JP2012201807A - 潤滑油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】摺動部に鉛含有金属材料が使用されている場合に好適な潤滑油組成物を提供する。
【解決手段】(A)潤滑油基油に、(B)一般式(1)および/または(2)で表されるリン化合物、それらの金属塩、それらのアミン塩、及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物をリン量として0.01質量%以上0.1質量%以下、および(C)エポキシ化合物を0.05質量%以上1.0質量%以下含有することを特徴とする潤滑油組成物。
Figure 2012201807

Figure 2012201807

【選択図】なし

Description

本発明は潤滑油組成物に関し、特に摺動部に鉛含有金属材料が使用されている場合に好適な潤滑油組成物に関する。さらに詳しくは金属系清浄剤が少ない場合であっても銅−鉛含有金属材料あるいは銅含有金属材料と鉛含有金属材料の腐食又は腐食摩耗を抑制し、内燃機関に使用される場合はピストン燃焼面およびピストン燃焼面裏側のデポジットを減少させうる潤滑油組成物に関する。
エンジン等の摺動材料は、鉄系やアルミニウム系の金属材料が主として使用されている。しかし、摺動材料の中でも、メインベアリングやコンロッドベアリングなどの摺動部、例えば軸受けメタルには、アルミニウム、銅、すず等の金属材料のほか、鉛含有金属材料が使用されることがある。鉛含有材料は環境負荷が高いため、使用しない方向にあるが、なじみ性が良いことや、疲労現象が少ないという優れた特徴を有しているため、大型機関ではまだ使用され続けている。
また一方で、この鉛含有材料は腐食摩耗が大きいという欠点がある。腐食摩耗の原因としては、オイルの劣化によって蓄積された過酸化物の蓄積(例えば、非特許文献1参照。)や、空気中の分子状の酸素による直接酸化(例えば、非特許文献2〜4参照。)が挙げられる。また、キノン、ジアセチル、酸化窒素、ニトロ化合物のような酸化生成物が、酸と共存することによって腐食を促進させることも知られている(例えば、非特許文献5参照。)。実際の腐食は、多くの因子によって支配されているため複雑であるが、腐食の防止のためには、一般的には、潤滑油の酸化防止、酸化性物質の破壊、腐食性酸化生成物の生成抑制、酸化物質の不活性化、金属表面における防食被膜の形成等が重要である。より具体的には、ジチオリン酸亜鉛や硫化物のような過酸化物分解剤兼防食被膜形成剤、アミン系やフェノール系の連鎖防止型酸化防止剤、ベンゾトリアゾールのような防食被膜形成剤、清浄分散剤のような酸中和剤等の添加による腐食防止効果が知られており、一般的にはこれら成分のほとんどが併用される。
特に、鉛含有摺動材料の腐食摩耗防止に対しては、ジチオリン酸亜鉛等の硫黄含有摩耗防止剤が極めて有効である。例えば、ジチオリン酸亜鉛がリン換算量で0.1%程度(硫黄量で0.2質量%程度)以上配合された従来のエンジン油では、過酸化物分解効果と共に鉛表面の不活性化により、優れた鉛腐食摩耗防止効果が発揮されるが、ジチオリン酸亜鉛の含有量を低減した場合には、鉛の腐食摩耗防止効果は指数関数的に悪化することが知られている(例えば、非特許文献6参照。)。一方で、ジチオリン酸亜鉛等の硫黄含有化合物は、鉛以外の非鉄卑金属含有摺動材(例えば銅、すず、銀等)に対し硫化腐食を起こし易く、また、ベンゾトリアゾール等の腐食防止剤は銅の腐食防止には有効であるが、鉛の腐食防止には十分な効果を示さないことも分かってきた。
また、ジチオリン酸亜鉛の低減あるいはこれを使用しない低リン化及び/又は低硫黄化されたエンジン油、特に酸化安定性に優れ、塩基価維持性に最も有効であるサリシレート系清浄剤を使用した場合、潤滑油の全塩基価が十分残存し、寿命に達していない状態であるにもかかわらず、鉛含有摺動材料の腐食摩耗が著しく発生する場合があることが判明している。特に酸化性ガス雰囲気下において鉛腐食が著しいことから、ジチオリン酸亜鉛の低減、非使用、あるいは長期使用によるジチオリン酸亜鉛の消失によって、過酸化物分解効果及び鉛の防食被膜形成効果の低下又は消失とともに、潤滑油の劣化生成物が鉛表面に作用し、鉛腐食を加速すると考えられる。
さらに、内燃機関の場合、近年はCO排出抑制のため燃費改善が至上命題である。このためできるだけ小型軽量エンジン模索されているが、出力を維持するため、圧縮比はできるだけ高く、また燃焼温度も高くなる傾向にある。
特開2002−294271号公報 特開2003−277781号公報 特開2003−277782号公報 特開2003−277783号公報 特開2006−124537号公報
「Ind.Eng.Chem.」,36巻,1944年,p.477 「Ind.Eng.Chem.」,37巻,1945年,p.90 「Ind.Eng.Chem.」,49巻,1957年,p.1703 「J.Inst.Petrol.」,37巻,1951年,p.225 「Ind.Eng.Chem.」,37巻,1945年,p.917 桜井俊男編,「石油製品添加剤」,第二版,幸書房,昭和54年6月15日発行,p.271
すなわち、本発明の課題は、ジチオリン酸亜鉛を低減し、又は含有しない、鉛含有摺動材料等の鉛含有金属の腐食が著しい潤滑油組成物において、長期使用時の塩基価が残存している状況においても発生する鉛腐食を抑制しうる、鉛含有金属材料と接触する場合に好適な潤滑油組成物を提供することである。
さらに圧縮比が高く、燃焼温度が高い最近のガソリンエンジンやガスエンジンでは、燃焼室にデポジットが付着するとノッキング(異常燃焼)が発生しやすくなり、ひどい場合は機関の破損につながる。燃焼室へのデポジットの付着はノッキングの原因のひとつと考えられており、これを削減する潤滑油組成物を提供することがもうひとつの課題である。
またさらに、燃焼温度の高まりとともに、ピストンの温度も高くなる傾向にあり、当然ノッキングも発生しやすい状況にある。またピストン温度が上昇すると、そのほかピストンリングの膠着等が発生しやすくなる。このため、ピストンの冷却も課題である。ピストンの冷却効率を低下させる原因のひとつが、ピストン燃焼面の裏側(ピストンアンダークラウンと呼ばれる)に付着するデポジットである。これを削減する潤滑油組成物を提供することがさらにもうひとつの課題である。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ジチオリン酸亜鉛を低減し、又は含有しない場合でも、金属系清浄剤を最適化することにより鉛含有金属材料の腐食又は腐食摩耗を抑制し、かつ燃焼室デポジットならびにピストンアンダークラウン部のデポジットを削減しうる潤滑油組成物を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)潤滑油基油に、(B)一般式(1)および/または一般式(2)で表されるリン化合物、それらの金属塩、それらのアミン塩、及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物をリン量として0.01質量%以上0.1質量%以下、および(C)エポキシ化合物を0.05質量%以上1.0質量%以下含有することを特徴とする潤滑油組成物である。
Figure 2012201807
(一般式(1)において、X、X及びXは、それぞれ個別に酸素原子又は硫黄原子を示し、そのうち少なくともひとつが酸素であり、R、R及びRは、それぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示す。)
