JP2012203267A - 低反射構造を成型するための原版並びにその製造方法 - Google Patents

低反射構造を成型するための原版並びにその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エッチング工程のみによって、原版の表面に微細構造を形成する場合に比較して、構造先端面、或いは底面側の隙間に存在する平坦面を減らすことが可能となり、その結果、この原版を用いて製造される部材における表面反射抑制能力の向上が期待できる。
【解決手段】シリコン基板を用いて原版を製造する際、エッチングによって微細な順テーパー構造を形成した後、基板全体を熱酸化することによって、その微細構造を膨張させ、これによって、構造先端面或いは底面側の隙間に存在する平坦面の割合を可能な限り減少させる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、表面に微細構造を形成することによって、材料表面での反射率を著しく低減させる低反射構造を成型するための原版並びにその製造方法に関する。
各種の光学部材の表面における反射の抑制は、光学材料を用いる幅広い分野において切望されている。例えば、液晶ディスプレイなどの表面に貼付されるフィルム表面での反射が大きい場合、ディスプレイ表面に、外部の照明や風景などが映り込むため、本来表示している画像・映像等が視認しづらくなるといった問題が生じる。このような問題を解決するため、表面の反射率を低減するための取り組みが多く成されている。
光がある物質から他の物質に入射した場合、この2つの物質間に屈折率の差があると、入射した光の一部が反射する。先に例を挙げたディスプレイ表面での映り込みなどは、この物理現象に起因するものである。この時、この反射は2つの物質間の屈折率の差が大きいほど大きくなることが、理論的に広く知られている。
言い換えると、反射を抑制するためには、2つの物質間での屈折率差を低減すれば良い。異なる2種類の材質のフィルム等を貼り合わせるような場合には、各々の材質や使用する接着剤などの屈折率を極力近いものに調整することで、貼り合わせ界面での反射を低減できることは明らかである。
しかし、上述したディスプレイの場合等、最も広く問題になるのは、空気中に配置された板やフィルム表面での反射である。空気の屈折率はほぼ1という非常に低い値であり、この値にごく近い屈折率を持つ材料というのは、事実上存在しないと言って良い。このため、このような条件で反射を低減するためには、材料本来の光学的特性を調整する以外の対策が必要となる。
そのような対策の一手法として、材質表面に、入射光の波長よりも短い微細構造パターンを形成する手法が知られている。例えば、そのような微細構造パターンが形成されたフィルムを空気中に配置した場合、微細構造パターンが形成されている領域では、屈折率の値は見かけ上、空気とフィルムの各々の値の中間的な値となる。その値は、領域に占める空気の割合が大きいほど空気の屈折率に近くなり、逆にフィルムの材質の占める割合が大きい場合は、フィルムの屈折率に近づく。
図1(a)に示すように、微細構造パターン12が、例えば円柱や角柱といった構造であって、深さ方向に形状の変化が無い場合は、あたかも屈折率が空気とフィルム材質の中間の値を持つ薄膜を表面に成膜したような性質を示す。この場合、空気から平滑なフィルム表面に光が入射する場合に比べると低い反射率を示すと考えられるが、結局、微細構造パターンの上面と下面でそれぞれ屈折率の変化が生じるので、それに対応した率で光が反射することになる。
一方、図1(b)のように、微細構造パターン13が順テーパー形状となっている場合を考える。この場合、空気とフィルム材質の占める割合が、深さ方向で連続的に変化することになるので、見かけの屈折率も、深さ方向で連続的に変化するものと考えられる。屈折率の不連続な変化が生じない限り、光の反射は生じないはずであるから、この部分では原理上、光は反射しないはずである。しかし、図1(b)に微細順テーパー構造13の最上面と最下面では、その水平断面に空気とフィルム材質との両方がある一定の割合で存在するので、屈折率の不連続が生じ、図1(a)の場合よりは少ないものの、一定量の光が反射すると考えられる。
