JP2012205936A - 電子血圧計 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子血圧計において、カフ圧の変動速度を変化させても、その変化に応じて脈波成分を抽出すること。
【解決手段】カフ1と、カフ1内を加圧または減圧する減圧制御手段12と、カフ1内の圧力を検出するカフ圧検出手段2と、を備え、減圧制御手段12によりカフ1内の圧力を減圧する過程において脈波成分を抽出し、その抽出された脈波成分に基づいて血圧値を決定する電子血圧計において、カフ1を加圧した後に減圧する過程において、減圧制御手段12は、カフ圧検出手段2により検出されたカフ圧に応じて、カフ圧の減圧速度を徐々に遅くするように制御する。
【選択図】図1

Description

この発明は、電子血圧計に関し、特に、所定時間離れて抽出されたカフ圧の差と基準値を比較することによってカフ圧が脈波成分であるか否かを判定する電子血圧計に関する。
オシロメトリック式電子血圧計は、生体にカフを巻きつけ、カフ内の圧力変動からカフ圧に重畳された脈波成分を抽出し、抽出された脈波から脈波振幅を算出し、この脈波振幅から最高血圧と最低血圧を決定する構成となっている。脈波成分を抽出する際に、体動やその他の原因によるノイズが発生すると、そのノイズも脈波成分と一緒にカフ圧に重畳されてしまう。このような体動等によるノイズを除去するためにフィルタを用いることが考えられる。しかし、微小ノイズを除去するためには、高性能なバンドパスフィルタが必要となるため、電子血圧計が高価になってしまう。
そこで、バンドパスフィルタを用いずに微小ノイズを除去するようにした電子血圧計が提案されている。例えば、カフ圧を減圧する減圧過程におけるカフ圧を検出し、検出された複数のカフ圧のうち、所定回数離れた抽出周期でカフ圧の差を算出し、算出されたカフ圧の差からカフ圧が増加傾向にあるか、または減少傾向にあるかを判定し、カフ圧が増加傾向にあると判定されたときの抽出周期の中で最小のカフ圧を脈波の開始圧力値とし、カフ圧が減少傾向にあると判定されたときの抽出周期の中で最大のカフ圧を脈波の最大圧力値とし、最大圧力値と開始圧力値との差を脈波振幅とすることによって、微小ノイズを除去するようにした電子血圧計が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
ところで、オシロメトリック式電子血圧計では、動作時にカフで生体を圧迫するため、圧迫されている時間が長くなると、生体の、カフが巻きつけられた部位(例えば、上腕)が鬱血したり、あるいは、鬱血に至らなくても被験者に不快感を与えるおそれがある。そのため、可能な限り圧迫時間を短くする試みがなされている。その一つとして、カフ圧の減圧速度を速めることが試みられている。
特許第3718009号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された電子血圧計では、カフ圧の減圧速度を速めると、脈波成分を正常に抽出することができないという問題点がある。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、所定時間離れて抽出されたカフ圧の差に基づいて脈波成分を検出することによって、バンドパスフィルタを用いずに微小ノイズを除去する電子血圧計において、カフ圧の変動速度を変化させても、その変化に応じて脈波成分を抽出することができる電子血圧計を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる電子血圧計は、カフを加圧または減圧する過程において、所定間隔離れたカフ圧の差を算出し、その算出されたカフ圧の差と基準値とを比較することによって脈波か否かを判定する電子血圧計において、カフ圧の変動速度に応じて前記基準値を変更することを特徴とする。
