JP2012206337A - インクジェット記録装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】描画時に生じる用紙の変形を抑えることができることができるインクジェット記録装置及び方法を提供する。
【解決手段】用紙内の非画像領域を抽出し、非画像領域に視認されない範囲でイエロのインクが付与されるように、イエロのドット配置データを補正する。これにより、1枚の用紙内で生じる水分量の差を是正でき、局所的な水分量の差によって生じる用紙の変形を抑えることができる。
【選択図】 図3
【解決手段】用紙内の非画像領域を抽出し、非画像領域に視認されない範囲でイエロのインクが付与されるように、イエロのドット配置データを補正する。これにより、1枚の用紙内で生じる水分量の差を是正でき、局所的な水分量の差によって生じる用紙の変形を抑えることができる。
【選択図】 図3
Description
本発明はインクジェット記録装置及び方法に係り、特に汎用の印刷用紙に水性インクを用いてインクジェット方式で画像を記録するインクジェット記録装置及び方法に関する。
インクジェット専用紙ではない汎用の用紙(上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする用紙)に水性インク(水を溶媒に含むインク)を用いてインクジェット方式で画像を記録すると、用紙に変形(カックルやカールなど)が生じるといったという問題がある。
用紙の変形は、主として、用紙の水分量が部分的に変化することによって発生する。用紙に画像を記録すると、インクの付与量が多い部分とインクの付与量が少ない部分(インクが付与されない部分を含む)との間で水分量に差が生じる。インクの付与量が多い部分では、水分を多く含んで伸びが発生する。一方、インクの付与量が少ない部分では、ほとんど伸びは発生しない。この結果、歪みが生じて、用紙が変形する。
通常、用紙は画像描画後に乾燥処理が施される。インクの付与量が多い部分に発生した伸びは、用紙を乾燥処理することによって小さくなる。しかし、インクの付与量が少ない部分、又は、まったくインクが付与されない部分でも、付与された水分や用紙がもともと吸湿している水分が同様に乾燥するため、乾燥後も歪みは残留し、変形を完全に取り除くことはできない。
このように変形した用紙は、印刷品質を低下させるだけでなく、用紙の両面に印刷する場合に、次のような問題を生じさせる。すなわち、表面側の印刷時に用紙が変形すると、裏面側の印刷時に、用紙の変形した部分がヘッドに接触し、ヘッドを傷つけたり、破損させたりする。また、用紙の変形した部分がヘッドに接触することで、ノズルのメニスカス状態を変化させ、吐出方向不良を生じさせ、画像欠陥の原因となる。
このような用紙の変形を抑制する技術として、特許文献1、2には、用紙の非画像部分に透明液を付与して、用紙全体の水分量を均一化することにより、用紙の局所的な変形をなくすことが提案されている。また、特許文献3には、非画像部分にホワイトインクを付与することが提案されている。
しかしながら、特許文献1−3の技術は、いずれも描画用のヘッドとは別に専用のヘッドを備えなければならないという欠点がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、描画時に生じる用紙の変形を抑えることができるインクジェット記録装置及び方法を提供することを目的とする。
[1]インクジェット記録装置の第1の態様は、用紙に向けて複数の有色のインクの液滴をインクジェット方式で吐出して、前記用紙に画像を描画する描画手段と、前記用紙に描画する画像の画像データを取得する画像データ取得手段と、前記画像データから前記インクの色ごとのドット配置データを生成するドット配置データ生成手段と、前記画像を描画した後の前記用紙の部分的な水分量の差が是正されるように、視認されない範囲でドット密度の低い領域にドットを付加して、前記ドット配置データを補正するドット配置データ補正手段と、前記ドット配置データに従って前記インクの液滴が前記用紙に打滴されるように、前記描画手段を制御する描画制御手段と、を備えたことを特徴とする。
用紙の変形は、インクの付与量が多い部分(ドット密度が高い領域(いわゆる画像領域))とインクの付与量が少ない部分(ドット密度が低い領域(いわゆる非画像領域))との間で水分量に差が生じることによって発生する。したがって、この差を少なくすれば、用紙の変形を抑制できる。そこで、本態様では、インクの付与量が少ない部分(ドット密度が低い領域)に対して、視認されない範囲で画像描画用の有色のインクを追加的に付与し、1枚の用紙内で生じる水分量の差を是正する(水分量を均一化する)。このため、視認されない範囲(一見して色が付いていることが分からない範囲)でドット密度が低い領域にドットが追加的に配置されるように、ドット配置データを補正する。インクは、視認されない範囲で付与するので、画像品質に影響を与えずに、用紙の変形を抑えることができる。また、追加的に付与するインクは、画像描画用のインクなので、既存の設備をそのまま使用することができる。
[2]インクジェット記録装置の第2の態様は、上記第1の態様のインクジェット記録装置において、前記ドット配置データ補正手段は、ドット密度の低い領域とドット密度の高い領域との境界からドット密度の低い領域に向かって順次ドット密度が低下するように、前記ドット配置データを補正することを特徴とする。
用紙の変形は、水分量が急激に変化する部分で顕著に発生する。したがって、水分量の急激な変化を抑えることで、より効果的に用紙の変形を抑えることができる。本態様では、水分量が変化する領域、すなわち、ドット密度の低い領域とドット密度の高い領域の境界領域において、ドット密度が順次変化するように、ドット配置データを補正する。具体的には、ドット密度の高い領域からドット密度の低い領域に向かってドット密度が順次低下するように、ドット配置データを補正する。ドット密度を低下させる態様は、たとえば、連続的に低下させる態様や、段階的に低下させる態様が考えられる。これにより、水分量が急激に変化する領域をなくすことができ、より効果的に用紙の変形を抑えることができる。
[3]インクジェット記録装置の第3の態様は、上記第1又は第2の態様のインクジェット記録装置において、前記ドット配置データ補正手段は、前記描画手段から吐出する前記インクの中で視認性が最も低いインクの前記ドット配置データのみを補正することを特徴とする。
本態様によれば、描画手段から吐出するインクの中で視認性が最も低いインクのドット配置データのみが補正される。これにより、ドット配置データの補正処理を簡略化することができる。また、最も視認性の低いインクを使用して、非画像領域にインクを追加的に付与するので、画像品質に影響を与えずに、効率よく用紙の変形を抑えることができる。一般にカラー画像の描画は、イエロ、マゼンタ、シアン、クロの4色のインクを使用して行われる。この4色のインクを使用する場合は、イエロのドット配置データを補正する。この他、シアン、マゼンタ、イエロ、ライトシアン、ライトマゼンタ、クロの6色のインクを使用する場合も、イエロのドット配置データを補正する。更に、シアン、マゼンタ、イエロ、ライトシアン、ライトマゼンタ、ダークイエロ(イエロよりも濃度の濃いイエロ(視認性の高いイエロ))、クロの7色のインクを使用する場合も、イエロのドット配置データを補正する。すなわち、イエロ系のインクの中で最も濃度の薄いインクのドット配置データを補正する。イエロは、画像を描画するためのインクの中でも視認されにくい色なので、イエロ系のインクを非画像領域に付加することにより、画像品質を落さずに効果的に用紙の変形を抑えることができる。
[4]インクジェット記録装置の第4の態様は、上記第1又は第2の態様のインクジェット記録装置において、前記描画手段から吐出する前記インクの色がイエロ、マゼンタ、シアン、クロの4色の場合に、前記ドット配置データ補正手段は、イエロの前記インクの前記ドット配置データを補正することを特徴とする。
一般にカラー画像の描画は、イエロ、マゼンタ、シアン、クロの4色のインクを使用して行われる。この4色のインクを使用する場合は、視認性の最も低いイエロのドット配置データを補正する。これにより、画像品質に影響を与えずに、効率よく用紙の変形を抑えることができる。
[5]インクジェット記録装置の第5の態様は、上記第4の態様のインクジェット記録装置において、前記ドット配置データ補正手段が、前記ドット配置データを補正して、ドットを付加する領域は、ドット密度が20%以下の低ドット密度領域であることを特徴とする。
本態様によれば、ドット密度が20%以下の領域をドット密度の低い領域(低ドット密度領域(いわゆる非画像領域))として、ドット配置データを補正する。これにより、真に補正が必要な領域にのみインクが付与され、インクの無駄な消費を抑えることができる。
[6]インクジェット記録装置の第6の態様は、上記第5の態様のインクジェット記録装置において、前記ドット配置データ補正手段は、前記画像を描画した後の前記用紙の前記低ドット密度領域のカラー濃度が0.02以下となるように、前記ドット配置データを補正することを特徴とする。
本態様によれば、低ドット密度領域(いわゆる非画像領域)のカラー濃度(ISO ステータスT反射濃度)が0.02以下となるように、イエロのドット配置データが補正される。イエロについては、カラー濃度が0.02までの範囲であれば、一見して視認できない範囲で非画像領域にインクを付与することができる。これにより、視認されない範囲で非画像像領域にイエロのインクを追加的に付与することができる。
[7]インクジェット記録装置の第7の態様は、上記第5の態様のインクジェット記録装置において、前記ドット配置データ補正手段は、前記低ドット密度領域のドットの面積率が、10パーセント以下となるように、前記ドット配置データを補正することを特徴とする。
本態様によれば、低ドット密度領域(いわゆる非画像領域)のドットの面積率(いわゆる網パーセント)が、10パーセント以下となるように、イエロのドット配置データが補正される。ドットの面積率が10パーセントの範囲までであれば、イエロのインクについては、カラー濃度(ISO ステータスT反射濃度)を0.02までの範囲に収めることができる。イエロについては、カラー濃度が0.02までの範囲であれば、一見して視認できない範囲で非画像領域にインクを付与することができるので、これにより、視認されない範囲で非画像像領域にイエロのインクを追加的に付与することができる。
[8]インクジェット記録装置の第8の態様は、第1から第7のいずれか1の態様のインクジェット記録装置において、前記ドット配置データ補正手段は、更に前記用紙の情報、前記用紙に対する裏面印刷の有無の情報に基づいて、前記ドット配置データを補正することを特徴とする。
本態様によれば、用紙の情報、用紙に対する裏面印刷の有無の情報を使用して、ドット配置データが補正される。すなわち、用紙の変形は、用紙の種類や厚さによって変わるので、用紙の種類や厚さに応じて補正量、補正の要否等を切り替えることにより、より適切に実施することができる。また、用紙の変形は、両面印刷する際の裏面印刷時に特に問題になるので、裏面印刷の有無に応じて補正量、補正の要否等を切り替えることにより、より適切に実施することができる。
[9]インクジェット記録方法の第1の態様は、描画手段から用紙に向けて複数の有色のインクの液滴をインクジェット方式で吐出して、前記用紙に画像を描画するインクジェット記録方法において、前記用紙に描画する画像の画像データを取得するステップと、前記画像データから前記インクの色ごとのドット配置データを生成するステップと、前記画像を描画した後の前記用紙の部分的な水分量の差が是正されるように、視認されない範囲でドット密度の低い領域にドットを付加して、前記ドット配置データを補正するステップと、前記ドット配置データに従って前記描画手段から前記インクの液滴を吐出させて、前記用紙に前記画像を描画するステップと、からなることを特徴とする。
