JP2012211079A - ガラス板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形体において溶融ガラスを分流させて流下させた後、合流ポイントにおいて合流させてガラス板を成形し、鉛直方向下方に流下させ、歪みの少ない板ガラスの製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス板Gの進行方向に対して、断熱部材40a,40b,・・・により複数個に分割した徐冷空間42b,42c,・・・を設ける、ガラス板Gの進行方向に対して順次温度が下がるように当該徐冷空間42b,42c,・・・毎に温度を制御するヒーターを設ける。断熱板部材40a,40b,・・・は、ガラス板Gに対向するように配置され、断熱部材40a,40b,・・・はその対向面が、ガラス板Gと断熱部材40a,40b,・・・との間隔が実質的に均一になるように、ガラス板Gの板厚変動に対応した形状になっている。
【選択図】図2

Description

本発明は、ガラス板の製造方法に関する。
従来、ガラス板の製造方法の一つとして、ダウンドロー法が用いられている。ダウンドロー法では、成形体からオーバーフローした溶融ガラスが、分流して成形体の側面に沿って流下する。次に、溶融ガラスは、成形体の下端部で合流して、ガラス板に成形される。成形されたガラス板は、下方に搬送されながら徐冷される。徐冷工程において、ガラス板は、粘性域から粘弾性域を経て弾性域へと推移する。
ところで、ダウンドロー法を用いるガラス板の製造装置では、一般的に、成形体から離れたガラス板が何物にも触れることなく冷却される空間である徐冷ゾーンが、断熱板によって複数の徐冷空間に区画される。断熱板は、徐冷空間の間の熱移動を抑え、各徐冷空間の雰囲気温度が所望の温度プロファイルになるように制御するために配置される。ここで、所望の温度プロファイルとは、徐冷ゾーンの各徐冷空間における、ガラス板に歪みが発生しないような温度分布を意味する。すなわち、断熱板によって、ガラス板は下方に搬送されながら各徐冷空間で所望の温度に調節される。従って、断熱板は、ガラス板を徐冷することで歪みの少ないガラス板を成形するために重要である。
しかし、徐冷ゾーンで徐冷されるガラス板の厚みは、一般的に、幅方向中央部より幅方向両端部の方が大きい。そのため、特許文献1(特開2008―88005号公報)に開示されているように、一枚板で成形された一対の断熱板でガラス板を挟む場合、少なくとも、ガラス板の厚みが最も大きい幅方向両端部が断熱板に触れない程度に、一対の断熱板の間の隙間の大きさを設定する必要がある。しかし、この隙間が大きければ大きいほど、この隙間を介して徐冷空間の間で熱交換が行われやすくなるので、各徐冷空間の雰囲気温度を所望の温度プロファイルになるように制御することが難しくなるという問題が発生する。
このように、徐冷ゾーンを、断熱板によって複数の徐冷空間に区画して熱管理を行う技術は従来から行われている。
一方、近年、液晶表示装置用ガラス基板においては、ガラスの板厚偏差や、反り、歪等の要求されるスペック(品質)が厳しくなっている。
上述したように、ダウンドロー法においてガラス板を製造する場合、歪を低減するために、予め、各徐冷空間において所望の温度プロファイルが設計されており、設計された温度プロファイルとなるように、雰囲気の熱管理を行う。
近年の厳しい要求スペックを満たすためには、設計された温度プロファイルの精度を高める必要があり、そのため、熱管理の精度を高める必要がでてきた。
本発明の課題は、ダウンドロー法によってガラス板を製造するにあたり、熱管理の精度を高めることができるように改善されたガラス板製造装置および熱管理の精度を高めてガラス板を製造する方法を提供することである。
より具体的には、熱管理の精度を高めることによりガラス板の歪みを抑えることができるガラス板製造方法、そのガラス板製造方法を用いて製造されるガラス板、および、ガラス板の歪みを抑えることができるガラス板製造装置を提供することにある。
