JP2012198648A - アルコール検出装置、および駆動システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルコール検出装置1は、測定対象者の指が接触する接触領域13を有する基部10と、接触領域13内に設けられ、測定対象者の静脈パターンを取得する静脈検出部20と、接触領域13内に設けられ、測定対象者の指から発散された皮膚ガス中のアルコール濃度を検出するアルコール検出部30と、を具備し、アルコール検出部30は、指が接触することで、閉空間を構成する凹溝と、凹溝内に設けられ、複数の金属突起を有する突起群を有するセンサー基板と、センサー基板に向かって光を射出する光源部と、センサー基板で発生したラマン散乱光を検出する受光部と、を備えた。
【選択図】図1
Description
この特許文献1に記載の飲酒運転防止装置では、車両のシフトレバーにアルコールの血中濃度を測定するアルコール検出部が設けられており、アルコールが検出されると、車両を走行不能状態にし、アルコールが検出されない場合に走行可能状態にする。
また、特許文献2のシステムでは、画像により本人認証を行うため、処理が複雑であり、本人認証の精度も低下してしまい、さらに、システム構成も複雑化するという課題がある。
そして、本発明では、基部の接触領域内に本人認証部と上述のようなアルコール検出部とが設けられている。すなわち、接触領域内に接触した皮膚により、測定対象者の血中アルコール濃度に対応したラマン散乱光の強度の検出と、測定対象者の識別情報の取得とを同時に行うことが可能となる。このため、例えば、運転手が本人認証部に接触し、第三者がアルコール検出部に接触するといった、本人のなりすまし行為が不可能となり、ラマン散乱光の強度に基づいて、確実に測定対象者本人のアルコール濃度を検出することが可能となる。また、基部の接触領域内に本人認証部とアルコール検出部とを設ける簡単な構成であるため、構成が複雑化せず、容易に本人認証およびアルコール検出の処理を実施することができ、装置設置性や意匠性の向上に寄与できる。
このような構成では、位置決め部に測定対象者の指又は掌を位置決めすることで、指や掌の測定対象部位を確実に接触領域に接触させることができ、誤検出や検出ミスを防止することができる。
この発明では、位置決め部により指や掌が固定されるため、例えば本人認証部による識別情報の取得中、およびアルコール検出部によるアルコール濃度の検出中に、指や掌の測定部位が接触領域から離れる不都合を回避でき、確実に測定対象者の識別情報の取得およびアルコール濃度に対応したラマン散乱光の強度の検出を実施することができる。
これに対して、本発明では、測定対象者の静脈パターンを識別情報として取得する。このような静脈パターンの取得としては、例えば、指に対して近赤外光を照射し、その反射光を検出して静脈パターンを取得する。この場合、上述のような指紋検出装置のように、測定対象者がセンサー面に対して、指を動かして広範囲部分を密着させる必要がなく、容易に測定対象者の識別情報である静脈パターンを取得できる。
また、上述のような指紋検出では、第三者による、なりすましが可能であるが、静脈パターンをコピーすることは困難であり、なりすまし等の不正を確実に防止することができる。
この発明では、識別一致判断手段により、アルコール検出装置の本人認証部により取得された測定対象者の識別情報が、予め記憶部に記憶された基準識別情報であるか否かを判断する。また、アルコール濃度検出手段は、アルコール検出部により検出されたラマン散乱光の強度から、測定対象者の実際の血中アルコール濃度を数値化して検出することができる。そして、飲酒判定手段は、この数値化されたアルコール濃度と、予め設定された規定値とに基づいて、測定対象者が飲酒状態であるか否かを判定する。
そして、駆動制御手段は、識別一致判断手段により、識別情報および基準識別情報が一致すると判断され、かつ、飲酒判定手段により飲酒状態ではないと判定された場合に、駆動部を駆動させる。このため、測定対象者が、当該駆動システムに予め登録された正規の運転手ではない場合には、駆動制御手段は、駆動部を駆動させないので、駆動システムの不正使用や盗難等の犯罪を防止することができる。また、測定対象者が正規の運転手であっても、飲酒状態であると判定された場合には、駆動制御手段は、駆動部を駆動させないので、飲酒運転等を防止することができる。