本態様によれば、インクの付与量が少ない部分(ドット密度が低い領域)に対して、視認されない範囲(一見して色が付いていることが分からない範囲)で画像描画用の有色のインクを追加的に付与することにより、1枚の用紙内で生じる水分量の差を是正(水分量を均一化)し、描画後の用紙の変形を抑止する。インクは、視認されない範囲で付与するので、画像品質に影響を与えずに、用紙の変形を抑えることができる。また、追加的に付与するインクは、画像描画用のインクなので、既存の設備をそのまま使用することができる。
[10]インクジェット記録方法の第2の態様は、上記第1の態様のインクジェット記録方法において、ドット密度の低い領域とドット密度の高い領域との境界からドット密度の低い領域に向かって順次ドット密度が低下するように、前記ドット配置データを補正することを特徴とする。
本態様によれば、描画手段から吐出するインクの中で視認性が最も低いインクのドット配置データのみが補正される。これにより、ドット配置データの補正処理を簡略化することができる。また、最も視認性の低いインクを使用して、非画像領域にインクを追加的に付与するので、画像品質に影響を与えずに、効率よく用紙の変形を抑えることができる。
[11]インクジェット記録方法の第3の態様は、上記第1又は第2の態様のインクジェット記録方法において、前記描画手段から吐出する前記インクの中で視認性が最も低いインクの前記ドット配置データのみを補正することを特徴とする。
本態様によれば、描画手段から吐出するインクの中で視認性が最も低いインクのドット配置データのみが補正される。これにより、ドット配置データの補正処理を簡略化することができる。また、最も視認性の低いインクを使用して、非画像領域にインクを追加的に付与するので、画像品質に影響を与えずに、効率よく用紙の変形を抑えることができる。
[12]インクジェット記録方法の第4の態様は、上記第1又は第2の態様のインクジェット記録方法において、前記描画手段から吐出する前記インクの色がイエロ、マゼンタ、シアン、クロの4色の場合に、イエロの前記インクの前記ドット配置データを補正することを特徴とする。
一般にカラー画像の描画は、イエロ、マゼンタ、シアン、クロの4色のインクを使用して行われる。この4色のインクを使用する場合は、視認性の最も低いイエロのドット配置データを補正する。これにより、画像品質に影響を与えずに、効率よく用紙の変形を抑えることができる。
[13]インクジェット記録方法の第5の態様は、上記第4の態様のインクジェット記録方法において、前記ドット配置データを補正して、ドットを付加する領域は、ドット密度が20%以下の低ドット密度領域であることを特徴とする。
本態様によれば、ドット密度が20%以下の領域をドット密度の低い領域(低ドット密度領域(いわゆる非画像領域))として、ドット配置データを補正する。これにより、真に補正が必要な領域にのみインクが付与され、インクの無駄な消費を抑えることができる。
[14]インクジェット記録方法の第6の態様は、上記第5の態様のインクジェット記録方法において、前記画像を描画した後の前記用紙の前記低ドット密度領域のカラー濃度が0.02以下となるように、前記ドット配置データを補正することを特徴とする。
本態様によれば、低ドット密度領域(いわゆる非画像領域)のカラー濃度(ISO ステータスT反射濃度)が0.02以下となるように、イエロのドット配置データが補正される。イエロについては、カラー濃度が0.02までの範囲であれば、一見して視認できない範囲で非画像領域にインクを付与することができる。これにより、視認されない範囲で非画像像領域にイエロのインクを追加的に付与することができる。
[15]インクジェット記録方法の第7の態様は、上記第5の態様のインクジェット記録方法において、前記低ドット密度領域のドットの面積率が、10パーセント以下となるように、前記ドット配置データを補正することを特徴とする。
本態様によれば、低ドット密度領域(いわゆる非画像領域)のドットの面積率(網パーセント)が、10パーセント以下となるように、イエロのドット配置データが補正される。ドットの面積率が10パーセントの範囲までであれば、イエロのインクについては、カラー濃度(ISO ステータスT反射濃度)を0.02までの範囲に収めることができる。イエロについては、カラー濃度が0.02までの範囲であれば、一見して視認できない範囲で非画像領域にインクを付与することができるので、これにより、視認されない範囲で非画像像領域にイエロのインクを追加的に付与することができる。
[16]インクジェット記録方法の第8の態様は、上記第1から第7の態様のインクジェット記録方法において、更に前記用紙の情報、前記用紙に対する裏面印刷の有無の情報に基づいて、前記ドット配置データを補正する。
本態様によれば、用紙の情報、用紙に対する裏面印刷の有無の情報を使用して、ドット配置データが補正される。すなわち、用紙の変形は、用紙の種類や厚さによって変わるので、用紙の種類や厚さに応じて補正量、補正の要否等を切り替えることにより、より適切に実施することができる。また、用紙の変形は、両面印刷する際の裏面印刷時に特に問題になるので、裏面印刷の有無に応じて補正量、補正の要否等を切り替えることにより、より適切に実施することができる。
本発明によれば、描画時に生じる用紙の変形を既存の設備構成で抑えることができることができる。
以下、添付図面に従って本発明に係るインクジェット記録装置及び方法の好ましい実施の形態について詳説する。
《インクジェット記録装置の全体構成》
図1は本発明に係るインクジェット記録装置の一実施形態を示す全体構成図である。
図1は本発明に係るインクジェット記録装置の一実施形態を示す全体構成図である。
このインクジェット記録装置10は、水性インクを使用して汎用の用紙に印刷することができるインクジェット記録装置である。
図1に示すように、このインクジェット記録装置10は、主として、用紙Pを給紙する給紙部20と、用紙Pの印刷面に所定の処理液を塗布する処理液塗布部30と、用紙Pの印刷面にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、クロ(K)の各色のインクの液滴を打滴して、カラー画像を描画する描画部40と、用紙Pを乾燥処理する乾燥部50と、用紙Pに描画された画像を定着させる定着部60と、用紙Pを回収する回収部70とを備えて構成される。
処理液塗布部30、描画部40、乾燥部50、定着部60の各部には、それぞれ用紙Pの搬送手段として、搬送ドラム31、41、51、61が備えられる。用紙Pは、この搬送ドラム31、41、51、61によって、処理液塗布部30、描画部40、乾燥部50、定着部60の各部を搬送される。
各搬送ドラム31、41、51、61は、用紙幅に対応して形成され、図示しないモータに駆動されて回転する(図1において、反時計回りに回転する。)。各搬送ドラム31、41、51、61は、用紙Pを外周面に巻き付けて、回転することにより、所定の搬送経路に沿って用紙Pを搬送する。
各搬送ドラム31、41、51、61の周面には、グリッパが備えられる。用紙Pは、このグリッパに先端部を把持されて搬送される。本例では、各搬送ドラム31、41、51、61の周面の2箇所にグリッパGが設置される。グリッパGは、180°間隔で設置される。これにより、1回の回転で2枚の用紙を搬送することができる。
また、各搬送ドラム31、41、51、61には、外周面上に巻き付けられた用紙Pを吸着保持する吸着保持機構が備えられる。本例では、空気圧(負圧)を用いて、用紙Pを外周面上に吸着保持する。このため、各搬送ドラム31、41、51、61の外周面には、多数の吸引穴が形成される。用紙Pは、この吸引穴から吸引されて、各搬送ドラム31、41、51、61の外周面上に吸着保持される。吸着保持機構は、静電気を利用した方式(いわゆる静電吸着方式)を採用することもできる。
処理液塗布部30と描画部40の間、描画部40と乾燥部50の間、乾燥部50と定着部60の間には、それぞれ渡し胴80、90、100が配置される。用紙Pは、この渡し胴80、90、100によって、各部の間を搬送される。
各渡し胴80、90、100は、円筒状の枠体で構成され、用紙幅に対応して形成される。各渡し胴80、90、100は、図示しないモータに駆動されて回転する(図1において、時計回りに回転する。)。
各渡し胴80、90、100の周面には、グリッパGが備えられる。用紙Pは、このグリッパGに先端部を把持されて搬送される。本例では、各渡し胴80、90、100の外周部2箇所にグリッパGが設置される。グリッパGは、180°間隔で設置される。これにより、1回の回転で2枚の用紙を搬送することができる。
各渡し胴80、90、100の下部には、用紙Pの搬送経路に沿って円弧状のガイド板82、92、102が配設される。渡し胴80、90、100によって搬送される用紙Pは、このガイド板82、92、102に裏面(印刷面の反対側の面)をガイドされながら搬送される。
また、各渡し胴80、90、100の内部には、渡し胴80によって搬送される用紙Pに向けて熱風を吹き出すドライヤ84、94、104が設置される(本例では、用紙Pの搬送経路に沿って3台設置している。)。各渡し胴80、90、100によって搬送される用紙Pは、その搬送過程でドライヤ84、94、104から吹き出された熱風が印刷面に吹き当てられる。これにより、各渡し胴80、90、100による搬送過程で用紙Pを乾燥処理することができる。
なお、ドライヤ84、94、104は、熱風を吹き出して加熱する構成に代えて、赤外線ヒータ等から熱を放射して加熱する構成とすることもできる(いわゆる輻射による加熱)。
給紙部20から給紙された用紙Pは、搬送ドラム31→渡し胴80→搬送ドラム41→渡し胴90→搬送ドラム51→渡し胴100→搬送ドラム61の順で搬送され、最後に回収部70で回収される。この給紙部20から回収部70で回収されるまでの間に用紙Pは所要の処理が施されて、印刷面に画像が描画される。
以下、本実施の形態のインクジェット記録装置10の各部の構成について詳説する。
〈給紙部〉
給紙部20は、枚葉の用紙Pを1枚ずつ周期的に給紙する。この給紙部20は、主として、給紙装置21と、給紙トレイ22と、渡し胴23とで構成される。
給紙部20は、枚葉の用紙Pを1枚ずつ周期的に給紙する。この給紙部20は、主として、給紙装置21と、給紙トレイ22と、渡し胴23とで構成される。
給紙装置21は、図示しないマガジンにスタックされた枚葉の用紙Pを上側から順に1枚ずつ給紙トレイ22に給紙する。
給紙トレイ22は、給紙装置21から給紙された用紙Pを渡し胴23に向けて送り出す。
渡し胴23は、給紙トレイ22から送り出された用紙Pを受け取り、回転して、処理液塗布部30の搬送ドラム31に受け渡す。
なお、上記のように、本実施の形態のインクジェット記録装置10で使用する用紙Pは、インクジェット専用紙ではない汎用の用紙である(一般のオフセット印刷などで使用される用紙(上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする用紙))。しかし、このような汎用の用紙にインクジェット方式で印刷すると、フェザリングやブリーディング等が発生する。そこで、本実施の形態のインクジェット記録装置10では、次の処理液塗布部30で用紙Pの印刷面に所定の処理液を塗布して、フェザリングやブリーディング等の発生を防止する。
〈処理液塗布部〉
処理液塗布部30は、用紙Pの印刷面に水性インクと接触することで凝集体を形成する機能を液体(処理液)を塗布する。この処理液塗布部30は、主として、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「処理液塗布ドラム」という。)31と、その処理液塗布ドラム31によって搬送される用紙Pの印刷面に所定の処理液を塗布する塗布装置32とで構成される。
