、前述したトップエミッション方式で作成する場合、発光媒体層8から、基板2と反対側の封止体を通して放射される表示光を取り出すためには、可視光波長領域に対して、光透過性が必要となる。また、有機EL素子1は、電極(第一電極4、第二電極10)間に発光材料(発光媒体層8)を挟み、電流を流すことで発光させることが可能であるが、有機発光層14の材料である有機発光材料は、大気中の水分や酸素によって容易に劣化してしまう。このため、通常、有機EL素子1には、外部と遮断するための封止体(図示せず)を設ける。このような封止体は、例えば、封止材上に樹脂層を設けて形成することが可能である。
上記の封止材の材料としては、水分や酸素の透過性が低い基材を用いる必要がある。ここで、封止材の材料としては、例えば、アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素等のセラミックス、無アルカリガラス、アルカリガラス等のガラス、石英、耐湿性フィルム等を挙げることができる。耐湿性フィルムとしては、例えば、プラスチック基材の両面にSiOxを
CVD法で形成したフィルムや、透過性の小さいフィルムと吸水性のあるフィルム、または、吸水剤を塗布した重合体フィルム等がある。ここで、耐湿性フィルムの水蒸気透過率は、10−6g/m/day以下であることが好適である。
封止材上に設ける樹脂層の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン樹脂等からなる光硬化型接着性樹脂、熱硬化型接着性樹脂、二液硬化型接着性樹脂や、エチレンエチルアクリレート(EEA)ポリマー等のアクリル系樹脂、エチレンビニルアセテート(EVA)等のビニル系樹脂、ポリアミド、合成ゴム等の熱可塑性樹脂や、ポリエチレンやポリプロピレンの酸変性物等の熱可塑性接着性樹脂を挙げることができる。
また、樹脂層を封止材の上に形成する方法としては、例えば、溶剤溶液法、押出ラミネーション法、溶融・ホットメルト法、カレンダー法、ノズル塗布法、スクリーン印刷法、真空ラミネート法、熱ロールラミネート法等を挙げることができる。この場合、必要に応じて、吸湿性や吸酸素性を有する材料を含有させることも可能である。ここで、封止材上に形成する樹脂層の厚みは、封止する有機EL表示装置の大きさや形状により任意に決定されるが、5μm以上500μm以下の範囲内が好適である。
上記の説明では、封止体を、封止材上に樹脂層として形成したが、封止体を、有機EL素子1側に、直接形成することも可能である。また、有機EL素子1と封止体との貼り合わせは、封止室で行う。ここで、封止体を、封止材と樹脂層の二層構造とし、樹脂層に熱可塑性樹脂を使用した場合は、加熱したロールで圧着のみ行うことが好適である。一方、樹脂層に熱硬化型接着樹脂を使用した場合は、加熱したロールで圧着した後、さらに、硬化温度で加熱硬化を行うことが好適である。また、樹脂層に光硬化性接着樹脂を使用した場合は、ロールで圧着した後、さらに光を照射することで硬化を行うことが可能である。
また、上述したような封止材を用いて封止を行う前や、その代わりに、例えば、パッシベーション膜として、EB蒸着法やCVD法等のドライプロセスを用いて、窒化珪素膜等無機薄膜による封止体を用いることも可能である。また、これらを組み合わせた封止体を用いることも可能である。この場合、上述したパッシベーション膜の膜厚は、100nm以上500nm以下の範囲内とすることが可能である。特に、材料の透湿性や、光透過性等により異なるが、パッシベーション膜の膜厚を、150nm以上300nm以下の範囲内とすることが好適である。また、有機EL素子1を、前述したトップエミッション型の構造とした場合、上記の特性に加え、光透過性を考慮する必要があるため、可視光波長領域の全平均で70%以上であれば好適である。
[有機EL素子1の製造方法]
以下、図1及び2を参照しつつ、図3を用いて、本発明の有機EL素子1の製造方法を説明する。有機EL素子1を製造する際には、まず、基板2上に第一電極4を形成する第一電極形成工程を行う。すなわち、有機EL素子1の製造方法には、第一電極形成工程を含む。第一電極形成工程において、第一電極4を形成する方法としては、第一電極4の材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の乾式成膜法を用いることが可能である。また、第一電極4を形成する方法としては、乾式成膜法以外にも、グラビア印刷法や、スクリーン印刷法等の湿式成膜法等を用いることが可能である。
