JP2012206280A - 液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インク導入路111,410に連通するインク導入口45からコンプライアンス基板40を伝わって、コンプライアンス基板40に形成された開口部47の内面48から保持孔113および貫通孔32に向かうインクの溶媒の流れは、開口部47の内面48を覆う接着剤120によって妨げられ、保持孔113および貫通孔32へ漏れる溶媒の量を減少できる。したがって、インクの溶媒が保持孔113および貫通孔32へ漏れるまでの時間を稼ぐことができ、開口部47の内面48を覆う接着剤120がない構成と比較して、リード電極90とCOF基板210との接触不良が生じるまでの時間が長いインクジェット式記録ヘッド1を得ることができる。
【選択図】図7
Description
流路形成基板の他方面には弾性膜が形成され、弾性膜を挟んで圧力発生室に対向する位置には、圧力発生室内の圧力を変化させてノズル開口から液体を噴射させる圧力発生素子としての圧電素子が配置される。また、流路形成基板の他方面には、圧電素子を保護するための保護基板が設けられる。
ケースヘッドには、リザーバーに液体を導入する液体導入路としてのインク導入路が設けられている。また、コンプライアンス基板には、液体導入口としてのインク導入口が形成されている。ここで、導入される液体は、粘度調節等のために、溶質に応じた溶媒を含む。
液体を噴射するノズル開口に連通した圧力発生室および前記圧力発生室に連通するマニホールドが形成された流路形成基板と、前記圧力発生室毎に設けられた圧力発生素子と、前記圧力発生素子を覆う保護基板と、前記保護基板上に設けられ、前記保護基板との間に前記マニホールドを形成するコンプライアンス基板と、前記圧力発生素子に形成された電極から引き出され、前記保護基板に形成された貫通孔に露出したリード電極と、前記保護基板上に設けられ、前記貫通孔につながる保持孔および液体を導入する液体導入路が形成された保持部材と、前記コンプライアンス基板に設けられ、前記液体導入路と前記マニホールドとに連通する液体導入口と、前記貫通孔および前記保持孔に対応して前記コンプライアンス基板に形成された開口部と、前記貫通孔、前記保持孔および前記開口部を通され、端部が前記リード電極に異方性導電性接着剤によって接続されたフレキシブル配線基板とを備え、前記貫通孔の内面と前記保持孔の内面との間に、前記開口部の内面を底面として凹部が形成され、前記凹部に接着剤が充填されて、前記開口部の内面が前記接着剤によって覆われていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
また、開口部の内面を底面とする凹部に充填された接着剤は、凹部の一部を形成する保護基板および保持部材の表面も覆う。保護基板および保持部材の表面を覆う接着剤は、コンプライアンス基板と保護基板との界面およびコンプライアンス基板と保持部材との界面を伝わって滲み出て、保護基板および保持部材の表面を伝わって保持孔および貫通孔に向かう溶媒の流れを抑える。したがって、溶媒が保持孔および貫通孔へ漏れるまでの時間が稼げ、保護基板および保持部材の表面を覆う接着剤がない構成と比較して、リード電極とフレキシブル配線基板との接触不良が生じるまでの時間が長い液体噴射ヘッドが得られる。
さらに、開口部の内面を底面とする凹部に接着剤が充填されるので、接着剤が保持孔および貫通孔に向かって突出するのを防げる。したがって、フレキシブル配線基板を保持孔および貫通孔になめらかに通せる液体噴射ヘッドが得られる。
上記液体噴射ヘッドであって、前記コンプライアンス基板が貼り合わせ接着剤で接着された複数層からなることを特徴とする液体噴射ヘッド。
この適用例では、コンプライアンス基板が貼り合わせ接着剤で接着された複数層からなるので、溶媒が貼り合わせ接着剤を通って保持孔および貫通孔へ漏れやすいが、開口部の内面を覆う接着剤によって保持孔および貫通孔へ漏れる量が減少する。したがって、溶媒が保持孔および貫通孔へ漏れるまでの時間が稼げ、開口部の内面を覆う接着剤がない構成と比較して、リード電極とフレキシブル配線基板との接触不良が生じるまでの時間が長い液体噴射ヘッドが得られる。
上記液体噴射ヘッドであって、前記保持部材は凸部を備え、前記凸部と前記保護基板とで、前記開口部を取り囲む前記コンプライアンス基板が挟まれていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
この適用例では、凸部が、開口部の内面を底面とする凹部から凸部より先に進む接着剤の流れを抑える。したがって、凸部より先の保持部材とコンプライアンス基板との間に接着剤が浸入しにくいので、コンプライアンス基板の動きに影響を及ぼしにくい。
上記液体噴射ヘッドであって、前記凸部が前記液体導入口を取り囲んで形成されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
