JP2012198991A - 有機エレクトロルミネッセンス装置及び有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス装置及び有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】トップエミッション型の構造を採用した場合、陰極に対する補助配線を形成する必要がある。陰極成膜後に精密なアライメントマスク蒸着で形成する方法を用いた場合、電圧降下を抑えることはできるが、精密なアライメントマスク蒸着工程が必要となる課題があった。
【解決手段】基板の一面側に、島状に分離された第1電極を形成する工程と、少なくとも前記第1電極間に、隔壁を形成する工程と、前記隔壁の少なくとも一部と接する、導電性を持つ凸部を形成する工程と、第1の有機機能層を前記隔壁の内側に形成する工程と、第2の有機機能層を前記基板の一面側に、前記凸部の一部を露出させて形成する工程と、光透過性の第2電極を、前記基板の一面側に、前記凸部と接触させて形成する工程と、を備える。凸部の一部を露出させ、光透過性の第2電極と接触させることで、第2電極の等価抵抗値を下げることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置及びその製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス装置(いわゆる有機EL装置)の製造において、赤色発光層と緑色発光層とを塗布法で形成し、青色発光層に低分子材料を用い、真空蒸着法を用いて形成する方法が提案されてきている(例えば、特許文献1参照)。
真空蒸着法を用いて作製された青色に発光する有機EL素子を含む有機EL装置は、塗布法を用いて作製されたものと比較して、その発光寿命が数倍以上長く、実用レベルに達していることが多い点に着目した技術である。インクジェット法と真空蒸着法とを組み合わせることで、実用的な寿命を持つ有機EL装置を迅速に提供することができる。
また、色純度の向上や光取り出し効率の向上を図るため、有機EL装置は基板裏面(有機EL層が無い)側から光を射出する方式(いわゆるボトムエミッション)から、基板表面(有機EL層が有る)側から光を射出する方式(いわゆるトップエミッション)への切り替えが進められてきている。
トップエミッション型の構造を採用した場合、陰極に対する補助配線を形成する必要がある。これはトップエミッション型に用いられる陰極の厚さが、光を透過させるために薄くなっていることに起因する。陰極の厚さが薄くなることで、電気抵抗は上昇する。そのため、大面積のパネルにおいては電圧降下が生じ、パネル内での輝度分布が乱れ、有機EL装置としての性能が低下する。補助配線は、陰極の実効的な電気抵抗値を下げ、かつ有機EL素子からの光を遮らぬよう画素間を這うように精密に形成(配置)する必要がある。補助配線を形成する方法としては、例えば陰極成膜後に精密なアライメントマスク蒸着で形成する方法や、予め基板にフォトリソグラフ工程を用いて補助配線を形成しておき、コンタクトホールを介して陰極と補助配線とを導通させる方法が提案されてきている。
特開2007−73532号公報
しかしながら、陰極成膜後に精密なアライメントマスク蒸着で形成する方法を用いた場合、電圧降下を抑えることはできるが、精密なアライメントマスク蒸着工程無しで青色発光層が作れるという、この製造方法の長所を失うこととなり、歩留まり、コスト面で不利となる課題があった。
また、予め基板にフォトリソグラフ工程を用いて補助配線を形成しておき、コンタクトホールを介して陰極と補助配線とを導通させる方法では、補助配線を形成する前にコンタクトホールが青色発光層で埋められているため、陰極と補助配線とを導通させることができず陰極の実効的な電気抵抗値を下げることが困難であるという課題があった。
本発明は、以下の形態または適用例として実現され、上述の発明をさらに改善するものである。
なお、以下の形態または適用例において、「上」とは、基板から見て有機EL素子が配置された方向を示し、「○○上に」と記載された場合、○○の上に接するように配置される場合または○○の上に他の構成物を介して配置される場合、または○○の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。そして「下」とは、「上」の反対方向を表すものとする。
[適用例1]本適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置は、基板と、前記基板の一面側に設けられ、島状に分離された第1電極と、前記第1電極を覆う光透過性の第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置された発光層を含む有機機能層と、少なくとも前記第1電極を島状に分離する領域に設けられた、一部の有機機能層を分離する隔壁と、を備える有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記隔壁の少なくとも一部と接する、導電性の凸部が備えられ、前記凸部は、発光に寄与しない有機機能層を貫いており、かつ前記第2電極と前記凸部とが接していることを特徴とする。
これによれば、導電性の凸部を、第2電極と電気的に並列に設けることで、第2電極の等価抵抗値を下げることができる。そのため第2電極内での電圧降下を抑えられることから、発光強度の均一性が高い有機EL装置を提供することができる。
[適用例2]上記適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記隔壁には、前記凸部を埋めるための凹部が設けられていることを特徴とする。
上記した適用例によれば、凸部は、凹部を覆っていることから、機械的に安定する。具体的に言えば、凸部が外れにくい構造となり、信頼性を向上させることができる。
[適用例3]上記適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記凹部の底部には、前記凸部同士を電気的に繋げる導体が備えられていることを特徴とする。
上記した適用例によれば、凸部同士を電気的に繋げる導体を備えることで、第2電極から凸部、導体、凸部、第2電極という電流ルートを確保できるため、第2電極の実効的な抵抗値をさらに低抵抗化することができる。
[適用例4]上記適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記凹部の底部には、前記凸部同士を電気的に繋げる導体が備えられていることを特徴とする。
