JP2012201793A - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】低い光沢性を有し、耐光性に優れるポリ乳酸系樹脂含有樹脂組成物及びこれからなる成形体の提供。
【解決手段】ポリ乳酸系樹脂(A)1〜68質量%と、プロピレン系重合体(B)30〜97質量%と、エポキシ基を含有するエチレン系重合体(C)1〜30質量%と、エラストマー(D)1〜50質量%(但し、(A)と(B)と(C)と(D)の合計量を100質量%とする)と、前記(A)と(B)と(C)と(D)のそれぞれの質量の合計量を100質量部として、当該100質量部に対し、ピペリジン環を含む重合体からなるヒンダードアミン系光安定剤(E)0.05〜1.5質量部と、当該100質量部に対し、ベンゾエート系光安定剤(F)0.01〜1.5質量部とを含有する樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及びこの樹脂組成物からなる成形体に関するものである。
ポリ乳酸系樹脂は、プロピレン系樹脂のようなオレフィン樹脂とアロイ化させて自動車部品や家電部品等に用いられている。しかしながら、ポリ乳酸系樹脂は、紫外線によって劣化するため、ポリ乳酸系樹脂と他樹脂とのポリマーアロイにおいても耐光安定性を向上させる必要がある。
特許文献1では、ポリ乳酸系樹脂とプロピレン系樹脂と、光安定剤とを含有する樹脂組成物が記載されている。また、特許文献2には、成形体の耐光性、耐湿性、耐衝撃性の改良を目的として、ポリ乳酸系樹脂とゴム強化スチレン系樹脂と、ヒンダードアミン系光安定剤とを添加した樹脂組成物が開示されている。
特開2010−270309号公報 特開2010−31108号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載の樹脂組成物から得られる成形体の耐光性は不十分であった。また、成形体の表面は高い光沢を有しており、自動車部品や家電部品等へ適用できないという問題があった。
以上の課題に鑑み、本発明は低い光沢性を有し、耐光性に優れるポリ乳酸系樹脂含有樹脂組成物及びこれからなる成形体を提供することを目的とする。
本発明は、ポリ乳酸系樹脂(A)1〜68質量%と、プロピレン系重合体(B)30〜97質量%と、エポキシ基を含有するエチレン系重合体(C)1〜30質量%と、エラストマー(D)1〜50質量%(但し、(A)と(B)と(C)と(D)の合計量を100質量%とする)と、
前記(A)と(B)と(C)と(D)のそれぞれの質量の合計量を100質量部として、当該100質量部に対し、一般式(I)で表される構成単位を含む重合体からなるヒンダードアミン系光安定剤(E)0.05〜1.5質量部と、
当該100質量部に対し、ベンゾエート系光安定剤(F)0.01〜1.5質量部とを含有する樹脂組成物及びこれからなる成形体を提供するものである。

Figure 2012201793
〔式中、Rは、炭素原子数10〜30個のアルキル基を表し、nは2以上の整数を表す。〕
本発明によれば、低い光沢性を有し、耐光性に優れるポリ乳酸系樹脂含有樹脂組成物及びこれからなる成形体を提供することが可能となる。
本発明に係る樹脂組成物は、ポリ乳酸系樹脂(A)と、プロピレン系重合体(B)と、エポキシ基を含有するエチレン系重合体(C)と、エラストマー(D)と、ヒンダードアミン系光安定剤(E)と、ベンゾエート系光安定剤(F)とを含有する。
以下、各成分について説明する。
[ポリ乳酸系樹脂(A)]
本発明で用いられるポリ乳酸系樹脂(以下、成分(A)ともいう)とは、L乳酸に由来する繰り返し単位及び/又はD乳酸に由来する繰り返し単位を有するポリ乳酸(以下、単にポリ乳酸という)、又はこのポリ乳酸と他の植物由来ポリエステル樹脂との共重合体である。また、成分(A)は、ポリ乳酸又はポリ乳酸と他の植物由来ポリエステル樹脂との共重合体と、他の植物由来ポリエステル樹脂とを含有する組成物であってもよい。
乳酸と共重合可能な他の植物由来のモノマーとしては、グリコール酸等のヒドロキシカルボン酸、ブタンジオール等の脂肪族多価アルコール及びコハク酸等の脂肪族多価カルボン酸が挙げられる。
ポリ乳酸の製造方法としては、D−乳酸やL−乳酸の直接重合や、乳酸の環状2量体であるD−ラクチドやL−ラクチドやmeso−ラクチドの開環重合等が挙げられる。
上記「ポリ乳酸」又は「ポリ乳酸とその他の植物由来ポリエステル樹脂との共重合体」に含有されるL乳酸又はD乳酸に由来する繰り返し単位の含有量は、耐熱性を高める観点から、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上であり、さらに好ましくは95モル%以上である。
