JP2012207600A - 遠心ファン - Google Patents

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貴子 福田
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Abstract

【課題】インペラのシュラウド形状をより最適化して騒音の低減と送風特性を向上した遠心ファンを提供すること。
【解決手段】円板状の主板5と環状のシュラウド6との間に円周方向に多数の羽根4を配設したインペラ3をケーシング10内に格納し、吸込み口15から吸入した空気を前記インペラ3の回転に伴う遠心作用による流体力で前記インペラ3の径外方に向けて吹き出してなる遠心ファンであって、前記環状のシュラウド6は中央に円筒部17を形成し、該円筒部17の端からシュラウド6の外周部までの上面形状が曲率半径の異なった3つ以上の円弧、または高次関数によって形成され、前記主板5と前記羽根4と前記シュラウド6とで囲まれた空気の流路の途中に断面積が最小となる最小部を形成し、該最小部から前記シュラウド6の外周部までの前記流路の断面積を漸増させている。
【選択図】図3

Description

本発明は遠心ファンに係り、特に騒音の低減と送風特性を向上した遠心ファンに関する。
従来、家電機器、OA機器、産業機器の冷却、換気、空調や、車両用の送風機などに広く用いられている遠心ファンとして図8に示す構成が知られている。遠心ファン100はモータの回転軸周りに多数の羽根102を配置したインペラ101を吸入口104と吹出し口105を有する渦巻き状のケーシング103内に格納し、吸入口104から吸入された空気をインペラ101の中心から羽根102の間に流入させ、インペラ101の回転に伴う遠心作用による流体力でインペラ101の径外方に向けて吹き出す。そしてインペラ101から吹き出された空気は流路の断面積が次第に増加するように構成された渦巻き状のケーシング103内部を通過し、高圧の空気となって、ケーシング103から吹き出すものである。この種の遠心ファンにおけるインペラは主板とシュラウドで挟むように複数の羽根が取り付けられており、シュラウドは内周側から外周側に向かって傾斜する曲面で形成され、インペラの内周側からインペラの外周側に向かうほど、空気流路の断面積が縮小するような構成としている。このような構成の遠心ファンでは、インペラから吹き出された空気はその流速が増加した状態でケーシングの側壁に衝突するため、ケーシング内部で空気の流れに乱れが生じて騒音が増大し、送風効率が低下するという問題がある。
これに対して、インペラから吹き出される空気の流速を減速させてケーシング側壁への衝突を減少して騒音を低減し、ファン効率の向上を図った遠心ファンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図9は特許文献1の遠心ファンを示す断面図である。図9に示すように、遠心ファン200の吐出側205に位置するシュラウド外周部207が、遠心ファン200の吸込側206に傾斜し、シュラウド断面が略円弧状であり、ファン外径Dに比しシュラウド断面半径Rが0.01D〜0.25Dとすることで、遠心ファン200の吐出し流れ215がシュラウド外周部207の形状に沿うスムースな流れとなると共に、シュラウド外周部207から吹き出される空気の吹き出し速度を減速することができるため、筐体側壁216への衝突を少なくでき、筐体217内の乱れを減少させることで騒音の発生を低減でき、ファン効率を向上することができる。
特開2000−120582号公報
しかしながら、特許文献1に記載の遠心ファン200はインペラ203のシュラウド断面を略円弧状で、ファン外径Dに比しシュラウド断面半径Rが0.01D〜0.25Dに形成したものであるが、シュラウド断面を1つの円弧で形成した構成では、シュラウド203の形状設計の自由度がないため、シュラウド外周部207までの空気の流路断面積をゆるやかに増加する形状を構成することが難しく、空気の流路断面積を急激に拡大させた場合には急激に圧力が大きくなり、騒音が増加し、送風特性が低下する。