ここで、第一電極4のパターニング方法としては、第一電極4の材料や成膜方法に応じて、マスク蒸着法、フォトリソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法等の既存のパターニング法を用いることが可能である。なお、基板2としてTFTを形成した基板(図2参照)を用いる場合は、下層の画素に対応して導通を図ることができるよ
うに形成する。
そして、基板2上に第一電極4を形成した後、第一電極4の周囲を囲む隔壁6を基板2上に形成する隔壁形成工程を行う。すなわち、有機EL素子1の製造方法には、隔壁形成工程を含む。隔壁形成工程において、第一電極4を形成した基板2上に隔壁6を形成する方法としては、例えば、第一電極4を形成した基板2上に無機膜を一様に形成し、レジストでマスキングした後、ドライエッチングを行う方法や、第一電極4を形成した基板2上に感光性樹脂を積層し、フォトリソ法により所定のパターンとする方法が挙げられる。
また、必要に応じて、隔壁6の材料に、撥水剤を添加することや、プラズマやUVを照射して、隔壁6の形成後に、隔壁6に対して、インクに対する撥液性を付与することも可能である。隔壁形成工程により基板2上に隔壁6を形成した後、発光媒体層8を第一電極4上に形成する発光媒体層形成工程を行う。すなわち、有機EL素子1の製造方法には、発光媒体層形成工程を含む。
発光媒体層形成工程は、正孔注入層12を第一電極4上を覆うように形成する正孔注入層形成工程と、有機発光層14を正孔注入層12上に形成する有機発光層形成工程と、第1電子注入層16と第2電子注入層17を有機発光層14上に形成する電子注入層形成工程を含む。正孔注入層形成工程では、正孔注入層12の材料に応じて、正孔注入層12の材料を溶媒に溶解または分散させ、スピンコーター等を用いた各種塗布方法やスリットコート法、スプレーコート法、バーコート法、ディップコート法、凸版印刷法によって形成する方法や、抵抗加熱蒸着法によって形成する方法を用いる。
また、これらの方法以外に、例えば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等のドライ成購法や、スピンコート法、ゾルゲル法等のウェット成膜法等、既存の成膜法を用いてもよい。ここで、発光媒体層8が含む層(正孔注入層12、有機発光層14、第1電子注入層16、第2電子注入層17)のうち少なくとも一つの層は、ウェットプロセス法を用いて形成する。
有機発光層形成工程では、有機発光層14の材料に応じて、インクジェット印刷法、ノズルプリント印刷法、凸版印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等のウェット成膜法等既存の成膜法を用いる。特に、有機発光材料を、溶媒に溶解、または、安定に分散させた有機発光インキを用いて、有機発光層14を各発光色に塗り分ける場合には、隔壁6間にインキを転写してパターニングできるインクジェット法、ノズルプリント法、凸版印刷法が好適である。
すなわち、有機発光層形成工程では、第一電極4上を覆うように形成された正孔注入層12上に、有機発光層14の材料である有機発光材料を溶媒に溶解または分散させた有機発光インキを塗工して、有機発光層14をパターン化して形成する。また、有機発光層形成工程は、印刷法、インクジェット法及びノズルプリント法のうちいずれかを用いて行う。なお、上述した成膜法以外の方法を用いて、有機発光層14を形成してもよい。
ここで、図3を用いて、凸版印刷法により、有機発光層14を形成する手順を説明する。図3は、凸版印刷法に用いる凸版印刷装置36の概略構成を示す図である。図3に示すように、凸版印刷装置36は、有機発光材料からなる有機発光インキを、第一電極4、正孔注入層12、インターレイヤー層18が形成された基板2上にパターン印刷する際に用いる装置であり、インクタンク38と、インキチャンバー40と、アニロックスロール42と、凸部が設けられた凸版44がマウントされた版胴46を有している。
インクタンク38には、溶剤で希釈された有機発光インキが収容されており、インキチ