Figure 2012201807
(一般式(2)において、X、X、X及びXは、それぞれ個別に酸素原子又は硫黄原子(X、X及びXの1つ又は2つが単結合又は(ポリ)オキシアルキレン基でもよい。)を示し、そのうち少なくともひとつが酸素であり、R、R及びRは、それぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示す。)
また、本発明は、前記の潤滑油組成物を摺動部に鉛含有金属材料が使用されている内燃機関に使用することにより、銅−鉛含有金属材料あるいは銅含有金属材料と鉛含有金属材料の両方の腐食又は腐食摩耗を抑制し、かつ内燃機関のピストン燃焼面およびピストン燃焼面裏側のデポジットを減少させる方法である。
本発明の潤滑油組成物は、特に鉛の腐食又は腐食摩耗防止に極めて有効なジチオリン酸亜鉛を低減した場合あるいはこれを含有しない場合に、鉛の腐食又は腐食摩耗を抑制しうる、鉛含有金属材料と接触する場合に好適な潤滑油組成物であり、低硫黄化、さらには低リン化、低灰化を図ることができ、ロングドレイン性にも優れたものである。従って鉛含有金属材料と接触する内燃機関用潤滑油、特に鉛系摺動材料を備えたディーゼルエンジン油、ガソリンエンジン油、ガスエンジン油としてだけでなく、鉛含有金属材料と潤滑油が接触する潤滑システムを有する装置用潤滑油、例えば、自動変速機、手動変速機、無段変速機、ギヤ等の駆動系用潤滑油、グリース、湿式ブレーキ油、油圧作動油、タービン油、圧縮機油、軸受け油、冷凍機油等の潤滑油としても好適に使用することができる。
以下、本発明について詳述する。
本発明における(A)潤滑油基油は、特に制限はなく、通常の潤滑油に使用される鉱油系基油、合成系基油が使用できる。鉱油系基油としては、具体的には、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製等の処理を1つ以上行って精製したもの、あるいはワックス異性化鉱油、GTL WAX(ガストゥリキッドワックス)を異性化する手法で製造される基油等が例示できる。
しかしながら、本発明の潤滑油組成物における(A) 潤滑油基油としては、特に100℃における動粘度が5〜12mm/sであり、かつ%Cが6以下である潤滑油基油が好ましい。
具体的には、原油を常圧蒸留および/または減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理のうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて精製したパラフィン系鉱油、あるいはノルマルパラフィン系基油、イソパラフィン系基油などのうち、100℃における動粘度および%Cが上記条件を満たす基油が好ましい。
本発明に係る潤滑油基油の好ましい例としては、以下に示す基油(1)〜(8)を原料とし、この原料油および/またはこの原料油から回収された潤滑油留分を、所定の精製方法によって精製し、潤滑油留分を回収することによって得られる基油を挙げることができる。
(1)パラフィン基系原油および/または混合基系原油の常圧蒸留による留出油。
(2)パラフィン基系原油および/または混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留による留出油(WVGO)。
(3)潤滑油脱ろう工程により得られるワックス(スラックワックス等)および/またはガストゥリキッド(GTL)プロセス等により得られる合成ワックス(フィッシャートロプシュワックス、GTLワックス等)。
(4)基油(1)〜(3)から選ばれる1種または2種以上の混合油および/または当該混合油のマイルドハイドロクラッキング処理油。
(5)基油(1)〜(4)から選ばれる2種以上の混合油。
(6)基油(1)、(2)、(3)、(4)または(5)の脱れき油(DAO)。
(7)基油(6)のマイルドハイドロクラッキング処理油(MHC)。
(8)基油(1)〜(7)から選ばれる2種以上の混合油。
なお、上記所定の精製方法としては、水素化分解、水素化仕上げなどの水素化精製;フルフラール溶剤抽出などの溶剤精製;溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう;酸性白土や活性白土などによる白土精製;硫酸洗浄、苛性ソーダ洗浄などの薬品(酸またはアルカリ)洗浄などが好ましい。本発明では、これらの精製方法のうちの1種を単独で行ってもよく、2種以上を組み合わせて行ってもよい。また、2種以上の精製方法を組み合わせる場合、その順序は特に制限されず、適宜選定することができる。
更に、本発明に係る潤滑油基油としては、上記基油(1)〜(8)から選ばれる基油または当該基油から回収された潤滑油留分について所定の処理を行うことにより得られる下記基油(9)または(10)が特に好ましい。
(9)上記基油(1)〜(8)から選ばれる基油または当該基油から回収された潤滑油留分を水素化分解し、その生成物またはその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、または当該脱ろう処理をした後に蒸留することによって得られる水素化分解鉱油。
(10)上記基油(1)〜(8)から選ばれる基油または当該基油から回収された潤滑油留分を水素化異性化し、その生成物またはその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、または、当該脱ろう処理をしたあとに蒸留することによって得られる水素化異性化鉱油。
また、上記(9)または(10)の潤滑油基油を得るに際して、好都合なステップで、必要に応じて溶剤精製処理および/または水素化仕上げ処理工程を更に設けてもよい。
本発明に係る潤滑油基油の100℃における動粘度は、12mm/s以下であり、好ましくは9mm/s以下、より好ましくは8mm/s以下である。一方、当該100℃動粘度は、5mm/s以上であることが好ましく、より好ましくは6mm/s以上である。ここでいう100℃における動粘度とは、ASTM D−445に規定される100℃での動粘度を示す。潤滑油基油成分の100℃動粘度が12mm/sを超える場合には、低温粘度特性が悪化し、また十分な省燃費性が得られないおそれがあり、5mm/s未満の場合は潤滑箇所での油膜形成が不十分であるため潤滑性に劣り、また潤滑油組成物の蒸発損失が大きくなるおそれがある。
また(A)潤滑油基油は下記(A1)成分と(A2)成分から選ばれる1種又は2種以上を単独または混合して用いることができる。より広い環境温度に対応するため、2種以上を混合して使用することが好ましい。ただし組み合わせて使用する場合、後述する基油の蒸発量(NOACK)の範囲に収まることが望ましい。
(A1)100℃における動粘度が、3.5mm以上、好ましくは6mm/s以上、また12mm/s以下、好ましくは9mm/s以下、さらに好ましくは8mm/s以下、粘度指数が120以上、かつ%Cが1以下の鉱油系基油
(A2)100℃における動粘度が、9mm/s以上、好ましくは10mm/s以上、また14mm/s以下、好ましくは12mm/s以下の鉱油系基油
なお、本発明でいう%Cとは、ASTM D 3238−85に準拠した方法(n−d−M環分析)により求められる芳香族炭素数の全炭素数に対する百分率を意味する。
なおワックス異性化基油の場合、%Cは実質的に0%である。
