JP2012212013A - マスクブランク及び位相シフトマスクの製造方法 - Google Patents

マスクブランク及び位相シフトマスクの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】タンタル系材料の遮光膜パターンを有する基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するのに適したマスクブランクを提供する。
【解決手段】基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するために用いられるマスクブランク100であって、透光性基板1上に、遮光膜8と、エッチングマスク膜5とが順に積層された構造である。ここで、遮光膜8は透光性基板1に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなる。エッチングマスク膜5は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体装置等の電子デバイスの製造において使用されるフォトマスク(特に基板掘り込みタイプの位相シフトマスク)を作製するために用いるマスクブランク及び位相シフトマスクの製造方法に関する。
一般に、半導体装置の製造工程では、フォトリソグラフィー法を用いて微細パターンの形成が行われている。また、この微細パターンの形成には通常何枚ものフォトマスク(以下、「転写用マスク」という。)と呼ばれている基板が使用される。この転写用マスクは、一般に透光性のガラス基板上に、金属薄膜等からなる微細パターンを設けたものであり、この転写用マスクの製造においてもフォトリソグラフィー法が用いられている。
近年、半導体装置の集積度が著しく向上するにつれ、転写用マスクにおけるパターンの微細化の要求は高まるばかりである。転写用マスクとしては、透光性基板上に例えばクロム系材料からなる遮光膜パターンを有するバイナリマスクや、透光性基板上に露光光に対して所定の位相差を有する位相シフタ部を形成し、位相シフタ部と光透過部との境界部のコントラスト即ち解像度を向上させる位相シフトマスクが従来より知られている。この位相シフトマスクとしては、透光性基板上に、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させ、かつ所定の位相差(例えば180度)を有する例えばMoSi系材料からなる光半透過膜パターンを有するハーフトーン型位相シフトマスクの他に、透光性基板をエッチング等により掘り込んで位相シフタ部を設ける基板掘り込みタイプであるレベンソン型位相シフトマスクなどが知られている(例えば特許文献1、2等)。
この基板掘り込みタイプのレベンソン型位相シフトマスクは、バイナリマスクブランクと同様の構成、すなわち透光性基板上にパターン形成用薄膜を形成したマスクブランクから作製されるため、パターン形成用薄膜の構成については、バイナリマスクブランクの遮光膜と同様である。また、この遮光膜の材料は、従来のクロム系材料に加えて、タンタルを主成分とする材料なども提案されている。バイナリマスクブランクと同様の構成のマスクブランクを用いたレベンソン型位相シフトマスクの作製は次のようにして行われる。
最初に、マスクブランクのパターン形成用薄膜(遮光膜)に所定の転写パターンを形成する。
次に、基板掘り込み部(位相シフト部)を作製するために、上記転写パターンを形成したマスクブランク上に所定の基板掘り込み部のレジストパターンを形成し、続いて、このレジストパターンをマスクとして、例えばフッ素系ガスを用いたドライエッチングによって透光性基板を所定深さまで掘り込み、位相シフトパターンを形成する。
以上のようにして、基板掘り込みタイプのレベンソン型位相シフトマスクが作製される。
特開平9−160218号公報 特開2003−241360号公報
透光性基板上に遮光膜を形成したバイナリマスクブランクと同様の構造のマスクブランクを用いて基板掘り込みタイプのレベンソン型位相シフトマスクを作製する場合、基板掘り込み部(位相シフト部)と非掘り込み部との間での位相差制御(即ち掘り込み部と非掘り込み部との間での基板厚さの制御)が重要になる。正確に位相差を制御するためには、上記の透光性基板を所定深さまで掘り込む工程の前工程であるマスクブランクの遮光膜に転写パターン(遮光膜パターン)を形成するドライエッチングの際に、露出部分の基板を極力掘り込まないようにする必要がある。
上記マスクブランクの遮光膜をタンタル系材料で形成し、かつ、極力薄い膜厚で所定以上の遮光性能を有するように遮光膜を構成する場合、酸化していない若しくは酸化が進んでいないタンタル系材料(タンタル金属、窒化タンタル、ホウ化タンタル、炭化タンタル等)を用いることが望ましい。酸化していない若しくは酸化が進んでいないタンタル系材料は、フッ素系ガス、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスのいずれでもドライエッチングが可能な材料である。しかし、酸化したタンタル系材料は、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスに対するエッチングレートが著しく遅くドライエッチングが困難であるため、フッ素系ガスによるドライエッチングでエッチングすることになる。
タンタル系材料をフッ素系ガスでドライエッチングする場合、CHFやCFなどのガスが用いられる。透光性基板の材料として通常用いられる合成石英等のガラス材料は、これらのフッ素系ガスによってドライエッチングされやすい。遮光膜の透光性基板に接する層である下層を酸化したタンタル系材料で形成した場合、透光性基板との間で十分なエッチング選択性を得ることは難しい。従って、前記の酸化していない若しくは酸化が進んでいないタンタル系材料からなるタンタル系遮光膜のマスクブランクを用いて、基板掘り込みタイプのレベンソン型位相シフトマスクを作製する場合、塩素系ガスによるドライエッチングで遮光膜にパターンを形成する必要がある。
一方、上記遮光膜パターンを形成後、基板掘り込み部を作製するために、マスクブランク上にレジストを塗布して、パターン描画露光及び現像処理を行い、基板掘り込み部のレジストパターンを形成するが、描画精度等の事情から、本来の基板掘り込み部の幅よりも広めのスペース部を形成する。これによって、遮光膜パターンのエッジ近傍で遮光膜の表面が露出する部分が生じてしまう。続いて、上記基板掘り込み部のレジストパターンをマスクとして、ドライエッチングで基板を掘り込むが、上記のとおり、基板を掘り込む際のフッ素系ガスによるドライエッチングに対してタンタル系遮光膜は耐性が低い。基板を掘り込む深さも、露光光がArFエキシマレーザーの場合でも、約173nmと遮光膜の膜厚に比べて深い。このため、露出した遮光膜がエッチングされてしまう恐れがある。
このような基板を掘り込む際に、露出した遮光膜がエッチングされることを回避するためには、マスクブランクを製造する際、タンタル系遮光膜の上に、フッ素系ガスによるドライエッチングおよび酸素を実質的に含有しない塩素系ガスによるドライエッチングのいずれに対しても耐性を有し、かつこれらのエッチャント以外でエッチング可能であるハードマスク膜(エッチングマスク膜)を積層する必要がある。このようなハードマスク膜に適した材料としては、クロム系材料が挙げられる。
マスクブランク上に形成するレジスト膜厚を出来るだけ薄くする観点からは、上記ハードマスク膜を構成するクロム系材料のエッチングレートを速くすることが望まれる。そのためには、クロム系材料中の酸素含有量を多くしてエッチングレートを向上させることが考えられる。
ところで、ガラス基板に接して、例えば窒化タンタルの遮光膜を形成し、この遮光膜の上にさらにクロム系材料のハードマスク膜を積層したマスクブランクを用いて、基板掘り込みタイプのレベンソン型位相シフトマスクを作製する場合、最初に、マスクブランク上に遮光膜パターンを有するレジスト膜を形成する。次に、そのレジスト膜をマスクとして、クロム系材料のハードマスク膜をドライエッチングして、ハードマスク膜に遮光膜パターンを形成する。そして、その遮光膜パターンが形成されたハードマスク膜をマスクとして、窒化タンタルからなる遮光膜を酸素を実質的に含有しない塩素系ガスでドライエッチングして、遮光膜に遮光膜パターンを形成する。次いで、この遮光膜パターンを形成したマスクブランク上に基板掘り込み部のレジストパターンを形成し、この基板掘り込み部のレジストパターンをマスクとして、ドライエッチングで基板を掘り込み、位相シフト部を形成する。
以上説明したようなマスク作製プロセスから明らかなように、クロム系材料で形成されるハードマスク膜は、ガラス基板をエッチングする際のフッ素系ガスによるドライエッチングに対して耐性を有する必要があるだけでなく、窒化タンタルの遮光膜をエッチングする際の酸素を実質的に含有しない塩素系ガスによるドライエッチングに対しても耐性を有する必要がある。上記のとおり、レジスト膜厚を薄くする観点からは、クロム系材料からなるハードマスク膜のエッチングレートを向上させるために、クロム系材料中の酸素含有量を多くすることも考えられる。
しかしながら、本発明者の検討によると、上記の窒化タンタルからなる遮光膜を酸素を実質的に含有しない塩素系ガスでドライエッチングする際、上記ハードマスク膜を形成するクロム系材料中の酸素含有量が多い(例えば膜中の酸素含有量が30原子%よりも多い)と、上記の酸素を実質的に含有しない塩素系ガスのドライエッチングでハードマスク膜のパターンのエッジ部分(側壁)がエッチングされて減退してしまう恐れがあることが判明した。特に、ハードマスク膜に遮光膜パターンを形成後、ハードマスク膜上のレジストパターンを剥離し、ハードマスク膜のみをマスクとして遮光膜をドライエッチングするプロセスを行う場合、ハードマスク膜のパターン側壁だけでなくパターン表面も酸素を実質的に含有しない塩素系ガスのドライエッチングで減退する恐れがある。このようなハードマスク膜のパターンの減退が起こってしまうと、その後のガラス基板に掘り込み部を形成するためのフッ素系ガスによるドライエッチングの際に、ハードマスク膜の直下の遮光膜がエッチングによるダメージを受けてしまい、そもそも基板を掘り込む際のフッ素系ガスのドライエッチングによる遮光膜のダメージを回避するためにタンタル系遮光膜上にクロム系ハードマスク膜を形成したことの技術的意義が失われてしまう。
一方、マスクブランクの遮光膜をタンタル系材料で形成し、かつ、ある程度以上の表面反射防止機能を有する遮光膜を構成する場合、少なくとも下層(遮光層)と上層(表面反射防止層)の積層構造にする必要がある。前記の通り、透光性基板との間でエッチング選択性を確保するには、下層には、酸化していない若しくは酸化が進んでいないタンタル系材料を適用する必要がある。よって、表面反射防止機能を有する上層をタンタル系材料で形成する場合には、酸素を含有したタンタル系材料を適用する必要がある。なお、タンタル系材料に限らない場合は、遷移金属シリサイド系材料を用いることも可能である。
