JP2012212013A - マスクブランク及び位相シフトマスクの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するために用いられるマスクブランク100であって、透光性基板1上に、遮光膜8と、エッチングマスク膜5とが順に積層された構造である。ここで、遮光膜8は透光性基板1に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなる。エッチングマスク膜5は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなる。
【選択図】図1
Description
次に、基板掘り込み部(位相シフト部)を作製するために、上記転写パターンを形成したマスクブランク上に所定の基板掘り込み部のレジストパターンを形成し、続いて、このレジストパターンをマスクとして、例えばフッ素系ガスを用いたドライエッチングによって透光性基板を所定深さまで掘り込み、位相シフトパターンを形成する。
以上のようにして、基板掘り込みタイプのレベンソン型位相シフトマスクが作製される。
すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するために用いられるマスクブランクであって、透光性基板上に、遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、前記遮光膜は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなることを特徴とするマスクブランクである。
前記遮光膜は、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする構成1に記載のマスクブランクである。
(構成3)
前記遮光膜は、窒素の含有量が62原子%未満の材料からなることを特徴とする構成2に記載のマスクブランクである。
前記遮光膜は、前記透光性基板側とは反対側の表層に、層中の酸素の含有量が60原子%以上の高酸化層が形成されていることを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載のマスクブランクである。
(構成5)
前記高酸化層は、厚さが1.5nm以上4nm以下であることを特徴とする構成4に記載のマスクブランクである。
前記遮光膜は、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたパターンを形成するためのドライエッチングが可能な材料からなることを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載のマスクブランクである。
基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するために用いられるマスクブランクであって、透光性基板上に、下層および上層が積層された遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、前記下層は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなることを特徴とするマスクブランクである。
前記上層は、タンタルを主成分とし、酸素を含有する材料からなることを特徴とする構成7に記載のマスクブランクである。
(構成9)
前記下層は、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする構成7又は8に記載のマスクブランクである。
(構成10)
前記下層は、窒素の含有量が62原子%未満の材料からなることを特徴とする構成9に記載のマスクブランクである。
前記上層は、酸素の含有量が50原子%以上の材料からなることを特徴とする構成8乃至10のいずれかに記載のマスクブランクである。
(構成12)
前記上層は、前記下層とは反対側の表層に、層中の酸素の含有量が60原子%以上の高酸化層が形成されていることを特徴とする構成8乃至11のいずれかに記載のマスクブランクである。
前記上層の酸素の含有量は、前記高酸化層の酸素の含有量よりも少ないことを特徴とする構成12に記載のマスクブランクである。
(構成14)
前記高酸化層は、厚さが1.5nm以上4nm以下であることを特徴とする構成12又は13に記載のマスクブランクである。
前記下層は、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたパターンを形成するためのドライエッチングが可能な材料からなることを特徴とする構成7乃至14のいずれかに記載のマスクブランクである。
(構成16)
前記上層は、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたパターンを形成するためのドライエッチングが困難な材料からなることを特徴とする構成7乃至15のいずれかに記載のマスクブランクである。
前記遮光膜は、膜厚が60nm未満であることを特徴とする構成1乃至16のいずれかに記載のマスクブランクである。
(構成18)
前記エッチングマスク膜は、膜厚が5nm以上15nm以下であることを特徴とする構成1乃至17のいずれかに記載のマスクブランクである。
前記位相シフトマスクは、パターン転写に波長200nm以下の露光光が適用されることを特徴とする構成1乃至18のいずれかに記載のマスクブランクである。