以下、本発明に係る第一実施形態のアルコール検出装置について、図面に基づいて説明する。
〔1.アルコール検出装置の全体構成〕
図1は、本発明に係る第一実施形態のアルコール検出装置を示す概略図である。
このアルコール検出装置1は、基部10と、基部10の第一面11に設けられた静脈検出部20(本人認証部)と、基部10の第一面11に設けられたアルコール検出部30と、を備えたセンサーチップである。このアルコール検出装置1は、静脈検出部20により静脈パターンを検出し、アルコール検出部30によりアルコール濃度(アルコール濃度に対応したラマン散乱光の強度)を検出して、これらの検出した静脈パターンおよびアルコール濃度を出力する装置である。
基部10は、第一面11側に、本発明の位置決め部を構成する位置決め凹部12を備えた基板である。位置決め凹部12は、図1に示すように、例えば一般的な大人の人差し指に対応した幅寸法を有して形成されている。これにより、測定対象者は、容易に人差し指を位置決め凹部12に位置決め可能となる。
また、位置決め凹部12の底面12Aのうち、測定対象者が位置決め凹部12に対して指を載置した際に、指の腹部分が接触する領域が、本発明の接触領域13となる。そして、この接触領域13内に、本発明の本人認証部を構成する静脈検出部20と、アルコール検出部30と、が設けられている。
静脈検出部20は、位置決め凹部12に載置された指の静脈パターンを撮像して取得し、測定対象者の識別情報として取得、出力するセンサーである。なお、この静脈検出部20としては、周知の技術を用いることができ、例えば、特開2009−89727号公報に示されるような静脈画像入力装置を用いることができる。
図2は、本実施形態の静脈検出部20の一例を示す概略断面図である。
静脈検出部20は、図2に示すように、位置決め凹部12の底面12Aに設けられた、センサー開口部21と、センサー開口部21の開口を閉塞するガラス基板22と、センサー開口部21内に設けられ、ガラス基板22側に赤外光を射出する赤外光源23と、反射された赤外光を撮像する撮像部24とを備えている。また、撮像部24には、例えば外光など、赤外光源23から射出された近赤外光以外の光を吸収、または反射するフィルター241が設けられている。
また、このような静脈パターンは、人によってそれぞれ異なるパターン形状となり、測定対象者を識別する情報として、高い信頼性を有する。また、静脈パターンは、第三者により容易にコピーすることが困難であるため、なりすまし等の不正が不可能となる。
図3は、アルコール検出部30の概略構成を示す断面図であり、図4は、アルコール検出部30の一部を拡大した拡大図である。
アルコール検出部30は、図3に示すように、凹溝31(閉空間構成部)と、凹溝31の内部に設けられたセンサー基板32と、センサー基板32に対してレーザー光を射出する光源部33(入射光学系)と、センサー基板32で発生した散乱光を受光する受光部34と、を備えている。
また、光源部33から発振させるレーザー光の波長としては、後述する金属微粒子322Bの種類により適宜設定することができ、例えば金属微粒子322Bが金(Au)である場合、レーザー光の波長としては、例えば633nmに設定することができ、金属微粒子322Bが銀(Ag)である場合は、レーザー光の波長として、例えば514nmに設定することができる。また、検出対象であるアルコール分子以外の不純物の蛍光を抑制するために、レーザー光の波長を例えば780nm程度に設定してもよい。
受光部34は、凹溝31の側面のうち、光源部33が設けられた面と対向する側面に設けられ、受光した光の光量に応じた電気信号を出力する。
このセンサー基板32のスリット溝321の一部を更に拡大すると、図4に示すように、センサー基板32の表面には、複数の突起322(金属突起)により構成された金属ナノ構造の突起群323が形成されている。これらの突起322は、センサー基板32の表面に設けられた凸部322A上に金属微粒子322B(例えば、金、銀、銅、アルミニウム、パラジウム、及びプラチナ等)をコーティングすることで構成されている。また、これらの突起322における金属微粒子322B間のピッチは、1nmからスリット溝321の格子ピッチの半分程度までのサイズで適宜設定されている。
このアルコール検出部30は、局在プラズモン共鳴を利用したアルコール検出センサーであり、以下に示す原理によりアルコール分子を検出する。