鉱油系基油中の硫黄分については特に制限はないが、通常0〜1.5質量%であり、好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下であり、さらに好ましくは0.005質量%以下である。潤滑油基油の硫黄分を低減することで、よりロングドレイン性に優れ、内燃機関用潤滑油として使用する場合には、排ガス後処理装置への悪影響を極力回避可能な低硫黄の潤滑油組成物を得ることができる。
また、鉱油系基油の飽和分については特に制限はないが、通常50〜100質量%であり、酸化安定性、ロングドレイン性に優れる点で、好ましくは60質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
なお、上記飽和分とは、ASTM D2549に準拠して測定した飽和分を意味する。
また、(A)潤滑油基油としては、100℃における動粘度が5〜12mm/sであり、かつ%Cが6以下に調整されるのであれば鉱油系基油に限られず、合成系基油も使用可能である。
合成系基油としては、具体的には、ポリブテン又はその水素化物;炭素数8から13までのαオレフィン、中でも1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリ−α−オレフィン又はその水素化物;ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、及びジ−2−エチルヘキシルセバケート等のジエステル;ポリオールエステル、より具体的にはネオペンチルグリコールエステル、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、及びペンタエリスリトールペラルゴネート等;アルキルナフタレン、アルキルベンゼン、及び芳香族エステル等の芳香族系合成油又はこれらの混合物等が例示できる。
本発明における潤滑油基油としては、上記鉱油系基油、上記合成系基油又はこれらの中から選ばれる2種以上の任意混合物等が使用できる。例えば、1種以上の鉱油系基油、1種以上の合成系基油、1種以上の鉱油系基油と1種以上の合成系基油との混合油等を挙げることができる。
潤滑油基油の蒸発損失量としては、NOACK蒸発量で、12質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、8質量%以下であることがさらに好ましく、6質量%以下であることが特に好ましい。潤滑油基油のNOACK蒸発量が12質量%を超える場合、潤滑油の蒸発損失が大きく、ロングドレイン性に劣るだけでなく、内燃機関用潤滑油として使用した場合、組成物中の硫黄化合物やリン化合物、あるいは金属分が潤滑油基油とともに排ガス浄化装置へ堆積する恐れがあり、排ガス浄化性能への悪影響が懸念されるため好ましくない。なお、ここでいうNOACK蒸発量とは、ASTM D5800に準拠して測定されたものである。
潤滑油基油の粘度指数は特に制限はないが、低温から高温まで優れた粘度特性が得られるようにその値は、好ましくは100以上であり、より好ましくは110以上であり、さらに好ましくは120以上である。粘度指数の上限については特に制限はなく、ノルマルパラフィン、スラックワックスやGTLワックス等、あるいはこれらを異性化したイソパラフィン系鉱油のような135〜180程度のものやコンプレックスエステル系基油やHVI−PAO系基油のような150〜250程度のものも使用することができる。潤滑油基油の粘度指数が100未満では、低温粘度特性が悪化するため好ましくない。
本発明における(B)リン化合物としては、一般式(1)で表されるリン化合物、一般式(2)で表されるリン化合物、それらの金属塩、それらのアミン塩、及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。
Figure 2012201807
一般式(1)において、X、X及びXは、それぞれ個別に酸素原子又は硫黄原子を示し、そのうち少なくともひとつが酸素であり、R、R及びRは、それぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示す。
Figure 2012201807
一般式(2)において、X、X、X及びXは、それぞれ個別に酸素原子又は硫黄原子(X、X及びXの1つ又は2つが単結合又は(ポリ)オキシアルキレン基でもよい。)を示し、そのうち少なくともひとつが酸素であり、R、R及びRは、それぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示す。
上記R〜Rで表される炭素数1〜30の炭化水素基としては、具体的には、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキル置換シクロアルキル基、アリール基、アルキル置換アリール基、及びアリールアルキル基を挙げることができる。
上記R〜Rで表される炭素数1〜30の炭化水素基は、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数6〜24のアリール基であることが好ましく、さらに好ましくは炭素数3〜18、さらに好ましくは炭素数4〜12のアルキル基である。
一般式(1)で表されるリン化合物としては、例えば、亜リン酸、モノチオ亜リン酸、ジチオ亜リン酸、トリチオ亜リン酸;上記炭素数1〜30の炭化水素基を1つ有する亜リン酸モノエステル、モノチオ亜リン酸モノエステル、ジチオ亜リン酸モノエステル、トリチオ亜リン酸モノエステル;上記炭素数1〜30の炭化水素基を2つ有する亜リン酸ジエステル、モノチオ亜リン酸ジエステル、ジチオ亜リン酸ジエステル、トリチオ亜リン酸ジエステル;上記炭素数1〜30の炭化水素基を3つ有する亜リン酸トリエステル、モノチオ亜リン酸トリエステル、ジチオ亜リン酸トリエステル、トリチオ亜リン酸トリエステル;及びこれらの混合物を挙げることができる。
本発明においては、銅の腐食又は腐食摩耗防止性に優れ、高温清浄性や酸化安定性、塩基価維持性などのロングドレイン性能をより高めるために、一般式(1)のX〜Xは、2つ以上が酸素原子であることが好ましく、それらの全てが酸素原子であることが特に好ましい。
一般式(2)で表されるリン化合物としては、例えば、リン酸、モノチオリン酸、ジチオリン酸、トリチオリン酸、テトラチオリン酸;上記炭素数1〜30の炭化水素基を1つ有するリン酸モノエステル、モノチオリン酸モノエステル、ジチオリン酸モノエステル、トリチオリン酸モノエステル、テトラチオリン酸モノエステル;上記炭素数1〜30の炭化水素基を2つ有するリン酸ジエステル、モノチオリン酸ジエステル、ジチオリン酸ジエステル、トリチオリン酸ジエステル、テトラチオリン酸ジエステル;上記炭素数1〜30の炭化水素基を3つ有するリン酸トリエステル、モノチオリン酸トリエステル、ジチオリン酸トリエステル、トリチオリン酸トリエステル、テトラチオリン酸トリエステル;上記炭素数1〜30の炭化水素基を1〜3つ有するホスホン酸、ホスホン酸モノエステル、ホスホン酸ジエステル;炭素数1〜4の(ポリ)オキシアルキレン基を有する上記リン化合物;β−ジチオホスホリル化プロピオン酸やジチオリン酸とオレフィンシクロペンタジエン又は(メチル)メタクリル酸との反応物等の上記リン化合物の誘導体;及びこれらの混合物を挙げることができる。
本発明においては、銅の腐食又は腐食摩耗防止性に優れ、高温清浄性や酸化安定性、塩基価維持性などのロングドレイン性能をより高めるために、一般式(2)のX〜Xは、2つ以上が酸素原子であることが好ましく、3つ以上が酸素原子であることがさらに好ましく、それらの全てが酸素原子であることが特に好ましい。なお、これらX、X及びXの1つ又は2つが単結合又は(ポリ)オキシアルキレン基でもよい。
