JP2012211012A - 橋型クレーン - Google Patents

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Abstract

【課題】岸壁の壁線に沿って敷設された2条の走行レール(海側レール、陸側レール)上を脚(海側脚、陸側脚)に取り付けられた走行装置によって走行する橋型クレーン(例えば、コンテナクレーン)において、長周期地震動のように地震による水平変位が大きく、また双方の走行レールの位相差による股開き方向の強制変位が大きい場合でも、橋型クレーンへの強度的影響を軽減することができる橋型クレーンを提供する。
【解決手段】コンテナクレーン10においては、陸側レール62上を走行する陸側脚22に、ロッキング型免震装置30が設置されているとともに、同じく陸側脚22に、その陸側脚22の上端部が、常時は固定され、地震時に走行レール60の幅方向(走行レール60の敷設方向と直交する水平方向)に回転自由になる地震時回転自由機構40が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、橋型クレーン(コンテナクレーンや門型クレーン等)に関するものである。
コンテナクレーンや門型クレーン等の港湾の橋型クレーンは、岸壁の壁線に沿って敷設された2条の走行レール(海側レール、陸側レール)上をそれぞれの脚(海側脚、陸側脚)に取り付けられた走行装置によって走行するが、地震発生時に海側レールと陸側レールとの間で位相差が出ると、橋型クレーンの構造体にとって海側脚と陸側脚とが股開き方向の強制変位となる。
従来の橋型クレーン(例えば、コンテナクレーン)では、そのような強制変位を構造体の弾性変形により吸収していたが、近年問題とされはじめた長周期地震動については、股開き方向の強制変位の幅が著しく大きくなり、構造体に強度的な問題を生じる。
これに対して、特許文献1では、海側脚が揺脚で陸側脚が剛脚である揺脚式コンテナクレーンにおいて、剛脚と走行装置の間にレール幅方向(レール敷設方向と直交する水平方向)の振動を緩和する免震装置を介装させることによって、股開き方向の大きな強制変位を吸収する揺脚式免震コンテナクレーンが提案されている。
しかし、特許文献1に記載の揺脚式免震コンテナクレーンにおいて、剛脚と走行装置の間に介装させる免震装置として、積層ゴム式の免震装置を用いた場合は、積層ゴムの必要許容変位量が著しく増大し、現実的な設計が不可能である。また、ベアリング式の免震装置を用いた場合も、吸収できるストロークに限界がある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、岸壁の壁線に沿って敷設された2条の走行レール(海側レール、陸側レール)上を脚(海側脚、陸側脚)に取り付けられた走行装置によって走行する橋型クレーン(例えば、コンテナクレーンや門型クレーン)において、長周期地震動のように地震による水平変位が大きく、また双方の走行レールの位相差による股開き方向の強制変位が大きい場合でも、橋型クレーンへの強度的影響を軽減することができる橋型クレーンを提供することを目的とするものである。
前記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
[1]岸壁の壁線に沿って敷設された2条の走行レール上をそれぞれの脚に取り付けられた走行装置によって走行する橋型クレーンにおいて、いずれか一方の走行レール上を走行する脚に、ロッキング型免震装置が設置されているとともに、どちらか一方の走行レール上を走行する脚に、その脚の上端部が、常時は固定され、地震時に走行レールの幅方向に回転自由になる地震時回転自由機構が設けられていることを特徴とする橋型クレーン。
[2]前記地震時回転自由機構が設けられている脚は、前記ロッキング型免震装置が設置されている脚であることを特徴とする前記[1]に記載の橋型クレーン。
[3]前記地震時回転自由機構は、回転ピンと油圧シリンダを備えていることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の橋型クレーン。
[4]前記地震時回転自由機構は、回転ピンとバネと油圧シリンダを備えていることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の橋型クレーン。
[5]前記地震時回転自由機構は、回転ピンとバネと油圧ダンパーと油圧シリンダを備えていることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の橋型クレーン。
本発明の橋型クレーンにおいては、長周期地震動のように地震による水平変位が大きく、また双方の走行レールの位相差による股開き方向の強制変位が大きい場合でも、橋型クレーンへの強度的影響を軽減することができる。
本発明の一実施形態を示す立面図である。 本発明の一実施形態におけるロッキング型免震装置を示す図である。 本発明の一実施形態におけるロッキング型免震装置の簡易モデルを示す図である。 本発明の一実施形態における地震時回転自由機構を示す図である。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態における橋型クレーン(ここでは、コンテナクレーン)を示す立面図である。
図1に示すように、この実施形態におけるコンテナクレーン10は、コンテナ本体20(胴体部20a、脚部20b)と走行装置50を備えており、岸壁70の壁線に沿って敷設された2条の走行レール60(海側レール61、陸側レール62)上を走行装置50によって走行するようになっている。