例えば、窒化タンタルの下層(遮光層)と酸化タンタルの上層(表面反射防止層)の積層構造としたタンタル系遮光膜のマスクブランクを用いて、基板掘り込みタイプのレベンソン型位相シフトマスクを作製する場合、最初に、フッ素系ガスによるドライエッチングで上層にパターンを形成し、続いて塩素系ガスによるドライエッチングで下層にパターンを形成する、いわゆる2段エッチングを採用することになる。このような2層構造からなるタンタル系遮光膜のマスクブランクにおいても、クロム系材料のハードマスク膜を積層しないで、基板掘り込みタイプのレベンソン型位相シフトマスクを作製しようとした場合、基板掘り込み時のフッ素系ガスのドライエッチングにおいて、遮光膜パターンの表面が露出したエッジ近傍で上層の表面から下層までエッチングが進んでしまう恐れがある。また、遮光膜の上にクロム系材料のハードマスク膜を積層した場合においても、遮光膜の下層にパターンを形成する際の酸素を実質的に含有しない塩素系ガスのドライエッチングを行うため、前記の窒化タンタルの単層構造からなる遮光膜の場合と同様にハードマスク膜中の酸素含有量を考慮する必要がある。
そこで本発明は、このような従来の種々の課題を解決し、タンタル系材料の遮光膜パターンを有する基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するのに適したマスクブランクを提供することを目的とする。また、このようなマスクブランクを用いた基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造方法についても提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、本発明を完成させたものである。
すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するために用いられるマスクブランクであって、透光性基板上に、遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、前記遮光膜は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなることを特徴とするマスクブランクである。
(構成2)
前記遮光膜は、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする構成1に記載のマスクブランクである。
(構成3)
前記遮光膜は、窒素の含有量が62原子%未満の材料からなることを特徴とする構成2に記載のマスクブランクである。
(構成4)
前記遮光膜は、前記透光性基板側とは反対側の表層に、層中の酸素の含有量が60原子%以上の高酸化層が形成されていることを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載のマスクブランクである。
(構成5)
前記高酸化層は、厚さが1.5nm以上4nm以下であることを特徴とする構成4に記載のマスクブランクである。
(構成6)
前記遮光膜は、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたパターンを形成するためのドライエッチングが可能な材料からなることを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載のマスクブランクである。
(構成7)
基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するために用いられるマスクブランクであって、透光性基板上に、下層および上層が積層された遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、前記下層は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなることを特徴とするマスクブランクである。
(構成8)
前記上層は、タンタルを主成分とし、酸素を含有する材料からなることを特徴とする構成7に記載のマスクブランクである。
(構成9)
前記下層は、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする構成7又は8に記載のマスクブランクである。
(構成10)
前記下層は、窒素の含有量が62原子%未満の材料からなることを特徴とする構成9に記載のマスクブランクである。
(構成11)
前記上層は、酸素の含有量が50原子%以上の材料からなることを特徴とする構成8乃至10のいずれかに記載のマスクブランクである。
(構成12)
前記上層は、前記下層とは反対側の表層に、層中の酸素の含有量が60原子%以上の高酸化層が形成されていることを特徴とする構成8乃至11のいずれかに記載のマスクブランクである。
(構成13)
前記上層の酸素の含有量は、前記高酸化層の酸素の含有量よりも少ないことを特徴とする構成12に記載のマスクブランクである。
(構成14)
前記高酸化層は、厚さが1.5nm以上4nm以下であることを特徴とする構成12又は13に記載のマスクブランクである。
(構成15)
前記下層は、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたパターンを形成するためのドライエッチングが可能な材料からなることを特徴とする構成7乃至14のいずれかに記載のマスクブランクである。
(構成16)
前記上層は、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたパターンを形成するためのドライエッチングが困難な材料からなることを特徴とする構成7乃至15のいずれかに記載のマスクブランクである。
(構成17)
前記遮光膜は、膜厚が60nm未満であることを特徴とする構成1乃至16のいずれかに記載のマスクブランクである。
(構成18)
前記エッチングマスク膜は、膜厚が5nm以上15nm以下であることを特徴とする構成1乃至17のいずれかに記載のマスクブランクである。
(構成19)
前記位相シフトマスクは、パターン転写に波長200nm以下の露光光が適用されることを特徴とする構成1乃至18のいずれかに記載のマスクブランクである。
(構成20)
マスクブランクを用いた基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造方法であって、前記マスクブランクは、透光性基板上に、遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、前記遮光膜は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなり、前記マスクブランク上に、転写パターンを有するレジスト膜を形成する工程と、前記転写パターンを有するレジスト膜をマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いたドライエッチングによって前記エッチングマスク膜に転写パターンを形成する工程と、前記転写パターンが形成されたエッチングマスク膜をマスクとして、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたドライエッチングによって前記遮光膜に転写パターンを形成する工程と、前記転写パターンが形成されたマスクブランク上に、位相シフトパターンを有するレジスト膜を形成する工程と、前記位相シフトパターンを有するレジスト膜をマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングによって前記透光性基板を所定深さまで掘り込んで位相シフトパターンを形成する工程と、前記透光性基板への位相シフトパターンの形成後、残存する前記エッチングマスク膜を除去する工程と、を有することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法である。
(構成21)
マスクブランクを用いた基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造方法であって、前記マスクブランクは、透光性基板上に、下層および上層が積層された遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、前記下層は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなり、前記マスクブランク上に、転写パターンを有するレジスト膜を形成する工程と、前記転写パターンを有するレジスト膜をマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いたドライエッチングによって前記エッチングマスク膜に転写パターンを形成する工程と、前記転写パターンが形成されたエッチングマスク膜をマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングによって前記上層に転写パターンを形成し、続いて酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたドライエッチングによって前記下層に転写パターンを形成する工程と、前記転写パターンが形成されたマスクブランク上に、位相シフトパターンを有するレジスト膜を形成する工程と、前記位相シフトパターンを有するレジスト膜をマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングによって前記透光性基板を所定深さまで掘り込んで位相シフトパターンを形成する工程と、前記透光性基板への位相シフトパターンの形成後、残存する前記エッチングマスク膜を除去する工程と、を有することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法である。
(構成22)
前記上層は、タンタルを主成分とし、酸素を含有する材料からなることを特徴とする構成21に記載の位相シフトマスクの製造方法である。
本発明によれば、少なくとも酸素を実質的に含有しないタンタル系材料の遮光膜パターンを備えた基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するのに適したマスクブランクを提供することができる。
本発明によれば、少なくとも酸素を実質的に含有しないタンタル系材料の下層を有する遮光膜パターンを備えた基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するのに適したマスクブランクを提供することができる。
