JP5815223B2 - エンジン油組成物 - Google Patents

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Description

本発明はエンジン油組成物に関する。
従来、内燃機関や変速機、その他機械装置には、その作用を円滑にするために潤滑油が用いられる。特に内燃機関用潤滑油(エンジン油)は内燃機関の高性能化、高出力化、運転条件の苛酷化などに伴い、高度な性能が要求される。したがって、従来のエンジン油にはこうした要求性能を満たすため、摩耗防止剤、金属系清浄剤、無灰分散剤、酸化防止剤などの種々の添加剤が配合されている(例えば、下記特許文献1〜3を参照。)。また近時、潤滑油に求められる省燃費性能は益々高くなっており、高粘度指数基油の適用や各種摩擦調整剤の適用などが検討されている(例えば、下記特許文献4を参照。)。
特開2001−279287号公報 特開2002−129182号公報 特開平08−302378号公報 特開平06−306384号公報
一般的な省燃費化の手法として、潤滑油の動粘度の低減及び粘度指数の向上(低粘度基油と粘度指数向上剤の組合せによるマルチグレード化)が知られている。もうひとつの手段は油膜の形成がごくわずかしかなく、固体間接触が発生しているような潤滑条件下、すなわち混合潤滑条件下での摩擦を低減する方法である。この潤滑条件はエンジンではバルブを駆動する動弁系や低速時のピストンの上死点や下死点で発生する。この摩擦低減する方法としては、固体間接触が発生する部分に、添加剤を吸着させることにより、固体間の接触を低減させる方法がとられる。この添加剤を一般に摩擦調整剤と呼んでいる。
この摩擦調整剤としては様々な化合物が使用されているが、基本的な構造としては同一化合物中に直鎖状のアルキル基と金属表面に吸着できる極性基を有するものである。この極性基としては様々なものがあり、カルボン酸、アミン、アミド、水酸基、リン酸、亜リン酸等が挙げられるが、これらが複数、同じ種類や異なる種類のものが同一分子に存在するものの多数あり、その構造はきわめて複雑である。また有効性が高いものとして、有機モリブデン化合物が知られている。
省燃費性をさらに向上させるために、摩擦調整剤の添加のほか、高性能基油配合や高性能粘度指数向上剤の添加が試みられ、その性能は向上してきている。しかしながら、更なる省燃費性能の向上が求められているのが現実である。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、混合潤滑条件下での摩擦を十分に低減することにより、さらに省燃費性に優れるエンジン油組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、下記[1]〜[4]に示すエンジン油組成物を提供する。
[1]100℃における動粘度が1〜20mm/sである潤滑油基油と、有機モリブデン化合物と、アルカリ土類金属ホウ酸塩で過塩基化させた油溶性金属塩と、ホウ酸変性無灰分散剤とを含有し、ホウ素含有量が、エンジン油組成物全量を基準として、450質量ppm以上1500質量ppm以下であり、前記油溶性金属清浄剤がサリチル酸金属塩をアルカリ土類金属ホウ酸塩で過塩基化させたものであり、前記ホウ酸変性無灰分散剤がホウ酸変性コハク酸イミドであるエンジン油組成物。
[2]前記有機モリブデン化合物がモリブデンジチオカーバメートであ、[1]に記載のエンジン油組成物。
[3]前記ホウ酸変性コハク酸イミドにおけるホウ素含有量と窒素含有量の質量比B/Nが0.8以上である、[1]又は[2]に記載のエンジン油組成物。
[4]前記ホウ酸変性コハク酸イミドの分子量が4000以上である、[3]に記載のエンジン油組成物。
本発明によれば、混合潤滑条件下での摩擦を十分に低減することができ、省燃費性に優れるエンジン油組成物を提供することが可能となる。
本発明のエンジン油組成物は、二輪車用、四輪車用、発電用、コジェネレーション用等のガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ガスエンジン等にも好適に使用でき、さらには、硫黄分が50質量ppm以下の燃料を使用するこれらの各種エンジンに対しても好適に使用することができるだけでなく、船舶用、船外機用の各種エンジンに対しても有用である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係るエンジン油組成物は、100℃における動粘度が1〜20mm/sである潤滑油基油と、(A)有機モリブデン化合物(以下、場合により「成分(A)」ともいう)と、(B)油溶性金属塩をアルカリ土類金属ホウ酸塩で過塩基化させた油溶性金属清浄剤(以下、場合により「成分(B)」ともいう)と、(C)ホウ酸変性無灰分散剤(以下、場合により「成分(C)」ともいう)とを含有する。
本実施形態に係るエンジン油組成物においては、100℃における動粘度が1〜20mm/sである潤滑油基油(以下、「本実施形態に係る潤滑油基油」という。)が用いられる。
本実施形態に係る潤滑油基油としては、例えば、原油を常圧蒸留及び/又は減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、水素化異性化、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理のうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて精製したパラフィン系鉱油、あるいはノルマルパラフィン系基油、イソパラフィン系基油などのうち、100℃における動粘度が1〜20mm/sのものが挙げられる。
本実施形態に係る潤滑油基油の好ましい例としては、以下に示す基油(1)〜(7)を原料とし、この原料油及び/又はこの原料油から回収された潤滑油留分を、所定の精製方法によって精製し、潤滑油留分を回収することによって得られる基油を挙げることができる。
(1)パラフィン基系原油及び/又は混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留による留出油(WVGO)