処理液塗布部30は、用紙Pの印刷面に水性インクと接触することで凝集体を形成する機能を液体(処理液)を塗布する。この処理液塗布部30は、主として、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「処理液塗布ドラム」という。)31と、その処理液塗布ドラム31によって搬送される用紙Pの印刷面に所定の処理液を塗布する塗布装置32とで構成される。
処理液塗布ドラム31は、給紙部20の渡し胴23から用紙Pを受け取り(グリッパGで用紙Pの先端を把持して受け取る。)、回転して用紙Pを所定の搬送経路に沿って搬送する。
塗布装置32は、処理液塗布ドラム31によって搬送される用紙Pの印刷面に所定の処理液をローラ塗布する。すなわち、周面に処理液が付与された塗布ローラを処理液塗布ドラム31によって搬送される用紙Pの印刷面に押圧当接させて、用紙Pの印刷面に処理液を塗布する。処理液は、一定の厚さで塗布される。
上記のように、処理液は、水性インクと接触することで凝集体を形成する機能を有する液体(水性インクと接触することで凝集体を形成可能な凝集剤を含有する液体)で構成される。このような処理液を用紙Pの印刷面に塗布することにより、汎用の用紙に水性インクを用いて画像を描画した場合であっても、フェザリングやブリーディング等を生じさせることなく、画像を描画することができる。
以上の構成の処理液塗布部30において、用紙Pは、処理液塗布ドラム31に保持されて、所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程で塗布装置32によって印刷面に処理液が塗布される。
印刷面に処理液が塗布された用紙Pは、その後、所定位置で処理液塗布ドラム31から渡し胴80に受け渡される。そして、渡し胴80によって所定の搬送経路を搬送されて、描画部40の搬送ドラム41に受け渡される。
ここで、上記のように、渡し胴80には、その内部にドライヤ84が設置されており、ガイド板82に向けて熱風が吹き出されている。用紙Pは、この渡し胴80によって処理液塗布部30から描画部40に搬送される過程で印刷面に熱風が吹き当てられて、乾燥処理される。これにより、印刷面に塗布された処理液の溶媒成分が除去(蒸発)され、用紙Pの印刷面に凝集剤の層が形成される。
〈描画部〉
描画部40は、用紙Pの印刷面にC、M、Y、Kの各色のインク滴を打滴して、用紙Pの印刷面にカラー画像を描画する。この描画部40は、主として、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「描画ドラム」という。)41と、用紙Pの印刷面を押圧して、用紙Pを描画ドラム41の周面に密着させる押圧ローラ42と、用紙Pの浮きを検出する用紙浮き検出センサ43と、用紙PにC、M、Y、Kの各色のインク滴を吐出して、画像を描画する描画ユニット44とを備えて構成される。
描画部40は、用紙Pの印刷面にC、M、Y、Kの各色のインク滴を打滴して、用紙Pの印刷面にカラー画像を描画する。この描画部40は、主として、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「描画ドラム」という。)41と、用紙Pの印刷面を押圧して、用紙Pを描画ドラム41の周面に密着させる押圧ローラ42と、用紙Pの浮きを検出する用紙浮き検出センサ43と、用紙PにC、M、Y、Kの各色のインク滴を吐出して、画像を描画する描画ユニット44とを備えて構成される。
描画ドラム41は、渡し胴80から用紙Pを受け取り(グリッパGで用紙Pの先端を把持して受け取る。)、回転して用紙Pを所定の搬送経路に沿って搬送する。
押圧ローラ42は、描画ドラム41の幅とほぼ同じ幅で構成され、描画ドラム41の用紙受取位置(渡し胴80から用紙Pを受け取る位置)の近傍に配置される。渡し胴80から描画ドラム41に受け渡された用紙Pは、この押圧ローラ42にニップされることにより、裏面が描画ドラム41の外周面に密着される。
用紙浮き検出センサ43は、押圧ローラ42を通過した用紙Pの浮きを検出する(描画ドラム41の外周面からの一定以上の浮きを検出する。)。この用紙浮き検出センサ43は、レーザ光を投光するレーザ投光器と、そのレーザ光を受光するレーザ受光器とで構成される。レーザ投光器は、描画ドラム41の一端から他端に向けて描画ドラム41の軸と平行なレーザ光を描画ドラム41の外周面から所定高さの位置(浮きの許容範囲の上限の高さの位置)に投光する。レーザ受光器は、描画ドラム41による用紙Pの走行経路を挟んでレーザ投光器と対向して配置され、レーザ投光器から投光されたレーザ光を受光する。
描画ドラム41によって搬送される用紙Pに許容値以上の浮きが生じていると、レーザ投光器から投光されたレーザ光が用紙Pに遮光される。この結果、レーザ受光器で受光されるレーザ光の受光量が低下する。用紙浮き検出センサ43は、このレーザ受光器で受光されるレーザ光の受光量を検出して、用紙Pの浮きを検出する。すなわち、レーザ受光器で受光されたレーザ光の受光量と閾値とを比較して、閾値以下の場合に浮き(許容値以上の浮き)が発生したと判定する。
許容値以上の浮きが検出されると、描画ドラム41の回転が停止され、用紙Pの搬送が停止される。
なお、用紙浮き検出センサ43は、レーザ投光器から投光するレーザ光の高さ(描画ドラム41の外周面からの高さ)を調整することができるように構成される。これにより、浮きの許容範囲を任意に設定することができる。
描画ユニット44は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、クロ(K)の各色のインクの液滴を独立して吐出する4台のインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kで構成される。
4台のインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、用紙浮き検出センサ43の後段に配置され、用紙Pの搬送方向に沿って一定の間隔で配置される。本例では、C、M、Y、Kの順で配置されている。
各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、用紙幅に対応したラインヘッドで構成され、その下面(描画ドラム41の外周面と対向する面)にノズル面が形成される。各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、ノズル面が所定の隙間(スローディスタンス)をもって、描画ドラム41の外周面に対向するように配置される。
各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kのノズル面には、用紙Pの搬送方向と直交する方向に一定のピッチでノズルが配置される(ノズル列)。各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、このノズル面に形成されたノズルから描画ドラム41に向けてインクの液滴を吐出する。
ここで、本実施の形態のインクジェット記録装置10で使用する各色のインクは、水性インクであり、溶媒に水を含むインク(水を50〜70質量%程度含有するインク)が使用される。
以上の構成の描画部40において、用紙Pは、描画ドラム41によって所定の搬送経路を搬送される。渡し胴80から描画ドラム41に受け渡された用紙Pは、まず、押圧ローラ42でニップされて、描画ドラム41の外周面に密着される。次いで、用紙浮き検出センサ43によって、浮きの有無が検出される。浮きがない場合は、そのまま描画ユニット44に向けて搬送される。そして、描画ユニット44を構成する各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44KからC、M、Y、Kの各色のインクの液滴が印刷面に打滴されて、印刷面にカラー画像が描画される。
なお、用紙浮き検出センサ43によって用紙Pの浮きが検出された場合は、搬送が停止される。これにより、浮いた用紙Pが、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kのノズル面に接触するのを未然に防止できる。
上記のように、本例のインクジェット記録装置10では、各色ともに水性インクが使用される。このような水性インクを用いた場合であっても、上記のように、用紙Pには処理液が塗布されているので、インクジェット専用紙ではない汎用の用紙を用いた場合であっても、高品位な印刷を行うことができる。
画像が描画された用紙Pは、渡し胴90に受け渡される。そして、渡し胴90によって所定の搬送経路を搬送されて、乾燥部50の搬送ドラム51に受け渡される。
ここで、上記のように、渡し胴90には、その内部にドライヤ94が設置されており、ガイド板92に向けて熱風が吹き出されている。描画後の用紙Pの乾燥処理は、後段の乾燥部50で行われるが、用紙Pは、この渡し胴90による搬送時にも乾燥処理が施される。
なお、図示されていないが、この描画部40には、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kのメンテナンス(吸引やノズル面のクリーニング、保湿など)を行うメンテナンス部が備えられている。インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、必要に応じてメンテナンス部に移動し、所要のメンテナンスができるように構成されている。
〈乾燥部〉
乾燥部50は、描画後の用紙Pに残存する液体成分を乾燥させ除去する。この乾燥部50は、主として、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「乾燥ドラム」という。)51と、乾燥ドラム51によって搬送される用紙Pを乾燥処理する乾燥装置52とを備えて構成される。
乾燥部50は、描画後の用紙Pに残存する液体成分を乾燥させ除去する。この乾燥部50は、主として、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「乾燥ドラム」という。)51と、乾燥ドラム51によって搬送される用紙Pを乾燥処理する乾燥装置52とを備えて構成される。
乾燥ドラム51は、渡し胴90から用紙Pを受け取り(グリッパGで用紙Pの先端を把持して受け取る。)、回転して用紙Pを所定の搬送経路に沿って搬送する。
乾燥装置52は、たとえば、ドライヤで構成され(本例では用紙Pの搬送経路に沿って配設された3台のドライヤで構成)、乾燥ドラム51によって搬送される用紙Pに向けて熱風(たとえば、80℃)を吹き付ける。
以上の構成の乾燥部50において、用紙Pは、乾燥ドラム51によって所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程で印刷面に乾燥装置52から熱風が吹き付けられて、印刷面に付与されたインクが乾燥される(溶媒成分が蒸発除去される。)。
乾燥装置52を通過した用紙Pは、その後、所定位置で乾燥ドラム51から渡し胴100に受け渡される。そして、渡し胴100によって所定の搬送経路を搬送されて、定着部60の搬送ドラム61に受け渡される。
なお、上記のように、渡し胴100には、その内部にドライヤ104が設置されており、ガイド板102に向けて熱風が吹き出されている。したがって、用紙Pは、この渡し胴100での搬送時にも乾燥処理が施される。
〈定着部〉
定着部60は、用紙Pを加熱加圧して、印刷面に描画された画像を定着させる。この定着部60は、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「定着ドラム」という。)61と、定着ドラム61によって搬送される用紙Pに加熱加圧処理を施すヒートローラ62、63と、印刷後の用紙Pの温度、湿度等を検出するとともに、印刷された画像を撮像するインラインセンサ64とを備えて構成されている。
