JP2012206508A - サンドイッチ成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温環境下であっても機械的強度の低下が少ないサンドイッチ成形体を得る。
【解決手段】コア部の表面に、コア部を挟持するスキン部が形成されたサンドイッチ成形体である。スキン部を構成するポリアミド樹脂組成物(A)は、ポリアミド樹脂(a)とガラス繊維(x)との混合比率(a/x)が質量比で45/55〜70/30である。コア部を構成するポリアミド樹脂組成物(B)は、ポリアミド樹脂(b)とガラス繊維(y)との混合比率(b/y)が質量比で35/65〜55/45である。ポリアミド樹脂組成物(A)とポリアミド樹脂組成物(B)とについて所定の条件で測定される溶融粘度ηa、ηbは、
1<logηa/logηb<1.4
である。ポリアミド樹脂組成物(A)におけるガラス繊維(x)の含有率Xと、ポリアミド樹脂組成物(B)におけるガラス繊維(y)の含有率Yとは、
X≦Y
である。
【選択図】図1

Description

本発明は、サンドイッチ成形体に関する。
ポリアミド樹脂は、その成形体が優れた機械的性質を有することから、金属代替材料として幅広く利用されている。ポリアミド成形体に高剛性、耐熱性を付与させる場合には、通常は、繊維状強化材としてガラス繊維を特定量配合させたポリアミド樹脂組成物が用いられている。ガラス繊維で補強されたポリアミド樹脂組成物において、補強効果を高めるための種々の成形方法が提案されている。例えば、一次材をスキン部とし二次材をコア部とするサンドイッチ成形体において、一次材を長繊維強化樹脂とし、二次材を短繊維強化樹脂とすることで、その強度の向上を図ることが提案されている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1の成形体は、長期にわたって多大な荷重のかかる機械部材としての使用において変形や成形品の破断が生じるなど、実用上十分な性能を有していない。また特許文献1のサンドイッチ成形体は、高温環境下での機械的性質が低いために、自動車エンジンルーム内の100℃を超える高温高湿度環境のような過酷な条件下で使用される部品として、金属部品に替えて用いることは難しい。
また、ガラス繊維で強化されたポリアミド樹脂組成物では、耐候性を付与するために、種々の耐候剤とカーボンブラックとを併用したもの(特許文献2)や、カーボンブラックとニグロシンとを併用したもの(特許文献3)が提示されている。しかし、このようにカーボンブラックを使用したものは、耐候性は改良されるが、ポリアミド樹脂組成物の機械的強度が低下し、長期にわたって多大な荷重のかかる機械部材として使用した場合においては、変形や成形品の破断が生じるなど、実用上十分な性能を有していない。
特許第2972024号公報 特開2004−107536号公報 特開平11−279399号公報
本発明は、高温環境下であっても機械的強度の低下が少ないサンドイッチ成形体を提供することを目的とする。
本発明者は、スキン部とコア部とにそれぞれ特定のポリアミド樹脂組成物を用いたサンドイッチ成形体は、耐候性に優れ、高温環境下であっても機械的強度の低下が少ないことを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)コア部の表面にスキン部が形成された構造を有し、かつコア部がスキン部によって挟持されてなり、以下の(I)〜(IV)を同時に満足することを特徴とするサンドイッチ成形体。
(I)スキン部を構成するポリアミド樹脂組成物(A)が、ポリアミド樹脂(a)、ガラス繊維(x)を含有し、その混合比率(a/x)が、質量比で45/55〜70/30である。
(II)コア部を構成するポリアミド樹脂組成物(B)が、ポリアミド樹脂(b)、ガラス繊維(y)を含有し、その混合比率(b/y)が、質量比で35/65〜55/45である。
(III)ポリアミド樹脂組成物(A)の融点+30℃、せん断速度1000s−1で測定される溶融粘度ηaと、ポリアミド樹脂組成物(B)の融点+30℃、せん断速度
1000s−1で測定される溶融粘度ηbが、
1<logηa/logηb<1.4
である。
(IV)ポリアミド樹脂組成物(A)に含有されるガラス繊維(x)の含有率Xと、ポリアミド樹脂組成物(B)に含有されるガラス繊維(y)の含有率Yとが、
X≦Y
である。
(2)スキン部の体積比率が全体積の40〜70%であることを特徴とする(1)のサンドイッチ成形体。
(3)ポリアミド樹脂組成物(A)が、ポリアミド樹脂(a)とガラス繊維(x)の合計100質量部に対して、さらにカーボンブラック(c)0.1〜3質量部を含有することを特徴とする(1)または(2)のサンドイッチ成形体。
(4)ポリアミド樹脂組成物(B)が、ポリアミド樹脂(b)とガラス繊維(y)の合計100質量部に対して、さらに高級脂肪酸金属塩(d)0.03〜3質量部を含有することを特徴とする(1)から(3)までのいずれかのサンドイッチ成形体。
本発明によれば、スキン部とコア部とにそれぞれ特定のポリアミド樹脂組成物を用いたため、高温環境下であっても機械的強度の低下が少ないサンドイッチ成形体を提供することができる。
