JP2019063860A - 構造体の製造方法 - Google Patents

構造体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019063860A
JP2019063860A JP2017195239A JP2017195239A JP2019063860A JP 2019063860 A JP2019063860 A JP 2019063860A JP 2017195239 A JP2017195239 A JP 2017195239A JP 2017195239 A JP2017195239 A JP 2017195239A JP 2019063860 A JP2019063860 A JP 2019063860A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
casting
temperature
manufacturing
wall portion
inner space
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017195239A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6792533B2 (ja
Inventor
碩 黄
Shuo Huang
碩 黄
山田 岳史
Takeshi Yamada
岳史 山田
伸志 佐藤
Shinji Sato
伸志 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2017195239A priority Critical patent/JP6792533B2/ja
Publication of JP2019063860A publication Critical patent/JP2019063860A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6792533B2 publication Critical patent/JP6792533B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)

Abstract

【課題】構造体を製造する際のリードタイムを短縮すると共に、製造コストを低減できる構造体の製造方法を提供する。【解決手段】構造体の製造方法は、アークを用いて溶加材Mを溶融及び凝固させた溶着ビード43を、ベース41上に積層し、構造体51の外殻55からなる積層壁部Wを積層造形する積層造形工程と、外殻55の内側空間45に鋳湯25を流し込んで鋳物部47を形成する鋳造工程と、を有する。鋳造工程において、鋳湯25が凝固する際の積層壁部Wの温度Twと鋳湯25の凝固温度T0との温度差ΔTを減少させる温度制御処理を行う。【選択図】図5