すなわち、アルコール検出部30に設けられる各金属微粒子322Bは、光源部33から射出されるレーザー光の波長よりも小さく形成されている。このような金属微粒子322Bに対してレーザー光を照射すると、金属微粒子322Bの表面に存在する自由電子に作用し、共鳴を引き起こす。これにより、自由電子による電気双極子が金属微粒子322B内に励起され、図4に示すように、金属微粒子322B間に入射したレーザー光の電場よりも強い増強電場324が形成される。この現象は、レーザー光の波長よりも小さな金属ナノ構造体に特有の現象である。
また、スリット溝321間の互いに対向する面間にも突起322を形成する構成としてもよい。この場合、突起322の高さとしては、スリット溝321の幅寸法間で、互いに対向する突起322の金属微粒子322B間が、上述のようなギャップとなるように、適宜設定することで、より強い増強電場を形成することが可能となる。
上記第一実施形態のアルコール検出装置では、基部10の第一面11に位置決め凹部12が設けられ、その位置決め凹部12の底面12Aの接触領域13内に、本人認証部である静脈検出部20と、アルコール検出部30とが設けられている。
また、アルコール検出部30は、底面12Aに形成された凹溝31と、凹溝31内に設けられ、金属微粒子322Bが形成された突起322により構成された突起群323を備えたセンサー基板32と、センサー基板32に対してレーザー光を射出する光源部33と、突起群323で発生したラマン散乱光を受光する受光部34とを備えている。このようなアルコール検出部30は、皮膚ガス中のアルコール分子が微量である場合でも高感度、高精度に検出することが可能であり、小型のセンサーチップにより構成することができる。したがって、上記のように、測定対象者の指の腹部分が接触する接触領域13のような微小領域に対しても配設することができる。
次に、本発明に係る第二実施形態のアルコール検出装置について、図面に基づいて説明する。
図5は、第二実施形態のアルコール検出装置1Aの概略構成を示す図である。
上記第一実施形態のアルコール検出装置1では、位置決め部として第一面11に位置決め凹部12が形成される構成としたが、第二実施形態のアルコール検出装置1Aでは、図5に示すように、位置決め部は、位置決め凹部12と、位置決め凹部12の外周部に設けられたバンド12Bにより構成されている。
このバンド12Bとしては、例えばゴムバンド等、弾性を有するもので形成されていることが好ましく、位置決め凹部12に沿って載置された測定対象者の指を、静脈検出部20およびアルコール検出部30に向かって付勢する。
また、バンド12Bとしては、弾性を有するゴムバンドに限られず、例えばマジックテープ(登録商標)等の着脱部を備える構成としてもよい。この場合、位置決め凹部12に指を載置した後、バンド12Bで指を接触領域側に押圧するように締め付け、着脱部で固定する。
次に、本発明に係る第三実施形態のアルコール検出装置について、図面に基づいて説明する。
図6は、第三実施形態のアルコール検出装置1Bの概略構成を示す図である。
すなわち、位置決め凹部12の底面12Aに形成された凹溝31は、第一実施形態よりも静脈検出部20側に拡がって形成されている。そして、この凹溝31の中心部から一方端側に、アルコール検出部30を構成するセンサー基板32、光源部33(図3参照)、および受光部34(図3参照)が設けられ、他方端側に静脈検出部20を構成する赤外光源23(図2参照)、撮像部24が設けられている。
つまり、上記第一実施形態のようなアルコール検出装置1では、静脈検出部20のセンサー開口部21と、アルコール検出部30の凹溝31との間に隔壁が設けられることとなり、この隔壁の寸法分だけ静脈検出部20とアルコール検出部30との距離が離れることとなる。これに対して、本実施形態のように、1つの凹溝31内にアルコール検出部30および静脈検出部20の双方を設けることで、隔壁が設けられない分、近接して配設することができ、アルコール検出装置1Bのさらなる小型化を促進できる。
また、アルコール検出部30および静脈検出部20がより近接して配置されるため、なりすまし等の不正をより確実に防止することができる。
次に、本発明に係る第四実施形態について、図面に基づいて説明する。