上記した適用例によれば、凹部が溝状の形状を備えていることで、溝方向に延在する凹部を凸部が覆うことから、電気的に第2電極と凸部とが並列に設けられることとなり、第2電極の実効的な電気抵抗を低減することができる。
[適用例5]上記適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記凹部の底部の少なくとも一部と沿い、前記凸部と電気的に繋げられた導体が備えられていることを特徴とする。
上記した適用例によれば、凸部と電気的に繋がる導体を備えることで、第2電極の実効的な抵抗値をさらに低抵抗化することができる。
[適用例6]本適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、基板の一面側に、島状に分離された第1電極を形成する工程と、少なくとも前記第1電極間に、隔壁を形成する工程と、前記隔壁の少なくとも一部と接する、導電性を持つ凸部を形成する工程と、第1の有機機能層を前記隔壁の内側に形成する工程と、第2の有機機能層を前記基板の一面側に、前記凸部の一部を露出させて形成する工程と、光透過性の第2電極を、前記基板の一面側に、前記凸部と接触させて形成する工程と、を備えることを特徴とする。
これによれば、導電性の凸部を、第2電極と電気的に並列に形成することで、第2電極の等価抵抗値を下げることができる。そのため第2電極内での電圧降下を抑えられることから、発光強度の均一性が高い有機EL装置を製造することができる。
[適用例7]上記適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記隔壁を形成する工程と、前記凹部を形成する工程と、前記凹部内に凸部を形成する工程と、備えることを特徴とする。
上記した適用例によれば、凹部を覆うように凸部を形成することで、凸部は隔壁と噛み合う形状を取るよう形成される。そのため、凸部は、隔壁に対して密着性が高くなることとなり、信頼性を向上させることができる。
[適用例8]上記適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記隔壁を形成する工程以前に、前記凸部の底同士を電気的に繋げる配線部を形成する工程をさらに備えることを特徴とする。
上記した適用例によれば、凸部同士を電気的に繋げる導体を形成することで、第2電極から凸部、導体、凸部、第2電極という電流ルートを確保できる。すなわち、この工程を行うことで、第2電極の実効的な抵抗値をさらに低抵抗化することができる。
[適用例9]上記適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記凹部を溝状に形成することを特徴とする。
上記した適用例によれば、溝状の形状を備えた凹部を形成することで、溝方向に延在する凹部を凸部が覆うことから、電気的に第2電極と凸部とが並列に設けられることとなり、第2電極の電気抵抗を低減することができる。
[適用例10]上記適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記凹部を溝状に形成することを特徴とする。
上記した適用例によれば、凹部が孔型ではなく、溝状に加工されていることで、溝方向に延在する凹部を凸部が覆うよう凸部を形成することができる。そして、さらに凸部の底を裏打ちする配線層を備えることで、配線層がない場合と比べ、第2電極の電気抵抗を低減することができる。
有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図。 有機EL装置の構成を示す平面図。 トップエミッション型の有機EL装置の構造を示す断面図。 (a)〜(d)は、凸部の典型的な分布例を示す平面図。 トップエミッション型の有機EL装置の構造を示す断面図。 トップエミッション型の有機EL装置の構造を示す断面図。 (a)〜(d)は、補助配線を透かせて表示した凸部の配列例を示す平面図。 (a)〜(c)は、トップエミッション型の有機EL装置の構造を示す平面図。 トップエミッション型の有機EL装置の構造を示す平面図。 (a),(b)は、有機EL装置の製造方法を工程順に示す断面図。 (a),(b)は、有機EL装置の製造方法を工程順に示す断面図。 (a),(b)は、有機EL装置の製造方法を工程順に示す断面図。 (a)〜(c)は、有機EL装置の製造方法を工程順に示す断面図。 (a),(b)は、有機EL装置の製造方法を工程順に示す断面図。 (a),(b)は、有機EL装置の製造方法を工程順に示す断面図。 (a)〜(c)は、有機EL装置の製造方法を工程順に示す断面図。 (a),(b)は、有機EL装置の製造方法を工程順に示す断面図。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を用いて説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
(第1実施形態)
図1は、有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図である。以下、有機EL装置の構成を、図1を参照しながら説明する。
図1に示すように、有機EL装置11は、複数の走査線12と、走査線12に対して交差する方向に延びる複数の信号線13と、信号線13に並行に延びる複数の電源線14とを備えている。そして、走査線12と信号線13とにより格子状に区画された領域が画素領域として構成されている。信号線13は、信号線駆動回路15に接続されている。また、走査線12は、走査線駆動回路16に接続されている。
各画素領域には、走査線12を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用TFT(Thin Film Transistor)21と、このスイッチング用TFT21を介して信号線13から供給される画素信号を保持する保持容量22と、保持容量22によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用TFT23(以下、「TFT素子23」と称する。)と、が設けられている。更に、各画素領域には、TFT素子23を介して電源線14に電気的に接続したときに、電源線14から駆動電流が流れ込む第1電極としての陽極24と、第2電極としての陰極25と、この陽極24と陰極25との間に挟持された有機機能層としての発光機能層26とが設けられている。
有機EL装置11は、陽極24と陰極25と発光機能層26とにより構成される発光素子27を複数備えている。また、有機EL装置11は、複数の発光素子27で構成される表示領域を備えている。
