JP2012207546A - ポンプ消費電力特性モデル作成装置、ポンプ消費電力特性モデル作成方法、ポンプ消費電力特性モデル作成プログラム、およびこのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

ポンプ消費電力特性モデル作成装置、ポンプ消費電力特性モデル作成方法、ポンプ消費電力特性モデル作成プログラム、およびこのプログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】流量に対する消費電力特性の非線形性および多値性、並びに、運用期間の変化に応じた消費電力特性の変化を考慮した、ポンプ消費電力特性モデルを提供する。
【解決手段】ポンプのモータ効率、並びに可変速ポンプのインバータ効率および定格回転速度を含む機器仕様データ、水処理施設における目標吐出圧力、ポンプの台数切替流量および運転順序を含む制御方式データ、並びに、ポンプが定格回転速度で動作した時の管路損失の特性曲線に係る管路特性データをそれぞれ記憶しておく。また、ポンプの吐出流量、ポンプの消費電力、可変速ポンプの回転速度、および、ポンプの吐出圧力の計測情報を、運用実績データとして蓄積しておく。消費電力特性モデル作成部230は、機器仕様データ、制御方式データ・管路特性データ、および、運用実績データに基づいて、非線形性が考慮された流量に対する消費電力特性モデルを作成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば水道施設等の水処理施設において、ポンプの流量に対する消費電力特性モデルを作成するポンプ消費電力特性モデル作成装置、ポンプ消費電力特性モデル作成方法、ポンプ消費電力特性モデル作成プログラム、およびこのプログラムを記録した記録媒体に関する。
近年、地球環境保全の一環から、環境負荷に対する社会的な関心が高まってきている。かかる背景から、全国の電力需要のうち約0.8%を消費する水道施設においても、消費エネルギー削減を通した環境負荷低減への取り組みが重要な課題となってきている。
このような環境負荷低減に関連する従来技術の一例として、特許文献1には、上水道施設全体の運用コスト(薬品コストおよび電力コスト)を計算することで上水道施設全体の運用コストを評価可能な上水道水運用評価装置が開示されている。
特開2002−266380号公報
ところで、例えば水道施設では、そこでの消費電力量の大半を、水輸送を担う電動ポンプ(以下、“ポンプ”と省略する。)が消費している。そのため、ポンプの効率的な運転を実現することが、省エネルギーの観点から特に重要である。ポンプの効率的な運転を実現するためには、ポンプの流量に対する消費電力特性を正確に評価することが求められる。
この点、特許文献1に係る従来技術では、日単位での流量に比例したポンプの消費電力評価を行う旨が記載されている(特許文献1の段落番号0026〜0029参照)。しかし、一般に、ポンプの流量に対する消費電力特性は非線形性をもっている。このため、特許文献1に係る技術を適用してポンプの流量に対する消費電力の評価を行った場合、ポンプの流量に対する消費電力特性の非線形性に起因した誤差を含むことは避けられない。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、流量に対する消費電力特性の非線形性を考慮したポンプ消費電力特性モデルを提供することを目的とする。
本発明に係るポンプ消費電力特性モデル作成装置は、水処理施設に設けられて水の輸送を担う固定速ポンプおよび可変速ポンプの両者、またはいずれか一方のポンプの流量に対する消費電力特性をモデル化したポンプ消費電力特性モデルを作成するポンプ消費電力特性モデル作成装置であって、前記ポンプのモータ効率、並びに前記可変速ポンプのインバータ効率および定格回転速度を機器仕様データとして記憶する機器仕様記憶部と、前記水処理施設における目標吐出圧力、前記ポンプの台数切替流量および運転順序、並びに目標吐出流量に対する前記ポンプの吐出流量の配分を制御方式データとして記憶する制御方式記憶部と、前記ポンプが定格回転速度で動作した時の管路損失の特性曲線を管路特性データとして記憶する管路特性記憶部と、前記ポンプの吐出流量、前記ポンプの消費電力、前記可変速ポンプの回転速度、および、前記ポンプの吐出圧力の計測情報を、前記水処理施設の運用時における運用実績データとして蓄積する運用実績データ蓄積部と、前記機器仕様記憶部に記憶された機器仕様データ、前記制御方式・管路特性記憶部に記憶された制御方式データ・管路特性データ、および、前記運用実績データ蓄積部に蓄積された運用実績データに基づいて、非線形性が考慮された流量に対する消費電力特性モデルを作成する消費電力特性モデル作成部と、を備えることを要旨とする。