本発明によれば、少なくとも酸素を実質的に含有しないタンタル系材料の遮光膜とクロム系材料のエッチングマスク膜を積層した構造のマスクブランクを用いて、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスのドライエッチングによるエッチングマスク膜の減退や、基板を掘り込む際のフッ素系ガスのドライエッチングによる遮光膜のダメージを回避でき、高精度の微細遮光膜パターンと、正確に位相差を制御した位相シフト部を形成できる基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを製造することができる。
また、本発明によれば、少なくとも酸素を実質的に含有しないタンタル系材料の下層を有する遮光膜とクロム系材料のエッチングマスク膜を積層した構造のマスクブランクを用いて、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスのドライエッチングによるエッチングマスク膜の減退や、基板を掘り込む際のフッ素系ガスのドライエッチングによる遮光膜のダメージを回避でき、高精度の微細遮光膜パターンと、正確に位相差を制御した位相シフト部を形成できる基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを製造することができる。
本発明の第1の実施形態に係るマスクブランクの層構成を示す断面図である。 エッチングマスク膜中のクロム含有量および酸素含有量と塩素系ガスに対するエッチングレートとの関係を示す図である。 エッチングマスク膜中のクロム含有量および酸素含有量とフッ素系ガスに対するエッチングレートとの関係を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造工程を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るマスクブランクの層構成を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造工程を示す断面図である。
以下、本発明の第1の実施形態を詳述する。
本発明は、タンタル系材料の遮光膜パターンを有する基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するのに適したマスクブランクであり、具体的には上記構成1にあるように、透光性基板上に、遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、前記遮光膜は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなることを特徴とするものである。
図1は、本発明に係るマスクブランクの層構成を示す断面図である。
図1に示す本発明のマスクブランク100は、透光性基板1上に、遮光膜8が形成され、さらに該遮光膜8上にエッチングマスク膜5が積層された構造である。
上記透光性基板1としては、使用する露光波長に対して透明性を有するものであれば特に制限されない。本発明では、合成石英ガラス基板、その他各種のガラス基板(例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス等)を用いることができる。半導体装置のパターンを微細化するに当っては、位相シフトマスクに形成されるマスクパターンの微細化に加え、半導体装置製造の際のフォトリソグラフィーで使用される露光光源波長の短波長化が必要となる。半導体装置製造の際の露光光源としては、近年ではKrFエキシマレーザー(波長248nm)から、ArFエキシマレーザー(波長193nm)へと短波長化が進んでいる。各種ガラス基板の中でも特に合成石英ガラス基板は、ArFエキシマレーザー又はそれよりも短波長の領域で透明性が高いので、高精細の転写パターン形成に用いられる本発明の位相シフトマスクブランク用基板として好適である。
上記遮光膜8は、上記透光性基板1に接して形成されており、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料から形成される。なお、ここで、「主成分」とは、含有量が50原子%以上であることをいうものとする(以下、同義)。また、「酸素を実質的に含有しない」とは、酸素を全く含まない場合の他、酸素を含む場合であってもその含有量が10原子%未満、より好ましくは5原子%以下であることをいうものとする。
上記タンタルを主成分とする材料としては、例えば、タンタル単体、あるいはタンタルに、窒素、ホウ素、炭素、などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したタンタル化合物等が挙げられる。また、タンタルを主成分とし、ハフニウム、ジルコニウム、モリブデン等から選ばれる1種以上の金属を含有させた合金、あるいは、この合金に窒素、ホウ素、炭素などから選ばれる1種以上の元素を添加した化合物等も挙げられる。また、前記のタンタルを主成分とする材料には、塩素系ガスのエッチングが可能である範囲でケイ素を含有させることもできる。
上記遮光膜8を形成するタンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料は、基本的にはフッ素系ガス、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスのいずれでもドライエッチングが可能な材料である。本発明においては、上記遮光膜8は透光性基板(ガラス基板)1と接しているため、後で詳しく説明するように、遮光膜8のパターニングの際、基板1との間で十分なエッチング選択性が得られるように、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスのドライエッチングが用いられる。そのため、上記遮光膜8を形成する材料は、少なくとも酸素を実質的に含有しない塩素系ガスでドライエッチングが可能な材料であることが必要である。
上記遮光膜8は、所定の遮光性を有する必要がある。例えば、遮光膜の光学濃度(OD)がArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて2.8以上、より好ましくは3.0以上となるように調整される。上記遮光膜8は、タンタルを主成分とする材料中に窒素を含有することが好ましい。特に、窒素含有量を62原子%未満(より好ましくは51原子%以下)にすると、所望の遮光性が得られると同時に、表面粗さをRqで0.60nm以下に抑制することができる。
また、上記遮光膜8は、透光性基板1側とは反対側に表層に、層中の酸素含有量が60原子%以上の高酸化層が形成されていることが好ましい。なお、上記遮光膜8とは反対側の表層とは、遮光膜8における上記透光性基板1側とは反対側に位置する表面を含み、この表面から一定深さの層のことを指すものとする。
上記遮光膜8の上記表層に高酸化層が形成されていることにより、作製された位相シフトマスクの温水耐性や耐薬品性、さらには例えばArFエキシマレーザーなどの波長200nm以下の短波長露光光に対する照射耐性を向上させることができる。エッチングマスク膜5は、位相シフトマスク作製の最終段階で、酸素と塩素の混合ガスによるドライエッチングによって除去される。高酸化層は、その他の遮光膜8よりも酸素と塩素の混合ガスによるドライエッチングに対する耐性が高い。このため、上層表面のドライエッチングによるダメージを最小限に抑制できる。
マスクブランクの遮光膜は、結晶構造を微結晶好ましくは非晶質とすることが望まれており、本発明の遮光膜の場合も同様である。このため、遮光膜内の結晶構造が単一構造にはなりにくく、複数の結晶構造が混在した状態になりやすい。よって、酸素含有量が60原子%以上である高酸化層の場合、TaO結合、Ta結合、TaO結合、Ta結合が混在する状態になりやすい。上記高酸化層に、Ta結合の存在比率が高くなるにつれて耐薬性、ArF耐光性、酸素と塩素の混合ガスによるドライエッチング耐性が向上する。
上記高酸化層は、層中の酸素含有量が、60原子%以上66.7原子%未満であると、層中のタンタルと酸素の結合状態は、Ta結合が主体になる傾向が高まると考えられ、一番不安定な結合であるTaO結合は、層中の酸素含有量が60原子%未満の場合に比べて非常に少なくなると考えられる。
また、上記高酸化層は、層中の酸素含有量が、66.7原子%以上であると、層中のタンタルと酸素の結合状態は、TaO結合が主体になる傾向が高まると考えられ、一番不安定な結合であるTaO結合やその次に不安定な結合であるTa結合は、ともに非常に少なくなると考えられる。
上記高酸化層は、層中の酸素含有量が、68原子%以上であると、層中のタンタルと酸素の結合状態は、TaO結合が主体になるだけでなく、Ta結合の比率も高くなると考えられる。このような酸素含有量になると、Ta結合は稀に存在する程度になり、TaO結合は存在し得なくなってくる。
さらに、上記高酸化層は、層中の酸素含有量が、71.4原子%であると、層中のタンタルと酸素の結合状態は、実質的にTa結合だけになると考えられる。このような状態は、耐薬性、ArF耐光性、酸素と塩素の混合ガスによるドライエッチング耐性が非常に高まるため、最も好ましい。
上記遮光膜8の上記表層に高酸化層を形成する方法としては、例えば、透光性基板1上に上記遮光膜8を形成した基板に対して、温水処理、オゾン含有水処理、酸素を含有する気体中での加熱処理、酸素を含有する気体中での紫外線照射処理、Oプラズマ処理等のほか、自然酸化による方法等が挙げられるが、膜厚の均一な高酸化層を形成でき、また生産性の観点から、上記自然酸化による方法以外の各表面処理による方法が特に好適である。
上記高酸化層は、上記のような作用効果が十分に得られるようにするためには、厚さが1.5nm以上4nm以下とすることが好ましい。厚さが1.5nm未満では効果が十分に得られず、4nmを超えると表面反射率に与える影響が大きくなり、所定の表面反射率を得るための制御が難しくなる。また、酸素を実質的に含有しない塩素ガスに対するドライエッチングだけで遮光膜8をパターニングすることが難しくなる。遮光膜全体の光学濃度確保、耐薬性、ArF耐光性、酸素と塩素の混合ガスによるドライエッチング耐性の向上、酸素を実質的に含有しない塩素ガスに対するドライエッチングレートの向上の各観点間のバランスを考慮すると、高酸化層の厚さは、1.5nm以上3nm以下とするのがより好ましい。
また、上記遮光膜8は、膜厚が60nm未満であることが好ましい。
上記エッチングマスク膜5は、マスク作製工程(詳しくは後で説明する)において、遮光膜パターンが、基板を掘り込む際のフッ素系ガスによるドライエッチングでエッチングされてしまうことを防止する機能とを有する。前にも説明したとおり、エッチングマスク膜5がない構成の場合、遮光膜パターンを形成後、基板掘り込み部のレジストパターンを形成するが、描画精度等の事情から、本来の基板掘り込み部の幅よりもマージンを含めた広めのスペース部を形成するため、遮光膜パターンのエッジ近傍で遮光膜の表面が露出する部分が生じてしまい、続いて、基板を掘り込む際のフッ素系ガスによるドライエッチングによって、露出した遮光膜がエッチングされてしまう恐れがある。本発明においては、遮光膜2の上に上記エッチングマスク膜5を積層することにより、遮光膜パターンが、基板を掘り込む際のフッ素系ガスによるドライエッチングでエッチングされてしまうことを防止できる。さらに、上記エッチングマスク膜5は、遮光膜8に転写パターンを形成する際のエッチングマスクとしての機能も有する。