(2)潤滑油脱ろう工程により得られるワックス(スラックワックス等)及び/又はガストゥリキッド(GTL)プロセス等により得られる合成ワックス(フィッシャートロプシュワックス、GTLワックス等)
(3)基油(1)〜(2)から選ばれる1種又は2種以上の混合油及び/又は当該混合油のマイルドハイドロクラッキング処理油
(4)基油(1)〜(3)から選ばれる2種以上の混合油
(5)パラフィン基系原油及び/又は混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸残渣油の脱れき油(DAO)
(6)基油(5)のマイルドハイドロクラッキング処理油(MHC)
(7)基油(1)〜(6)から選ばれる2種以上の混合油。
なお、上記所定の精製方法としては、水素化分解、水素化仕上げなどの水素化精製;フルフラール溶剤抽出などの溶剤精製;溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう;酸性白土や活性白土などによる白土精製;硫酸洗浄、苛性ソーダ洗浄などの薬品(酸又はアルカリ)洗浄などが好ましい。本発明では、これらの精製方法のうちの1種を単独で行ってもよく、2種以上を組み合わせて行ってもよい。また、2種以上の精製方法を組み合わせる場合、その順序は特に制限されず、適宜選定することができる。
更に、本実施形態に係る潤滑油基油としては、上記基油(1)〜(7)から選ばれる基油又は当該基油から回収された潤滑油留分について所定の処理を行うことにより得られる下記基油(8)が特に好ましい。
(8)上記基油(1)〜(7)から選ばれる基油又は当該基油から回収された潤滑油留分を水素化分解し、その生成物又はその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、又は当該脱ろう処理をした後に蒸留することによって得られる水素化分解鉱油。
また、上記(8)の潤滑油基油を得るに際して、好都合なステップで、必要に応じて溶剤精製処理及び/又は水素化仕上げ処理工程を更に設けてもよい。
本実施形態に係る潤滑油基油の粘度指数は、120以上であることが好ましいより好ましくは125〜160である。粘度指数が前記下限値未満であると、粘度−温度特性及び熱・酸化安定性、揮発防止性が悪化するだけでなく、摩擦係数が上昇する傾向にあり、また、摩耗防止性が低下する傾向にある。また、粘度指数が前記上限値を超えると、低温粘度特性が低下する傾向にある。
なお、本発明でいう粘度指数とは、JIS K 2283−1993に準拠して測定された粘度指数を意味する。
本実施形態に係る潤滑油基油として、100℃における動粘度が1〜20mm/sである合成系基油を用いても良い。合成系基油としては、ポリα−オレフィン又はその水素化物、イソブテンオリゴマー又はその水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等が挙げられ、中でも、ポリα−オレフィンが好ましい。ポリα−オレフィンとしては、典型的には、炭素数2〜32、好ましくは6〜16のα−オレフィンのオリゴマー又はコオリゴマー(1−オクテンオリゴマー、デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンコオリゴマー等)及びそれらの水素化物が挙げられる。
本実施形態に係るエンジン油組成物においては、上記本実施形態に係る潤滑油基油を単独で用いてもよく、また、本実施形態に係る潤滑油基油を他の基油の1種又は2種以上と併用してもよい。なお、本実施形態に係る潤滑油基油と他の基油とを併用する場合、それらの混合基油中に占める本実施形態に係る潤滑油基油の割合は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
本実施形態に係る潤滑油基油と併用される他の基油としては、特に制限されないが、鉱油系基油としては、例えば100℃における動粘度が20mm/sを超え200mm/s以下の、溶剤精製鉱油、水素化分解鉱油、水素化精製鉱油、溶剤脱ろう基油などが挙げられる。
また、本実施形態に係る潤滑油基油と併用される他の合成系基油としては、100℃における動粘度が1〜20mm/sの範囲外である、前記した合成系基油が挙げられる。
本実施形態で用いる成分(A)は、有機モリブデン化合物である。有機モリブデン化合物としては、例えば、硫化モリブデンジチオカーバメート又は硫化オキシモリブデンジチオカーバメート、硫化モリブデンジチオホスフェート又は硫化オキシモリブデンジチオホスフェート、モリブデンのアミン錯体、モリブデンのコハク酸イミド錯体、有機酸のモリブデン塩、アルコールのモリブデン塩等を例示することができる。
本実施形態で用いる(A)成分としてはモリブデンジチオカーバメートが好ましい。モリブデンジチオカーバメートとしては、具体的には例えば、次の一般式(1)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0005815223
上記(1)式中、R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数2〜24、好ましくは炭素数4〜13のアルキル基又は炭素数6〜24、好ましくは炭素数8〜15のアリール基(アルキルアリール基を含む)等の炭化水素基を示す。また、X、X、X及びXは同一でも異なっていてもよく、それぞれ硫黄原子又は酸素原子を示す。なお、ここでいうアルキル基には1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基が含まれ、これらは直鎖状でも分枝状でもよい。
アルキル基として好ましい例としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられ、これらは1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基でも良く、また直鎖状でも分枝状でもよい。(アルキル)アリール基の好ましい例としては、フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等が挙げられ、そのアルキル基は1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基でも良く、また直鎖状でも分枝状でもよい。さらにこれら(アルキル)アリール基には、アリール基へのアルキル基の置換位置が異なる、全ての置換異性体が含まれる。