マスクブランクを用いた基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造方法であって、前記マスクブランクは、透光性基板上に、遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、前記遮光膜は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなり、前記マスクブランク上に、転写パターンを有するレジスト膜を形成する工程と、前記転写パターンを有するレジスト膜をマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いたドライエッチングによって前記エッチングマスク膜に転写パターンを形成する工程と、前記転写パターンが形成されたエッチングマスク膜をマスクとして、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたドライエッチングによって前記遮光膜に転写パターンを形成する工程と、前記転写パターンが形成されたマスクブランク上に、位相シフトパターンを有するレジスト膜を形成する工程と、前記位相シフトパターンを有するレジスト膜をマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングによって前記透光性基板を所定深さまで掘り込んで位相シフトパターンを形成する工程と、前記透光性基板への位相シフトパターンの形成後、残存する前記エッチングマスク膜を除去する工程と、を有することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法である。
マスクブランクを用いた基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造方法であって、前記マスクブランクは、透光性基板上に、下層および上層が積層された遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、前記下層は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなり、前記マスクブランク上に、転写パターンを有するレジスト膜を形成する工程と、前記転写パターンを有するレジスト膜をマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いたドライエッチングによって前記エッチングマスク膜に転写パターンを形成する工程と、前記転写パターンが形成されたエッチングマスク膜をマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングによって前記上層に転写パターンを形成し、続いて酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたドライエッチングによって前記下層に転写パターンを形成する工程と、前記転写パターンが形成されたマスクブランク上に、位相シフトパターンを有するレジスト膜を形成する工程と、前記位相シフトパターンを有するレジスト膜をマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングによって前記透光性基板を所定深さまで掘り込んで位相シフトパターンを形成する工程と、前記透光性基板への位相シフトパターンの形成後、残存する前記エッチングマスク膜を除去する工程と、を有することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法である。
前記上層は、タンタルを主成分とし、酸素を含有する材料からなることを特徴とする構成21に記載の位相シフトマスクの製造方法である。
本発明によれば、少なくとも酸素を実質的に含有しないタンタル系材料の下層を有する遮光膜パターンを備えた基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するのに適したマスクブランクを提供することができる。
本発明によれば、少なくとも酸素を実質的に含有しないタンタル系材料の遮光膜とクロム系材料のエッチングマスク膜を積層した構造のマスクブランクを用いて、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスのドライエッチングによるエッチングマスク膜の減退や、基板を掘り込む際のフッ素系ガスのドライエッチングによる遮光膜のダメージを回避でき、高精度の微細遮光膜パターンと、正確に位相差を制御した位相シフト部を形成できる基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを製造することができる。
また、本発明によれば、少なくとも酸素を実質的に含有しないタンタル系材料の下層を有する遮光膜とクロム系材料のエッチングマスク膜を積層した構造のマスクブランクを用いて、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスのドライエッチングによるエッチングマスク膜の減退や、基板を掘り込む際のフッ素系ガスのドライエッチングによる遮光膜のダメージを回避でき、高精度の微細遮光膜パターンと、正確に位相差を制御した位相シフト部を形成できる基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを製造することができる。
本発明は、タンタル系材料の遮光膜パターンを有する基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するのに適したマスクブランクであり、具体的には上記構成1にあるように、透光性基板上に、遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、前記遮光膜は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなることを特徴とするものである。
図1に示す本発明のマスクブランク100は、透光性基板1上に、遮光膜8が形成され、さらに該遮光膜8上にエッチングマスク膜5が積層された構造である。
上記タンタルを主成分とする材料としては、例えば、タンタル単体、あるいはタンタルに、窒素、ホウ素、炭素、などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したタンタル化合物等が挙げられる。また、タンタルを主成分とし、ハフニウム、ジルコニウム、モリブデン等から選ばれる1種以上の金属を含有させた合金、あるいは、この合金に窒素、ホウ素、炭素などから選ばれる1種以上の元素を添加した化合物等も挙げられる。また、前記のタンタルを主成分とする材料には、塩素系ガスのエッチングが可能である範囲でケイ素を含有させることもできる。
また、上記高酸化層は、層中の酸素含有量が、66.7原子%以上であると、層中のタンタルと酸素の結合状態は、TaO2結合が主体になる傾向が高まると考えられ、一番不安定な結合であるTaO結合やその次に不安定な結合であるTa2O3結合は、ともに非常に少なくなると考えられる。