定着部60は、用紙Pを加熱加圧して、印刷面に描画された画像を定着させる。この定着部60は、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「定着ドラム」という。)61と、定着ドラム61によって搬送される用紙Pに加熱加圧処理を施すヒートローラ62、63と、印刷後の用紙Pの温度、湿度等を検出するとともに、印刷された画像を撮像するインラインセンサ64とを備えて構成されている。
定着ドラム61は、渡し胴100から用紙Pを受け取り(グリッパGで用紙Pの先端を把持して受け取る。)、回転して用紙Pを所定の搬送経路に沿って搬送する。
ヒートローラ62、63は、ヒータを内蔵し、定着ドラム61の外周面に押圧当接されて設置される。ヒートローラ62、63は、定着ドラム61によって搬送される用紙Pの印刷面を加熱加圧し、インクを用紙Pに定着させる。
インラインセンサ64は、温度計、湿度計、CCDラインセンサ等を備え、定着ドラム61によって搬送される用紙Pの温度、湿度等を検出するとともに、用紙Pに印刷された画像を読み取る。このインラインセンサ64の検出結果に基づいて、装置の異常やヘッドの吐出不良等がチェックされる。
以上の構成の定着部60において、用紙Pは、定着ドラム61によって所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程でヒートローラ62、63によって加熱加圧され、印刷面に描画された画像が定着される。また、必要に応じてインラインセンサ64によって、印刷面に描画された画像が読み取られる。
定着処理が施された用紙Pは、この後、所定位置で定着ドラム61から回収部70へと受け渡される。
〈回収部〉
回収部70は、一連の印刷処理が行われた用紙Pをスタッカ71に積み重ねて回収する。この回収部70は、主として、用紙Pを回収するスタッカ71と、定着部60で定着処理された用紙Pを定着ドラム61から受け取り、所定の搬送経路を搬送して、スタッカ71に排紙する排紙コンベア72とで構成される。
回収部70は、一連の印刷処理が行われた用紙Pをスタッカ71に積み重ねて回収する。この回収部70は、主として、用紙Pを回収するスタッカ71と、定着部60で定着処理された用紙Pを定着ドラム61から受け取り、所定の搬送経路を搬送して、スタッカ71に排紙する排紙コンベア72とで構成される。
定着部60で定着処理された用紙Pは、定着ドラム61から排紙コンベア72に受け渡され、その排紙コンベア72によってスタッカ71まで搬送されて、スタッカ71内に回収される。
《制御系》
図2は、本実施の形態のインクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
図2は、本実施の形態のインクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
同図に示すように、インクジェット記録装置10は、システムコントローラ200、通信部201、画像メモリ202、搬送制御部203、給紙制御部204、処理液塗布制御部205、描画制御部206、乾燥制御部207、定着制御部208、回収制御部209、操作部210、表示部211等を備えている。
システムコントローラ200は、インクジェット記録装置10の各部を統括制御する制御手段として機能するとともに、画像処理などの各種演算処理を行う演算手段として機能する。このシステムコントローラ200は、CPU、ROM、RAM等を備え、所定の制御プログラムに従って動作する。ROMには、このシステムコントローラ200が、実行する制御プログラムや制御に必要な各種データが格納される。
通信部201は、所要の通信インターフェースを備え、その通信インターフェースと接続されたホストコンピュータとの間でデータの送受信を行う。
画像メモリ202は、画像データを含む各種データの一時記憶手段として機能し、システムコントローラ200を通じてデータの読み書きが行われる。通信部201を介してホストコンピュータから取り込まれた画像データは、この画像メモリ202に格納される。
搬送制御部203は、処理液塗布部30、描画部40、乾燥部50、定着部60の各部における用紙Pの搬送手段である搬送ドラム31、41、51、61と、渡し胴80、90、100の駆動を制御する。
すなわち、各搬送ドラム31、41、51、61を駆動するモータの駆動を制御するとともに、各搬送ドラム31、41、51、61に備えられた、グリッパGの開閉を制御する。
同様に各渡し胴80、90、100を駆動するモータの駆動を制御するとともに、各渡し胴80、90、100に備えられた、グリッパGの開閉を制御する。
また、各搬送ドラム31、41、51、61には、用紙Pを周面に吸着保持する機構が備えられているので、その吸着保持機構の駆動を制御する(本実施の形態では、用紙Pを真空吸着するので、負圧発生手段としての真空ポンプの駆動を制御する。)。
また、各渡し胴80、90、100には、ドライヤ84、94、104が備えられているので、その駆動(加熱量と送風量)を制御する。
この搬送ドラム31、41、51、61と、渡し胴80、90、100の駆動は、システムコントローラ200からの指令に応じて制御される。
給紙制御部204は、システムコントローラ200からの指令に応じて給紙部20を構成する各部(給紙装置21、渡し胴23等)の駆動を制御する。
処理液塗布制御部205は、システムコントローラ200からの指令に応じて処理液塗布部30を構成する各部(塗布装置32等)の駆動を制御する。
描画制御部206は、システムコントローラ200からの指令に応じて描画部40を構成する各部(押圧ローラ42、用紙浮き検出センサ43、描画ユニット44(インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44K)等)の駆動を制御する。
乾燥制御部207は、システムコントローラ200からの指令に応じて乾燥部50を構成する各部(乾燥装置52等)の駆動を制御する。
定着制御部208は、システムコントローラ200からの指令に応じて定着部60を構成する各部(ヒートローラ62、63、インラインセンサ64等)の駆動を制御する。
回収制御部209は、システムコントローラ200からの指令に応じて回収部70を構成する各部(排紙コンベア72等)の駆動を制御する。
操作部210は、所要の操作手段(たとえば、操作ボタンやキーボード、タッチパネル等)を備えており、その操作手段から入力された操作情報をシステムコントローラ200に出力する。システムコントローラ200は、この操作部210から入力された操作情報に応じて各種処理を実行する。
表示部211は、所要の表示装置(たとえば、LCDパネル等)を備えており、システムコントローラ200からの指令に応じて所要の情報を表示装置に表示させる。
上記のように、用紙に描画する画像の画像データは、ホストコンピュータから通信部201を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、画像メモリ202に格納される。システムコントローラ200は、この画像メモリ202に格納された画像データに所要の信号処理を施してインクの色ごとのドット配置データを生成する。そして、生成したインクの色ごとのドット配置データに従って各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kの駆動を制御し、入力した画像データが表す画像を用紙に描画する。
ドット配置データは、一般に画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(たとえば、RGB8ビットの画像データ)をインクジェット記録装置10で使用するインクの各色のインク量データに変換する処理である(本例では、C、M、Y、Kの各色のインク量データに変換する。)。ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色のインク量データに対して誤差拡散等の処理で各色のドット配置データに変換する処理である。
システムコントローラ200は、入力した画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理等を行ってインクの色ごとのドット配置データを生成する。そして、必要に応じて生成したドット配置データを補正し、補正したドット配置データに従って、対応するインクジェットヘッドの駆動を制御することにより、画像データが表す画像を用紙に描画する。
ここで、ドット配置データの補正は、描画する画像にドット密度が低い領域(いわゆる非画像領域)が存在する場合に実施される。ドット密度が低い領域が用紙Pの印刷面に存在すると、用紙Pの変形を誘発する。そこで、用紙Pの変形を防止するために、ドット配置データの補正が行われる。
ドット配置データの補正は、ドット密度が低い領域に対して、視認されない範囲(一見して色が付いていると分からない範囲)でドットを追加することにより行われる。すなわち、ドット密度が低い領域に対してドットを追加することにより、ドット密度が高い領域(いわゆる画像領域)との間の水分量に差をなくし、用紙Pの変形を抑制する。この点については、後に詳述する。
《印刷動作》
次に、上記のインクジェット記録装置10による印刷動作について概説する。
次に、上記のインクジェット記録装置10による印刷動作について概説する。
システムコントローラ200から給紙装置21に給紙指令が出力されると、給紙装置21から給紙トレイ22に用紙Pが給紙される。給紙トレイ22に給紙された用紙Pは、渡し胴23を介して処理液塗布部30の処理液塗布ドラム31に受け渡される。
処理液塗布ドラム31に受け渡された用紙Pは、処理液塗布ドラム31によって所定の搬送経路を搬送され、その搬送過程で塗布装置32によって印刷面に処理液が塗布される。
処理液が塗布された用紙Pは、処理液塗布ドラム31から渡し胴80に受け渡される。そして、その渡し胴80によって所定の搬送経路を搬送されて、描画部40の描画ドラム41に受け渡される。用紙Pは、その渡し胴80による搬送過程で渡し胴80の内部に設置されたドライヤ84から印刷面に熱気が吹き付けられ、印刷面に塗布された処理液が乾燥される。
渡し胴80から描画ドラム41に受け渡された用紙Pは、まず、押圧ローラ42にニップされて、描画ドラム41の外周面に密着される。
押圧ローラ42を通過した用紙Pは、その後、用紙浮き検出センサ43によって浮きの有無が検出される。ここで、用紙Pの浮きが検出されると、搬送が停止される。一方、浮きが検出されない場合は、そのままインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kに向けて搬送される。そして、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kの下を通過する際、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44KからC、M、Y、Kの各色のインク滴が吐出されて、印刷面にカラー画像が描画される。
画像が描画された用紙Pは、描画ドラム41から渡し胴90に受け渡される。そして、その渡し胴90によって所定の搬送経路を搬送されて、乾燥部50の乾燥ドラム51に受け渡される。用紙Pは、その渡し胴90による搬送過程で渡し胴90の内部に設置されたドライヤ94から印刷面に熱気が吹き付けられて、印刷面に付与されたインクが乾燥される。
乾燥ドラム51に受け渡された用紙Pは、乾燥ドラム51によって所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程で乾燥装置52から熱風が印刷面に吹き付けられて、印刷面に残存する液体成分が乾燥される。