「ポリ乳酸」又は「ポリ乳酸とその他の植物由来ポリエステル樹脂との共重合体」の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1万以上100万以下であり、さらに好ましくは5万以上50万以下である。分子量分布(Q値、Mw/Mn)として、好ましくは1以上4以下である。なお、分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)により、標準ポリスチレンを分子量標準物質として測定される。
ポリ乳酸系樹脂の190℃、荷重21.2Nにおけるメルトフローレイトは、0.5〜50g/10分であることが好ましく、1〜30g/10分であることがより好ましく、10〜20g/10分であることが最も好ましい。
[プロピレン系重合体(B)]
本発明で用いられるプロピレン系重合体(以下、成分(B)ともいう)は、プロピレンに由来する単量体単位を有し、プロピレン単独重合体(以下、成分(B−1)ともいう)、及び、プロピレン−エチレン共重合体(以下、成分(B−2)ともいう)からなる群から選ばれる少なくとも1種のプロピレン系重合体が用いられる。
プロピレン−エチレン共重合体(成分(B−2))としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体(以下、成分(B−2−1)ともいう)、プロピレン−エチレンブロック共重合体(以下、成分(B−2−2)ともいう)が挙げられる。このプロピレン−エチレンブロック共重合体(成分(B−2−2))とは、プロピレン単独重合体成分と、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分とからなる共重合体である。
プロピレン系重合体(成分(B))として、好ましくは、成形体の剛性、耐熱性又は硬度の観点から、プロピレン単独重合体(成分(B−1))又は、プロピレン−エチレンブロック共重合体(成分(B−2−2))である。
プロピレン単独重合体(成分(B−1))の13C−NMRによって測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率は、成形体の剛性の観点から0.95以上が好ましく、さらに好ましくは0.98以上である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(成分(B−2))のプロピレン単独重合体成分の、13C−NMRによって測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率は成形体の剛性の観点から0.95以上が好ましく、さらに好ましくは0.98以上である。
脂肪族ポリエステル系重合体(B)の190℃、荷重21.2Nにおけるメルトフローレイトは、0.5〜50g/10分であることが好ましく、1〜30g/10分であることがより好ましく、10〜20g/10分であることが最も好ましい。
アイソタクチック・ペンタッド分率とは、A.ZambelliらによってMacromolecules,6,925(1973)に記載されている方法、すなわち13C−NMRによって測定されるプロピレン系重合体分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である(ただし、NMR吸収ピークの帰属は、Macromolecules,8,687(1975)に基づいて決定される)。
具体的には、13C−NMRスペクトルによって測定されるメチル炭素領域の吸収ピークの面積に対する、mmmmピークの面積の割合が、アイソタクチック・ペンタッド分率である。この方法によって測定された英国 NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質 CRM No.M19−14Polypropylene PP/MWD/2のアイソタクチック・ペンタッド分率は、0.944であった。
上記プロピレン単独重合体(成分(B−1))の135℃のテトラリン溶媒中で測定される極限粘度([η])、ブロック共重合体(成分(B−2))のプロピレン単独重合体成分の135℃のテトラリン溶媒中で測定される極限粘度([η])、ランダム共重合体(成分(B−2−1))の135℃のテトラリン溶媒中で測定される極限粘度([η]P)は、樹脂組成物の流動性と成形体の外観の観点から好ましくはそれぞれ0.7〜5dl/gであり、より好ましくは0.8〜4dl/gである。
また、プロピレン単独重合体(成分(B−1))、ブロック共重合体(成分(B−2−2))のプロピレン単独重合体成分、ランダム共重合体(成分(B−2−1))のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量分布(Q値、Mw/Mn)として、樹脂組成物の流動性と成形体の外観の観点から好ましくはそれぞれ2以上15以下である。