(a)は本発明のサンドイッチ成形体の一実施形態の樹脂流れ方向に垂直な断面の概略斜視図を示し、(b)は(a)のサンドイッチ成形体の厚みを算出するための説明図を示す。 図1のサンドイッチ成形体の樹脂流れ方向に平行な断面の概略斜視図を示す。 (a)は本発明のサンドイッチ成形体の別の実施形態の概略斜視図を示し、(b)は(a)のサンドイッチ成形体の樹脂流れ方向に垂直な断面の概略図を示し、(c)は(a)のサンドイッチ成形体の厚みを算出するための説明図を示す。 (a)は本発明のサンドイッチ成形体のさらに別の実施形態の概略正面図を示し、(b)は(a)のサンドイッチ成形体の概略平面図を示し、(c)は(a)のサンドイッチ成形体の樹脂流れ方向に垂直な断面の概略図を示し、(d)は(a)のサンドイッチ成形体の厚みを算出するための説明図を示す。
本発明のサンドイッチ成形体は、コア部と、コア部の表面に形成されたスキン部とを有する。詳しくは、本発明のサンドイッチ成形体は、コア部がスキン部によって挟持されてなり、少なくとも成形時の樹脂流れ方向に対して垂直な断面において、コア部の周囲表面にスキン部を有するものである。具体的には、例えば図1(a)に示すように、本発明のサンドイッチ成形体には、少なくとも成形時の樹脂流れ方向Lに対して垂直な断面におけるコア部Bの周囲表面にスキン部Aが形成されている。さらに、図2に示すように、本発明のサンドイッチ成形体は、成形時の樹脂流れ方向Lに対して平行な断面においてもコア部Bの周囲表面にスキン部Aが形成されていてもよい。さらに、本発明のサンドイッチ成形体には、樹脂流れ方向Lにおける端面C(例えば図2参照)にスキン部Aが形成されていてもよいし、または形成されていなくてもよい。
本発明のサンドイッチ成形体は、スキン部を構成するポリアミド樹脂組成物(A)がポリアミド樹脂(a)を含有し、コア部を構成するポリアミド樹脂組成物(B)がポリアミド樹脂(b)を含有する。これらのポリアミド樹脂(a)および(b)は、主鎖中にアミド結合を有するポリアミドであり、例えば、ポリε−カプラミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリウンデカナミド(ナイロン11)、ポリドデカナミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMDT)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、およびこれらのポリアミドを構成するアミド成分(モノマー)のうち少なくとも2種類の構造が異なったアミド成分を含むポリアミド共重合体、ならびにこれらの混合物などが挙げられる。中でも、強度、成形性、経済性の観点から、ナイロン6またはナイロン66を単独でまたは組み合わせて用いることが特に好ましい。
本発明のサンドイッチ成形体は、スキン部を構成するポリアミド樹脂組成物(A)がガラス繊維(x)を含有し、コア部を構成するポリアミド樹脂組成物(B)がガラス繊維(y)を含有する。これらのガラス繊維(x)および(y)としては、例えば、一般的に供給されるガラス繊維を適宜用いることができる。その具体例としては、Eガラス(Electrical glass)、Cガラス(Chemical glass)、Aガラス(Alkali glass)、Sガラス(High strength glass)、耐アルカリガラスなどのガラス材料にて構成されるガラス繊維が挙げられる。
ガラス繊維(x)および(y)は、公知のガラス繊維の製造方法により製造される。例えば、上記ガラス材料を溶融紡糸して得ることができる。ガラス繊維(x)および(y)は、必要に応じて、集束剤により集束され、集束されたガラス繊維ストランドを集めて一定の長さに切断した、いわゆるチョップドストランドの形態で使用されることが好ましい。集束剤としては、マトリックス樹脂との密着性、均一分散性の観点から、カップリング剤を用いることができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニア系カップリング剤などが挙げられる。なかでも、シランカップリング剤を用いることが好ましく、特にアミノシランカップリング剤、グリシジルシランカップリング剤を用いることが好ましい。
ガラス繊維(x)および(y)の繊維径は4〜13μmが好ましく、7〜11μmがより好ましい。繊維径が4μm未満では、ポリアミド樹脂(a)および(b)と溶融混練する際に定量供給が困難であるばかりか、分散が不十分でポリアミド樹脂組成物(A)および(B)の機械的強度すなわち成形体の機械的強度が低下する傾向がある。反対に繊維径が13μmを超えると、補強効果が小さくなり、ポリアミド樹脂組成物(A)および(B)の機械的強度が低下する。ガラス繊維(x)および(y)の平均繊維長は1〜10mmが好ましく、1.5〜6mmがより好ましい。平均繊維長が1mm未満では、溶融混練によって得られるペレット中の残存繊維長が短く、サンドイッチ成形体としたときの機械的強度が低くなる。反対に平均繊維長が10mmを超えた場合は、サンドイッチ成形体中のガラス繊維が一定の繊維長以上で残存することはなく、このために補強効果が飽和し、機械的強度の向上に寄与しないばかりか、溶融混練する際に定量供給が不安定となり、操業性が悪化する傾向にある。
ガラス繊維(x)および(y)の平均繊維長/繊維径(L/D)は、常温および高温環境下における成形体の機械的強度を向上させる観点から、80〜2500であることが好ましく、140〜850であることがより好ましい。
本発明のサンドイッチ成形体は、以下の(I)〜(IV)の要件を同時に満足することが必要である。
