JP2012213787A - 鋳造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】キャビティ10Aを備えた鋳型10と、キャビティ10A内に形成される鋳造体7を鋳型10の少なくとも一端から強制冷却する冷却部20とを有する鋳造装置を用いた鋳造方法であって、冷却部20から最も離間した鋳造体7の遠隔部位に連通する補助キャビティ4Aと、補助キャビティ4A内に感熱部が位置するように配置された温度測定装置TC1とを設けておき、鋳造方法は注湯完了によって開始される自然放冷工程と、冷却部20による強制冷却工程とを連続的に備え、温度測定装置TC1による温度測定値の低下速度が、所定の回避すべき温度領域の上限に達する直前に加速されるように強制冷却工程を開始する鋳造方法。
【選択図】図2
Description
キャビティを備えた鋳型と、キャビティ内に形成される鋳造体を鋳型の少なくとも一端から強制冷却する強制冷却手段とを有する鋳造装置を用いた鋳造方法であって、
前記一端から最も離間した鋳造体の遠隔部位に連通する補助キャビティと、前記補助キャビティ内に感熱部が位置するように配置された温度測定手段とを設けておき、
前記鋳造方法は、
注湯完了によって開始される自然放冷工程と、前記強制冷却手段による強制冷却工程とを連続的に備え、
前記温度測定手段による温度測定値の低下速度が、所定の回避すべき温度領域の上限に達する直前に加速されるように、前記強制冷却工程を開始する点にある。
前記自然放冷工程における前記温度測定手段による温度測定値及び前記第2の温度測定手段による温度測定値に基づいて、前記強制冷却工程を開始する点にある。
(鋳造装置の構成)
図1及び図2は、本発明に係る鋳造方法を実施するための鋳造装置を示す。
この鋳造装置は、キャビティ10Aを備えた通気性鋳型10を有し、後述する8個の押し湯キャビティ5からキャビティ10Aに溶湯を注湯することで、キャビティ10A内に鋳造体2が形成される。
本願発明の技術は、一般に冷却が困難とされる大型鋳物(約200kg超)へ適用した場合に特に有効であり、以下の実施形態では、鋳造装置および後述する鋳造方法によって得られる鋳造体2から不要部を除去した最終製品7として、直径が約1m、重量が約800kgの比較的大型のポンプケーシングを想定している。
図1及び図2に示すように、最終製品7は上下方向に延びる軸心Xを備えた概して円筒状を呈する。
鋳造装置は、注湯完了から所定時間経過後に鋳造体2を強制冷却するための強制冷却手段20を有する。強制冷却手段20の具体的な形態としては、金型の内部などに配置した配管への水循環による冷却、通気性のある鋳型(例えばセラミック鋳型や砂型)への空気又は水又はその混合体(ミスト)等の冷媒吹き掛けによる冷却などが例示できる。図1、2に示す強制冷却手段20では、最終製品7を構成する円筒の内面(強制冷却手段による強制冷却を直接受ける少なくとも一端の一例)に相当する位置に、通気性鋳型10を介して冷媒が連続的に吹き掛けられる。吹き掛けられた冷媒は通気性鋳型10の連続気孔を介して鋳造体2の表面に達する。
補助キャビティは、最終製品の上面Fの外周側に形成された比較的薄い環状補助キャビティ3(強制冷却手段20から最も離間した遠隔部位の一例)と、環状補助キャビティ3の上端の一部から上方に延びる8個の押し湯キャビティ5と、隣接する2個の押し湯キャビティ5の間で上方に延びる小型の第1測温キャビティ4A(特に図2を参照)と、径方向に関して環状補助キャビティ3と円筒の内面との中間の位置で最終製品の上面Fから上方に延びる小型の第2測温キャビティ4B(特に図1を参照)とを有する。
熱電対TCは、第1測温キャビティ4Aの保護管12に挿通された第1熱電対TC1と、第2測温キャビティ4Bの保護管12に挿通された第2熱電対TC2と、押し湯キャビティ5の保護管12に挿通された第3熱電対TC3とからなる。