また、この発明にかかる電子血圧計は、カフと、前記カフを加圧または減圧するカフ圧制御手段と、前記カフ内の圧力を検出するカフ圧検出手段と、前記カフ圧制御手段により前記カフ内の圧力を加圧または減圧する過程において、所定間隔離れたカフ圧の差を算出し、その算出されたカフ圧の差と基準値とを比較することによってカフ圧が脈波成分であるか否かを判定する脈波判定手段と、を備える電子血圧計において、前記カフ圧検出手段から出力される検出信号に基づいてカフ圧の変動速度を算出するカフ圧変動速度算出手段を有し、該カフ圧変動速度算出手段により算出されたカフ圧の変動速度に応じて前記基準値を変更することを特徴とする。
また、この発明にかかる電子血圧計は、上記の発明において、前記脈波判定手段は、前記カフ圧検出手段により所定の抽出周期で繰り返し検出される検出信号のうちの所定回数離れた抽出周期で検出されたカフ圧の差を算出し、その算出されたカフ圧の差と基準値とを比較することによってカフ圧が脈波成分であるか否かを判定することを特徴とする。
また、この発明にかかる電子血圧計は、上記の発明において、前記カフ内の圧力を減圧する過程において脈波成分を抽出する電子血圧計であって、前記カフ圧制御手段は、前記カフ圧検出手段により検出されたカフ圧に応じて、カフ圧の減圧速度を徐々に遅くするように制御することを特徴とする。
また、この発明にかかる電子血圧計は、上記の発明において、カフ圧の減圧速度の低下に伴って前記基準値の設定が変更されたときは、その変更直後の1拍についてのみ、変更前の基準値を適用するようにしたことを特徴とする。
また、この発明にかかる電子血圧計は、上記の発明において、カフ圧の減圧速度の低下に伴って前記基準値の設定が変更されたときは、その変更直後の所定時間についてのみ、変更前の基準値を適用するようにしたことを特徴とする。
また、この発明にかかる電子血圧計は、上記の発明において、変更前の基準値を適用するようにするのは、1拍以上の脈波を検出した後とすることを特徴とする。
また、この発明にかかる電子血圧計は、カフと、前記カフ内を加圧または減圧するカフ圧制御手段と、前記カフ内の圧力を検出するカフ圧検出手段と、を備え、前記カフ圧制御手段により前記カフ内の圧力を減圧する過程において脈波成分を抽出し、その抽出された脈波成分に基づいて血圧値を決定する電子血圧計において、前記カフを加圧した後に減圧する過程において、前記カフ圧制御手段は、前記カフ圧検出手段により検出されたカフ圧に応じて、カフ圧の減圧速度を徐々に遅くするように制御することを特徴とする。
この発明によれば、カフ圧検出手段から出力される検出信号からカフ圧の変動速度を算出するカフ圧変動速度算出手段を有し、このカフ圧変動速度算出手段により算出されたカフ圧の変動速度に応じて基準値を変更するので、変動速度を変化させたときに、それに伴い判定に要する基準値も変更される。また、基準値の変更直後の1拍または所定時間についてのみ、変更前の基準値を適用することにより、基準値の変更直後でも脈波を検出することができる。従って、カフ圧の変動速度が変化しても脈波成分を正常に抽出でき、その結果として、血圧測定にかかる時間を短縮することができる。
本発明にかかる電子血圧計によれば、カフ圧の変動速度を変化させても、その変化に応じて脈波成分を抽出することができるという効果を奏する。
図1は、この発明の実施の形態にかかる電子血圧計の全体構成を示すブロック図である。 図2は、この発明の実施の形態にかかる電子血圧計の基準値設定テーブルの一例を示す図表である。 図3は、この発明の実施の形態にかかる電子血圧計の血圧測定手順を示すフローチャートである。 図4は、この発明の実施の形態にかかる電子血圧計の血圧測定手順を示すフローチャートである。 図5は、この発明の実施の形態にかかる電子血圧計の血圧測定手順を示すフローチャートである。 図6は、この発明の実施の形態にかかる電子血圧計の血圧測定手順を示すフローチャートである。 図7は、この発明の実施の形態にかかる電子血圧計の脈波判定処理を説明する説明図である。