乾燥処理された用紙Pは、乾燥ドラム51から渡し胴100に受け渡される。そして、その渡し胴100によって所定の搬送経路を搬送されて、定着部60の定着ドラム61に受け渡される。用紙Pは、その渡し胴100による搬送過程で渡し胴100の内部に設置されたドライヤ104から印刷面に熱気が吹き付けられ、印刷面に付与されたインクが、さらに乾燥される。
定着ドラム61に受け渡された用紙Pは、定着ドラム61によって所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程でヒートローラ62、63によって加熱加圧され、インクが用紙Pに定着される。用紙Pは、この後、定着ドラム61から回収部70の排紙コンベア72に受け渡され、排紙コンベア72によってスタッカ71まで搬送されて、スタッカ71内に排紙される。
以上のように、本例のインクジェット記録装置10では、用紙Pをドラム搬送し、その搬送過程で用紙Pに対し、処理液の塗布、乾燥、インク滴の打滴、乾燥、定着の各処理を施して、用紙Pに所定の画像を記録する。
《ドット配置データの補正方法》
上記のように、本実施の形態のインクジェット記録装置10では、描画による用紙Pの変形を抑えるために、ドット配置データの補正が行われる。
上記のように、本実施の形態のインクジェット記録装置10では、描画による用紙Pの変形を抑えるために、ドット配置データの補正が行われる。
用紙Pの変形は、インクを付与した結果、インクの付与量が多い部分(ドット密度が高い領域(いわゆる画像領域))とインクの付与量が少ない部分(ドット密度が低い領域(いわゆる非画像領域))との間で水分量に差が生じることによって発生する。したがって、この差を少なくすれば、用紙Pの変形を抑えることができる。
本実施の形態のインクジェット記録装置10では、インクの付与量が少ない部分に対して、視認されない範囲(一見して色が付いていることが分からない範囲)でイエロのインクを追加的に付与し、1枚の用紙内で生じる水分量の差を是正する(水分量を均一化する)。このため、ドット密度が低い領域に対して、視認されない範囲でイエロのドットが追加的に配置されるように、イエロのドット配置データを補正する。
イエロのドット配置データを補正するのは、画像を描画するために使用する4色(C、M、Y、K)の中でイエロのインクが最も視認されにくいからである。最も視認されにくいインクを非画像領域に付加することにより、画像品質を落さずに効果的に用紙Pの変形を抑えることができる。
以下、用紙Pに白黒のストライプの画像を描画する場合を例にして、ドット配置データの補正方法について説明する。
図3(a)に示すような白黒のストライプの画像を描画する場合、通常、インクは、ストライプの黒色の部分にのみ付与され、それ以外の部分(ストライプの白色の部分と周囲の余白の部分)は、用紙Pの地の色とされる。
この場合、ストライプの黒色の部分が画像領域とされ、それ以外の部分(ストライプの白色の部分と周囲の余白の部分)が非画像領域とされる。
上記のように、用紙Pの変形は、画像領域と非画像領域との間の水分量の差に基づいて発生する。
本実施の形態のインクジェット記録装置10では、非画像領域にイエロのインクを視認されない範囲で追加的に付与することにより、画像領域と非画像領域との間に発生する水分量の差を是正する。
非画像領域に付与するインクは、画像を描画する際に使用するイエロのインクである。イエロのインクは、画像を描画するための4色のインク(C、M、Y、K)の中で最も視認されにくいインクである。しかしながら、一定量以上付与すれば、視認され、画像の品質を低下させる。
用紙Pに付与されたイエロのインクは、カラー濃度(ISO ステータスT反射濃度)が0.02以下であれば、一見して付与されていると気づかないレベルに抑えることができる。
図4は、イエロのドットの面積率とカラー濃度(ISO ステータスT反射濃度)との関係を示す図である。
同図に示すように、イエロのインクについては、ドットの面積率(いわゆる網パーセント)を10パーセント以下にすれば、カラー濃度を0.02以下に抑えることができる。すなわち、イエロのインクについては、ドットの面積率が10パーセント以下の範囲までであれば、非画像領域にインクを付与しても、一見して視認されない範囲で付与することができる。
システムコントローラ200は、入力された画像から非画像領域を抽出する(図3に示す例では、同図(b)で斜線で示す領域を抽出する。)。そして、抽出した非画像領域に10パーセントのドット面積率(網パーセント)でドットが追加されるように、イエロのドット配置データを補正する。
システムコントローラ200は、補正した新たなドット配置データに従って描画ユニット44を駆動し、用紙Pに画像を描画する。
このように、本実施の形態のインクジェット記録装置10では、非画像領域に視認されない範囲でイエロのインクを追加的に付与して、画像を描画する。これにより、画像領域と非画像領域との間で生じる水分量の差を緩和でき、用紙Pの変形を抑えることができる。
図5は、本実施の形態のインクジェット記録装置で画像を描画するまでの手順を示すフローチャートである。
画像データを入力すると(ステップS10)、システムコントローラ200は、入力した画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理等を行って、インクの色ごとのドット配置データを生成する(ステップS11)。
次に、システムコントローラ200は、生成したドット配置データ基づいて、非画像領域を抽出する(ステップS12)。なお、非画像領域は、ドット密度が一定以下の領域(たとえば、20パーセント以下の領域)である。また、この非画像領域の抽出は、画像データから行うこともできる。
非画像領域の抽出処理が終わると、システムコントローラ200は、補正の要否を判断する(ステップS13)。すなわち、非画像領域がない場合には、補正は不要なので、非画像領域の抽出処理の結果に基づいて、補正の要否を判断する。
補正が不要な場合は、生成したドット配置データに従って、描画ユニット44を駆動し、用紙Pに画像を描画する(ステップS15)。
一方、補正が必要な場合は、イエロのインクのドット配置データを補正する(ステップS14)。すなわち、抽出した非画像領域に10パーセントのドット面積率(網パーセント)でドットが追加されるように、イエロのドット配置データを補正する。
そして、補正されたドット配置データに従って、描画ユニット44を駆動し、用紙Pに画像を描画する(ステップS15)。
このように、非画像領域を抽出して、イエロのドット配置データを補正する。これにより、画像領域と非画像領域との間で生じる水分量の差を緩和でき、用紙Pの変形を抑えることができる。
なお、上記の例では、インクを完全に付与しない領域を非画像領域とした例で説明したが、一般にドットの面積率が20パーセント以下の領域(特に10パーセント以下の領域)は、非画像領域とみなすことができ、当該領域に上記方法でイエロのインクを追加的に付与することにより、効果的に用紙Pの変形を抑えることができる。
また、用紙Pの変形は、用紙Pの種類、紙厚によって異なるので、これらの要素を加味して、補正の要否、補正量(追加するイエロのインクの面積率(網パーセント))を変えることが好ましい。たとえば、変形しにくい用紙Pを使用する場合は、補正しない、あるいは、補正量を少なくする。また、一般に用紙Pは厚い用紙ほど変形しにくいので、用紙Pの厚さに応じて補正量を変える、あるいは、用紙Pの厚いに応じて補正の要否を切り替えるようにしてもよい(一定以上の厚さでは補正は行わないようにする。)。これにより、不要な補正を防止できるとともに、インクの無駄な消費を防止することができる。
また、用紙Pの変形は、用紙Pの両面に印刷する場合に特に問題になるので、両面印刷の有無によって、補正の要否、補正量を変えるようにしてもよい。たとえば、両面印刷を行わない場合には、補正を行わないようにする。
また、描画する画像によっては、非画像部に付与するイエロのインクの付与量を増やしても、視認されにくい場合があるので、描画する画像に応じて補正量を変えるようにしてもよい。たとえば、元の画像の色調が黄色みを帯びているような場合には、非画像部に付与するイエロのインクの付与量を増やすようにしてもよい。一方、描画する画像によっては、色が付与されていることが分かりやすい画像もあるので、このような画像の場合には、補正量を抑える、あるいは、補正しないようにしてもよい。たとえば、元の画像の色調が白基調の場合には、色が目立ちやすくなるので、補正をしない、あるいは、補正量を抑えるようにする。
また、描画する画像によっては、イエロ以外のインクを付与しても視認されにくい場合があるので、描画する画像に応じて他のインクの画像も補正するようにしてもよい。
また、用紙Pの変形は、用紙Pの水分量が急激に変化する領域で発生しやすいので、ドット配置パターンを補正する場合は、用紙Pの水分量の急激な変化を緩和するように補正することが好ましい。たとえば、図6に示すように、画像領域と非画像領域との境界部は、水分量が急激に変化するので、境界から非画像領域に向かって徐々にインクの付与量が低下するように、ドット配置データを補正する。すなわち、境界から非画像領域に向かって徐々にドットの密度が低くなるように、ドット配置データを補正する。ドットの密度は、連続的に変化させてもよいし、また、段階的に変化させてもよい。
また、このように、用紙Pの変形は、画像領域と非画像領域の境界領域で生じやすいので、画像領域と非画像領域の境界の周辺領域についてのみ追加的にインクが付与されるように、イエロのインクのドット配置データを補正するようにしてもよい。この場合も、境界から非画像領域に向かって徐々にインクの付与量が低下するように、ドット配置データを補正することが好ましい。
また、上記実施の形態では、描画部40で使用するインクの色が、C、M、Y、Kの4色の場合を例に説明したが、これら以外の色のインクを使用する場合にも本発明は適用することができる。この場合、描画部40で使用するインクの中で最も視認性の低いインクのドット配置データを補正する。たとえば、シアン、マゼンタ、イエロ、ライトシアン、ライトマゼンタ、クロの6色のインクを使用する場合は、イエロのドット配置データを補正する。また、シアン、マゼンタ、イエロ、ライトシアン、ライトマゼンタ、ダークイエロ(イエロよりも濃度の濃いイエロ(視認性の高いイエロ))、クロの7色のインクを使用する場合も、イエロのドット配置データを補正する。なお、イエロは、画像を描画するためのインクの中でも視認されにくい色なので、イエロ系のインクの中で最も濃度の薄いものを非画像領域に付加することにより、画像品質を落さずに効果的に用紙の変形を抑えることができる。
汎用の用紙に水性インクを用いて画像を描画するインクジェット記録装置(図1)において、所定のテスト画像(図3(a))を描画し、本発明の効果を確認する実験を行った。
実験は、非画像領域に付与するイエロのインクの付与量(面積率)を変えて、用紙のカックル量が、どのように変化するかを調べた。なお、1ドットあたりのインク量は5plとした。
図7は、実験の結果を示すグラフである。同図において、横軸は、イエロのインクの付与量(ドットの面積率(網パーセント))である。また、縦軸は、469mm当たりの用紙の伸び量(カックル量)である。
同図に示すように、非画像領域にインクを付与することにより、カックルを抑制できることが確認できる。また、同図から、インクの付与量(面積率)を増加させることにより、カックルの抑制効果をより高めることができることが確認できる。
上記のように、非画像領域に付与するインクの付与量を増やすと、視認性が高まり、画像の品質を落すこととなる。
一方、ドットの面積率が10パーセント程度までであれば、イエロのインクは、一見して視認されることなく付与することができる。同図に示すように、非画像領域に10パーセントの面積率でイエロのインクを付与することにより、カックルを抑制できることが確認できる。