そして、脚部20bは、海側に位置する2本の海側脚21と陸側に位置する2本の陸側脚22を備えており、それぞれの海側脚21と陸側脚22に走行装置50が取り付けられている。なお、走行装置50は走行レール60上を車輪51で走行する。
その上で、この実施形態におけるコンテナクレーン10は、陸側レール62上を走行する陸側脚22に、ロッキング型免震装置30が設置されているとともに、同じく陸側脚22に、その陸側脚22の上端部(胴体部20aへの取り付け部)が、常時は固定され、地震時に走行レール60の幅方向(走行レール60の敷設方向と直交する水平方向)に回転自由になる地震時回転自由機構40が設けられている。
ここで、上記のロッキング型免震装置30は、図2に示すように、陸側脚22の下端部と走行装置50との間に介装されていて、陸側脚22を鉛直方向に支える形でバネ31とダンパー32が並列に配された構造となっている(例えば、非特許文献1参照)。そのロッキング型免震装置30による免震機構の簡易モデルを図3に示す。コンテナクレーン10の運動は、走行レール60の幅方向の地震波入力に対して、海側レール61を回転支点として回転運動(ロッキング運動)となる。この回転運動(ロッキング運動)でダンパー32により地震エネルギーを吸収する原理である。水平方向移動によって地震エネルギーを吸収する水平型免震装置と比較して、水平力による免震機構部への大きなモーメントの伝達はなく、実用設計に有利である。
なお、一般的に、ロッキング型免震装置とは、2条のレール内の片方のレール上にある脚に上下方向伸縮自在な機構を持ち、地震によるロッキング方向の振動を許し、その固有振動数を調整することにより免震する装置である。
また、上記の地震時回転自由機構40は、図4に示すように、胴体部20aの下端部と陸側脚22の上端部とを連結する回転ピン41と、胴体部20aの水平材23と陸側脚22との間を斜めに連結するように設置された油圧シリンダ42と、その油圧シリンダ42を制御する油圧装置43を備えている。これにより、陸側脚22の上端部が胴体部20aの下端部に対して、常時は油圧シリンダ42による拘束によって固定されるが、地震時は油圧シリンダ42の拘束が解除されて、回転ピン41を回転支点として走行レール60の幅方向に回転自由になり、陸側脚22の水平方向変位が自由になる。なお、必要に応じて、この地震時回転自由機構40での伝達力を調整するために、バネやダンパー(油圧ダンパー)を追加してもよい。
上記のような構造を備えることによって、この実施形態におけるコンテナクレーン10では、地震時に、回転自由機構40によって陸側脚22の水平方向変位が自由になるので、長周期地震動のように地震による水平変位が大きく、また海側レール61と陸側レール62との間の位相差による股開き方向の強制変位が大きい場合でも、コンテナクレーン10への強度的影響を軽減することができる。また、ロッキング型免震装置30によって、地震時のコンテナクレーン10の安定性を保つことができる。さらに、必要に応じて、地震時回転自由機構40にバネやダンパーを追加して、地震時回転自由機構40での伝達力を調整することによって、地震時のコンテナクレーン10の安定性をより一層保つことができる。
なお、上記の実施形態では、陸側脚22にロッキング型免震装置30と地震時回転自由機構40の両方を設けているが、陸側脚22にロッキング型免震装置30を設置し、海側脚21に地震時回転自由機構40を設けるようにしてもよい。
また、海側脚21にロッキング型免震装置30を設置し、地震時回転自由機構40を海側脚21または陸側脚22のいずれか一方に設けるようにしてもよい。
10 コンテナクレーン
20 コンテナ本体
20a 胴体部
20b 脚部
21 海側脚
22 陸側脚
23 水平材
30 ロッキング型免震装置
31 バネ
32 ダンパー
40 地震時回転自由機構
41 回転ピン
42 油圧シリンダ
43 油圧装置
50 走行装置
51 車輪
60 走行レール
61 海側レール
62 陸側レール
70 岸壁
特開2001−192197号公報
村野健一、吉田和夫、「502 コンテナ用ロッキング型免震装置の提案」、日本機械学会 [No.01−5] Dynamics and Design Conference 2001 CD−ROM論文集 [2001.8.6−9,東京]

Claims (5)

  1. 岸壁の壁線に沿って敷設された2条の走行レール上をそれぞれの脚に取り付けられた走行装置によって走行する橋型クレーンにおいて、いずれか一方の走行レール上を走行する脚に、ロッキング型免震装置が設置されているとともに、どちらか一方の走行レール上を走行する脚に、その脚の上端部が、常時は固定され、地震時に走行レールの幅方向に回転自由になる地震時回転自由機構が設けられていることを特徴とする橋型クレーン。
  2. 前記地震時回転自由機構が設けられている脚は、前記ロッキング型免震装置が設置されている脚であることを特徴とする請求項1に記載の橋型クレーン。
  3. 前記地震時回転自由機構は、回転ピンと油圧シリンダを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の橋型クレーン。
  4. 前記地震時回転自由機構は、回転ピンとバネと油圧シリンダを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の橋型クレーン。
  5. 前記地震時回転自由機構は、回転ピンとバネと油圧ダンパーと油圧シリンダを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の橋型クレーン。
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