本発明は上記の課題に鑑みなされたもので、シュラウド形状をより最適化して騒音の低減と送風特性を向上した遠心ファンを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の遠心ファンは、円板状の主板と環状のシュラウドとの間に円周方向に多数の羽根を配設したインペラをケーシング内に格納し、吸込み口から吸入した空気を前記インペラの回転に伴う遠心作用による流体力で前記インペラの径外方に向けて吹き出してなる遠心ファンであって、前記環状のシュラウドは中央に円筒部を形成し、該円筒部の端からシュラウド外周部までの上面形状が曲率半径の異なった3つ以上の円弧、または高次関数によって表される曲面で形成され、前記主板と前記羽根と前記シュラウドとで囲まれた空気流路の途中に断面積が最小となる最小部を形成し、該最小部から前記シュラウドの外周部までの前記空気流路の断面積が漸増していることを特徴とする。
本発明の遠心ファンによれば、シュラウド上面の形状を複数の円弧にて形成し、主板とブレードとシュラウドとで囲まれた空気流路の途中に断面積が最小となる最小部を形成し、最小部からシュラウド外周部までの空気流路の断面積を漸増させた構成であるので、最小部で空気の流速を増加させた後、ゆるやかに流速を減速させて圧力エネルギーに変換される結果、吸入口付近およびインペラの外周部近傍での空気の流れに乱れが生じることがないため、空気の流れの乱れによる騒音を抑制できると共に、送風特性を向上した遠心ファンを提供することができる。
本発明の実施形態に係る遠心ファンを示す斜視図である。 図1に示す本発明の遠心ファンの上ケーシングとシュラウドを取り除いた状態での平面図である。 図1に示す本発明の遠心ファンの断面図である。 図2に示すインペラの断面図である。 従来の遠心ファンにおける風の流れのシミュレーション結果を示した図である。 図1に示す本発明の遠心ファンにおける風の流れのシミュレーション結果を示した図である。 本発明の遠心ファンと従来の遠心ファンにおける静圧−風量特性図を示した図である。 従来の遠心ファンを示した図である。 他の従来の遠心ファンを示した図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態に係る遠心ファンを示す斜視図、図2は図1に示す遠心ファンの上ケーシングとシュラウドを取り除いた状態での平面図、図3は図1に示す遠心ファンの断面図、図4は図3に示すインペラの断面図である。
遠心ファン1は多数の羽根4を配置したインペラ3とインペラ3を格納したケーシング10により構成されており、モータ2によってインペラ3が回転駆動される。
インペラ3は、円周方向に等間隔で、多数の羽根4を配置し、これらの羽根4の一端側を主板5で支持し、羽根4の他端側を環状のシュラウド6で支持したもので、羽根4は主板5とシュラウド6とで挟持された構成となっている。主板5は円板状でその中央にカップ状のボス部7を有している。羽根4は所定の曲率で湾曲した形状であって、すべて同じ形状に形成されており、環状のシュラウド6の上面形状は4つの円弧によって形成されている。この羽根4は羽根4の内周側よりも外周側がインペラ3の回転方向に対して遅れて回転していく後向き羽根で、回転方向に対して後向きに湾曲傾斜した羽根形状となっており、一般にターボファンと呼ばれる遠心ファンである。そして、カップ状のボス部7の内側にモータ2のロータ部を接合し、ロータ部の回転に伴ってインペラ3が回転する。
ケーシング10は略正四角形であって、中央には円形の開口が形成された合成樹脂製の上板11と合成樹脂製の下板12から構成され、各角部は円弧状に形成されて面取りが施されており、上板11の4箇所の角部近傍にはそれぞれ略円筒状の支柱13が上板11と下板12にて挟持されている。上板11と下板12は4箇所の支柱13を挟持し、連結部材14(例えば、ボルトやネジなど)を支柱13に挿通して連結している。
ケーシング10は側壁を備えておらず、ケーシング10の側面には支柱13のみを備えて開口が形成されている。そして、ケーシング10の内部にはインペラ3が格納されている。このため、インペラ3の外周縁から外方に吹き出される空気はケーシング10の側面の開口からケーシング10の外方に吹き出される。インペラ3の外径寸法はケーシング10の一辺の寸法より小さく設定している。