一般式(1)又は(2)で表されるリン化合物の塩としては、リン化合物に金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属塩化物等の金属塩基、アンモニア、炭素数1〜30の炭化水素基又はヒドロキシル基含有炭化水素基のみを分子中に有するアミン化合物等の窒素化合物を作用させて、残存する酸性水素の一部又は全部を中和した塩を挙げることができる。
上記金属塩基における金属としては、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、銅、鉄、鉛、ニッケル、銀、マンガン、モリブデン等の重金属等が挙げられる。これらの中ではカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属及び亜鉛が好ましい。特に亜鉛が好ましい。
上記リン化合物の金属塩は、金属の価数やリン化合物のOH基あるいはSH基の数に応じその構造が異なり、従ってその構造については何ら限定されないが、例えば、酸化亜鉛1モルとリン酸ジエステル(OH基が1つ)2モルを反応させた場合、下記一般式(3)で表される構造の化合物が主成分として得られると考えられるが、ポリマー化した分子も存在していると考えられる。
Figure 2012201807
また、例えば、酸化亜鉛1モルとリン酸モノエステル(OH基が2つ)1モルとを反応させた場合、下記一般式(4)で表される構造の化合物が主成分として得られると考えられるが、ポリマー化した分子も存在していると考えられる。
Figure 2012201807
上記窒素化合物としては、具体的には、アンモニア、モノアミン、ジアミン、ポリアミンが挙げられる。より具体的には、デシルアミン、ドデシルアミン、ジメチルドデシルアミン、トリデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン及びステアリルアミン等の炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アミン(これらは直鎖状でも分枝状でもよい)が好ましい例として挙げることができる。
(B)リン化合物としては、一般式(1)におけるX、X及びXが全て酸素原子であるリン化合物の金属塩及び一般式(2)におけるX、X、X及びXが全て酸素原子(X、X及びXの1つ又は2つが単結合又は(ポリ)オキシアルキレン基でもよい)であるリン化合物の金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、酸化安定性、高温清浄性等のロングドレイン性、低摩擦性等に優れる点で好ましい。
また、(B)リン化合物が、一般式(2)におけるX、X、X及びXの全てが酸素原子(X、X及びXの1つ又は2つが単結合又は(ポリ)オキシアルキレン基でもよい)であり、R、R及びRがそれぞれ個別に炭素数1〜30の炭化水素基であるリン化合物であることが、酸化安定性、高温清浄性等のロングドレイン性に優れ、さらなる低摩擦性、さらなる低灰化が可能となる点で好ましい。
これらの成分の中では、炭素数3〜18のアルキル基又はアリール基を2個有する亜リン酸ジエステルと亜鉛又はカルシウムとの塩、炭素数3〜18のアルキル基又はアリール基、好ましくは炭素数6〜12のアルキル基を3個有する亜リン酸トリエステル、炭素数3〜18のアルキル基又はアリール基を1個有するリン酸のモノエステルと亜鉛又はカルシウムとの塩、炭素数3〜18のアルキル基又はアリール基を2個有するリン酸のジエステルと亜鉛又はカルシウムとの塩、炭素数1〜18のアルキル基又はアリール基を2つ有するホスホン酸モノエステルと亜鉛又はカルシウムとの塩、炭素数3〜18のアルキル基又はアリール基、好ましくは炭素数6〜12のアルキル基を3個有するリン酸トリエステル、炭素数1〜18のアルキル基又はアリール基を3つ有するホスホン酸ジエステルであることが好ましい。これらの成分は、1種類あるいは2種類以上を任意に配合することができる。
本発明の潤滑油組成物において(B)リン化合物の含有量は、組成物全量基準でリン元素換算量として0.01質量%以上であり、好ましくは0.02質量%以上、特に好ましくは0.03質量%以上であり、一方、その含有量は、0.1質量%以下であり、好ましくは0.08質量%以下、特に好ましくは0.05質量%以下である。(B)リン化合物の含有量が、リン元素として0.01質量%未満の場合は、摩耗防止性に対して効果がないため好ましくなく、一方、その含有量が、リン元素として0.1質量%を超える場合では、排ガス後処理装置への悪影響が懸念されるため好ましくない。
本発明の潤滑油組成物においては、必須成分として(C)エポキシ化合物が配合される。
本発明の潤滑油組成物において用いられる(C)エポキシ化合物としては、様々な化合物を挙げることができるが、脂環式エポキシ化合物、その誘導体およびグリシジルエステル型エポキシ化合物が好ましい。
脂環式エポキシ化合物としては、炭素数3〜12の脂環式エポキシ化合物が好ましい。具体的には、1,2−エポキシシクロプロパン、1,2−エポキシシクロブタン、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロヘプタン、1,2−エポキシシクロオクタン、1,2−エポキシシクロノナン、1,2−エポキシシクロデカン、1,2−エポキシシクロドデカン、1,2−エポキシノルボルナン、また脂環部分にアルキル基又はアルケニル基が1個以上導入されたアルキル化又はアルケニル化エポキシシクロアルカン、例えば、2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)−スピロ(1,3−ジオキサン−5,3’−[7]オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、4−(1’−メチルエポキシエチル)−1,2−エポキシ−2−メチルシクロヘキサン、4−エポキシエチル−1,2−エポキシシクロヘキサンなどが例示できる。
脂環式エポキシ化合物の誘導体としては、脂環部分に脂肪族若しくは芳香族のアルコキシ基が1個以上導入されたエーテル化合物、脂環部分にイミド基が1個以上導入されたイミド化合物及びビスイミド化合物、脂環部分にアミド基が1個以上導入されたアミド化合物等が挙げられ、より好ましくは脂環部分にカルボキシル基が1個以上導入されたエステル化合物が挙げられる。さらに好ましくは、エポキシ化シクロアルカンを2個有するものが好ましく、特には3,4−エポキシシクロアルキル−3,4−エポキシシクロアルキルカルボキシレート(各アルキル基の炭素数は3〜12)が好ましく、具体的な化合物として、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが最も好ましい。これら脂環式エポキシ化合物は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
グリシジルエステル型エポキシ化合物としては、具体的には、フェニルグリシジルエステル、アルキルグリシジルエステル、アルケニルグリシジルエステルなどが挙げられ、好ましいものとしては、グリシジル−2,2−ジメチルオクタノエート、グリシジルベンゾエート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどが例示できる。