また、本発明に係るポンプ消費電力特性モデル作成方法は、水処理施設に設けられて水の輸送を担う固定速ポンプおよび可変速ポンプの両者、またはいずれか一方のポンプの流量に対する消費電力特性をモデル化したポンプ消費電力特性モデルを作成する際に用いられるポンプ消費電力特性モデル作成方法であって、前記ポンプのモータ効率、並びに前記可変速ポンプのインバータ効率および定格回転速度を機器仕様データとして記憶する手順と、前記水処理施設における目標吐出圧力、前記ポンプの台数切替流量および運転順序、並びに目標吐出流量に対する前記ポンプの吐出流量の配分を制御方式データとして記憶する手順と、前記固定速ポンプが定格回転速度で動作した時の管路損失の特性曲線を管路特性データとして記憶する手順と、前記ポンプの吐出流量、前記ポンプの消費電力、前記可変速ポンプの回転速度、および、前記ポンプの吐出圧力の計測情報を、前記水処理施設の運用時における運用実績データとして蓄積する手順と、前記記憶された機器仕様データおよび制御方式データ・管路特性データ、並びに、前記蓄積された運用実績データに基づいて、非線形性が考慮された流量に対する消費電力特性モデルを作成する手順と、を有することを要旨とする。
また、本発明に係るポンプ消費電力特性モデル作成プログラムは、水処理施設に設けられて水の輸送を担う固定速ポンプおよび可変速ポンプの両者、またはいずれか一方のポンプの流量に対する消費電力特性をモデル化したポンプ消費電力特性モデルを作成する際に用いられ、情報処理装置にインストールされるポンプ消費電力特性モデル作成プログラムであって、前記ポンプのモータ効率、並びに前記可変速ポンプのインバータ効率および定格回転速度を機器仕様データとして記憶する手順と、前記水処理施設における目標吐出圧力、前記ポンプの台数切替流量および運転順序、並びに目標吐出流量に対する前記ポンプの吐出流量の配分を制御方式データとして記憶する手順と、前記固定速ポンプが定格回転速度で動作した時の管路損失の特性曲線を管路特性データとして記憶する手順と、前記ポンプの吐出流量、前記ポンプの消費電力、前記可変速ポンプの回転速度、および、前記ポンプの吐出圧力の計測情報を、前記水処理施設の運用時における運用実績データとして蓄積する手順と、前記記憶された機器仕様データおよび制御方式データ・管路特性データ、並びに、前記蓄積された運用実績データに基づいて、非線形性が考慮された流量に対する消費電力特性モデルを作成する手順と、をコンピューターに実行させるためのコンピューター読み取り可能なポンプ消費電力特性モデル作成プログラムである。
本発明によれば、流量に対する消費電力特性の非線形性が考慮されたポンプ消費電力特性モデルを提供することができる。
本発明の実施形態に係るポンプ消費電力特性モデル作成装置の概略構成を示す機能ブロック図である。 制御方式・管路特性記憶部のデータの例を示す図である。 消費電力特性モデルの作成手順を示すフローチャート図である。 流量−楊程特性モデルの例を示す図である。 流量−効率特性モデルの例を示す図である。 消費電力特性モデルの例を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係るポンプ消費電力特性モデル作成装置、ポンプ消費電力特性モデル作成方法、ポンプ消費電力特性モデル作成プログラム、およびこのプログラムを記録した記録媒体について、図面を参照して詳細に説明する。
〔ポンプ消費電力特性モデル作成装置111の構成〕
図1は、本実施形態に係るポンプ消費電力特性モデル作成装置111の構成を示す図である。本実施形態に係るポンプ消費電力特性モデル作成装置111は、図1に示すように、運用実績データ蓄積部210と、運用実績データ参照期間設定部220と、消費電力特性モデル作成部230と、機器仕様記憶部240と、制御方式・管路特性記憶部250と、結果表示部260とを備えて構成される。
ポンプ消費電力特性モデル作成装置111は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えた不図示のコンピューターにより構成される。このコンピューターは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行し、各種機能部の制御を行うようにはたらく。
