以下、本発明に係るディジタル放送受信システムの実施の形態について、図面を用いて具体的に説明する。説明中で用いる各種の記述やデータ名称は、ARIB(電波産業会)発行のSTD−B10(ディジタル放送に使用する番組配列情報)規格に準拠するものとする。また、図中の太線はディジタル情報データの流れを示し、通常線はCPU8との接続関係において、制御信号及び制御に関わるデータの流れを示しているものとする。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るディジタル放送受信システムの構成を示すブロック図である。受信復調部1の出力は、パケットフィルタ2の入力、切換スイッチ5の一方入力、及び情報テーブル抽出器6の入力にそれぞれ接続されている。パケットフィルタ2の出力は、情報テーブル置換器3の入力に接続されている。情報テーブル置換器3の出力は、記録再生装置4の入力に接続されている。記録再生装置4の出力は、切換スイッチ5の他方入力に接続されている。情報テーブル抽出器6の出力は、CPU8(制御部)の入力に接続されている。CPU8の出力は、受信復調部1、パケットフィルタ2、情報テーブル生成器7、記録再生装置4、デマルチプレクサ10、及びAVデコーダ11の各入力にそれぞれ接続されている。情報テーブル生成器7の出力は、情報テーブル置換器3の入力に接続されている。切換スイッチ5の出力は、デマルチプレクサ10の入力に接続されている。デマルチプレクサ10の出力は、AVデコーダ11の入力に接続されている。AVデコーダ11の出力は、モニタ12の入力に接続されている。ユーザインタフェース部9の出力は、CPU8の入力に接続されている。
次に、本実施の形態1に係るディジタル放送受信システムの動作について説明する。まず、CPU8は、切換スイッチ5を受信復調部1側に切り換える。受信復調部1は、受信したディジタル放送信号を復調して、パケットストリームの形式で出力する。パケットストリームには、番組の画像データや音声データ等を伝送するためのパケット(以下「データ伝送用パケット」とも称する)と、各種の情報テーブルを伝送するためのパケット(以下「情報テーブル伝送用パケット」とも称する)とが含まれる。デマルチプレクサ10及びAVデコーダ11は、CPU8からの指示によりパケットストリームを処理し、その時点で伝送されてくる電子番組ガイド(Electric Program Guide: EPG)を、CPU8にて処理可能な状態に構築する。EPGは、モニタ12に表示されるグラフィカル情報として、あるいはユーザインタフェース部9においてユーザに提示される。
ユーザは、提示されたEPGを参照して、複数の番組の中から記録を希望する任意の番組を選択する。なお、記録番組の選択は、現在放送中の番組のみならず、将来放送される予定の番組に対しても可能である。将来放送予定の番組を記録する場合は、CPU8が現在時刻を把握することにより、その番組の放送時刻の到来時に以下の動作を行うことになる。
次に、番組の記録動作について説明する。ユーザは、ユーザインタフェース部9を介してCPU8に記録番組を指示する。CPU8は、番組の放送時間及び番組配列情報テーブルに記述されている情報の一つであるprogram_numberの値によって、その記録番組を識別する。
このとき、受信復調部1から出力されるパケットストリームは、パケットフィルタ2及び情報テーブル抽出器6にそれぞれ入力されている。情報テーブル抽出器6は、入力されたパケットストリームから各種の情報テーブルを抽出して、CPU8に入力する。CPU8は、入力された情報テーブルに基づいて、記録番組が現在放送されているか否かを判断する。具体的には次の通りである。まず、CPU8は、EIT中のイベント情報セクションを参照し、そこに記述されているprogram_numberの値を読み取って番組を識別する。そして、EITに記述されている情報の一つであるrunnning_statusの値を読み取って、記録番組が現在実際に伝送されているか否かを判断する。なお、ユーザによって指定された記録番組が将来放送予定の番組であった場合には、その番組の先頭からの記録を確実に行うために、CPU8は、指示された番組の開始時間に数秒から数分先立ち、EITに記述されている次のイベント情報に基づいて、指定された番組が予定通りに伝送されるか否かの確認を行い、記録ミスを防ぐ。
記録番組の伝送が確認されると、CPU8は、パケットフィルタ2に対して、通過させるべきパケットのPID値を指示する。本実施の形態1においてここで指示されるPID値は、記録番組に関する動画データを伝送するパケットのPID値、記録番組に関する音声データを伝送するバケットのPID値、指示に応じてその他の番組関連情報を伝送するパケットのPID値、及び、PSIテーブルを伝送するパケットのPID値である。記録が不要と判断されるパケット(例えばヌルパケット)については、パケットフィルタ2を通過させる必要がないため、そのPID値はCPU8によって指示されない。なお、記録再生装置4の有する記録媒体の記録容量が十分に大きい場合には、記録番組以外の番組に関する画像データ等を通過させてもよい。また、動画データ伝送用パケットに関して、階層伝送により複数の動画パケットが含まれる場合には、PMTにその旨が記述されているため、CPU8はユーザの指示によって複数の動画を記録するか否かの判断を行う。
パケットフィルタ2によるフィルタリング動作によって、パケットストリームにはパケットの欠落が生じている。そのため、受信復調部1から出力された時点でのPSIテーブルの内容は、パケットフィルタ2を通過した後の新たなパケットストリームと整合性がとれていない。そこで、情報テーブル生成器7は、CPU8からの指示により、新たなパケットストリームに対応する新たなPSIテーブルを生成する。図2は、受信復調部1から出力された時点でのPATを示す図であり、図3は、情報テーブル生成器7によって生成された新たなPATを示す図である。図3では、記録番組が一つである場合を想定している。図2に示すように、受信復調部1から出力された時点でのPATには、パケットストリーム中に含まれる複数の番組に関する記述子が繰り返し記述されている。また、その番組数が、section_number30として記述されている。新たなパケットストリームに適合させるためには、記録番組のみについての情報を記述するPATを生成すればよい。そのために情報テーブル生成器7は、記録番組以外の番組に関する記述子を削除するとともにsection_numberを変更して、新たなPATを生成する。一つの番組のみを記録する場合には、図3に示す新たなPATに記述されているsection_number31は「1」を示すことになる。
また、記録番組以外の番組に関するPMTについては、そのPID値によって峻別できるため、CPU8からの指示によりパケットフィルタ2でフィルタリングして、以降の伝送を行わない。
また、NITに関しては、NIT自身はMPEG規格中でのオプション扱いであるため、必ずしもパケットフィルタ2を通過させて伝送、記録する必要はない。パケットフィルタ2によってNITをフィルタリングしたとしても、NITを有しないことが他の機器に対して与える影響は少ないと考えられる。しかしながら、情報テーブル生成器7によってprogram_numverが「0」のテーブル(即ちNIT)を記録番組情報とともに生成し、情報テーブル置換器3にてパケットストリーム中に挿入してもよい。これにより、NITの存在を必須とするディジタル情報処理系への対応が可能となる。
情報テーブル生成器7によって生成された新たなPSIテーブルは、情報テーブル置換器3に入力される。そして、情報テーブル置換器3によって、パケットフィルタ2を通過してきたパケットストリームに含まれるPSIテーブルと置換される。この置換によって、PSIテーブルと、パケットフィルタ2を通過した後のパケットストリームとの整合性が確保されることになる。これとともに、情報テーブル置換器3によって置換された新たなPATでは、記録番組以外の番組に関する記述子部分のデータが削除されているため、パケットストリームのトータルのデータ量は圧縮される。また、削除された記述子部分のデータ量によっては、パケットの個数自体も削減される。
トランスポートパケットにおいては、PID値が同一の複数のパケットに対してパケット毎に1ずつ増加するcontinuity_counterデータが存在する。上記のようにパケット欠落を発生させる場合には、このcontinuity_counterの値も情報テーブル生成器7によって制御し、各パケットに適切な値を付加する。
このようにして生成された新たなパケットストリームは記録再生装置4に送られ、記録再生装置4が内部に有する記録媒体内に記録される。記録にあたっては、ストリームが連続的に記録される領域とは別のインデックス領域を設け、その番組が記録された記録媒体内の位置に関する情報をこのインデックス領域に記録しておくことで、記録した番組の再生動作が可能となる。このインデックス領域は、記録媒体が固定ディスク装置や半導体メモリの場合には、番組データが記録される連続記録領域以外の任意の場所に設けることができる。また、記録媒体がテープ媒体の場合には、同様に連続記録領域以外の任意の場所(例えばテープの先頭)や、ディジタルビデオカセット等に見られるテープ筐体に内蔵される電子記憶装置内に設けることができる。さらに、テープ媒体の場合には、番組データを伝送するトランスポートパケットとは容易に区別できる別フォーマットのデータとして、上記位置に関する情報を番組データ間に繰返し記録することで、テープのランダムアクセス性を高めることも可能である。
この一連の記録動作は、受信復調部1、切換スイッチ5、及びデマルチプレクサ10を繋ぐ信号ラインを用いずに実行可能なため、ユーザは記録番組以外の番組を視聴しながらでも必要な番組の記録を行うことが可能である。但し、異なるチャネル経由での複数の番組の処理を行う場合には、受信復調部1は複数のトランスポンダ経由での複数のストリームを処理する必要がある。従ってこの場合は、受信復調部1が、複数チャネルの受信機能と、それら複数のトランスポートストリームを情報テーブル抽出器6側とデマルチプレクサ10側とに分配する機能とを有する必要がある。
次に、記録された番組の再生動作について説明する。ユーザからの指示により番組の記録を行った時点で、CPU8は、例えばモニタ12にグラフィック表示されている記録済み番組の一覧を更新する。これにより、記録番組に関して、ユーザから番組再生の指示を仰ぐことが可能となる。
ユーザは、ユーザインタフェース部9を介して、再生すべき番組をCPU8に指示する。CPU8は、インデックス領域に記録しておいた番組データの記録位置に関する情報を参照することにより、記録再生装置4の有する記録媒体中から、所望の番組データの読み出しを開始する。また、CPU8は、切換スイッチ5を記録再生装置4側に切り換える。これにより、読み出された再生ストリームは、切換スイッチ5を介して、デマルチプレクサ10及びAVデコーダ11へと伝送される。CPU8は、デマルチプレクサ10及びAVデコーダ11を制御し、再生された番組をモニタ12に表示する。
記録番組の再生時にデマルチプレクサ10に到達するディジタル情報には、PSIテーブルや画像・音声データ等の番組情報は含まれているものの、EPGをはじめとするその他の関連情報は含まれていない。通常のディジタル放送受信時には番組情報とともにこれら関連情報の処理を行うよう設定されているシステムへの対応を考慮する場合は、このような関連情報の欠落が機器の動作に問題を与えないようにするために、CPU8は、記録番組の再生中には番組情報以外の関連情報の処理を停止させるよう制御する。また、緊急警報信号等の、番組再生中にも監視が必要な情報に関しては、情報テーブル抽出器6によって常時処理を行い、必要時にはCPU8に割込処理の要求を出すことで所定の処理に移行することができる。
このように、本実施の形態1に係るディジタル放送受信システムによると、PSIテーブルの置換機構を具備することで、MPEG規格を満足した状態のままで所望の番組のみを記録再生装置に記録することができ、これにより、記録再生装置4の記録効率を高めることができる。
なお、以上の説明では、ディジタル放送にて伝送される情報のうち、放送番組の記録・再生動作を主眼として説明したが、静止画、音声、プログラム等の付帯情報が番組と同期して放送される場合も存在する。これら付帯情報のデータサイズが大きい場合は、番組とともに付帯情報を記録するか否かをユーザに選択させる機構を設けてもよい。この場合には、パケットフィルタ2では記録不要なデータのみをフィルタリングし、記録する番組データと、上記付帯情報を含むその他の全ての番組関連情報とを通過させるよう、CPU8が制御する。
さらに、ディジタル放送データが暗号化されて伝送されている場合は、PSIテーブルの一つであるCAT(Conditional Access Table)中に、放送データが暗号化されている旨が記述されている。CATはMPEG規格で規定された必須の情報テーブルであり、情報ストリームとして規格に準拠した形態をとるためには、CATは所定の伝送間隔以下で伝送されなければならない。従って、情報テーブル生成器7による新たな情報テーブルの生成時に、ストリームの暗号化/非暗号化状態に応じてCATの内容を適宜変更してやることで、規格に準拠するディジタル情報として記録することが可能となる。
図1に示したディジタル放送受信システムにおいて、放送データの暗号がCPU8からの指示を受けて受信復調部1で解読される場合は、記録再生装置4は暗号解読済みのディジタル放送データを記録・再生することになる。この場合は、情報テーブル生成器7は、新たな情報テーブルを生成する際に、CPU8からの指示を受けて、CAT中の暗号化状態を示す所定のフラグを暗号解読済みを示す状態に設定する。情報テーブル生成器7がこのような処理を行うことにより、CATを処理対象とする場合でもMPEG規格を満足した状態のままで所望の番組のみを記録再生装置4に記録することが可能となる。
実施の形態2.