なお、本発明においては、グリシジルエステル化合物および/または脂環式エポキシ化合物を単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の潤滑油組成物において(C)エポキシ化合物の含有量は、組成物全量基準で0.05質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.2質量%以上である。一方、(C)エポキシ化合物の含有量は1.0質量%以下が好ましくであり、より好ましくは0.8質量%以下、さらに好ましくは0.6質量%以下である。(C)エポキシ化合物の含有量が0.05質量%未満の場合は、酸腐食による鉛溶出抑制に対して効果がなく、一方、その含有量が1.0質量%を超える場合では、エポキシ化合物によるスラッジ生成等のため好ましくない。
本発明の潤滑油組成物は金属系清浄剤を含有することが好ましい。金属系清浄剤としては、アルカリ金属/アルカリ土類金属サリシレート、アルカリ金属/アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ金属/アルカリ土類金属フェネート、及びアルカリ金属/アルカリ土類金属サリシレート等の正塩又は塩基性塩を挙げることができる。アルカリ金属としてはナトリウム、カリウム等、アルカリ土類金属としてはマグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられるが、マグネシウム又はカルシウムが好ましく、特にカルシウムがより好ましい。
なかでも(D)サリシレート系金属清浄剤が、アンダークラウンのデポジットの抑制面から好ましい。サリシレート系金属清浄剤は、サリチル酸に等モルの炭化水素基(例えば炭素数8〜30のオレフィン)を付加させたサリチル酸、又は、フェノールに等モル炭化水素基(例えば炭素数8〜30のオレフィン)を付加させ、次いで炭酸ガス等によりカルボキシル化させた、炭素数8〜30の炭化水素基を1つ有するサリチル酸に、当量の金属塩や金属塩基等を作用させて得られる中性サリチル酸金属塩、さらには当該中性サリチル酸金属塩に過剰の金属塩又は金属塩基(金属の水酸化物や酸化物)を水の存在下で加熱することにより得られる塩基性塩、前記中性のサリチル酸金属塩の存在下において炭酸ガス又はホウ酸若しくはホウ酸塩と金属の水酸化物等の塩基とを反応させることにより得られる過塩基性塩(超塩基性塩)などが挙げられる。なお、これらの(過)塩基化の反応は、通常、溶媒(ヘキサン等の脂肪族炭化水素溶剤、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、軽質潤滑油基油等)中で行われる。
前記サリシレートの金属塩又は金属塩基における金属(すなわちサリシレート系金属清浄剤に含まれる金属)としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属等が挙げられ、アルカリ土類金属であることが好ましく、特にカルシウムであることが望ましい。
なお、サリシレートを合成する際、反応させる炭素数8〜30のオレフィンは、通常、炭素数8〜19のオレフィンのグループと炭素数20〜30のオレフィンのグループとに大別され、それぞれの炭化水素基が付加したサリチル酸が合成される。
炭化水素基は、エチレン、プロピレン、ブチレン等の重合体又は共重合体等から誘導されるアルキル基、特にエチレン重合体等の直鎖α−オレフィンから誘導されるアルキル基であることが好ましい。
本発明においては、サリシレート系金属清浄剤として、炭素数8〜19の炭化水素基(例えば炭素数8〜19のアルキル基)を有するサリチル酸金属塩(以下、場合により「サリチル酸金属塩C−a」ともいう)又は炭素数20〜30の炭化水素基(例えば炭素数20〜30のアルキル基)を有するサリチル酸金属塩(以下、場合により「サリチル酸金属塩C−b」ともいう)の一方を単独で、又は双方を組み合わせて使用することができる。摩擦低減の観点からはサリチル酸金属塩C−bが好ましい。一方、貯蔵安定性、低温流動性を相乗的に改善できる観点から、サリチル酸金属塩C−aとサリチル酸金属塩C−bとを併用することももちろん可能である。
サリシレート系金属清浄剤は、通常、溶剤や潤滑油基油等の希釈剤中で反応させて得られるが、そのようにして得られたサリシレート系金属清浄剤の金属含有量は、サリシレート系金属清浄剤全量を基準として、通常1.0〜20質量%のものが使用されるが、下限値は、好ましくは1.0質量%であり、より好ましくは2.0質量%、さらに好ましくは5.0質量%、特に好ましくは7.0質量%である。また、上限値は、好ましくは20質量%であり、より好ましくは15質量%、さらに好ましくは12質量%、特に好ましくは10質量%である。
サリシレート系金属清浄剤の塩基価は、下限値として、好ましくは50mgKOH/g、より好ましくは100mgKOH/g、さらに好ましくは150mgKOH/g、特に好ましくは200mgKOH/gに調整されてなる過塩基性サリシレート系清浄剤を主成分として用いることが望ましい。また、上限値は、好ましくは400mgKOH/g、より好ましくは300mgKOH/g、さらに好ましくは250mgKOH/gに調整されてなる過塩基性サリシレート系清浄剤を主成分として用いることがより好ましい。なお、ここでいう塩基価とは、JIS K2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験法」の7.に準拠して測定される過塩素酸法による塩基価を意味する。
また、サリシレート系金属清浄剤の金属比は特に制限されず、通常20以下のものを1種又は2種以上混合して使用できる。当該金属比は、好ましくは金属比が4.5未満、より好ましくは3以下である。なお、ここでいう金属比とは、(サリシレート系清浄剤における金属元素の価数)×(金属元素含有量(モル%))/(せっけん基含有量(モル%))で表され、金属元素とは、カルシウム、マグネシウム等、せっけん基とはサリチル酸基を意味する。
本発明の潤滑油組成物におけるサリシレート系清浄剤(D)の含有量は、潤滑油組成物全量基準で、好ましくは、0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。また、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。含有量が0.1質量%に満たない場合には、摩擦低減効果が短期間しか持続しないおそれがあり、また15質量%を超える場合には、含有量に見合った効果が得られないおそれがある。また、金属量として、好ましくは、0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.15質量%以上である。また、好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.3質量%以下である。金属量が0.01質量%に満たない場合には、摩擦低減効果が短期間しか持続しないおそれがあり、また1.5質量%を超える場合には、含有量に見合った効果が得られないおそれがある。
なお、サリシレート系清浄剤(D)は通常潤滑油基油等の希釈剤を含む形で配合される。
本発明の潤滑油組成物は、(E)成分として有機モリブデン化合物を含有することが好ましい。有機モリブデン化合物としては、例えば、硫化モリブデンジチオカーバメート又は硫化オキシモリブデンジチオカーバメート、硫化モリブデンジチオホスフェート又は硫化オキシモリブデンジチオホスフェート、モリブデンのアミン錯体、モリブデンのコハク酸イミド錯体、有機酸のモリブデン塩、アルコールのモリブデン塩等を例示することができる。本発明においては、鉛含有金属材料の腐食又は腐食摩耗防止性能により優れる点及び低硫黄化の観点から、硫黄を含有しない有機モリブデン化合物であるモリブデンのアミン錯体、モリブデンのコハク酸イミド錯体、有機酸のモリブデン塩、アルコールのモリブデン塩が好ましく、モリブデンのアミン錯体、リン含有酸のモリブデン塩、アルコールのモリブデン塩がより好ましく、特に、モリブデンのアミン錯体が好ましい。