運用実績データ蓄積部210は、図1に示すように、水道施設(本発明の“水処理施設”に相当する。)100内に設けられた複数のポンプ1,2,3の運用に係る運用実績データを収集し蓄積する機能を担う。また、運用実績データ蓄積部210は、運用実績データと、運用実績データ参照期間設定部220で設定された参照期間情報とに基づいて、その参照期間(例えば1ヶ月等の、適宜変更可能な期間)に係る運用実績データを、消費電力特性モデル作成部230に与える。
ここで、水道施設100について図1を参照して説明する。図1に例示する水道施設100には、都合3台のポンプ(第1および第2の可変速ポンプ1,2、並びに固定速ポンプ3)がそれぞれ並列に設けられている。
第1の可変速ポンプ1には、同ポンプ1の回転速度(単位時間〔1分間〕あたりの回転数)を計測する回転計11と、同ポンプ1の消費電力を計測する電力計31とがそれぞれ設けられている。第1の可変速ポンプ1の下流側には、同ポンプ1の吐出流量を計測する流量計21が設けられている。
同様に、第2の可変速ポンプ2には、同ポンプ2の回転速度を計測する回転計12と、同ポンプ2の消費電力を計測する電力計32とがそれぞれ設けられている。第2の可変速ポンプ2の下流側には、同ポンプ2の吐出流量を計測する流量計22が設けられている。
固定速ポンプ3には、同ポンプ3の消費電力を計測する電力計33が設けられている。固定速ポンプ3の下流側には、同ポンプ3の吐出流量を計測する流量計23が設けられている。第1および第2の可変速ポンプ1,2、並びに固定速ポンプ3の下流側に位置する集合配管35には、相互に並列に設けられたポンプ1,2,3全体の吐出圧力を計測する圧力計40が設けられている。前記した回転計11,12、流量計21,22,23、電力計31,32,33、および、圧力計40の各種計測器によって計測された運用実績データは、運用実績データ蓄積部210に送られて蓄積される。
運用実績データ参照期間設定部220は、利用者300の入力操作によって、消費電力特性モデルの作成に用いる運用実績データの参照期間を設定する。運用実績データの参照期間は、例えば1ヶ月などの適宜の期間を任意に設定可能である。また、いったん設定した期間の値は、任意の値に変更可能である。運用実績データの参照期間を設定するにあたっては、例えば、始期および期間の組み合わせ、または、始期および終期の組み合わせを用いればよい。こうして設定された運用実績データの参照期間情報は、運用実績データ蓄積部210に送られる。これを受けて運用実績データ蓄積部210では、蓄積された運用実績データのうち、参照期間と始期によって特定される期間に蓄積された運用実績データを消費電力特性モデル作成部230に与える。
消費電力特性モデル作成部230は、機器仕様記憶部240に記憶された機器仕様データ、制御方式・管路特性記憶部250に記憶された制御方式データ・管路特性データ、および、運用実績データ蓄積部210に蓄積された運用実績データに基づいて演算を行い、非線形性が考慮された流量に対する消費電力特性モデルを作成する。こうして作成された消費電力特性モデルは、結果表示部260に送られる。
機器仕様記憶部240は、ポンプ1,2,3のモータ効率、並びに可変速ポンプ1,2のインバータ効率および定格回転速度を機器仕様データとして記憶する役割を果たす。こうして記憶された機器仕様データは、消費電力特性モデル作成部230において、非線形性が考慮された流量に対する消費電力特性モデルを作成する際に参照される。
制御方式・管路特性記憶部(本発明の“制御方式記憶部”および“管路特性記憶部”に相当する)250は、水道施設における目標吐出圧力(可変速ポンプ1,2において参照される。)、ポンプ1,2,3の台数切替流量および運転順序、並びに目標吐出流量に対するポンプ1,2,3の吐出流量の配分を制御方式データとして記憶する機能と、固定速ポンプが定格回転速度で動作した時の管路損失の特性曲線を管路特性データとして記憶する機能とを有する。こうして記憶された制御方式データ・管路特性データは、消費電力特性モデル作成部230において、非線形性が考慮された流量に対する消費電力特性モデルを作成する際に参照される。