この構成によれば、走査線12が駆動されてスイッチング用TFT21がオン状態になると、そのときの信号線13の電位が保持容量22に保持され、保持容量22の状態に応じて、TFT素子23のオン・オフ状態が決まる。そして、TFT素子23のチャネルを介して、電源線14から陽極24に電流が流れ、更に、発光機能層26を介して陰極25に電流が流れる。発光機能層26は、ここを流れる電流量に応じた輝度で発光する。
図2は、有機EL装置の構成を示す平面図である。以下、有機EL装置の構成を、図2を参照しながら説明する。
図2に示すように、有機EL装置11は、ガラスなどを用いた基板としての素子基板31に表示領域32(図中一点鎖線の内側の領域)と非表示領域33(一点鎖線の外側の領域)とを有する構成になっている。表示領域32には、実表示領域32a(二点鎖線の内側の領域)とダミー領域32b(図中二点鎖線の外側の領域)とが設けられている。
実表示領域32a内には、光が射出されるサブ画素34(発光領域)がマトリックス状に配列されている。この、サブ画素34の各々は、スイッチング用TFT21及びTFT素子23(図1参照)の動作に伴って、R(赤)、G(緑)、B(青)各色を発光する構成となっている。
ダミー領域32bには、主として各サブ画素34を発光させるための回路が設けられている。例えば、走査線駆動回路16や検査回路35が配置されている。
素子基板31の一辺には、フレキシブル基板36が設けられている。フレキシブル基板36には、各配線と接続された駆動用IC37が備えられている。
図3は、素子基板の上側から光を射出する、いわゆるトップエミッション型の有機EL装置の構造を示す断面図である。以下、有機EL装置の構造について、図3を参照しながら説明する。なお、図3は、各構成要素の断面的な位置関係を示すものであり、明示可能な尺度で表されている。
図3に示すように、有機EL装置11aは、発光領域42において発光が行われるものであり、素子基板31と、素子基板31上に形成された回路素子層43を備える。そして、回路素子層43の上には反射層100、絶縁体層102、発光素子層5を有する。素子基板31としては、例えばガラス基板やシリコン基板が挙げられる。
回路素子層43には、素子基板31上にシリコン酸化膜(SiO2)などを用いた下地保護膜45が形成され、下地保護膜45上にTFT素子23が形成されている。詳しくは、下地保護膜45上に、ポリシリコン膜を用いた島状の半導体膜46が形成されている。半導体膜46には、ソース領域47及びドレイン領域48が不純物の導入によって形成されている。そして、不純物が導入されなかった部分がチャネル領域51となっている。
更に、回路素子層43には、下地保護膜45及び半導体膜46を覆うシリコン酸化膜などを用いたゲート絶縁膜52が形成されている。ゲート絶縁膜52上には、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)などを用いたゲート電極53(走査線)が形成されている。
ゲート絶縁膜52及びゲート電極53上には、第1層間絶縁膜54、第2層間絶縁膜55が形成されている。第1層間絶縁膜54及び第2層間絶縁膜55は、例えば、シリコン酸化膜(SiO2)、チタン酸化膜(TiO2)などから構成されている。ゲート電極53は、半導体膜46のチャネル領域51に対応する位置に設けられている。
半導体膜46のソース領域47は、ゲート絶縁膜52及び第1層間絶縁膜54を貫通して設けられたコンタクトホール56を介して、第1層間絶縁膜54上に形成された信号線13と電気的に接続されている。一方、ドレイン領域48は、ゲート絶縁膜52、第1層間絶縁膜54、第2層間絶縁膜55を貫通して設けられたコンタクトホール57を介して、絶縁体層102上に形成された陽極24(24R,24G,24B)と電気的に接続されている。
反射層100(100R,100G,100B)は、例えば、発光領域42ごとに形成されている。反射層100は、例えばAl−Ndの反射性金属材料を用い、厚みはおよそ50nm〜100nmである。
陽極24は、例えば、発光領域42ごとに形成されている。また、陽極24は、ITO(Indium Tin Oxide)膜などを用いてなり、例えば、平面的に略矩形状の形状を備えている。なお、回路素子層43には、図示しない保持容量及びスイッチング用のトランジスターが形成されている。また、上記したように、回路素子層43には、各陽極24に接続された駆動用のトランジスター(TFT素子23)が形成されている。
陽極24の周囲には、絶縁層58及び隔壁(バンク)59が、平面視で略格子状に設けられている。絶縁層58としては、例えば、シリコン酸化膜(SiO2)などの無機材料が挙げられる。絶縁層58は、隣り合う陽極24間の絶縁性を確保すると共に、発光領域42の形状を所望の形状(例えば、トラック形状)にするために、陽極24の周縁部上に乗り上げるように形成されている。つまり、陽極24と絶縁層58とは、平面的に一部が重なるように配置された構造となっている。言い換えれば、絶縁層58は、発光領域42を除いた領域に形成されていることになる。
隔壁59は、例えば、断面が傾斜面を有する台形状であり、発光領域42(発光素子27R,27G,27B)を囲むように形成されている。隔壁59の材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの耐熱性、耐溶剤性を有する有機材料が挙げられる。
そして、隔壁59上(頂部)には、銀や銅、炭素などの導電性金属や、有機導電材料(例えばPEDOT)などの導体を含む、1μm程度の高さで導電性を備えた突起状の凸部101が例えば円柱状に設けられている。発光に寄与しない有機機能層としての発光層63Bの製造工程として、例えば蒸着法を用いた場合に被覆性(いわゆるステップカバレージ)が悪いため、凸部101の側面に発光層63Bが被覆されていない領域が発生する。この状態で陰極25を形成すれば、陰極25は凸部101と直接繋がる(接する)こととなる。このような構造を持つことで、光透過性を向上させるため、10nm程度の厚さしか用いることができない陰極25の実効的な電気抵抗値を低減することが可能となる。
陽極24上に設けられる各種膜は、各色の発光素子27R,27G,27B毎に異なっている。具体的には、赤色発光素子27Rは、隔壁59によって囲まれた第1陽極としての陽極24R上に、正孔注入層61R、正孔輸送層62R、赤色の発光層63Rが順に設けられている。更に、発光層63Rやその他の領域を覆う、電子注入性を促進させるため(言い換えれば、電荷をスムーズに移動させるため)の中間層64が設けられている。
緑色発光素子27Gは、隔壁59によって囲まれた陽極24G上に、正孔注入層61G、正孔輸送層62G、緑色の発光層63Gが、順に設けられている。