そこで、更に一歩進めて、図1(c)のように、微細構造14が先端の尖った錘状構造で、底面側で接しているような構造とした場合を考える。この場合、微細構造14の水平断面において、フィルム材質の占める割合は、深さ方向に対して0〜1まで連続的に変化することは、幾何的に明らかである。その結果、見かけ上の屈折率は、空気の値からフィルム材質の値まで連続的に変化することになるので、原理上は光の反射が生じないことになる。
このように、表面の微細構造パターンによって反射率を低減する効果を高めるには、図1(c)に示したような形状が最適である。但し、対象となる微細パターンは、先述したように可視光の波長と同程度、或いはそれ以下という小さいものなので、機械加工等の手法で製作するのは現実的手法とは言えず、何らかの手法を用いて一括的に微細構造を形成する必要がある。
基材表面に微細な凹凸を、ある程度一括で形成する方法として容易に考えられるのが、エッチングによる手法である。エッチングの方式は、薬液を用いるウェットエッチングと、ガスやプラズマを用いるドライエッチングに大別される。どちらの方式を用いるかを限定する必要は無いが、nmレベルの微細構造パターンを形成するには、プラズマを用いたドライエッチングを用いるのが一般的である。
また、基材がフィルムのように柔らかい樹脂の場合には、ホットエンボスやナノインプリント等の表面パターン転写技術、或いは射出成型といった樹脂成形技術を用いることもできる。しかし、この場合は成型の原版(或いはモールド、テンプレートなどとも呼ばれる)が必要となり、この原版の表面には、やはりドライエッチングなどの手法を用いて微細な凹凸構造を形成する必要がある。
エッチングで微細パターンを形成する場合、一般的には、それに対応したエッチングマスクを基材表面に準備する必要がある。代表的なのは、レジストと呼ばれる樹脂材料で形成したパターンをマスクとして用いる手法である。レジストパターンの形成方法としては、紫外光や電子線を用いたリソグラフィーが代表的だが、その他に、樹脂の自己組織化やブロック・コポリマーを用いる方法なども存在する。また、例えばアルミニウム基材の陽極酸化とウェットエッチングを併用するような方式で、レジストマスクもリソグラフィー技術も用いず、微細構造を形成する手法も存在する。
J. Electrochem. Soc., vol. 129, 1278 (1982) Appl. Phys. Lett., vol.75, 4076 (1999)
ここでは、レジストマスクを用いて、ドライエッチングによって微細構造を製作する場合を考えることとする。ドライエッチングでは、一般的には図1(a)に示したように、垂直な側壁形状を有する構造を得ることを目的とする。このため、図1(b),(c)に示すような順テーパー側壁を得るには、エッチング条件を大きく変更する必要があり、また、必ずしも所望のテーパー角度の側壁が得られるとは限らない。但し、適当なエッチング条件が得られれば、図1(b)のような順テーパー構造を得ること自体は、それ程困難なことではない。
しかしながら、仮に順テーパー側壁を得るエッチング条件を確立し、図1(b)に示すような構造を得ることができたとしても、それを更に進めて図1(c)のように、全体が順テーパー面で構成される構造を得るには、更なる困難が生じる。その理由を、図2を用いて以下に詳述する。
ドライエッチングで基板21の表面に順テーパー側壁を得るには、大別して、大きなレジストマスク22を、エッチング過程で収縮させながらエッチングして順テーパー構造23を得る方式(図2(a))と、小さなレジストマスク24でエッチングを開始し、エッチング中に側壁保護膜を過剰に堆積させることで、パターンが太るようにエッチングして順テーパー構造25を得る方式(図2(b))が考えられる。