Description

本発明は、構造体の製造方法に関する。
機械部品の一製造方法である鋳造では、まず、製品の模型となる木型(金属、樹脂の場合もある)を製作し、その木型を基に砂型を造り、この砂型に溶融鋳鉄を流し込むことで、砂型のキャビティ内に鋳物品を形成する。しかし、このような鋳造においては、木型や砂型の製作に多くの工数を要し、完成品を得るまでのリードタイムが長くなる。更に、少量生産の場合には、木型や砂型のコストが製品に付加されて製造コストが嵩む要因となっていた。
一方、新規な生産手段として3Dプリンタを用いた造形のニーズが高まっており、金属材料を用いた造形の実用化に向けて研究開発が進められている。金属材料を造形する3Dプリンタは、レーザや電子ビーム、さらにはアーク等の熱源を用いて、金属粉体や金属ワイヤを溶融させ、溶融金属を積層させることで造形物を作製する。
このような溶融金属を積層して造形物を造形する技術として、溶着ビードを用いて金型を製造するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、金型の形状を表現する形状データを生成する工程と、生成された形状データに基づいて、金型を等高線に沿った積層体に分割する工程と、得られた積層体の形状データに基づいて、溶加材を供給する溶接トーチの移動経路を作成する工程と、を備える金型の製造方法が記載されている。
特許文献2には、金属積層造形法を用いて中空部を有する金属成形体を製造し、この金属成形体を鋳包んで中空部が外部と連通した鋳造品を製造する製造方法が記載されている。
特許第3784539号公報 特開2014−113610号公報
しかしながら、特許文献1の技術は、機械部品を大量に生産するための金型の製造方法に関するものであり、機械部品の製造、特に、少量生産される機械部品の製造方法については記載されていない。特許文献2の技術によると、金属積層造形法によって形成された金属成形体を鋳包んで、中空部を有する鋳物品を製造するため、金属成形体を鋳包むための砂型や砂型を製作するための木型が不可欠であり、リードタイムが長くなる。また、少量生産時には、木型や砂型のコストについての課題が残る。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、構造体を製造する際のリードタイムを短縮すると共に、製造コストを低減できる構造体の製造方法を提供することにある。
本発明は下記構成からなる。
(1) 構造体の製造方法であって、
アークを用いて溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを、ベース上に積層し、前記構造体の少なくとも外殻を有する積層壁部を積層造形する積層造形工程と、
前記外殻の内側の内側空間に鋳湯を流し込み、前記外殻の内側に鋳物部を形成する鋳造工程と、
を有し、
前記鋳造工程において、
前記鋳湯が凝固する際の前記積層壁部の温度と前記鋳湯の凝固温度との温度差を減少させる温度制御処理を行う構造体の製造方法。
本発明によれば、構造体を製造する際のリードタイムを短縮すると共に、製造コストを低減できる。
本発明の構造体の製造システムを模式的に示す概略構成図である。 内側空間に鋳湯を流し込んだ際の積層壁部及び鋳湯の温度変化を示すグラフ図である。 構造体の斜視図である。 構造体を積層造形する手順を段階的に示す工程説明図である。 構造体を積層造形する手順を段階的に示す工程説明図である。 構造体を積層造形する手順を段階的に示す工程説明図である。 構造体を積層造形する手順を段階的に示す工程説明図である。 第1実施形態に係る温度制御処理の実行時における内側空間に鋳湯を流し込んだ際の積層壁部及び鋳湯の温度変化を示すグラフ図である。 第2実施形態に係る温度制御処理の実行時における内側空間に鋳湯を流し込んだ際の積層壁部及び鋳湯の温度変化を示すグラフ図である。 第3実施形態に係る温度制御処理の実行時における内側空間に鋳湯を流し込んだ際の積層壁部及び鋳湯の温度変化を示すグラフ図である。 他の構造体の概略斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明の構造体は、外側の外殻を後述する積層造形により形成し、形成した外殻の内側空間に鋳湯を流し込み、外殻の内側に鋳物部を形成することで製造される。
図1は本発明の構造体の製造システムを模式的に示す概略構成図である。
本構成の製造システム100は、積層造形装置11と、鋳造装置13と、積層造形装置11を統括制御するコントローラ15と、を備える。コントローラ15は、鋳造装置13を含めて制御するものであってもよい。
積層造形装置11は、先端軸にトーチ17を有する溶接ロボット19と、トーチ17に溶加材(溶接ワイヤ)Mを供給する溶加材供給部23とを有する。
鋳造装置13は、不図示の加熱炉によって加熱された鋳湯25を貯留するるつぼ27を有し、不図示の注湯機構によって鋳湯25が所望の位置に供給可能となっている。これら積層造形装置11と鋳造装置13は、本構成においては、それぞれ既存の装置が用いられる。