上記実施の形態1においては、記録番組に関するPAT、PMTについては、パケットフィルタ2から伝送されてきた内容を変更することなく記録再生装置4に記録していた。しかし、記録番組に関するPAT、PMTの内容についても特定の操作を行うよう構成することも可能である。
図4は、本発明の実施の形態2に係るディジタル放送受信システムの構成を示すブロック図である。図4に示すように本実施の形態2に係るディジタル放送受信システムは、図1に示した上記実施の形態1に係るディジタル放送受信システムを基礎として、CPU8に相互に接続されたメモリ13等の記録部をさらに備えたものである。
以下、本実施の形態2に係るディジタル放送受信システムの動作について、主に上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。本実施の形態2においてもパケットフィルタ2はCPU8からの指示により不要なパケットをフィルタリングし、パケットの欠落により、受信復調部1から出力された時点でのPSIテーブルと、パケットフィルタ2を通過した後の新たなパケットストリームとの整合性はとれていない。そこで、情報テーブル生成器7は、CPU8からの指示により、新たなパケットストリームに対応するPAT及びPMTの生成を行う。
図5は、情報テーブル生成器7によって生成された新たなPATを示す図であり、図6は、受信復調部1から出力された時点でのPATとPMTとの関係を示す図であり、図7は、情報テーブル生成器7によって生成された新たなPATと新たなPMTとの関係を示す図である。ここでは、記録番組が一つである場合を想定している。図5に示すように新たなPATには、上記実施の形態1と同様に、記録番組のみについての情報が記述されている。さらに本実施の形態2では、PAT中に記述されているPMTのPID値32が、ある特定の値に置き換えられている。
本実施の形態2でも、記録番組以外の番組に関するPMTについてはパケットフィルタ2によってフィルタリングするという動作は上記実施の形態1と同様である。本実施の形態2ではさらに、PATの上記変更に対応させてPSIテーブル間での整合性を保つために、PMTのPID値(具体的には、PMTを伝送するパケットを識別するPIDデータ列を意味し、トランスポートパケット内の12バイト目から13バイトに記述されている。)を、PAT中で置き換えられた上記特定の値に変更する。また、CPU8は、置き換えたPMTのPID値をメモリ13に保存する。
情報テーブル生成器7によって生成された新たなPAT及びPMTは、情報テーブル置換器3に入力され、情報テーブル置換器3は、パケットフィルタ2を通過してきたパケットストリームに含まれるPAT及びPMTを、新たに生成されたPAT及びPMTにそれぞれ置き換える。そして、置き換え後のパケットストリームは、記録再生装置4に伝送されて記録される。上記のような処理を行うことで、PMTのPID値が既知であるパケットストリームを、記録再生装置4に記録することが可能となる。
次に、記録された番組の再生動作について説明する。ユーザからの指示で選択された番組について、CPU8は、記録再生装置4の有する記録媒体中から番組データの読み出しを開始する。また、CPU8は、切換スイッチ5を記録再生装置4側に切り換え、再生ストリームをデマルチプレクサ10へと伝送する。図7には例として、PAT中に記述されているPMTのPID値、及びPMTのPID値がともに0×1000に置き換えられた場合の、PATとPMTとの関係を示している。PMTのPID値(0×1000)はメモリ13に保存された既知の値であるため、PAT中に記述されているPMTのPID値を確認するという動作を行うことなく、所望のPMTを処理することができる。また、PMTのPID値が既知であることから、デマルチプレクサ10は、所望のPMTを直接デコードして、その中に記述されている各ES(Elementary Stream)のPID値を確認し、それらをAVデコーダ11へと伝送することができる。その後、再生された番組をモニタ12に表示する動作は、上記実施の形態1と同様である。
なお、図6に示した通常のPAT及びPMTを用いた再生動作は、まずPID値が0×0000に固定されているPATを受信し、その中に記述されているPMTのPID値(図6の例では0×HHHH)を確認し、次に、そのPID値のPMTを受信し、その中に記述されているESのPID値(図6の例では0×JJJJ、0×KKKK)を確認するというものである。
CPU8は、番組が記録されている記録媒体内の位置を各番組ごとに区別して認識可能であるため、情報テーブル生成器7によって生成された新たなPMTのPID値については、記録再生装置4内で全て同じ値にすることもできる。全て同じ値にすることで、番組の記録動作においては、PMTのPID値をメモリ13に保存するという動作が不要になるとともに、番組の再生動作においても、PATのデコード及びその記述内容の確認と、それに引き続く、PMTのPIDをセットしてパケットの到着を待つという動作が不要になる。
また、以上の説明では、PMTのPID値を特定の値に置き換えたが、これに加えて、PMT中に記述されているESのPID値、及びESのPID値を特定の値に置き換えるよう構成してもよい。図8は、受信復調部1から出力された時点でのPAT、PMT、及び各ESの関係を示す図であり、図9は、ESのPID値を置き換えた後のPAT、PMT、及び各ESの関係を示す図である。図9においては、PAT中に記述されているPMTのPID値、及びPMTのPID値が特定の第1の値(図9の例では0×1000)に置き換えられていることに加えて、PMT中に記述されている各ESのPID値、及び各ESのPID値も特定の第2の値(図9の例では0×1001、0×1004)に置き換えられている。
このような各ESのPID値の置き換えは、情報テーブル置換器3によって、各ESを伝送するパケットに含まれるPIDデータ列を置換することにより行うことができる。この場合も、置換された各ESのPID値はメモリ13に保存する。このような構成をとることで、番組配列情報のうち、番組の各要素情報を伝送するESのPID値が既知である番組情報ストリームを記録することが可能となる。
このように構成されたシステムにおける記録番組の再生動作においては、番組を構成する各ESのPID値はメモリ13に保存された既知の値であるため、デマルチプレクサ10及びAVデコーダ11は、PAT及びPMTの記述内容を確認するという動作を行うことなく、直ちにESの処理を開始することができる。
CPU8は、番組が記録されている記録媒体内の位置を各番組ごとに区別して認識可能であるため、情報テーブル生成器7によって生成された新たな各ESのPID値については、ビデオやオーディオ等の各メディアごとに全て同じ値にすることもできる。全て同じ値にすることで、番組の記録動作においては、各ESのPID値をメモリ13に保存するという動作が不要になるとともに、番組の再生動作においても、各ESの処理を開始するにあたって、メモリ13に保存してある各ESのPID値を確認するという動作が不要になる。
また、情報テーブル生成器7によって他のPMTを生成してもよい。図10は、情報テーブル生成器7によって生成された他の新たなPMTを示す図である。図10に示すPMTは、パケットフィルタ2を通過してきたPMTに対して上記に説明した変更を加え、さらにPMTの記述子部分を削除するという変形を行ったものである。
ARIB規格において、PMT中の記述子部分には、番組の内容、放送形態、受信の方式等に関する情報が記述される可能性がある。しかし、放送を受信した時点でその番組が視聴可能かつ記録可能と判断された場合、これらの記述子の再利用は必須ではなくなる。また、記述子は基本的にはその番組全体に対する固有の情報であり、番組内で動的に変化する運用は少ないと考えられている。にも拘わらず規格によってPMTは100msecを最長伝送間隔として繰り返し伝送されるように定められているため、番組の記録・再生の観点からは不要なデータ列が繰り返し伝送されていることになる。しかも、このような情報は、データ記録の任意の時点で1回以上の任意の回数を記録することで、番組データの完全な受信を行うことができる。また、記述子部分のデータは全て合わせても数kバイト以内であるため、メモリ13をはじめとするシステム中の他の記録領域に記録することも可能である。
以上の理由に鑑み、PMTから記述子部分を削除するとともに、記録再生装置4の有する記録媒体とは他の記録領域に、削除したPMTの記述子部分の情報を記録する。これにより、記録再生装置4の有する記録媒体については記録効率の向上を図りつつ、記録された番組の検索や閲覧を行う際には、記述子部分の情報を活用することができる。
PMTに含まれ、かつ将来の再生時に有用となる可能性のある記述子の一例として、パレンタルレート記述子がある。この記述子は年齢に基づいた番組の視聴制限を表しており、記録番組に関するこの記述子の内容をメモリ13等に記録しておくことにより、記録した番組を子供等が視聴する際のガイドとして活用することが可能となる。
また、記述子部分の情報を記録する記録領域としては、記録媒体が固定ディスク装置や半導体メモリの場合には、番組データが記録される連続記録領域以外の任意の場所に設けることができる。また、テープ媒体の場合には、同様に連続記録領域以外の任意の場所(例えばテープの先頭)や、ディジタルビデオカセット等に見られるテープ筐体に内蔵される電子記憶装置内に設けることができる。さらに、テープ媒体の場合には、番組データを伝送するトランスポートパケットとは容易に区別できる別フォーマットのデータとして、番組データ間に繰り返し記録することで、テープのランダムアクセス性を高めることも可能である。
このように本実施の形態2に係るディジタル放送受信システムによれば、上記実施の形態1に係るディジタル放送受信システムにより得られる効果に加えて、従来のシステムにおいては記録番組の再生時に必須であった番組配列情報テーブルの記述内容の確認動作が不要となり、情報データの迅速な処理が可能になるという効果も得られる。
実施の形態3.