(I)スキン部を構成するポリアミド樹脂組成物(A)が、ポリアミド樹脂(a)とガラス繊維(x)とを含有し、その混合比率(a/x)が、質量比で45/55〜70/30である。
(II)コア部を構成するポリアミド樹脂組成物(B)が、ポリアミド樹脂(b)とガラス繊維(y)を含有し、その混合比率(b/y)が、質量比で35/65〜55/45である。
(III)ポリアミド樹脂組成物(A)の融点+30℃、せん断速度1000s−1で測定される溶融粘度ηaと、ポリアミド樹脂組成物(B)の融点+30℃、せん断速度
1000s−1で測定される溶融粘度ηbが、
1<logηa/logηb<1.4である。
(IV)ポリアミド樹脂組成物(A)に含有するガラス繊維(x)の含有率Xと、ポリアミド樹脂組成物(B)に含有するガラス繊維(y)の含有率Yとが、
X≦Yである。
要件(I)に関し、本発明のサンドイッチ成形体のスキン部を構成するポリアミド樹脂組成物(A)は、ポリアミド樹脂(a)45〜70質量%とガラス繊維(x)30〜55質量%とを含有することが必要である。好ましくは、ポリアミド樹脂(a)50〜65質量%、ガラス繊維(x)35〜50質量%である。ガラス繊維(x)の含有率が30質量%未満では、特に高温環境下でのサンドイッチ成形体の機械的強度が低下する。反対に55質量%を超えると、ポリアミド樹脂組成物(A)の破壊歪みが小さくなる傾向があるため、特に常温でのサンドイッチ成形体の機械的強度が低下する。
要件(II)に関し、本発明のサンドイッチ成形体のコア部を構成するポリアミド樹脂組成物(B)は、ポリアミド樹脂(b)35〜55質量%とガラス繊維(y)45〜65質量%とを含有することが必要である。好ましくは、ポリアミド樹脂(b)40〜55質量%、ガラス繊維(y)45〜60質量%である。ガラス繊維(y)の含有率が45質量%未満では、得られるポリアミド樹脂組成物(B)の強度が低いため、常温および高温環境下でのサンドイッチ成形体の機械的強度が低下する。反対に65質量%を超えると、ガラス繊維(y)のポリアミド樹脂への分散性が低下し、ポリアミド樹脂組成物(B)の破壊歪みが小さくなる傾向があるため、サンドイッチ成形体の機械的強度が低下する。
要件(III)に関し、本発明のサンドイッチ成形体では、ポリアミド樹脂組成物(A)について、融点+30℃、せん断速度1000s−1で測定される溶融粘度ηaと、ポリアミド樹脂組成物(B)について、融点+30℃、せん断速度1000s−1で測定される溶融粘度ηbが、
1<logηa/logηb<1.4
でなくてはならない。
本発明においては、後述するように、スキン部を構成するポリアミド樹脂組成物(A)とコア部を構成するポリアミド樹脂組成物(B)とを加熱溶融した後、同時に流動させて、冷却、固化することで、サンドイッチ成形体が得られる。または、ポリアミド樹脂組成物(A)を流動させた後にポリアミド樹脂組成物(B)を流動させて、冷却、固化することで、サンドイッチ成形体が得られる。この際に、スキン部が極端に薄くなったり、スキン部の一部が破れて内部のコア部がはみ出したりしてはならない。このような事態の発生を防止するためには、上述のように、ポリアミド樹脂組成物(A)の溶融粘度ηaと、ポリアミド樹脂組成物(B)の溶融粘度ηbとの間に、
1<logηa/logηb<1.4
の関係があることが必要である。
1.05<logηa/logηb<1.3
の関係があることがより好ましい。
logηa/logηb≦1であると、溶融粘度の高いコア部を形成するポリアミド樹脂組成物(B)の流動に押されて、サンドイッチ成形体におけるスキン部の厚みが薄くなり、特に常温での機械的強度が低下する。logηa/logηb≧1.4であると、コア部を形成するポリアミド樹脂組成物(B)の溶融粘度が低く、流動が乱れることから、コア部の形成が不均一になりサンドイッチ成形体全体の機械的強度が低下する。
なお、要件(III)を満たしやすくなることから、スキン部、コア部を構成するポリアミド樹脂組成物(A)、(B)の融点の差は、なるべく小さいことが好ましく、具体的には10℃以下であることが好ましい。
要件(IV)に関し、ポリアミド樹脂組成物(A)におけるガラス繊維(x)の含有率Xと、ポリアミド樹脂組成物(B)におけるガラス繊維(y)の含有率Yとが、X≦Yであることが必要である。X>Yであると、外力が負荷されたときにスキン部が歪みにくく応力が大きく発生するため破壊しやすくなり、サンドイッチ成形体としての十分な機械的強度を確保することができない。
(I)〜(IV)の要件を満足させることで、サンドイッチ成形体のスキン部およびコア部のガラス繊維が配向し(成形加工時の溶融樹脂流れ方向とガラス繊維の繊維軸方向が一致している状態となり)、ガラス繊維の配向領域が広く、かつ、配向度合いを高めることができる。これによって、外力に対するサンドイッチ成形体の歪み耐性を大きくすることができ、得られるサンドイッチ成形体の機械的強度を効果的に高めることが可能となる。
サンドイッチ成形体のスキン部がサンドイッチ成形体全体に占める体積比率は、40〜70%であることが好ましく、45〜65%であることが好ましい。サンドイッチ成形体全体に占めるスキン部の体積比率が40%未満の場合は、機械的強度が低下する場合があり、この体積比率が70%を超える場合は、特に100℃以上の高温環境下での機械的強度が大きく低下する場合がある。サンドイッチ成形体のスキン部がサンドイッチ成形体全体に占める体積比率を40〜70%とすることで、サンドイッチ成形体を構成するスキン部、コア部を、好ましい厚みや均一な状態に形成することができる。