コントローラ15は、CAD/CAM部31と、軌道演算部33と、記憶部35と、これらが接続される制御部37と、を有する。
溶接ロボット19は、多関節ロボットであり、先端軸に設けたトーチ17には、溶加材Mが連続供給可能に支持される。トーチ17の位置や姿勢は、ロボットアームの自由度の範囲で3次元的に任意に設定可能となっている。
トーチ17は、不図示のシールドノズルを有し、シールドノズルからシールドガスが供給される。アーク溶接法としては、被覆アーク溶接や炭酸ガスアーク溶接等の消耗式、TIG溶接やプラズマアーク溶接等の被消耗式のいずれであってもよく、作製する積層壁部Wに応じて適宜選定される。
例えば、消耗式の場合には、シールドノズルの内部にコンタクトチップが配置され、溶融電流が給電される溶加材Mがコンタクトチップに保持される。トーチ17は、溶加材Mを保持しつつ、シールドガス雰囲気で溶加材Mの先端からアークを発生させる。なお、溶加材Mは、ロボットアーム等に取り付けた不図示の繰り出し機構により溶加材供給部23からトーチ17に送給される。そして、トーチ17を移動しつつ、連続送給される溶加材Mを溶融及び凝固させると、ベースプレート41上に溶加材Mの溶融凝固体である線状の溶着ビード43が形成される。
CAD/CAM部31は、作製しようとする構造体の外殻となる積層壁部Wの形状データを作成した後、複数の層に分割して各層の形状を表す層形状データを生成する。軌道演算部33は、生成された層形状データに基づいてトーチ17の移動軌跡を求める。記憶部35は、生成された層形状データやトーチ17の移動軌跡等のデータを記憶する。
制御部37は、記憶部35に記憶された層形状データやトーチ17の移動軌跡に基づく駆動プログラムを実行して、溶接ロボット19を駆動する。
本構成の構造体の製造システム100は、積層造形装置11により、上記した積層壁部Wをベースプレート41上に造形する。即ち、溶加材Mを溶融及び凝固させた溶着ビード43を、ベースプレート41上の平面視で閉じられた線状の形にする。この溶着ビード43を順次に積層することで、溶着ビード43を隙間のない連続した状態で、閉じられた線状の層にして形成し、この線状の層を上下方向に隙間なく積層して、有底筒状の積層壁部Wを造形する。なお、ベースプレート41は、鋼板等の金属板からなり、基本的には積層壁部Wの底面(最下層の面)より大きいものが使用される。なお、ベースプレート41は、板状に限らず、棒状や他の形状のベースであってもよい。
そして、鋳造装置13は、造形された積層壁部Wの内側空間45に鋳湯25を流し込む。流し込んだ鋳湯25が凝固すると、積層壁部Wの内側空間45に鋳物部47が形成された構造体が得られる。
図2は、内側空間45に鋳湯25を流し込んだ際の積層壁部Wの温度(図2における実線)及び鋳湯25の温度(図2における一点鎖線)の変化を示すグラフ図である。
図2に示すように、内側空間45に鋳湯25を流し込むと、積層壁部Wは、流し込まれた鋳湯25によって昇温され、鋳湯25は、積層壁部Wへ熱が伝達されることで降温される。降温される鋳湯25は、凝固温度T0に達することで、凝固を開始し、その後、積層壁部Wとともに降温して硬化する(図2における一点鎖線参照)。これにともない、外殻55からなる積層壁部Wは、内側空間45に流し込まれた鋳湯25によって一旦温度上昇した後、鋳湯25とともに降温する(図2における実線参照)。
ところで、鋳湯25が凝固を開始する凝固温度T0となった際(図2におけるtgのタイミング)に、この凝固温度T0に対して積層壁部Wの温度Twが低く、温度差ΔT(ΔT=T0−Tw)が生じることがある。すると、鋳湯25と積層壁部Wとは、異なる温度履歴で冷却されることとなり、熱収縮量に差が生じ、機械的性質の不均一、鋳物部47における残留応力、引け巣等の欠陥や亀裂などの割れが発生し、品質の低下を招くおそれがある。
このため、本実施形態では、内側空間45へ鋳湯25を流し込んで鋳物部47を形成する鋳造工程において、鋳湯25が凝固する際の積層壁部Wの温度Twと鋳湯25の凝固温度T0との温度差ΔTを減少させる温度制御処理を行いつつ、構造体51を製造する。
次に、本構成の製造システム100により積層壁部Wを造形し、更に鋳物部47を形成して構造体51を得るまでの具体的な手順について詳述する。
<第1実施形態>
図3は構造体51の概略斜視図である。
本構成の構造体51は、積層壁部Wと、積層壁部Wの内側空間45に鋳湯25を流し込んで凝固させた鋳物部47とを有する。
積層壁部Wは、外殻55を有する。外殻55は、上方へ向かって次第に窄まる筒状に形成されている。
上記構成の構造体51は、図1に示すCAD/CAM部31が、構造体51の形状データを有し、この形状データに基づいて、互いに平行に分割された各層P(1),P(2),…,P(n)の層形状データを生成する。
次に、軌道演算部33が、各層形状データに基づいて、各層P(1),P(2),…,P(n)におけるトーチ17(図1参照)の移動軌跡を生成し、溶接ロボット19の駆動プログラムを生成する。そして、制御部37は、生成された駆動プログラムに基づいて溶接ロボット19を駆動する。