正孔注入層61(61R,61G)は、導電性高分子材料中にドーパントを含有する導電性高分子層を用いている。このような正孔注入層61は、例えば、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸を含有する3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT−PSS)などを用いて構成することができる。
正孔輸送層62(62R,62G)の構成材料としては、例えば、下記化1に示すTFBなどのトリフェニルアミン系ポリマーを含んだ材料を用いることができる。
Figure 2012198991
発光層63は、エレクトロルミネッセンス現象を発現する有機発光物質の層である。発光層63の構成材料としては、赤色の発光層63Rであれば、例えば、下記化2に示す材料を用いることができる。緑色の発光層63Gであれば、例えば、下記化3に示す材料を用いることができる。
Figure 2012198991
Figure 2012198991
中間層64は、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属の酸化物・フッ化物・塩と金属酸化物との積層構造である。本実施形態では、例えば、アルカリ金属塩を用いる。アルカリ金属塩としては、例えば、炭酸セシウム(Cs2CO3)が挙げられる。ここでは、中間層64としての炭酸セシウム層を、蒸着法を用いて形成する。中間層64の厚みは、例えば、0.5nmである。
青色発光素子27Bは、隔壁59によって囲まれた第3陽極としての陽極24B上、及び、中間層64上を含む素子基板31上の全体に、青色の発光層63Bが形成されている。発光層63Bの構成としては、陽極24B側から順に、正孔輸送性のα−NPD(下記化4)、青色の発光層63であるDPBVi(下記化5)、及び電子輸送性のAlq3(下記化6)の積層構造となっている。
Figure 2012198991
Figure 2012198991
Figure 2012198991
発光層63B上には、陰極25が素子基板31上の全面に成膜されている。陰極25は、例えば、フッ化リチウム(LiF)及びマグネシウム・銀合金(MgAg)の積層体であり、10nm程度の厚みを備えており、発光層63から射出された光が透過するよう構成されている。
上述した発光層63は、陽極24と陰極25との間に電圧を印加することによって、発光層63には、陽極24から正孔が、また、陰極25から電子が注入される。発光層63において、これらが結合したときに光を発する。
なお、上記したように、中間層64を介し、塗布法によって形成された発光層63(63R,63G)と、蒸着法によって形成された発光層63(63B)とが積層されているので、電子注入性を促進させることが可能となり、陰極25からの電子を発光層63R,63G側にスムーズに移動させることができる。
図4は、凸部の典型的な分布例を示す平面図である。図4(a),(b),(c)は、発光素子27R,27G,27Bを集めた画素Lu外部に凸部101を設けている。図4(a)は、画素Luの発光素子27の長手方向に凸部101を設けた例である。図4(b)は、今度は短手方向に凸部101を設けた例である。図4(c)は、長手方向と短手方向共に凸部101を設けた例である。そして、図4(d)は、発光素子27R,27G,27Bの間にも凸部101を設けた例について示している。もちろん、図4に示した凸部101の分布は限定されることはなく、凸部101の間隔は不均一であってもかまわない。例えば、消費電力が大きいところに集中的に凸部101を集中させたり、画面内側(中心部)など、電圧降下が大きいところに凸部101を集中させたりしても良い。また、ここでは、凸部101を複数設けているが、凸部101による電圧降下の緩和は、凸部101が一つしかない場合においても現れる。
本実施形態における有機EL装置は、以下の効果を奏する。
導電性の凸部101を、陰極25と電気的に並列に設けることで、陰極25の等価抵抗値を下げることができる。そのため陰極25内での電圧降下を抑えられることから、発光強度の均一性が高い有機EL装置を提供することができる。
発光層63Bを介さずに、直接導電性の凸部101と陰極25とを接触させることで、発光層63Bの抵抗値に関わらず、陰極25内での電圧降下を抑えられることができる。
実表示領域32a(二点鎖線の内側の領域)の周りにダミー領域32b(図中二点鎖線の外側の領域)を設けることで、周辺部においても発光強度の均一性が高い有機EL装置を提供することができる。
銀は体積あたりの抵抗値が、金属の中で最も低い。そのため、導電性の凸部101を、銀で形成することで、電気抵抗が低い導電性の凸部101を提供することができる。
銅や炭素は体積あたりの抵抗値が低く、さらに価格が銀と比べて安い。そのため、導電性の凸部101を、銅や炭素で形成することで、低価格で電気抵抗が低い凸部101を得ることができる。
金属などのように溶媒中に分散させたものと比べ、溶質として有機導電材料(例えばPEDOT)を用いた場合、溶媒中に溶け込ませることができる。そのため、インクジェット法を用いて凸部101を形成する場合にノズルの詰まりが抑えられ、ノズルの詰まりによる不良の発生を抑えることができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について図面を用いて説明する。図5は、素子基板の上側から光を射出する、いわゆるトップエミッション型の有機EL装置の構造を示す断面図である。第1実施形態の主な相違点は、突起状の凸部111が隔壁59に設けられた凹部112を覆っていることである。
この場合、凸部111の抵抗値がより低下する(導体の面積が増える)ことから、陰極25の抵抗値をより低減することが可能となる。また、凸部111は、凹部112を覆っていることから、機械的に安定する。具体的に言えば、外れにくい構造となり、信頼性が向上する。その他の構造的要素は、第1実施形態と同様である。例えば、平面パターンについても上記した図4のパターン及び付加的要素が適用できる。
本実施形態における有機EL装置は、上述した実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
凸部111の抵抗値が凸部101(第1実施形態参照)より低下する(導体の面積が増える)ことから、陰極25の抵抗値をより低減することができる。