従って、上記エッチングマスク膜5は、例えば透光性基板1をエッチングする際のフッ素系ガスによるドライエッチングに対して耐性を有する必要があるだけでなく、例えば窒化タンタルの遮光膜8をエッチングする際の酸素を実質的に含有しない塩素系ガスによるドライエッチングに対しても耐性を有する必要がある。同時に、これらのエッチングガス以外でドライエッチングが可能な材料である必要もある。
そのため、本発明においては、上記エッチングマスク膜5は、クロムを主成分とする材料から形成される。例えば、クロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したクロム化合物などが挙げられる。また、エッチングマスク膜5に転写パターンを形成するためのレジスト膜厚をできるだけ薄くできるようにする観点からは、エッチングマスク膜5を形成するクロム系材料中の酸素含有量を多くして、エッチングマスク膜5のエッチングレートを向上させることが望まれる。
しかし、本発明者は、本発明のエッチングマスク膜5に求められる全ての条件について、クロム系材料であれば必ず満たすとは限らないと考えた。そこで、表1に示すクロム系材料のサンプル膜8種類について、塩素系ガス(Cl)をエッチングガスに用いたドライエッチングと、フッ素系ガス(CF)をエッチングガスに用いたドライエッチングをそれぞれ行い、各サンプル膜のエッチングレートを確認する実験を行った。各サンプル膜の塩素系ガス(Cl)に対するエッチングレートを図2に、各サンプル膜のフッ素系ガス(CF)に対するエッチングレートを図3にそれぞれ示す。
Figure 2012212013
図2では、各サンプル膜の酸素含有量と塩素系ガスに対するエッチングレートとの関係を■のプロットで、各サンプル膜のクロム含有量と塩素系ガスに対するエッチングレートとの関係を▲のプロットでそれぞれ示している。なお、図2中の■および▲の各プロットに付与されている記号は、サンプル膜の記号に対応している。この結果を見ると、酸素含有量と塩素系ガスに対するエッチングレートとの間には相関性が見られることがわかる。また、サンプル膜中の窒素や炭素を含有することの影響も低いこともわかる。他方、クロム含有量と塩素系ガスに対するエッチングレートとの間の相関性が低いことがわかる。
また、図2の結果では、クロム系材料膜中の酸素含有量が30%よりも大きくなると、塩素系ガスに対するエッチングレートの上昇度合いが高くなり、また、エッチングレート自体も6.0nm/min以上と高くなることがわかる。酸素を実質的に含有しない塩素系ガスのドライエッチングに対する耐性が低いと、エッチングマスク膜5のパターンをマスクとして、例えば窒化タンタルからなる遮光膜8を酸素を実質的に含有しない塩素系ガスでドライエッチングする際、エッチングマスク膜5のパターンのエッジ部分(側壁)や表面がエッチングされて減退してしまう恐れがある。図2の実験結果等を検討した結果、エッチングマスク膜5を形成するクロム系材料中の酸素含有量は30原子%以下である必要があるという結論に至った。
一方、図3では、各サンプル膜の酸素含有量とフッ素系ガスに対するエッチングレートとの関係を■のプロットで、各サンプル膜のクロム含有量とフッ素系ガスに対するエッチングレートとの関係を▲のプロットでそれぞれ示している。なお、図3中の■および▲の各プロットに付与されている記号は、サンプル膜の記号に対応している。この結果を見ると、クロム含有量とフッ素系ガスに対するエッチングレートとの間には相関性が見られることがわかる。また、サンプル膜中の窒素や炭素を含有することの影響も低いこともわかる。他方、酸素含有量とフッ素系ガスに対するエッチングレートとの間の相関性が低いことがわかる。すなわち、本発明のエッチングマスク膜5は、クロム系材料中の酸素含有量だけを規定するだけでは不十分であるということになる。
また、図3の結果では、クロム系材料膜中のクロム含有量が45原子%を下回ると、フッ素系ガスに対するエッチングレートの上昇度合いが高くなる特性を有することがわかる。フッ素系ガスのドライエッチングに対する耐性が低いと、基板掘り込み部のパターンを有するレジスト膜をマスクにして、フッ素系ガスによるドライエッチングを行って基板を掘り込む際、エッチングマスク膜5の表面が露出している部分がエッチングされて消失し、遮光膜8の表面が露出してしまい、さらには遮光膜8がエッチングで消失してしまう恐れがある。図3の実験結果等を検討した結果、エッチングマスク膜5を形成するクロム系材料中のクロム含有量は45原子%以上である必要があるという結論に至った。
以上のことを総合的に考慮し、本発明においては、上記エッチングマスク膜5は、材料中のクロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素含有量は30原子%以下とする。
なお、エッチングマスク膜5の材料中のクロム含有量は、60原子%以上であると、フッ素系ガスに対するエッチングレートが0.8nm/min以下とすることができ、エッチングマスク膜5の膜厚をより薄くすることができて望ましい。また、エッチングマスク膜5の材料中の酸素含有量は、20原子%以下であると、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスに対するエッチングレートが5.0nm/min以下とすることができ、エッチングマスク膜5の膜厚をより薄くすることができる。さらに、酸素含有量が15原子%以下であると、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスに対するエッチングレートが4.0nm/min以下とすることができ、なお望ましい。
また、上記エッチングマスク膜5の膜厚は、本発明において特に制約される必要はないが、上述の機能が十分に発揮されるようにする観点から、膜厚が5nm以上15nm以下であることが好ましい。膜厚が5nm未満であると機能が十分に得られず、15nmを超えると、微細化を目指す観点から、レジスト膜厚をが薄くできず好ましくない。
上記透光性基板1上に上記遮光膜8、並びにエッチングマスク膜5を成膜する方法としては、例えばスパッタ成膜法が好ましく挙げられるが、本発明ではスパッタ成膜法に限定する必要はない。
以上説明した本発明のマスクブランクは、とくに微細転写パターンが要求される波長200nm以下の短波長の露光光(ArFエキシマレーザーなど)を露光光源とする露光装置に用いられる転写マスクであって、特にタンタル系材料の遮光膜パターンを備えた基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するのに適したマスクブランクである。
また、本発明は、基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造方法についても提供するものである。
図4は、本発明に係る基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造工程を示す断面図である。
図4に示す製造工程に従って、本発明に係る基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造方法を説明する。
本発明に使用するマスクブランク100(図4(a)参照)の構成の詳細は上述したとおりである。
まず、上記マスクブランク100上に、例えばポジ型のレジスト膜6を形成する(図4(b)参照)。
次に、このマスクブランク100上に形成したレジスト膜6に対して、所望のパターン描画を行い、描画後、現像処理することにより、所望の転写パターンを有するレジスト膜6aを形成する(図4(c)参照)。
次いで、この転写パターンを有するレジスト膜6aをマスクとして、ドライエッチングによってエッチングマスク膜5に転写パターン5aを形成する(図4(c)参照)。本発明のクロムを主成分とするエッチングマスク膜5に対しては、ドライエッチングガスとして通常塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いるのが好適である。
ここで、残存するレジスト膜6aは剥離してもよい(図4(d)参照)。
次に、上記転写パターンが形成されたエッチングマスク膜5aをマスクとして、遮光膜8のドライエッチングを行う。ドライエッチングガスとして、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いて、遮光膜8のドライエッチングを行う。上記遮光膜8のドライエッチングに用いる塩素系ガスとしては、例えば、Cl、SiCl、CHCl、CHCl、CCl、BClなどが挙げられる。本発明においては、特に透光性基板1に接するタンタル系の遮光膜8を塩素系ガスでドライエッチングすることにより、タンタル系遮光膜8と透光性基板(ガラス基板)1との間で十分なエッチング選択性を得ることができる。こうして、タンタル系遮光膜8に所定の転写パターン8aを形成する(図4(e)参照)。
なお、本発明においては、クロムを主成分とするエッチングマスク膜5の酸素含有量が30原子%以下であり、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスのドライエッチングに対する十分な耐性を有するため、上記の遮光膜8を酸素を実質的に含有しない塩素系ガスでドライエッチングする際、エッチングマスク膜5のパターンのエッジ部分や表面がエッチングされて減退してしまう問題は起こらない。
次に、上記転写パターンが形成されたマスクブランク上に、再び全面にレジスト膜7を形成し(図4(f)参照)、このレジスト膜7に対して、基板掘り込み部(位相シフト部)を形成するための位相シフトパターンの描画を行い、描画後、レジスト膜7を現像処理して位相シフトパターンを有するレジスト膜7aを形成する(図4(g)参照)。
前記のとおり、上記レジスト膜7aは、描画精度等の事情から、本来の基板掘り込み部の幅よりも若干のマージンを見込んで広めのスペース部を形成する。これによって、エッチングマスク膜のパターン5aのエッジ近傍でエッチングマスク膜の表面が露出する部分が生じる。
次いで、この位相シフトパターンを有するレジスト膜7aをマスクとし、フッ素系ガスを用いたドライエッチングによって上記透光性基板1を所定深さまで掘り込み、透光性基板1に位相シフトパターン1aを形成する(図4(h)参照)。この時、基板の掘り込み深さが所定深さになるようにエッチング時間を調整する。上記透光性基板1を掘り込むドライエッチングに用いるフッ素系ガスとしては、例えば、CHF、CF、C、Cなどが挙げられる。
最後に、残存するレジスト膜7aを剥離し(図4(i)参照)、さらに表面のエッチングマスク膜5aを例えば前記と同じドライエッチングによって除去することにより、基板掘り込みタイプの型位相シフトマスク200が得られる(図4(j)参照)。