図4A〜図4Dは構造体51を積層造形する手順を段階的に示す工程説明図である。
図4Aに示すように、ベースプレート41上に第1層目の移動軌跡に沿ってトーチ17を移動させ、第1層目の溶着ビード43を形成する。
この場合、溶加材Mとベースプレート41がアークにより溶融して、溶加材Mがベースプレート41上に隆起して盛り付けられる。ベースプレート41上の外殻55となる第1層目は、軌道演算部33により求めた適宜な順序で形成される。
以降、同様にして、複数の層P(1),P(2),…,P(n)の溶着ビード43を形成する移動軌跡に沿ってトーチ17を移動させ、複数の層P(1),P(2),…,P(n)の溶着ビード43を順次積層し、最終的に、図4Bに示すように、第n層目の溶着ビード43を形成する。このように、上記した外殻造形工程(積層造形工程)によって、積層壁部Wが造形される。
そして、図4Cに示すように、積層壁部Wの外殻55によって画成される内側空間45に、鋳湯25を流し込んで凝固させる鋳造工程を行い、鋳物部47を形成する。
この鋳造工程において、鋳湯25が凝固する際の積層壁部Wの温度Twと鋳湯25の凝固温度T0との温度差ΔTを減少させる温度制御処理を行う。
図5は、第1実施形態に係る温度制御処理の実行時における内側空間45に鋳湯25を流し込んだ際の積層壁部Wの温度(図5における実線及び点線)及び鋳湯25の温度(図5における一点鎖線)の変化を示すグラフ図である。
図5に示すように、鋳湯25を内側空間45へ流し込む前に、外殻55からなる積層壁部Wを予熱し、その後、内側空間45へ鋳湯25を流し込む。そして、積層壁部Wを予熱しておくことで、内側空間45へ流し込んだ鋳湯25が凝固する際の鋳湯25及び積層壁部Wの温度を凝固温度T0以上とする。このようにすると、積層壁部Wは、予熱しない場合(図5における点線参照)に対して、鋳湯25の流し込み開始時の温度上昇が引き上げられる(図5における実線参照)。これにより、内側空間45へ流し込んだ鋳湯25が凝固温度T0に達した際に(図5におけるtgのタイミング)、積層壁部Wの温度Twがほぼ凝固温度T0とされ、これらの温度差ΔT(ΔT=T0−Tw)がほとんどなくされる。
鋳造工程において、上記の温度制御処理を行い、鋳物部47を形成したら、必要に応じて、図4Dに示すように、ワイヤーソーやダイヤモンドカッター等による切断機でベースプレート41を切断し、所望の形状の構造体51とする。
以上、説明したように、本実施形態に係る構造体の製造方法によれば、積層壁部Wを溶着ビード43の積層によって成形するので、鋳造のための型作製が不要となり、鋳造工数や型材料のコストを低減できると共に、構造体51を製造するリードタイムが短縮される。また、比較的高価な積層材料の使用が外殻55だけで済み、材料費を抑えて製造コストを低減できる。
また、本実施形態に係る製造方法では、鋳造工程において温度制御処理を行う。具体的には、鋳湯25を内側空間45へ流し込む前に、外殻55からなる積層壁部Wを予熱することで、鋳湯25が凝固する際の鋳湯25及び積層壁部Wの温度を凝固温度T0以上とする。これにより、内側空間45へ流し込んだ鋳湯25が凝固する際の積層壁部Wの温度Twと鋳湯25の凝固温度T0との温度差ΔTを減少させることで、凝固する鋳湯25と積層壁部Wとの熱収縮量の差を極力なくすことができる。これにより、機械的性質の不均一、鋳物部における残留応力、引け巣等の欠陥や亀裂などの割れの発生を抑制でき、高品質な構造体51を製造することができる。
次に、鋳造工程において行う温度制御処理の他の例である第2、第3実施形態について説明する。
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係る温度制御処理の実行時における内側空間45に鋳湯25を流し込んだ際の積層壁部Wの温度(図6における実線及び点線)及び鋳湯25の温度(図6における一点鎖線及び二点鎖線)の変化を示すグラフ図である。
図6に示すように、第2実施形態に係る温度制御処理では、内側空間45へ流し込む前の鋳湯25を、内側空間45へ流し込む際に、外殻55からなる積層壁部Wを凝固温度T0以上に加熱可能な温度に高めておく。このようにすると、内側空間45へ流し込んだ鋳湯25は、温度を高めない通常温度の場合(図6における二点鎖線参照)に対して、高い温度で変位するように温度履歴が引き上げられる(図6における一点鎖線参照)。したがって、この鋳湯25を内側空間45へ流し込むと、外殻55からなる積層壁部Wは、通常温度の鋳湯25を流し込んだ場合(図6における点線参照)に対して、高い温度で変位するように温度履歴が引き上げられる(図6における実線参照)。これにより、鋳湯25が凝固温度T0に降温する前に積層壁部Wが凝固温度T0以上に昇温される。したがって、内側空間45へ流し込んだ鋳湯25が凝固温度T0に達した際に(図6におけるtgのタイミング)、積層壁部Wの温度Twがほぼ凝固温度T0とされ、これらの温度差ΔT(ΔT=T0−Tw)がほとんどなくされる。