凸部111は、凹部112を覆っていることから、機械的に安定する。具体的に言えば、凸部111は凹部112と噛み合うことで外れにくい構造となり、信頼性を向上させることができる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について図面を用いて説明する。図6は、素子基板の上側から光を射出する、いわゆるトップエミッション型の有機EL装置の構造を示す断面図である。第1実施形態、第2実施形態との主な相違点は、突起状の凸部121が隔壁59に設けられた凹部122を覆い、かつ凹部122の底には、凸部121同士を電気的に繋げる導体として隔壁59の下側に補助配線131が備えられていることである。
補助配線131を備えることで、陰極25から凸部121、補助配線131、凸部121、陰極25という電流ルートを確保できるため、陰極25の実効的な抵抗値をさらに低抵抗化することができる。
なお、補助配線131は、専用の工程を用いて形成することも好適であるが、陽極24の層(レイヤー)で形成しても良いし、反射層100の層(レイヤー)で形成しても良い。図7(a)〜(d)は補助配線を透かせて表示した凸部の配列例を示す平面図である。もちろん、図7に示した凸部121の分布は限定されることはなく、凸部121の間隔は不均一であってもかまわない。例えば、消費電力が大きいところに集中的に凸部121を集中させたり、画面内側(中心部)など、電圧降下が大きいところに凸部121を集中させたりしても良い。
本実施形態における有機EL装置は、上述した実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
補助配線131を備えることで、陰極25から凸部121、補助配線131、凸部121、陰極25という電流ルートを確保できるため、陰極25の実効的な抵抗値をさらに下げることができる。
補助配線131として陽極24の層(レイヤー)で形成しても良いし、反射層100の層(レイヤー)で形成しても良い。この場合、補助配線131を構成する層を新たに備えることなく陰極25の実効的な抵抗値を下げることができる。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について図面を用いて説明する。図8(a)〜(c)は、素子基板の上側から光を射出する、いわゆるトップエミッション型の有機EL装置の構造を示す平面図である。なお、断面形状は、図5と図番が異なる以外ほぼ同じ形状をとるため、図5の再提示に留める。第1〜第3実施形態との主な差異は、凹部152が孔型ではなく、溝状の形状を備えていることである。
ここで、図8に示した凸部151の形状は図8に示した構造に限定されることはなく、凸部151の幅は不均一であってもかまわない。例えば、消費電力が大きいところに集中的に凸部151を集中させたり、画面内側(中心部)など、電圧降下が大きいところに凸部151を集中させたりしても良い。
本実施形態における有機EL装置は、上述した実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
凸部151が溝状の形状を備えていることで、電気的に陰極25と凸部151とが当該方向に対して並列に設けられることとなる。そのため、凸部の形状が円柱状の形状を備える場合と比べ、陰極25の電気抵抗を低減することができる。
(第5実施形態)
以下、第5実施形態について図面を用いて説明する。図9は、素子基板の上側から光を射出する、いわゆるトップエミッション型の有機EL装置の構造を示す平面図である。この場合において、凹部162は溝状の形状を備えている。第4実施形態との主な差異は、凹部162に重ねて設けられた凸部161同士を電気的に繋げる導体が隔壁59の下側に補助配線171として備えられていることである。なお、断面形状は、図6と図番が異なる以外ほぼ同じ形状をとるため、図6を参照することに留める。
補助配線171を備えることで、陰極25から凸部161、補助配線171、凸部161、陰極25という電流ルートを確保できるため、陰極25の実効的な抵抗値をさらに低抵抗化することができる。
なお、補助配線171は、専用の工程を用いて形成することも好適であるが、陽極24の層(レイヤー)で形成しても良いし、反射層100の層(レイヤー)で形成しても良い。
本実施形態における有機EL装置は、上述した実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
凸部161が溝状の形状を備え、かつ補助配線171を備えることで、補助配線171がない場合と比べ、陰極25の電気抵抗を低減することができる。
(第6実施形態:有機EL装置の製造方法)
以下、有機EL装置の製造方法について説明する。図10、図11は、有機EL装置の製造方法を工程順に示す断面図である。以下、有機EL装置の製造方法を、図10、図11を参照しながら説明する。なお、各種配線や電極、駆動用TFTなどを形成する製造工程については、周知の工程と同様なので、ここではそれらの説明を省略または簡略化し、これ以降の工程について詳しく説明する。また、図面についても同様に、省略または簡略化する。
まず、図10(a)に示すように、素子基板31上に、公知の成膜技術を用いて回路素子層43(詳細は、図3参照)を形成する。
(陽極形成工程)
次に、各陽極24の下側にあたる位置に、反射層100を形成する。材料としては、例えばAl−Ndの反射性金属材料を用い、例えばマグネトロンスパッタや熱蒸着を用いて積層した後、フォトリソグラフ法によりパターニングして形成する。厚みはおよそ50nm〜100nmである。次に、ITOを用いた陽極24と直接接触せぬように絶縁体層102を形成する。絶縁体層102としては、例えばシリコン酸化膜(SiO2)を用いることができる。
そして、回路素子層43上に例えばITOを用いた陽極24(24R,24G,24B)を形成する。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図10(a)に示す。
(隔壁製造工程)
次に、絶縁体層102及び陽極24上に、絶縁層58及び隔壁59を形成する。詳しくは、まず、絶縁層58の材料となる、例えば、シリコン酸化膜(SiO2)を含んだ絶縁層を、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などにより、回路素子層43及び陽極24上を覆うように形成する。次に、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、絶縁層58のうち発光領域42に開口部を形成し、絶縁層58を完成させる。
次に、絶縁層58上に隔壁59を形成する。まず、隔壁59の材料の塗工液を絶縁層58上及び陽極24上に塗布する。塗工液は、例えばアクリル樹脂である。次に、塗工液を乾燥させて隔壁層を形成する。その後、この隔壁層における発光領域42上にフォトリソグラフ法を用いて開口部を形成する。これにより、隔壁59が完成する。この後、CF4プラズマ処理を行うと隔壁59の表面は撥液化される。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図10(b)に示す。