本発明に係るガラス板の製造方法は、成形体において溶融ガラスを分流させて流下させた後、合流ポイントにおいて合流させてガラス板を成形し、鉛直方向下方に流下させる、ガラス板の製造方法である。このガラス板の製造方法では、ガラス板の進行方向に対して、断熱板により複数個に分割した室を設ける。また、このガラス板の製造方法では、ガラス板の進行方向に対して順次温度が下がるように当該室毎に室温度を制御するヒーターを設ける。また、断熱板は、ガラス板に対向するように配置され、断熱板はその対向面が、ガラス板と断熱板との間隔が実質的に均一になるように、ガラス板の板厚変動に対応した形状になっている。
ダウンドロー法によるガラス板の製造工程では、成形されたガラス板が徐冷される空間である徐冷ゾーンの雰囲気温度が、上方から下方へ向かって所望の温度プロファイルになっていることが望ましい。そのため、徐冷ゾーンは、一般的に、板状の断熱部材によって、鉛直方向に積層する複数の徐冷空間に区画されている。これにより、各徐冷空間の雰囲気温度が、所望の温度プロファイルになるように制御される。
本発明に係るガラス板の製造方法では、徐冷ゾーンの複数の高さ位置において、ガラス板の厚み方向両側に一対の断熱部材が設置され、各断熱部材は第1断熱板および第2断熱板から構成される。また、断熱部材とガラス板との間の隙間をできるだけ小さくできるように、第1断熱板および第2断熱板の少なくとも1つを、ガラス板の厚み方向(水平方向)に移動させることができる。例えば、厚みが大きいガラス板の幅方向両端部に対向する一対の第2断熱板の間の隙間より、厚みが小さいガラス板の幅方向中央部に対向する一対の第1断熱板の間の隙間を小さくする。これにより、一対の断熱部材の間の隙間の開口面積が小さくなるので、隣接する徐冷空間の間の熱移動をできるだけ抑えることができる。従って、本発明に係るガラス板の製造方法では、各徐冷空間の雰囲気温度が所望の温度プロファイルになるように制御することができるので、ガラス板を徐冷することで歪みの少ないガラス板を成形することができる。
また、本発明に係るガラス板製造方法では、断熱板はその対向面が、ガラス板と断熱板との間隔が近接するように、ガラス板の板厚変動に対応した形状になっていることが好ましい。この断熱板により、ガラス板と断熱板との間の隙間の開口面積がより効率的に小さくなるので、隣接する徐冷空間の間の熱移動をより効果的に抑えることができる。
また、本発明に係るガラス板製造方法では、ガラス板は、両端部が中央部より板厚が厚いことが好ましい。
また、本発明に係るガラス板製造方法では、断熱板は、ガラス板の中央部と両端部に対応し、且つ独立した各部材を有していることが好ましい。
また、本発明に係るガラス板製造方法では、各部材は、ガラス板に対して離間接近することが好ましい。
本発明は、ダウンドロー法によってガラス板を製造するにあたり、熱管理の精度を高めることができるように改善されたガラス板製造装置および熱管理の精度を高めてガラス板を製造する方法を提供することができる。
より具体的には、ガラス板の歪みを抑えることができるガラス板製造方法、そのガラス板製造方法を用いて製造されるガラス板、および、ガラス板の歪みを抑えることができるガラス板製造装置を提供することができる。
ガラス板製造装置の概略構成図である。 成形装置の断面概略構成図である。 成形装置の側面概略構成図である。 断熱部材の上面概略図である。 断熱部材の側面概略図である。 ガラス板を挟む一対の断熱部材を平面視した場合の概略図である。 変形例Dにおける、断熱部材の側面概略図である。 変形例Iにおける、断熱部材の上面概略図である。
(1)全体構成