さらに、上記高酸化層は、層中の酸素含有量が、71.4原子%であると、層中のタンタルと酸素の結合状態は、実質的にTa2O5結合だけになると考えられる。このような状態は、耐薬性、ArF耐光性、酸素と塩素の混合ガスによるドライエッチング耐性が非常に高まるため、最も好ましい。
そのため、本発明においては、上記エッチングマスク膜5は、クロムを主成分とする材料から形成される。例えば、クロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したクロム化合物などが挙げられる。また、エッチングマスク膜5に転写パターンを形成するためのレジスト膜厚をできるだけ薄くできるようにする観点からは、エッチングマスク膜5を形成するクロム系材料中の酸素含有量を多くして、エッチングマスク膜5のエッチングレートを向上させることが望まれる。
なお、エッチングマスク膜5の材料中のクロム含有量は、60原子%以上であると、フッ素系ガスに対するエッチングレートが0.8nm/min以下とすることができ、エッチングマスク膜5の膜厚をより薄くすることができて望ましい。また、エッチングマスク膜5の材料中の酸素含有量は、20原子%以下であると、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスに対するエッチングレートが5.0nm/min以下とすることができ、エッチングマスク膜5の膜厚をより薄くすることができる。さらに、酸素含有量が15原子%以下であると、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスに対するエッチングレートが4.0nm/min以下とすることができ、なお望ましい。
図4は、本発明に係る基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造工程を示す断面図である。
図4に示す製造工程に従って、本発明に係る基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造方法を説明する。
本発明に使用するマスクブランク100(図4(a)参照)の構成の詳細は上述したとおりである。
次に、このマスクブランク100上に形成したレジスト膜6に対して、所望のパターン描画を行い、描画後、現像処理することにより、所望の転写パターンを有するレジスト膜6aを形成する(図4(c)参照)。
次いで、この転写パターンを有するレジスト膜6aをマスクとして、ドライエッチングによってエッチングマスク膜5に転写パターン5aを形成する(図4(c)参照)。本発明のクロムを主成分とするエッチングマスク膜5に対しては、ドライエッチングガスとして通常塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いるのが好適である。
次に、上記転写パターンが形成されたエッチングマスク膜5aをマスクとして、遮光膜8のドライエッチングを行う。ドライエッチングガスとして、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いて、遮光膜8のドライエッチングを行う。上記遮光膜8のドライエッチングに用いる塩素系ガスとしては、例えば、Cl2、SiCl4、CHCl3、CH2Cl2、CCl4、BCl3などが挙げられる。本発明においては、特に透光性基板1に接するタンタル系の遮光膜8を塩素系ガスでドライエッチングすることにより、タンタル系遮光膜8と透光性基板(ガラス基板)1との間で十分なエッチング選択性を得ることができる。こうして、タンタル系遮光膜8に所定の転写パターン8aを形成する(図4(e)参照)。
前記のとおり、上記レジスト膜7aは、描画精度等の事情から、本来の基板掘り込み部の幅よりも若干のマージンを見込んで広めのスペース部を形成する。これによって、エッチングマスク膜のパターン5aのエッジ近傍でエッチングマスク膜の表面が露出する部分が生じる。
しかも、前記のとおり、遮光膜パターン8aを形成する際(図4(e))、エッチングマスク膜のパターン5aの減退が起こるようなことがないので、その後の透光性基板1に掘り込み部を形成するためのフッ素系ガスによるドライエッチングの際に、エッチングマスク膜パターン5aの下のタンタル系遮光膜パターン8aがエッチングによるダメージを受けることはない。
本発明は、タンタル系材料の遮光膜パターンを有する基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するのに適したマスクブランクであり、具体的には上記構成7にあるように、透光性基板上に、下層(遮光層)および上層(表面反射防止層)が積層された遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、前記下層は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなることを特徴とするものである。
図5に示す本発明のマスクブランク10は、透光性基板1上に、下層3および上層4が積層された遮光膜2が形成され、さらに該遮光膜2上にエッチングマスク膜5が積層された構造である。上記透光性基板1に関する事項については、第1の実施形態と同様である。
図6は、本発明に係る基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造工程を示す断面図である。
図6に示す製造工程に従って、本発明に係る基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造方法を説明する。
本発明に使用するマスクブランク10(図6(a)参照)の構成の詳細は上述したとおりである。
次に、このマスクブランク10上に形成したレジスト膜6に対して、所望のパターン描画を行い、描画後、現像処理することにより、所望の転写パターンを有するレジスト膜6aを形成する(図6(c)参照)。