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる電子血圧計の好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1は、この発明の実施の形態にかかる電子血圧計の全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、電子血圧計は、カフ1、カフ圧検出手段2、加圧手段3、減圧手段4、表示手段5、操作手段6およびマイクロコンピュータ(以下、マイコンとする)7を備えている。カフ1と、カフ圧検出手段2、加圧手段3および減圧手段4とは、チューブ8により接続されている。
カフ圧検出手段2は、カフ1の圧力を検出する。カフ圧検出手段2は、例えば、圧力センサにより構成されている。加圧手段3は、マイコン7の出力信号に基づいて、カフ1を加圧する。加圧手段3は、例えば、空気等の流体(以下、単に空気等とする)をカフ1へ送り出すポンプにより構成されている。
減圧手段4は、マイコン7の出力信号に基づいて、カフ1の圧力を降下させる。減圧手段4は、例えば、カフ1内の空気等を微速および急速に排気する排気弁により構成されている。この排気弁は、血圧測定時に微速排気が可能な開度で開き、カフ1を徐々に減圧する。また、排気弁は、血圧測定終了時に全開となり、カフ1を急速に減圧する。なお、減圧手段4は、カフ1内の空気等を微速に排気する微速排気弁と、急速に排気する急速排気弁を有する構成となっていてもよい。
表示手段5は、マイコン7により決定された最高血圧値および最低血圧値を表示する。表示手段5は、例えば、液晶表示パネルと、その液晶表示パネルの表示制御を行う制御手段により構成されている。表示手段5は、脈拍数や時間を表示するように構成されていてもよい。
操作手段6は、血圧測定時に被験者により操作される各種ボタンやスイッチ等を有する。例えば、電源ボタンを兼ねた測定開始ボタンや、被験者の識別子を入力するためのユーザIDボタンや、加圧値を設定するためのスイッチや、測定結果を記憶させるためのメモリーボタンなどが設けられている。
マイコン7は、加圧制御手段11、減圧制御手段12、血圧値決定手段13、カフ圧変動速度算出手段14、基準値変更手段15および脈波判定手段16を備えている。マイコン7を構成するこれらの手段は、マイコン7が血圧測定プログラムを実行することにより実現される。加圧制御手段11および減圧制御手段12は、カフ圧制御手段を構成する。
加圧制御手段11は、カフ圧検出手段2により検出されたカフ1の圧力値に基づいて、加圧手段3を構成するポンプの駆動制御を行う。例えば、カフ1の加圧中にカフ1の圧力が所定の圧力に達すると、加圧制御手段11は、ポンプを停止させる。カフ圧変動速度算出手段14は、カフ圧検出手段2から出力されるカフ圧の検出信号に基づいてカフ圧の減圧速度を算出する。
減圧制御手段12は、カフ1の加圧終了後、排気弁を開いてカフ1から空気等を微速排気させる。その際、減圧制御手段12は、カフ圧変動速度算出手段14により算出された減圧速度が目標減圧速度になるように、排気弁の開度の制御を行う。また、減圧制御手段12は、血圧測定終了時に、血圧値決定手段13からの通知に応答して、排気弁を全開にする。
基準値変更手段15は、カフ圧変動速度算出手段14により算出された減圧速度に基づいて、例えば、後述するように、基準値設定テーブル(図2参照)に基づいて、カフ圧が脈波成分であるか否かを判定するための基準値を変更する。この基準値設定テーブルは、マイコン7に内蔵された不揮発性のメモリに記憶されていてもよいし、マイコン7が実行する血圧測定プログラムに記述されていてもよい。
脈波判定手段16は、カフ1の微速減圧時に、カフ圧検出手段2により所定の抽出周期で繰り返し検出される検出信号のうちの所定回数離れた抽出周期で検出されたカフ圧の差を算出する。例えば、カフ圧検出手段2は、10msの抽出周期で繰り返しカフ圧を検出し、脈波判定手段16は、10msごとに検出されるカフ圧の検出信号のうち、5回離れた抽出周期で検出されたカフ圧の差を算出する。この場合、脈波判定手段16は、10msごとに、50ms離れて検出された2つのカフ圧の差を算出する。
