JP2012215834A - 液晶表示素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液晶表示素子は、一対の基板に液晶層が挟持されてなり、前記一対の基板のうちの1枚の前記液晶層側の面にはコモン電極、絶縁層、信号電極および液晶配向膜がこの順で形成されており、前記液晶層がポジ型液晶からなり、そして前記液晶配向膜のプレチルト角が0.2°以下である。
【選択図】図3
Description
これらとは別に、横縦電界方式の液晶表示素子としてIPSモード(In−Plane Switching Mode)の液晶表示素子が提案されている(特許文献1〜3および非特許文献1)。このIPSモードの液晶表示素子は、液晶層を挟持する一対の基板のうちの片方にのみ、それぞれが櫛型の形状を有する一対の電極を形成し、基板面に対して水平方向に電界を発生させて液晶を駆動する方式である。横電界方式の液晶表示素子は、液晶分子が基板と平行な方向にのみ電界応答するため、液晶分子の長軸方向の屈折率変化が問題とならず、視角を変えた場合でも、観察者に視認されるコントラストおよび表示色の濃淡の変化が少なく、従って視角によらず高品位な表示が可能となる。しかし、IPSモードの液晶表示素子は、電極上(櫛型電極の櫛歯の上部)においては液晶が電界応答しないため、縦電界方式の液晶表示素子と比べて開口率が低いという問題がある。
しかしFFSモードでは、駆動時における光線透過率が低くなる現象が生ずることによる表示不良が発生する場合があり、解決が求められている。
一対の基板に液晶層が挟持されてなり、
前記一対の基板のうちの1枚の前記液晶層側の面にはコモン電極、絶縁層、信号電極および液晶配向膜がこの順で形成されており、
前記液晶層がポジ型液晶からなり、そして
前記液晶配向膜のプレチルト角が0.2°以下であることを特徴とする、FFSモードの液晶表示素子によって達成される。
本発明の液晶表示素子は、視野角が広いとともに表示品位に極めて優れ、表示不良の発生が抑制されたものであるから、例えば液晶テレビジョン、携帯情報端末などに好適に適用することができる。
本発明の液晶表示素子は、一対の基板の間に液晶層が挟持されてなる。ここで使用される基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)、ポリ(脂環式オレフィン)の水素添加物などのプラスチックからなる透明基板などを用いることができる。基板の厚さとしては、0.3〜2mmとすることが好ましく、0.5〜1mmとすることがより好ましい。
本発明の液晶表示素子における一対の基板のうちの1枚の液晶層側の面にはコモン電極、絶縁層、信号電極および液晶配向膜がこの順で形成されている。
上記コモン電極としては、例えば酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。このコモン電極の形状としては、基板の一面に形成されたパターンを有さない、いわゆる「ベタ膜」であることができ、あるいは任意のパターンを有するパターン状電極であってもよい。コモン電極の厚さとしては、10〜200nmとすることが好ましく,20〜100nmとすることがより好ましい。コモン電極は、基板上に公知の方法、例えばスパッタ法などによって形成することができる。
上記絶縁層としては、例えば窒化ケイ素などからなるものであることができる。絶縁層の厚さとしては、100〜1,000nmとすることが好ましく,150〜750nmとすることがより好ましい。絶縁層は、コモン電極上に公知の方法、例えば化学気相蒸着法などによって形成することができる。
上記信号電極は、上記のコモン電極と同様の材料からなることができる。信号電極は、例えば複数の櫛歯を有する櫛状電極であることができる。この櫛状電極の櫛歯のそれぞれは、例えば直線状、「くの字」状などの形状を有することができる。
図1の信号電極は、共通の背部1から発する櫛歯2の複数を有する櫛状の信号電極である。図1の信号電極の櫛歯2は直線状の形状を有する。櫛歯2それぞれの幅aと、隣接する2つの櫛歯2の間の距離bとの比a/bは、好ましくは0.1〜5であり、より好ましくは0.5〜2である。本発明の液晶表示素子は、櫛歯2の上であっても液晶が電界応答し得るから、比a/bの値を過度に小さくしなくとも、高い開口率の画面を表示することができる。aおよびbそれぞれの値は、画面の大きさおよび画素の精細度によって適宜に設定されるべきであるが、例えば1〜20μmとすることができ、さらに5〜10μmとすることができる。背部1から櫛歯2が発する部分の角度ωは、例えば70〜110°とすることができ、75〜105°とすることが好ましい。
櫛歯2の長さLおよび数は、表示面積、画素数などに応じて適宜に設定されるべきである。
角度θが好ましくは90〜110°、より好ましくは92〜105°であって、且つ角度δが好ましくは160〜180°、より好ましくは165〜178°であり、ただし角度θが90°であって角度δが180°であることはないか;あるいは
角度θが好ましくは70〜90°、より好ましくは75〜88°であって、且つ角度δが好ましくは180〜200°、より好ましくは182〜195°であり、ただし角度θが90°であって角度δが180°であることはない。
図2の信号電極における櫛歯2が長さLの途中で方向を変える位置は、長さLの40〜60%の部分とすることができ、45〜55%の部分とすることが好ましい。