このように、第2実施形態によれば、内側空間45へ流し込む前の鋳湯25を、内側空間25へ流し込んだ際に、積層壁部Wを凝固温度T0以上に加熱可能な温度にすることで、鋳湯25が凝固する際の積層壁部Wの温度Twと鋳湯25の凝固温度T0との温度差ΔT(ΔT=T0−Tw)を極力なくすことができ、高品質な構造体51を製造することができる。
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態に係る温度制御処理の実行時における内側空間45に鋳湯25を流し込んだ際の積層壁部Wの温度(図7における実線及び点線)及び鋳湯25の温度(図7における一点鎖線)の変化を示すグラフ図である。
第3実施形態に係る温度制御処理では、外殻55からなる積層壁部Wの肉厚を、内側空間45へ鋳湯25を流し込んだ際に、鋳湯25によって凝固温度T0以上に昇温可能な厚さにする。この状態で、鋳湯25を内側空間45へ流し込むと、図7に示すように、外殻55からなる積層壁部Wは、通常の厚みの場合(図7における点線参照)に対して、鋳湯25の流し込み後の温度上昇が引き上げられる(図7における実線参照)。これにより、積層壁部Wは、鋳湯25が凝固温度T0に降温する前に凝固温度T0以上に昇温される。したがって、内側空間45へ流し込んだ鋳湯25が凝固温度T0に達した際に(図7におけるtgのタイミング)、外殻55からなる積層壁部Wの温度Twがほぼ凝固温度T0とされ、これらの温度差ΔT(ΔT=T0−Tw)がほとんどなくされる。
このように、第3実施形態によれば、積層壁部Wの肉厚を、内側空間45へ鋳湯25を流し込んだ際に、鋳湯25によって積層壁部Wが凝固温度T0以上に昇温可能となる厚さにすることで、鋳湯25が凝固する際の積層壁部Wの温度Twと鋳湯25の凝固温度T0との温度差ΔT(ΔT=T0−Tw)を極力なくすことができ、高品質な構造体51を製造することができる。
なお、上記第1〜第3実施形態に係る温度制御処理は、鋳造工程において、全ての温度制御処理を行ってもよく、または、それぞれの温度制御処理を組み合わせて行ってもよい。
また、上記実施形態では、構造体51が、内側空間45を形成する外殻55からなる積層壁部Wを備えた構造を例示して説明したが、構造体としては、外殻55のみを備えた構造に限らない。
ここで、他の構造体の例を説明する。なお、この他の構造体を製造する際の鋳造工程において行う温度制御処理としては、第1実施形態に係る温度制御処理を例にとって説明する。
図8は、他の構造体51Aの概略斜視図である。
図8に示すように、この構造体51Aは、ギヤポンプの外筒として使用される中空のケーシングである。この構造体51Aは、積層壁部WAと、積層壁部WAの内側空間45に鋳湯を流し込んで凝固させた鋳物部47Aとを有する。
積層壁部WAは、ギヤポンプの外筒の骨格を形成する断面略楕円形の外殻55と、外殻55の内側に形成された内殻57とを有する。内殻57は、2つの円筒体が互いの半径距離よりも近くに配置されて一つの内壁部として繋がった形状を有する。一対の部分円筒状の内壁によって画成された中空空間には、それぞれポンプのロータが挿入され、内殻57の内側面がロータの対向面となる。
上記構成の構造体51Aを製造する場合も、CAD/CAM部31は、図8に示すように、互いに平行に分割された各層P(1),P(2),…,P(n)の層形状データを生成する。そして、軌道演算部33が、各層形状データに基づいて、各層P(1),P(2),…,P(n)におけるトーチ17(図1参照)の移動軌跡を生成し、溶接ロボット19の駆動プログラムを生成する。そして、制御部37は、生成された駆動プログラムに基づいて溶接ロボット19を駆動し、複数の層P(1),P(2),…,P(n)の溶着ビード43を順次積層する。これにより、上記した積層方法による外殻造形工程(積層造形工程)及び内殻造形工程(積層造形工程)によって積層壁部WAが得られる。
そして、積層壁部WAである外殻55及び内殻57によって画成される内側空間45に、鋳湯25を流し込んで凝固させる鋳造工程を行い、鋳物部47Aを形成する。
この鋳造工程において、鋳湯25が凝固する際の積層壁部WAの温度Twと鋳湯25の凝固温度T0との温度差ΔTを減少させる温度制御処理を行う。
具体的には、図5に示すように、鋳湯25を内側空間45へ流し込む前に、外殻55及び内殻57からなる積層壁部WAを予熱し、その後、内側空間45へ鋳湯25を流し込む。そして、積層壁部WAを予熱しておくことで、内側空間45へ流し込んだ鋳湯25が凝固する際の鋳湯25及び積層壁部WAの温度を凝固温度T0以上とする。このようにすると、積層壁部WAは、予熱しない場合(図5における点線参照)に対して、鋳湯25の流し込み開始時の温度上昇が引き上げられる(図5における実線参照)。このようにすると、内側空間45へ流し込んだ鋳湯25が凝固温度T0に達した際に(図5におけるtgのタイミング)、外殻55及び内殻57からなる積層壁部WAの温度Twがほぼ凝固温度T0とされ、これらの温度差ΔT(ΔT=T0−Tw)がほとんどなくされる。