また、脈波判定手段16は、算出されたカフ圧の差と前記基準値とを比較することによってカフ圧が脈波成分であるか否かを判定する。その際、脈波判定手段16は、1拍以上の脈波を検出した後、前記基準値が変更されたときは、その変更直後の1拍についてのみ、変更前の基準値を適用して、脈波成分の判定を行う。
血圧値決定手段13は、脈波判定手段16により検出された脈波成分に基づいて、例えば、周知のオシロメトリック法による血圧決定アルゴリズムにより、最高血圧値および最低血圧値を決定する。決定された血圧値は、表示手段5に表示される。また、血圧値決定手段13は、血圧値を決定すると、排気弁を全開にさせるために、減圧制御手段12に測定終了を通知する。
図2は、基準値設定テーブルの一例を示す図表である。図2に示すように、特に限定しないが、例えば、カフ1の減圧速度が7.2mmHg/s以上であるときの基準値は、−0.2mmHgである。カフ1の減圧速度が7.2mmHg/s未満で、かつ5.0mmHg/s以上であるときの基準値は、−0.1mmHgである。カフ1の減圧速度が5.0mmHg/s未満であるときの基準値は、0.0mmHgである。なお、基準値を設定する際の減圧速度の臨界値、および基準値は、図2に示す値に限らないし、また、基準値を2段階または4段階以上に分けてもよい。
図3〜図6は、この発明の実施の形態にかかる電子血圧計の血圧測定手順を示すフローチャートである。また、図7は、この発明の実施の形態にかかる電子血圧計の脈波判定処理を説明する説明図である。ここでは、カフ圧の抽出周期を10msとし、5回離れた抽出周期で検出されたカフ圧の差を算出する場合を例にして説明する。図3に示すように、被験者の上腕等にカフ1が巻かれ、操作手段6の測定開始ボタン等が被験者により操作されて血圧測定処理が開始されると、まず、加圧制御手段11は、加圧手段3を駆動してカフ1の加圧を開始する(ステップS1)。
そして、カフ1の圧力が加圧停止圧値に達したか否かを判断する(ステップS2)。加圧停止圧値に達しなければ(ステップS2:No)、加圧制御手段11は、加圧手段3によるカフ1の加圧を続ける。加圧停止圧値に達すれば(ステップS2:Yes)、加圧制御手段11は、加圧手段3による加圧を終了する(ステップS3)。
次いで、脈波判定手段16は、脈波認定フラグJ、初脈波フラグFWおよび減圧速度変更脈波フラグFをリセットし、それらの値をすべて0にする。また、脈波判定手段16は、カウンタの値Cを0にし、カフ圧検出手段2により検出されたカフ圧のデータを格納するためのメモリ(0)、メモリ(1)、メモリ(2)、メモリ(3)、メモリ(4)およびメモリ(5)をリセットする(ステップS4)。これらのフラグ、カウンタおよびメモリは、マイコン7に設けられている。
次いで、カフ圧変動速度算出手段14は、加圧停止圧(カフ圧P)から現在の減圧速度VPを算出する。基準値変更手段15は、現在の減圧速度VPに応じた基準値SPと脈終了判断基準値SEを算出する。ここでは、VP、SPおよびSEの各値は、仮の値である。そして、減圧制御手段12は、減圧手段4による減圧を開始する。同時に、脈波判定手段16は、減圧タイマの値t1を0からスタートさせる(ステップS5)。この減圧タイマは、マイコン7に設けられている。