より好ましいモリブデンジチオカーバメートとしては、具体的には、硫化モリブデンジエチルジチオカーバメート、硫化モリブデンジプロピルジチオカーバメート、硫化モリブデンジブチルジチオカーバメート、硫化モリブデンジペンチルジチオカーバメート、硫化モリブデンジヘキシルジチオカーバメート、硫化モリブデンジオクチルジチオカーバメート、硫化モリブデンジデシルジチオカーバメート、硫化モリブデンジドデシルジチオカーバメート、硫化モリブデンジ(ブチルフェニル)ジチオカーバメート、硫化モリブデンジ(ノニルフェニル)ジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジエチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジプロピルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジブチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジペンチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジヘキシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジオクチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジドデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ(ブチルフェニル)ジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ(ノニルフェニル)ジチオカーバメート(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良く、また、アルキルフェニル基のアルキル基の結合位置は任意である)、及びこれらの混合物等が例示できる。なお、これらモリブデンジチオカーバメートとしては、1分子中に異なる炭素数及び/又は構造の炭化水素基を有する化合物も、好ましく用いることができる。
また、成分(A)として、モリブデンジチオホスフェートを用いることもできる。モリブデンジチオホスフェートとしては、具体的には例えば、次の一般式(2)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0005815223
上記(2)式中、R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数2〜30、好ましくは炭素数5〜18、より好ましくは炭素数5〜12のアルキル基又は炭素数6〜18のアリール基(アルキルアリール基を含む)等の炭化水素基を示す。また、Y、Y、Y及びYは同一でも異なっていてもよく、それぞれ硫黄原子又は酸素原子を示す。なお、ここでいうアルキル基には1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基が含まれ、これらは直鎖状でも分枝状でもよい。
アルキル基として好ましい例としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられ、これらは1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基でも良く、また直鎖状でも分枝状でもよい。(アルキル)アリール基の好ましい例としては、フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等が挙げられ、そのアルキル基は1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基でも良く、また直鎖状でも分枝状でもよい。さらにこれら(アルキル)アリール基には、アリール基へのアルキル基の置換位置が異なる全ての置換異性体が含まれる。
より好ましいモリブデンジチオホスフェートとしては、具体的には、硫化モリブデンジエチルジチオホスフェート、硫化モリブデンジプロピルジチオホスフェート、硫化モリブデンジブチルジチオホスフェート、硫化モリブデンジペンチルジチオホスフェート、硫化モリブデンジヘキシルジチオホスフェート、硫化モリブデンジオクチルジチオホスフェート、硫化モリブデンジデシルジチオホスフェート、硫化モリブデンジドデシルジチオホスフェート、硫化モリブデンジ(ブチルフェニル)ジチオホスフェート、硫化モリブデンジ(ノニルフェニル)ジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジエチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジプロピルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジブチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジペンチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジヘキシルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジオクチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジデシルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジドデシルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジ(ブチルフェニル)ジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジ(ノニルフェニル)ジチオホスフェート(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良く、また、アルキルフェニル基のアルキル基の結合位置は任意である)、及びこれらの混合物等が例示できる。なお、これらモリブデンジチオホスフェートとしては、1分子中に異なる炭素数及び/又は構造の炭化水素基を有する化合物も、好ましく用いることができる。