最初に、本発明の実施形態に係るガラス板製造装置100の概略構成について説明する。図1に示されるように、ガラス板製造装置100は、溶解槽200と、清澄槽300と、成形装置400とから構成される。溶解槽200では、ガラスの原料が溶解され溶融ガラスが生成される。溶解槽200で生成された溶融ガラスは、清澄槽300へ送られる。清澄槽300では、溶融ガラスに含有される気泡の除去が行われる。清澄槽300で気泡が除去された溶融ガラスは、成形装置400へ送られる。成形装置400では、オーバーフローダウンドロー法によって、溶融ガラスからガラス板Gが連続的に成形される。その後、成形されたガラス板Gは、徐冷され、所定の大きさのガラス板に切断される。ガラス板は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイのガラス基板として用いられる。
次に、成形装置400の詳細な構成について説明する。
(2)成形装置の詳細構成
成形装置400は、成形体10と、仕切り部材20と、冷却ローラ30と、断熱部材40a,40b,・・・と、送りローラ50a,50b,・・・と、温度制御ユニット60a,60b,・・・とから構成される。また、成形装置400は、図2および図3に示されるように、仕切り部材20より上方の空間である成形体収容部410と、仕切り部材20直下の空間である成形ゾーン42aと、成形ゾーン42aの下方の空間である徐冷ゾーン420とを有する。徐冷ゾーン420は、複数の徐冷空間42b,42c,・・・を有する。成形ゾーン42a、徐冷空間42b、徐冷空間42c、・・・は、この順番で鉛直方向上方から下方に向かって積層している。
(2−1)成形体
成形体10は、図2に示されるように、略楔状の断面形状を有する部材である。成形体10は、略楔状の尖端が下端に位置するように、成形体収容部410に配置される。図3に示されるように、成形体10の上端面には、溝12が形成されている。溝12は、成形体10の長手方向に形成されている。溝12の一方の端部には、ガラス供給管14が設けられている。溝12は、ガラス供給管14が設けられる一方の端部から他方の端部に近づくに従って、徐々に浅くなるように形成されている。
(2−2)仕切り部材
仕切り部材20は、成形体10の下端の近傍に配置される板状の断熱材である。仕切り部材20は、その下端の高さ位置が、成形体10の下端の高さ位置から、成形体10の下端から50mm下方の高さ位置までの範囲にくるように、配置されている。仕切り部材20は、図2に示されるように、ガラス板Gの厚み方向両側に配置される。仕切り部材20は、成形体収容部410と成形ゾーン42aとを仕切ることにより、成形体収容部410から成形ゾーン42aへの熱移動を抑制する。仕切り部材20は、ガラス板Gと仕切り部材20との間の間隔が10mm〜50mmとなるように、位置があらかじめ調節されて配置されている。
断熱材である仕切り部材20により、成形体収容部410と成形ゾーン42aとを仕切るのは、成形体収容部410と成形ゾーン42aとの各々において、空間内の温度について両空間が互いに影響しあわないように温度制御を行うためである。例えば、液晶ディスプレイ用ガラス基板の製造においては、成形体収容部410を1200〜1300℃あるいはそれ以上の温度雰囲気保持、下部空間を400〜700℃(例えば、600〜700℃)の温度雰囲気に保持するためである。
例えば、液省ディスプレイ用ガラス基板の製造において、上部空間において1200℃〜1300℃あるいはそれ以上の温度雰囲気に保持するのは、溶融ガラスを低粘度の状態とし、溶融ガラスが成形体10の表面に拡がって「濡れ」状態をつくり、成形体10の表面上での溶融ガラス流の幅の縮小を防止するためである。
一方、例えば、液晶ディスプレイ用ガラス基板の製造において下部空間を400〜700℃(例えば、600℃〜700℃)の温度雰囲気に保持するのは、成形体10によって溶融ガラス流が合流した直後に、速やかに温度を下げて粘度を高めることにより、溶融ガラスに作用する表面直力による溶融ガラスの幅方向の収縮を抑制するためである。
(2−3)冷却ローラ