上記のとおり、上記遮光膜パターン8aを形成後、基板掘り込み部のレジストパターン7aを形成する。しかし、描画精度等の事情から、本来の基板掘り込み部の幅よりも広めのスペース部を形成するため(図4(g))、表面のエッチングマスク膜5aが存在しないと、遮光膜パターン8aのエッジ近傍で遮光膜パターン8aの表面が露出する部分が生じてしまう。続いて、上記基板掘り込み部のレジストパターン7aをマスクとして、ドライエッチングで基板を掘り込むが、基板を掘り込む際のフッ素系ガスによるドライエッチングに対してタンタル系遮光膜は耐性が低いため、上述の事情により露出した遮光膜パターン8aの表面からエッチングされてしまう恐れがある。本発明においては、遮光膜パターン8aの上にフッ素系ガスのドライエッチングに対して耐性を有するエッチングマスク膜5aを積層しているため、遮光膜パターン8aが、基板を掘り込む際のフッ素系ガスによるドライエッチングでエッチングされてしまうことを防止できる。
しかも、前記のとおり、遮光膜パターン8aを形成する際(図4(e))、エッチングマスク膜のパターン5aの減退が起こるようなことがないので、その後の透光性基板1に掘り込み部を形成するためのフッ素系ガスによるドライエッチングの際に、エッチングマスク膜パターン5aの下のタンタル系遮光膜パターン8aがエッチングによるダメージを受けることはない。
以上説明したように、本発明によれば、タンタル系遮光膜とクロム系エッチングマスク膜を積層した構造のマスクブランクを用いて、従来技術の課題であった、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスのドライエッチングによるエッチングマスク膜の減退や、基板を掘り込む際のフッ素系ガスのドライエッチングによる遮光膜のダメージを回避でき、高精度の微細な転写パターン(遮光膜パターン)と、正確に位相差を制御した位相シフトパターンを形成できる基板掘り込みタイプの位相シフトマスクが得られる。
以下、本発明の第2の実施形態を詳述する。
本発明は、タンタル系材料の遮光膜パターンを有する基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するのに適したマスクブランクであり、具体的には上記構成7にあるように、透光性基板上に、下層(遮光層)および上層(表面反射防止層)が積層された遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、前記下層は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなることを特徴とするものである。
図5は、本発明に係るマスクブランクの層構成を示す断面図である。
図5に示す本発明のマスクブランク10は、透光性基板1上に、下層3および上層4が積層された遮光膜2が形成され、さらに該遮光膜2上にエッチングマスク膜5が積層された構造である。上記透光性基板1に関する事項については、第1の実施形態と同様である。
上記下層(遮光層)3は、上記透光性基板1に接して形成されており、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料から形成される。上記下層3の材料に関する事項については、第1の実施形態の遮光膜8と同様である。
上記下層3は、上層(表面反射防止層)4との積層構造において所定の遮光性を有する必要がある。例えば、遮光膜の光学濃度(OD)がArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて2.8以上、より好ましくは3.0以上となるように調整される。そのためには、上記下層3は、タンタルを主成分とする材料中に窒素を含有することが好ましい。特に、窒素含有量を62原子%未満(より好ましくは51原子%以下)にすると、所望の遮光性が得られると同時に、下層3の表面粗さをRqで0.60nm以下に抑制することができる。また、窒素含有量を7原子%以上にすると、遮光膜の裏面反射率を40%未満に抑制することができるので好ましい。
上記上層(表面反射防止層)4は、タンタルを主成分とし、酸素を含有する材料、遷移金属とケイ素を含有する材料などから形成される。上記の遷移金属としては、タンタル、モリブデン、ジルコニウム、ハフニウム、チタン、ニッケル、クロム、バナジウム、鉄、亜鉛、ニオブ、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、イリジウム、銀、金、白金などが挙げられる。特に、タンタルを主成分とし、酸素を含有する材料で上層を形成する場合、透光性基板上に遮光膜をスパッタリング法で成膜する際、下層と上層を同じタンタル系材料のターゲットを使用できるため好ましい。上記タンタルを主成分とする材料としては、例えば、タンタル単体、あるいはタンタルに、窒素、ホウ素、炭素などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したタンタル化合物等が挙げられる。また、タンタルを主成分とし、ハフニウム、ジルコニウム、モリブデン等から選ばれる1種以上の金属を含有させた合金、あるいは、この合金に窒素、ホウ素、炭素などから選ばれる1種以上の元素を添加した化合物等も挙げられる。
上記マスクブランクの遮光膜2をタンタルを主成分とする材料(以下、適宜「タンタル系材料」とも呼ぶ。)で形成し、かつ、ある程度以上の表面反射防止機能を有する遮光膜を構成する場合、少なくとも下層(遮光層)3と上層(表面反射防止層)4の積層構造にする必要があり、その上層4には、タンタル系材料に酸素を含有する材料(例えば酸化したタンタル)を用いることが好適である。例えば酸化タンタルは、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスに対するエッチングレートが著しく遅くドライエッチングが困難な材料であるため、本発明においてはフッ素系ガスによるドライエッチングでエッチングすることになる。
上記上層4は、酸素含有量が50原子%以上であることが好ましい。酸素含有量を50原子%以上にすると、遮光膜の表面反射率を30%未満に抑制することができるので好ましい。
また、上記上層4は、上記下層3とは反対側に表層に、層中の酸素含有量が60原子%以上の高酸化層が形成されていることが好ましい。なお、上記下層とは反対側の表層とは、上層4における上記下層3側とは反対側に位置する表面を含み、この表面から一定深さの層のことを指すものとする。
上記上層4の上記表層に高酸化層が形成されていることにより、作製された位相シフトマスクの温水耐性や耐薬品性、さらには例えばArFエキシマレーザーなどの波長200nm以下の短波長露光光に対する照射耐性を向上させることができる。エッチングマスク膜5は、位相シフトマスク作製の最終段階で、酸素と塩素の混合ガスによるドライエッチングによって除去される。高酸化層は、その他の上層よりも酸素と塩素の混合ガスによるドライエッチングに対する耐性が高い。このため、上層表面のドライエッチングによるダメージを最小限に抑制できる。
高酸化層の関する事項については、第1の実施形態の遮光膜8の高酸化層と同様である。上記高酸化層は、上記のような作用効果が十分に得られるようにするためには、厚さが1.5nm以上4nm以下とすることが好ましい。厚さが1.5nm未満では効果が十分に得られず、4nmを超えると表面反射率に与える影響が大きくなり、所定の表面反射率を得るための制御が難しくなる。なお、遮光膜全体の光学濃度確保、耐薬性、ArF耐光性、酸素と塩素の混合ガスによるドライエッチング耐性の向上の各観点間のバランスを考慮すると、高酸化層の厚さは、1.5nm以上3nm以下とするのがより好ましい。
また、上記下層(遮光層)3および上層(表面反射防止層)4の積層構造からなる上記遮光膜2は、膜厚が60nm未満であることが好ましい。なお、上層は、表面反射防止機能を持たせるために光学濃度が低くなるため、その機能を発揮できれば、極力薄い膜厚であることが望まれる。例えば、上層は、5nm〜15nmであることが望まれ、5nm〜10nmであるとより望ましい。
上記エッチングマスク膜5は、マスク作製工程(詳しくは後で説明する)において、遮光膜パターンが、基板を掘り込む際のフッ素系ガスによるドライエッチングでエッチングされてしまうことを防止する機能とを有する。前にも説明したとおり、エッチングマスク膜5がない構成の場合、遮光膜パターンを形成後、基板掘り込み部のレジストパターンを形成するが、描画精度等の事情から、本来の基板掘り込み部の幅よりもマージンを含めた広めのスペース部を形成するため、遮光膜パターンのエッジ近傍で遮光膜(上層)の表面が露出する部分が生じてしまい、続いて、基板を掘り込む際のフッ素系ガスによるドライエッチングによって、露出した遮光膜(上層)の表面から下層までがエッチングされてしまう恐れがある。本発明においては、遮光膜2の上に上記エッチングマスク膜5を積層することにより、遮光膜パターンが、基板を掘り込む際のフッ素系ガスによるドライエッチングでエッチングされてしまうことを防止できる。さらに、上記エッチングマスク膜5は、遮光層3と表面反射防止層4の積層からなる遮光膜2に転写パターンを形成する際のエッチングマスクとしての機能も有する。
従って、上記エッチングマスク膜5は、例えば酸化タンタルの上層4や透光性基板1をエッチングする際のフッ素系ガスによるドライエッチングに対して耐性を有する必要があるだけでなく、例えば窒化タンタルの下層3をエッチングする際の酸素を実質的に含有しない塩素系ガスによるドライエッチングに対しても耐性を有する必要がある。同時に、これらのエッチングガス以外でドライエッチングが可能な材料である必要もある。その他、エッチングマスク膜5に関する事項については、第1の実施形態のエッチングマスク膜5と同様である。
上記透光性基板1上に上記下層3および上層4を積層した遮光膜2、並びにエッチングマスク膜5を成膜する方法としては、例えばスパッタ成膜法が好ましく挙げられるが、本発明ではスパッタ成膜法に限定する必要はない。
以上説明した本発明のマスクブランクは、とくに微細転写パターンが要求される波長200nm以下の短波長の露光光(ArFエキシマレーザーなど)を露光光源とする露光装置に用いられる転写マスクであって、特にタンタル系材料の下層を有する遮光膜パターンを備えた基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するのに適したマスクブランクである。
また、本発明は、基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造方法についても提供するものである。
図6は、本発明に係る基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造工程を示す断面図である。