なお、インペラ3の外径寸法がケーシング10の一辺の寸法より大きい場合、回転するインペラ3がケーシング10の外縁より突出してしまうため、他部材との接触や接触による破損等の虞があり、好ましくない。このため、インペラ3の外径はケーシング10の外縁から突出しないように設定することが好ましい。
上板11の中央に形成された開口は吸込み口15となり、この開口の周縁は下板側に突出した環状の突起部16を形成している。環状のシュラウド6の中央に形成された円筒部17は上板11から外方に突出することなく、上板11の吸込み口15の周縁に形成された環状の突起部16の内側に配置される。このとき、上板11の吸込み口15の周縁に形成された環状の突起部16とシュラウド6の円筒部17とは接触しないように所定の隙間を有するように配設して、インペラ3がケーシング10の内部に格納されている。そして、モータ2の駆動によるロータ部の回転に伴ってインペラ3が回転することにより、吸込み口15から吸入された空気はインペラ3の回転に伴う遠心作用による流体力で、主板5と羽根4とシュラウド6とで囲まれた空気流路を通って、インペラ3の外周部からインペラ3の径外方に向けて吹き出され、そしてケーシング10の側面の開口から外側に吹き出される。
環状のシュラウド6は中央に形成された円筒部17と、この円筒部17からシュラウド6の外周部6aでは上板11に向かって反り返っており、シュラウド6の円筒部17の端17aからシュラウド6の外周部6aまで上面形状は曲率半径の異なった4つの円弧をつなげた形状の曲面にて形成されている。そして、インペラ3は主板5と羽根4とシュラウド6とで囲まれた空気流路の途中に断面積が最小となる最小部を形成し、この最小部から環状のシュラウド6の外周部6aまでの空気流路の断面積が漸増する構成となるように、環状のシュラウド6の上面形状を4つの円弧をつなげた形状の曲面にて形成している。図4に示すように、空気流路の途中に断面積が最小となる最小部における主板5からシュラウド6までの高さH1は、シュラウド6の外周部6aにおける主板5からシュラウド6までの高さH2に比べて低くなるように設定される。
モータ2の駆動によるロータ部の回転に伴ってインペラ3が回転することにより、吸込み口15から吸入された空気は羽根4の間に流入する。羽根4の間に流入した空気は、主板5と羽根4とシュラウド6とで囲まれた空気流路の途中に断面積が最小となる最小部を形成しているため、この最小部によって空気の流速が増加すると共に空気の圧力が低下する。そして、最小部を通過した後は、シュラウド6の外周部6aまでの空気流路の断面積が漸増しているため、空気流路内の空気はゆるやかに流速を減速させ、圧力エネルギーに変換されて空気の圧力が増加する。
図5は従来の遠心ファンにおける風の流れのシミュレーション結果を示した図、図6は図1に示す本発明の遠心ファンにおける風の流れのシミュレーション結果を示した図である。
なお、本発明の遠心ファンにおけるインペラ形状の効果を明瞭にするため、図5に示す遠心ファンのケーシングと図6に示す遠心ファンのケーシングは同一形状のケーシングで図1に示すケーシングを用いており、インペラ形状のみ異なっている。
図5に示す従来の遠心ファンにおいては、インペラ30は図8に示す遠心ファン100にて一般的に用いられている形状で、インペラ30の内周側から外周側に向かうほど空気流路の断面積が縮小するような構成となっている。このようなインペラでは、吸入口から吸入された空気は主板35とシュラウド36とで挟持された羽根の間に流れ込み、インペラ30の内周側から外周側に向かうほど空気流路の断面積が縮小しているため、空気の流速が増加された状態でインペラ30の外周側から外方に吹き出される。このため、インペラ30から吹き出された空気は流速が増加され、圧力が低下した状態となっている。また、吸入口40から吸入された空気がシュラウド36の上端部に衝突しており、衝突によって吸入口40付近で空気の流れに乱れが生じている状態を示している。この空気の流れの乱れは騒音となる。
これに対して、図6に示す本発明の遠心ファン1においては、吸入口15から吸入された空気は環状のシュラウド6に沿って乱れることなく羽根4の間に流れ込んでいる。そして、吸入口15から吸入された空気は空気流路の断面積が最小となる最小部によって空気の流速が増加され、最小部を通過した後は、空気流路の断面積が漸増しているため、空気流路内の空気はゆるやかに流速を減速させ、圧力エネルギーに変換される。その結果、空気の圧力が増加されて、インペラ3の外周部から外方に吹き出される。