冷却ローラ30は、成形ゾーン42aにおいて、仕切り部材20の近傍に配置される。冷却ローラ30は、ガラス板Gの厚み方向両側に配置される。
(2−4)断熱部材
断熱部材40a,40b,・・・は、徐冷ゾーン420において、冷却ローラ30の下方、かつ、ガラス板Gの厚み方向両側に配置される板状の断熱材である。断熱部材40a,40b,・・・は、仕切り部材20より下方の空間を仕切ることによって、成形ゾーン42aおよび徐冷空間42b,42c,・・・を形成する。例えば、図2に示されるように、断熱部材40aは、成形ゾーン42aと徐冷空間42bとを形成し、断熱部材40bは、徐冷空間42bと徐冷空間42cとを形成する。断熱部材40a,40b,・・・は、上下の空間の間における熱移動を抑制する。例えば、断熱部材40aは、成形ゾーン42aと徐冷空間42bとの間の熱移動を抑制し、断熱部材40bは、徐冷空間42bと徐冷空間42cとの間の熱移動を抑制する。
各断熱部材40a,40b,・・・は、第1断熱板40a1,40b1,・・・と、第2断熱板40a2,40b2,・・・と、第2断熱板40a3,40b3,・・・とから構成される。第2断熱板40a2,40b2,・・・および第2断熱板40a3,40b3,・・・は、それぞれ、第1断熱板40a1,40b1,・・・のガラス板G幅方向の両端に、近接配置される。例えば、断熱部材40bでは、図4および図5に示されるように、第2断熱板40b2および第2断熱板40b3が、第1断熱板40b1のガラス板G幅方向の両端に隣接して配置される。第1断熱板40a1,40b1,・・・は、梁などで固定して配置されている。第2断熱板40a2,40b2,・・・および第2断熱板40a3,40b3,・・・は、ガラス板Gの厚み方向に沿って移動可能に配置されている。第2断熱板40a2,40b2,・・・および第2断熱板40a3,40b3,・・・を移動させることで、第2断熱板40a2,40b2,・・・および第2断熱板40a3,40b3,・・・とガラス板Gとの間の距離を調節することができる。
本実施形態では、ガラス板Gと断熱部材40a,40b,・・・との間の間隔が10mm〜50mmとなるように、第1断熱板40a1,40b1,・・・の位置があらかじめ固定され、かつ、第2断熱板40a2,40b2,・・・および第2断熱板40a3,40b3,・・・の位置が調節される。
(2−5)送りローラ
送りローラ50a,50b,・・・は、徐冷ゾーン420において、ガラス板Gの厚み方向両側に配置される。送りローラ50a,50b,・・・は、それぞれ、徐冷空間42b,42c,・・・に配置される。例えば、送りローラ50aは徐冷空間42bに配置され、送りローラ50bは徐冷空間42cに配置される。
(2−6)温度制御ユニット
温度制御ユニット60a,60b,・・・は、それぞれ、成形ゾーン42aおよび徐冷空間42b,42c,・・・に配置され、成形ゾーン42aおよび徐冷空間42b,42c,・・・の雰囲気温度を測定し、制御する。温度制御ユニット60a,60b,・・・は、ガラス板G近傍の雰囲気温度がガラス板Gの幅方向に所定の温度分布(以下、「温度プロファイル」という)を形成するように、成形ゾーン42aおよび徐冷空間42b,42c,・・・の雰囲気温度を制御する。
(3)動作
(3−1)
成形装置400でガラス板Gが成形される過程について説明する。
溶解槽200で生成され、清澄槽300で気泡が除去された溶融ガラスは、成形装置400の成形体収容部410に送られる。成形体収容部410では、ガラス供給管14を介して、成形体10の溝12に溶融ガラスが供給される。溝12に貯留されオーバーフローした溶融ガラスは、成形体10の短手方向に分流して、成形体10の両側面に沿いながら流下する。流下した溶融ガラスは、成形体10の下端部で合流する。合流した溶融ガラスは、板状のガラス板Gに連続的に成形されて下方に流下する。
成形体収容部410で成形されたガラス板Gは、成形ゾーン42aおよび徐冷ゾーン420に送られる。