単に順テーパー側壁を得る方式としての観点では、どちらの方式にも利点と欠点があり、どちらかが決定的に優れているということは言えない。そのため、所望の形状や寸法に応じて、どちらの方式を採用するかを選べば良い。しかし、どちらの方式を用いたとしても、図1(c)に示したような、先端が尖った凸構造が、底面側で接している微細パターンを形成するのは容易ではない。
なぜなら、まず図2(a)の方式の場合、レジストマスク22を収縮させ、完全に消滅するまでエッチングを続ければ、順テーパー構造23の先端幅をほぼ0にすること自体はそれ程難しくない。しかし、この方法はエッチング中にレジストマスク22の幅が小さくなっていくのであるから、基本的には、最終的な順テーパー構造23の幅は、レジストマスク22の初期の幅と等しいか、それより小さくなるはずである。
ところが、レジストマスク22がパターンとして解像している以上、その隣接パターン間には有限の隙間が生じているはずであり、一般的には、最小でも50nm程度の隙間を開けざるを得ない。この状態からレジストマスク22が収縮しながら、エッチングされる順テーパー構造23が細っていくということは、その順テーパー構造23が隣同士で接することは無い、という点は明らかである。つまり、この方式では、先端部の幅をほぼ0にすることはできるが、底面側を接するようにエッチングするのは困難である。
次に、図2(b)の方式の場合を考える。この場合は、エッチング中に順テーパー構造25が太っていくようにエッチングするので、エッチングの進行につれて順テーパー構造25の底面側の隙間は狭くなっていく。その結果、順テーパー構造25同士がほぼ接して、隙間が殆ど無い状態とすることが可能である。しかしその一方で、順テーパー構造25の上面側の先端を尖らせることは容易ではない。なぜなら、この方式では基本的に、エッチング中に順テーパー構造25が太っていくように、側壁保護性の高いエッチング条件を採用することになる。このため、エッチング中にレジストマスク24が縮小しにくくなるため、最終的な順テーパー構造25の先端幅も、エッチング開始時のレジストマスク24の幅から大きくシュリンクすることが無い。このため、反射率を下げるために先端部を狭くするには、レジストマスク24の幅を可能な限り小さくする必要がある。
しかし、例えば50nm以下といった非常に幅の狭いレジストパターンを形成しようとしても、レジストと基材表面との密着力が低下して、レジストマスク24が基板21表面から剥離してしまうという問題が発生する。このため、レジストパターン24の幅は、現実的には最低でも50nm程度の幅でしか形成することができず、その結果、エッチング後の順テーパー構造25の先端に平坦部が残ってしまうのである。
以上の理由から、ドライエッチングを用いた場合、図1(b)に示すような構造を得ることは比較的容易であるが、より低反射特性に優れた図1(c)に示すような構造を得ることは難しいことが分かる。
これまで述べたように、エッチングのみを用いて図1(c)のような構造を得ることは困難である。そこで、本発明では、エッチングで比較的容易に形成できる図1(b)のような構造を得た後、更に他のプロセスを組み合わせることで、結果的に図1(c)のような構造を得ることとした。
図1(b)から図1 (c)のような構造を得るには、底面側の隙間を埋めるとともに、先端部を尖らせるか丸めることによって、平坦面を極力無くす必要がある。但し、エッチングのような除去的手法では、これまでに述べてきた点と同じ問題点が生じる可能性が高く、底面側と先端部の両者に対応することは難しい。そこで、除去的な手法ではなく、成膜などの付加的な方法を考える必要がある。
そのような方法として、まず考えられるのが、スピンコートやスプレーコートなどのウェットコーティング法である。この手法では、凹凸面に適当な厚さで膜を形成してやれば、表面張力によってコーティングした膜の表面は曲線を描く。このため、平坦面を無くすという目的には一見適しているように見える。しかし、実際には重力や毛細管力の作用によって、コートした吐液は、幅の狭い底面側に集まることになる。このため、底面側の隙間が埋まってしまうため、所望の形状が得られなくなるといった問題が生じる。