上記ブロック共重合体(成分(B−2−2))のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分に含有されるエチレン含有量は、成形体の耐衝撃性と外観の観点から20〜65質量%、好ましくは25〜50質量%である(ただし、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の全量を100質量%とする
)。
上記ブロック共重合体(成分(B−2−2))のプロピレン−エチレンランダム共重合
体成分の135℃のテトラリン溶媒中で測定される極限粘度([η]EP)は、成形体の外観の観点から、好ましくは、1.5〜12dl/gであり、より好ましくは2〜8dl/gである。
上記ブロック共重合体(成分(B−2−2))を構成するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の含有量は、成形体の耐衝撃性と外観の観点から10〜60質量%であり、好ましくは10〜40質量%である。
上記プロピレン単独重合体(成分(B−1))のメルトフローレイトは、樹脂組成物の流動性と成形体の外観の観点から好ましくは、0.1〜400g/10分であり、より好ましくは1〜300g/10分である。但し、測定温度は230℃で、荷重は2.16kgである。
上記プロピレン−エチレン共重合体(成分(B−2))のメルトフローレイトは、好ましくは、0.1〜200g/10分であり、成形体の流動性と外観の観点からより好ましくは1〜150g/10分である。但し、測定温度は230℃で、荷重は2.16kgである。
プロピレン系重合体(成分(A))を製造する方法としては、チーグラー・ナッタ型触媒又はメタロセン触媒を用いて、プロピレンを単独重合する方法、又はプロピレン以外のオレフィンから選ばれる1種以上のオレフィンとプロピレンとを共重合する方法等が挙げられる。
チーグラー・ナッタ型触媒としては、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分を組み合わせて用いる触媒系が挙げられる。メタロセン触媒としては、シクロペンタジエニル骨格を少なくとも1個有する周期表第4族〜第6族の遷移金属化合物及び助触媒成分を組み合わせて用いる触媒系が挙げられる。
重合法としては、スラリー重合法、気相重合法、バルク重合法、溶液重合法、及び、これらを組み合わせた重合法が挙げられる。また重合法は、バッチ式、連続式のいずれでもよく、一段重合でも、多段重合でもよい。また、プロピレン系重合体(成分(A))としては、市販のプロピレン系重合体を用いてもよい。
[エポキシ基を含有するエチレン系重合体(C)]
本発明に用いられるエポキシ基を含有するエチレン系重合体(以下、成分(C)ともいう)は、エポキシ基を有する単量体に由来する単量体単位と、エチレンに由来する単量体単位とを有する共重合体である。エポキシ基を有する単量体としては、例えば、グリシジルメタアクリレート、グリシジルアクリレート等のα,β−不飽和グリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル等のα,β−不飽和グリシジルエーテルを挙げることができ、好ましくはグリシジルメタアクリレートである。
上記エポキシ基を有するエチレン系重合体(C)は、他の単量体に由来する単量体単位を有していてもよく、該他の単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等の不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和ビニルエステル等が挙げられる。
また、エポキシ基を有するエチレン系重合体(C)において、エポキシ基を有する単量体に由来する単量体単位の含有量は、ポリ乳酸系樹脂(A)との反応性の観点から0.01〜30質量%であり、より好ましくは0.1〜20質量%である。ただし、エポキシ基を有するエチレン系重合体中の全単量体単位の含有量を100質量%とする。なお、エポキシ基を有する単量体に由来する単量体単位の含有量は、赤外法により測定される。
エポキシ基を有するエチレン系重合体(C)のメルトフローレイトは、成形体の耐衝撃性の観点から0.1g/10分〜300g/10分であり、好ましくは0.5g/10分〜80g/10分である。ここでいうメルトフローレイトとは、JIS K 7210(1995)に規定された方法によって、試験荷重2.16kg、試験温度190℃の条件で測定される。
エポキシ基を有するエチレン系重合体(C)の製造方法としては、例えば、高圧ラジカル重合法、溶液重合法、乳化重合法等により、エポキシ基を有する単量体とエチレンと、必要に応じて他の単量体とを共重合する方法、エチレン系樹脂にエポキシ基を有する単量体をグラフト重合させる方法等を挙げることができる。