ガラス板Gは、徐冷ゾーン420の送りローラ50a,50b,・・・によって引き下げられる。送りローラ50a,50b,・・・によって引き下げられるガラス板Gは、その上流側の成形ゾーン42aにある、送りローラ50a,50b,・・・よりも周速が遅く設定され、かつ冷却された金属製の冷却ローラ30で、その両端近くのみを挟持されることによって、ガラス板G自体の表面張力と、送りローラ50a,50b,・・・による下方への張力によって、その板幅が縮まろうとするのをある程度抑制される。
成形ゾーン42aおよび徐冷ゾーン420では、温度制御ユニット60a,60b,・・・によって、成形ゾーン42aおよび徐冷空間42b,42c,・・・の温度プロファイルが制御される。具体的には、成形ゾーン42aおよび徐冷空間42b,42c,・・・の雰囲気温度が測定されて、所定の温度プロファイルが達成されるように、成形ゾーン42aおよび徐冷空間42b,42c,・・・の雰囲気温度が制御される。
具体的には、成形ゾーン42aおよび徐冷空間42b,42c,・・・において、ガラス板Gの幅方向において、所定の温度プロファイルとすることにより、ガラス板Gの板厚を均一化し、反り、歪を低減することができる。
例えば、歪みを低減するためには、成形体収容部410および成形ゾーン42aで成形されたガラス板Gは、徐冷ゾーン420で均一に徐冷されることが好ましい。
また、成形ゾーン42aおよび徐冷空間42b,42c,・・・において、ガラス板Gの流れ方向において、所定の温度プロファイルとすることにより、ガラス板Gの熱収縮率を低減することができる。
(3−2)
第2断熱板40a2,40b2,・・・および第2断熱板40a3,40b3,・・・を、ガラス板Gの厚み方向に沿って移動させる過程について説明する。図6は、一例として、徐冷ゾーン420で徐冷されるガラス板Gを挟む一対の断熱部材40bを平面視した図である。以下、断熱部材40bについて説明するが、この説明は、各断熱部材40a,40b,・・・に適応できる。
徐冷空間42b,42cの間の熱移動を抑えるために、断熱部材40bとガラス板Gとの間の隙間をできるだけ小さくすることが望ましい。しかし、徐冷ゾーン420で徐冷されるガラス板Gは、幅方向の両端部が膨らんだ断面形状を有している。本実施形態では、図6に示されるように、第1断熱板40b1を、ガラス板Gの厚みに応じてガラス板Gにできるだけ接近するように固定すると共に、第2断熱板40b2,40b3を、ガラス板Gの幅方向両端部の形状に応じてガラス板Gにできるだけ接近するように移動させる。すなわち、ガラス板Gの断面形状に応じて、第2断熱板40b2,40b3の位置を調節することで、断熱部材40bとガラス板Gとの間の隙間をできるだけ小さくする。具体的には、厚みが大きいガラス板Gの幅方向両端部に対向する一対の第2断熱板40b2,40b3の間の隙間より、厚みが小さいガラス板Gの幅方向中央部に対向する一対の第1断熱板40b1の間の隙間の方が小さくなるように、第2断熱板40b2,40b3の位置を調節する。これにより、一対の断熱部材40bの間の隙間の開口面積を小さくすることができる。
(4)特徴
本実施形態に係るガラス板製造装置100では、各断熱部材40a,40b,・・・は、第1断熱板40a1,40b1,・・・と、第2断熱板40a2,40b2,・・・と、第2断熱板40a3,40b3,・・・とから構成される。第1断熱板40a1,40b1,・・・は固定して配置され、第2断熱板40a2,40b2,・・・と第2断熱板40a3,40b3,・・・は水平方向に移動可能に配置される。