この適用例では、凸部が液体導入口を取り囲んで形成されているので、液体導入口に向かう接着剤の流れが凸部によって抑えられる。したがって、接着剤が液体導入口に浸入して突出しにくく、液体が液体導入路からマニホールドへなめらかに流れる液体噴射ヘッドが得られる。
上記液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置。
図1はプリンター1000の概略構成を示す図である。図1中、X方向は、キャリッジ2が移動する主走査方向を示し、Y方向は、記録媒体Pが移送される副走査方向を示している。Z方向は、X方向およびY方向と直交する方向である。
キャリッジ移動機構3は、タイミングベルト6と、駆動プーリー7と、従動プーリー8と、モーター107とを備えている。タイミングベルト6には、キャリッジ2が係止されており、タイミングベルト6は、駆動プーリー7と従動プーリー8とに張設されている。駆動プーリー7は、モーター107の出力軸に接続されている。
モーター107が作動すると、キャリッジ2は、プリンター1000に架設されたガイドロッド9に案内されて、主走査方向であるX方向に往復移動する。プラテンローラー4は、モーター104から駆動力を受け、記録媒体Pを副走査方向であるY方向に移送する。
図2に、実施形態にかかるインクジェット式記録ヘッドユニット11の斜視図を示した。また、図3(a)〜(c)は、インクジェット式記録ヘッドユニット11を示す分解斜視図である。
ここで、図3(c)では、インクジェット式記録ヘッド1を、組み込まれる前の状態で1個のみについて拡大して示している。実際には、5個のインクジェット式記録ヘッド1がインクジェット式記録ヘッドユニット11に組み込まれている。
なお、インクジェット式記録ヘッドユニット11に組み込まれているインクジェット式記録ヘッド1の数は、吐出するインクの種類に応じ、5個に限らない。
ホルダー部材400には、5個のインクジェット式記録ヘッド1に対応して10箇所に液体導入路としてのインク導入路410が形成されている。また、中継基板500にはインク導入路410を通すための孔510が形成されている。
中継基板500は、インク導入路410を孔510に通した状態で、ホルダー部材400の片側から、ホルダー部材400にはめ込まれている。
図2および図3において、インクジェット式記録ヘッド1は、中継基板500のはめ込まれた側とは反対側である記録媒体P側(図1中Z方向下面)から、ホルダー部材400に差し込まれている。ホルダー部材400には、開口部としてのスリット420が、差し込まれるインクジェット式記録ヘッド1に対応して5ヵ所に形成され、中継基板500には開口部としてのスリット520が5ヵ所に形成されている。一対のCOF基板210は、スリット420およびスリット520に通され、配線220は、中継基板500の端子530にそれぞれ接続されている。
また、図6は、インクジェット式記録ヘッド1の部分平面図、図7は、図6におけるA−A概略断面図であり、図2におけるインクジェット式記録ヘッドユニット11のA−A概略断面図である。
流路形成基板10とノズルプレート20と保護基板30とは、流路形成基板10をノズルプレート20と保護基板30とで挟むように積み重ねられ、保護基板30上には、コンプライアンス基板40が設けられている。
COF基板210は、第1の端部211と第1の端部211の反対に位置する第2の端部212とを備えている。図7において、COF基板210の第1の端部211は保護基板30に差し込まれ、第2の端部212は、中継基板500と接続されている。
なお、流路形成基板10は、シリコン単結晶基板以外の材料、例えば、金属板やセラミック板などであってもよい。
また、各列の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通路13が形成され、連通路13と各圧力発生室12とが、圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14を介して連通されている。連通路13は、圧力発生室12の列毎に共通のインク室となるマニホールド100の一部を構成する。マニホールド100については後に詳しく述べる。
インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通路13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
なお、実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路14を形成してもよい。
また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエーター装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55および下電極60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、下電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電素子300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