[エラストマー(D)]
本発明に用いられるエラストマー(以下、成分(D)ともいう)としては、例えば、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ブチルゴム、エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマー、ブタジエン−スチレンエラストマー、ブタジエン−アクリロニトリルエラストマー、スチレン−共役ジエン系ブロックエラストマー、ポリエステルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム等が挙げられる。なお、エチレン系エラストマー及びプロピレン系エラストマーは、非晶性のものであっても低結晶性のものであってもよい。さらに、スチレン−共役ジエン系ブロックエラストマー、には水添スチレン−共役ジエン系ブロックエラストマー及び非水添スチレン−共役ジエン系ブロックエラストマーが含まれる。これらは単独又は組み合わせて使用してもよい。このうち、エチレン系エラストマーを用いることが好ましい。
上記エチレン系エラストマーは、エチレンに由来する単量体単位を主成分として含有するエラストマーであり、例えば、エチレン単独重合体エラストマー、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー、エチレン−エチレン系不飽和エステル共重合体エラストマー等が挙げられる。また、共役ジエンや非共役ジエン等の多不飽和化合物とエチレンとα−オレフィンとの共重合体も挙げることができる。これらは単独又は組み合わせて使用してもよい。
このうち、エチレンと1種類以上のα−オレフィンとの共重合体であるエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーを用いることが好ましい。α−オレフィンとして好ましくは、炭素数3〜12のα−オレフィンである。具体的には、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、ノルボルネン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。
プロピレン系エラストマーとしては、アタクチック構造のプロピレン単独重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体等が挙げられる。
上記エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマーは非晶性のものであっても低結晶性のものであってもよい。ここで、「非晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)により、−100℃から200℃に融解熱量が1J/g以上の結晶融解ピークが観察されないということを指す。また、「低結晶性」とは示差走査熱量測定(DSC)により、−100℃から200℃に融解熱量が1〜30J/gの結晶融解ピークが観察されるということを指す。
水添及び非水添のスチレン−共役ジエン系ブロックエラストマーとしては、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレンブテン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体等が挙げられる。
エラストマー(D)の密度は、得られる成形体の機械的強度を高める観点から、850〜910kg/mであり、より好ましくは855〜900kg/mである。例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体の密度の場合、好ましくは850kg/m以上であり、引張破断伸びを高める観点から、好ましくは910kg/m以下である。より好ましくは855〜900kg/mである。
なお、ここでいう密度とは、JIS K 6760−1981に規定された方法により、アニール無しで測定される。
エラストマー(D)の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、得られる成形体の機械的強度を高める観点から、好ましくは1.8〜3.5であり、より好ましくは1.8〜2.5であり、最も好ましくは1.8〜2.2である。例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布は、好ましくは1.8〜3.5であり、より好ましくは1.8〜2.5であり、最も好ましくは1.8〜2.2である。