上記実施の形態1に加えて、SI(Service Information)テーブルと呼ばれる番組関連情報テーブルについても処理を行う構成としてもよい。放送されるディジタル情報に含まれるSDT(Service Description Table)及びEITの二つのテーブルには、それぞれ放送中の番組に関連する情報が記述されている。例を挙げると、SDTにはその番組の放送される放送局名、サービス名等が記述されており、EITにはその番組の番組名や放送時間のほか、詳細情報として出演者や簡単な内容紹介等が記述されている。これらの情報はシステムとしての番組の記録再生動作及びその性能に直接影響を及ぼすものではないが、記録しておくことで、将来この記録された番組を検索や閲覧する際に活用することができる。これは、ユーザに対するシステムの利便性を高め、検索や視聴の効率を向上させることにもなる。
本実施の形態3に係るディジタル放送受信システムの構成は、図4に示した上記実施の形態2に係るディジタル放送受信システムの構成と同様である。以下、本実施の形態3に係るディジタル放送受信システムの動作について、主に上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。
受信復調部1において受信・復調されたディジタル放送信号は、情報テーブル抽出器6に入力される。情報テーブル抽出器6は、CPU8からの指示に基づいてSIテーブルを解析し、その内容のうち必要なものをCPU8へと入力する。SDT及びEITには、現在受信中のトランスポンダを経由して伝送されている放送データに対するテーブルと、それ以外のトランスポンダを経由して伝送されている放送データに対するテーブルとがそれぞれ用意されている。またEITには、現在と次の番組、8日以内の番組、及び8日以降の番組の、さらに3種類のテーブルが用意されている。情報テーブル抽出器6は、自ストリームかつ現在の番組関連情報に着目し、そのテーブルIDを持つパケットのみを処理する。そして、現在の番組関連情報のうち、CPU8から指示された情報に関するデータのみを抽出する。この場合、受信復調部1から出力されるパケットストリームに含まれる全てのSDT及びEITは、パケットフィルタ2によってフィルタリングされる。
番組名等の抽出された情報は、記録再生装置4に記録された番組データに関連付けられて、メモリ13に記録される。上記の通り、SDT及びEITには、番組の内容、放送形態、受信の方式等に関する情報が含まれる可能性がある。しかし、放送を受信した時点でその番組が視聴可能かつ記録可能と判断された場合、これらの情報の再利用は必須ではなくなる。また、これらの情報が番組内で動的に変化する運用は少ないと考えられるが、これらのテーブルは繰り返し伝送されるため、番組の記録・再生の観点からは不要なデータ列が繰り返し伝送されていることになる。しかも、このような情報は、データ記録の任意の時点で1回以上の任意の回数を記録することで完全な受信を行うことができる。また、これらの情報は必ずしも記録再生装置4に記録する必要はなく、メモリ13をはじめとするシステム中の他の記録領域に記録すれば足りる。
これにより、記録再生装置4の有する記録媒体については記録効率の向上を図りつつ、ユーザによる再生番組の選択時には、これら番組名等の関連情報をモニタ12に表示することで、ユーザの選択の補助とすることができる。
一方、記録再生装置4の有する記録媒体の可搬性を考慮する場合等は、SDT、EITに記述されている番組情報を、この記録媒体に記録してもよい。この場合は、CPU8からの指示により、情報テーブル抽出器6によって抽出された各番組に関するSDT及びEITに記述されている番組情報のうち、記録番組に関する番組情報のみが情報テーブル生成器7に入力される。また、パケットフィルタ2は、CPU8からの指示を受けて、記録番組に関するSDT、EITを通過させる。情報テーブル生成器7は、入力された番組情報に基づいて、SDT、EITを新たに生成する。生成された新たなSDT、EITは、情報テーブル置換器3によって、パケットフィルタ2を通過してきたSDT、EITと置き換えられる。
このとき、記録番組とは無関係なデータ伝送用パケット等、記録不要なパケットがパケットフィルタ2によって既にフィルタリングされているため、トランスポートパケットを構成するパケットの個数は、記録再生装置4へ送られる時点で減少している。このため、トランスポートパケットのcontinuity_counterの値も情報テーブル生成器7において制御し、各パケット毎に適切に付加する。このような処理を行うことで、ディジタル情報として整合性のとれたパケットストリームを記録することが可能であるとともに、再生時におけるSDT、EITの処理としては通常の放送信号を処理する場合と同様の動作でよいことになり、システムの動作を制御するソフトウェアの単純化を図ることが可能となる。
もちろん、パケットフィルタ2によってSDT、EITの全部あるいは一部をフィルタリングすることなく処理するという構成をとることも可能である。この場合でも、上記と同様に、SDT、EITに記述されている番組情報を情報テーブル抽出器4によって抽出・保存し、再生時にユーザがその情報を利用できるようにする。この場合、パケットフィルタ2及び情報テーブル置換器3ではSDT、EITに関する動作は行わず、これらに関する全てのパケットは記録再生装置4に伝送され、記録される。記録された時点での時刻情報や番組表情報等は記録データを再生する時点では過去のものとなっており、そのままでは情報としての利用価値は低いと考えられる。しかし、小遅延での録画再生同時動作等を意図した場合には、記録効率の向上を図りつつ、任意の機器に向けて規格準拠のストリームを再配送するためのシステムが構築可能となる。
このように、本実施の形態3に係るディジタル放送受信システムによると、上記実施の形態1に係るディジタル放送受信システムにより得られる効果に加えて、SDTやEITといった、本来ディジタル放送信号に含まれるデータの処理を通じて、ユーザの扱いやすいシステムの構築が可能となるという効果が得られる。
実施の形態4.
上記実施の形態3に加えて、他のSIテーブルについても処理を行う構成をとることもできる。放送されるディジタル情報に含まれるNIT、BAT(Bouquet Association Table)、RST(Running Status Table)、TDT(Time Data Table)、TOT(Time Offset Table)、PCAT(Partial Content Announcement Table)、ST(Stuffing Table)の各テーブルには、それぞれ番組の放送状態に関連する情報が記述されている。例を挙げると、NITには送信ネットワークに関する情報が、BATには複数の番組間の関連情報が、RSTには番組の放送状態に関する情報が、TDT、TOTには放送時点での時刻情報が、PCATには番組に付帯するデータの放送状況に関する情報がそれぞれ記述されている。また、STは、信号の多重化において意味のあるデータを挿入できない場合に用いられる。これらのテーブル情報は、番組の受信及び視聴の時点では有用であるが、一旦番組を記録してしまえばその番組の再生に必ずしも有用となるものではない。
本実施の形態4に係るディジタル放送受信システムの構成は、図4に示した上記実施の形態2に係るディジタル放送受信システムの構成と同様である。以下、本実施の形態4に係るディジタル放送受信システムの動作について、主に上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。
受信復調部1において受信、復調されたディジタル放送信号は、情報テーブル抽出器6に入力される。情報テーブル抽出器6は、CPU8からの指示を受けて上記各種SIテーブルを解析し、その内容のうち受信及び番組の記録に必要なものをCPU8へと報告する。例えばRSTには記録すべき番組の進行状況が記述されており、仮に番組が途中で中断し、その後放送を再開したような場合には、その旨がCPU8に通知される。また、BATには関連する番組の情報が記述されているため、それらをまとめて記録するように動作することも可能である。時刻に関するテーブルとEIT中の次の番組の開始時刻情報とを用いることで、番組の先頭から確実に記録を開始するようにシステムを動作させることも可能である。
番組の受信が可能となった時点で、パケットフィルタ2はCPU8からの指示により、これらのSIテーブルを通過させないようにフィルタリングする。これにより、記録再生装置4の記録効率を向上させることができる。その他の動作については上記実施の形態1,3と同様である。
もちろん、パケットフィルタ2によってこれらのSIテーブルの全部あるいは一部をフィルタリングすることなく処理するという構成をとることも可能である。この場合、パケットフィルタ2及び情報テーブル置換器3ではこれらのSIテーブルに関する動作は行わず、これらに関する全てのパケットは記録再生装置4に伝送され、記録される。記録された時点での時刻情報や番組表情報等は記録データを再生する時点では過去のものとなっており、そのままでは情報としての利用価値は低いと考えられる。しかし、小遅延での録画再生同時動作等を意図した場合には、記録効率の向上を図りつつ、任意の機器に向けて規格準拠のストリームを再配送するためのシステムが構築可能となる。
このように、本実施の形態4に係るディジタル放送受信システムによると、上記実施の形態1に係るディジタル放送受信システムにより得られる効果に加えて、BATやRST等のSI情報のような、本来ディジタル放送信号に含まれるデータの処理を通じて、ユーザの扱いやすいシステムの構築が可能になるという効果が得られる。
実施の形態5.