なお、実施形態では、下電極60を圧電素子300の共通電極とし、上電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。いずれの場合においても、圧力発生室12毎に圧電体能動部が形成されていることになる。
保護基板30の流路形成基板10との反対は凹部で開口しており、開口は、コンプライアンス基板40によって封止されている。なお、マニホールド100は、複数の個別流路の短手方向(幅方向)に亘って連続して設けられている。
なお、実施形態では、流路形成基板10にマニホールド100となる連通路13を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、流路形成基板10の連通路13を圧力発生室12毎に複数に分割して、マニホールド100としてもよい。
延設されたリード電極90は、上電極80に接続されている端部とは反対の他端部側が、貫通孔32の底部に露出している。貫通孔32に露出したリード電極90は、貫通孔32に挿入されたCOF基板210に形成された配線220と第1の端部211で電気的に接続されている。接続は、例えば、異方性導電性接着剤としてのACP600を用いて行なわれている。
ACP600を用いることで、複数のリード電極90を1つのCOF基板210に接続することができるため、ワイヤーボンディングによって各リード電極90と順次接続するのに比べて作業時間を短縮することができ、コストを低減することができる。
COF基板210は可撓性のある基板であり、リード電極90と接続される第1の端部211は略L字型に曲げられている。第1の端部211は対向する圧電素子300に向けて配置されている。COF基板210に実装された駆動回路200によって、各圧電素子300は駆動する。
図7において、封止膜41と固定板42とは、貼り合わせ接着剤700によって接着されている。
また、図5および図6において、固定板42には、固定板開口部43側に突出する突出部44が設けられており、この突出部44には、厚さ方向に貫通してインクが貯留された図1に示したインクカートリッジ5からのインクをマニホールド100に供給するための液体導入口としてのインク導入口45が設けられている。
図4、図5および図6において、実施形態では、突出部44を、供給部101とは反対側に、かつ圧力発生室12の並設方向の一部をマニホールド100に相対向する領域まで突出させるように設けた。このため、インク導入口45は、保護基板30に設けられた供給部101とは圧力発生室12の長手方向における反対側の端部に設けるようにした。このように、インク導入口45を保護基板30の供給部101とは反対側の端部に設けることによって、図1に示したインクカートリッジ5から導入されたインクの動圧による影響が、供給部101を介して圧力発生室12に及ぶのを低減することができる。
実施形態では、可撓部46は、マニホールド100に相対向する領域の保護基板30の供給部101に相対向する領域と、マニホールド100に相対向する領域の固定板42のインク導入口45の周囲とに設けられており、可撓部46は、これらの供給部101に相対向する領域とインク導入口45の周囲とに亘って連続して設けられている。このように、可撓部46を供給部101に相対向する領域とインク導入口45の周囲とに亘って連続して設けることで、可撓部46を広い面積で形成することができ、マニホールド100内のコンプライアンスを増大させて、圧力変動の悪影響によるクロストークの発生を確実に低減させることができる。
図8において、貫通孔32の内面320と保持孔113の内面115との間に、開口部47の内面48を底面として凹部49が形成され、凹部49に接着剤120が充填されて、開口部47の内面48が接着剤120によって覆われている。
また、凹部49に充填された接着剤120は、凹部49の一部を形成する保護基板30およびケースヘッド110の表面も覆う。
接着剤120としては、例えば、シリコン接着剤を用いるのが好ましい。
また、ケースヘッド110には、固定板開口部43に対向する領域に凹部112が形成され、固定板開口部43のたわみ変形が適宜行われるようになっている。
さらに、ケースヘッド110には、保護基板30に設けられた貫通孔32と連通する保持孔113が設けられている。
なお、COF基板210は、貫通孔32および保持孔113に充填されたモールド剤で支持してもよい。
ケースヘッド110の材料としては、例えば、PPSが主成分の樹脂材料、金属材料等が挙げられる。
図9(a)において、接着剤120を、ケースヘッド110に形成された凸部114の保持孔113側に付着させる。
図9(b)において、ケースヘッド110を保護基板30に近づける。このとき、接着剤120は、コンプライアンス基板40の開口部47の内面48を覆いながら、凹部49に充填される。