本発明の潤滑油組成物においては、上記の(E)成分である上記有機モリブデン化合物を1種用いてもよいし、2種以上を組み合せて用いてもよく、その量は、潤滑油組成物全量を基準として、モリブデン元素換算で、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.003質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上であり、また、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.06質量%以下、更に好ましくは0.04質量%以下である。モリブデン元素換算で0.001質量%未満であると腐食防止性能が十分に発揮されず、また0.1質量%を超えても含有量の増加に見合う効果が得られない傾向にある。
本発明の潤滑油組成物は(F)ホウ素化無灰分散剤を含有することが好ましい。
ホウ素化無灰分散剤とは、潤滑油に用いられる任意の無灰分散剤をホウ素化したものである。
無灰分散剤としては、炭素数40〜400の直鎖若しくは分枝状のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物又はその誘導体、あるいはアルケニルコハク酸イミドの変性品等が挙げられる。これらの中から任意に選ばれる1種類あるいは2種類以上を配合することができる。
無灰分散剤が有するアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、好ましくは40〜400、より好ましくは60〜350である。アルキル基又はアルケニル基の炭素数が40未満の場合は化合物の潤滑油基油に対する溶解性が低下する傾向にあり、一方、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が400を超える場合は、潤滑油組成物の低温流動性が悪化する傾向にある。このアルキル基又はアルケニル基は、直鎖状でも分枝状でもよいが、好ましいものとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマーやエチレンとプロピレンのコオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基や分枝状アルケニル基等が挙げられる。
なお、コハク酸イミドには、ポリアミンの一端に無水コハク酸が付加したいわゆるモノタイプのコハク酸イミドと、ポリアミンの両端に無水コハク酸が付加したいわゆるビスタイプのコハク酸イミドとが含まれる。
無灰分散剤としては、前記のモノタイプ又はビスタイプのコハク酸イミドのいずれか一方を含有してもよく、あるいは双方を含有してもよい。
また、無灰分散剤として、ベンジルアミンを用いることもできる。好ましいベンジルアミンとしては、具体的には、下記の一般式(5)で表される化合物等が例示できる。
Figure 2012201807
一般式(5)において、R12は、炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基、好ましくは炭素数60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、rは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示す。
上記ポリアミンとしては、より具体的には、下記の一般式(6)で表される化合物等が例示できる。
13‐NH−(CH2CH2NH)−H (6)
一般式(6)において、R13は、炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基、好ましくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、kは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示す。
また、その他の誘導体としては、具体的には、前述の含窒素化合物に炭素数1〜30のモノカルボン酸(脂肪酸等)やシュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン酸、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンカーボネート等の含酸素化合物を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した有機酸等による変性化合物、前述の含窒素化合物に硫黄化合物を作用させた、硫黄変性化合物等が挙げられる。
本発明の潤滑油組成物に用いられる(F)ホウ素化無灰分散剤としては、上記した無灰分散剤をホウ素化したものを挙げることができ、ホウ素化は、一般に、ホウ酸を作用させて、無灰分散剤中のアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和することにより行われる。
ホウ酸変性コハク酸イミドの製造方法としては、例えば、特公昭42-8013号公報及び同42-8014号公報、特開昭51-52381号公報、及び特開昭51-130408号公報等に開示されている方法等が挙げられる。具体的には例えば、アルコール類やヘキサン、キシレン等の有機溶媒、軽質潤滑油基油等にポリアミンとポリアルケニルコハク酸(無水物)にホウ酸、ホウ酸エステル、又はホウ酸塩等のホウ素化合物を混合し、適当な条件で加熱処理することにより得ることができる。なお、この様にして得られるホウ酸性コハク酸イミドのホウ酸含有量は通常0.1〜4.0質量%とすることができる。
これらの誘導体の中でもアルケニルコハク酸イミドのホウ酸変性化合物(ホウ素含有コハク酸イミド)は耐熱性、酸化防止性及び摩耗防止性に優れるため特に好ましく用いられる。また、本発明の潤滑油組成物がアルケニルコハク酸イミドのホウ酸変性化合物(ホウ素含有コハク酸イミド)を含有すると、成分(A)と成分(B)と成分(C)との相乗作用によって奏される効果を一層高めることができる。
また、ホウ素含有無灰分散剤におけるホウ素含有量については特に制限はないが、通常0.1〜3質量%であり、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上であり、また、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下、特に好ましくは0.6質量%以下である。ホウ素含有無灰分散剤としては、好ましくはホウ素含有コハク酸イミド、特に、ホウ素含有ビスコハク酸イミドを使用することが望ましい。上記のようなホウ素含有無灰分散剤を使用する場合、そのホウ素含有量は、組成物全量基準で、0.01質量%以上、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.025質量%以上であり、また、0.15質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0.06質量%以下である。