成分(A)の含有量は、摩擦低減効果の観点から、エンジン油組成物全量を基準として、モリブデン元素量換算で、好ましくは300質量ppm以上、より好ましくは500質量ppm以上、さらに好ましくは600ppm以上、特に好ましくは700ppm以上である。また、成分(A)の含有量は、潤滑油基油への溶解性及び貯蔵安定性、酸化安定性の維持の観点から、好ましくは1500質量ppm以下、より好ましくは1200質量ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下である。なお、成分(A)の含有量が上記下限値未満の場合、摩擦低減効果に劣り、一方(A)成分の配合量が上記上限値を超える場合はポリα−オレフィン又はその水素化物への溶解性が低いため、長期貯蔵に際し沈殿する恐れがあり、また長期使用における酸化安定性が悪化するため、それぞれ好ましくない。
本実施形態における成分(B)は、アルカリ土類金属ホウ酸塩で過塩基化させた油溶性金属系清浄剤である。エンジン油組成物が成分(B)を含有することによって、本構成を有さない場合と比較して、省燃費性能を高めることができる。
油溶性金属塩としては、油溶性のアルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属サリシレート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属ホスホネートなどが挙げられる。成分(B)である油溶性金属清浄剤は、これらの油溶性金属塩と、アルカリ土類金属の水酸化物又は酸化物と、ホウ酸又は無水ホウ酸とを反応させることによって得ることができる。アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどが挙げられ、カルシウムが好ましい。
成分(B)の塩基価は、50mgKOH/g以上であることが好ましく、100mgKOH/g以上であることがより好ましく、150mgKOH/g以上であることがさらに好ましく、200以上であることが特に好ましい。また、500mgKOH/g以下であることが好ましく、400mgKOH/g以下であることがさらに好ましく、300mgKOH/g以下であることが特に好ましい。本発明でいう塩基価はJIS K 2501 5.2.3により測定された値である。
また、成分(B)の平均粒径は、0.1μm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.05μm以下である。
成分(B)の製造法は任意であるが、例えば、上記油溶性金属塩、アルカリ土類金属水酸化物又は酸化物,並びにホウ酸又は無水ホウ酸を水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール及びベンゼン、トルエン、キシレンなどの希釈溶剤の存在下で20〜200℃で2〜8時間反応させ、つぎに100〜200℃に加熱して水及び必要に応じてアルコール及び希釈溶剤を除去することにより得られる。これらの詳細な反応条件は、原料、反応物の量などに応じて適宜選択される。なお、製造法の詳細については、例えば特開昭60−116688号公報、特開昭61−204298号公報などに記載されている。上記方法で製造された油溶性金属塩をアルカリ土類金属ホウ酸塩で過塩基化した過塩基性金属塩の粒径は通常0.1μm以下、全塩基価は通常100mgKOH/g以上であるため、本実施形態に係る潤滑油組成物において好ましく用いることができる。
本実施形態に係るエンジン油組成物における成分(B)の含有量は、潤滑油組成物全量基準で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、特に好ましくは1.0質量%以上である。また、成分(B)の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。含有量が0.01質量%に満たない場合には、省燃費効果が短期間しか持続しないだけでなく、酸化安定性や、清浄性が悪化するおそれがあり、また10質量%を超える場合には、含有量に見合った効果が得られないおそれがあるとともに、省燃費効果が悪化するおそれもあるため共に好ましくない。
成分(B)が金属サリシレート系清浄剤である場合、当該金属サリシレート系清浄剤としては、サリチル酸に等モルの炭化水素基(例えば炭素数8〜30のオレフィン)を付加させたサリチル酸、又は、フェノールに等モル炭化水素基(例えば炭素数8〜30のオレフィン)を付加させ、次いで炭酸ガス等によりカルボキシル化させた、炭素数8〜30の炭化水素基を1つ有するサリチル酸に、当量の金属塩や金属塩基等を作用させて得られる中性サリチル酸金属塩、さらには当該中性サリチル酸金属塩に過剰の金属塩又は金属塩基(金属の水酸化物や酸化物)を水の存在下で加熱することにより得られる塩基性塩、前記中性のサリチル酸金属塩の存在下において炭酸ガス又はホウ酸若しくはホウ酸塩と金属の水酸化物等の塩基とを反応させることにより得られる過塩基性塩(超塩基性塩)などが挙げられる。なお、これらの(過)塩基化の反応は、通常、溶媒(ヘキサン等の脂肪族炭化水素溶剤、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、軽質潤滑油基油等)中で行われる。
上記のサリシレート系清浄剤は、通常、溶剤や潤滑油基油等の希釈剤中で反応させて得られるが、そのようにして得られたサリシレート系清浄剤の金属含有量は、通常1.0〜20質量%、好ましくは2.0〜16質量%、より好ましくは5.0〜10質量%のものを用いるのが望ましい。
成分(B)における金属比は特に制限されないが、通常20以下のものを1種又は2種以上混合して使用できるが、好ましくは金属比が4.5未満、より好ましくは3以下に調整してなるサリシレート系清浄剤を主成分として使用することが望ましい。なお、ここでいう金属比とは、(成分(B)における金属元素の価数)×(金属元素含有量(モル%))/(せっけん基含有量(モル%))で表され、金属元素とは、カルシウム、マグネシウム等、せっけん基とはサリチル酸基を意味する。