≪インクの組成について≫
本発明は、汎用の用紙に水性インクを用いてインクジェット方式で印刷する場合に有効に作用する。ここで、本発明で使用する水性インクの組成の一例について説明する。
本発明は、汎用の用紙に水性インクを用いてインクジェット方式で印刷する場合に有効に作用する。ここで、本発明で使用する水性インクの組成の一例について説明する。
本発明で使用する水性インクは、色材、樹脂粒子、及び水を少なくとも含む。また、本発明で使用する水性インクは、必要に応じて、更に、水溶性有機溶剤、分散剤、界面活性剤、その他の成分を用いて構成することができる。
〈色材〉
水性インクは、色材の少なくとも1種を含有する。色材としては、公知の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。中でも、インク着色性の観点から、水に殆ど不溶であるか、又は難溶である色材であることが好ましい。具体的には、たとえば、各種顔料、分散染料、油溶性染料、J会合体を形成する色素等を挙げることができ、顔料であることがより好ましい。
水性インクは、色材の少なくとも1種を含有する。色材としては、公知の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。中でも、インク着色性の観点から、水に殆ど不溶であるか、又は難溶である色材であることが好ましい。具体的には、たとえば、各種顔料、分散染料、油溶性染料、J会合体を形成する色素等を挙げることができ、顔料であることがより好ましい。
本発明においては、水不溶性の顔料自体、又は、分散剤で表面処理された顔料自体を色材とすることができる。
顔料としては、その種類に特に制限はなく、従来公知の有機及び無機顔料を用いることができる。たとえば、アゾレーキ、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、酸化チタン、酸化鉄系、カーボンブラック系等の無機顔料が挙げられる。
〈樹脂粒子〉
本発明で使用する水性インクは、水分散物としたときの最低造膜温度(MFT0)が60℃以上である樹脂粒子の少なくとも1種を含む。MFT0が60℃未満の樹脂粒子を含んでもよいが、水性インク中のすべての樹脂粒子のMFT0が60℃未満であると、記録後に画像にベタツキが残り、画像部上に紙等を重ねた際にブロッキングが発生する。本発明においては、MFT0としては、80〜150℃が好ましく、100〜130℃がより好ましい。MFT0が150℃未満であると、加熱定着時の熱量が小さくてよいため、定着の省エネルギー化の点で好ましい。
本発明で使用する水性インクは、水分散物としたときの最低造膜温度(MFT0)が60℃以上である樹脂粒子の少なくとも1種を含む。MFT0が60℃未満の樹脂粒子を含んでもよいが、水性インク中のすべての樹脂粒子のMFT0が60℃未満であると、記録後に画像にベタツキが残り、画像部上に紙等を重ねた際にブロッキングが発生する。本発明においては、MFT0としては、80〜150℃が好ましく、100〜130℃がより好ましい。MFT0が150℃未満であると、加熱定着時の熱量が小さくてよいため、定着の省エネルギー化の点で好ましい。
樹脂粒子としては、たとえば、熱可塑性、熱硬化性あるいは熱変性のアクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリアミド系、不飽和ポリエステル系、フェノール系、シリコーン系、又はフッ素系の樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、又はポリビニルブチラール等のポリビニル系樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂等のポリエステル系樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等のアミノ系材料、あるいはそれらの共重合体又は混合物などのアニオン性基を有する樹脂の粒子が挙げられる。
〈水溶性有機溶剤〉
本発明で使用する水性インクは、乾燥防止、浸水促進、粘度調整を目的に、水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。また、水溶性有機溶剤を含有することにより、インクの樹脂粒子のMTFを低めに維持することができ、吐出性などを良好に保つことができる点でも好ましい。また、必要に応じて、乾燥防止、浸透促進、粘度調整などを図る目的で、他の有機溶剤を含有してもよい。
本発明で使用する水性インクは、乾燥防止、浸水促進、粘度調整を目的に、水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。また、水溶性有機溶剤を含有することにより、インクの樹脂粒子のMTFを低めに維持することができ、吐出性などを良好に保つことができる点でも好ましい。また、必要に応じて、乾燥防止、浸透促進、粘度調整などを図る目的で、他の有機溶剤を含有してもよい。
有機溶剤を乾燥防止剤として用いる場合、インクをインクジェット法で吐出して画像記録する際に、インク吐出口でのインクの乾燥によって発生し得るノズルの目詰まりを効果的に防止することができる。
乾燥防止のためには、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。乾燥防止に好適な水溶性有機溶剤の具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体等が挙げられる。中でも、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが好ましい。
また、浸透促進のためには、インクを記録媒体によりよく浸透させる目的で有機溶剤を用いてもよい。浸透促進に好適な有機溶剤の具体例として、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
また、水溶性有機溶剤は、上記以外にも粘度の調整に用いることができる。粘度の調整に用いることができる水溶性有機溶剤の具体的な例としては、アルコール(たとえば、メタノール、エタノール、プロパノールなど)、アミン(たとえば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなど)及びその他の極性溶媒(たとえば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、アセトニトリル、アセトンなど)が挙げられる。
〈水〉
本発明で使用する水性インクは、水を含有するが、水の量に特に制限はない。水の好ましい含有量は、10〜99質量%であり、より好ましくは30〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。
本発明で使用する水性インクは、水を含有するが、水の量に特に制限はない。水の好ましい含有量は、10〜99質量%であり、より好ましくは30〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。
〈その他の添加剤〉
本発明で使用する水性インクは、上記の成分に加え、必要に応じて、その他の添加剤を含むことができる。その他の添加剤としては、たとえば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、インクを調製後に直接添加してもよく、インクの調製時に添加してもよい。
本発明で使用する水性インクは、上記の成分に加え、必要に応じて、その他の添加剤を含むことができる。その他の添加剤としては、たとえば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、インクを調製後に直接添加してもよく、インクの調製時に添加してもよい。
インクの表面張力は、20〜60mN/mが好ましく、20〜45mN/mがより好ましく、25〜40mN/mがさらに好ましい。一方、インクの付与をインクジェット法以外の方法で行なう場合には、20〜60mN/mの範囲が好ましく、30〜50mN/mの範囲がより好ましい。
インクの表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学(株)製)を用い、プレート法により25℃の条件下で測定されるものである。
インクの粘度としては、インクジェット法で吐出して付与する場合は、吐出安定性と処理液と接触したときの凝集速度の観点から、1〜30mPa・sの範囲が好ましく、1〜20mPa・sの範囲がより好ましく、2〜15mPa・sの範囲がさらに好ましく、2〜10mPa・sの範囲が特に好ましい。また、インクの付与をインクジェット法以外の方法により行なう場合は、1〜40mPa・sの範囲が好ましく、5〜20mPa・sの範囲がより好ましい。
インクの粘度は、たとえば、ブルックフィールド粘度計を用いて測定することができる。
≪処理液の組成について≫
上記の組成の水性インクとセットで使用されて、インクを凝集させる処理液には、たとえば、以下の組成のものを使用することができる。
上記の組成の水性インクとセットで使用されて、インクを凝集させる処理液には、たとえば、以下の組成のものを使用することができる。
処理液は、水溶性有機溶剤の少なくとも1種と、水性インク中の成分を凝集させる凝集剤の少なくとも1種と、水とを含む。
〈水溶性有機溶剤〉
水溶性有機溶剤は、水性インクに含まれる樹脂粒子に対して、MFT0−MFT25≧50℃の関係を構成するものを選択する。「MFT0」は、YOSHIMITU SEIKI社製のMFT測定機を用いて測定されるものである。具体的には、所望の樹脂粒子を水中に分散して得た水分散物を25質量%液に調整した調製液をフィルム(たとえば、64cm×18cm)上に塗布厚が300μmとなるように(たとえば、長さ50cm×幅3cm)ブレード塗布した後、フィルムの裏側から加熱し、塗布膜に12℃〜65℃までの温度勾配をかけ、20℃、22%RHの環境下で4時間乾燥させ、このときに白い粉状の析出物が生じた温度と透明膜が形成された温度との境界温度[℃]を測定することにより求められる。
水溶性有機溶剤は、水性インクに含まれる樹脂粒子に対して、MFT0−MFT25≧50℃の関係を構成するものを選択する。「MFT0」は、YOSHIMITU SEIKI社製のMFT測定機を用いて測定されるものである。具体的には、所望の樹脂粒子を水中に分散して得た水分散物を25質量%液に調整した調製液をフィルム(たとえば、64cm×18cm)上に塗布厚が300μmとなるように(たとえば、長さ50cm×幅3cm)ブレード塗布した後、フィルムの裏側から加熱し、塗布膜に12℃〜65℃までの温度勾配をかけ、20℃、22%RHの環境下で4時間乾燥させ、このときに白い粉状の析出物が生じた温度と透明膜が形成された温度との境界温度[℃]を測定することにより求められる。
また、「MFT25」は、前記MFT0の測定操作において、樹脂粒子25質量%(固形分質量)と水溶性有機溶剤6.25質量%(樹脂粒子固形分に対して25質量%)と水68.75質量%との混合液(水溶液)を調製し、これを水分散物に代えて用いたこと以外は、前記MFT0と同様の操作を行なうことにより測定されるものである。また、「MFT25」が測定機の上限値を超えてしまう場合は、「MFT25」〜「MFT50」を適宜測定し、「MFT25」を推定してもよい。本発明においては、MFT25がMFT0より50℃以上低くなる範囲とする。MFT0からMFT25を差し引いた温度差(MFT0−MFT25)が50℃未満であると、加熱定着時の熱量が大きくなると同時に、記録された画像の耐擦過性が低下する。本発明においては、MFT25はMFT0より50℃以上低くなる範囲であり、MFT0より50〜70℃低くなる範囲が好ましく、MFT0より60〜70℃低くなる範囲がより好ましい。