上記実施の形態1に加えて、情報テーブル置換器3において各種テーブルを挿入する際に挿入時間間隔を制御することで、さらに記録再生装置4における記憶効率を高めることも可能である。ディジタル放送データに含まれる情報テーブルのデータはそれぞれ繰返し伝送されているが、個々のテーブルについて最大許容伝送間隔が定められている。たとえばARIB規格では、PAT、PMT等は最大100msec以下の間隔で、また、NIT、BAT等は最大10秒間隔以下で伝送されなければならないと定められている。しかし、実際の送信系の構成においては、通常、これよりも短い時間間隔で伝送が行われており、番組を記録するという観点から見ると記録効率の低下を招いている。そこで、本実施の形態5においては、これら各種情報テーブルの伝送間隔を調節して記録可能なように構成する。
図11は、本発明の実施の形態5に係るディジタル放送受信システムの構成を示すブロック図である。図11に示すように本実施の形態5に係るディジタル放送受信システムは、図4に示した上記実施の形態2に係るディジタル放送受信システムを基礎として、情報テーブル置換器3の代わりに情報テーブル挿入器3aを配置し、さらにCPU8に接続されたタイマ14を備えたものである。
以下、本実施の形態5に係るディジタル放送受信システムの動作について、主に上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。情報テーブル抽出器6は、受信復調部1からディジタル放送信号を入力し、各情報テーブルの抽出を個別に行って、その抽出状況をCPU8に入力する。CPU8は、接続されたタイマ14(あるいはCPU8が内蔵する図示しないタイマ)を用いて、各情報テーブルの到達状況を監視して、各情報テーブルの伝送間隔を個別に求める。
パケットフィルタ2は、CPU8からの指示に基づいて、伝送間隔の調節を行う対象となっている各種情報テーブルをフィルタリングする。情報テーブル生成器7は、パケットフィルタ2によってフィルタリングされた情報テーブルに関して、内容をそのままで、あるいは上記各実施の形態に基づいて一部又は全部の内容を変更した形で、新たな情報テーブルをそれぞれ生成する。生成された新たな情報テーブルは情報テーブル挿入器3aに入力される。CPU8はタイマ14によって時間経過を監視しており、規格によって各テーブル毎に定められた伝送間隔を超えない範囲で、情報テーブル挿入器3aにテーブル重畳の指示を出す。情報テーブル挿入器3aは、CPU8からの重畳指示に基づいて、パケットフィルタ2から送られてくるパケットストリームに情報テーブルを挿入する。このとき、記録効率の向上を図る観点からは、最大許容伝送間隔で各種情報テーブルを挿入するのが望ましい。また、情報テーブル挿入器3aに入力されるパケットストリームには、パケットフィルタ2によるフィルタリングによって所望のパケットが削除された結果生じる、複数の抜け箇所が存在している。従って、情報テーブルの挿入処理の容易化を図る観点からは、その抜け箇所に情報テーブルを挿入するのが望ましい。
各種情報テーブルの伝送間隔は、最大許容伝送間隔以内で任意に設定することができる。ARIB規格に準拠するのであれば、RST、ST、PCAT以外の情報テーブルには最大許容伝送間隔が存在し、それぞれの情報テーブルについて30秒から100msecの間で規定されている。また、MPEG規格のみに準拠したストリームを記録するよう構成する場合には、PSIテーブルについてのみ最大許容伝送間隔が規定されている。この場合は、伝送間隔がNITについては10秒、CATについては1秒、PAT及びPMTについては100msecを超えない範囲で、新たな情報テーブルの挿入動作を行う。
このとき、記録番組以外の番組に関するデータ伝送用パケット等、記録不要なパケットがパケットフィルタ2によって既にフィルタリングされているため、トランスポートパケットを構成するパケットの個数は、記録再生装置4へ送られる時点で減少している。このため、トランスポートパケットのcontinuity_counterの値も情報テーブル生成器7において制御し、各パケット毎に適切に付加する。このような処理を行うことで、必要最小限の個数の情報テーブルのみを記録再生装置4へ伝送、記録することができ、規格に準拠したストリームを高効率に記録することが可能となる。
また、規格に準拠しないストリームを記録再生装置4に記録することで、さらに記録効率を向上させるよう構成することも可能である。上記した構成・動作により、各種情報テーブルの伝送間隔は任意に設定が可能である。そこで、情報テーブル挿入器3aは、規格で定められた最大許容伝送間隔に拘わらず、任意の情報テーブルをパケットストリーム中の任意の箇所に挿入する。例えば、番組の再生を開始する時点で各種情報テーブルが再生動作に必要となる場合は、パケットストリームの先頭に挿入する。また、記録媒体へのランダムアクセスを伴う再生に備えて、例えば10秒に一度程度、PSIテーブルを繰り返し挿入する。このような構成においては、記録された番組のどの位置から再生を開始しても、最長10秒以内にPSIテーブルからの情報をデマルチプレクサ10が読み取ることが可能となり、番組の再生を開始することができる。また、必ず記録番組の先頭から再生を開始するような構成をとるシステムの場合には、各種情報テーブルはパケットストリームの先頭のみに挿入すれば足りる。
SIテーブルに関しては、その情報が記録番組の再生動作自体には必須ではなく、主としてユーザへの情報提供に利用されるものである。従って、PSIテーブルよりもさらに伝送間隔を広げて挿入しても、システムの動作に大きな影響を与えることはない。
このようにして生成された番組データは規格には準拠しないものであるが、記録再生装置4自身あるいは記録再生装置4が有する記録媒体が本システム中に閉じた状態で使用されるようなシステム構成をとる限りにおいては、番組データが外部に出力されることはないため、規格に準拠していなくても特に問題はない。
このように本実施の形態5に係るディジタル放送受信システムによると、上記実施の形態1に係るディジタル放送受信システムにより得られる効果に加えて、各種情報テーブルの伝送間隔を制御することにより、より高い記憶効率でディジタル放送信号を記録することが可能になるという効果が得られる。
実施の形態6.
上記実施の形態1〜5においては、主に、MPEG規格に準拠したディジタル放送信号を記録再生装置4に記録するという構成をとっていた。しかし、記録再生装置4自身あるいは記録再生装置4が有する記録媒体が本システム中に閉じた状態で使用されるようなシステム構成をとる限りにおいては、番組データが外部に出力されることはないため、規格に準拠していなくても特に問題はない。このような構成をとることで、記録再生装置4においてさらなる高記録効率化を図ることが可能になる。
図12は、本発明の実施の形態6に係るディジタル放送受信システムの構成を示すブロック図である。図12に示すように本実施の形態6に係るディジタル放送受信システムは、図11に示した上記実施の形態5に係るディジタル放送受信システムを基礎として、CPU8に接続された入力と、AVデコーダ11に接続された出力とを有するグラフィクス部15をさらに備えたものである。以下、本実施の形態6に係るディジタル放送受信システムの動作について、主に上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。
情報テーブル抽出器6は、受信復調部1からディジタル放送信号を入力し、各種情報テーブルを抽出してCPU8に入力する。CPU8は、入力された情報テーブルを解析して、記録番組に関連する各種データを読み取る。CPU8は、読み取った各種データに基づいて番組情報インデックスを作成し、メモリ13に記録する。番組情報インデックスに記述された各種データは、今後の動作において必要に応じて用いられる。
パケットフィルタ2は、CPU8からの指示により、記録番組の動画及び音声データを伝送するトランスポートパケットのみを通過させ、その他のパケットは通過させないように動作する。但し、記録番組の各フレームに関する時刻情報を運ぶPCR(program clock reference)が、これら動画データ及び音声データを伝送するパケット以外のパケットのアダプテーションフィールドに記述されている場合には、このPCRを伝送するパケットも、パケットフィルタ2を通過させる。
情報テーブル生成器7は、CPU8から入力されたデータに基づいて、パケットフィルタ2によってフィルタリングされた情報テーブルに関して、内容をそのままで、あるいは上記各実施の形態に基づいて一部又は全部の内容を変更した形で、記録番組に関する新たな情報テーブルを生成する。
情報テーブル挿入器3aは、情報テーブル生成器7の出力を受け、CPU8からの指示により、パケットフィルタ2を通過してきたパケットストリームに情報テーブルを挿入する。このとき、上記実施の形態5と同様に、CPU8が情報テーブルの伝送間隔を調整する。各種情報テーブルの挿入頻度については、記録再生装置4においてこれらの各種情報テーブルが占めることを許される記録容量に基づいて、CPU8が判断する。例えば、記録再生装置4に100%動画及び音声データのみを記録したい場合には、情報テーブル挿入器3aにて情報テーブルの挿入は行わない。一方、記録再生装置4の記録効率をさほど重要視しない場合には、受信復調部1から出力される時点でのディジタル放送信号と同じタイミングで各種テーブルを挿入することも可能である。挿入頻度の制御については、CPU8が、タイマ14(またはCPU8が内蔵する図示しないタイマ)を用いて、挿入時間経過を各テーブル毎に監視することで行う。各情報テーブルのデータサイズ及び上記情報テーブルに許容される記録容量に基づいて、CPU8は、情報テーブル挿入器3aに対して情報テーブル重畳の指示を出す。
また、CPU8は、情報テーブル挿入器3aの有する図示しないバッファメモリの空き容量を逐次監視し、新たな情報テーブルの挿入時に、そのバッファメモリが動画及び音声データの蓄積により破綻しないように、情報テーブル挿入器3aの制御を行う。情報テーブルの挿入においては、適切なトランスポートパケットのcontinuous_counterを付与するだけでなく、PID値を適切に指定することはいうまでもない。
情報テーブル挿入器3aの出力は記録再生装置4に入力され、記録媒体に記録される。また、CPU3にはグラフィクス部15が接続され、この出力をAVデコーダ11へ送ることで、必要なグラフィクス表示をモニタ12に表示される動画像と合わせてユーザに提示することが可能である。
次に、記録された番組の再生動作について説明する。本実施の形態6においては、再生時に必要な各種の情報データは、記録再生装置4ではなく記録時にメモリ13内に記録した番組情報インデックスから読み出す。ここで、再生時に必要な各種の情報データとは、例えば、番組が記録されている記録媒体内での位置や、番組の動画データ、音声データ、及びPCRをそれぞれ伝送する各パケットのPID値等である。
図13は、メモリ13に記録された番組情報インデックスの一例を示す図である。図13には、2つの番組に関する情報が記述された番組情報インデックスを示している。CPU8は、再生する番組に関する情報を番組情報インデックスから読み出した後、記録再生装置4に指示を送り、再生する番組のストリームの読み出しを開始させるとともに、番組情報インデックスから読み出したPID値をデマルチプレクサ10にセットし、それらのパケットの処理を開始させる。このような処理を行うことで、ストリーム中の各種パラメータを読み取り、その後に実際の動画及び音声のデコードを開始するという二段階の動作をとる必要がなくなる。デマルチプレクサ10によって処理されたストリームは、AVデコーダ11によってさらに処理され、モニタ12に表示される。
このような構成においては、番組の途中で各種情報データが変更されても動作を行うことができる。ディジタル情報において、例えばPAT、PMTは、MPEG規格においては最長100msec周期で伝送されることになっている。つまり、番組の途中で100msec周期で情報の内容(例えばPID値)が変更される可能性もあるということになる。このような情報に対しても、図13に示すように、一つの番組に対して記録位置をパラメータにした複数の情報データをテーブルとして記録しておくことで、その記録位置より新しい情報データを用いた再生動作を切れ目なしに行うことが可能となる。