徐冷ゾーン420で徐冷されるガラス板Gの厚みは、ガラス板Gの幅方向で異なる。一般的に、ガラス板Gの幅方向両端部の厚みは、幅方向中央部の厚みよりも大きい。第1断熱板40a1,40b1,・・・は、ガラス板Gの幅方向中央部の表面と対向するように配置される。第2断熱板40a2,40b2,・・・と第2断熱板40a3,40b3,・・・は、それぞれ、ガラス板Gの幅方向両端部の表面と対向するように配置される。第1断熱板40a1,40b1,・・・は、ガラス板Gの厚さに応じて予め固定され、第2断熱板40a2,40b2,・・・と第2断熱板40a3,40b3,・・・は、ガラス板Gの幅方向両端部の形状に応じて移動される。具体的には、第2断熱板40a2,40b2,・・・と第2断熱板40a3,40b3,・・・は、第2断熱板40a2,40b2,・・・と第2断熱板40a3,40b3,・・・とガラス板Gとの間の隙間ができるだけ小さくなるように、水平方向に位置が調節される。これにより、一対の断熱部材40a,40b,・・・の間の隙間の開口面積をできるだけ小さくすることができるので、隣接する成形ゾーン42aおよび徐冷空間42b,42c,・・・の間の熱移動を効率的に抑えることができる。
従って、本実施形態に係るガラス板製造装置100では、各徐冷空間42b,42c,・・・の雰囲気温度が所望の温度プロファイルになるように制御することができるので、ガラス板を効果的に徐冷することができる。すなわち、本実施形態に係るガラス板製造装置100では、ガラス板の歪みを抑えることができる。
(5)変形例
(5−1)変形例A
本実施形態では、オーバーフローダウンドロー法を用いてガラス板Gを成形する成形装置400を備えるガラス板製造装置100について説明したが、ガラス板製造装置100は、スロットダウンドロー法を用いてガラス板を成形する成形装置を備えてもよい。
(5−2)変形例B
本実施形態では、成形装置400は、断熱部材40a,40b,・・・を備えているが、成形されるガラス板Gの厚みが一定になるように、成形体10に供給される溶融ガラスの流量を制御するガラス流量制御機構をさらに備えてもよい。
本変形例では、成形装置400で成形されたガラス板Gの重量を測定することによって、成形体10に供給される溶融ガラスの流量が算出される。ガラス流量制御機構は、算出された溶融ガラスの流量が設定量の範囲を外れた場合に、成形装置400に設置されている図示されない溶融ガラス供給管の温度を変更することで溶融ガラスの流量を制御する。例えば、ガラス流量制御機構は、溶融ガラスの流量が設定量の範囲の下限値を下回った場合に、溶融ガラス供給管の温度を上げる。これにより、溶融ガラス供給管内の溶融ガラスの粘度が低下するので、成形体10に供給される溶融ガラスの流量が増加する。反対に、ガラス流量制御機構は、溶融ガラスの流量が設定量の範囲の上限値を上回った場合に、溶融ガラス供給管の温度を下げる。これにより、溶融ガラス供給管内の溶融ガラスの粘度が上昇するので、成形体10に供給される溶融ガラスの流量が減少する。ここで、溶融ガラス供給管の温度を変更する方法として、例えば、溶融ガラス供給管に電流を流して通電させて、溶融ガラス供給管を発熱することで、溶融ガラス供給管の温度を制御する方法が挙げられる。このように、ガラス流量制御機構は、溶融ガラス供給管の温度を調節することで、成形体10に供給される溶融ガラスの流量を制御する。従って、本変形例では、溶融ガラスの流量を一定に保つことができるので、成形されるガラス板Gの厚みや幅を一定にすることができる。
(5−3)変形例C
本実施形態の変形例Cでは、断熱部材40a,40b,・・・およびガラス流量制御機構を備える成形装置400について説明したが、断熱部材40a,40b,・・・を備えないが、ガラス流量制御機構を備える成形装置を用いてガラス板Gを成形してもよい。
(5−4)変形例D
本実施形態では、図5に示されるように、第2断熱板40a2,40b2,・・・と第2断熱板40a3,40b3,・・・は、それぞれ、第1断熱板40a1,40b1,・・・のガラス板G幅方向の両端に隣接して配置されているが、図7に示されるように、第2断熱板40a2,40b2,・・・と第2断熱板40a3,40b3,・・・は、それぞれ、第1断熱板40a1,40b1,・・・のガラス板G幅方向の両端部と、一部が重なり合うように配置されてもよい。