ブロッキングが発生することを抑制する観点から、MFT0は60℃以上とする。MFT0が80〜180℃の範囲であって、かつ、MFT25がMFT0より50〜70℃低くなる範囲が好ましく、MFT0より60〜70℃低くなる範囲がより好ましい。MFT0からMFT25を差し引いた温度差を上記範囲とする方法として、処理液に含まれる水溶性有機溶剤の種類、量を適宜選択することにより調整することができる。
処理液に含まれる水溶性有機溶剤としては、MFT25を下げてMFT0との温度差(MFT0−MFT25)を50℃以上の範囲に調製する観点からは、アルキレンオキシアルコール、アルキレンオキシアルキルエーテルが好ましい。また、同様の理由から、処理液は、2種以上の水溶性有機溶剤を含有することが好ましく、2種以上の水溶性有機溶剤を含有する場合は、その少なくとも1種はアルキレンオキシアルコールであることが好ましく、更にはアルキレンオキシアルコールの少なくとも1種とアルキレンオキシアルキルエーテルの少なくとも1種とを含む2種以上の水溶性有機溶剤を含有する場合が特に好ましい。
前記アルキレンオキシアルコールとしては、好ましくは、プロピレンオキシアルコールである。プロピレンオキシアルコールとしては、たとえば、サンニックスGP250、サンニックスGP400(三洋化成工業(株)製)が挙げられる。
前記アルキレンオキシアルキルエーテルとしては、好ましくは、アルキル部位の炭素数が1〜4のエチレンオキシアルキルエーテル又はアルキル部位の炭素数が1〜4のプロピレンオキシアルキルエーテルである。アルキレンオキシアルキルエーテルとしては、たとえば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルなどが挙げられる。
本発明においては、たとえば、樹脂粒子が後述する自己分散性ポリマー粒子の場合は、水溶性有機溶剤がプロピレンオキシアルコールとエチレンオキシアルキルエーテル(アルキル部位の炭素数1〜4)及び/又はプロピレンオキシアルキルエーテル(アルキル部位の炭素数1〜4)とである場合が好ましく、更には、樹脂粒子が、親水性の構成単位と芳香族基含有モノマーに由来する構成単位とを含む水不溶性ポリマーを含む自己分散性ポリマー粒子の場合は、水溶性有機溶剤がプロピレンオキシアルコールとエチレンオキシアルキルエーテル(アルキル部位の炭素数1〜4)及び/又はプロピレンオキシアルキルエーテル(アルキル部位の炭素数1〜4)とである場合が好ましい。
処理液に含まれる水溶性有機溶剤の少なくとも1種は、101.3kPa(760mmHg)における沸点が230℃以上である水溶性有機溶剤であることが好ましい。沸点が230℃未満の水溶性有機溶剤では水溶性処理液の保水と湿潤性が不十分となり、保存安定性が低下する場合がある。更に、沸点が230℃未満の水溶性有機溶剤では、水性インク中の成分の固定化促進が不十分となり、高画質な画像を得ることができない場合がある。
以下に、沸点が230℃以上である水溶性有機溶剤の例について示す。ただし、これに限定されるものではない。
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値21.5、沸点231℃)
・トリエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値23.4、沸点245℃)
・トリエチレングリコールモノエチルエーテル(SP値21.7、沸点255℃)
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値21.1、沸点278℃)
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値20.4、沸点243℃)
・トリエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値22.1、沸点245℃)
処理液は、沸点が230℃以上の水溶性有機溶剤以外の他の水溶性有機溶剤を含んでいてもよいが、沸点が230℃以上の水溶性有機溶剤が全水溶性有機溶剤に占める含有率は70質量%以上であることが好ましい。前記含有率は、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。前記含有率が70質量%未満では、カール抑制効果が不十分となる。また、2次色ドット径変動が大きくなり解像度が低下する。
・トリエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値23.4、沸点245℃)
・トリエチレングリコールモノエチルエーテル(SP値21.7、沸点255℃)
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値21.1、沸点278℃)
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値20.4、沸点243℃)
・トリエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値22.1、沸点245℃)
処理液は、沸点が230℃以上の水溶性有機溶剤以外の他の水溶性有機溶剤を含んでいてもよいが、沸点が230℃以上の水溶性有機溶剤が全水溶性有機溶剤に占める含有率は70質量%以上であることが好ましい。前記含有率は、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。前記含有率が70質量%未満では、カール抑制効果が不十分となる。また、2次色ドット径変動が大きくなり解像度が低下する。
処理液が含有する全水溶性有機溶剤の含有率は、カール抑制の観点から、30質量%以下であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。また、水溶性有機溶剤は、揮発成分を低減する観点から、20℃における蒸気圧が0.01kPa未満であることが好ましい。20℃における蒸気圧が0.01kPa未満である水溶性有機溶剤の具体例としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(<3.9Pa)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(<1.33Pa)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(<1.33Pa)、ジプロピレングリコール(<1.33Pa)等が挙げられる。
水溶性有機溶剤は、単独、又は、2種以上混合して使用することができる。
水溶性有機溶剤のSP値は27.5以下が好ましく、カールの抑制性の観点から、SP値23.0以下であることがさらに好ましい。SP値が27.5を超えるとカールの抑制が不十分となる。また、MFT25も高くなる傾向にある。ここで、水溶性有機溶剤の溶解度パラメーターSP値とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、単位は(MPa)1/2であり、25℃における値を指す。SP値は、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147(1967)に記載の方法で計算することができ、ここでは、この数値を採用する。
〈凝集剤〉
処理液は、水性インク中の成分を凝集させる凝集剤の少なくとも1種を含有する。前記凝集剤としては水性インク中の成分の少なくとも1種を凝集可能であれば特に制限はないが、乾燥皮膜中に存在している状態で、水性インクと接触することにより、水性インク中の成分を凝集可能であることが好ましく、水性インクと接触することで水性インク中に溶解しやすい化合物であることがより好ましい。中でも、凝集性の観点から、水溶性の高い多価金属塩および水溶性の高い酸性化合物の少なくとも1種であることが好ましく、水溶性の高い酸性化合物の少なくとも1種であることがより好ましい。さらに前記酸性化合物としては、水性インクと反応してインク全体を凝集させる観点から、2価以上の酸性化合物であることがさらに好ましい。
処理液は、水性インク中の成分を凝集させる凝集剤の少なくとも1種を含有する。前記凝集剤としては水性インク中の成分の少なくとも1種を凝集可能であれば特に制限はないが、乾燥皮膜中に存在している状態で、水性インクと接触することにより、水性インク中の成分を凝集可能であることが好ましく、水性インクと接触することで水性インク中に溶解しやすい化合物であることがより好ましい。中でも、凝集性の観点から、水溶性の高い多価金属塩および水溶性の高い酸性化合物の少なくとも1種であることが好ましく、水溶性の高い酸性化合物の少なくとも1種であることがより好ましい。さらに前記酸性化合物としては、水性インクと反応してインク全体を凝集させる観点から、2価以上の酸性化合物であることがさらに好ましい。
ここで、水性インク中の成分の凝集反応は、たとえば、水性インク中に分散した粒子(色材(たとえば、顔料)、樹脂粒子等)の分散安定性を減じ、インク全体の粘度を上昇させることで達成することができる。具体的には、たとえば、凝集剤として酸性化合物を使用する場合、カルボキシル基等の弱酸性の官能基で分散安定化しているインク中の顔料、樹脂粒子などの粒子の表面電荷を、よりpKaの低い酸性化合物と接触させることにより減じ、分散安定性を低下させることができる。したがって、処理液に含まれる凝集剤としての酸性化合物は、pKaが低く、水に対する溶解度が高く、価数が2価以上であることが好ましく、インク中の粒子を分散安定化させている官能基(たとえば、カルボキシル基)のpKaよりも低いpH領域に高い緩衝能を有する2価、又は、3価の酸性化合物であることがより好ましい。具体的には、リン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、およびフタル酸などが挙げられる。またこれらと、pKa、溶解度が類似した他の酸性化合物も使用可能である。
これらの酸性化合物の中でも、クエン酸は、保水力が高く、凝集したインクの物理強度が高くなる傾向にあり、機械特性がより要求される場合に好ましく用いられる。一方、マロン酸は逆に保水力が低く、処理液の乾燥を早めたい場合に好ましく用いられる。このように凝集剤は、水性インクの凝集能とは別の副次的因子により、適宜選択して使用することも可能である。
前記多価金属塩としては、周期表の第2属のアルカリ土類金属(たとえば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3属の遷移金属(たとえば、ランタン)、周期表の第13属からのカチオン(たとえば、アルミニウム)、ランタニド類(たとえば、ネオジム)の塩を挙げることができる。これら金属の塩としては、カルボン酸塩(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩が好適である。中でも、好ましくは、カルボン酸(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びチオシアン酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩である。
前記凝集剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。水性インク中の成分を凝集させる凝集剤の処理液中における含有量としては、凝集効果の観点から、1〜40質量%が好ましく、より好ましくは5〜30質量%であり、更に好ましくは10〜25質量%の範囲である。
〈その他の成分〉
本発明で使用する処理液は、凝集剤と水溶性有機溶剤とを必須の構成成分とするが、これらに加えて、界面活性剤やその他の添加剤を含んでいてもよい。
本発明で使用する処理液は、凝集剤と水溶性有機溶剤とを必須の構成成分とするが、これらに加えて、界面活性剤やその他の添加剤を含んでいてもよい。