上記番組情報インデックスは、メモリ13以外にも、可換媒体における専用の記録領域、例えばディジタルビデオカセット等に見られるテープ筐体に内蔵される電子記憶装置に記録してもよい。この場合には、再生に必要な各種パラメータが媒体自身に記述されることになる。従って、番組情報インデックスをメモリ13に記録した場合に生じる不都合、即ち、記録を行ったシステムのみで再生が可能であるという不都合も生じない。しかし、暗号化を前提としたディジタル情報の処理を考慮したシステムの場合は、上記のようにメモリ13等のシステム内部に番組情報インデックスを記録することで、正当に暗号の解読を行うことが許可されたシステムのみで番組の再生を行うことができ、pay-per-viewのような課金と連動した番組再生動作を送信側の意図通りに運用することが可能となる。
さらに、ディジタル放送データが暗号化されて伝送されている場合、データが暗号化されている旨がCAT中に記述されている。このCATに関しては、MPEG規格によって最大許容伝送間隔は1秒と規定されており、番組の間で暗号化の状態が変化する可能性がある。本実施の形態に係るシステムにおいて、この暗号はCPUからの指示を受けて受信復調部1が解読することになるが、記録においては、CATに記述されている各時点における暗号化の状態を、番組情報インデックスに併せて記述する。図14は、暗号化の状態が記述された番組情報インデックスの例を示す図である。図14に示した番組情報インデックスにおいては、CAシステム識別記述子が記録位置によって変化している。この例においては、記録位置が100000から11ffffの間に記録された番組は暗号化がされておらず、認証なしに再生を行うことが可能ということになる。
暗号化された部分の番組の再生に関しては、認証が成功しその番組の視聴が許容される状態においてはそのまま再生を続けることになるが、認証ができない場合や失敗した場合には次のような動作をとることが考えられる。番組視聴が許容されない場合には、CPU8の指示によりAVデコーダ11がデコード動作を停止し、番組の再生が不能な状態におく。また、これとともにあるいは別に、グラフィクス部15において、番組の視聴には認証が必要である旨を表示する画面をCPU8からの指示によって生成し、AVデコーダ11によって動画再生画像と混合してモニタ12に表示することで、ユーザに情報を与えることも可能である。
また、それとは別に、番組視聴が許容されない場合には、AVデコーダ11にてある一定時間間隔で動画像のデコードとデコード停止とを繰り返し、間欠的に画像を表示するという構成をとることも可能である。この場合、ユーザは完全な再生画像を視聴できず、課金等の視聴に関する認証への動機付けが得やすくなるという効果が得られる。このとき、上記のようにグラフィクス部15によってCAからのメッセージである旨を作成してモニタ12に表示し、ユーザの理解を得やすくすることも当然可能である。
以上の説明では、受信復調部1によって暗号が解読されたディジタル放送データを記録再生装置4に伝送、記録する場合について説明した。しかし、記録再生装置4の有する記録媒体が可搬性を持つ場合等は、暗号解読のための認証が得られない場合を考慮して、一部又は全部の暗号を解かずに記録することが望ましい場合もある。このような場合には、図14に示すように、番組情報インデックスに解読済みの状態を示すフラグを設けて、そのフラグに暗号の解読をすでに行ったか否かを記述することで、再生時の動作を決定するように構成する。
また、記録再生装置4の有する記録媒体が可搬媒体である場合を考慮して、記録再生装置4に記録されるパケットストリーム中にCATを挿入するよう構成することも可能である。この場合には、情報テーブル生成器7によって、CATを暗号化の状態を示すように生成し、生成したCATを情報テーブル挿入器3aによってパケットストリーム中に挿入する。
このように、CATを処理対象とする場合でも、CATを含む情報テーブルを番組情報インデックス化し、システム中に記録するよう構成することが可能である。
このように、本実施の形態6に係るディジタル放送受信システムによると、記録すべき放送番組以外のデータを極力記録媒体に記録せずに動作させることが可能である。実際のディジタル放送においては、これら放送番組以外のデータは伝送されるデータ中で5〜10%程度存在する。本実施の形態6に係るディジタル放送受信システムの構成・動作によって、放送番組のデータ自体の記録媒体内での占有率を向上させることが可能になる。
実施の形態7.
上記実施の形態6においては、PAT及びPMTに記述されている情報のうち、program_number及び各ESのPIDの値がそのまま番組情報インデックスに記述された。しかし、これらの値は、伝送されてくる情報データを初めて取得する時点では再生動作につなげるために必要な情報であるが、記録再生動作においてこれらの情報は、一旦取得してしまえばその後の再生動作には必須の値というわけではない。そこで、記録番組に関するPAT、PMTについて、番組情報インデックスに記述されているPID値を操作するよう構成することも可能である。
本実施の形態7に係るディジタル放送受信システムの構成は、図12に示した上記実施の形態6に係るディジタル放送受信システムの構成と同様である。以下、本実施の形態7に係るディジタル放送受信システムの動作について、主に上記実施の形態6との相違点を中心に説明する。
本実施の形態7においても、パケットフィルタ2は、上記実施の形態6と同様の不要なパケットをフィルタリングする。さらに本実施の形態7では、PAT中に記述されているPMTのPID値をある特定の第1の値に置き換えるとともに、記録番組に関するPMTのPID値を、PATの上記変更に対応させて上記第1の値に置き換える。これに加えて、記録番組に関するPMT中に記述されているESのPID値をある特定の第2の値に置き換えるとともに、記録番組に関するESのPID値を、PMTの上記変更に対応させて上記第2の値に置き換える。そして、CPU8は、上記各PID値を置き換えた後の情報テーブルに基づいて番組情報インデックスを作成し、メモリ13に記録する。
また、情報テーブル生成器7及び情報テーブル挿入器3aは、CPU8からの指示を受けて、パケットストリームを構成するESのPID値を、番組情報インデックスの記述に対応させて上記第2の値に置き換える。このような処理を行うことで、ESのPID値が既知であるパケットストリームを、記録再生装置4に記録することが可能となる。
図15は、受信復調部1から出力された時点での情報テーブルに基づいて作成された番組配列情報を示す図であり、図16は、上記各PID値を置き換えた後の情報テーブルに基づいて生成された番組情報インデックスを示す図である。図15に示した番組配列情報では、番組2に関する動画及び音声の各PID値が、記録位置の相違に応じて互いに異なっている。一方、図16に示した番組情報インデックスでは、番組2に関する動画及び音声の各PID値は、記録位置に拘わらず同一の値に変更されている。
記録番組の再生動作においては、記録媒体から読み出すべきESのPID値は、番組情報インデックスに記述されている既知の値であるため、デマルチプレクサ10及びAVデコーダ11は、PAT及びPMTの記述内容を確認するという動作を行うことなく、ESの処理を直接開始することができる。
また、番組の記録において新たに生成された各ESのPID値については、ビデオやオーディオ等の各メディアごとに、全て同じ値とするように処理することも可能である。図17は、このような処理によって作成された番組情報インデックスを示す図であり、図18は、システム規定値を示す図である。図17に示した番組情報インデックスには、program_number、動画、音声、及びPCRの各PID値が記述されていない。このような処理を行うことで、番組の記録動作においては、各ESのPID値を番組情報インデックスに記述するという動作が不要となる。また、番組の再生動作においても、プログラムとしてのシステム規定値を用いて動作を行うことが可能となるため、各ESの処理を開始するにあたって番組情報インデックスの記述内容を確認するという動作が不要となる。
CPU8は、番組が記録されている記録媒体内の位置を各番組ごとに区別して認識可能である。従って、同時に複数の番組を記録する場合であっても、各ESのPID値を記録再生装置4内で全て同じ値に書き換えるという処理を行うことも可能である。CPU8は、同一のPID値を持つパケットであっても、記録再生装置4内の記録位置に基づいて番組を認識することにより、適切な指示を発する。
さらに、ユーザの利便性を考慮して、情報テーブル中の記述子部分のデータを、番組情報インデックスに併せて記述することも可能である。例えばPMT中の記述子部分には、番組の内容、放送形態、受信の方式等に関する情報が記述されている。これらの情報を番組情報インデックスに併せて記述し、メモリ13をはじめとするシステム中の記録領域に記録することが可能である。これらの情報を番組情報インデックスに記述しておくことで、将来的に記録番組の検索や閲覧を行う際に、これらの情報を参照することができる。図17に示した番組情報インデックスには、パレンタルレート記述子が番組と対応付けて記述されており、番組2では13歳以上の視聴が推奨されていることが記述されている。再生する番組の選択をユーザに行わせる際にこのような情報を表示することで、選択の利便性を向上することができる。
このように本実施の形態7に係るディジタル放送受信システムによると、上記実施の形態6に係るディジタル放送受信システムにより得られる効果加えて、従来のシステムにおいては記録番組の再生時に必須であった番組配列情報テーブルの記述内容の確認動作が不要となり、情報データの迅速な処理が可能になるという効果も得られる。また、記録番組の再生時にユーザに対して詳細な番組情報を提供することができ、ユーザの利便性の向上を図ることも可能である。
実施の形態8.
上記実施の形態6に加えて、SIテーブル(特にSDTとEIT)に記述されている情報に関しても番組情報インデックスに記述するという構成をとることもできる。
本実施の形態8に係るディジタル放送受信システムの構成は、図12に示した上記実施の形態6に係るディジタル放送受信システムの構成と同様である。以下、本実施の形態8に係るディジタル放送受信システムの動作について、主に上記実施の形態6との相違点を中心に説明する。
受信復調部1において受信・復調されたディジタル放送信号は、情報テーブル抽出器6に入力される。情報テーブル抽出器6は、CPU8からの指示に基づいてSIテーブルを解析し、その内容のうち必要なものをCPU8へと入力する。情報テーブル抽出器6は、SDT及びEITに関して、自ストリームかつ現在の番組関連情報に着目し、そのテーブルIDを持つパケットのみを処理する。そして、現在の番組関連情報のうち、CPU8から指示された情報(例えば番組名)に関するデータのみを抽出する。抽出された情報は、記録再生装置4の有する記録媒体に記録された番組データと関連付けられて、メモリ13内に格納されている番組情報インデックスに記述される。
図19は、このようにして生成された番組情報インデックスの一例を示す図である。図19に示した番組情報インデックスには、プロ野球と映画の2つの番組について、SDTから抽出されたチャネル名、及びEITから抽出された番組の放送日時や番組名等の詳細情報がそれぞれ記述されている。ユーザによる再生番組の選択時には、これら番組関連情報をグラフィクス部15を用いてモニタ12に表示することで、ユーザによる番組選択の補助とすることができる。
上記の通りSDT、EITには番組の内容、放送形態、受信の方式等に関する記述子が含まれる可能性があるが、放送を受信した時点で視聴可能かつ記録可能と判断された場合、これらの記述子の再利用は必須ではなくなる。このため、SDT、EITを伝送するパケットに関してはパケットフィルタ2でフィルタリングすることによって、記録再生装置4の記録領域を有効に活用することが可能となる。その他の記録・再生動作に関しては、上記実施の形態6と同様である。
このように本実施の形態8に係るディジタル放送受信システムによると、上記実施の形態6に係るディジタル放送受信システムにより得られる効果に加えて、SDTやEITといった、本来ディジタル放送信号に含まれるデータの処理を通じて、ユーザの扱いやすいシステムの構築が可能となるという効果が得られる。
実施の形態9.