(5−5)変形例E
本実施形態では、第1断熱板40a1,40b1,・・・は固定して配置され、第2断熱板40a2,40b2,・・・および第2断熱板40a3,40b3,・・・はガラス板Gの厚み方向に沿って移動可能に配置されるが、第1断熱板40a1,40b1,・・・、第2断熱板40a2,40b2,・・・および第2断熱板40a3,40b3,・・・の少なくとも1つが、ガラス板Gの厚み方向に沿って移動可能に配置されていればよく、例えば、第2断熱板40a2,40b2,・・・が固定して配置され、第1断熱板40a1,40b1,・・・が移動可能に配置されてもよい。
(5−6)変形例F
本実施形態では、断熱部材40a,40b,・・・は、それぞれ、第1断熱板40a1,40b1,・・・と、第2断熱板40a2,40b2,・・・と、第2断熱板40a3,40b3,・・・との3枚の断熱板から構成されているが、断熱部材40a,40b,・・・は、5枚または7枚など、より多くの断熱板から構成されていてもよい。
本変形例では、ガラス板Gの断面形状に応じて、断熱部材40a,40b,・・・の形状をより詳細に変更することができる。これにより、断熱部材40a,40b,・・・とガラス板Gとの間の隙間をより小さくすることができ、隣接する徐冷空間42b,42c,・・・の間の熱移動をより効率的に抑えることができる。従って、本変形例では、ガラス板Gの幅方向の収縮をより効率的に抑えることができる。
(5−7)変形例G
本実施形態では、断熱部材40a,40b,・・・は、それぞれ、第1断熱板40a1,40b1,・・・と、第2断熱板40a2,40b2,・・・と、第2断熱板40a3,40b3,・・・との3枚の断熱板から構成されているが、同様に、仕切り部材20も、複数の板状の部品から構成され、かつ、一部の部品がガラス板Gの厚み方向に移動可能に配置されてもよい。
本変形例では、成形体収容部410を下方に送られるガラス板Gの断面形状に応じて、仕切り部材20の形状を変更することができる。例えば、仕切り部材20とガラス板Gとの間の隙間をできるだけ小さくするために、仕切り部材20を構成する一部の部品をガラス板Gの厚み方向に移動させる。これにより、仕切り部材20に隣接する成形体収容部410と徐冷空間42aとの間の熱移動を抑制することができる。従って、本変形例では、ガラス板Gの幅方向の収縮をより効率的に抑えることができる。
(5−8)変形例H
本実施形態では、断熱部材40a,40b,・・・は、それぞれ、第1断熱板40a1,40b1,・・・と、第2断熱板40a2,40b2,・・・と、第2断熱板40a3,40b3,・・・との3枚の断熱板から構成されているが、ガラス板Gの板厚変動に対応した1枚の仕切り板から構成されていてもよい。
(5−9)変形例I
本実施形態では、断熱部材40a,40b,・・・は、それぞれ、第1断熱板40a1,40b1,・・・と、第2断熱板40a2,40b2,・・・と、第2断熱板40a3,40b3,・・・との3枚の断熱板から構成され、かつ、第2断熱板40a2,40b2,・・・および第2断熱板40a3,40b3,・・・は、ガラス板Gの幅方向両端部の表面と対向するように配置されているが、図6に示すように、第2断熱板40a2,40b2,・・・および第2断熱板40a3,40b3,・・・は、ガラス板Gの幅を超えて配置されているので、ガラス板Gが流下しない部分は、一対の第2断熱板40a2,40b2,・・・(又は、第2断熱板40a3,40b3,・・・)の端面に挟まれた空間となっている。そこで、第2断熱板40a2,40b2,・・・および第2断熱板40a3,40b3,・・・は、この空間を低減するように、さらに、2枚の断熱小板から構成されていてもよい。