エラストマー(D)の融解温度は、得られる成形体の機械的強度を高める観点から好ましくは110℃以下であり、より好ましくは100℃以下である。エチレン系エラストマーの融解熱量は、引張破断伸びを高める観点から、好ましくは110J/g以下であり、より好ましくは100J/g以下である。例えばエチレン−α−オレフィン共重合体の融解温度は、110℃以下であり、より好ましくは100℃以下である。エチレン−α−オレフィン共重合体の融解熱量は、好ましくは110J/g以下であり、より好ましくは100J/g以下である。
エラストマー(D)の製造方法としては、例えばエチレン−α−オレフィン共重合体の場合、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン錯体や非メタロセン錯体等の錯体系触媒を用いる溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法、気相重合法、また、ラジカル開始剤を用いる塊状重合法、溶液重合法等が挙げられる。中でもチーグラー・ナッタ系触媒や錯体系触媒を用いて重合することが好ましく、メタロセン触媒の存在下に製造する方法を用いることが好ましい。
エラストマー(D)のメルトフローレイトは、エラストマー(D)を重合する際に、重合度を調整することにより適宜調整することが可能である。また、エラストマー類(D)の密度は、重合に用いる原料モノマーの比率を適宜調整することで850〜910kg/mに調整することが可能である。また、エラストマー(D)の分子量分布は、重合する際、触媒の種類や重合条件を適宜調整することで調整することが可能である。
[ヒンダードアミン系光安定剤(E)]
本発明で用いられるヒンダードアミン系光安定剤(E)は、一般式(I)で表されるマレイン酸イミド誘導体からなる共重合体を含有する光安定剤が用いられる。
Figure 2012201793
〔式中、R1は、炭素原子数10〜30個のアルキル基を表し、nは2以上の整数を表す。〕
本発明で用いられるヒンダードアミン系光安定剤(E)は、一般式(I)において、好ましくは、R1が炭素原子数14〜28個のアルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数16〜26個のアルキル基であり、さらに好ましくは、炭素原子数18〜22個のアルキル基である。なお、アルキル基は、直鎖状、環状何れの構造を形成した基でもよく、好ましくは直鎖状のアルキル基である。
上記ヒンダードアミン系光安定剤(E)は、市販品を用いてもよい。市販品としては例えば、BASF社製 商品名Uvinul5050Hが挙げられる。
[ベンゾエート系光安定剤(F)]
本発明で用いられるベンゾエート系化合物の具体例としては、2,4−ジ−t−ブチル−フェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。なお、ベンゾエート系化合物は、住友化学株式会社製 商品名スミソーブ400、BASF社製TINUVIN120等の市販品を用いてもよい。
本発明の樹脂組成物に用いられる成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)及び成分(F)の含有量としては、成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)の合計量を100質量%としたとき、成分(A)の含有量が1〜68質量%であり、成分(B)の含有量が30〜97質量%であり、成分(C)の含有量が1〜30質量%であり、成分(D)の含有量が1〜50質量%である。
含有量は、剛性を高め、成形品外観を向上させるという観点から、好ましくは、成分(A)の含有量が10〜50質量%であり、成分(B)の含有量が40〜80質量%であり、成分(C)の含有量が2〜30質量%であり、成分(D)の含有量が2〜30質量%である。
そして成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)の合計量を100質量部に対して、成分(E)が0.05〜10質量部、成分(F)が0.01〜5質量部である。
成分量は、耐光性と成形品外観から、成分(E)が0.08〜2質量部、成分(F)が0.02〜2質量部であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)及び成分(F)を溶融混練する方法が挙げられる。具体的には、成分(A)、成分(C)及び成分(D)を予備混練した後に、成分(B)、成分(E)、成分(F)を予備混練物に加えて溶融混練する方法が好ましく、成分(A)、成分(C)及び成分(D)を予備混練した後に、成分(B)を加えて溶融混練したものに、成分(E)、成分(F)を加えて溶融混練する方法がさらに好ましい。混練温度として好ましくは混練機の設定温度が150〜300℃であり、170℃〜260℃がより好ましい。