ャンバー40には、インクタンク38から、有機発光インキが送り込まれるようになっている。アニロックスロール42は、インキチャンバー40のインキ供給部に接して、インキチャンバー40へ回転可能に支持されている。
上記のパターン印刷を行う際には、アニロックスロール42の回転に伴い、アニロックスロール42の表面に供給された有機発光インキのインキ層48が、均一な膜厚に形成される。このインキ層48のインキは、アニロックスロール42に近接して回転駆動される版胴46にマウントされた凸版44の凸部に転移する。そして、ステージ50に、被印刷基板(基板2)が設置されており、凸版44の凸部にあるインキが基板2に対して印刷され、必要に応じて乾燥工程を経て、基板2上に有機発光層14が形成されることとなる。
なお、他の発光媒体層(例えば、インターレイヤー層18)をインキ化して塗工する場合についても、上記と同様の形成方法を用いて、基板2上に層を形成することが可能である。ここで、本実施形態の有機EL素子1は、発光媒体層8が、正孔注入層12と、有機発光層14と、電子注入層16に加え、インターレイヤー層18を含んでいる。このため、本実施形態では、有機発光層形成工程の後工程として、インターレイヤー層18を形成するインターレイヤー層形成工程を行う。すなわち、本実施形態では、発光媒体層形成工程が、インターレイヤー層18を形成するインターレイヤー層形成工程を含んでいる。
インターレイヤー層形成工程において、インターレイヤー層18を形成する際には、インターレイヤー層18の材料として、ポリビニルカルバゾール、またはその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体、アリールアミン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等の、芳香族アミンを含むポリマー等を用い、これらの材料を、溶媒に溶解または分散させ、スピンコーター等を用いた各種塗布方法やインクジェット法、ノズルプリント法、凸版印刷法、スリットコート法、バーコート法を用いて形成する。
次に、画素内の有機発光層上に形成する各電子注入層の成膜工程として、図4(a)、(b)、(c)に示す異なるマスクパターンを用いて成膜する。第一電子注入層16は図4(a)のような中心部が空洞かつ隔壁上部を覆わないマスクで、第二電子注入層17は図4(b)、(c)のような中心部が遮蔽かつ隔壁上部の一部を覆うマスクでパターン形成する。ただし、上述したこれらマスクパターンに限定するものではない。成膜手法としては材料に応じ、抵抗過熱法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法等を用いて、第一電子注入層16及び第二電子注入層17を形成する。
上述した発光媒体層形成工程により発光媒体層8を形成した後、基板2及び発光媒体層8上に、第二電極10を形成する第二電極形成工程を行う。すなわち、有機EL素子1の製造方法には、第二電極形成工程を含む。第二電極形成工程において、第二電極10を形成する方法としては、第二電極10の材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の乾式成膜法を用いることが可能である。第二電極10を形成した後、上述した封止体を形成して、有機EL素子1の製造を終了する。
以上説明した如く、本実施形態の有機EL素子1の構成、及びその製造方法であれば、最適なキャリアバランスを考慮して有機発光層14上に形成する第一電子注入層16と第二電子注入層17の形成領域を分けることで、有機発光層14の膜厚の厚い部分が発光し、かつ輝度が向上する。その結果、画素内での発光領域が拡がりかつ画素内全輝度の増加が可能な、有機EL素子1及びその製造方法を提供することが可能となる。
本発明の有機EL素子は、上述した実施形態例以外にも可能であり、例えば、以下に列挙する構成及び製造方法が可能である。
(1)本実施形態の有機EL素子1では、発光媒体層8の構成を、正孔注入層12と、有機発光層14と、インターレイヤー層18を含んでいる構成としたが、これに限定するものではなく、発光媒体層8の構成を、インターレイヤー層18を含んでいない構成としてもよい。
(2)本実施形態の有機EL素子1の製造方法では、発光媒体層形成工程が、インターレイヤー層18を形成するインターレイヤー層形成工程を含んでいるが、これに限定するものではなく、発光媒体層形成工程が、インターレイヤー層形成工程を含んでいなくともよい。