また、図6に示すように、本発明の遠心ファン1では、吸入口15付近およびインペラ3の外周部近傍での空気の流れに乱れが生じていない。このため、図5に示す従来の遠心ファンに比べて騒音を大幅に低減できる。
図7は図6に示す本発明の遠心ファンと図5に示す従来の遠心ファンの静圧−風量特性を示した図である。図7に示すように、本発明の遠心ファンは従来の遠心ファンに比べて、最大静圧、最大風量ともに共に大きい値を示すと共に、全風量領域において静圧を大きくできるため、ファンの風量特性を大きく向上できる。
本発明の遠心ファン1におけるケーシング10は一般的に用いられている渦巻き状のケーシングではなく、ケーシング10の側面には支柱13のみを備えて開口を形成しているため、インペラ3から吹き出された空気の圧力をケーシング10で増加することができない。このため、インペラから吹き出された空気の圧力をケーシングで増加することができない構造の場合には、本発明の遠心ファンのようにインペラにて空気の圧力を増加させることが必要である。
また、環状のシュラウド6の上面形状は複数の円弧から形成すればよいが、環状のシュラウド6の上面形状を2つの円弧で形成した場合には、流路の断面積が最小となる最小部から環状のシュラウド6の外周部6aまでの空気流路の断面積をゆるやかに増加する形状で構成することが難しく、形状設計の自由度がない。このため、環状のシュラウド6の上面形状は2つの円弧から形成するよりも、それよりも多数の円弧(3つ以上の円弧)から形成した方が形状設計の自由度が高くなり、好ましい。
また、環状のシュラウド6の上面形状は3つ以上の円弧をつなげた形状の曲面にて形成されてものに限定されるものではなく、円筒部17の端17aと、空気流路の断面積が最小となる最小部と、シュラウド6の外周部6aの3箇所を通る高次関数(2次以上の関数)によって表される曲面で形成してもよく、高次関数(2次以上の関数)によって表される曲面の場合、1つの高次関数であっても複数の高次関数の組み合わせによって表現される曲面であってもよい。
なお、本実施形態ではケーシング10を構成する上板11と下板12は略正四角形にて形成しているが、これに限定されるものではなく、ケーシング10の側面に側壁を備えることなく開口を形成したものであれば、四角形以外の多角形であっても、円形にて形成されたケーシングであっても勿論よく、特にその形状は限定しない。
また、渦巻き状のケーシングを用いた遠心ファンに適用しても勿論よい。
1 遠心ファン
2 モータ
3 インペラ
4 羽根
5 主板
6 シュラウド
7 ボス部
10 ケーシング
11 上板
12 下板
13 支柱
14 連結部材
15 吸入口
16 突起部
17 円筒部

Claims (3)

  1. 円板状の主板と環状のシュラウドとの間に円周方向に多数の羽根を配設したインペラをケーシング内に格納し、吸込み口から吸入した空気を前記インペラの回転に伴う遠心作用による流体力で前記インペラの径外方に向けて吹き出してなる遠心ファンであって、前記環状のシュラウドは中央に円筒部を形成し、該円筒部の端からシュラウド外周部までの上面形状が曲率半径の異なった3つ以上の円弧、または高次関数によって表される曲面によって形成され、前記主板と前記羽根と前記シュラウドとで囲まれた空気流路の途中に断面積が最小となる最小部を形成し、該最小部から前記シュラウドの外周部までの前記空気流路の断面積が漸増していることを特徴とする遠心ファン。
  2. 前記ケーシングの吸込み口の周縁に環状の突起部を形成し、前記シュラウドの前記円筒部は前記ケーシングから突出することなく、前記環状の突起部の内側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の遠心ファン。
  3. 前記ケーシングは上板と下板にて支柱を挟持し、前記ケーシングの側面が側壁を備えることなく、開口を形成してなることを特徴とする請求項1または2に記載の遠心ファン。


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