本発明では上記の成分の他に、必要に応じて他の付加的成分を添加してもよい。例えば、酸化防止剤、造核剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、各種着色剤、有機充填剤、無機充填剤及びその他の樹脂等が挙げられる。
無機充填剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラスビーズ、マイカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸カリウムウィスカー、タルク、カオリナイト、ベントナイト、スメクタイト、セピオライト、ワラストナイト、モンモリロナイト、クレー、アロフェン、イモゴライト、繊維状マグネシウムオキシサルフェート硫酸バリウム、ガラスフレーク、カーボンブラック等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物からなる成形体の製造方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、回転成形法、真空成形法、発泡成形法、ブロー成形法等の成形法が挙げられる。得られた成形体は、自動車や家電等の産業分野で、意匠性の観点から低光沢性の成形品が好まれる用途に用いられる。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。なお、物性の評価は、以下の方法により行った。
(1)メルトフローレイト(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210に従い、試験荷重2.16kgで測定した。
温度は、プロピレン系重合体は230℃、エポキシ基を有するエチレン系重合体及びエラストマー類は190℃で測定した。
(2)グリシジルメタアクリレートに由来する単量体単位含有量(単位:質量%)
プレスシートを作成し、赤外吸収スペクトルの特性吸収の吸光度を厚さで補正して、検量線法により求めた。なお、グリシジルメタアクリレート特性吸収としては、910cm−1のピークを用いた。
(3)極限粘度([η]、単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2及び0.5g/dlの3点について還
元粘度を測定した。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出
版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち、還元粘度を濃度に対しプロット
し、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。プロピレン系重合体については、溶媒
としてテトラリンを用い、温度135℃で評価した。
(4)分子量分布(Q値)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下に示した条件で測
定した。
GPC:Waters社製 150C型
カラム:昭和電工社製 商品名:Shodex 80 MA
サンプル量:300μl(ポリマー濃度0.2wt%)
流量:1ml/min
温度:135℃
溶媒:o−ジクロルベンゼン
東洋曹達社製の標準ポリスチレンを用いて溶出体積と分子量の検量線を作成した。検量線を用いて検体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求め分子量分布の尺度として、Q値、すなわち、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)を求めた。
(5)示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製DSC220C:入力補償DSC)を用い、以下の条件で測定した。なお、測定の標準物質にはインジウムを用いた。
(i)試料約5mgを室温から30℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、昇温完了後、5分間保持した。
(ii)次いで、200℃から10℃/分の降温速度で−100℃まで降温し、降温完了後、5分間、保持した。
(iii)次いで、−100℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した。この(iii)で観察されるピークが結晶融解ピークであり、ピーク面積が1J/g以上の融解ピークの有無を確認した。
(6)耐光劣化安定性
スガ試験機(株)製 キセノンウエザーメータ(SX75AP型)を使用して耐光劣化安定性試験を行った。照射量150MJ毎に照射後の試験片表面に亀裂(クラック)等の外観異常の有無を評価した。なお、クラック発生までの照射量が多いものほど耐光劣化安定性が優れる。試験条件を次に示した。
試験片寸法:100mm×400mm×2mm(厚み)の射出成形品を試験機ホルダサイズに切出した試験片(65×45×2mm)