本変形例では、図8に示されるように、断熱部材140a(以下、他の断熱部材に関しても同様である。)は、1枚の第1断熱板140a1と2枚の第2断熱板140a2,140a3とから構成され、かつ、第2断熱板140a2は、さらに、第1断熱小板140a21と第2断熱小板140a22とから構成され、かつ、第2断熱板140a3は、さらに、第1断熱小板140a31と第2断熱小板140a32とから構成される。第2断熱板140a2において、第1断熱小板140a21は、第2断熱小板140a22と、ガラス板Gの幅方向に連結されている。また、第1断熱小板140a21は、第1断熱板140a1と、ガラス板Gの幅方向に連結されている。すなわち、第1断熱小板140a21は、第1断熱板140a1と、第2断熱小板140a22との間に配置される。第2断熱板140a3に関しても、第2断熱板140a2と同様に、第1断熱小板140a31は、第1断熱板140a1と、第2断熱小板140a32との間に配置される。
本変形例では、図8に示されるように、第2断熱板140a2,140a3の第1断熱小板140a21,140a31は、ガラス板Gの幅方向両端部の表面と対向するように配置される。また、第2断熱板140a2,140a3の第2断熱小板140a22,140a32の一方は、他方の第2断熱小板140a22,140a32と対向するように配置される。具体的には、一対の第2断熱小板140a22(又は、一対の第2断熱小板140a32)は、互いの端面が接している状態、又は、互いの端面が非常に近接している状態で配置される。これにより、一対の断熱部材140aとガラス板Gとの間の隙間の開口面積をより効果的に小さくすることができるので、隣接する徐冷空間42b,42c,・・・の間の熱移動をより効率的に抑えることができる。
本発明に係るガラス板の製造方法は、ガラス板の歪みを抑えることができる。
10 成形体
12 溝
14 ガラス供給管
20 仕切り部材
30 冷却ローラ
40a,40b,・・・ 断熱部材
40a1,40b1,・・・ 第1断熱板
40a2,40b2,・・・ 第2断熱板
40a3,40b3,・・・ 第2断熱板
42a 成形ゾーン
42b,42c,・・・ 徐冷空間
50a,50b,・・・ 送りローラ
60a,60b,・・・ 温度制御ユニット
100 ガラス板製造装置
200 溶解槽
300 清澄槽
400 成形装置
410 成形体収容部
420 徐冷ゾーン
G ガラス板
特開2008―88005号公報

Claims (5)

  1. 成形体において溶融ガラスを分流させて流下させた後、合流ポイントにおいて合流させてガラス板を成形し、鉛直方向下方に流下させる、ガラス板の製造方法であって、
    前記ガラス板の進行方向に対して、断熱板により複数個に分割した室を設け、前記ガラス板の進行方向に対して順次温度が下がるように前記室毎に室温度を制御するヒーターを設け、
    前記断熱板は、前記ガラス板に対向するように配置され、前記断熱板はその対向面が、前記ガラス板と前記断熱板との間隔が実質的に均一になるように、前記ガラス板の板厚変動に対応した形状になっていることを特徴とする、
    ガラス板の製造方法。
  2. 前記断熱板はその対向面が、前記ガラス板と前記断熱板との間隔が近接するように、前記ガラス板の板厚変動に対応した形状になっていることを特徴とする、
    請求項1に記載のガラス板の製造方法。
  3. 前記ガラス板は、両端部が中央部より板厚が厚いことを特徴とする、
    請求項1又は2に記載のガラスの製造方法
  4. 前記断熱板は、前記ガラス板の中央部と両端部に対応し、且つ独立した各部材を有していることを特徴とする、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
  5. 前記各部材は、前記ガラス板に対して離間接近することを特徴とする、
    請求項4に記載のガラス板の製造方法。
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