ポリアミド樹脂組成物(A)は、さらに、カーボンブラック(c)を含有することが好ましい。カーボンブラック(c)を含有することで、得られるポリアミド樹脂組成物の結晶性が向上し、サンドイッチ成形体の特に高温環境下における機械的強度を高めることができる。また、耐候性を付与できるという効果も有する。カーボンブラックは、ポリアミド樹脂組成物(A)だけでなく、ポリアミド樹脂組成物(B)にも含有させることができる。しかし、ポリアミド樹脂組成物(A)のみに含有させることで、サンドイッチ成形体のスキン部とコア部の界面を明確に判断でき、スキン部とコア部との均一性を確認しやすいという効果もある。カーボンブラックは、公知のものを用いることができる。カーボンブラックのpHは8以上であることが好ましく、9以上であることがより好ましい。pHが8未満であると、ポリアミド樹脂の劣化が促進されて、その強度が低下することがある。ここにいうカーボンブラックのpHは、カーボンブラック1gを蒸留水20mlに分散させた水性懸濁液のpHである。また、カーボンブラックの含酸素基濃度は0.5質量%未満であることが好ましく、0.4質量%未満であることがより好ましい。含酸素基濃度が0.5質量%を超えると、ポリアミド樹脂が劣化したり、ポリアミド樹脂とガラス繊維との密着性が阻害されたりして、ポリアミド樹脂組成物の強度低下につながることがある。含酸素基濃度は、カーボンブラックを950℃で7分間加熱した時の減量により算出できる。
カーボンブラックのDBP吸収量や一次粒子径は、特に限定されるものではない。しかし、DBP吸収量は、40〜200cm/100gであることが好ましく、60〜170cm/100gであることがより好ましい。一次粒子径は、10〜40nmであることが好ましく、15〜30nmであることがより好ましい。DBP吸収量や一次粒子径が前述の範囲から外れると、カーボンブラックの分散性が低下して、サンドイッチ成形体の機械的強度が低下したり耐候性が満足しなくなったりすることがある。DBP吸収量は、JIS K6217に基づき測定でき、一次粒子径は電子顕微鏡により算術平均径として求めることができる。
ポリアミド樹脂組成物(A)におけるカーボンブラック(c)の含有率は、ポリアミド樹脂(a)とガラス繊維(x)の合計100質量部に対して0.1〜3質量部であることが好ましく、0.2〜2質量部であることがより好ましい。0.1質量部未満では、ポリアミド樹脂組成物の結晶性の向上が不十分となる傾向がある。また3質量部を超えると、ポリアミド樹脂組成物とガラス繊維との親和性を阻害する傾向があり、その結果ポリアミド樹脂組成物の破壊歪みが低下して、サンドイッチ成形体の機械的強度が低下することがある。
ポリアミド樹脂組成物(B)は、さらに高級脂肪酸金属塩(d)を含有することが好ましい。高級脂肪酸金属塩(d)を含有することで、ポリアミド樹脂とガラス繊維との分散が向上し、また、サンドイッチ成形体のスキン部の近傍で、コア部に含有されるガラス繊維が流れ方向に配向しやすくなるため、サンドイッチ成形体の機械的強度を高めることができる。高級脂肪酸金属塩(d)としては、公知のものを用いることができる。なかでも、炭素数が20のアラキン酸、同じく22のベヘン酸、同じく24のリグノセリン酸、同じく28のモンタン酸の金属塩が好ましく、これらの混合物でもよい。特にベヘン酸の金属塩が好ましい。金属は、一般的にナトリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、亜鉛、カリウム、バリウムなどを挙げることができるが、この中でもナトリウム、カルシウム、マグネシウムは、汎用性が高く好ましく用いることができる。
ポリアミド樹脂組成物(B)における高級脂肪酸金属塩(d)の含有率は、ポリアミド樹脂(b)とガラス繊維(y)の合計100質量部に対して0.03〜3質量部であることが好ましく、0.1〜2質量部であることがより好ましい。0.03質量部未満であると、ガラス繊維の分散向上と流れ方向への配向向上の効果が乏しく、サンドイッチ成形体の機械的強度を十分に高めることができないことがある。また、3質量部を超えると、ポリアミド樹脂組成物(B)の成形加工時に、分解ガスが多く発生し、成形体中のボイドの要因となるため、サンドイッチ成形体の機械的強度が低下することがある。一方で、ポリアミド樹脂組成物(A)に高級脂肪酸金属塩を含有することは好ましくない。ポリアミド樹脂組成物(A)に高級脂肪酸金属塩を配合した場合には、ポリアミド樹脂組成物(A)の成形加工時の溶融粘度が大きく低下し、金型界面近傍でのせん断速度が低下し、ガラス繊維の配向が弱くなるため、サンドイッチ成形体の機械的強度が低下することがある。
スキン部および/またはコア部には、その特性を損なわない限りにおいて、必要に応じて、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、結晶核剤、顔料、着色防止剤、耐候剤、可塑剤等の添加剤が含有されてもよい。これらの添加剤はそれぞれ独立して、スキン部形成用ペレットに含有させてもよいし、コア部形成用ペレットに含有させてもよいし、または成形加工時にそれらペレットと混合して用いても良い。