・照射光量:150w/m2(300〜400nm領域)
・ブラックパネル温度:83℃
・試験機槽内湿度:50%RH
・亀裂等外観異常の観察:光学顕微鏡(50倍)による観察
(7)グロス(光沢、単位:%)
JIS K 7105(1981)に従い、反射角60°で測定した。射出成形により成形された100mm×400mm×2mmtの平板を用い、中央部を測定した。
実施例に使用した材料は、以下のとおりである。
成分(A):ポリ乳酸系樹脂
ユニチカ株式会社製「テラマックTE−4000」
成分(B−1):プロピレン系重合体
住友化学株式会社製「ノーブレン WPX5343」(プロピレン−エチレンブロック共重合体、MFR(230℃)=55g/10分)
成分(B−2):プロピレン系重合体
住友化学株式会社製「ノーブレン R101」(プロピレン単独重合体、MFR(230℃)=19g/10分)
成分(B−3):プロピレン系重合体
住友化学株式会社製「ノーブレン U501E1」(プロピレン単独重合体、MFR(230℃)=100g/10分)
成分(C):エポキシ基を有するエチレン系重合体
住友化学株式会社製「ボンドファーストE」(エチレン−グリシジルメタアクリレート共重合体、MFR(190℃)=3g/10分、グリシジルメタアクリレートに由来する単量体単位含有量=12質量%)
成分(D):エラストマー
ザ・ダウ・ケミカル社製「エンゲージ8842」(エチレン−1−オクテン共重合体、MFR(190℃)=1.2g/10分、d=859kg/m3、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比=1.9)
成分(E−1):ヒンダードアミン系光安定剤
BASF社製 「Uvinul5050H」
成分(E−2):光安定剤
旭電化工業株式会社製 「アデカスタブ LA52」
化学名 テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート
成分(F):ベンゾエート系光安定剤
住友化学株式会社製 「スミソーブ400」
(その他)
・酸化防止剤として、住友化学株式会社製 「スミライザーGA80」を0.05質量部、BASF社製 「IRGAFOS168」を0.05質量部、顔料マスターバッジとして、住化カラー社製、ブラック色顔料マスターバッジ(商品名PEM−8Y2320MB)を4質量部用いた。
[実施例1、比較例1〜2]
本発明に係る樹脂組成物を次の方法で製造した。
複数の原料投入口を有する50mmφ二軸混練押出機(東芝機械社製TEM50A)を用い、表1に示す割合、混練方法で混練を行った。シリンダ温度は190℃に設定し、押出量50kg/hr、スクリュ回転数200rpmで、樹脂組成物のペレットを得た。
なお、表1において、各成分の含有量は、成分(A)、成分(B−1)、成分(B−2)、成分(B−3)、成分(C)及び成分(D)の合計量を100質量%とした。また、成分(E−1)、成分(E−2)、成分(F)、及びその他の成分の含有量は、上記成分(A)〜成分(D)の合計量を100質量部とした。
物性評価用試験片は、次の射出成形条件下で作製した。上記で得られた樹脂組成物のペレットを、住友重機械社製SE180D型射出成形機を用いて、成形温度200℃、金型温度30℃、射出時間20秒、冷却時間35秒の条件で、100mm×400mm×2mmtの平版を成形した。
その結果を表1に示す。
Figure 2012201793

Claims (3)

  1. ポリ乳酸系樹脂(A)1〜68質量%と、プロピレン系重合体(B)30〜97質量%と、エポキシ基を含有するエチレン系重合体(C)1〜30質量%と、エラストマー(D)1〜50質量%(但し、(A)と(B)と(C)と(D)の合計量を100質量%とする)と、
    前記(A)と(B)と(C)と(D)のそれぞれの質量の合計量を100質量部として、当該100質量部に対し、一般式(I)で表される構成単位を含む重合体からなるヒンダードアミン系光安定剤(E)0.05〜1.5質量部と、
    当該100質量部に対し、ベンゾエート系光安定剤(F)0.01〜1.5質量部とを含有する樹脂組成物。



    Figure 2012201793
    〔式中、R1は、炭素原子数10〜30個のアルキル基を表し、nは2以上の整数を表す。〕
  2. 前記ベンゾエート系光安定剤(F)が、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートである請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂組成物からなる成形体。
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