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
図1から図4を参照しつつ、図5を用いて、上述した第一実施形態の有機EL素子1と、比較例の有機EL素子を製造し、両者に対する物性の評価を行った結果について説明する。なお、以下の説明では、第一実施形態の有機EL素子1を、「本発明例の有機EL素子」と記載する。同様に、以下の説明では、比較例の有機EL素子を、「比較例の有機EL素子」と記載する。
<実施例1>
本発明例の有機EL素子を製造する際に、基板2として、基板2上に設けられたスイッチング素子として機能する薄膜トランジスタ20と、その上方に形成された第一電極4(画素電極)とを備えたアクティブマトリクス基板を用いた。また、アクティブマトリクス基板(基板2)のサイズは、200mm×200mmである。さらに、上記のアクティブマトリクス基板は、その中に5型の、画素数が320×240のディスプレイが中央に配置されている。
まず、上記のアクティブマトリクス基板上に、スパッタ法を用いて、厚さ150nmのITO膜を形成し、これを第一電極4とした。さらに、第一電極4の周囲を囲んで画素を区画するような形状で、隔壁6を形成した。ここで、隔壁6を形成する際には、まず、アクリル系のフォトレジスト材料を、アクティブマトリクス基板の全面に厚さ2μmで形成した後、上記のフォトレジスト材料に対して、フォトリソグラフィ法により、第一電極4上に幅30μmの隔壁6を形成した。各画素の幅は80μm×150μmとなった。
次に、上記のように形成した第一電極4及び隔壁6上に、厚さ20nmの酸化モリブデン(MoOx)を、スパッタリング製膜により成膜して、正孔注入層12を形成した。そして、インターレイヤー層18の材料であるポリビニルカルバゾール誘導体を、濃度が0.5%となるようにトルエンに溶解させたインキを用いて、上記のアクティブマトリクス基板を印刷機にセッティングし、絶縁層に挟まれた第一電極4の真上に、そのラインパターンに合わせて、凸版印刷法で印刷し、その後乾燥を行った。このとき、300線/2.54cmのアニロックスロール及び感光性樹脂版を使用した。インターレイヤー層18の狙い膜厚は、20nmとして印刷した。
次に、有機発光材料であり、かつ電子輸送性の高いポリフェニレンビニレン誘導体を用いて、その濃度が1%となるようにトルエンに溶解させて有機発光インキとし、上記のアクティブマトリクス基板を印刷機にセッティングし、絶縁層に挟まれた第一電極4の真上に、そのラインパターンに合わせて、有機発光層14を凸版印刷法で印刷し、その後乾燥を行った。このとき、150線/2.54cmのアニロックスロール42及び水現像タイプの感光性樹脂板を使用した。有機発光層14の狙い膜厚は60nmとして印刷した。
次に、第一電子注入層16と第二電子注入層17を、第一電子注入層16には図4(a
)に示したメタルマスクを用いて、第二電子注入層17には図4(b)及び(c)に示したメタルマスクを用いて、真空蒸着法により成膜する。材料の選択としては、有機発光層14に電子輸送性の高い材料を用いているため、第一電子注入層16にはCa(LUMO:2.9eV)を、第二電子注入層17にはCs(LUMO:1.9eV)を用いて、膜厚はそれぞれ4nm形成した。これにより、第一電子注入層16を、有機発光層14の厚さが最も薄い中心から隔壁へ向かう方向へ、厚さが30nm未満厚い領域まで、さらに、画素内の中心発光強度の55%低下する領域まで形成した。第二電子注入層17は、有機発光層14の厚さが最も薄い中心から隔壁へ向かう方向へ、厚さが30nm以上増加する領域に形成した。
さらに、第二電極10として、アルミニウム膜を、メタルマスクを用いた真空蒸着法により、隔壁6及び発光媒体層8の上面を覆う広さで、厚みが150nmとなるように成膜した。そして、上記した第二電極10を成膜したアクティブマトリクス基板に対し、封止材としたガラス板を、発光領域全てをカバーするように載せた後、約90℃で一時間程度、接着剤を熱硬化させて封止を行った。
<比較例1>
比較例の有機EL素子は、第一電子注入層16を、有機発光層14全体を覆うように形成し、第二電子注入層17は形成せずに作製した。その他の材料、各層の厚さ、工程は、上述した実施例1と同様とした。