図6に示す製造工程に従って、本発明に係る基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造方法を説明する。
本発明に使用するマスクブランク10(図6(a)参照)の構成の詳細は上述したとおりである。
まず、上記マスクブランク10上に、例えばポジ型のレジスト膜6を形成する(図6(b)参照)。
次に、このマスクブランク10上に形成したレジスト膜6に対して、所望のパターン描画を行い、描画後、現像処理することにより、所望の転写パターンを有するレジスト膜6aを形成する(図6(c)参照)。
次いで、この転写パターンを有するレジスト膜6aをマスクとして、ドライエッチングによってエッチングマスク膜5に転写パターン5aを形成する(図6(c)参照)。本発明のクロムを主成分とするエッチングマスク膜5に対しては、ドライエッチングガスとして通常塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いるのが好適である。
ここで、残存するレジスト膜6aは剥離してもよい(図6(d)参照)。
次に、上記転写パターンが形成されたエッチングマスク膜5aをマスクとして、遮光膜2のドライエッチングを行う。まず、ドライエッチングガスとして、フッ素系ガスを用いて、上層の表面反射防止層4のドライエッチングを行い、続いて、ドライエッチングガスとして、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いて、下層の遮光層3のドライエッチングを行う。上記表面反射防止層4のドライエッチングに用いるフッ素系ガスに関しては、第1の実施形態で透光性基板1をドライエッチングする際に用いられたものが適用できる。また、上記遮光層3のドライエッチングに用いる塩素系ガスに関しては、第1の実施形態で遮光膜8をドライエッチングする際に用いられたものが適用できる。本発明においては、特に透光性基板1に接するタンタル系の遮光層3を塩素系ガスでドライエッチングすることにより、タンタル系遮光層3と透光性基板(ガラス基板)1との間で十分なエッチング選択性を得ることができる。こうして、遮光層3と表面反射防止層4の積層構造のタンタル系遮光膜2に所定の転写パターン(遮光層パターン3aと表面反射防止層パターン4aの積層からなる遮光膜パターン)2aを形成する(図6(e)参照)。
なお、本発明においては、クロムを主成分とするエッチングマスク膜5の酸素含有量が30原子%以下であり、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスのドライエッチングに対する十分な耐性を有するため、上記の遮光膜2の下層のタンタル系遮光層3を酸素を実質的に含有しない塩素系ガスでドライエッチングする際、エッチングマスク膜5のパターンのエッジ部分や表面がエッチングされて減退してしまう問題は起こらない。
次に、上記転写パターンが形成されたマスクブランク上に、再び全面にレジスト膜7を形成し(図6(f)参照)、このレジスト膜7に対して、基板掘り込み部(位相シフト部)を形成するための位相シフトパターンの描画を行い、描画後、レジスト膜7を現像処理して位相シフトパターンを有するレジスト膜7aを形成する(図6(g)参照)。
前記のとおり、上記レジスト膜7aは、描画精度等の事情から、本来の基板掘り込み部の幅よりも若干のマージンを見込んで広めのスペース部を形成する。これによって、エッチングマスク膜のパターン5aのエッジ近傍でエッチングマスク膜の表面が露出する部分が生じる。
次いで、この位相シフトパターンを有するレジスト膜7aをマスクとし、フッ素系ガス(例えば前記のCFガス)を用いたドライエッチングによって上記透光性基板1を所定深さまで掘り込み、透光性基板1に位相シフトパターン1aを形成する(図6(h)参照)。この時、基板の掘り込み深さが所定深さになるようにエッチング時間を調整する。
最後に、残存するレジスト膜7aを剥離し(図6(i)参照)、さらに表面のエッチングマスク膜5aを例えば前記と同じドライエッチングによって除去することにより、基板掘り込みタイプの型位相シフトマスク20が得られる(図6(j)参照)。
上記のとおり、上記遮光膜パターン2aを形成後、基板掘り込み部のレジストパターン7aを形成するが、描画精度等の事情から、本来の基板掘り込み部の幅よりも広めのスペース部を形成するため(図6(g))、表面のエッチングマスク膜5aが存在しないと、遮光膜パターン2aのエッジ近傍で遮光膜パターン2a(表面反射防止層パターン4a)の表面が露出する部分が生じてしまう。続いて、上記基板掘り込み部のレジストパターン7aをマスクとして、ドライエッチングで基板を掘り込むが、基板を掘り込む際のフッ素系ガスによるドライエッチングに対してタンタル系遮光膜は耐性が低いため、上述の事情により露出した遮光膜パターン2a(表面反射防止層パターン4a)の表面がエッチングされてしまう恐れがある。本発明においては、遮光膜パターン2aの上にフッ素系ガスのドライエッチングに対して耐性を有するエッチングマスク膜5aを積層しているため、遮光膜パターン2aが、基板を掘り込む際のフッ素系ガスによるドライエッチングでエッチングされてしまうことを防止できる。
しかも、前記のとおり、遮光膜パターン2aを形成する際(図6(e))、エッチングマスク膜のパターン5aの減退が起こるようなことがないので、その後の透光性基板1に掘り込み部を形成するためのフッ素系ガスによるドライエッチングの際に、エッチングマスク膜パターン5aの下のタンタル系遮光膜パターン2a(特に直下の表面反射防止層パターン4a)がエッチングによるダメージを受けることはない。
以上説明したように、本発明によれば、酸素を実質的に含有しないタンタル系材料の下層を有する遮光膜とクロム系エッチングマスク膜を積層した構造のマスクブランクを用いて、従来技術の課題であった、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスのドライエッチングによるエッチングマスク膜の減退や、基板を掘り込む際のフッ素系ガスのドライエッチングによる遮光膜のダメージを回避でき、高精度の微細な転写パターン(遮光膜パターン)と、正確に位相差を制御した位相シフトパターンを形成できる基板掘り込みタイプの位相シフトマスクが得られる。
以下、実施例により、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。
(実施例1)
以下のようにしてマスクブランクを作製した。
使用する基板は、合成石英ガラス基板(大きさ152.4mm×152.4mm、厚さ6.35mm)である。
上記ガラス基板を所定の成膜装置(スパッタ装置)内に投入し、ガラス基板上に、以下の遮光膜を成膜した。
具体的には、スパッタターゲットにタンタル(Ta)ターゲットを用い、キセノン(Xe)と窒素(N)との混合ガス雰囲気とし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、膜厚48nmのTaN膜(膜組成 Ta=85原子%,N=15原子%)を成膜し、タンタル系遮光膜を形成した。遮光膜の膜組成は、AES(オージェ電子分光法)による分析結果である。
ここで、上記タンタル系遮光膜を形成した基板を成膜装置から一旦取り出し、自然酸化が進行する前(例えば成膜後1時間以内)に又は成膜後自然酸化が進行しない環境下で保管した後に、90℃の脱イオン水(DI water:deionized water)に120分間浸漬し、温水処理(表面処理)を行った。温水処理後のタンタル系遮光膜について、AESによる分析を行ったところ、この遮光膜の表層(ガラス基板とは反対側の表層)には厚さが2nmの高酸化層の形成が確認された。この高酸化層の酸素含有量は71.4%〜67原子%であった。このタンタル系遮光膜は、光学濃度(OD)がArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて3.0となるように調整されている。
次に、上記タンタル系遮光膜を形成した基板を再び成膜装置内に投入し、タンタル系遮光膜の上に、以下のエッチングマスク膜を成膜した。
具体的には、スパッタターゲットにクロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)と窒素(N2)と二酸化炭素(CO)とヘリウム(He)との混合ガス雰囲気とし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、膜厚10nmのCrOCN膜(エッチングマスク膜,膜組成 Cr=48.9原子%,O=26.4原子%,C=10.6原子%,N=14.1原子%)を成膜した。なお、各層の膜組成は、RBS(ラザフォード後方散乱分析法)による分析結果である。
以上のようにして、ガラス基板上にTaN遮光膜およびCrOCNエッチングマスク膜を順に積層したマスクブランクを作製した。
次に、上記のマスクブランクを用いて、前述の図4に示す工程に従って基板掘り込みタイプのレベンソン型位相シフトマスクを作製した。
まず、上記マスクブランク上に、レジスト膜として、電子線描画用化学増幅型ポジレジスト膜(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製 PRL009)を形成した。レジスト膜の形成は、スピンナー(回転塗布装置)を用いて、回転塗布した。上記レジス膜を塗布後、所定の加熱乾燥処理を行った。レジスト膜の膜厚は100nmとした。
次に上記マスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し、電子線描画装置を用いて、DRAM hp45nmのライン&スペース(L&S)パターンを含む転写パターンの描画を行った後、所定の現像液で現像してレジストパターンを形成した。
次に、上記レジストパターンをマスクとして、エッチングマスク膜のドライエッチングを行い、エッチングマスク膜に所定の転写パターンを形成した。ドライエッチングガスとして、ClとOの混合ガスを用いた。
次に、残存する上記レジストパターンを剥離した後、上記転写パターンが形成されたエッチングマスク膜をマスクとして、遮光膜のドライエッチングを行った。ドライエッチングガスとして、酸素を含有しないClガスを用いた。こうして、TaN遮光膜に所定の転写パターン(遮光膜パターン)を形成した。
別のマスクブランクを用い、同様の条件でエッチングマスク膜に形成した上記転写パターンを破断し、透過型電子顕微鏡(TEM)によって詳細に観察したところ、エッチングマスク膜のパターンエッジ部分や表面での減退は観察されなかった。
次に、再び全面に上記と同じレジスト膜を形成し、基板掘り込み部(位相シフト部)を形成するための位相シフトパターンの描画を行い、描画後、レジスト膜を現像して位相シフトパターンを有するレジストパターンを形成した。
次いで、この位相シフトパターンを有するレジストパターンをマスクとし、フッ素系ガス(CFガス)を用いたドライエッチングによって上記ガラス基板を所定深さまで掘り込み、ガラス基板に位相シフトパターンを形成した。この時、基板の掘り込み深さが173nmになるようにエッチング時間を調整した。