また、上記ホウ素含有コハク酸イミド等のホウ素含有無灰分散剤を用いる場合、そのホウ素/窒素質量比(B/N比)は特に制限はなく、通常0.05〜5であるが、本発明の1つの態様としては、B/N比が0.1以上、好ましくは0.2以上、好ましくは1以下、より好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.5以下である。
なお、B/N比が1を超える場合、安定性に懸念があるだけでなく、組成物中のホウ素量が多くなりすぎ、硫酸灰分の増加とともに、排ガス後処理装置への影響が懸念されるため、好ましくない。また、B/N比が0.1未満の場合、摩擦低減性能向上効果が小さく、別のホウ素化合物を併用することが望ましい。
また、上記ホウ素含有コハク酸イミド等のホウ素含有無灰分散剤を用いる場合、添加量は、組成物全量基準で、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、特に好ましくは7質量%以上であり、また、15質量%以下、好ましくは12質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。1質量%未満では分散効果なく、15%を超えると、低温時の粘度が高くなりすぎ、エンジンの起動に支障が出る。
本発明の潤滑油組成物は、特に摺動部に鉛含有金属材料が使用されている場合に好適に使用できる。本発明の潤滑油組成物を使用することにより、銅−鉛含有金属材料あるいは銅含有金属材料と鉛含有金属材料の腐食又は腐食摩耗を抑制し、内燃機関に使用される場合はピストン燃焼面およびピストン燃焼面裏側のデポジットを減少させうる効果を有する。
本発明において、鉛含有金属材料としては、本発明の潤滑油組成物と接触する金属表面に鉛が存在する限りにおいて何ら制限はなく、鉛だけでなく、鉛合金、あるいは、鉛又は鉛合金を各種金属基材表面に被覆した金属材料が挙げられる。また、鉛含有金属材料には、その表面に非鉛含有金属材料が被覆されていても、使用過程においてその被覆面が摩耗して当該鉛含有金属材料が露出し、本発明の潤滑油と接触する可能性がある場合も含まれる。
鉛合金としては、例えば、鉛−スズ合金、鉛−銅合金、鉛−スズ−銅合金、鉛−アルミニウム合金、鉛−アルミニウム−珪素合金、鉛−アルミニウム−スズ合金、鉛−アルミニウム−銅合金、鉛−アルミニウム−珪素−スズ合金、鉛−アルミニウム−珪素−銅合金、鉛−アルミニウム−スズ−銅合金、鉛−アルミニウム−珪素−スズ−銅合金等が挙げられ、これら鉛含有金属材料としては、鉛含有量が、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上含まれる金属材料であることが好ましい。具体的には、鉛を50〜95質量%、好ましくは60〜90質量%含有する鉛−スズ含有合金、鉛を5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%含有する鉛−銅含有合金、鉛を1〜10質量%、好ましくは2〜5質量%含有する鉛−アルミニウム含有合金等が挙げられる。
金属表面の鉛含有量が多いほど、鉛腐食又は腐食摩耗が発生しやすいため、本発明の潤滑油組成物は有用である。
本発明の潤滑油組成物は、その性能をさらに向上させるために、又は、その他の目的に応じて潤滑油に一般的に使用されている任意の添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、酸化防止剤、摩擦調整剤、ジチオリン酸亜鉛や本願リン化合物以外の摩耗防止剤、粘度指数向上剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤、及び着色剤等の添加剤等を挙げることができる。
本発明における酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤等の無灰系酸化防止剤や有機金属系酸化防止剤等、潤滑油に一般的に使用されているものであれば使用可能である。酸化防止剤の添加により、潤滑油組成物の酸化防止性をより高められ、本発明の組成物の、鉛含有金属の腐食又は腐食摩耗防止性能を高めるだけでなく、塩基価維持性をより高めることができる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)スルフィド、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、2,2’−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル置換脂肪酸エステル類等を好ましい例として挙げることができる。これらは二種以上を混合して使用してもよい。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、及びジアルキルジフェニルアミンを挙げることができる。これらは二種以上を混合して使用してもよい。
上記フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、有機金属酸化防止剤は組み合わせて配合してもよい。
摩擦調整剤としては、潤滑油用の摩擦調整剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、例えば、硫化モリブデンジチオカーバメート又は硫化オキシモリブデンジチオカーバメート、硫化モリブデンジチオホスフェート又は硫化オキシモリブデンジチオホスフェート、二硫化モリブデン等のモリブデン系摩擦調整剤、炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル基、特に炭素数6〜30の直鎖アルキル基又は直鎖アルケニル基を分子中に少なくとも1個有する、アミン化合物、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、ヒドラジド(オレイルヒドラジド等)、セミカルバジド、ウレア、ウレイド、ビウレット等の無灰摩擦調整剤等が挙げられ、通常0.1〜5質量%の範囲で含有させることが可能である。
硫黄含有摩耗防止剤としては、ジスルフィド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類、ジチオカーバメート、ジチオカルバミン酸亜鉛等の硫黄含有化合物等が挙げられる。これら硫黄含有化合物は組成物の全硫黄含有量が本発明の規定量以下となる限りにおいて、0.005〜5質量%の範囲で本発明の組成物に含有させることが可能であるが、銅の腐食又は腐食摩耗を抑制できる点で、これらの含有量を0.15質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、特に0.05質量%以下、あるいはこれらを配合しない、低硫黄化及びロングドレイン化された潤滑油組成物とすることができる。
粘度指数向上剤としては、具体的には、各種メタクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上のモノマーの重合体又は共重合体若しくはその水添物などのいわゆる非分散型粘度指数向上剤、又はさらに窒素化合物を含む各種メタクリル酸エステルを共重合させたいわゆる分散型粘度指数向上剤、非分散型又は分散型エチレン−α−オレフィン共重合体(α−オレフィンとしてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等が例示できる。)若しくはその水素化物、ポリイソブチレン若しくはその水添物、スチレン−ジエン共重合体の水素化物、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体及びポリアルキルスチレン等が挙げられる。