[実施例1及び比較例1の物性評価]
上記の手順によって得られた、実施例1と、比較例1の有機EL素子に対して、画素内の輝度分布を測定した。図5は、実施例1及び比較例1の有機EL素子の画素中心を通る短辺方向の画素幅に対しての輝度依存性を表したグラフである。図5に示すように、本発明の有機EL素子である実施例1の画素内発光領域は比較例1よりも拡がり、輝度比較では、比較例が90cd/mに対して本発明例が140cd/mと特性向上した結果を得た。
1・・・有機EL素子 2・・・基板 4・・・第1電極 6・・・隔壁
8・・・発光媒体層 10・・・第二電極 12・・・正孔注入層
14・・・有機発光層 16・・・第一電子注入層 17・・・第二電子注入層 18・・・インターレイヤー層 20・・・薄膜トランジスタ 22・・・活性層

24・・・ゲート絶縁膜 26・・・ゲート電極 28・・・ドレイン電極
30・・・ソース電極 32・・・走査線 34・・・トランジスタ絶縁膜
36・・・凸版印刷装置 38・・・インクタンク 40・・・インキチャンバー

42・・・アニロックスロール 44・・・凸版 46・・・版胴
48・・・インキ層 50・・・ステージ

Claims (7)

  1. 基板と、前記基板上に形成された第一電極と、前記基板上に形成され且つ前記第一電極の周囲を囲む隔壁と、前記隔壁内で前記第一電極上に形成された発光媒体層と、前記隔壁及び前記発光媒体層上に形成された第二電極と、を備える有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記発光媒体層は、前記隔壁から離れた部分ほど膜厚が減少している有機発光層を含み、前記有機発光層上に第一電子注入層と第二電子注入層が形成され、且つ、前記第一電子注入層は前記隔壁の上部を覆わないよう形成され、前記第二電子注入層は一部が前記隔壁を覆うように形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記有機発光層の中心から前記隔壁へ向かう方向で、前記有機発光層の膜厚が中心部の膜厚に対して0〜30nm未満まで増加する領域には前記第一電子注入層が設けられ、前記有機発光層の膜厚が中心部の膜厚に対して30nm以上増加する領域には、前記第二電子注入層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載する有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記第一電子注入層は、前記有機発光層の中心から前記隔壁へ向かう方向へ、発光強度が50%低下する領域まで設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載する有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記第一電子注入層及び前記第二電子注入層は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物を用いて形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載する有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記第一電子注入層及び前記第二電子注入層は、有機物を用いて形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載する有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記発光媒体層は、前記有機発光層の下に形成された正孔注入層を含むことを特徴とする請求項1に記載する有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載する有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    前記発光媒体層を構成する層のうち少なくとも1つの層は、ウェットプロセス法を用いて形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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