(凸部製造工程)
次に、隔壁59の頂部に、インクジェット法などを用いて導電性インク(銀、銅、導電性有機物(例えば、PEDOT)を溶質としたインク)を塗布した後、乾燥させる。ここで、銀を含む導電性インクを用いた場合、150℃、2時間程度の焼成処理を用いることで、抵抗率をより下げることができる(例えば膜厚1μm換算で10μΩ・cm以下)。また、隔壁59の表面は、撥液化されているため、乾燥に伴いシュリンクし、高さ1μm程度の凸部101が形成される。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図11(a)に示す。
(充填工程)
次に、隔壁59によって囲まれた陽極24(24R,24G)上に、正孔注入層61(61R,61G)、正孔輸送層62(62R,62G)、発光層63(63R,63G)を形成する。
詳しくは、正孔注入層61の材料を含んだ機能液を液滴吐出法(例えば、インクジェット法)により吐出し、その後機能液を乾燥させる。正孔注入層61の機能液としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などのポリチオフェン誘導体に、ドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸(PSS)を加えた混合物(PEDOT/PSS)などを用いることができる。
次に、正孔注入層61上に、正孔輸送層62の材料を含んだ機能液をインクジェット法により吐出し、その後機能液を乾燥させる。正孔輸送層62の機能液としては、例えばTFBが溶質として用いられ、溶媒としては、例えばシクロヘキシルベンゼンなどが用いられている。
次に、正孔輸送層62上に、発光層63(63R,63G)の材料を含んだ機能液をインクジェット法により吐出し、その後機能液を乾燥させる。発光層63の機能液としては、例えば、発光層63Rであれば、赤色蛍光材料の溶質が含まれている。発光層63Gであれば、緑色蛍光材料の溶質が含まれている。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図11(b)に示す。
(青色層形成工程)
次に、発光層63(63R,63G)上に中間層64を形成する。詳しくは、発光層63上に、アルカリ金属塩(例えば、炭酸セシウム)層を、蒸着法を用いて形成する。中間層64の厚みとしては例えば、0.5nmである。
ここで、蒸着法は、加熱による蒸着法や、電子ビーム蒸着、スパッタ、イオンプレーティング法などの成膜方法を含むものとする。
次に、素子基板31の上側から、蒸着法により発光層63Bを形成する(第3発光層蒸着工程)。詳しくは、例えば、陽極24B側から順に、正孔輸送性のα−NPD、青色の発光層63を構成するDPBVi、及び電子輸送性のAlq3の積層構造となっている。ここで、発光層63Bは段差被覆性が低いため、凸部101の一部が発光層63Bを貫き、露出した状態となる。
次に、発光層63B上に陰極25を形成する。具体的には、例えば、フッ化リチウム膜及びアルミニウム膜をこの順に、例えば蒸着法によって積層させる。この際、凸部101が露出した部分に陰極25が付着することで、凸部101と陰極25が直接接触する領域ができ、陰極25の実効的抵抗値を低減することができる。ここで、発光層63Bを形成する蒸着法と、陰極25を形成する蒸着方法を変えてもよく、この場合、発光層63Bを形成する蒸着法に比べ、被覆性が高い蒸着法を陰極25の形成に用いても良い。以上の工程を行うことで、図3に示す有機EL装置11aが完成する。
本実施形態における有機EL装置の製造方法は、以下の効果を奏する。
隔壁59の表面が撥液化されているため、導電性インクは乾燥に伴いシュリンクする。そのため、容易に高さ1μm程度の凸部101を形成することができる。
蒸着法により発光層63Bを形成する(第3発光層蒸着工程)と発光層63Bは段差被覆性が低いため、凸部101の一部が露出した状態となる。この状態で陰極25を形成することで、凸部101と陰極25が直接接触する領域ができ、陰極25の実効的抵抗値を低減できる製造工程を提供できる。
銀を含む導電性インクを用いた場合、150℃、2時間程度の焼成処理を用いることで、抵抗率をより下げることができる(例えば膜厚1μm換算で10μΩ・cm以下)製造工程を提供できる。
(第7実施形態:有機EL装置の製造方法)
以下、有機EL装置の製造方法について説明する。なお、本実施形態は第6実施形態と共通点が多いことから、第6実施形態と重複する部分については説明を省略する。図12(a)、(b)は有機EL装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
まず、上記した(隔壁製造工程)までを行う。次に、隔壁59をエッチングにより筒状の凹部112を形成し、この凹部112を導電性インクで埋めるように凸部111を形成する。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図12(a)に示す。
続けて、第6実施形態の(充填工程)を行う。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図12(b)に示す。
続けて、第6実施形態の、(青色層形成工程)を行うことで、図5に示す有機EL装置11bが完成する。
本実施形態における有機EL装置の製造方法は、上述した実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
筒状の凹部112を形成し、凹部112を導電性インクで埋め、凸部111を形成することで、第6実施形態で形成した凸部101と比べ、凸部111の抵抗値がより低下する(導体の面積が増える)。そのため、陰極25の等価抵抗値をより低減化させる製造工程を提供できる。
凹部112を覆うように形成することで、機械的に安定した凸部111が得られる。具体的に言えば、外れにくい構造となり、信頼性が向上させうる製造工程を提供できる。
(第8実施形態:有機EL装置の製造方法)
以下、有機EL装置の製造方法について説明する。なお、本実施形態は、第6実施形態と共通点が多いことから、第6実施形態と重複する部分については説明を省略する。図13(a)〜(c)、図14(a),(b)は有機EL装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