図2の信号電極におけるa、bおよびLの値ならびに櫛歯2の数は、図1の場合と同様である。
このような櫛状のパターンを有する信号電極を形成するには、例えばパターンなしの電極膜を形成した後にフォト・エッチングによりパターンを形成する方法、信号電極を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法などによることができる。
このような低いプレチルト角を示す液晶配向膜は、例えばポリアミック酸、ポリアミック酸のイミド化重合体、アクリル系樹脂およびポリオルガノシロキサンよりなる群から選択される少なくとも1種の有機高分子からなるものであることができる。本発明における液晶配向膜としては、ポリアミック酸、およびポリアミック酸のイミド化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種を含む有機高分子からなる液晶配向膜であることが好ましい。このような液層配向膜は、基板上に上記の好ましい有機高分子を含有する液晶配向剤を塗布して塗膜を形成し、次いで該塗膜を加熱する工程を経ることにより、形成することができる。
以下、本発明における好ましい液晶配向膜を形成するための液晶配向剤について説明する。
上記テトラカルボン酸二無水物としては、例えば脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:4,6:8−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオンなどを;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物などを、それぞれ挙げることができる。
上記ポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物および1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物よりなる群から選択される少なくとも1種を、全テトラカルボン酸二無水物に対して、10モル%以上含むものであることが好ましく、20モル%以上含むものであることがより好ましく、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物および1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物よりなる群から選択される少なくとも1種のみからなるものであることが、最も好ましい。
上記フルオレン構造を有するジアミンとしては、例えば2,7−ジアミノフルオレン、下記式(1)で表される化合物などを;
9,10−ジヒドロアントラセン構造を有するジアミンとしては、例えば下記式(2)で表される化合物などを、それぞれ挙げることができる。
R2は、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基またはハロゲン原子であり;
aは、それぞれ、0〜4の整数であり;そして
複数のaおよび複数のR1ならびに存在する場合には複数のR2は、それぞれ同一であっても相違していてもよい。)
上記式(1)で表される化合物としては、例えば下記式(1−1)〜(1−3)のそれぞれで表される化合物などを;
上記式(2)で表される化合物としては、例えば(2−1)〜(2−3)のそれぞれで表される化合物などを、それぞれ挙げることができる。
脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを;
芳香族ジアミンとして、例えばp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、3,5−ジアミノ安息香酸、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ブチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェノキシ)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)シクロヘキサン、ならびにフルオレン構造を有するジアミンおよび9,10−ジヒドロアントラセン構造を有するジアミンなどを;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンなどを、それぞれ挙げることができる。
ポリアミック酸を合成するにあたっては、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割合を、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合とすることが好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において、好ましくは−20℃〜150℃、より好ましくは0〜100℃において、好ましくは0.1〜24時間、より好ましくは0.5〜12時間行われる。