これら粘度指数向上剤の分子量は、せん断安定性を考慮して選定することが必要である。具体的には、粘度指数向上剤の数平均分子量は、例えば分散型及び非分散型ポリメタクリレートの場合では、通常5,000〜1,000,000、好ましくは100,000〜900,000のものが、ポリイソブチレン又はその水素化物の場合は通常800〜5,000、好ましくは1,000〜4,000のものが、エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物の場合は通常800〜500,000、好ましくは3,000〜200,000のものが用いられる。
またこれらの粘度指数向上剤の中でもエチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物を用いた場合には、特にせん断安定性に優れた潤滑油組成物を得ることができる。上記粘度指数向上剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を任意の量で含有させることができる。粘度指数向上剤の含有量は、通常潤滑油組成物基準で0.1〜20質量%である。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、及びイミダゾール系化合物等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、及び多価アルコールエステル等が挙げられる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、及びβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン、フルオロシリコール、及びフルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
これらの添加剤を本発明の潤滑油組成物に含有させる場合には、その含有量は潤滑油組成物全量基準で、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤ではそれぞれ0.005〜5質量%、金属不活性化剤では0.005〜1質量%、消泡剤では0.0005〜1質量%の範囲で通常選ばれる。
また、本発明の潤滑油組成物は、金属を含有する添加剤の含有量を調整することで、組成物の硫酸灰分を1.0質量%以下とすることも可能であり、排ガス浄化装置や燃焼室への堆積を抑制する観点から、好ましくは0.8質量%、さらに好ましくは0.6質量%以下とすることが望ましい。
以下に本発明の内容を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
(実施例1〜3および比較例1〜4)
表1に示すように、本発明の潤滑油組成物(実施例1〜3)および比較用の潤滑油組成物(比較例1〜4)を調製した。これらの組成物について、NOx吹込試験およびパネルコーキング試験を行い、鉛(Pb)溶出量およびコーキング重量を測定した。その結果を表1に示す。
なお、パネルコーキング試験は、Federal Test Method 791B-3462に準拠し、パネル温度310℃、油温100℃、テスト時間3時間としてアルミニウムパネルに付着するカーボン量(mg)を評価することにより清浄性を評価した。
Figure 2012201807
表1より、本発明の潤滑油組成物(実施例1〜3)は、比較例1〜4に比べ、長時間経過しても鉛(Pb)溶出量が少なく、鉛含有金属材料の腐食もしくは腐食摩耗を抑制する効果があることが分かる。また、コーキング重量も少なく、清浄性に優れていることも明らかである。
本発明の潤滑油組成物は、低硫黄であり、鉛含有金属材料の腐食又は腐食摩耗防止性に優れるだけでなく、低摩擦性、ロングドレイン性(酸化安定性、塩基価維持性等)及び高温清浄性にも優れ、内燃機関用潤滑油として好ましく使用することができ、低硫黄、さらには低リンあるいは無リン、低灰分の潤滑油とすることで、特に排ガス後処理装置を装着した内燃機関に好適である。また、低硫黄燃料、例えば、硫黄分が50質量ppm以下、さらに好ましくは30質量ppm以下、特に好ましくは10質量ppm以下の燃料(例えばガソリン、軽油、灯油、アルコール、ジメチルエーテル、LPG、天然ガス等)を用いる内燃機関用潤滑油に好適である。特に鉛含有摺動材料を有するディーゼルエンジン用やガスエンジン用潤滑油として特に好ましく使用することができる。中でも、ガスエンジン用潤滑油として特に好ましく使用することができる。

Claims (7)

  1. (A)潤滑油基油に、(B)一般式(1)および/または一般式(2)で表されるリン化合物、それらの金属塩、それらのアミン塩、及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物をリン量として0.01質量%以上0.1質量%以下、および(C)エポキシ化合物を0.05質量%以上1.0質量%以下含有することを特徴とする潤滑油組成物。
    Figure 2012201807
    (一般式(1)において、X、X及びXは、それぞれ個別に酸素原子又は硫黄原
    子を示し、そのうち少なくともひとつが酸素であり、R、R及びRは、それぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示す。)
    Figure 2012201807
    (一般式(2)において、X、X、X及びXは、それぞれ個別に酸素原子又は
    硫黄原子(X、X及びXの1つ又は2つが単結合又は(ポリ)オキシアルキレン基
    でもよい。)を示し、そのうち少なくともひとつが酸素であり、R、R及びRは、それぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示す。)
  2. (A)潤滑油基油が、100℃における動粘度が5〜12mm/sであり、%Cが6以下であることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. (B)リン化合物が、硫黄を含有しないリン化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
  4. (C)エポキシ化合物が、脂環式エポキシ化合物、その誘導体およびグリシジルエステル型エポキシ化合物から選ばれる化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑油組成物。
  5. さらに(D)サリシレート系金属清浄剤、(E)有機モリブデン化合物、および(F)ホウ素化無灰分散剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の潤滑油組成物。
  6. 摺動部に鉛含有金属材料が使用されている内燃機関に使用されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の潤滑油組成物。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の潤滑油組成物を摺動部に鉛含有金属材料が使用されている内燃機関に使用することにより、銅−鉛含有金属材料あるいは銅含有金属材料と鉛含有金属材料の両方の腐食又は腐食摩耗を抑制し、かつ内燃機関のピストン燃焼面およびピストン燃焼面裏側のデポジットを減少させる方法。
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