次いで、この転写パターンを有するレジスト膜6aをマスクとして、ドライエッチングによってエッチングマスク膜5に転写パターン5aを形成する(図6(c)参照)。本発明のクロムを主成分とするエッチングマスク膜5に対しては、ドライエッチングガスとして通常塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いるのが好適である。
次に、上記転写パターンが形成されたエッチングマスク膜5aをマスクとして、遮光膜2のドライエッチングを行う。まず、ドライエッチングガスとして、フッ素系ガスを用いて、上層の表面反射防止層4のドライエッチングを行い、続いて、ドライエッチングガスとして、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いて、下層の遮光層3のドライエッチングを行う。上記表面反射防止層4のドライエッチングに用いるフッ素系ガスに関しては、第1の実施形態で透光性基板1をドライエッチングする際に用いられたものが適用できる。また、上記遮光層3のドライエッチングに用いる塩素系ガスに関しては、第1の実施形態で遮光膜8をドライエッチングする際に用いられたものが適用できる。本発明においては、特に透光性基板1に接するタンタル系の遮光層3を塩素系ガスでドライエッチングすることにより、タンタル系遮光層3と透光性基板(ガラス基板)1との間で十分なエッチング選択性を得ることができる。こうして、遮光層3と表面反射防止層4の積層構造のタンタル系遮光膜2に所定の転写パターン(遮光層パターン3aと表面反射防止層パターン4aの積層からなる遮光膜パターン)2aを形成する(図6(e)参照)。
前記のとおり、上記レジスト膜7aは、描画精度等の事情から、本来の基板掘り込み部の幅よりも若干のマージンを見込んで広めのスペース部を形成する。これによって、エッチングマスク膜のパターン5aのエッジ近傍でエッチングマスク膜の表面が露出する部分が生じる。
しかも、前記のとおり、遮光膜パターン2aを形成する際(図6(e))、エッチングマスク膜のパターン5aの減退が起こるようなことがないので、その後の透光性基板1に掘り込み部を形成するためのフッ素系ガスによるドライエッチングの際に、エッチングマスク膜パターン5aの下のタンタル系遮光膜パターン2a(特に直下の表面反射防止層パターン4a)がエッチングによるダメージを受けることはない。
(実施例1)
以下のようにしてマスクブランクを作製した。
使用する基板は、合成石英ガラス基板(大きさ152.4mm×152.4mm、厚さ6.35mm)である。
上記ガラス基板を所定の成膜装置(スパッタ装置)内に投入し、ガラス基板上に、以下の遮光膜を成膜した。
具体的には、スパッタターゲットにタンタル(Ta)ターゲットを用い、キセノン(Xe)と窒素(N2)との混合ガス雰囲気とし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、膜厚48nmのTaN膜(膜組成 Ta=85原子%,N=15原子%)を成膜し、タンタル系遮光膜を形成した。遮光膜の膜組成は、AES(オージェ電子分光法)による分析結果である。
具体的には、スパッタターゲットにクロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)と窒素(N2)と二酸化炭素(CO2)とヘリウム(He)との混合ガス雰囲気とし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、膜厚10nmのCrOCN膜(エッチングマスク膜,膜組成 Cr=48.9原子%,O=26.4原子%,C=10.6原子%,N=14.1原子%)を成膜した。なお、各層の膜組成は、RBS(ラザフォード後方散乱分析法)による分析結果である。
まず、上記マスクブランク上に、レジスト膜として、電子線描画用化学増幅型ポジレジスト膜(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製 PRL009)を形成した。レジスト膜の形成は、スピンナー(回転塗布装置)を用いて、回転塗布した。上記レジス膜を塗布後、所定の加熱乾燥処理を行った。レジスト膜の膜厚は100nmとした。
次に、上記レジストパターンをマスクとして、エッチングマスク膜のドライエッチングを行い、エッチングマスク膜に所定の転写パターンを形成した。ドライエッチングガスとして、Cl2とO2の混合ガスを用いた。
別のマスクブランクを用い、同様の条件でエッチングマスク膜に形成した上記転写パターンを破断し、透過型電子顕微鏡(TEM)によって詳細に観察したところ、エッチングマスク膜のパターンエッジ部分や表面での減退は観察されなかった。
次いで、この位相シフトパターンを有するレジストパターンをマスクとし、フッ素系ガス(CF4ガス)を用いたドライエッチングによって上記ガラス基板を所定深さまで掘り込み、ガラス基板に位相シフトパターンを形成した。この時、基板の掘り込み深さが173nmになるようにエッチング時間を調整した。
こうして得られた位相シフトマスクは、DRAM hp45nmのL&Sパターンを含む微細パターンが良好なパターン精度で形成されており、タンタル系遮光膜パターンのエッチングダメージは全く認められなかった。また、基板に形成された位相シフトパターンの断面形状を確認するため、上記と全く同様に作製した評価用の位相シフトマスクを破断し、透過型電子顕微鏡(TEM)によるパターン断面の観察を行ったところ、掘り込み部と非掘り込み部との間での基板厚さは所定値に正確に制御されており、パターンの深さも均一であることを確認した。
以下のようにしてマスクブランクを作製した。
使用する基板は、合成石英ガラス基板(大きさ152.4mm×152.4mm、厚さ6.35mm)である。
上記ガラス基板を所定の成膜装置(スパッタ装置)内に投入し、ガラス基板上に、以下の遮光膜を成膜した。
具体的には、スパッタターゲットにタンタル(Ta)ターゲットを用い、キセノン(Xe)と窒素(N2)との混合ガス雰囲気とし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、膜厚42nmのTaN層(下層:遮光層,膜組成 Ta=85原子%,N=15原子%)を成膜した。続いて、アルゴン(Ar)と酸素(O2)との混合ガス雰囲気とし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、膜厚9nmのTaO層(上層:表面反射防止層,膜組成 Ta=39原子%,O=59原子%)を成膜し、合計膜厚50nmの2層積層構造のタンタル系遮光膜を形成した。なお、各層の膜組成は、AES(オージェ電子分光法)による分析結果である。