本実施形態における(C)成分はホウ素化無灰分散剤であり、潤滑油に用いられるホウ素化した任意の無灰分散剤を用いることができる。
例えば、無灰分散剤としては、炭素数40〜400の直鎖若しくは分枝状のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物又はその誘導体、あるいはアルケニルコハク酸イミドの変性品等が挙げられる。これらの中から任意に選ばれる1種類あるいは2種類以上を配合することができる。
無灰分散剤が有するアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、好ましくは40〜400、より好ましくは60〜350である。アルキル基又はアルケニル基の炭素数が40未満の場合は化合物の潤滑油基油に対する溶解性が低下する傾向にあり、一方、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が400を超える場合は、エンジン油組成物の低温流動性が悪化する傾向にある。このアルキル基又はアルケニル基は、直鎖状でも分枝状でもよいが、好ましいものとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマーやエチレンとプロピレンのコオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基や分枝状アルケニル基等が挙げられる。
なお、コハク酸イミドには、ポリアミンの一端に無水コハク酸が付加した一般式(3)で表される、いわゆるモノタイプのコハク酸イミドと、ポリアミンの両端に無水コハク酸が付加した一般式(4)で表される、いわゆるビスタイプのコハク酸イミドとが含まれる。
Figure 0005815223
一般式(3)において、Rは炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基、好ましくは炭素数60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、pは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示す。
一般式(4)において、R10及びR11は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基、好ましくは炭素数60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、ポリブテニル基であることが好ましい。qは0〜4、好ましくは1〜3の整数を示す。
本実施形態に係るエンジン油組成物は、モノタイプ又はビスタイプのコハク酸イミドのいずれか一方を含有してもよく、あるいは双方を含有してもよい。
コハク酸イミドの製法は特に制限されないが、例えば炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を有する化合物を無水マレイン酸と100〜200℃で反応させて得たアルキルコハク酸又はアルケニルコハク酸をポリアミンと反応させることにより得ることができる。ポリアミンとしては、具体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びペンタエチレンヘキサミン等が例示できる。
また、ホウ素化無灰分散剤として、ホウ素化されたベンジルアミンを用いることもできる。好ましいベンジルアミンとしては、具体的には、下記の一般式(5)で表される化合物等が例示できる。
Figure 0005815223
一般式(5)において、R12は、炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基、好ましくは炭素数60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、rは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示す。
ベンジルアミンの製造方法は何ら限定されるものではないが、例えば、プロピレンオリゴマー、ポリブテン、及びエチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンをフェノールと反応させてアルキルフェノールとした後、これにホルムアルデヒドとジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンをマンニッヒ反応により反応させることにより得ることができる。
上記ポリアミンとしては、より具体的には、下記の一般式(6)で表される化合物等が例示できる。
13‐NH−(CH2CH2NH)−H (6)
一般式(6)において、R13は、炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基、好ましくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、kは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示す。
ポリアミンの製造法は何ら限定されるものではないが、例えば、プロピレンオリゴマー、ポリブテン、及びエチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンを塩素化した後、これにアンモニアやエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンを反応させることにより得ることができる。
また、その他の誘導体としては、具体的には、前述の含窒素化合物に炭素数1〜30のモノカルボン酸(脂肪酸等)やシュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン酸、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンカーボネート等の含酸素化合物を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した有機酸等による変性化合物、前述の含窒素化合物に硫黄化合物を作用させた、硫黄変性化合物等が挙げられる。