次に、ウェットコーティングの代わりに、スパッタリングや蒸着などのドライコーティングを使うことを考える。この場合、重力や毛細管力によって底面側の隙間が選択的に埋まるといった問題は生じにくい。しかし、逆に先端部を尖らせたり丸めたりする効果が期待しにくいため、やはり所望の形状が得られないといった問題が生じやすい。成膜する膜厚を大きくすれば、先端部は丸くなりやすくなるが、その場合は逆に底面側の隙間が埋まってしまう可能性が高いため、やはり適当な手法とは言えない。
以上のような諸問題を解決するために、本発明では、図1(b)のような微細構造が形成されたシリコン基板を熱酸化するプロセスを採用する。熱酸化は、厳密に言えばコーティングのような付加的工程ではない。表面のシリコンと酸素を化学的に結合させる、一種の表面改質工程である。しかし、熱酸化では、基板表面のシリコンに酸素が結合して酸化膜を形成する際、反応領域の体積が膨張することが知られている。本発明では、この局所的な膨張を活用する。
シリコンを酸化する際に、表面に凹凸や開口があると、その形状によって形成される酸化膜の厚さが局所的に変化する現象が知られている(非特許文献1参照)。
更に、この現象を利用して、走査プローブ顕微鏡等に用いるプローブに微小な開口を設け、近接場光デバイスとして用いる試みがなされている。(非特許文献2参照)。
非特許文献1,2に記載されている内容によれば、比較的低温(例えば950℃程度)にて熱酸化膜が形成される場合、凹・凸各々のコーナーでの酸化膜厚は、平坦な場所でのそれに比べて薄くなる。これは、酸化時の体積膨張によって、コーナー部に圧縮応力が発生することが原因である。
この現象を図示したものが、図3(a),(b)である。図3(b)に示したように、熱酸化後の酸化膜33は、初期のシリコン微細構造32の表面に対して、内/外両側に形成されるが、これは、酸素原子がシリコン微細構造32の表面から内側に入り込むとともに、この反応によって体積が膨張するためである。
シリコン基板31の表面が平面の場合は、形成される酸化膜33の膜厚は一定の値になるが、図3のように、表面に微細構造32が存在する場合は、酸化膜の厚さは一定とはならず、構造の形状に依存して厚さが変化する。これは、上述したような体積膨張が起こる際、例えば微細構造32における角に当たるような部分では、2方向からの膨張により、内部応力が生じる結果、膨張が阻害されるためである。
その結果、図3(a)に示したような側壁が垂直なステップ状の突起は、熱酸化によって図3(b)に示したように膨らんだ形状となる。
更にこの現象を、図4(a)に示したような、先端面と底面の平坦部が共にそれ程大きくない、側壁が順テーパーの微細構造42に適用する場合を考える。基本的な考え方は図3の場合と同じだが、微細構造42の先端部・底部の平面幅がそれぞれ狭いため、熱酸化膜43の膜厚は図4(b)に示したようになり、先端側が丸く、底面側が切れ込んだ形状になる。
図4(b)の断面形状は、図2(c)に示したような直線的な鋸刃型形状とは異なるものの、表面側から底面側まで連続的に形状が変化し、なおかつ平坦面が非常に少ない、低反射構造として理想に近い構造になることが分かる。
なお、このような結果を得るためには、熱酸化によって形成される酸化膜の膜厚に対し、酸化前の微細構造42の突起先端面、及び底面側隙間の平坦部幅があまり大きくない寸法形状である必要がある。理想的にはそれらの平坦部幅が熱酸化膜43の平均厚さ(ここでは、シリコン表面が平坦な場合の酸化膜厚を平均厚さと呼ぶことにする)の2倍以下であることが望ましいが、必要な特性によっては3〜4倍程度あっても、十分な機能を果たす可能性がある。その場合、仮に熱酸化後に平坦面が残っていたとしても、熱酸化前に比べて平坦面の大きさは確実に減少するので、反射率を熱酸化前より低減させる相応の効果が得られることになる。
酸化膜厚の選択には、プロセス条件などによってある程度の制限があり、極端に厚い膜は形成できないし、極端に薄い膜はプロセスの制御が困難になる。そのような点に配慮し、必要な光学的特性を考慮して、酸化膜厚を決定する必要があることは言うまでも無い。