次いで、脈波判定手段16は、減圧タイマの値t1に基づいて10ms(抽出周期)が経過したか否かを判断する(ステップS6)。10msが経過しなければ(ステップS6:No)、経過するまで待つ。10msが経過した時点で(ステップS6:Yes)、カフ圧検出手段2は、カフ圧Pを検出する(ステップS7)。次いで、カフ圧変動速度算出手段14は、周知の方法により、カフ圧Pから目標とする減圧速度Vを算出する(ステップS8)。減圧手段4である排気弁は、カフ1の圧力が高圧であるときには細かい制御が可能であるが、カフ1の圧力が低圧になるに従い細かい制御が難しくなる。これは、カフ1の圧力が低圧になると、いくら排気弁を開いてもカフ1内の空気等がカフ1から思うように排出されないためである。このため、本発明の減圧制御手段12では、(1)50mmHg未満、(2)50mmHg以上150mmHg未満、(3)150mmHg以上の3つの領域に分け、カフ1の圧力がこれら3つの領域のどこに位置しているかで目標とするカフ1の減圧速度Vを算出している。前述の如く、カフ1の圧力が高圧であるときには細かい制御が可能であるが、カフ1の圧力が低いときには細かい減圧制御ができなくなるため、減圧制御手段12は、カフ1の圧力が高圧の領域(3)にあるときには、減圧速度を速く、かつ、定速となるように制御し、カフ1の圧力が低圧の領域(1)にあるときには、減圧速度を遅く、かつ、定速となるように制御する。一方、カフ1の圧力が領域(2)にあるときには、低圧になるに従い減圧速度が遅くなるような連続関数的減圧速度となるように制御する。従って、血圧測定時において、カフ1の減圧速度は、徐々に遅くなるように制御されることになる。
次いで、カフ圧変動速度算出手段14は、検出したカフ圧Pから現在の減圧速度VPを算出する。(ステップS9)。そして、基準値変更手段15は、ステップS8で求めた減圧速度Vから基準値Sと脈終了判断基準値SEを算出する(ステップS10)。さらに、脈波判定手段16は、ステップS10で求めた基準値Sが現在の基準値SPに等しくないか否かを判断する(ステップS11)。なお、ステップS10で現在の減圧速度VPを用いて基準値Sを算出してもよい。
SとSPが等しければ(ステップS11:No)、ステップS13へ進む。SとSPが等しくなければ(ステップS11:Yes)、脈波判定手段16は、現在の基準値SPを変更前の基準値SBとし、ステップS10で求めた基準値Sを新たに現在の基準値SPとし、減圧速度変更脈波フラグFの値を1にする(ステップS12)。そして、ステップS13へ進む。ステップS13では、減圧制御手段12は、現在の減圧速度VPが、ステップ8で求めた減圧速度Vとなるようにカフ1の減圧制御を行いステップS14へ進む。
ステップS14では、脈波判定手段16は、メモリ(0)、メモリ(1)、メモリ(2)、メモリ(3)およびメモリ(4)に格納されたデータを、順次シフトして、メモリ(1)、メモリ(2)、メモリ(3)、メモリ(4)およびメモリ(5)に格納し直す(ステップS14)。次いで、脈波判定手段16は、メモリ(0)に、ステップS7で検出したカフ圧Pのデータを格納する(ステップS15)。
次いで、脈波判定手段16は、メモリ(5)に格納されているデータが0でないか否かを判断する(ステップS16)。メモリ(5)の格納データが0であれば(ステップS16:No)、カフ1の減圧開始後、6個目のカフ圧の抽出タイミングに達していないので、ステップS6に戻る。メモリ(5)の格納データが0でなければ(ステップS16:Yes)、脈波判定手段16は、減圧速度変更脈波フラグFの値が1であり、かつ、初脈波フラグFWの値が1であるか否かを判断する(ステップS17)。初脈波の場合は、変更前の基準値が存在しない場合もあるため、ステップS10で算出された直近の基準値SPを最終的な基準値SCとする。このような理由から、ステップS17の判断に初脈波であるかどうかの判断を加えている。
脈波判定手段16は、FとFWの値がともに1であれば(ステップS17:Yes)、変更前の基準値SBを最終的な基準値SCとし(ステップS18)、FおよびFWのうちの少なくとも一方の値が0であれば(ステップS17:No)、現在の基準値SPを最終的な基準値SCとする(ステップS19)。最終的な基準値SCが決まったら、脈波判定手段16は、メモリ(0)に格納されているカフ圧のデータからメモリ(5)に格納されているカフ圧のデータを減算し、その値をXとする(ステップS20)。