結果表示部260は、消費電力特性モデル作成部230から取得した消費電力特性モデルを、数値・表・グラフなどの提示態様をもって利用者300が確認できるように画面に表示する。
図2は、制御方式・管路特性記憶部250に格納された制御方式データ表の例を示す。図2に示す制御方式データ表には、ポンプ1〜3のそれぞれに関連づけて、ポンプの運転順序、目標吐出流量に対する吐出流量の配分、目標吐出圧力、ポンプ増台時の台数切替流量、および、ポンプ減台時の台数切替流量に係る制御方式データが記述されている。本実施形態では、図2に示す制御方式データを用いて動作説明を行う。なお、ここでは、目標吐出圧力は一定としたが、推定末端圧一定制御などによって求まる値を用いてもよい。
〔ポンプ消費電力特性モデル作成装置111の動作〕
図3は、消費電力特性モデル作成部230が行うポンプ消費電力特性モデルの作成手順を示すフローチャート図である。
ステップ401では、図3に示すように、消費電力特性モデル作成部230は、運用実績データ蓄積部210から取得した吐出圧力Pd を用い、次の(式1)にて運用実績データに基づいた全楊程Hd を求める。
Figure 2012207546
・・・(式1)
d :吐出圧力の運用実績値[MPa]
d :運用実績に基づいた全楊程 [m]
g:重力加速度
ステップ402では、図3に示すように、消費電力特性モデル作成部230は、運用実績データ210から取得した吐出流量Qd (i)、可変速ポンプの回転速度Nd (i)、機器仕様記憶部240に格納された可変速ポンプの定格回転速度Npu(i)、ステップ401にて求めた全楊程Hd を用い、各ポンプについて、
[Qd (i)/Nd (i)/Npu(i)]2とHd /[Nd (i)/Npu(i)]2を求める。
次に、それぞれを横軸、縦軸においたプロット図を作成する。そして、このプロット図について最小2乗法により次の(式2)の1次近似式を求める。ここで、“i”はポンプ番号である。なお、回転速度の計測データ、定格回転速度データのない固定速ポンプについては、Nd (i)=1[min-1]、Npu(i)=1[min-1]として計算する。
Figure 2012207546
・・・(式2)
d (i):ポンプiの吐出流量の運用実績値[m3/min]
d (i):可変速ポンプiの回転速度の運用実績値[min-1]
pu(i):可変速ポンプiの定格回転速度[min-1]
A(i):最小2乗法によって求めた1次項の係数
B(i):最小2乗法によって求めた定数項の係数
消費電力特性モデル作成部230は、前記の手順によって求めた1次近似式の係数A(i)、B(i)を用いて、次の(式3)にて各ポンプの流量−楊程特性モデルを作成する。なお、固定速ポンプ3については回転速度N=1[min-1]として計算する。
Figure 2012207546
・・・(式3)
H:全楊程[m]
Q:吐出流量[m3/min]
N:ポンプ回転速度[min-1]
図4は、ステップ402にて作成した流量−楊程特性モデルの一例を示す。
ステップ403では、消費電力特性モデル作成部230は、運用実績データ蓄積部210から取得した吐出流量Qd (i)、消費電力Ed (i)、機器仕様記憶部240に格納されている各ポンプのモータ特性ηm(i)、インバータ効率ηi(i)、ステップ401にて求めた運用実績に基づいた全楊程Hd を用い、次の(式4)にて、各ポンプの運用実績に基づいたポンプ効率ηpd (i)を求める。なお、インバータ効率データのない固定速ポンプについては、ηi(i)=1として計算する。
Figure 2012207546
・・・(式4)
ηpd (i):ポンプiの運用実績に基づいたポンプ効率[−]
ただし、[−]の“−”は“単位なし”を表す。以下、同じ。
d (i):ポンプiの消費電力の運用実績[kW]
ηm(i):ポンプiのモータ効率[−]
ηi(i):ポンプiのインバータ効率[−]
ステップ404では、消費電力特性モデル作成部230は、運用実績データ210から取得した吐出流量Qd (i)、可変速ポンプの回転速度Nd (i)、および、機器仕様記憶部240に格納されている可変速ポンプの定格回転速度Npu(i)を用いて、各ポンプについて、[Qd (i)/Nd (i)/Npu(i)]を求める。次に、前記求めた[Qd (i)/Nd (i)/Npu(i)]と、ステップ403にて求めた運用実績に基づくポンプ効率ηpd (i)とのそれぞれを横軸、縦軸においたプロット図を作成する。そして、このプロット図について最小2乗法により次の(式5)の2次近似式を求める。