鋳造工程において、上記の温度制御処理を行い、鋳物部47を形成したら、必要に応じて、ワイヤーソーやダイヤモンドカッター等による切断機でベースプレート41を切断し、所望の形状の構造体51Aとする。
このように、外殻55及び内殻57からなる積層壁部WAを有し、外殻55と内殻57との間が鋳物部47Aとされた構造体51Aを製造する場合も、積層壁部WAを溶着ビード43の積層によって成形するので、鋳造のための型作製が不要となり、鋳造工数や型材料のコストを低減できると共に、構造体51Aを製造するリードタイムが短縮される。また、比較的高価な積層材料の使用が外殻55及び内殻57だけで済み、材料費を抑えて製造コストを低減できる。
しかも、この構造体51Aを製造する場合も、鋳造工程で行う温度制御処理によって、鋳湯25が凝固する際の積層壁部WAの温度Twと鋳湯25の凝固温度T0との温度差ΔTを減少させることで、凝固する鋳湯25と積層壁部Wとの熱収縮量の差を極力抑えることができる。これにより、機械的性質の不均一、鋳物部47Aにおける残留応力、引け巣等の欠陥や亀裂などの割れの発生を抑制でき、高品質な構造体51Aを製造することができる。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 構造体の製造方法であって、
アークを用いて溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを、ベース上に積層し、前記構造体の少なくとも外殻を有する積層壁部を積層造形する積層造形工程と、
前記外殻の内側の内側空間に鋳湯を流し込み、前記外殻の内側に鋳物部を形成する鋳造工程と、
を有し、
前記鋳造工程において、
前記鋳湯が凝固する際の前記積層壁部の温度と前記鋳湯の凝固温度との温度差を減少させる温度制御処理を行う構造体の製造方法。
この構造体の製造方法によれば、溶着ビードの積層によって積層壁部を成形するので、鋳造のための型作製が不要となり、鋳造工数や型材料のコストを低減できると共に、構造体を製造するリードタイムが短縮される。また、比較的高価な積層材料の使用が積層壁部だけで済み、材料費を抑えて製造コストを低減できる。
また、温度制御処理によって、鋳湯が凝固する際の積層壁部の温度と鋳湯の凝固温度との温度差を減少させることで、凝固する鋳湯と積層壁部との熱収縮量の差を極力抑えることができる。これにより、機械的性質の不均一、鋳物部における残留応力、引け巣等の欠陥や亀裂などの割れの発生を抑制でき、高品質な構造体を製造することができる。
(2) 前記積層壁部は、前記外殻の内側に形成された内殻を備え、
前記積層造形工程は、前記ベース上に、前記外殻及び前記内殻の形状に沿って前記溶着ビードを積層して、前記外殻及び前記内殻を積層造形し、
前記鋳造工程は、前記外殻と前記内殻との間の前記内側空間に前記鋳湯を流し込む(1)に記載の構造体の製造方法。
この構造体の製造方法によれば、温度制御処理によって、鋳湯が凝固する際の外殻及び内殻からなる積層壁部の温度と鋳湯の凝固温度との温度差を減少させることで、凝固する鋳湯と積層壁部との熱収縮量の差を極力抑えることができる。これにより、機械的性質の不均一、鋳物部における残留応力、引け巣等の欠陥や亀裂などの割れの発生を抑制でき、高品質な構造体を製造することができる。
(3) 前記温度制御処理は、
前記鋳湯を前記内側空間へ流し込む前に、
前記積層壁部を予熱することで、前記鋳湯が凝固する際の前記鋳湯及び前記積層壁部の温度を前記凝固温度以上とする(1)または(2)に記載の構造体の製造方法。
この構造体の製造方法によれば、鋳湯を内側空間へ流し込む前に、積層壁部を予熱することで、鋳湯が凝固する際の鋳湯及び積層壁部の温度を凝固温度以上とし、鋳湯が凝固する際の積層壁部と鋳湯との温度差を極力なくすことができ、高品質な構造体を製造することができる。
(4) 前記温度制御処理は、
前記内側空間へ流し込む前の前記鋳湯を、前記内側空間へ流し込んだ際に、前記積層壁部を前記凝固温度以上に加熱可能な温度にする(1)から(3)のいずれか一つに記載の構造体の製造方法。
この構造体の製造方法によれば、内側空間へ流し込む前の鋳湯を、内側空間へ流し込んだ際に、積層壁部を凝固温度以上に加熱可能な温度にすることで、鋳湯が凝固する際の積層壁部と鋳湯との温度差を極力なくすことができ、高品質な構造体を製造することができる。
(5) 前記温度制御処理は、
前記積層壁部の肉厚を、前記内側空間へ前記鋳湯を流し込んだ際に、前記鋳湯によって前記凝固温度以上に昇温可能な厚さにする(1)から(4)のいずれか一つに記載の構造体の製造方法。
この構造体の製造方法によれば、積層壁部の肉厚を、内側空間へ鋳湯を流し込んだ際に、鋳湯によって凝固温度以上に昇温可能な厚さにすることで、鋳湯が凝固する際の積層壁部と鋳湯との温度差を極力なくすことができ、高品質な構造体を製造することができる。
25 鋳湯
41 ベースプレート(ベース)
43 溶着ビード
45 内側空間
47,47A 鋳物部
51,51A 構造体
55 外殻
57 内殻
M 溶加材
W,WA 積層壁部