ホウ素化は、一般に、前述の含窒素化合物にホウ酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和することのより行われる。
例えば、ホウ酸変性コハク酸イミドの製造方法としては、特公昭42-8013号公報及び同42-8014号公報、特開昭51-52381号公報、及び特開昭51-130408号公報等に開示されている方法等が挙げられる。具体的には例えば、アルコール類やヘキサン、キシレン等の有機溶媒、軽質潤滑油基油等にポリアミンとポリアルケニルコハク酸(無水物)にホウ酸、ホウ酸エステル、又はホウ酸塩等のホウ素化合物を混合し、適当な条件で加熱処理することにより得ることができる。なお、この様にして得られるホウ酸性コハク酸イミドのホウ酸含有量は通常0.1〜4.0質量%とすることができる。
これらの誘導体の中でもアルケニルコハク酸イミドのホウ酸変性化合物(ホウ素含有コハク酸イミド)は耐熱性、酸化防止性及び摩耗防止性に優れる。本発明のエンジン油組成物においては、成分(A)と成分(B)との相乗効果による省燃費効果を一層高めるために有効である。
本実施形態に係るエンジン油組成物における成分(C)の含有量は、エンジン油組成物全量基準で、好ましくは0.1〜15質量%であり、より好ましくは0.5〜10質量%であり、さらに好ましくは1.0〜8質量%である。成分(C)の含有量が0.1質量%未満の場合は、省燃費性向上効果が不十分となるおそれがあり、一方、15質量%を超える場合は、エンジン油組成物の低温流動性が大幅に悪化するおそれがある。
また、上記ホウ素含有コハク酸イミド等のホウ素含有無灰分散剤を用いる場合、そのホウ素含有量は特に制限はなく、通常0.1〜3質量%であるが、本発明の1つの態様としては、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.8質量%以上、特に好ましくは1.0質量%以上、また、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.7質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下のホウ素含有量のホウ素含有無灰分散剤、好ましくはホウ素含有コハク酸イミド、特に、ホウ素含有ビスコハク酸イミドを使用することが望ましい。なお、ホウ素含有量が3質量%を超える場合、安定性に懸念があるだけでなく、組成物中のホウ素量が多くなりすぎ、硫酸灰分の増加とともに、排ガス後処理装置への影響が懸念されるため、好ましくない。また、ホウ素含有量が0.1質量%未満の場合、省燃費性能向上効果が小さく、別のホウ素化合物を併用することが望ましい。
また、上記ホウ素含有コハク酸イミド等のホウ素含有無灰分散剤のホウ素/窒素質量比(B/N比)は特に制限はなく、通常0.05〜5であるが、本発明の1つの態様としては、B/N比が好ましくは0.2以上、より好ましくは0.4以上、特に好ましくは0.7以上であり、また、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.9以下のホウ素含有無灰分散剤、好ましくはホウ素含有コハク酸イミド、特に、ホウ素含有ビスコハク酸イミドを使用することが望ましい。なお、B/N比が1を超える場合、安定性に懸念があるだけでなく、組成物中のホウ素量が多くなりすぎ、硫酸灰分の増加とともに、排ガス後処理装置への影響が懸念されるため、好ましくない。また、B/N比が0.1未満の場合、省燃費性能向上効果が小さく、別のホウ素化合物を併用することが望ましい。
また、上記ホウ素含有コハク酸イミド等のホウ素含有無灰分散剤のホウ素/窒素質量比(B/N比)は特に制限はなく、通常0.05〜5であるが、本発明の1つの態様としては、B/N比が好ましくは0.2以上、より好ましくは0.4以上、特に好ましくは0.7以上であり、また、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.9以下のホウ素含有無灰分散剤、好ましくはホウ素含有コハク酸イミド、特に、ホウ素含有ビスコハク酸イミドを使用することが望ましい。なお、B/N比が1を超える場合、安定性に懸念があるだけでなく、組成物中のホウ素量が多くなりすぎ、硫酸灰分の増加とともに、排ガス後処理装置への影響が懸念されるため、好ましくない。また、B/N比が0.1未満の場合、省燃費性能向上効果が小さく、別のホウ素化合物を併用することが望ましい。
また、本実施形態に係るエンジン油組成物の成分(C)起因のホウ素含有量は、エンジン油組成物全量基準で、0.01質量%以上、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上であり、特に好ましくは0.04質量%以上である。また、好ましくは0.15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.07質量%以下である、特に好ましくは0.05質量%以下である。
成分(C)がホウ酸変性コハク酸イミドである場合、その分子量は、前述した一般式(3)のR又は一般式(4)のR10の炭素数とポリアミンの構造によって決まるが、分子量としては好ましくは2500以上、より好ましくは3000以上、さらに好ましくは4000以上である。また10000以下が好ましく、さらには8000以下が好ましい。2500以下では省燃費効果が小さく、10000以上は実質的に合成が困難である。
本実施形態に係るエンジン油組成物のホウ素含有量は、組成物全量基準で、好ましくは450質量ppm以上であり、より好ましくは600質量ppm以上であり、さらに好ましくは700質量ppm以上、特に好ましくは800質量ppm以上である。また3000質量ppm以下が好ましく、さらには2000質量ppm以下が好ましく、1500質量ppm以下がより好ましく、特に1000質量ppm以下が好ましい。450質量ppm未満では省燃費効果が乏しく、3000質量ppmより多いと、添加剤量が多すぎ、粘度が上がりすぎ、省燃費効果が低下するためである。