Figure 2012207546
・・・(式5)
C(i):最小2乗法によって求めた2次項の係数
D (i):最小2乗法によって求めた1次項の係数
F(i):最小2乗法によって求めた定数項の係数
さらに、ステップ404では、消費電力特性モデル作成部230は、前記の手順によって求めた2次近似式の係数C(i)、D (i)、F(i)を用いて、次の(式6)にて各ポンプの流量−効率特性モデルを作成する。なお、固定速ポンプについては回転速度N=1[min-1]として計算する。
Figure 2012207546
・・・(式6)
ηp:全楊程[m]
図5は、ステップ404にて作成した流量−効率特性モデルの一例を示す。
ステップ405では、消費電力特性モデル作成部230は、制御方式・管路特性記憶部250に格納されている目標吐出圧力Ptを、次の(式7)より目標全楊程Ht に変換し、目標全楊程Ht と、ステップ402にて作成した固定速ポンプの流量−楊程特性モデルの係数A(i)、B(i)とを用いて、次の(式8)にて固定速ポンプの目標吐出流量を求める。ここでは、目標吐出圧より目標吐出流量を求めたが、制御方式・管路特性記憶部250に格納されているデータが、目標吐出圧の代わりに管路損失曲線であった場合は、管路損失曲線と流量−楊程特性モデルのグラフの交点(ポンプの動作点)の吐出流量と吐出圧力を用いるとしてもよい。
Figure 2012207546
・・・(式7)
t :目標吐出圧力[MPa]
t :目標全楊程[m]
g:重力加速度
Figure 2012207546
・・・(式8)
t (i):固定速ポンプiの目標吐出流量[m3/min]
ステップ406では、消費電力特性モデル作成部230は、制御方式・管路特性記憶部250に格納されている流量配分データと、ステップ405にて求めた固定速ポンプの目標吐出量より求まる可変速ポンプの目標吐出Qt (i)と、目標全楊程Ht と、機器仕様記憶部240に格納されている可変速ポンプの定格回転速度Npu(i)と、ステップ403にて作成した固定速ポンプの流量−楊程特性モデルの係数A(i)、B(i)とを用いて、次の(式9)にて可変速ポンプの目標回転速度Nt (i)を求める。
Figure 2012207546
・・・(式9)
t (i):可変速ポンプiの目標回転速度[min-1]
ステップ407では、消費電力特性モデル作成部230は、ステップ404にて作成した流量−効率特性モデルの係数C(i)、D (i)、F(i)と、ステップ405によって求めた各ポンプの目標吐出流量Qt (i)と、ステップ406にて求めた各可変速ポンプの目標回転速度Nt (i)と、機器仕様記憶部240に格納されている可変速ポンプの定格回転速度Npu(i)とを用いて、次の(式10)にて各ポンプの目標効率ηpt(i)を求める。なお、固定速ポンプについては、Nd (i)=1[min-1]、Npu(i)=1[min-1]として計算する。
Figure 2012207546
・・・(式10)
ηpt(i):ポンプiの目標効率[−]
ステップ408では、消費電力特性モデル作成部230は、ステップ405にて求めた目標全楊程Ht と、各ポンプの目標吐出流量Qt (i)と、ステップ407にて求めた各ポンプの目標効率ηpt(i)と、機器仕様記憶部240に格納されているモータ特性ηm(i)、インバータ効率ηi(i)とを用いて、次の(式11)にて各ポンプの消費電力E(i)を求める。
Figure 2012207546
・・・(式11)
d (i):ポンプiの消費電力の運用実績[kW]
ステップ409では、消費電力特性モデル作成部230は、ステップ408にて求めた各ポンプの消費電力と、制御方式・管路特性記憶部250に格納されているポンプ増台時の台数切替流量と、ポンプ減台時の台数切替流量とを用いて、(式12)にて、ポンプ増台時とポンプ減台時の、流量に対する消費電力特性モデルを求める。
Figure 2012207546
・・・(式12)
t :流量Qのときのポンプの運転台数[−]
ステップ410では、消費電力特性モデル作成部230は、ステップ409にて求めた、流量に対する消費電力特性モデルを、結果表示部260において数値、表、グラフなどの提示態様を用いて、利用者300が確認できるように画面表示する。
〔ポンプ消費電力特性モデル作成装置111の作用効果〕
図6は、ステップ410にて表示した消費電力特性モデルの一例を示す。