熱安定剤や酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物、あるいはこれらの混合物が挙げられる。結晶核材としては、タルクなどが挙げられる。
スキン部に上記のような添加剤が含有される場合に、当該添加剤の合計含有量は、スキン部を構成する樹脂組成物全量に対して5質量%以下であることが好ましい。
コア部に上記のような添加剤が含有される場合に、当該添加剤の合計含有量は、コア部のポリアミド樹脂の機械的特性を損ねない観点から、コア部を構成する樹脂組成物全量に対して5質量%以下が適当である。
またスキン部および/またはコア部には、その特性を損なわない限りにおいて、必要に応じて、ガラス繊維以外の強化材および、または難燃剤が含有されてもよい。これらは、それぞれ独立してスキン部形成用ペレットに含有させてもよいし、コア部形成用ペレットに含有させてもよいし、または成形加工時にそれらペレットと混合して用いても良い。
ガラス繊維以外の強化材としては、タルク、マイカ、ワラストナイト等が挙げられる。難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン系、水酸化物マグネシウム、水酸化アルミニウム等の非ハロゲン系難燃剤が挙げられる。
スキン部やコア部にガラス繊維以外の強化材および、または難燃剤が含有される場合に、その含有量は、強化材または難燃剤としての機能を発揮させるために、ガラス繊維以外の強化材と難燃剤との合計で10〜30質量%であることが好ましい。
スキン部および、またはコア部には、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリアミド樹脂(a)(b)以外の他の熱可塑性樹脂(以下、「他の熱可塑性樹脂」と称する)が含有されていてもよい。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリブタジエン、ブタジエン/スチレン共重合体、アクリルゴム、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/ブタジエン共重合体、天然ゴム、塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレン等のエラストマーまたはこれらの無水マレイン酸等による変性物、スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/フェニルマレイミド共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアリレート等が挙げられる。他の熱可塑性樹脂は、スキン部形成用ペレットに含有させてもよいし、コア部形成用ペレットに含有させてもよいし、または成形時において、それらのペレットと混合して用いても良い。
スキン部やコア部に他の熱可塑性樹脂が含有される場合、当該他の熱可塑性樹脂の含有量は、ポリアミド樹脂の機械的特性を損ねない観点から、スキン部やコア部を構成するそれぞれの樹脂組成物全量に対して10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
サンドイッチ成形体のスキン部の厚みは、特に制限されるものではなく、サンドイッチ成形体の用途に応じて適宜設定されればよい。スキン部の厚みは、例えば0.5〜3mmであることが好ましく、1.0〜2.5mmであることがより好ましい。サンドイッチ成形体の全体の厚みに対するスキン部の厚みは、10%以上60%以下であることが好ましく、15%以上55%以下であることがより好ましい。スキン部の厚みは一定である必要はなく、サンドイッチ成形体の形状に応じて変化してよい。
サンドイッチ成形体のコア部の厚みは、特に制限されるものではなく、サンドイッチ成形体の用途に応じて適宜設定されればよい。コア部の厚みは、例えば3〜20mmであることが好ましく、3〜15mmであることがより好ましい。コア部の厚みは一定である必要はなく、サンドイッチ成形体の形状に応じて変化してよい。
サンドイッチ成形体の全体厚みは、特に制限されるものではないが、8mm以上、特に8〜20mmが好ましく、より好ましくは8〜15mmである。厚みが8mm以上の厚肉の成形体はボイド等が発生しやすいため、一般には機械的物性、特に曲げ強さを向上させることは困難である。しかし、本発明のサンドイッチ成形体は、そのような厚肉の形状としても、ボイド等が発生しにくく、高温環境下における曲げ強さの向上を容易に達成できる。
サンドイッチ成形体は、スキン部形成用ペレットおよびコア部形成用ペレットを製造した後、得られたペレットをそれぞれ、いわゆるサンドイッチ成形法における一次材および二次材として供給することによって、製造することができる。
スキン部形成用ペレットまたはコア部形成用ペレットを製造する方法は、それぞれ、特に限定されるものではなく、例えば、二軸押出混練機を用いて混練する方法が好適に用いられる。詳しくは、シリンダーの上流からポリアミド樹脂を供給し、シリンダーの中間部でガラス繊維や炭素繊維などの無機充填材をサイドフィードする。その後、ダイスから樹脂組成物をストランド状に引き取り、冷却固化し、ペレタイザーでカッティングして、ペレットを得ることができる。このような方法が経済的に好適である。
サンドイッチ成形法は、合成樹脂の分野において一般に実施されている成形方法である。具体的なサンドイッチ成形法としては、射出成形法や押出成形法によるサンドイッチ成形法を選択することができる。