第四実施形態では、上述した第一から第三実施形態のアルコール検出装置1,1A,1Bを備えた電子駆動システムの一例である車両の安全航法支援システムについて説明する。
図7は、第四実施形態の安全航法支援システム(駆動システム)の概略構成を示す図である。
第四実施形態の安全航法支援システム100は、車両(例えば自動車)の運転において、運転手の飲酒状態を判断して、飲酒状態である場合に車両の駆動を拒絶し、飲酒状態でない場合に車両の駆動を許可するシステムである。
この安全航法支援システム100は、図7に示すように、上述したアルコール検出装置1が設けられたシフトレバー110と、車両を走行させるためのエンジン120(駆動部)と、エンジン120を駆動させるためのスターター回路130(本発明の電気駆動部およびスターターを構成)と、制御部140と、を備えている。
そして、このシフトレバー110は、把持部111と、シフトロック解除ボタン112とを備えている。把持部111は、運転手がシフトレバー110を操作する際に把持される部分である。シフトロック解除ボタン112は、把持部111の一部から突出して設けられ、運転手により押し込まれることで、シフトレバー110の移動規制を解除する。例えば、シフトレバー110が「P(パーキング)」に位置している状態から、「D(ドライブ)」や「R(リバース)」、「N(ニュートラル)」等の他のポジションに移動させる際に、運転手は、シフトロック解除ボタン112を押し込み、シフトレバー110を移動させる。
スターター回路130は、制御部140の指令によりエンジン120に電力を供給してエンジン120を始動させる。
端子部141は、アルコール検出装置1やスターター回路130等に接続され、アルコール検出装置1から入力された信号を制御回路部143に出力し、制御回路部143から入力されたエンジン始動指令信号をスターター回路130に出力する。
この静脈パターンおよび基準静脈パターンの一致判断としては、例えば静脈パターンの血管屈折部を特徴点として検出し、これらの特徴点間の距離、角度等を比較することで一致状態を判断する。
すなわち、アルコール濃度検出手段152は、記憶部142からアルコール濃度検出データを読み込み、このアルコール濃度検出データから、アルコール検出部30で検出されたラマン散乱光の強度に対応したアルコール濃度を取得する。
具体的には、駆動制御手段154は、識別一致判断手段151により静脈パターンと基準静脈パターンとが一致すると判断され、かつ飲酒判定手段153により、アルコール濃度が規定値未満であると判断されると、スターター回路130に対してエンジン始動指令信号を出力する。
また、駆動制御手段154は、識別一致判断手段151により、静脈パターンと基準静脈パターンとが一致しない場合に、例えば別途設けられたスピーカーや表示部を制御して、運転手の静脈パターンが登録されたパターンとは異なる旨を警告させる処理をしてもよい。同様に、駆動制御手段154は、飲酒判定手段153により、アルコール濃度が規定値以上であると判断された場合に、例えば別途設けられたスピーカーや表示部を制御して、飲酒状態であるため駆動不可能である旨を警告させる処理をしてもよい。
次に、上記のような安全航法支援システムの動作について、図面に基づいて説明する。
図8は、第四実施形態の安全航法支援システムの動作を示すフローチャートである。
これにより、アルコール検出装置1は、運転手の指から、静脈パターンを取得し、かつ皮膚ガスに含まれるアルコール分子に基づいたラマン散乱光の強度を取得する(ステップS1)。
そして、飲酒判定手段153は、ステップS4で取得されたアルコール濃度が規定値未満であるか否かを判断する(ステップS5)。
上述したような第四実施形態の安全航法支援システム100では、シフトレバー110のシフトロック解除ボタン112にアルコール検出装置1が組み込まれている。
このため、安全航法支援システム100では、運転手のシフトレバー操作時に、アルコール検出装置1の静脈検出部20による静脈パターンの取得、およびアルコール検出部30によるアルコール濃度検出(アルコール濃度に起因したラマン散乱光の強度検出)を同時に実施することができる。したがって、上記第一実施形態と同様に、運転手がなりすまし等の不正を行ってアルコール濃度検出を回避することができず、確実に運転手自身のアルコール濃度を検出することができる。