本実施形態に係るエンジン油組成物のB成分起因のホウ素含有量(B−B)とC成分起因のホウ素含有量(B−C)の比(B−B)/(B−C)は、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.7以上、特に好ましくは0.8以上である。また5.0以下が好ましく、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.2以下、最も好ましくは1.0以下である。0.1未満では、分散剤起因のホウ素量が多くなりすぎ、省燃費効果が乏しく、5.0より多いと、省燃費効果に対する、(B)成分と(C)成分の相乗効果が乏しくなる。
本実施形態に係るエンジン油組成物のホウ素含有量(B-B)+(B-C)とA成分起因のMo含有量(MoA)の比は、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.7以上、特に好ましくは0.8以上である。また5.0以下が好ましく、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.2以下である。0.1未満では、Moに対するホウ素量が多くなりすぎ、省燃費効果が乏しく、5.0より多いと、省燃費効果に対する、Mo化合物とB化合物の相乗効果が乏しくなる。
本実施形態に係るエンジン油組成物には、さらにその性能を向上させるために、その目的に応じて潤滑油に一般的に使用されている任意の添加剤を含有させることができる。このような添加剤としては、例えば、粘度指数向上剤や成分(B)以外の金属系清浄剤、成分(C)以外の無灰分散剤、摩耗防止剤(又は極圧剤)、酸化防止剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤等の添加剤等を挙げることができる。
粘度指数向上剤は、具体的には非分散型又は分散型エステル基含有粘度指数向上剤であり、例として非分散型又は分散型ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤、非分散型又は分散型オレフィン−(メタ)アクリレート共重合体系粘度指数向上剤、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体系粘度指数向上剤及びこれらの混合物等が挙げられ、これらの中でも非分散型又は分散型ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤であることが好ましい。特に非分散型又は分散型ポリメタクリレート系粘度指数向上剤であることが好ましい。
粘度指数向上剤としては、その他に、非分散型又は分散型エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物、ポリイソブチレン又はその水素化物、スチレン−ジエン水素化共重合体及びポリアルキルスチレン等を挙げることができる。
成分(C)以外の金属系清浄剤としては、アルカリ金属/アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ金属/アルカリ土類金属フェネート、及びアルカリ金属/アルカリ土類金属サリシレート等の正塩又は塩基性塩を挙げることができる。アルカリ金属としてはナトリウム、カリウム等、アルカリ土類金属としてはマグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられるが、マグネシウム又はカルシウムが好ましく、特にカルシウムがより好ましい。
摩耗防止剤(又は極圧剤)としては、潤滑油に用いられる任意の摩耗防止剤・極圧剤が使用できる。例えば、硫黄系、リン系、硫黄−リン系の極圧剤等が使用でき、具体的には、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、亜リン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、ジチオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、チオリン酸エステル類、ジチオリン酸エステル類、トリチオリン酸エステル類、これらのアミン塩、これらの金属塩、これらの誘導体、ジチオカーバメート、亜鉛ジチオカーバメート、ジサルファイド類、ポリサルファイド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類等が挙げられる。これらの中では硫黄系極圧剤の添加が好ましく、特に硫化油脂が好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系等の無灰酸化防止剤、銅系、モリブデン系等の金属系酸化防止剤が挙げられる。具体的には、例えば、フェノール系無灰酸化防止剤としては、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)等が、アミン系無灰酸化防止剤としては、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン等が挙げられる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、又はイミダゾール系化合物等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、又は多価アルコールエステル等が挙げられる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、又はポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、又はβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、25℃における動粘度が1000〜10万mm/sのシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリチレートとo−ヒドロキシベンジルアルコール等が挙げられる。