射出成形法によるサンドイッチ成形法においては、スキン部形成用ペレットは一次材として用い、コア部形成用ペレットは二次材として用いる。詳しくは、まず、溶融させた一次材を金型内に射出する。次いで、時間差をおいて溶融させた二次材を当該金型内に射出する。このとき、一次材の射出は停止してもよいし、停止せずに二次材とともに射出してもよい。次いで、二次材を停止し、一次材を再び射出し、一次材でゲートを閉じる。この間、一次材と二次材どちらかが常に射出されており、金型内で樹脂の流動が止まることはない。このようにすることで、金型内で溶融している一次材の中を二次材が流動し、一次材が押し広げられてスキン部を形成し、ゲートも一次材で閉じられているので、すべての表面に一次材が形成される。最後に、金型内の材料を十分に冷却/固化して、サンドイッチ成形体を得る。このようにして得られたサンドイッチ成形体は、図1および図2に示すように、二次材(コア部B)が一次材(スキン部A)に挟み込まれた、または包み込まれたサンドイッチ構造を有する。
押出成形法によるサンドイッチ成形法としては、一次材/二次材/一次材となるような層構成で共押出成形することで、フィルム状、またはシート状のサンドイッチ成形体を得ることができる。そのようなサンドイッチ成形体は、必要な大きさに裁断し、フィルム状、またはシート状の形態で用いることができる。あるいは、得られたフィルム状、またはシート状のサンドイッチ成形体は、加温した後、真空成形、圧空成形、打抜成形等をすることで、必要とする形状に附形して用いることができる。
本発明のサンドイッチ成形体は、用途に応じて、様々な形状を呈し得る。そのためには、成形時において、金型の形状を、サンドイッチ成形体の所望形状に対応させた形状とすればよい。
例えば、本発明のサンドイッチ成形体は、図1および図2に示すような平板形状を有し得る。
また例えば、本発明のサンドイッチ成形体は、図3(a)の斜視図に示すような凸型形状を有し得る。図3(a)においてLは成形時の樹脂流れ方向である。樹脂流れ方向Lに対して垂直な断面の概略図を図3(b)に示す。Aがスキン部、Bがコア部である。
また例えば、本発明のサンドイッチ成形体は、図4(a)の正面図および図4(b)の平面図に示すようなダンベル形状を有し得る。図4(a)および図4(b)において、Lは成形時の樹脂流れ方向である。樹脂流れ方向Lに対して垂直な断面を示す概略図を図4(c)に示す。すなわち、図4(c)は、図4(a)および図4(b)におけるX−Y切断面で切断したときの断面図である。Aがスキン部、Bがコア部である。
上述したサンドイッチ成形体の厚みは、成形時の樹脂流れ方向Lに対して垂直な断面において、サンドイッチ成形体の断面積をSk、サンドイッチ成形体の断面内においてスキン部とコア部により形成される層の略中央部を通過する線である中心線をm、サンドイッチ成形体の断面内における中心線mの長さをpとしたときに、Sk/pで表すことができる。
例えば、サンドイッチ成形体が図1(a)および図2に示すような平板形状を有する場合の断面積Sk(斜線領域)、中心線m(破線)、中心線mの長さp、厚みtを、図1(b)に示す。
また例えば、サンドイッチ成形体が図3(a)(b)に示すような凸型形状を有する場合の断面積Sk(斜線領域)、中心線m(破線)を、図3(c)に示す。
また例えば、サンドイッチ成形体が図4(a)〜(c)に示すようなダンベル形状を有する場合の断面積Sk(斜線領域)、中心線m(破線)を図4(d)に示す。
サンドイッチ成形体中のガラス繊維(x)および(y)の平均繊維長/繊維径(L/D)は、常温および高温環境下での機械的強度を向上させる観点から、80〜2500であることが好ましく、140〜850であることがより好ましい。
サンドイッチ成形体中のガラス繊維(x)および(y)のL/Dをこのような範囲とするためには、サンドイッチ成形体中のガラス繊維(x)および(y)の平均繊維長は130〜600μmが好ましく、165〜700μmがより好ましい。なお、サンドイッチ成形体中のガラス繊維(x)および(y)の繊維径は、原料として用いるガラス繊維の繊維径と等しいものとする。
本発明のサンドイッチ成形体は、例えば、自動車用部品、電気部品、家庭用品等に有用である。具体的には、自動車で使用される部品としては、特に、シリンダーヘッドカバー、エアインテークマニホールド、スロットルボディ、エアインテークパイプ、ラジエータタンク、ウォーターポンプレンレット、ウォーターポンプアウトレット、サーモスタットハウジング、クーリングファン、ファンシュラウド、オイルパン、オイルフィルターハウジング、オイルフィルターキャップ、オイルレベルゲージ、タイミングベルトカバー、エンジンカバー、ドアミラーステイ、インナーミラーステイ、ルーフレール、ドアミラーブラケット、アクセルペダル、ブレーキペダル、クラッチペダル、シフトレバー、ギア、シートフレーム、ワイパーアーム、ワイパーアームリンクブラケット、トノカバーフレーム、アンテナ台座等に好適に用いられる。
以下本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、実施例および比較例に用いた原料および物性測定方法は次の通りである。
1 原料
(A) ポリアミド樹脂
[PA−1]:ナイロン6(ユニチカ社製 A1015)、融点220℃、溶融粘度40Pa・s
[PA−2]:ナイロン66(ユニチカ社製 E2001R)、融点260℃、溶融粘度40Pa・s