上述したように、アルコール検出装置1では、運転手本人の静脈パターンとアルコール濃度を同時に取得でき、第三者がなりすましによる不正を防止できるので、本実施形態の安全航法支援システム100は、このようなアルコール検出装置1で取得した静脈パターンおよびアルコール濃度に基づいて、車両の駆動を制御することで、運転手の飲酒運転を確実に防止することができる。
また、運転手の本人認証を、アルコール検出装置1の静脈検出部20で取得した静脈パターンと、記憶部142に登録された基準静脈パターンとの比較により実施することで、運転手が登録された人物であるか否かを容易に、かつ確実に判別することができ、車両の盗難等の犯罪を未然に防ぐことができる。
次に、本発明の第五実施形態について、図面に基づいて説明する。
第五実施形態は、上述した第一から第三実施形態のアルコール検出装置1,1A,1Bを備えた電子駆動システムの他の例である車両の安全航法支援システムである。すなわち、上記第四実施形態では、車両のシフトレバー110にアルコール検出装置1が設けられる構成を例示したが、第五実施形態の安全航法支援システムでは、車両を始動させるための車両用キーにアルコール検出装置1が設けられる。
図9は、第五実施形態の安全航法支援システム200の例を示す概略図である。
なお、上記第一から第五実施形態と同様の構成については、同符号を付し、その説明を省略または簡略する。
第五実施形態の安全航法支援システム200は、図9に示すように、車両用キー210と、車両を走行させるためのエンジン120と、エンジン120を駆動させるためのスターター回路130(本発明の電気駆動部およびスターターを構成)と、制御部140と、を備えている。
キー挿入部212は、車両の運転席近傍に設けられたキーシリンダー(図示略)に挿入することで、車両を始動させる。
把持部211は、キー挿入部212の一端側に設けられ、運転手により把持される部分である。そして、この把持部211の一側面には、アルコール検出装置1が設けられている。ここで、アルコール検出装置1は、把持部211の一側面に埋め込み装着されていてもよく、アルコール検出装置1の基部10が把持部211の一側面を構成するものであってもよい。
端子部141は、スターター回路130等に接続され、制御回路部143から入力されたエンジン始動指令信号をスターター回路130に出力する。
信号受信部144は、車両用キー210の把持部211に設けられた発信部213からの電波を受信する。そして、信号受信部144は、電波に含まれる情報、すなわち静脈パターンおよびアルコール濃度に基づいたラマン散乱光の強度をデコードして制御回路部143に出力する。
ここで、駆動制御手段154は、識別一致判断手段151により静脈パターンと基準静脈パターンとが一致すると判断され、かつ飲酒判定手段153により、アルコール濃度が規定値未満であると判断され、さらに、キーシリンダーに車両用キー210のキー挿入部212が挿入されて所定角度回転させられると、スターター回路130に対してエンジン始動指令信号を出力する。
一方、駆動制御手段154は、識別一致判断手段151により静脈パターンと基準静脈パターンとが一致しないと判断された場合や、飲酒判定手段153によりアルコール濃度が規定値以上であると判定された場合、キーシリンダーに車両用キー210のキー挿入部212が挿入されて所定角度回転された場合でも、スターター回路130に対してエンジン始動指令信号を出力しない。
上述したような第五実施形態の安全航法支援システム200においても、第四実施形態と同様の効果を奏する。すなわち、安全航法支援システム200では、車両用キー210の把持部211を運転手が把持することで、アルコール検出装置1の静脈検出部20による静脈パターンの取得、およびアルコール検出部30によるアルコール濃度検出(アルコール濃度に起因したラマン散乱光の強度検出)を同時に実施することができる。したがって、上記第一実施形態と同様に、運転手がなりすまし等の不正によりアルコール検出を回避することができず、確実に運転手自身のアルコール濃度を検出することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