これらの添加剤を本実施形態に係るエンジン油組成物に含有させる場合には、それぞれの含有量はエンジン油組成物全量基準で、0.01〜10質量%であることが好ましい。
本実施形態に係るエンジン油組成物の100℃における動粘度は、1〜20mm/sであることが好ましく、好ましくは15mm/s以下、より好ましくは10mm/s以下、さらに好ましくは8mm/s以下である。また、本実施形態に係るエンジン油組成物の100℃における動粘度は、好ましくは5mm/s以上、より好ましくは6mm/s以上、さらに好ましくは6.5mm/s以上、特に好ましくは7mm/s以上である。本発明でいう100℃における動粘度とは、ASTM D−445に規定される100℃での動粘度を示す。100℃における動粘度が4mm/s未満の場合には、潤滑性不足を来たすおそれがあり、12mm/sを超える場合には必要な低温粘度及び十分な省燃費性能が得られないおそれがある。
本実施形態に係るエンジン油組成物の40℃における動粘度は、4〜50mm/sであることが好ましく、好ましくは40mm/s以下、より好ましくは35mm/s以下、特に好ましくは32mm/s以下、最も好ましくは30mm/s以下である。また、本実施形態に係るエンジン油組成物の40℃における動粘度は、好ましくは10mm/s以上、より好ましくは20mm/s以上、さらに好ましくは25mm/s以上、特に好ましくは27mm/s以上である。本発明でいう40℃における動粘度とは、ASTM D−445に規定される40℃での動粘度を示す。40℃における動粘度が4mm/s未満の場合には、潤滑性不足を来たすおそれがあり、50mm/sを超える場合には必要な低温粘度及び十分な省燃費性能が得られないおそれがある。
本実施形態に係るエンジン油組成物の粘度指数は、140〜400の範囲であることが好ましく、好ましくは190以上、より好ましくは200以上、さらに好ましくは210以上、特に好ましくは220以上である。本実施形態に係るエンジン油組成物の粘度指数が140未満の場合には、150℃のHTHS粘度を維持しながら、省燃費性を向上させることが困難となるおそれがあり、さらに−35℃における低温粘度を低減させることが困難となるおそれがある。また、本実施形態に係るエンジン油組成物の粘度指数が400以上の場合には、蒸発性が悪化するおそれがあり、更に添加剤の溶解性やシール材料との適合性が不足することによる不具合が発生するおそれがある。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1〜5、比較例1、2]
実施例1〜5及び比較例1、2においては、それぞれ以下に示す潤滑油基油及び添加剤を用いて表1、2に示す組成を有するエンジン油組成物を調製した。
<潤滑油基油>
O−1:基油1(パラフィン系鉱油、100℃における動粘度:3.9mm/s、粘度指数:141、硫黄分:1質量ppm以下、%Cp:93.3)
<添加剤>
A−1:摩擦調整剤1(モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)、一般式(1)で表され、R〜Rが炭素数8のアルキル基であり、XがO、XがS、XがO、XがSである化合物、Mo含有量:10質量%)
B−1:油溶性金属清浄剤1(炭素数14〜18のアルキル基を有するサリチル酸のCa塩をホウ酸カルシウムで過塩基化させたもの、Ca含有量:6.8質量%,ホウ素含有量:2.7質量%、塩基価:190mgKOH/g)
B−2:油溶性金属清浄剤2(炭素数14〜18のアルキル基を有するサリチル酸のCa塩を炭酸カルシウムで過塩基化させたもの、Ca含有量:6.3質量%、塩基価:2170mgKOH/g)
C−1:無灰分散剤1(ホウ素化コハク酸イミド、N含有量:1.45質量%、B含有量:1.3質量%、重量平均分子量:3000)
C−2:無灰分散剤2(ホウ素化コハク酸イミド、N含有量:1.7質量%、B含有量:0.87質量%、重量平均分子量:3000)
C−3:無灰分散剤3(ホウ素化コハク酸イミド、N含有量:1.3質量%、B含有量:0.5質量%、重量平均分子量:5000)
C−4:無灰分散剤2(非ホウ素化コハク酸イミド、N含有量:0.9質量%、重量平均分子量8000)
D−1:その他の添加剤(粘度指数向上剤、流動点降下剤、摩耗防止剤(ジアルキルジチオリン酸亜鉛)、消泡剤などからなる)
実施例1〜5及び比較例1、2の各エンジン油組成物の40℃又は100℃における動粘度並びに粘度指数を表1、2に示す。
[動弁系モータリングフリクション試験]
実施例1〜5及び比較例1〜2の各エンジン油組成物について、直打型4気筒エンジンの動弁系を用い、油温60℃〜100℃、回転数300rpm−1500rpmにおけるフリクショントルクを測定した。各試験油の平均フリクショントルクを算出し、比較例1の平均フリクショントルクを基準としたときの改善率(=実施例1〜5又は比較例2の平均フリクショントルク/比較例1の平均フリクショントルク)を算出した。得られた結果を表1、2に示す。
Figure 0005815223
Figure 0005815223

Claims (4)

  1. 100℃における動粘度が1〜20mm/sである潤滑油基油と、
    有機モリブデン化合物と、
    油溶性金属塩をアルカリ土類金属ホウ酸塩で過塩基化させた油溶性金属清浄剤と、
    ホウ酸変性無灰分散剤と、
    を含有し、ホウ素含有量が、エンジン油組成物全量を基準として、450質量ppm以上1500質量ppm以下であり、前記油溶性金属清浄剤がサリチル酸金属塩をアルカリ土類金属ホウ酸塩で過塩基化させたものであり、前記ホウ酸変性無灰分散剤がホウ酸変性コハク酸イミドであるエンジン油組成物。
  2. 前記有機モリブデン化合物がモリブデンジチオカーバメートであ、請求項1に記載のエンジン油組成物。
  3. 前記ホウ酸変性コハク酸イミドにおけるホウ素含有量と窒素含有量の質量比B/Nが0.8以上である、請求項1又は2に記載のエンジン油組成物。
  4. 前記ホウ酸変性コハク酸イミドの分子量が4000以上である、請求項3に記載のエンジン油組成物。
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