(1)インク導入路111,410に連通するインク導入口45からコンプライアンス基板40を伝わって、コンプライアンス基板40に形成された開口部47の内面48から保持孔113および貫通孔32に向かうインクの溶媒の流れは、開口部47の内面48を覆う接着剤120によって妨げられ、保持孔113および貫通孔32へ漏れる溶媒の量を減少できる。したがって、インクの溶媒が保持孔113および貫通孔32へ漏れるまでの時間を稼ぐことができ、開口部47の内面48を覆う接着剤120がない構成と比較して、リード電極90とCOF基板210との接触不良が生じるまでの時間が長いインクジェット式記録ヘッド1を得ることができる。
また、開口部47の内面48を底面とする凹部49に充填された接着剤120は、凹部49の一部を形成する保護基板30およびケースヘッド110の表面も覆う。保護基板30およびケースヘッド110の表面を覆う接着剤120は、コンプライアンス基板40と保護基板30との界面およびコンプライアンス基板40とケースヘッド110との界面を伝わって滲み出て、保護基板30およびケースヘッド110の表面を伝わって保持孔113および貫通孔32に向かう溶媒の流れを抑えることができる。したがって、保持孔113および貫通孔32へ漏れる溶媒の量をより減少でき、リード電極90とCOF基板210との接触不良がより減少したインクジェット式記録ヘッド1を得ることができる。したがって、インクの溶媒が保持孔133および貫通孔32へ漏れるまでの時間を稼ぐことができ、保護基板30およびケースヘッド110の表面を覆う接着剤120がない構成と比較して、リード電極90とCOF基板210との接触不良が生じるまでの時間が長いインクジェット式記録ヘッド1を得ることができる。
さらに、開口部47の内面48を底面とする凹部49に接着剤120が充填されるので、接着剤120が保持孔113および貫通孔32に向かって突出するのを防ぐことができる。したがって、COF基板210を保持孔113および貫通孔32になめらかに通せるインクジェット式記録ヘッド1を得ることができる。
例えば、実施形態では、複数のインクジェット式記録ヘッド1を備えたインクジェット式記録ヘッドユニット11について説明したが、一つのインクジェット式記録ヘッド1を備えたものであってもよい。
また、フレキシブル配線基板はCOF基板210に限らず、駆動回路が実装されていないフレキシブル基板であってもよい。
Claims (5)
- 液体を噴射するノズル開口に連通した圧力発生室および前記圧力発生室に連通するマニホールドが形成された流路形成基板と、
前記圧力発生室毎に設けられた圧力発生素子と、
前記圧力発生素子を覆う保護基板と、
前記保護基板上に設けられ、前記保護基板との間に前記マニホールドを形成するコンプライアンス基板と、
前記圧力発生素子に形成された電極から引き出され、前記保護基板に形成された貫通孔に露出したリード電極と、
前記保護基板上に設けられ、前記貫通孔につながる保持孔および液体を導入する液体導入路が形成された保持部材と、
前記コンプライアンス基板に設けられ、前記液体導入路と前記マニホールドとに連通する液体導入口と、
前記貫通孔および前記保持孔に対応して前記コンプライアンス基板に形成された開口部と、
前記貫通孔、前記保持孔および前記開口部を通され、端部が前記リード電極に異方性導電性接着剤によって接続されたフレキシブル配線基板とを備え、
前記貫通孔の内面と前記保持孔の内面との間に、前記開口部の内面を底面として凹部が形成され、
前記凹部に接着剤が充填されて、前記開口部の内面が前記接着剤によって覆われている
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 請求項1に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
前記コンプライアンス基板が貼り合わせ接着剤で接着された複数層からなる
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 請求項1または請求項2に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
前記保持部材は凸部を備え、
前記凸部と前記保護基板とで、前記開口部を取り囲む前記コンプライアンス基板が挟まれている
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 請求項3に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
前記凸部が前記液体導入口を取り囲んで形成されている
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドを備えた
ことを特徴とする液体噴射装置。
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