なお、図4(b)では、酸化後の微細構造内部に、酸化されていないシリコン部44が残る例を図示しているが、微細構造の寸法や熱酸化の条件によっては、シリコン部44が残らず、全ての領域が酸化膜となる場合も考えられる。成型用の原版として用いる場合は、そのように内部にシリコン領域が残存するかどうかは問題ではないので、所望の形状が得られさえすれば、内部のシリコン領域の有無はどちらでも構わない。
また、図4(c)に示したように、熱酸化後に熱酸化膜43を除去して、シリコン部44を残し、このシリコン部44を成型用の原版として用いることもできる。熱酸化膜43を残したまま成型用の原版として用いる場合と比べると、図4(b),(c)に示したように形状が異なるので、必要に応じて使い分ければよい。例えば、フィルムに凹形状の成型を行うための原版としては図4(b)の状態の原版を用い、逆に凸形状の成型を行うための原版としては図4(c)の状態の原版を用いるといった使い分けが考えられる。
本発明の製造方法によれば、低反射特性に優れた表面微細構造を作製する際に、エッチングの段階で先端部や底面隙間部の平坦面を極度に狭くする必要が無い。そのため、リソグラフィー工程やエッチング工程のプロセス条件に対する裕度が広くなり、安定したプロセス結果が得易くなる。また同時に、プロセス裕度が広いことから、パターンのピッチや深さなどについて、実現可能な値の範囲を広げることが期待できる。
また、本発明法の製造方法によれば、エッチング後にパターンを膨張させる手段として、熱酸化というドライプロセスによる表面改質処理を用いる。このため、ウェットコーティング・ドライコーティングを用いた場合に発生する、先端部や底面隙間部に選択的に膜が形成され、オーバーハングや内部ボイドが発生したり、隙間部分が埋まってしまったりするといった諸問題を避けることができる。
以上述べたように、本発明の製造方法は、特に低反射特性の優れた微細構造を成型するための原版を作製する方法として有効な方法である。加えて、プロセス裕度の広さ、安定性の高さに優れることから、原版作製の歩留まり向上が期待できる。
優れた低反射特性を示す、表面微細構造に求められる形状を説明するための断面模式図である 順テーパー構造を、ドライエッチングで形成するための2つの手法を説明するための断面模式図である シリコン表面に微細構造が存在するとき、熱酸化によって形状がどのように変化するかを説明するための断面模式図である 順テーパーの微細構造が、熱酸化によってどのような形状に変化するかを説明するための断面模式図である。 本説明の実施形態に係る原版製造方法を説明するための模式図である
図5を参照して、本発明に係る低反射構造原版の製造方法を説明する。
まず、単結晶シリコン基板51を準備する(図5(a))。このシリコン基板51の表面上に、フォトレジストや電子線レジストのような、所望の微細パターンを形成するための樹脂薄膜52を成膜する(図5(b))。微細なパターンの形成方法は、フォトリソグラフィーや電子線リソグラフィーに限らず、ナノインプリントやホットエンボスのような機械的な手法を用いても構わないし、自己組織化のような化学的手法を用いても構わない。用いるパターン形成方法に合わせて、最適な材質の樹脂薄膜52を用意すればよい。
次に、樹脂薄膜52をパターニングして、微細パターン53を得る(図5(c))。凸型の低反射構造原版を作る場合には、微細パターン53が上面から見てドット状のパターンになるようにパターニングする必要がある。逆に、凹型の原版を作る場合には、微細パターン53がホール形状になるようにパターニングする。
微細パターン53のピッチは、可視光の波長と同程度かそれより短く、且つパターニングしやすい100〜500nm程度に設定するのが一般的だが、それ以外の値に設定しても構わない。また、微細パターン53のピッチは全体に均一であっても、ある程度のバラツキがあっても構わない。このような微細パターン53のピッチの平均値やバラツキは、反射率の特性変化として現れるので、必要な特性とプロセスの内容に応じて設定すれば良い。