[PA−3]:ナイロン66(ユニチカ社製 A125)、融点260℃、溶融粘度80Pa・s
[PA−4]:ナイロン66(ユニチカ社製 A142)、融点260℃、溶融粘度600Pa・s
[PA−5]:ナイロン66(ユニチカ社製 ET−1;試験品)、融点260℃、溶融粘度10Pa・s
なお、上記溶融粘度は、融点+30℃、せん断速度1000s−1における値である。
(B)ガラス繊維
[GF]:日東紡社製 CS3H459、ガラス繊維径10μm、繊維長3mm
(C)カーボンブラック
[CB−1]:三菱化学社製 #4000B、pH10、含酸素基濃度0.3質量%、DBP吸収量102cmm/100g、一次粒子径24nm
[CB−2]:三菱化学社製 #3030B、pH6.5、含酸素基濃度0.5質量%、DBP吸収量130cmm/100g、一次粒子径55nm
[CB−3]:三菱化学社製 #45、pH8、含酸素基濃度1.1質量%、DBP吸収量46cmm/100g、一次粒子径24nm
(D)高級脂肪酸金属塩
[D−1]:ベヘン酸ナトリウム(日東化成工業社製 NS−7)
[D−2]:モンタン酸カルシウム(クラリアント社製 リコモントCaV101)
2 測定方法
(1)ポリアミド樹脂組成物の溶融粘度
JIS K7199に準拠した測定方法にて評価した。オリフィス径は1mmとし、融点+30℃に加熱したシリンダーに樹脂ペレットを入れ、3分間予熱した後、剪断速度1000s−1で測定を行った。なお、ポリアミド樹脂組成物の融点は、JIS K7121に準じて示差走査熱量計(DSC)により測定し、異なる複数の融点が検出された場合は高い方の融点を採用した。
(2)曲げ強さA
23℃、50%RH雰囲気で十分に調湿した、長さ127mm、幅35mm、厚み12mmの角棒のサンドイッチ成形体の試験片を用い、23℃下でスパン100mmで2点支持の曲げ試験を行い測定した。サンドイッチ成形体の試験片は長手方向が成形時の樹脂流れ方向であり、測定は当該サンドイッチ成形体の試験片を長手方向で2点を支持して行った。曲げ強さAは、300MPa以上(○)が実用上問題のない範囲であり、320MPa以上であることが好ましく、特に365MPa以上(◎)であることがいっそう好ましい。300MPa未満(×)が実用上問題のある範囲である。
(3)曲げ強さB
曲げ強さBは、100℃空気中の高温環境下で測定を行った。それ以外は曲げ強さAの試験と同様の曲げ試験を行い測定した。曲げ強さBは、200MPa以上(○)が実用上問題のない範囲であり、210MPa以上であることが好ましく、特に235MPa以上(◎)であることがいっそう好ましい。200MPa未満(×)が実用上問題のある範囲である。
(4)スキン部(一次材)の体積比率
曲げ強さAの試験片を成形するときに、射出成形機によりサンドイッチ成形体のスキン部(一次材)の射出体積およびコア部(二次材)の射出体積を計測した。
スキン部(一次材)の体積比率は、射出成形機により計測された一次材の射出体積と二次材の射出体積を加算し、この加算した総体積に対する一次材の射出体積の比率により求めた。なお、一次材の射出体積および二次材の射出体積はそれぞれ、(射出成形時のスクリュー移動距離)と(シリンダー断面積)との積により算出した。また射出成形時のスクリュー移動距離は、(計量完了時のスクリュー位置)と(射出完了時のスクリュー位置)との差により算出した。スキン部の体積比率は、40〜70%であることが好ましい。
[ペレットの作製と特性評価]
製造例1
ペレットの作製には、同方向二軸押出機(東芝機械社製 TEM37BS)を用いた。この同方向二軸押出機は、主原料投入用の主ホッパーと、主ホッパーに主原料を定量供給する連続定量供給装置(クボタ社製)とが上流部に設けられ、中間部に副原料投入用のサイドフィーダーが設けられ、下流部に冷却水槽およびペレタイザーが設けられたものであった。
同方向二軸押出機の押出温度を270〜300℃に設定し、同方向二軸押出機の上流部の位置より、連続定量供給装置により主ホッパーから同方向二軸押出機へ、主原料として、ポリアミド樹脂PA−3を45質量部、ポリアミド樹脂PA−4を10質量部、カーボンブラックを0.5質量部となるように供給し、一方で、同方向二軸押出機の中間部の位置より、サイドフィーダーにより、ガラス繊維GFを45質量部となるように供給し、ポリアミド樹脂PA−3およびPA−4とガラス繊維GFとをスクリュー回転数300rpmにて溶融混練した。ポリアミド樹脂PA−3およびPA−4とガラス繊維GFとの配合比率は、連続定量供給装置による主原料のフィード速度とサイドフィーダーによる副原料のサイドフィード速度の比率で調整した。その後、ポリアミド樹脂PA−3およびPA−4とガラス繊維GFとを含有する樹脂組成物をダイスから吐出量35kg/hにてストランド状に引き取り、冷却水槽を通して冷却固化し、ペレタイザーでカッティングしてペレット長3mmのペレットPS−1を得た。ダイスから出た樹脂組成物の樹脂温度は290℃であった。このペレットPS−1の溶融粘度を290℃、1000s−1で測定したところ、700Pa・sであった。その結果を表1に示す。
製造例2〜26
製造例1に比べて、熱可塑性樹脂と無機充填材の種類と配合比率を表1、2に示すように変更した。そして、それ以外は製造例1と同様にして、ペレットを得た。その結果を表1、2に示す。
Figure 2012206508
Figure 2012206508