ここで、有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノールおよびその誘導体、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素などを挙げることができる。有機溶媒の具体例としては、例えばN−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、ブチルセロソルブ、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を好ましく使用することができる。
ポリアミック酸の脱水閉環は、好ましくはポリアミック酸を加熱する方法により、またはポリアミック酸を有機溶媒に溶解した溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。このうち、後者の方法によることが好ましい。
上記ポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用割合は、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとすることが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。脱水閉環触媒の使用割合は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとすることが好ましい。
脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。
脱水閉環反応の反応温度は好ましくは0〜180℃であり、より好ましくは10〜150℃である。反応時間は好ましくは1.0〜120時間であり、より好ましくは2.0〜30時間である。
テトラカルボン酸二無水物と、フルオレン構造を有するジアミンおよび9,10−ジヒドロアントラセン構造を有するジアミンよりなる群から選択される少なくとも1種を含むジアミンと、を反応させて得られるポリアミック酸、ならびに前記ポリアミック酸のイミド化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「特定重合体」ともいう。)を含む有機高分子を含有するものであることがより好ましい。
有機重合体が特定重合体以外の他の重合体を含有する場合、他の重合体としては、例えば特定重合体以外のポリアミック酸、該ポリアミック酸のイミド化重合体およびポリオルガノシロキサンよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明における液晶配向剤における特定重合体の含有割合としては、液晶配向剤中の有機高分子の全量に対して、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上であり、さらに好ましくは100重量%である。
液晶配向剤における有機高分子の含有割合としては、1〜10重量%とすることが好ましく、1.5〜9重量%とすることがより好ましい。
コモン電極、絶縁層および信号電極がこの順で形成された基板の信号電極上に、
上記の如き液晶配向剤を塗布して塗膜を形成し、次いで該塗膜を加熱する工程を経る方法によることができる。ここで、液晶配向剤の塗膜を基板の「信号電極上に」形成するとは、必ずしもその字義通りの意味に解釈するべきではない。例えば上記信号電極が複数の櫛歯を有する櫛状電極である場合には、櫛歯と隣接する他の櫛歯との間隙には絶縁層が露出しているから、上記の文言にかかわらず、液晶配向膜が信号電極上に形成されている領域と絶縁層上に形成されている領域とからなる場合を包含することは、当業者には自明であろう。
基板の信号電極上に液晶配向剤を塗布する方法としては、例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法などの適宜の塗布方法を挙げることができる。
形成された塗膜は、好ましくは予備加熱(プレベーク)し、次いで焼成(ポストベーク)することにより有機膜とすることができる。プレベーク条件は、例えば40〜120℃において0.1〜5分であり、ポストベーク条件は、好ましくは120〜300℃、より好ましくは150〜250℃において、好ましくは5〜200分、より好ましくは10〜100分である。
ポストベーク後の有機膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
液晶配向剤の塗布に際しては、信号電極または絶縁層と、形成される液晶配向膜との接着性をさらに良好にするために、信号電極および絶縁層上に、予め官能性シラン化合物、チタネート化合物などを塗布して加熱する前処理を施しておいてもよい。
このようにして形成された液晶配向膜に、公知の方法によりラビング処理を施してもよいが、本発明の効果を最大限に発揮するためには、ラビング処理は行わないことが好ましい。
対向基板は、液晶配向膜を有していても有していなくともよい。対向基板上に液晶配向膜を形成するには、基板としてコモン電極などが形成されていないものを用いるほかは、上述したところと同様にして行うことができる。対向基板は、液晶配向膜を有していることが好ましい。
本発明の液晶表示素子における液晶層は、ポジ型液晶からなる。このポジ型液晶としては、棒状のポジ型液晶が好ましい。
液晶層の厚さ(信号電極と対向基板との距離)は、3〜10μmとすることが好ましい。