前記の手順によって作成された消費電力特性モデルは、流量の2次項を式に含んでいるため、図6のように非線形性を表現することができる。また、ポンプ増台時とポンプ減台時の台数切替流量の違い(流量に対する消費電力のヒステリシス特性)を考慮しているため、同じ流量でも違う消費電力をとる場合の、多値性を表現することができる。
結果表示部260において表示される消費電力特性モデルは、ポンプの経年劣化やポンプの整備状況等に起因して、運用実績期間の長短に従って変化する場合がある。この点、運用実績データ参照期間設定部220の参照期間を適宜設定することによって、該当期間のポンプの特性を確認することができる。また、運用実績データ参照期間設定部220の参照期間を時系列的に変化させることによって、ポンプの特性の変化を時系列的に確認することもできる。このため、ポンプの劣化度合いの監視やポンプ整備の効果などの保守・点検作業を強力に支援することができる。
また、運用実績データ参照期間設定部220の参照期間を直近期間に設定すれば、現状の運用を反映した特性を表示することができる。このため、ポンプ制御方式の検討や、水の輸送経路の検討に役立てることもできる。
本発明の実施形態に係るポンプ消費電力特性モデル作成装置111によれば、流量に対する消費電力特性の非線形性および多値性、並びに、運用期間の変化に応じた消費電力特性の変化を考慮した、ポンプ消費電力特性モデルを提供することができる。
〔ポンプ消費電力特性モデル作成プログラムを記録した記録媒体の作用効果〕
ポンプ消費電力特性モデル作成プログラムを記録した記録媒体によれば、流量に対する消費電力特性の非線形性および多値性、並びに、運用期間の変化に応じた消費電力特性の変化を考慮した、ポンプ消費電力特性モデルを作成可能なポンプ消費電力特性モデル作成プログラムについて、その流通性を高めることができる。
[その他の実施形態]
以上説明した実施形態は、本発明の具現化例を示したものである。従って、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
例えば、本発明の実施形態に係るポンプ消費電力特性モデル作成装置111において、図1に示す水道施設100の例、図2に示す制御方式・管路特性記憶部250のデータの例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。本発明に係るポンプ消費電力特性モデル作成装置111は、ポンプ台数、ポンプ種別、制御方式の変更など、様々な変形が可能であり、こうした変形例に係るポンプ消費電力特性モデル作成装置も、本発明の技術的範囲の射程に包含される。
また、本発明の実施形態に係るポンプ消費電力特性モデルの一例を示す図6では、消費電力特性モデルをグラフによって表現したが、本発明はこの例に限定されない。本発明に係るポンプ消費電力特性モデルの表現態様としては、例えば流量を指定することにより、その流量に対する消費電力を数値で返す表現態様を採用してもよい。また、利用者300の要求に応じて、各ポンプの流量−楊程特性、流量−効率特性を表示する表現態様を採用してもよい。
1 第1の可変速ポンプ
2 第2の可変速ポンプ
3 固定速ポンプ
100 水道施設(水処理施設)
111 消費電力特性モデル作成装置
210 運用実績データ蓄積部
220 運用実績データ参照期間設定部
230 消費電力特性モデル作成部
240 機器仕様記憶部
250 制御方式・管路特性記憶部(制御方式記憶部、および、管路特性記憶部)
260 誘導案内部

Claims (6)

  1. 水処理施設に設けられて水の輸送を担う固定速ポンプおよび可変速ポンプの両者、またはいずれか一方のポンプの流量に対する消費電力特性をモデル化したポンプ消費電力特性モデルを作成するポンプ消費電力特性モデル作成装置であって、
    前記ポンプのモータ効率、並びに前記可変速ポンプのインバータ効率および定格回転速度を機器仕様データとして記憶する機器仕様記憶部と、
    前記水処理施設における目標吐出圧力、前記ポンプの台数切替流量および運転順序、並びに目標吐出流量に対する前記ポンプの吐出流量の配分を制御方式データとして記憶する制御方式記憶部と、
    前記ポンプが定格回転速度で動作した時の管路損失の特性曲線を管路特性データとして記憶する管路特性記憶部と、
    前記ポンプの吐出流量、前記ポンプの消費電力、前記可変速ポンプの回転速度、および、前記ポンプの吐出圧力の計測情報を、前記水処理施設の運用時における運用実績データとして蓄積する運用実績データ蓄積部と、