Claims (5)

  1. 構造体の製造方法であって、
    アークを用いて溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを、ベース上に積層し、前記構造体の少なくとも外殻を有する積層壁部を積層造形する積層造形工程と、
    前記外殻の内側の内側空間に鋳湯を流し込み、前記外殻の内側に鋳物部を形成する鋳造工程と、
    を有し、
    前記鋳造工程において、
    前記鋳湯が凝固する際の前記積層壁部の温度と前記鋳湯の凝固温度との温度差を減少させる温度制御処理を行う構造体の製造方法。
  2. 前記積層壁部は、前記外殻の内側に形成された内殻を備え、
    前記積層造形工程は、前記ベース上に、前記外殻及び前記内殻の形状に沿って前記溶着ビードを積層して、前記外殻及び前記内殻を積層造形し、
    前記鋳造工程は、前記外殻と前記内殻との間の前記内側空間に前記鋳湯を流し込む請求項1に記載の構造体の製造方法。
  3. 前記温度制御処理は、
    前記鋳湯を前記内側空間へ流し込む前に、
    前記積層壁部を予熱することで、前記鋳湯が凝固する際の前記鋳湯及び前記積層壁部の温度を前記凝固温度以上とする請求項1または請求項2に記載の構造体の製造方法。
  4. 前記温度制御処理は、
    前記内側空間へ流し込む前の前記鋳湯を、前記内側空間へ流し込んだ際に、前記積層壁部を前記凝固温度以上に加熱可能な温度にする請求項1から3のいずれか一項に記載の構造体の製造方法。
  5. 前記温度制御処理は、
    前記積層壁部の肉厚を、前記内側空間へ前記鋳湯を流し込んだ際に、前記鋳湯によって前記凝固温度以上に昇温可能な厚さにする請求項1から4のいずれか一項に記載の構造体の製造方法。
JP2017195239A 2017-10-05 2017-10-05 構造体の製造方法 Active JP6792533B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017195239A JP6792533B2 (ja) 2017-10-05 2017-10-05 構造体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017195239A JP6792533B2 (ja) 2017-10-05 2017-10-05 構造体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019063860A true JP2019063860A (ja) 2019-04-25
JP6792533B2 JP6792533B2 (ja) 2020-11-25