次に、微細パターン53をマスクとして、シリコン基板51の表面をエッチングし、シリコン微細構造54を得る(図5(d))。この微細構造54は、より低い反射率を得るためには順テーパーの側壁を持つ方が望ましいが、必要な特性によっては垂直な側壁であっても構わない。また、所望の寸法・形状のシリコン微細構造54を得ることが可能であれば、ドライエッチング・ウェットエッチングのいずれを用いても構わず、エッチングの手法については特に限定されない。
次に、エッチング後の表面に残存するレジストマスクやエッチング残渣を除去するクリーニングを行う(図5(e))。洗浄手段としては、アセトンやNMP(N−メチル−2−ピロリドン)、DMSO(ジメチルスルホキシド)等やそれらの混液を用いた有機洗浄、硫酸と過酸化水素水の混液等を用いた酸洗浄、アンモニア水と過酸化水素水の混液等を用いたアルカリ洗浄等が考えられる。エッチングの手法やレジストの種類等に応じて、適当な手段を用いてよい。
次に、シリコン微細構造54が形成されたシリコン基板51を熱酸化する(図5(f))。この熱酸化工程によって、シリコン微細構造54の表層部が酸化膜となると共に僅かに膨張した結果、表面が酸化された微細構造55は平坦面の少ない、優れた低反射特性を示す構造となった。
基本的には以上の工程により、本発明にかかる低反射構造成型用の原版が完成する。しかし、引き続いて図5(g)に示すように、微細構造55の表面に形成された酸化膜を、フッ酸水溶液などで取り除いたシリコン微細構造56を、本発明にかかる低反射構造成型用原版として用いても構わない。例えば、凸形状の原版でなく、凹形状の原版を製作する場合には、側壁形状などの面から、酸化膜を取り除いた方が望ましいかもしれない。そのような場合は、最終的に得たい微細構造の形状に合わせて、リソグラフィーのパターン形状やエッチング条件などを調整すればよい。
熱酸化工程のプロセス条件、例えば酸化温度、処理時間などを決定するには、シリコン微細構造54の寸法や形状に応じて決める必要がある。どのような熱酸化条件を適用するかについては、事前に様々な条件で試行しておくことが望ましい。図5(f)のように酸化膜を残す場合と、図5(g)のように酸化膜を除去する場合では、必要な酸化条件も異なってくるので、注意が必要である。
以上の工程により、本発明の目的とする、微細な表面構造による、非常に反射率の低い構造を得るための原版を作製することができた。この原版を用いて、ホットエンボスや熱ナノインプリントのような手法で、樹脂製の板やフィルム表面に凹凸が反転した微細構造を形成することが可能である。
また、ニッケル電鋳やUV硬化樹脂への転写によって、凹凸が反転した複製版を製作した後、この複製版を用いてホットエンボスや射出成型、或いはナノインプリントのような手法で、樹脂製の板やフィルム表面に微細構造を形成することも可能である。
更には、上述のような複製工程を何回か繰り返した、二次複製版、三次複製版などを成型用の原版として用いてもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこの例に限定されるものではない。
まず、直径200mm、厚さ725μmの単結晶シリコン基板の上面に、化学増幅型電子線ポジレジストをスピンコーターで塗布して、100nm厚のレジスト層を形成した。
次に、電子線描画によって、ピッチ300nm、線幅220nmの直交格子パターンを、シリコン基板表面のほぼ全面に描画した。更に、100℃で2分間のPEB(Post Exposure Bake、露光後ヘ゛ーク)を行った後、TMAH(Tetra-Methyl-Ammonium-Hydroxid)2.38%水溶液を用いて現像することで、幅80nmのドットパターンの微細パターンを得た。