残存するレジストパターンを剥離し、さらに表面のエッチングマスク膜を前記と同じドライエッチングによって除去し、レベンソン型位相シフトマスクを得た。
こうして得られた位相シフトマスクは、DRAM hp45nmのL&Sパターンを含む微細パターンが良好なパターン精度で形成されており、タンタル系遮光膜パターンのエッチングダメージは全く認められなかった。また、基板に形成された位相シフトパターンの断面形状を確認するため、上記と全く同様に作製した評価用の位相シフトマスクを破断し、透過型電子顕微鏡(TEM)によるパターン断面の観察を行ったところ、掘り込み部と非掘り込み部との間での基板厚さは所定値に正確に制御されており、パターンの深さも均一であることを確認した。
次に得られたレベンソン型位相シフトマスクを用いて、転写対象物である半導体ウェハ上のレジスト膜に対して、転写パターンを露光転写する工程を行った。露光装置には、ArFエキシマレーザーを光源とし、輪帯照明(Annular Illumination)が用いられた液浸方式のものを使用した。具体的には、露光装置のマスクステージに、この実施例1のレベンソン型位相シフトマスクをセットし、半導体ウェハ上のArF液浸露光用のレジスト膜に対して、露光転写を行った。露光後のレジスト膜に対して、所定の現像処理を行い、レジストパターンを形成した。さらに、レジストパターンを用いて、半導体ウェハ上にDRAM hp45nmのL&Sパターンを含む回路パターンを形成した。
得られた半導体ウェハ上の回路パターンを透過型電子顕微鏡(TEM)で確認したところ、DRAM hp45nmのL&Sパターンの仕様を十分に満たしていた。すなわち、この実施例1のレベンソン型位相シフトマスクは、半導体ウェハ上にDRAM hp45nmのL&Sパターンを含む回路パターンを転写することが十分に可能であることが確認できた。
(実施例2)
以下のようにしてマスクブランクを作製した。
使用する基板は、合成石英ガラス基板(大きさ152.4mm×152.4mm、厚さ6.35mm)である。
上記ガラス基板を所定の成膜装置(スパッタ装置)内に投入し、ガラス基板上に、以下の遮光膜を成膜した。
具体的には、スパッタターゲットにタンタル(Ta)ターゲットを用い、キセノン(Xe)と窒素(N)との混合ガス雰囲気とし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、膜厚42nmのTaN層(下層:遮光層,膜組成 Ta=85原子%,N=15原子%)を成膜した。続いて、アルゴン(Ar)と酸素(O)との混合ガス雰囲気とし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、膜厚9nmのTaO層(上層:表面反射防止層,膜組成 Ta=39原子%,O=59原子%)を成膜し、合計膜厚50nmの2層積層構造のタンタル系遮光膜を形成した。なお、各層の膜組成は、AES(オージェ電子分光法)による分析結果である。
ここで、上記タンタル系遮光膜を形成した基板を成膜装置から一旦取り出し、自然酸化が進行する前(例えば成膜後1時間以内)に又は成膜後自然酸化が進行しない環境下で保管した後に、90℃の脱イオン水(DI water:deionized water)に120分間浸漬し、温水処理(表面処理)を行った。温水処理後のタンタル系遮光膜について、AESによる分析を行ったところ、このTaO表面反射防止層の表層(遮光層とは反対側の表層)には厚さが2nmの高酸化層の形成が確認された。この高酸化層の酸素含有量は71.4%〜67原子%であった。
この積層構造のタンタル系遮光膜は、光学濃度(OD)がArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて3.0となるように調整されている。前記露光光の波長に対する遮光膜の表面反射率は25.1%であった。また、透光性基板1の遮光膜を形成していない面の反射率(裏面反射率)は、38.2%であった。
次に、上記タンタル系遮光膜を形成した基板を再び成膜装置内に投入し、実施例1と同様の手順で、タンタル系遮光膜の上にCrOCNからなるエッチングマスク膜を成膜した。
以上のようにして、ガラス基板上にTaN遮光層(下層)とTaO表面反射防止層(上層)からなる遮光膜およびCrOCNエッチングマスク膜を順に積層したマスクブランクを作製した。
次に、上記のマスクブランクを用いて、前述の図6に示す工程に従って基板掘り込みタイプのレベンソン型位相シフトマスクを作製した。
まず、上記マスクブランク上に、レジスト膜として、電子線描画用化学増幅型ポジレジスト膜(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製 PRL009)を形成した。レジスト膜の形成は、スピンナー(回転塗布装置)を用いて、回転塗布した。上記レジスト膜を塗布後、所定の加熱乾燥処理を行った。レジスト膜の膜厚は100nmとした。
次に上記マスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し、電子線描画装置を用いて、DRAM hp45nmのL&Sパターンを含む転写パターンの描画を行った後、所定の現像液で現像してレジストパターンを形成した。
次に、上記レジストパターンをマスクとして、エッチングマスク膜のドライエッチングを行い、エッチングマスク膜に所定の転写パターンを形成した。ドライエッチングガスとして、ClとOの混合ガスを用いた。
次に、残存する上記レジストパターンを剥離した後、上記転写パターンが形成されたエッチングマスク膜をマスクとして、遮光膜のドライエッチングを行った。まず、ドライエッチングガスとして、CFガスを用いて、上層のTaO表面反射防止層のドライエッチングを行い、続いて、ドライエッチングガスとして、酸素を含有しないClガスを用いて、下層のTaN遮光層のドライエッチングを行った。こうして、TaN遮光層とTaO表面反射防止層の積層構造の遮光膜に所定の転写パターン(遮光膜パターン)を形成した。
別のマスクブランクを用い、同様の条件でエッチングマスク膜に形成した上記転写パターンを破断し、透過型電子顕微鏡(TEM)によって詳細に観察したところ、エッチングマスク膜のパターンエッジ部分や表面での減退は観察されなかった。
次に、再び全面に上記と同じレジスト膜を形成し、基板掘り込み部(位相シフト部)を形成するための位相シフトパターンの描画を行い、描画後、レジスト膜を現像して位相シフトパターンを有するレジストパターンを形成した。
次いで、この位相シフトパターンを有するレジストパターンをマスクとし、フッ素系ガス(CFガス)を用いたドライエッチングによって上記ガラス基板を所定深さまで掘り込み、ガラス基板に位相シフトパターンを形成した。この時、基板の掘り込み深さが173nmになるようにエッチング時間を調整した。
残存するレジストパターンを剥離し、さらに表面のエッチングマスク膜を前記と同じドライエッチングによって除去し、レベンソン型位相シフトマスクを得た。
こうして得られた位相シフトマスクは、DRAM hp45nmのL&Sパターンを含む微細パターンが良好なパターン精度で形成されており、タンタル系遮光膜パターンのエッチングダメージは全く認められなかった。また、基板に形成された位相シフトパターンの断面形状を確認するため、上記と全く同様に作製した評価用の位相シフトマスクを破断し、透過型電子顕微鏡(TEM)によるパターン断面の観察を行ったところ、掘り込み部と非掘り込み部との間での基板厚さは所定値に正確に制御されており、パターンの深さも均一であることを確認した。
次に得られたレベンソン型位相シフトマスクを用いて、実施例1と同様に、転写対象物である半導体ウェハ上のレジスト膜に対して、転写パターンを露光転写する工程を行った。得られた半導体ウェハ上の回路パターンを透過型電子顕微鏡(TEM)で確認したところ、DRAM hp45nmのL&Sパターンの仕様を十分に満たしていた。すなわち、この実施例2のレベンソン型位相シフトマスクは、半導体ウェハ上にDRAM hp45nmのL&Sパターンを含む回路パターンを転写することが十分に可能であることが確認できた。
(比較例1)
以下のようにしてマスクブランクを作製した。
実施例1と同じガラス基板を所定の成膜装置(スパッタ装置)内に投入し、このガラス基板上に、実施例1と同様にして、膜厚42nmのTaN層(遮光層)と、膜厚9nmのTaO層(表面反射防止層)を成膜し、合計膜厚50nmの2層積層構造のタンタル系遮光膜を形成した。
ここで、上記タンタル系遮光膜を形成した基板を成膜装置から一旦取り出し、実施例1と同様に、90℃の脱イオン水(DI water:deionized water)に120分間浸漬し、温水処理(表面処理)を行った。温水処理後のタンタル系遮光膜について、AESによる分析を行ったところ、このTaO表面反射防止層の表層(遮光層とは反対側の表層)には厚さが2nmの高酸化層の形成が確認された。この高酸化層の酸素含有量は71.4%〜67原子%であった。
次に、上記タンタル系遮光膜を形成した基板を再び成膜装置内に投入し、タンタル系遮光膜の上に、以下のエッチングマスク膜を成膜した。
具体的には、スパッタターゲットにクロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)と酸素(O)との混合ガス雰囲気とし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、膜厚10nmのCrO層(エッチングマスク膜,膜組成 Cr=33.7原子%,O=66.3原子%)を成膜した。なお、各層の膜組成は、RBS(ラザフォード後方散乱分析法)による分析結果である。
以上のようにして、ガラス基板上にTaN遮光層とTaO表面反射防止層からなる遮光膜およびCrOエッチングマスク膜を順に積層したマスクブランクを作製した。
次に、上記のマスクブランク(比較例)を用いて、実施例2と同様にして、基板掘り込みタイプのレベンソン型位相シフトマスクを作製した。
本比較例のマスクブランクを用いた場合、転写パターンが形成されたエッチングマスク膜をマスクとして、TaN遮光層とTaO表面反射防止層の積層構造の遮光膜に所定の転写パターン(遮光膜パターン)を形成した段階で、そのマスクブランクを破断し、透過型電子顕微鏡(TEM)でエッチングマスク膜に形成された上記転写パターンを詳細に観察したところ、エッチングマスク膜のパターンの一部にパターンエッジ部分や表面での減退が起こっていることが確認された。これは、クロム系エッチングマスク膜の酸素含有量が多いため、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスのドライエッチングに対する耐性が低下し、遮光膜の下層のTaN遮光層を酸素を実質的に含有しない塩素系ガスでドライエッチングする際、エッチングマスク膜のパターンのエッジ部分や表面がエッチングされてしまったことによるものと推察される。