第一の方法は、先ず一対の基板を間隙(セルギャップ)を介して対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせる。このとき、基板上に液晶配向膜などが形成されている基板の場合、その面が対向配置の内側を向くようにする。そして、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内にポジ型液晶を注入充填した後、注入孔を封止する方法であり、これにより、液晶表示素子を製造することができる。
第二の方法は、一対の基板のうちの一方の基板上(基板上に液晶配向膜などが形成されている基板の場合にはその面)の所定の場所に例えば紫外光硬化性のシール材を塗布し、さらに基板面(または液晶配向膜の面)上の所定の数箇所にポジ型液晶を滴下した後、他方の基板を(基板上に液晶配向膜などが形成されている基板の場合にはその面が下方となるように)貼り合わせるとともにポジ型液晶を基板の全面に押し広げ、次いで透明基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶表示素子を製造することができる。
そして、上記一対の基板の各外側表面に、好ましくは偏光板を貼り合わせる。
上記シール剤としては、例えばスペーサーとしての酸化アルミニウム球および硬化剤を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
一対の基板の各外側表面に貼付される偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と呼ばれる偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板、またはH膜そのものからなる偏光板などを挙げることができる。
本発明の液晶表示素子のうち、上記で説明した以外の事項については、先行技術文献に記載されたところと同様の態様、またはこれに当業者に自明のもしくは通常の想像力を発揮した結果による変更を加えた態様とすることができる。
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物44.83g(0.20モル)および上記式(1−1)で表される化合物69.69g(0.20モル)をγ−ブチロラクトン565gに溶解し、60℃において6時間反応を行った。
得られた反応溶液を大過剰のメタノールに注いで反応生成物を沈澱させた後、沈殿物を回収してメチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃において15時間乾燥することにより、ポリアミック酸112.3gを得た。このポリアミック酸の対数粘度(ηln)は1.22dl/gであった
上記で得られたポリアミック酸のうちの40.0gをγ−ブチロラクトン800gに溶解した溶液に、ピリジン35.2gおよび無水酢酸27.6gを添加して、110℃において4時間脱水閉環反応(イミド化反応)を行った。次いで、上記ポリアミック酸の場合と同様にして、反応生成物の沈殿・分離・洗浄・乾燥を行うことにより、イミド化重合体(PI−1)38.5gを得た。このイミド化重合体(PI−1)の対数粘度(ηln)は1.23dl/gであった。
上記合成例1において、上記式(1−1)で表される化合物に代えて上記式(1−2)で表される化合物75.29g(0.20モル)を使用したほかは合成例1と同様にして、対数粘度(ηln)が1.08dl/gであるポリアミック酸107.8gを得た。
次いで、上記ポリアミック酸のうちの40.0gを使用したほかは合成例1と同様に脱水閉環反応を行うことにより、イミド化重合体(PI−2)37.5gを得た。このイミド化重合体(PI−2)の対数粘度(ηln)は1.13dl/gであった。
合成例3
上記合成例1において、上記式(1−1)で表される化合物に代えて上記式(1−2)であらわされる化合物60.23g(0.16モル)およびp−フェニレンジアミン4.32g(0.04モル)を使用したほかは合成例1と同様にして、対数粘度1.15dl/gであるポリアミック酸107.2gを得た。
次いで、上記ポリアミック酸のうち40.0gを使用したほかは合成例1と同様に脱水閉環反応を行うことにより、イミド化重合体(PI−3)38.0gを得た。このイミド化重合体(PI−3)の対数粘度は1.17dl/gであった。
上記合成例1において、上記式(1−1)で表される化合物に代えて、p−フェニレンジアミン10.8g(0.10モル)および3,5−ジアミノ安息香酸3−コレスタニル52.3g(0.10モル)を使用したほかは合成例1と同様にして、対数粘度(ηln)が1.23dl/gであるポリアミック酸105.7gを得た。
次いで、上記ポリアミック酸のうちの40.0gを使用したほかは合成例1と同様に脱水閉環反応を行うことにより、イミド化重合体(pi−1)38.0gを得た。このイミド化重合体(rpi−1)の対数粘度(ηln)は1.34dl/gであった。
比較合成例2
上記合成例1において、上記式(1−1)で表される化合物に代えてp−フェニレンジアミン20.16g(0.20モル)を使用したほかは合成例1と同様にして、対数粘度1.25dl/gであるポリアミック酸63.7gを得た。
次いで、上記ポリアミック酸のうち40.0gを使用したほかは合成例1と同様に脱水閉環反応を行うことにより、イミド化重合体(rpi−2)37.8gを得た。このイミド化重合体(rpi−2)の対数粘度は1.28dl/gであった。