まず、第6実施形態の、(陽極形成工程)までを行う。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図13(a)に示す。
次に、絶縁体層102及び陽極24上に、絶縁層58を形成する。詳しくは、まず、絶縁層58の材料となる、例えば、シリコン酸化膜(SiO2)を含んだ絶縁層を、CVD法などにより、回路素子層43及び陽極24上を覆うように形成する。次に、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、絶縁層58のうち発光領域42に開口部を形成し、絶縁層58を完成させる。
次に、補助配線131を形成する。具体的には、スパッタ法で金属層を形成し、フォトリソグラフ法により加工して行う。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図13(b)に示す。
次に、隔壁59の材料の塗工液を絶縁層58上及び陽極24上に塗布する。塗工液は、例えばアクリル樹脂である。次に、塗工液を乾燥させて隔壁層を形成する。その後、この隔壁層における発光領域42にフォトリソグラフ法を用いて開口部を形成する。これにより、隔壁59の形状が完成する。この後、CF4プラズマ処理を行うと隔壁59の表面は撥液化される。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図13(c)に示す。
次に、第6実施形態の、(凸部製造工程)を行う。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図14(a)に示す。
次に、第6実施形態の、(充填工程)を行う。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図14(b)に示す。
そして、第6実施形態の、(青色層形成工程)を行うことで、図6に示す有機EL装置11cが完成する。
本実施形態における有機EL装置の製造方法は、上述した実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
補助配線131を形成することで、陰極25から凸部121、補助配線131、凸部121、陰極25という電流ルートを確保できるため、陰極25の実効的な抵抗値をさらに低抵抗化する製造工程を提供できる。
補助配線131の形成方法として、陽極24の層(レイヤー)で形成しても良いし、反射層100の層(レイヤー)で形成しても良い。この場合、補助配線131を構成する層を新たに形成することなく陰極25の実効的な抵抗値を下げうる製造工程を提供できる。
(第9実施形態:有機EL装置の製造方法)
以下、有機EL装置の製造方法について説明する。なお、本実施形態は、第6実施形態と共通点が多いことから、第6実施形態と重複する部分については説明を省略する。図15(a),(b)は、有機EL装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
まず、上記した(隔壁製造工程)までを行う。次に、隔壁59をフォトリソグラフ工程を用いて溝状に開口して得られた凹部152を導電性インクで埋め、凸部151を形成する。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図15(a)に示す。
次に、第6実施形態の、(充填工程)を行う。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図15(b)に示す。
そして、第6実施形態の、(青色層形成工程)を行うことで、図8に示す有機EL装置11dが完成する。
本実施形態における有機EL装置の製造方法は、上述した実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
凹部152として孔型ではなく、溝状の形状に加工することで、溝方向に延在する凹部152を凸部151が覆うこととなる。凹部152の内側は、撥液処理が為されていないため、親液性を備えている。そのため、導電性インクは凹部152の内側一杯に広がっていく。一方、隔壁59の頂部は撥液性を備えているので、凹部152の内側が導電性インクで埋まり、盛り上がってくると、今度は隔壁59の頂部は撥液性により凝集するので、溝方向に延在する領域で凸部151が形成される。すなわち、凹部152が孔型ではなく、溝状の形状を備えていることで、溝方向に延在する凹部152を凸部151が覆うことから、電気的に陰極25と凸部151とが並列に設けられることとなり、陰極25の電気抵抗を低減させうる製造工程を提供できる。
(第10実施形態:有機EL装置の製造方法)
以下、有機EL装置の製造方法について説明する。なお、本実施形態は、第6実施形態と共通点が多いことから、第6実施形態と重複する部分については説明を省略する。図16(a)〜(c)、図17(a),(b)は有機EL装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
まず、第6実施形態の、(陽極形成工程)までを行う。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図16(a)に示す。
次に、絶縁体層102及び陽極24上に、絶縁層58を形成する。詳しくは、まず、絶縁層58の材料となる、例えば、シリコン酸化膜(SiO2)を含んだ絶縁層を、CVD法などにより、回路素子層43及び陽極24上を覆うように形成する。次に、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、絶縁層58のうち発光領域42に開口部を形成し、絶縁層58を完成させる。
次に、補助配線171を形成する。具体的には、スパッタ法で金属層を形成し、フォトリソグラフ法により加工して行う。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図16(b)に示す。
次に、隔壁59の材料の塗工液を絶縁層58上及び陽極24上に塗布する。塗工液は、例えばアクリル樹脂である。次に、塗工液を乾燥させて隔壁層を形成する。その後、発光領域42上に位置する隔壁層を、フォトリソグラフ法を用い除去することで開口部を形成する。これにより、隔壁59の形状が完成する。この後、CF4プラズマ処理を行うと隔壁59の表面は撥液化される。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図16(c)に示す。
次に、フォトリソグラフ工程により隔壁59を溝状に開口して得られた凹部162を導電性インクで埋め、凸部161を形成する。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図17(a)に示す。