処理液の表面張力は、水性インクの凝集速度の観点から、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、25mN/m以上50mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上45mN/m以下である。なお、表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて、プレート法により25℃の条件下で測定されるものである。
また、処理液の20℃での粘度は、処理液の付与安定性の観点から、1.2mPa・s以上15.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2mPa・s以上12mPa・s未満、更に好ましくは2mPa・s以上8mPa・s未満である。粘度が前記範囲内であることで、たとえば、処理液の付与を塗布で行う場合に、処理液をより均一かつより安定的に付与することができる。なお、処理液の粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて、20℃の条件下で測定されるものである。また、処理液の粘度は、水溶性有機溶剤の種類や含有量の調整、粘度調整剤の添加等の通常行われる方法で適宜変更することができる。
≪用紙≫
用紙は、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる塗工紙であるコート紙又はアート紙を用いることができる。コート紙、又は、アート紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。 コート紙及びアート紙としては、一般に上市されているものを入手して使用できる。たとえば、一般印刷用塗工紙を用いることができ、具体的には、王子製紙(株)製の「OKトップコート+」、日本製紙(株)製の「オーロラコート」、「ユーライト」等のコート紙(A2、B2)、及び三菱製紙(株)製の「特菱アート」等のアート紙(A1)などが挙げられる。
用紙は、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる塗工紙であるコート紙又はアート紙を用いることができる。コート紙、又は、アート紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。 コート紙及びアート紙としては、一般に上市されているものを入手して使用できる。たとえば、一般印刷用塗工紙を用いることができ、具体的には、王子製紙(株)製の「OKトップコート+」、日本製紙(株)製の「オーロラコート」、「ユーライト」等のコート紙(A2、B2)、及び三菱製紙(株)製の「特菱アート」等のアート紙(A1)などが挙げられる。
10…インクジェット記録装置、20…給紙部、21…給紙装置、22…給紙トレイ、23…渡し胴、30…処理液塗布部、31…搬送ドラム(処理液塗布ドラム)、32…塗布装置、40…描画部、41…搬送ドラム(描画ドラム)、42…押圧ローラ、43…用紙浮き検出センサ、44…描画ユニット、44C、44M、44Y、44K…インクジェットヘッド、50…乾燥部、51…搬送ドラム(乾燥ドラム)、52…乾燥装置、60…定着部、61…搬送ドラム(定着ドラム)、62…ヒートローラ、63…ヒートローラ、64…インラインセンサ、70…回収部、71…スタッカ、72…排紙コンベア、80…渡し胴、82…ガイド板、84…ドライヤ、90…渡し胴、92…ガイド板、94…ドライヤ、100…渡し胴、102…ガイド板、104…ドライヤ、200…システムコントローラ、201…通信部、202…画像メモリ、203…搬送制御部、204…給紙制御部、205…処理液塗布制御部、206…描画制御部、207…乾燥制御部、208…定着制御部、209…回収制御部、210…操作部、211…表示部、P…用紙
Claims (16)
- 用紙に向けて複数の有色のインクの液滴をインクジェット方式で吐出して、前記用紙に画像を描画する描画手段と、
前記用紙に描画する画像の画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記画像データから前記インクの色ごとのドット配置データを生成するドット配置データ生成手段と、
前記画像を描画した後の前記用紙の部分的な水分量の差が是正されるように、視認されない範囲でドット密度の低い領域にドットを付加して、前記ドット配置データを補正するドット配置データ補正手段と、
前記ドット配置データに従って前記インクの液滴が前記用紙に打滴されるように、前記描画手段を制御する描画制御手段と、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記ドット配置データ補正手段は、ドット密度の低い領域とドット密度の高い領域との境界からドット密度の低い領域に向かって順次ドット密度が低下するように、前記ドット配置データを補正することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記ドット配置データ補正手段は、前記描画手段から吐出する前記インクの中で視認性が最も低いインクの前記ドット配置データのみを補正することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記描画手段から吐出する前記インクの色がイエロ、マゼンタ、シアン、クロの4色の場合に、前記ドット配置データ補正手段は、イエロの前記インクの前記ドット配置データを補正することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記ドット配置データ補正手段が、前記ドット配置データを補正して、ドットを付加する領域は、ドット密度が20%以下の低ドット密度領域であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
- 前記ドット配置データ補正手段は、前記画像を描画した後の前記用紙の前記低ドット密度領域のカラー濃度が0.02以下となるように、前記ドット配置データを補正することを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
- 前記ドット配置データ補正手段は、前記低ドット密度領域のドットの面積率が、10パーセント以下となるように、前記ドット配置データを補正することを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
- 前記ドット配置データ補正手段は、更に前記用紙の情報、前記用紙に対する裏面印刷の有無の情報に基づいて、前記ドット配置データを補正することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 描画手段から用紙に向けて複数の有色のインクの液滴をインクジェット方式で吐出して、前記用紙に画像を描画するインクジェット記録方法において、
前記用紙に描画する画像の画像データを取得するステップと、
前記画像データから前記インクの色ごとのドット配置データを生成するステップと、
前記画像を描画した後の前記用紙の部分的な水分量の差が是正されるように、視認されない範囲でドット密度の低い領域にドットを付加して、前記ドット配置データを補正するステップと、
前記ドット配置データに従って前記描画手段から前記インクの液滴を吐出させて、前記用紙に前記画像を描画するステップと、
からなることを特徴とするインクジェット記録方法。 - ドット密度の低い領域とドット密度の高い領域との境界からドット密度の低い領域に向かって順次ドット密度が低下するように、前記ドット配置データを補正することを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録方法。
- 前記描画手段から吐出する前記インクの中で視認性が最も低いインクの前記ドット配置データのみを補正することを特徴とする請求項9又は10に記載のインクジェット記録方法。
- 前記描画手段から吐出する前記インクの色がイエロ、マゼンタ、シアン、クロの4色の場合に、イエロの前記インクの前記ドット配置データを補正することを特徴とする請求項9又は10に記載のインクジェット記録方法。
- 前記ドット配置データを補正して、ドットを付加する領域は、ドット密度が20%以下の低ドット密度領域であることを特徴とする請求項12に記載のインクジェット記録方法。
- 前記画像を描画した後の前記用紙の前記低ドット密度領域のカラー濃度が0.02以下となるように、前記ドット配置データを補正することを特徴とする請求項13に記載のインクジェット記録方法。
- 前記低ドット密度領域のドットの面積率が、10パーセント以下となるように、前記ドット配置データを補正することを特徴とする請求項13に記載のインクジェット記録方法。
- 更に前記用紙の情報、前記用紙に対する裏面印刷の有無の情報に基づいて、前記ドット配置データを補正することを特徴とする請求項9から15のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011073119A JP2012206337A (ja) | 2011-03-29 | 2011-03-29 | インクジェット記録装置及び方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2011073119A JP2012206337A (ja) | 2011-03-29 | 2011-03-29 | インクジェット記録装置及び方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012206337A true JP2012206337A (ja) | 2012-10-25 |
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JP2011073119A Withdrawn JP2012206337A (ja) | 2011-03-29 | 2011-03-29 | インクジェット記録装置及び方法 |
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JP (1) | JP2012206337A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016172412A (ja) * | 2015-03-18 | 2016-09-29 | 富士フイルム株式会社 | 透明液吐出量決定装置及び方法、並びに画像形成装置及び方法 |
EP3436283B1 (en) * | 2016-06-30 | 2024-03-06 | Hewlett-Packard Development Company, L.P. | Printing with moisture profiles |
-
2011
- 2011-03-29 JP JP2011073119A patent/JP2012206337A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
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US10065429B2 (en) | 2015-03-18 | 2018-09-04 | Fujifilm Corporation | Device and method of determining amount of transparent liquid to be jetted, an image forming apparatus, and an image forming method |
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