以下の実施例において、本発明の液晶表示素子を製造してその動作確認を行った。
図3に、実施例および比較例で製造した液晶表示素子の構造を説明するための断面図を示した。この液晶表示素子は、コモン電極、絶縁層、信号電極および液晶配向膜がこの順で形成された基板と、液晶配向膜のみが形成された対向基板と、に液晶層が挟持されてなる。
この液晶表示素子の信号電極は、直線状の櫛歯を有する櫛状電極である。コモン電極はパターンを有さない「ベタ膜」である。
この液晶表示素子は、基板の外側両面に、それぞれ偏光板(図示せず)が配置されており、図3における下側の基板の下方にバックライト(図示せず)を配置して、これと組み合わせて使用される。
<液晶配向剤の調製>
有機高分子として上記合成例1で得たイミド化重合体(PI−1)を、N−メチルピロリドン50重量部およびブチルセロソルブ50重量部からなる混合溶媒に溶解し、重合体濃度3重量%の溶液とした。この溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過することにより、液晶配向剤を調製した。
<液晶配向膜の形成>
コモン電極、絶縁層および信号電極がこの順で形成された基板の電極等形成面、ならびにこれらが形成されていない対向基板の片面に、それぞれ、スピンナーを用いて上記の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を80℃において1分間プレベークし、次いで200℃において1時間ポストベークを行うことにより、平均膜厚600Åの液晶配向膜を形成した。
<液晶表示素子の製造>
上記のようにしてそれぞれ液晶配向膜が形成された一対の基板を、液晶配向膜面が相対するように厚さ10μmのスペーサーを介して対向配置した後、液晶注入口を残して側面をシールした。液晶注入口から、棒状のポジ型液晶を注入した後、液晶注入口を封止した。
次いで、両基板の外側面にそれぞれ偏光板を貼付することにより、FFSモードの液晶表示素子を製造した。ここで、2枚の偏光板は、その偏光方向が互いに直交し、且つ信号電極の有する櫛歯の方向と平行または垂直となるように貼付した。
<液晶表示素子の動作確認>
上記で製造した液晶表示素子につき、電圧無印加時の可視光線透過率と、コモン電極と信号電極との間に交流5Vの電圧を印加したときの可視光線透過率とを測定した。結果は表1に示した。
さらに、駆動時における信号電極の櫛歯近傍の光漏れの有無を目視で調べたところ、光漏れは観察されず、リバースプレチルト不良が起こっていないことが推測された。
上記実施例1の<液晶配向剤の調製>において、有機高分子として表1に記載したものをそれぞれ使用したほかは、実施例1と同様にして液晶配向剤を調製し、これを用いて液晶表示素子を製造して動作確認を行った。
結果は表1に示した。
Claims (6)
- 一対の基板に液晶層が挟持されてなり、
前記一対の基板のうちの1枚の前記液晶層側の面にはコモン電極、絶縁層、信号電極および液晶配向膜がこの順で形成されており、
前記液晶層がポジ型液晶からなり、そして
前記液晶配向膜のプレチルト角が0.2°以下であることを特徴とする、フリンジ・フィールド・スイッチング・モードの液晶表示素子。 - 前記信号電極が複数の櫛歯を有する櫛状電極であり、前記櫛状電極の櫛歯のそれぞれが直線状または「くの字」状の形状を有する、請求項1に記載の液晶表示素子。
- 前記液晶配向膜が、ポリアミック酸、ポリアミック酸のイミド化重合体、アクリル系樹脂およびポリオルガノシロキサンよりなる群から選択される少なくとも1種の有機高分子からなるものである、請求項1または2に記載の液晶表示素子。
- 前記液晶配向膜が、
テトラカルボン酸二無水物と、フルオレン構造を有するジアミンおよび9,10−ジヒドロアントラセン構造を有するジアミンよりなる群から選択される少なくとも1種を含むジアミンと、を反応させて得られるポリアミック酸、ならびに
前記ポリアミック酸のイミド化重合体
よりなる群から選択される少なくとも1種を含む有機高分子からなるものである、請求項3に記載の液晶表示素子。 - テトラカルボン酸二無水物と、フルオレン構造を有するジアミンおよび9,10−ジヒドロアントラセン構造を有するジアミンよりなる群から選択される少なくとも1種を含むジアミンと、を反応させて得られるポリアミック酸、ならびに
前記ポリアミック酸のイミド化重合体
よりなる群から選択される少なくとも1種を含む有機高分子を含有し、そして
フリンジ・フィールド・スイッチング・モードの液晶表示素子における液晶配向膜を形成するために使用されることを特徴とする、液晶配向剤。 - コモン電極、絶縁層および信号電極がこの順で形成された基板の前記信号電極上に、
テトラカルボン酸二無水物と、フルオレン構造を有するジアミンおよび9,10−ジヒドロアントラセン構造を有するジアミンよりなる群から選択される少なくとも1種を含むジアミンと、を反応させて得られるポリアミック酸、ならびに
前記ポリアミック酸のイミド化重合体
よりなる群から選択される少なくとも1種を含む有機高分子を含有する液晶配向剤を塗布して塗膜を形成し、次いで該塗膜を加熱する工程を経ることを特徴とする、液晶配向膜の形成方法。
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