Family

ID=66337085

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017195239A Active JP6792533B2 (ja) 2017-10-05 2017-10-05 構造体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6792533B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5162133A (en) * 1974-11-28 1976-05-29 Takaoka Kogyo Kk Hyashiganeo naizoshita sherunakago
JPH05161957A (ja) * 1991-12-11 1993-06-29 Aisin Takaoka Ltd 鋳造方法および鋳型
JP3784539B2 (ja) * 1998-07-01 2006-06-14 本田技研工業株式会社 金型の製造方法
CN101817121A (zh) * 2010-04-15 2010-09-01 华中科技大学 零件与模具的熔积成形复合制造方法及其辅助装置
JP2012213787A (ja) * 2011-03-31 2012-11-08 Kubota Corp 鋳造方法
JP2014113610A (ja) * 2012-12-07 2014-06-26 Koiwai Co Ltd 鋳造品及びその製造方法
JP2016068104A (ja) * 2014-09-29 2016-05-09 株式会社日▲高▼合金 金属成形品の製造方法、及び、画像

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5162133A (en) * 1974-11-28 1976-05-29 Takaoka Kogyo Kk Hyashiganeo naizoshita sherunakago
JPH05161957A (ja) * 1991-12-11 1993-06-29 Aisin Takaoka Ltd 鋳造方法および鋳型
JP3784539B2 (ja) * 1998-07-01 2006-06-14 本田技研工業株式会社 金型の製造方法
CN101817121A (zh) * 2010-04-15 2010-09-01 华中科技大学 零件与模具的熔积成形复合制造方法及其辅助装置
US20130197683A1 (en) * 2010-04-15 2013-08-01 Huazhong University Of Science And Technology Method for manufacturing metal parts and molds and micro-roller used therefor
JP2012213787A (ja) * 2011-03-31 2012-11-08 Kubota Corp 鋳造方法
JP2014113610A (ja) * 2012-12-07 2014-06-26 Koiwai Co Ltd 鋳造品及びその製造方法
JP2016068104A (ja) * 2014-09-29 2016-05-09 株式会社日▲高▼合金 金属成形品の製造方法、及び、画像

Also Published As

Publication number Publication date
JP6792533B2 (ja) 2020-11-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100271208B1 (ko) 선택적 용침공정을 이용한 쾌속조형방법및 쾌속조형장치
CN112368099B (zh) 层叠造型物的制造方法以及制造装置
CA2717834C (en) Method to apply multiple materials with selective laser melting on a 3d article
US9302338B2 (en) Method for manufacturing metal parts and molds and micro-roller used therefor
RU2674588C2 (ru) Способ аддитивного сварочно-плавильного изготовления трёхмерных изделий и установка для его осуществления
JP2000296561A (ja) 可変溶着積層式快速造形方法及び快速造形装置(Variabledepositionmanufacturingmethodandapparatus)
KR20140116496A (ko) 3차원 형상 조형물의 제조 방법
WO2018097298A1 (ja) 三次元形状造形物の製造方法
JP7010799B2 (ja) 構造体の製造方法、及び構造体
CN104289797A (zh) 一种mig快速成形的系统
JP6765360B2 (ja) 構造体の製造方法、及び構造体
JP7197437B2 (ja) 積層造形物の積層計画方法、積層造形物の製造方法及び製造装置
JP2012224907A (ja) 三次元形状造形物の製造方法
JP6792533B2 (ja) 構造体の製造方法
US20220371086A1 (en) Additive metal casting system and apparatus
JP6829180B2 (ja) 構造体、及び構造体の製造方法
JP7258715B2 (ja) 積層造形物の製造方法及び積層造形物
JP2014155959A (ja) 金型素材の製造方法及び同製造装置
JP7160768B2 (ja) 積層造形物の余肉量設定方法、積層造形物の製造方法及び製造装置
JP7181154B2 (ja) 積層造形物の製造方法
JP6765359B2 (ja) 構造体の製造方法、及び構造体
JP7123738B2 (ja) 積層造形物の製造方法及び積層造形物
JP6688997B2 (ja) 三次元形状造形物の製造方法
JP2021028074A (ja) 積層造形物の積層計画方法、積層造形物の製造方法及び製造装置
JP2021028073A (ja) 積層造形物の積層計画方法、積層造形物の製造方法及び製造装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190930

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200729

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200825

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201007

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201027

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201106

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6792533

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150