上記と全く同様に作製したレベンソン型位相シフトマスクを破断し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、タンタル系遮光膜パターンの一部にエッチングダメージやパターンの減退が認められる箇所が認められた。これは、上記のようなエッチングマスク膜のパターンの減退が起こってしまうと、その後のガラス基板に掘り込み部を形成するためのフッ素系ガスによるドライエッチングの際に、エッチングマスク膜の直下のTaO表面反射防止層がエッチングによるダメージを受けてしまったり、TaO表面反射防止層とTaN遮光層がエッチングされてしまったりしたことによるものと推察される。このような遮光膜パターンの一部にエッチングダメージ箇所が存在すると、この位相シフトマスクを用いて被転写体へのパターン転写を行った場合、パターン転写の精度を低下させる恐れがある。
次に得られたレベンソン型位相シフトマスクを用いて、実施例1と同様に、転写対象物である半導体ウェハ上のレジスト膜に対して、転写パターンを露光転写する工程を行った。得られた半導体ウェハ上の回路パターンを透過型電子顕微鏡(TEM)で確認したところ、特に、L&Sパターン部分で短絡箇所や断線箇所が多発しており、DRAM hp45nmのL&Sパターンの仕様を十分に満たせていなかった。
1 透光性基板
2,8 遮光膜
3 下層(遮光層)
4 上層(表面反射防止層)
5 エッチングマスク膜
6,7 レジスト膜
10 マスクブランク
20 位相シフトマスク

Claims (22)

  1. 基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するために用いられるマスクブランクであって、
    透光性基板上に、遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、
    前記遮光膜は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、
    前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなる
    ことを特徴とするマスクブランク。
  2. 前記遮光膜は、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする請求項1に記載のマスクブランク。
  3. 前記遮光膜は、窒素の含有量が62原子%未満の材料からなることを特徴とする請求項2に記載のマスクブランク。
  4. 前記遮光膜は、前記透光性基板側とは反対側の表層に、層中の酸素の含有量が60原子%以上の高酸化層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のマスクブランク。
  5. 前記高酸化層は、厚さが1.5nm以上4nm以下であることを特徴とする請求項4に記載のマスクブランク。
  6. 前記遮光膜は、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたパターンを形成するためのドライエッチングが可能な材料からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のマスクブランク。
  7. 基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するために用いられるマスクブランクであって、
    透光性基板上に、下層および上層が積層された遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、
    前記下層は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、
    前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなる
    ことを特徴とするマスクブランク。
  8. 前記上層は、タンタルを主成分とし、酸素を含有する材料からなることを特徴とする請求項7に記載のマスクブランク。
  9. 前記下層は、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする請求項7又は8に記載のマスクブランク。
  10. 前記下層は、窒素の含有量が62原子%未満の材料からなることを特徴とする請求項9に記載のマスクブランク。
  11. 前記上層は、酸素の含有量が50原子%以上の材料からなることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載のマスクブランク。
  12. 前記上層は、前記下層とは反対側の表層に、層中の酸素の含有量が60原子%以上の高酸化層が形成されていることを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載のマスクブランク。
  13. 前記上層の酸素の含有量は、前記高酸化層の酸素の含有量よりも少ないことを特徴とする請求項12に記載のマスクブランク。
  14. 前記高酸化層は、厚さが1.5nm以上4nm以下であることを特徴とする請求項12又は13に記載のマスクブランク。
  15. 前記下層は、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたパターンを形成するためのドライエッチングが可能な材料からなることを特徴とする請求項7乃至14のいずれかに記載のマスクブランク。
  16. 前記上層は、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたパターンを形成するためのドライエッチングが困難な材料からなることを特徴とする請求項7乃至15のいずれかに記載のマスクブランク。
  17. 前記遮光膜は、膜厚が60nm未満であることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載のマスクブランク。
  18. 前記エッチングマスク膜は、膜厚が5nm以上15nm以下であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載のマスクブランク。
  19. 前記位相シフトマスクは、パターン転写に波長200nm以下の露光光が適用されることを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載のマスクブランク。
  20. マスクブランクを用いた基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造方法であって、
    前記マスクブランクは、
    透光性基板上に、遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、
    前記遮光膜は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、
    前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなり、
    前記マスクブランク上に、転写パターンを有するレジスト膜を形成する工程と、
    前記転写パターンを有するレジスト膜をマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いたドライエッチングによって前記エッチングマスク膜に転写パターンを形成する工程と、
    前記転写パターンが形成されたエッチングマスク膜をマスクとして、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたドライエッチングによって前記遮光膜に転写パターンを形成する工程と、
    前記転写パターンが形成されたマスクブランク上に、位相シフトパターンを有するレジスト膜を形成する工程と、
    前記位相シフトパターンを有するレジスト膜をマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングによって前記透光性基板を所定深さまで掘り込んで位相シフトパターンを形成する工程と、
    前記透光性基板への位相シフトパターンの形成後、残存する前記エッチングマスク膜を除去する工程と、
    を有することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
  21. マスクブランクを用いた基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造方法であって、
    前記マスクブランクは、
    透光性基板上に、下層および上層が積層された遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、
    前記下層は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、
    前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなり、
    前記マスクブランク上に、転写パターンを有するレジスト膜を形成する工程と、
    前記転写パターンを有するレジスト膜をマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いたドライエッチングによって前記エッチングマスク膜に転写パターンを形成する工程と、
    前記転写パターンが形成されたエッチングマスク膜をマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングによって前記上層に転写パターンを形成し、続いて酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたドライエッチングによって前記下層に転写パターンを形成する工程と、
    前記転写パターンが形成されたマスクブランク上に、位相シフトパターンを有するレジスト膜を形成する工程と、
    前記位相シフトパターンを有するレジスト膜をマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングによって前記透光性基板を所定深さまで掘り込んで位相シフトパターンを形成する工程と、
    前記透光性基板への位相シフトパターンの形成後、残存する前記エッチングマスク膜を除去する工程と、
    を有することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
  22. 前記上層は、タンタルを主成分とし、酸素を含有する材料からなることを特徴とする請求項21に記載の位相シフトマスクの製造方法。
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