まず、上記マスクブランク上に、レジスト膜として、電子線描画用化学増幅型ポジレジスト膜(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製 PRL009)を形成した。レジスト膜の形成は、スピンナー(回転塗布装置)を用いて、回転塗布した。上記レジスト膜を塗布後、所定の加熱乾燥処理を行った。レジスト膜の膜厚は100nmとした。
次に、上記レジストパターンをマスクとして、エッチングマスク膜のドライエッチングを行い、エッチングマスク膜に所定の転写パターンを形成した。ドライエッチングガスとして、Cl2とO2の混合ガスを用いた。
別のマスクブランクを用い、同様の条件でエッチングマスク膜に形成した上記転写パターンを破断し、透過型電子顕微鏡(TEM)によって詳細に観察したところ、エッチングマスク膜のパターンエッジ部分や表面での減退は観察されなかった。
次いで、この位相シフトパターンを有するレジストパターンをマスクとし、フッ素系ガス(CF4ガス)を用いたドライエッチングによって上記ガラス基板を所定深さまで掘り込み、ガラス基板に位相シフトパターンを形成した。この時、基板の掘り込み深さが173nmになるようにエッチング時間を調整した。
こうして得られた位相シフトマスクは、DRAM hp45nmのL&Sパターンを含む微細パターンが良好なパターン精度で形成されており、タンタル系遮光膜パターンのエッチングダメージは全く認められなかった。また、基板に形成された位相シフトパターンの断面形状を確認するため、上記と全く同様に作製した評価用の位相シフトマスクを破断し、透過型電子顕微鏡(TEM)によるパターン断面の観察を行ったところ、掘り込み部と非掘り込み部との間での基板厚さは所定値に正確に制御されており、パターンの深さも均一であることを確認した。
以下のようにしてマスクブランクを作製した。
実施例1と同じガラス基板を所定の成膜装置(スパッタ装置)内に投入し、このガラス基板上に、実施例1と同様にして、膜厚42nmのTaN層(遮光層)と、膜厚9nmのTaO層(表面反射防止層)を成膜し、合計膜厚50nmの2層積層構造のタンタル系遮光膜を形成した。
ここで、上記タンタル系遮光膜を形成した基板を成膜装置から一旦取り出し、実施例1と同様に、90℃の脱イオン水(DI water:deionized water)に120分間浸漬し、温水処理(表面処理)を行った。温水処理後のタンタル系遮光膜について、AESによる分析を行ったところ、このTaO表面反射防止層の表層(遮光層とは反対側の表層)には厚さが2nmの高酸化層の形成が確認された。この高酸化層の酸素含有量は71.4%〜67原子%であった。
具体的には、スパッタターゲットにクロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)と酸素(O2)との混合ガス雰囲気とし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、膜厚10nmのCrO層(エッチングマスク膜,膜組成 Cr=33.7原子%,O=66.3原子%)を成膜した。なお、各層の膜組成は、RBS(ラザフォード後方散乱分析法)による分析結果である。
次に、上記のマスクブランク(比較例)を用いて、実施例2と同様にして、基板掘り込みタイプのレベンソン型位相シフトマスクを作製した。
2,8 遮光膜
3 下層(遮光層)
4 上層(表面反射防止層)
5 エッチングマスク膜
6,7 レジスト膜
10 マスクブランク
20 位相シフトマスク
Claims (22)
- 基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するために用いられるマスクブランクであって、
透光性基板上に、遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、
前記遮光膜は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、
前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなる
ことを特徴とするマスクブランク。 - 前記遮光膜は、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする請求項1に記載のマスクブランク。
- 前記遮光膜は、窒素の含有量が62原子%未満の材料からなることを特徴とする請求項2に記載のマスクブランク。
- 前記遮光膜は、前記透光性基板側とは反対側の表層に、層中の酸素の含有量が60原子%以上の高酸化層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のマスクブランク。
- 前記高酸化層は、厚さが1.5nm以上4nm以下であることを特徴とする請求項4に記載のマスクブランク。
- 前記遮光膜は、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたパターンを形成するためのドライエッチングが可能な材料からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のマスクブランク。
- 基板掘り込みタイプの位相シフトマスクを作製するために用いられるマスクブランクであって、
透光性基板上に、下層および上層が積層された遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、
前記下層は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、
前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなる
ことを特徴とするマスクブランク。 - 前記上層は、タンタルを主成分とし、酸素を含有する材料からなることを特徴とする請求項7に記載のマスクブランク。