次いで、脈波判定手段16は、ステップS20で算出したXが最終的な基準値SCよりも大きいか否かを判断する(ステップS21)。XがSC以下であれば(ステップS21:No)、ステップS30へ進む。XがSCよりも大きければ(ステップS21:Yes)、ステップS22へ進む。図7に示す例では、M1で示す線分が、XがSCよりも大きい場合である。
ここで、図7において、白丸印は、所定の抽出周期(10ms)ごとにカフ圧検出手段2により検出されるカフ圧を示す。また、M1、M2、M3、M4およびM10で示す各線分は、各抽出周期におけるメモリ(0)の格納データ(線分の右端)とメモリ(5)の格納データ(線分の左端)を結ぶ線分である。なお、XもSCもPSを基準とするマイナスの値である(図7参照)。PSは、脈の開始点の圧力である。
ステップS22では、脈波判定手段16は、カウンタの値Cが0であるか否かを判断する(ステップS22)。このカウンタは、ステップS21でXがSCよりも大きい場合(Yesの場合)の回数を計数する。Cが0でなければ(ステップS22:No)、ステップS24へ進む。Cが0であれば(ステップS22:Yes)、脈波判定手段16は、メモリ(5)の格納データを脈の開始点の圧力PSとする。また、脈波判定手段16は、減圧タイマの値t1から50msを減算することによって、脈の開始点の時刻tsを算出する。そして、脈波判定手段16は、このときの脈波高Hの最大値Hmaxを0として(ステップS23)、ステップS24へ進む。
ステップS24では、脈波判定手段16は、脈波高Hを算出する。脈波高Hは、次の式により求められる(図7参照)。
H=[メモリ(0)の格納値]−{PS−(t1−ts)・V}
次いで、脈波判定手段16は、ステップS24で算出された脈波高Hが脈波高の最大値Hmaxよりも大きいか否かを判断する(ステップS25)。HがHmax以下であれば(ステップS25:No)、ステップS27へ進む。HがHmaxよりも大きければ(ステップS25:Yes)、脈波判定手段16は、脈波高の最大値Hmaxを脈波高Hで更新し(ステップS26)、ステップS27へ進む。
ステップS27では、脈波判定手段16は、カウンタの値Cをインクリメントし、C+1とする(ステップS27)。次いで、脈波判定手段16は、カウンタの値Cが所定の値B以上であるか否かを判断する(ステップS28)。このBの値は、被験者の血圧に応じて設定されるようになっていてもよい。例えば、Bの値を、低血圧の人に対しては2とし、通常の血圧の人に対しては4としてもよい。
CがBよりも小さければ(ステップS28:No)、ステップS6に戻る。CがB以上であれば(ステップS28:Yes)、脈波判定手段16は、脈として認定し、脈波認定フラグJの値を1とする(ステップS29)。そして、ステップS6に戻る。
ステップS21で、ステップS20で算出したXが最終的な基準値SC以下であれば(ステップS21:No)、ステップS30へ進むとした。ステップS30では、脈波判定手段16は、Xが脈終了判断基準値SE以下であるか否かを判断する(ステップS30)。XがSEよりも大きければ(ステップS30:No)、脈波判定手段16は、脈波認定フラグJの値が1であるか否かを判断する(ステップS31)。Jの値が0であれば(ステップS31:No)、脈波判定手段16は、カウンタの値Cを0にして(ステップS33)、ステップS6に戻る。Jの値が1であれば(ステップS31:Yes)、ステップS24へ進む。
一方、ステップS30でXがSE以下であれば(ステップS30:Yes)、脈波判定手段16は、脈波認定フラグJの値が1であるか否かを判断する(ステップS32)。図7に示す例では、M10で示す線分が、XがSE以下の場合である。Jの値が0であれば(ステップS32:No)、脈波判定手段16は、カウンタの値Cを0にして(ステップS33)、ステップS6に戻る。Jの値が1であれば(ステップS32:Yes)、このときの脈波高の最大値Hmaxをメモリに記憶する(ステップS34)。このときのHmaxが、今回の脈の脈波高となる。