上記実施の形態6に加えて、SDT及びEIT以外のSIテーブルについても処理を行うという構成をとることもできる。ここではBATに注目してシステムを構成することでユーザの利便性の向上を図る。BATは、他のネットワークを含む複数の情報伝達経路を介して伝送される複数のサービスをひとまとめにして扱うための情報テーブルである。このBATの利用法は将来の拡張を含めて様々ものが期待されている。ユーザがある番組の記録を指示した場合、伝送されてくる情報データ中のBATの内容を確認し、この内容を番組情報インデックスに記述することで、後の再生時にこのブーケ情報を用いたサービスをユーザが享受できる可能性がある。
本実施の形態9に係るディジタル放送受信システムの構成は、図12に示した上記実施の形態6に係るディジタル放送受信システムの構成と同様である。以下、本実施の形態9に係るディジタル放送受信システムの動作について、主に上記実施の形態6との相違点を中心に説明する。
CPU8は、情報テーブル抽出器6を制御して、BATの到達とその記述内容とを確認する。BATの記述子には、他の情報データとの関連情報が記述されている。CPU8は、BATの記述子の中から、ブーケ名称と、各情報データを伝達するネットワーク識別子及びトランスポート識別子とを抽出し、メモリ13内に格納されている番組情報インデックスに記述する。後の再生動作においては、このようにして生成された番組情報インデックスを参照して、その時点で同一ブーケを構成する他の番組情報データが受信復調部1を介して利用可能な状態にあれば、CPU8の指示により、デマルチプレクサ10以降の再生系にてユーザにそのサービスを提供することが可能である。
また、ユーザによって番組の記録が指示された時点で、同一ブーケを構成する他の番組情報データが受信復調部1を介して利用可能な状態にあれば、ユーザの指示、あるいはシステムの変更可能な設定情報に基づき、上記他の番組情報データを記録指示のあった番組情報データとともに、記録再生装置4に記録するよう構成することも可能である。この自動記録動作に関しては、これまでに記述した各種情報テーブルの操作、及びそれに付随するデータの置換動作を適切に行い、不要なデータの削除による記録効率の向上及び再生時の処理速度の向上を図るように動作させることはいうまでもない。
このように、本実施の形態9に係るディジタル放送受信システムによると、上記実施の形態6に係るディジタル放送受信システムにより得られる効果に加えて、BATのように、本来ディジタル放送信号に含まれるデータの処理を通じて、ユーザの扱いやすいシステムの構築が可能になるという効果が得られる。
実施の形態10.
上記実施の形態1〜9では、記録された情報データを基本的にシステム内部で再生利用するというシステム構成をとっていたが、記録された情報データを他の外部機器へ配信するよう構成することも可能である。
記録再生装置に記録された放送番組をシステム内部で閉じた形で再生動作させる場合には、記録媒体の記録効率を優先し、最も効率の高い記録方式を採用することが可能である。しかし、記録された番組情報を、該記録を行ったシステム以外の再生系で利用することを考えた場合、ARIBあるいはMPEG規格に準拠した形態で番組情報を出力する必要がある。なぜなら、外部に接続される装置は一般的に任意であり、それらは本システム特有の記録再生方式や動作に関する先見情報を持たないからである。一方、外部機器との適合のみを考慮して、規格に準拠する一般的な方式で記録を行った場合、これまでに述べてきたような効率の高い記録は行えない。そこで、本実施の形態10では、高い記録効率を維持しつつ、外部機器との適合をも実現し得るディジタル放送受信システムを提案する。
図20は、本発明の実施の形態10に係るディジタル放送受信システムの構成を示すブロック図である。図20に示すように本実施の形態10に係るディジタル放送受信システムは、図12に示した上記実施の形態6に係るディジタル放送受信システムを基礎として、出力情報挿入器16と、切換スイッチ17と、ディジタル出力部18とをさらに備えたものである。出力情報挿入器16の入力は、記録再生装置4及び情報テーブル生成器7の各出力にそれぞれ接続されており、出力情報挿入器16の出力は、切換スイッチ17の一方入力に接続されている。切換スイッチ17の他方入力は受信復調部1の出力に接続されており、切換スイッチ17の出力はディジタル出力部18に接続されている。
切換スイッチ17による切換動作は、切換スイッチ5による切換動作と独立して、あるいは同期して行うことができる。これにより、ディジタル出力部18と、デマルチプレクサ10及びAVデコーダ11を経由してモニタ12に表示される出力とを、受信復調部1からの信号と記録再生装置4からの信号との間で自由に切り換えることが可能となる。つまり、モニタ12によってある番組を視聴しながら、同じ番組あるいは他の番組をディジタル出力部18から外部に出力することが可能である。
以下、本実施の形態10に係るディジタル放送受信システムの動作について、主に記録番組の再生動作を中心に説明する。番組の記録動作等、以下に記述されない動作に関しては、これまでに記述した上記各実施の形態における動作と同様である。まず、CPU8は、グラフィクス部15及びユーザインタフェース部9によって、ユーザからの再生番組の指示を受ける。次に、CPU8は、メモリ13や記録再生装置4の有する記録媒体等に記録された、番組の記録位置に関するデータを用いて、再生する放送番組に関するデータを記録再生装置4から読み出す。読み出されたデータは、切換スイッチ5及び出力情報挿入器16へそれぞれ入力される。これとともにCPU8は、情報テーブル生成器7に対して情報テーブル生成の指示を出す。
ここで、情報テーブル生成器7と出力情報挿入器16とによって実現される、情報テーブルの挿入動作について説明する。これまでに述べてきたように、記録再生装置4に記録されているディジタル放送信号には、頻度、種類、量等が様々な複数の情報テーブルが含まれている。しかしここでは、記録再生装置4に記録されているディジタル放送信号に情報テーブルが全く含まれていない場合を想定して、具体的な動作について記述する。
本実施の形態10に係るディジタル放送受信システムは、記録再生装置4に記録されている番組データを、以下の動作によって、MPEG規格に準拠したパケットストリームに変換して外部機器に出力する。再生指示のあった番組を記録する際に、その番組のデータ伝送用パケットのPID値は、メモリ13又は記録再生装置4の有する記録媒体に記録されている。あるいは別の実施の形態においては、これらのPID値はシステム規定値に変換されている。しかしいずれにしても、これらのPID値は当然にCPU8の知るところである。情報テーブル生成器7は、この値に基づいて、記録再生装置4から出力された番組データに挿入すべきPAT及びPMTを新たに生成する。生成にあたっては、それぞれ図5,10の構成をとり、記録していた種々の番組関連情報を記述する。また、受信復調部1が暗号を解読する機能を有し、かつ、番組の記録時にCATに関する情報がメモリ13等に記録されていない場合は、情報テーブル生成器7は、全て暗号化されてない旨を示すCATを新たに生成する。生成されたCATは、出力情報挿入器16によって、記録再生装置4から出力された番組データに挿入される。これにより、出力情報挿入器16から出力される番組データは、PSIテーブルを持ち、MPEG規格に準拠したパケットストリームの形態となる。従って、このような番組データが切換スイッチ17及びディジタル出力部18を介して任意の外部機器に出力されても、該外部機器は、入力されたパケットストリームに基づいて、解析及びデコード動作を行うことが可能となる。
また、出力情報挿入器16によるPSIテーブルの挿入動作においては、その挿入時間間隔の制御を行うこともできる。上述した通り、各PSIテーブルには最大許容伝送間隔がそれぞれ規定されており、その伝送間隔以内で繰り返し伝送される必要がある。そこで、CPU8は、タイマ14(あるいはCPU8が内蔵するタイマ)によって、伝送間隔の計測・監視を行う。CPU8は、出力情報挿入器16によってあるテーブルが挿入された時点でのタイマ値を記憶し、該テーブルを次に挿入すべき時間を計算する。CPU8は、タイマ14の示す値を随時監視し、該テーブルの最大許容伝送間隔が経過する前に、情報テーブル生成器7及び出力情報挿入器16に指示を出して、次のテーブルの多重化を行う。このようにして、各PSIテーブルがそれぞれMPEG規格に準拠した伝送間隔で多重化されたパケットストリームを得ることができる。
この動作とともに、本実施の形態10に係るディジタル放送受信システムでは、出力するパケットストリームの伝送レートの制御も行う。図20に示したAVデコーダ11は、動画及び音声データのデータレートを判断する機能を有している。通常のTV信号においては1フレームは33msec周期である。記録再生装置4から読み出された画像データがそれよりも早い速度で伝送されてきており、AVデコーダ11が有する図示しないデータバッファの容量を超えると判断すると、AVデコーダ11はCPU8に指示を出して、記録再生装置4からのデータの出力を一旦停止させる。時間の経過により動画及び音声データのデコード処理が進んでデータバッファの空き容量が十分になると、次のフレームに再生すべきデータが必要となった時点で、AVデコーダ11はCPU8に再び指示を出し、記録再生装置4からのデータの読み出しを再始動させる。
しかし、ディジタル出力部18に接続される外部機器が、通常のパケットストリームのように送信側で適正なデータレートに制御されていることを前提として動作している場合には、上記各実施の形態で示したような、不要パケットを含まずに記録されたディジタル情報をそのまま利用することはできない可能性がある。なぜなら、外部機器の有するAVデコーダが上記したようなデータレートの制御を行うことができない、あるいは、データレートの制御命令を本システム中のCPU8に指示する機能を持たないことが考えられるからである。このような場合には、ディジタル出力部18から、適正なデータレートを持つパケットストリームを出力する必要がある。