上記の鋳造装置を用いて鋳造体2を鋳造する方法は、通気性鋳型10を注湯される溶湯温度に適した温度に予熱する工程、溶湯を注湯する工程、注湯完了によって開始される自然放冷工程、自然放冷工程に続く強制冷却手段20による強制冷却工程、及び、強制冷却工程によって鋳造体2が十分に冷却された時点で通気性鋳型10から鋳造体2を取り出す工程を備えている。
回避すべき温度領域は、上述した二相ステンレス鋼におけるσ相形成温度域に限らない。例えば、耐熱鋼などリンや硫黄の偏析が生じ易い温度域(回避すべき温度領域)を有する鋼種の鋳造では、本発明の適用によってリンや硫黄の偏析を抑制することで溶接性が改善される。
図3に実施例として示すグラフ(TC1、TC2、TC3の測定値)及び表1の各数値は、鋳造完了後の自然放冷工程において第2熱電対TC2の測定値が1150℃(指標温度)に達した時点で強制冷却手段20による強制冷却工程を開始した場合の結果を示す。
その結果、第1熱電対TC1の温度は、約10分という短い時間で1000℃〜700℃のσ相形成温度域を通過することができ、表1に示すように第1熱電対TC1に位置する金属組織からは実質的にσ相は形成されなかった。
図3に比較例として示すグラフ(TC1、TC2の測定値)及び下記の表1の各数値は、第2熱電対TC2の測定値が1000℃に達した時点(注湯完了から約93分後)で強制冷却工程を開始した場合の結果を示す。
この比較例では、強制冷却工程の結果として、第1熱電対TC1の温度測定値の低下速度が、1000℃(σ相形成温度域の上限)を大きく下回った900℃付近(注湯完了から約120分後以上)でやっと幾らか急な下降を開始(加速)していることがわかる。
尚、第2熱電対TC2のその後の測定値を見ると、図3から理解されるように、約900℃に達する付近(注湯完了から約110分後)で幾らか急激な下降を開始(加速)している。その結果、第2熱電対TC2の温度は、1000℃〜700℃のσ相形成温度域を通過するのに約20分という長い時間を要し、表1に示すように、第2熱電対TC2に位置する金属組織に5%のσ相が観察された。
3 環状補助キャビティ(補助キャビティ)
4A 第1測温キャビティ(補助キャビティ)
4B 第2測温キャビティ(第2補助キャビティ)
7 最終製品
10 通気性鋳型
10A キャビティ
20 強制冷却手段
TC1 第1熱電対(温度測定手段)
TC2 第2熱電対(温度測定手段)
Claims (4)
- キャビティを備えた鋳型と、前記キャビティ内に形成される鋳造体を前記鋳型の少なくとも一端から強制冷却する強制冷却手段と、を有する鋳造装置を用いた鋳造方法であって、
前記一端から最も離間した鋳造体の遠隔部位に連通する補助キャビティと、前記補助キャビティ内に感熱部が位置するように配置された温度測定手段とを設けておき、
前記鋳造方法は、
注湯完了によって開始される自然放冷工程と、前記強制冷却手段による強制冷却工程とを連続的に備え、
前記温度測定手段による温度測定値の低下速度が、所定の回避すべき温度領域の上限に達する直前に加速されるように、前記強制冷却工程を開始する鋳造方法。 - 前記自然放冷工程における前記温度測定手段による温度測定値に基づいて、前記強制冷却工程を開始する請求項1に記載の鋳造方法。
- 前記一端と前記補助キャビティとの間に第2補助キャビティと、前記第2補助キャビティ内に感熱部が位置するように配置された第2の温度測定手段とを設けておき、
前記自然放冷工程における前記温度測定手段による温度測定値及び前記第2の温度測定手段による温度測定値に基づいて、前記強制冷却工程を開始する請求項2に記載の鋳造方法。 - 前記鋳造体が二相ステンレスであり、前記所定の回避すべき温度領域がσ相形成温度領域である請求項1から3のいずれか一項に記載の鋳造方法。
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