次に、第6実施形態の、(充填工程)を行う。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図17(b)に示す。
そして、第6実施形態の、(青色層形成工程)を行うことで、図9に示す有機EL装置11eが完成する。
本実施形態における有機EL装置の製造方法は、上述した実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
補助配線171を形成することで、陰極25から凸部161、補助配線171、凸部161、陰極25という電流ルートを確保できる。そのため、陰極25の実効的な抵抗値をさらに低抵抗化させうる製造工程を提供できる。
5…発光素子層、11…有機EL装置、11a…有機EL装置、11b…有機EL装置、11c…有機EL装置、11d…有機EL装置、11e…有機EL装置、12…走査線、13…信号線、14…電源線、15…信号線駆動回路、16…走査線駆動回路、21…スイッチング用TFT、22…保持容量、23…TFT素子、24…陽極、24B…陽極、24G…陽極、24R…陽極、26…発光機能層、27…発光素子、27B…青色発光素子、27G…緑色発光素子、27R…赤色発光素子、31…素子基板、32…表示領域、32a…実表示領域、32b…ダミー領域、33…非表示領域、34…サブ画素、35…検査回路、36…フレキシブル基板、37…駆動用IC、42…発光領域、43…回路素子層、45…下地保護膜、46…半導体膜、47…ソース領域、48…ドレイン領域、51…チャネル領域、52…ゲート絶縁膜、53…ゲート電極、54…第1層間絶縁膜、55…第2層間絶縁膜、56…コンタクトホール、57…コンタクトホール、58…絶縁層、59…隔壁、61…正孔注入層、61G…正孔注入層、61R…正孔注入層、62…正孔輸送層、62G…正孔輸送層、62R…正孔輸送層、63…発光層、63B…青色の発光層、63G…緑色の発光層、63R…赤色の発光層、64…中間層、100…反射層、101…凸部、102…絶縁体層、111…凸部、112…凹部、121…凸部、122…凹部、131…補助配線、151…凸部、152…凹部、161…凸部、162…凹部、171…補助配線。

Claims (10)

  1. 基板と、
    前記基板の一面側に設けられ、島状に分離された第1電極と、
    前記第1電極を覆う光透過性の第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に配置された発光層を含む有機機能層と、
    少なくとも前記第1電極を島状に分離する領域に設けられた、一部の有機機能層を分離する隔壁と、
    を備える有機エレクトロルミネッセンス装置であって、
    前記隔壁の少なくとも一部と接する、導電性の凸部が備えられ、
    前記凸部は、発光に寄与しない有機機能層を貫いており、
    かつ前記第2電極と前記凸部とが接していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
  2. 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記隔壁には、前記凸部を埋めるための凹部が設けられていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
  3. 請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記凹部の底部には、前記凸部同士を電気的に繋げる導体が備えられていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
  4. 請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記凹部は溝状の形状を備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
  5. 請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記凹部の底部の少なくとも一部と沿い、前記凸部と電気的に繋げられた導体が備えられていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
  6. 有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
    基板の一面側に、島状に分離された第1電極を形成する工程と、
    少なくとも前記第1電極間に、隔壁を形成する工程と、
    前記隔壁の少なくとも一部と接する、導電性を持つ凸部を形成する工程と、
    第1の有機機能層を前記隔壁の内側に形成する工程と、
    第2の有機機能層を前記基板の一面側に、前記凸部の一部を露出させて形成する工程と、
    光透過性の第2電極を、前記基板の一面側に、前記凸部と接触させて形成する工程と、
    を備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  7. 請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記隔壁を形成する工程と、前記凹部を形成する工程と、前記凹部内に凸部を形成する工程と、備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  8. 請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記隔壁を形成する工程以前に、前記凸部の底同士を電気的に繋げる配線部を形成する工程をさらに備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  9. 請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記凹部を溝状に形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  10. 請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記隔壁を形成する工程以前に、前記凹部の窪みの少なくとも一部と沿い、前記凸部と電気的に繋がる配線層を形成する工程をさらに備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
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