この動作は、CPU8の指示により、記録再生装置4から出力されるパケットストリーム中に、出力情報挿入器16によってヌルパケットを挿入することで行う。ヌルパケットとは、そのパケットを伝送するパケットのPID値が0×1FFFの固定値をとり、伝送される内部のデータには意味がないパケットである。ディジタル情報データを受け取る受信システムにおいてヌルパケットを受信した場合の動作は、基本的には無動作となっている。そこで、ディジタル出力部18から出力されるディジタルデータのデータレートを適正なものに設定するために、情報テーブル生成器7ではヌルパケットの生成を行い、出力情報挿入器16ではこの生成されたヌルパケットをパケットストリームに多重化する。
CPU8は、記録番組の再生動作に入ると、記録されている情報テーブルに基づいて、PCRを伝送するパケットのPID値を確認し、記録再生装置4から読み出されるデータ中のPCR値を適宜確認する。また、CPU8はこれとともに、再生動作を開始した時点でタイマ14(あるいはCPU8が内蔵するタイマ)を用いて、再生動作時間の計測・監視を開始する。PCRの値はそのパケットの伝送されるべき相対時間を記述する値であるため、当初伝送され記録された時間を示すことになる。従って、このPCRの値とタイマ14による伝送時間との差が一定になるように番組データを出力してやることで、適正なデータレートを持つパケットストリームを生成することが可能となる。つまり、PCRの値とタイマ14の示す値とをCPU8によって監視し、必要に応じてヌルパケットを多重化することで、データレートの制御が可能となる。このように構成することで、MPEG規格に準拠した一般的なディジタル放送信号しか扱うことのできない外部機器をディジタル出力部18に接続した場合であっても、本システムに関しては記録再生装置4の記録効率を低下させることなく、安定かつ汎用度の高いディジタル放送番組の再生を行うことが可能となる。
以上の説明では、暗号が解読された状態で番組データが記録されていることを前提としてCATを生成・多重化したが、記録再生装置4に記録されている番組データがまだ暗号化された状態にある場合や、当初番組が伝送された状態において、CAの認証が行われていない場合等に対応するため、当初の暗号化状態に応じた出力を行うことも可能である。
このために、情報テーブル生成器7では次のような動作を行う。受信復調部1がディジタル放送信号を受信した時点で、CPU8は、CATの情報を、メモリ13内(あるいは記録再生装置4が有する記録媒体内)に格納されている番組情報インデックスに逐次記述する。例えば図14に示したように、番組情報インデックスにはその番組がその時点で暗号化されているかどうか(CA_system_id)の記録が残されている。ディジタル出力部18から番組データを出力する場合、CPU8は、番組情報インデックス中のこの記述を参照して、各情報出力時間においてパケットストリームに多重化されるCATが適切にその暗号化状態を反映するよう、情報テーブル生成器7及び出力情報挿入器16を動作させる。これにより、暗号化されたデータが出力されている時点でのCATにはその旨が記述されていることになり、外部機器に出力されるパケットストリームはMPEG規格に準拠し、かつ、CAシステムとしての動作を満たした形態となる。
なお、図20に示した構成では、記録再生装置4からの出力を、出力情報挿入器16及び切換スイッチ17を経由してディジタル出力部18へ、及び切換スイッチ5を経由してデマルチプレクサ10以降の再生系へそれぞれ伝送するよう構成したが、出力情報挿入器16の出力をデマルチプレクサ10以降の再生系へ伝送するよう構成することも可能である。この場合には、デマルチプレクサ10以降の再生系を、MPEG規格に準拠した通常のディジタル信号のみを扱うよう構成することが可能となり、ソフトウェアの単純化を図ることができる。
また、以上の説明では、記録再生装置4からディジタル出力部18への出力動作について説明したが、これとともに、記録再生装置4から切換スイッチ5を経由してデマルチプレクサ10、AVデコーダ11、及びモニタ12から成る信号処理系へとディジタル放送データを伝送することで、以上に説明した動作が可能になることは言うまでもない。
さらに、CPU8の指示によって、情報テーブル生成器7を制御し、情報テーブル挿入器3aを動作させてやることで、ディジタル出力部18への出力動作及び/又はデマルチプレクサ10への出力動作と同時に、記録再生装置4への記録動作を行うことが可能となることはいうまでもない。
このように本実施の形態10に係るディジタル放送受信システムによれば、上記各実施の形態により得られる効果に加えて、番組関連情報等を含み、かつMPEG規格に準拠したディジタルデータを、任意の外部機器に向けて出力することができるという効果が得られる。
実施の形態11.
本実施の形態11に係るディジタル放送受信システムの構成は、図20に示した上記実施の形態10に係るディジタル放送受信システムの構成と同様である。
上記実施の形態10では、各番組のprogram_numberの値は、メモリ13等に記録されている値として、あるいはシステム規定値として得られた。しかし、例えば上記実施の形態2,7のように、program_numberの値や各ESのPID値が特定の値に統一して置き換えられて記録されたディジタル放送受信システムにおいて、複数の番組を同時に出力する場合には、それぞれの番組のprogram_numberの値や各ESのPID値が重ならないように操作する必要がある。このような場合には、例えば、一方の番組のprogram_numberの値及び各ESのPID値を、他方の番組に重ならないように別の値にそれぞれ置き換えることで、所望の動作を実現できる。
具体的手段の一つとしては、記録媒体に記録された番組データの持つprogram_numberの値に拘わらず、番組データが記録再生装置4から読み出されてからディジタル出力部18から出力される前に、番組データの持つprogram_numberの値を変更することが考えられる。まず、CPU8が新たに付加するprogram_numberの値を決定し、その値を情報テーブル生成器7に入力する。情報テーブル生成器7は、入力されたその値に基づいて、PAT及びPMTを新たに生成する。記録媒体に記録されている番組データが既にPAT及びPMTを有する場合には、出力情報挿入器16によって、該テーブルを新たに生成したテーブルで置き換える。一方、記録媒体に記録されている番組データがPAT及びPMTを有しない場合には、出力情報挿入器16によって、新たに生成したPAT及びPMTを挿入する。これにより、システムの状態に応じて任意のprogram_numberの値を与えて番組データを出力できるディジタル放送受信システムを構成することが可能になる。
これとともに、あるいはこれとは独立に、次のように構成することも可能である。上記構成では、メモリ13等に記録されている各ESのPID値に基づいて動作を行っていたが、情報テーブル生成器7及び出力情報挿入器16によって、各ESのPID値を別の任意の値に置き換えるよう構成することも可能である。もちろんこの動作において、複数の番組を多重化して伝送する旨が記述されたPSIテーブルを情報テーブル生成器11によって新たに生成し、出力情報挿入器16によって番組データに多重化することはいうまでもない。
さらに、この構成における動作において、各PSIテーブルの伝送間隔を適切に調整して番組データに多重化させるべく、CPU8が情報テーブル生成器7及び出力情報挿入器16の動作を制御していること、及び、外部機器に対して適正なデータレートで番組データを出力するべく、CPU8が、出力データのPCR値とタイマ14を用いて計測された時間とを比較して、出力情報挿入器16によるヌルパケットの挿入動作を制御していることはいうまでもない。
また、PMTの生成及び多重化に関しては、メモリ13又は記録再生装置4が有する記録媒体に格納された、記録済み番組に関するデータを利用することで、ユーザの選択の利便性を向上させるよう構成することも可能である。つまり、情報テーブル生成器7が各種記述子を含んだPMTを生成するよう、システムを構成する。一例としてパレンタルレート記述子を挙げれば、メモリ13等に記録されている番組情報インデックスには、図17に示したように、番組レーティングに関する情報が記述されている。図17に示した例では、番組1に関しては制限がなく、番組2に関しては13歳以上の視聴が推奨されている。このように番組に対して年齢に応じた視聴制限が課された番組を出力する場合は、ディジタル出力部18を介して外部に接続された受信装置においても、この視聴制限を適切に機能させることで、ユーザの利便性を向上することができる。このために、情報テーブル生成器7は記述子を含んだ形でPMTを生成し、出力情報挿入器16によって番組データに多重化する。ここではパレンタルレート記述子に関して説明したが、他の記述子を独立に、あるいは任意に組み合わせて多重化することも、同じ動作で可能であることはいうまでもない。これによって、外部機器を用いるユーザに対しても、本システム中に記録されていた各種番組関連情報等を提供することが可能になる。
このように本実施の形態11に係るディジタル放送受信システムによると、上記各実施の形態により得られる効果に加えて、各種番組関連情報等を含んだMPEG規格準拠のディジタル情報を外部機器に出力することができ、ユーザの利便性を向上し得るシステムを構築することが可能となる。
実施の形態12.