次に、前記微細レジストパターンをエッチングマスクとして、フロロカーボンや六弗化硫黄、酸素、アルゴン等の混合ガスプラズマを用いたICP−RIE(Inductively-Coupled-Plasma Reactive-Ion-Etching)により、シリコン基板の表面をエッチングした。その際、ガスの流量やその比率、プロセス圧力といったエッチング雰囲気の条件、或いはプラズマを発生させるための高周波電力のパワーなどを適度に調節して、側壁保護性の高いエッチングを行うことで、エッチング中にパターンを太らせてゆき、順テーパーのエッチング側壁を有する突起状のシリコン微細構造を得た。なおこの時、シリコン微細構造の高さは500nmとなっており、ピッチは上述した通り300nmであった。またシリコン微細構造の上面側平坦面、及び底面側の隙間の幅は、いずれも50nmであった。
次に、酸素ガスプラズマを用いたアッシングにより、前記エッチング後に残存しているレジスト微細パターンや、エッチング中に堆積した側壁保護膜等を除去した後、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、MEA(モノエタノールアミン)などを用いた有機洗浄、硫酸・過酸化水素水の混液などを用いた酸洗浄、アンモニア水と過酸化水素水の混液などを用いたアルカリ洗浄などを行い、シリコン微細構造が表面に形成されたシリコン基板のクリーニングを行った。
次に、950℃の温度で熱酸化を行い、シリコン基板全面に平均厚さ50nmの熱酸化膜を形成した。この結果、熱酸化膜が形成されたシリコン微細構造は膨張するので、元々シリコン微細構造の上面側と底面側に存在した、幅50nmの平坦面は消失し、殆ど平坦面の存在しない、表面が酸化されたシリコン微細構造が得られた。
11,21…基板、12,13,14,23,25…微細構造パターン、31,41,51…シリコン基板、32,42,54…シリコン微細構造パターン、22,24,53…レジストマスクパターン、33,43,55…熱酸化膜、44,56…熱酸化膜の内側に残存したシリコン部、52…レジスト樹脂膜。

Claims (6)

  1. 表面に微細構造を形成することによって、その表面での光の反射率を著しく低減させる低反射構造を成型するための原版ならびにその製造方法であって、
    シリコン基板表面にエッチングによって微細構造を形成する第一の工程と、
    第一の工程で形成されたシリコン微細構造を熱酸化することで、微細構造表面の形状と体積を変化させる第二の工程と、
    を有することを特徴とする原版の製造方法。
  2. 表面に微細構造を形成することによって、その表面での光の反射率を著しく低減させる低反射構造を成型するための原版ならびにその製造方法であって、
    シリコン基板表面にエッチングによって微細構造を形成する第一の工程と、
    第一の工程で形成されたシリコン微細構造を熱酸化することで、微細構造表面の形状と体積を変化させる第二の工程と、
    第二の工程で形成された微細構造表面の熱酸化膜を除去する第三の工程と、
    を有することを特徴とする原版の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の原版の製造方法であって、第一の工程で形成されるシリコン微細構造の側壁形状を順テーパーとすることで、表面における屈折率変化を連続的にすることを特徴とする製造方法。
  4. 請求項1乃至3に記載の原版の製造方法であって、第一の工程で形成されるシリコン微細構造の先端部の平坦面の幅を、第二の工程の熱酸化膜の厚さの2倍以下とすることで、最終的な原版の先端部の平坦部を無くし、より光の反射率を低減することを特徴とする原版の製造方法。
  5. 請求項1乃至3に記載の原版の製造方法であって、第一の工程で形成される個々のシリコン微細構造の間の隙間の平坦面の幅を、第二の工程の熱酸化膜の厚さの2倍以下とすることで、最終的な原版の隙間の平坦部を無くし、より光の反射率を低減することを特徴とする原版の製造方法。
  6. 請求項1乃至5に記載の原版の製造方法によって製造された原版。
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