次いで、脈波判定手段16は、脈波認定フラグJ、減圧速度変更脈波フラグFの値を0にし、初脈波フラグFWの値を1にする。また、脈波判定手段16は、カウンタの値Cを0にし、メモリ(0)〜メモリ(5)をリセットする(ステップS35)。次いで、血圧値決定手段13は、周知の血圧決定アルゴリズムにより、血圧測定を行い、最高血圧値と最低血圧値を算出する(ステップS36)。
次いで、血圧値決定手段13は、最低血圧値を算出できたか否かを判断する(ステップS37)。最低血圧値を算出できない場合(ステップS37:No)、ステップS6に戻る。最低血圧値を算出できた場合(ステップS37:Yes)、血圧値決定手段13は、表示手段5に最高血圧値と最低血圧値を表示し(ステップS38)、血圧測定を終了する。
なお、上述した実施の形態では、脈波成分の判定を行う際に、基準値の変更直後の1拍についてのみ、変更前の基準値を適用するとしたが、これに限らず、例えば、基準値の変更直後の所定時間についてのみ、変更前の基準値を適用するようにしてもよい。すなわち、脈波判定手段16は、1拍以上の脈波を検出した後、基準値の設定が変更されたときは、その変更直後の所定時間についてのみ、変更前の基準値を適用する。
この場合には、上述したフローチャートの説明において、ステップS12に、脈波判定手段16が減圧速度変更タイマの値t2を0からスタートさせることが追加される。この減圧速度変更タイマは、マイコン7に設けられる。また、ステップS17で、脈波判定手段16は、減圧速度変更タイマの値t2が所定の値Aよりも小さく、かつ、初脈波フラグFWの値が1であるか否かを判断する。そして、脈波判定手段16は、t2がAよりも小さく、かつ、FWの値が1であれば(ステップS17:Yes)、ステップS18へ進み、t2がA以上であるか、または、FWの値が0であれば(ステップS17:No)、ステップS19へ進む。それ以外の各ステップの処理は、上述したとおりである。
以上説明したように、実施の形態によれば、カフ圧変動速度算出手段14により算出されたカフ圧の減圧速度に応じて基準値を変更するので、減圧速度を変化させたときに、それに伴い判定に用いる基準値が変更される。従って、脈波成分を正常に抽出できる。また、従来は、基準値の変更直後に脈波を検出できないことがあったが、基準値の変更直後の1拍または所定時間についてのみ、変更前の基準値を適用することにより、基準値の変更直後でも脈波を検出することができる。以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、種々変更可能である。例えば、カフ内の圧力を加圧する過程において脈波成分を抽出し、血圧を決定する電子血圧計であってもよい。
以上のように、本発明にかかる電子血圧計は、バンドパスフィルタを用いずに微小ノイズを除去する電子血圧計に有用であり、特に、所定時間離れて抽出されたカフ圧の差に基づいて脈波成分を検出する機能を有する電子血圧計に適している。
1 カフ
2 カフ圧検出手段
3 加圧手段
4 減圧手段
14 カフ圧変動速度算出手段
15 基準値変更手段
16 脈波判定手段

Claims (1)

  1. カフと、前記カフ内を加圧または減圧するカフ圧制御手段と、前記カフ内の圧力を検出するカフ圧検出手段と、を備え、前記カフ圧制御手段により前記カフ内の圧力を減圧する過程において脈波成分を抽出し、その抽出された脈波成分に基づいて血圧値を決定する電子血圧計において、
    前記カフを加圧した後に減圧する過程において、前記カフ圧制御手段は、前記カフ圧検出手段により検出されたカフ圧に応じて、カフ圧の減圧速度を徐々に遅くするように制御することを特徴とする電子血圧計。
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