    前記機器仕様記憶部に記憶された機器仕様データ、前記制御方式記憶部に記憶された制御方式データ、前記管路特性記憶部に記憶された管路特性データ、および、前記運用実績データ蓄積部に蓄積された運用実績データに基づいて、非線形性が考慮された流量に対する消費電力特性モデルを作成する消費電力特性モデル作成部と、を備える
    ことを特徴とするポンプ消費電力特性モデル作成装置。
  2. 請求項1に記載のポンプ消費電力特性モデル作成装置であって、
    消費電力特性モデル作成部は、前記ポンプの流量−楊程特性および流量−効率特性を、2次近似式を用いてそれぞれモデル化すると共に、前記モデル化した2次近似式の係数を用いて、前記非線形性が考慮された流量に対する消費電力特性モデルを作成する、
    ことを特徴とするポンプ消費電力特性モデル作成装置。
  3. 請求項1または2に記載のポンプ消費電力特性モデル作成装置であって、
    前記運用実績データの参照期間を設定する運用実績データ参照期間設定部をさらに備え、
    前記消費電力特性モデル作成部は、前記運用実績データ参照期間設定部で設定された前記参照期間に係る前記運用実績データに基づいて消費電力特性モデルを作成する、
    ことを特徴とするポンプ消費電力特性モデル作成装置。
  4. 水処理施設に設けられて水の輸送を担う固定速ポンプおよび可変速ポンプの両者、またはいずれか一方のポンプの流量に対する消費電力特性をモデル化したポンプ消費電力特性モデルを作成する際に用いられるポンプ消費電力特性モデル作成方法であって、
    機器仕様記憶部が、前記ポンプのモータ効率、並びに前記可変速ポンプのインバータ効率および定格回転速度を機器仕様データとして記憶する手順と、
    制御方式記憶部が、前記水処理施設における目標吐出圧力、前記ポンプの台数切替流量および運転順序、並びに目標吐出流量に対する前記ポンプの吐出流量の配分を制御方式データとして記憶する手順と、
    管路特性記憶部が、前記固定速ポンプが定格回転速度で動作した時の管路損失の特性曲線を管路特性データとして記憶する手順と、
    運用実績データ蓄積部が、前記ポンプの吐出流量、前記ポンプの消費電力、前記可変速ポンプの回転速度、および、前記ポンプの吐出圧力の計測情報を、前記水処理施設の運用時における運用実績データとして蓄積する手順と、
    消費電力特性モデル作成部が、前記記憶された機器仕様データおよび制御方式データ・管路特性データ、並びに、前記蓄積された運用実績データに基づいて、非線形性が考慮された流量に対する消費電力特性モデルを作成する手順と、を有する
    ことを特徴とするポンプ消費電力特性モデル作成方法。
  5. 水処理施設に設けられて水の輸送を担う固定速ポンプおよび可変速ポンプの両者、またはいずれか一方のポンプの流量に対する消費電力特性をモデル化したポンプ消費電力特性モデルを作成する際に用いられ、情報処理装置にインストールされるポンプ消費電力特性モデル作成プログラムであって、
    前記ポンプのモータ効率、並びに前記可変速ポンプのインバータ効率および定格回転速度を機器仕様データとして記憶する手順と、
    前記水処理施設における目標吐出圧力、前記ポンプの台数切替流量および運転順序、並びに目標吐出流量に対する前記ポンプの吐出流量の配分を制御方式データとして記憶する手順と、
    前記固定速ポンプが定格回転速度で動作した時の管路損失の特性曲線を管路特性データとして記憶する手順と、
    前記ポンプの吐出流量、前記ポンプの消費電力、前記可変速ポンプの回転速度、および、前記ポンプの吐出圧力の計測情報を、前記水処理施設の運用時における運用実績データとして蓄積する手順と、
    前記記憶された機器仕様データおよび制御方式データ・管路特性データ、並びに、前記蓄積された運用実績データに基づいて、非線形性が考慮された流量に対する消費電力特性モデルを作成する手順と、
    をコンピューターに実行させるためのコンピューター読み取り可能なポンプ消費電力特性モデル作成プログラム。
  6. 請求項5に記載のポンプ消費電力特性モデル作成プログラムを記録した
    ことを特徴とするコンピューター読み取り可能な記録媒体。
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