上記実施の形態10に加えて、SIテーブルについても処理を行う構成をとることもできる。上記の通り、SIテーブルには伝送されている番組に関連する各種の情報が含まれている。本発明に係るディジタル放送受信システムの機能の一つである記録番組の出力動作において、特に外部機器への出力動作において、SIテーブルに記述されている情報をも併せて出力してやることで、記録番組の再生と現在伝送中の番組の視聴とをユーザが適宜判断して選択できるシステムを構成することが可能になる。
図20を参照して、この動作を説明する。受信復調部1によって受信されたSIテーブルは情報テーブル抽出器6によって抽出され、CPU8からの指示により、そのままの内容で、あるいはテーブル識別値の変更等を行った後に、情報テーブル生成器7によって再度新たに生成される。新たに生成されたSIテーブルは、出力情報挿入器16によって、記録再生装置4から出力される番組データに多重化される。SIテーブルが多重化された番組データは、切換スイッチ17を経由してディジタル出力部18へ送られ、外部機器へ出力される。このように構成することで、ディジタル出力部18に接続されている外部のディジタル放送受信システムは、記録再生装置4から出力される過去の記録番組に関する番組データとともに、現在実際に伝送されているSIテーブルを受信することができる。SIテーブルには、自ネットワークや他ネットワークを通じて現在伝送されている番組に関する情報等が含まれている。従って、外部のディジタル放送受信システムを使用するユーザは、記録番組の再生を行っている状態においても、現在伝送されている他の放送番組に関する情報を取得することが可能となる。
上記構成に加えて、SIテーブルのうちのSDT及びEITについてはさらに以下の処理を行うよう構成することも可能である。SDT及びEITには番組に関連する情報がそれぞれ記述されている。これらの番組関連情報は一般的なディジタル放送受信システムにおいて、EPGを生成・処理するために用いられている。そしてEPGは、ユーザによる受信番組の選択及び装置の受信動作自体において必須のものである場合も多い。そこで、記録再生装置4に記録された番組データをディジタル出力部18を介して外部機器へ出力する際には、これらの番組関連情報をも番組データに多重化して出力することで、外部機器による受信動作を可能にすることができる。
図20を参照して、この動作を説明する。EITは、放送されている番組のprogram_numberと、番組名等の番組に関連する情報とを結びつけるテーブルである。そこで、記録再生装置4に記録されている番組データをディジタル出力部18を介して外部機器に出力する場合には、その番組データにEITを付加することで、外部機器を使用するユーザにとっては、再生番組の選択や情報の取得が可能となる。
上記の通り、EITには自ストリーム及び他ストリームのそれぞれに関する、現在と次の番組、8日以内の番組、8日以降の番組という合計6種類のテーブルが存在するが、記録再生装置4に記録されている番組の再生動作においては、自ストリームの、しかも現在の番組に関するEITのみが意味を持つ。他ストリームに関するEITは、情報テーブル抽出器6により取得したEITをCPU8の指示によって情報テーブル生成器7で新たに生成し、出力情報挿入器16で多重化することで、番組データに挿入可能である。この動作において、伝送されてきた自ストリーム及び他ストリームに関するEITは、外部機器にとっては全て他ストリームに関するEITとなる。そのため、自ストリームに関するEITのテーブル識別値を、他ストリームに関するEITを表すテーブル識別値に置き換えて、番組データに多重化する必要がある。
EITを生成するにあたって、情報テーブル生成器7は、メモリ13等に格納された番組情報インデックスに記述されている、各種の番組関連情報を参照する。例えば図19に示したように、番組情報インデックスには、番組名、放送日時、内容に関する詳細情報等が記述されている。さらに詳細な情報を番組情報インデックスに記述しておくことで、番組選択の際のユーザの利便性を向上させることもできる。このようにして生成、出力された番組データを受け取った外部の放送受信システムは、自ストリームの現在の番組をEITから取得して再生中の番組の視聴を行うことができるだけでなく、他ストリームにて現在伝送されている番組又は将来伝送される予定の番組に関する情報を取得することも可能となる。従って、必要に応じて記録再生装置4からの番組再生を停止し、受信復調部1を経由したライブ放送情報に切り換えることで、現在伝送中の番組を視聴することも可能である。
また、これとともに、あるいはこれとは独立して、SDTを処理の対象とすることも可能である。SDTは、放送されている番組のサービス識別と、program_numberとを結びつけるテーブルである。そこで、記録再生装置4に記録されている番組データをディジタル出力部18を介して外部機器に出力する場合には、その番組データにSDTを付加することで、外部機器を使用するユーザにとっては、再生番組の選択や情報の取得が可能となる。
上記の通り、SDTには自ストリーム及び他ストリームに関する合計2種類のテーブルが存在するが、記録再生装置4に記録されている番組の再生動作においては、自ストリームに関するSDTのみが意味を持つ。他ストリームに関するSDTは、情報テーブル抽出器6により取得したSDTをCPU8の指示によって情報テーブル生成器7で新たに生成し、出力情報挿入器16で多重化することで、番組データに挿入可能である。この動作において、伝送されてきた自ストリーム及び他ストリームに関するSDTは、外部機器にとっては全て他ストリームに関するSDTとなる。そのため、自ストリームに関するSDTのテーブル識別値を、他ストリームに関するSDTを表すテーブル識別値(0x46)に置き換えて、番組データに多重化する必要がある。
SDTを生成するにあたって、情報テーブル生成器7は、メモリ13等に格納された番組情報インデックスに記述されている、各種の番組関連情報を参照する。例えば図19に示したように、番組情報インデックスには、放送チャネルで表されるサービス情報が記述されている。従って、このようなサービス情報等を番組データと併せてディジタル出力部18から出力することで、番組選択の際のユーザの利便性を向上させることができる。また、ARIB規格では、再生される番組のprogram_numberとSDT中のservice_idとは同一であるよう規定されている。従って、SDTを生成するにあたっては、記録された番組データのprogram_numberを番組データあるいは番組情報インデックスから読み出して、SDT中のservice_idとして使用する必要がある。
このようにして生成、出力された番組データを受け取った外部の放送受信システムは、自ストリームのサービス情報をSDTから取得して再生中の番組の視聴を行うことができるだけでなく、他ストリームにて現在伝送されている番組又は将来伝送される予定の番組に関する情報を取得することも可能となる。従って、必要に応じて記録再生装置4からの番組再生を停止し、受信復調部1を経由したライブ放送情報に切り換えることで、現在伝送中の番組を視聴することも可能である。
なお、これらの動作には、program_number等、再生された番組データに関連する情報の値が用いられており、実際の再生に係る情報テーブル挿入及びデータ置換動作においては、適切に規格に準拠したデータ値をとるよう動作させる必要があることはいうまでもない。
以上のように、情報テーブル生成器7によってEIT及びSDTを生成し、出力情報挿入器16によって番組データに挿入することで、記録番組の番組データとともに、現在伝送されているEIT及びSDTを外部機器に伝送することが可能となる。これにより、外部のディジタル放送受信システムにおいては、その本来具備するEPGやユーザインタフェースのみを利用して、特別な先見情報なしに、本発明に係るディジタル情報受信システムから出力される再生番組の選択及び視聴を行うことが可能となる。
また、BAT及びPCATを処理対象に含めるよう構成することも可能である。図21は、本発明の実施の形態12に係る他のディジタル放送受信システムの構成を示すブロック図である。図21に示すように本実施の形態12に係る他のディジタル放送受信システムは、図20に示したディジタル放送受信システムを基礎として、パケットフィルタ2と出力情報挿入器16とを繋ぐ信号線19をさらに備えたものである。図21を用いて、動作を説明する。BATには、複数の番組サービスに関連するデータ情報が記述されており、PCATには、画像、音声、プログラム等、番組サービスに関連したデータ情報が記述されている。これらは、放送されている実時間のみで有用なサービスと、それ以外にも長期間にわたって利用可能なサービスとが想定されている。特にPCATには、以前に伝送された各種データとの差分データに関する情報が記述されており、以前に記録した番組データの再生動作においても重要な意味を持つ場合があると考えられる。
記録再生装置4に記録されている番組データをディジタル出力部18を介して外部機器に出力する場合には、伝送されているBATを情報データ抽出器6にて抽出し、CPU8は、現在伝送されている各種サービスと再生を行う番組との間に関連があるか否かを判断する。
関連がないと判断された場合は、伝送されているBATをそのままの形態でパケットフィルタ2から信号線19を介して出力情報挿入器16に入力し、出力情報挿入器16は、番組データにBATを多重化して出力する。一方、関連があると判断された場合は、外部のディジタル放送受信システムにて、あるいは本発明に係るディジタル放送受信システムにて設定された方針(仕様によって異なる)に従い、BATに記述されている全ての情報サービスをディジタル出力部18から出力するよう動作する。この動作においては、CPU8は、伝送されているBATを一旦記録再生装置4に記録した後、直ちに記録再生装置4から読み出し、出力情報挿入器16へ送る。この動作において、情報テーブル生成器7は、BATに記述されている全ての情報サービスと、記録再生装置4から出力された番組データとの間で整合性が満たされるように動作する。また、CPU8は、タイマ14を用いてBATの伝送間隔の制御を実行し、MPEG規格及びARIB規格に準拠した伝送間隔を保持するよう動作する。
また、同じく記録番組の再生動作を行う際に、伝送されているPCATを情報テーブル抽出器6によって抽出し、現在伝送されている各種サービスと再生を行う番組との間に関連があるか否かの判断をCPU8が行う。PCATの記述により、現在伝送されている差分データが現在再生中の番組データに関連がないと判断された場合は、PCATはそのままの形態で情報テーブル生成器7によって再度新たに生成され、出力情報挿入器16によって番組データに多重化される。一方、PCATの記述により、現在伝送されている差分データが現在再生中の番組データに関連があると判断された場合には、それら関連する差分データは、パケットフィルタ2を経由して出力情報挿入器16へ送られる。この動作において、情報テーブル生成器7は、PCATに記述されている全ての差分データと、記録再生装置4から出力された番組データとの間で整合性が満たされるよう動作する。また、CPU8は、タイマ14を用いてPCATの伝送間隔の制御を実行し、MPEG規格及びARIB規格に準拠した伝送間隔を保持するよう動作する。
さらに、番組の伝送されている時間及び放送状況に関するSI情報を処理対象とすることも可能である。図21を用いて、この動作について説明する。TDT及びTOTは一体として現在の時刻に関する情報を示しており、EIT、SDTとともに、EPGの表示や一般的なディジタル放送受信システムにおいて動作に利用されることも多い。記録再生装置4に記録されている番組データをディジタル出力部18を介して外部機器に出力する場合、パケットフィルタ2は、CPU8からの指示により、伝送されているTDT、TOTを選別して、信号線19を介して出力情報挿入器16へ伝送する。出力情報挿入器16は、記録再生装置4から読み出された番組データにTDT、TOTを多重する。その後、TDT、TOTが多重された番組データは、切換スイッチ17及びディジタル出力部18を経由して外部機器へ伝送される。外部機器を使用するユーザは、TDT、TOTに基づいて生成されたEPGを参照することにより、番組の選択及び視聴を行うことが可能である。
上記の通り、記録番組の再生動作においては、該記録番組の放送時刻(記録時刻)に関する情報がEITに記述され、ユーザによるその番組の視聴の選択に寄与するよう構成されている。さて、外部に接続されたディジタル放送受信システムが、EITに記述された放送時刻情報と、TDT、TOTに記述された現在の時刻情報とを基に放送状況を判断した場合、システムは、再生番組は別の過去の時間に放送されたという情報のみを得ることになる。
一般的にRSTは、番組編成の急な変更等に対応すべく設定されており、ネットワーク、トランスポート、番組という識別子に対して、新しい放送開始時刻と現在の放送状態を指定することができる。また、RSTはEITに記述された番組の放送状況を指定するもので、受信システムの構成によっては、EIT、SDTの記述に優先してシステムの動作を規定することが可能である。
そこで、CPU8からの指示により、情報テーブル生成器7がRSTを生成し、出力情報挿入器16がRSTを再生番組に多重する。外部に接続されたディジタル放送受信システムにとっては、再生番組は現在伝送されていない旨がEITには記述されているが、RSTを参照することで再生番組の伝送を知ることが可能となる。これは、外部のディジタル放送受信システムを使用するユーザがEPGを参照することにより、過去の放送番組ではあるものの現在実際に伝送されているものとして、再生番組の視聴の選択が可能であることを意味する。
このように本実施の形態12に係るディジタル放送受信システムによると、上記各実施の形態により得られる効果に加えて、処理対象にSIテーブルを含めることで、各種番組関連情報等を含んだMPEG規格準拠のディジタル情報を外部機器に出力することができ、ユーザの利便性を向上し得るシステムを構築することが可能となる。