- 前記下層は、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする請求項7又は8に記載のマスクブランク。
- 前記下層は、窒素の含有量が62原子%未満の材料からなることを特徴とする請求項9に記載のマスクブランク。
- 前記上層は、酸素の含有量が50原子%以上の材料からなることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載のマスクブランク。
- 前記上層は、前記下層とは反対側の表層に、層中の酸素の含有量が60原子%以上の高酸化層が形成されていることを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載のマスクブランク。
- 前記上層の酸素の含有量は、前記高酸化層の酸素の含有量よりも少ないことを特徴とする請求項12に記載のマスクブランク。
- 前記高酸化層は、厚さが1.5nm以上4nm以下であることを特徴とする請求項12又は13に記載のマスクブランク。
- 前記下層は、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたパターンを形成するためのドライエッチングが可能な材料からなることを特徴とする請求項7乃至14のいずれかに記載のマスクブランク。
- 前記上層は、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたパターンを形成するためのドライエッチングが困難な材料からなることを特徴とする請求項7乃至15のいずれかに記載のマスクブランク。
- 前記遮光膜は、膜厚が60nm未満であることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載のマスクブランク。
- 前記エッチングマスク膜は、膜厚が5nm以上15nm以下であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載のマスクブランク。
- 前記位相シフトマスクは、パターン転写に波長200nm以下の露光光が適用されることを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載のマスクブランク。
- マスクブランクを用いた基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造方法であって、
前記マスクブランクは、
透光性基板上に、遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、
前記遮光膜は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、
前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなり、
前記マスクブランク上に、転写パターンを有するレジスト膜を形成する工程と、
前記転写パターンを有するレジスト膜をマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いたドライエッチングによって前記エッチングマスク膜に転写パターンを形成する工程と、
前記転写パターンが形成されたエッチングマスク膜をマスクとして、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたドライエッチングによって前記遮光膜に転写パターンを形成する工程と、
前記転写パターンが形成されたマスクブランク上に、位相シフトパターンを有するレジスト膜を形成する工程と、
前記位相シフトパターンを有するレジスト膜をマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングによって前記透光性基板を所定深さまで掘り込んで位相シフトパターンを形成する工程と、
前記透光性基板への位相シフトパターンの形成後、残存する前記エッチングマスク膜を除去する工程と、
を有することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。 - マスクブランクを用いた基板掘り込みタイプの位相シフトマスクの製造方法であって、
前記マスクブランクは、
透光性基板上に、下層および上層が積層された遮光膜と、エッチングマスク膜とが順に積層された構造であり、
前記下層は、前記透光性基板に接して形成され、タンタルを主成分とし、酸素を実質的に含有しない材料からなり、
前記エッチングマスク膜は、クロムの含有量が45原子%以上であり、かつ酸素の含有量が30原子%以下の材料からなり、
前記マスクブランク上に、転写パターンを有するレジスト膜を形成する工程と、
前記転写パターンを有するレジスト膜をマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いたドライエッチングによって前記エッチングマスク膜に転写パターンを形成する工程と、
前記転写パターンが形成されたエッチングマスク膜をマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングによって前記上層に転写パターンを形成し、続いて酸素を実質的に含有しない塩素系ガスを用いたドライエッチングによって前記下層に転写パターンを形成する工程と、
前記転写パターンが形成されたマスクブランク上に、位相シフトパターンを有するレジスト膜を形成する工程と、
前記位相シフトパターンを有するレジスト膜をマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングによって前記透光性基板を所定深さまで掘り込んで位相シフトパターンを形成する工程と、
前記透光性基板への位相シフトパターンの形成後、残存する前記エッチングマスク膜を除去する工程と、
を有することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。 - 前記上層は、タンタルを主成分とし、酸素を含有する材料からなることを特徴とする請求項21に記載の位相シフトマスクの製造方法。
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