[サンドイッチ成形体の製造と物性評価]
実施例1
一次側と二次側の2基のシリンダーを有し、先端部の合流ノズルで連結されたサンドイッチ成形機(JSW社製 J180AD−2M)を用いて、一次材としてPS−1を一次側のシリンダーに投入し、二次材としてPC−1を二次側のシリンダーに投入し、どちらもシリンダー温度300℃、金型温度100℃の条件下、一次材の射出と同時に二次材の射出も行われるようなシーケンス制御のもと、射出成形して物性測定用のサンドイッチ成形体の試験片を作成した。このとき、一次材がスキン部を形成し、二次材がコア部を形成するようにして、物性測定用のサンドイッチ成形体の試験片(長さ127mm、幅35mm、厚み12mm)の射出成形を行った。そして、成形したサンドイッチ成形体の試験片について、各種評価試験(曲げ強さAの試験,曲げ強さBの試験)を行った。また、別途分析の結果、スキン部の平均厚みは1.5mm、コア部の平均厚みは9mmであり、スキン部の体積比率は60%で、スキン部の厚みはサンドイッチ成形体の厚みの25%を占めていた。その結果を表3に示す。
実施例2〜23/比較例1〜9
一次材(スキン部)および二次材(コア部)として表3〜5に記載のペレットを用いた。そして、それ以外は実施例1と同様にしてサンドイッチ成形体の試験片を作成し、同様の各種評価試験を行った。その結果を表3〜5に示す。なお、比較例8は1次材のみで成形したもの、比較例9は2次材のみで成形したものである。
Figure 2012206508
Figure 2012206508
Figure 2012206508
実施例1〜23は、本発明に規定される処方でサンドイッチ成形体を製造したため、曲げ強さA,高温環境下における曲げ強さBがいずれも十分な値となり、高温環境下でも優れた強度を有するサンドイッチ成形体を得ることができた。
比較例1は、スキン部におけるポリアミド樹脂組成物(A)のガラス繊維が過多だったため、常温における曲げ強さが低かった。
比較例2は、スキン部におけるポリアミド樹脂組成物(A)のガラス繊維が過少だったため、常温および高温環境下における曲げ強さが低かった。
比較例3は、コア部におけるポリアミド樹脂組成物(B)のガラス繊維が過多だったため、常温および高温環境下における曲げ強さが低かった。
比較例4は、コア部におけるポリアミド樹脂組成物(B)のガラス繊維が過少だったため、高温環境下における曲げ強さが低かった。
比較例5は、スキン部におけるポリアミド樹脂組成物(A)に含まれるガラス繊維(x)とコア部におけるポリアミド樹脂組成物(B)のガラス繊維(y)の比が規定外であったため、常温における曲げ強さが低かった。
比較例6は、スキン部におけるポリアミド樹脂組成物(A)の溶融粘度ηaとコア部におけるポリアミド樹脂組成物(B)の溶融粘度ηbが規定の比の値が小さ過ぎて規定外であったため、常温における曲げ強さが低かった。
比較例7は、スキン部におけるポリアミド樹脂組成物(A)の溶融粘度ηaとコア部におけるポリアミド樹脂組成物(B)の溶融粘度ηbが規定の比の値が大き過ぎて規定外であったため、高温環境下における曲げ強さが低かった。
比較例8は、一次材のみで成形されたものであったため、高温環境下での曲げ強さが低かった。
比較例9は、二次材のみで成形されたものであったため、常温および高温環境下での曲げ強さが低かった。
L;樹脂の流れ方向
A;スキン部
B;コア部

Claims (4)

  1. コア部の表面にスキン部が形成された構造を有し、かつコア部がスキン部によって挟持されてなり、以下の(I)〜(IV)を同時に満足することを特徴とするサンドイッチ成形体。
    (I)スキン部を構成するポリアミド樹脂組成物(A)が、ポリアミド樹脂(a)、ガラス繊維(x)を含有し、その混合比率(a/x)が、質量比で45/55〜70/30である。
    (II)コア部を構成するポリアミド樹脂組成物(B)が、ポリアミド樹脂(b)、ガラス繊維(y)を含有し、その混合比率(b/y)が、質量比で35/65〜55/45である。
    (III)ポリアミド樹脂組成物(A)について、融点+30℃、せん断速度1000s−1で測定される溶融粘度ηaと、ポリアミド樹脂組成物(B)について、融点+30℃、せん断速度1000s−1で測定される溶融粘度ηbが、
    1<logηa/logηb<1.4
    である。
    (IV)ポリアミド樹脂組成物(A)に含有されるガラス繊維(x)の含有率Xと、ポリアミド樹脂組成物(B)に含有されるガラス繊維(y)の含有率Yとが、
    X≦Y
    である。
  2. スキン部の体積比率が全体積の40〜70%であることを特徴とする請求項1記載のサンドイッチ成形体。
  3. ポリアミド樹脂組成物(A)が、ポリアミド樹脂(a)とガラス繊維(x)の合計100質量部に対して、さらにカーボンブラック(c)0.1〜3質量部を含有することを特徴とする請求項1または2記載のサンドイッチ成形体。
  4. ポリアミド樹脂組成物(B)が、ポリアミド樹脂(b)とガラス繊維(y)の合計100質量部に対して、さらに高級脂肪酸金属塩(d)0.03〜3質量部を含有することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載のサンドイッチ成形体。
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