この場合、一対の静脈検出部20により得られる一対の静脈パターンにより、測定対象者の本人認証を実施する。このような構成では、一対の静脈検出部20により、それぞれ静脈パターンを取得する際に、必ずこれらの静脈検出部の間の配置されたアルコール検出部30の測定対象者の指が載置されることとなる。したがって、第三者によるなりすまし等の不正をより確実に防止することができ、かつ、アルコール検出部30に接触する部分のみを浮かせてアルコールの検出を回避しようとした不正をも防ぐことができる。
このようなセンサーとしては、例えば凹溝31内の圧力を検出する圧力検出センサーを用いることができる。測定対象者の指によりパッキン部材31Aが押圧され、押圧により凹溝31内の圧力が高くなったか否かを判断する。そして、圧力センサーにより圧力の変化がないと判断された場合は、アルコール濃度検出エラーを出力する。
このような構成を用いることで、例えば、アルコール検出部30の凹溝31内から皮膚ガスを流出させて、アルコール濃度を誤魔化そうとする不正等を防止でき、測定対象者のより正確なアルコール濃度を検出することができる。
本人認証部としては、例えば人の指の指紋を取得する指紋検出部であってもよい。ただし、このような指紋検出部による指紋検出では、指紋コピー等により第三者によるなりすましにより、測定対象者自身の識別情報を取得できない可能性もあり、不正に対してセキュリティーが十分ではない。したがって、本人認証部としては、上記各実施形態にて示すように、測定対象者の静脈パターンを取得する静脈検出部を設けることが好ましい。
アルコール検出装置としては、人の皮膚ガスが検出される部位であれば特に限定されず、例えば掌、腕、足等、どのような測定部位に対して接触させるものであってもよい。これらのうちでも、指や掌は、手袋等を装着している状態を除けば、通常皮膚が露出している部分であり、測定対象者が容易に測定を実施できる場所であるので、特に好ましい。
また、入射光学系として、凹溝31の側面に、レーザー光を射出する光源部33を直接設ける構成としたが、これに限定されず、凹溝31の側面に設けられた窓部から、センサー基板32に対してレーザー光を導く光学系であればよい。受光部34においても同様であり、凹溝31の側面に設けられた窓に入射したラマン散乱光を受光素子に導く光学系を備えるものであってもよい。
例えば、アルコールが検出された場合や運転手の静脈パターンが予め登録された基準静脈パターンと異なる場合に、シフトロック解除ボタン112を押下しても、シフトレバーの移動を規制するロック機構が解除されずシフトレバー110を操作できない状態としてもよい。
例えば、キー挿入部212に、アルコール検出装置1と接続されたキー側端子部を設け、キーシリンダーに、キー挿入部が挿入された際に前記キー側端子部に接触するシリンダー側端子部を備える構成としてもよい。この場合、アルコール検出装置1で取得された静脈パターンおよびラマン散乱光の強度は、キー側端子部、シリンダー側端子部を介して、制御部140に入力される。
例えば、車両用キーは、アルコール検出装置1が設けられた把持部と、把持部に対して出没自在に設けられたキー挿入部と、キー挿入部を把持部から出没させるアクチュエーターと、アクチュエーターを制御する制御部と、を備える構成としてもよい。
この場合、制御部は、第四実施形態と同様に、端子部141と、メモリー等の記憶回路により構成される記憶部142と、制御回路部143と、を備える構成とすればよい。そして、制御回路部143の駆動制御手段154は、アルコール検出装置1で取得した静脈パターンおよびラマン散乱光の強度に基づいて、識別一致判断手段151により静脈パターンと基準静脈パターンとが一致すると判断され、かつ飲酒判定手段153により、アルコール濃度が規定値未満であると判断された場合にアクチュエーターを駆動させてキー挿入部を突出させる。一方、制御回路部143の駆動制御手段154は、上記条件を満たさない場合には、キー挿入部を突出させない。このような構成では、正規の運転手と異なる第三者が車両を操作しようとする場合、および、運転者が飲酒状態である場合では、キー挿入部が把持部内に没入したままの状態となるため、車両内に設けられたキーシリンダーにキー挿入部を挿入することができない。したがって、車両の盗難や不正使用、及び飲酒運転を防止することができる。
さらに、本アルコール検出装置を運転用ハンドルやコンソール部に組み込んだり、運転用スタートスイッチ部に組み込んだりしても、同様の目的に対する作用効果を得ることができる。
さらには、第四および第五実施形態において、本発明の駆動システムとしての車両運転時の飲酒運転を防止する安全航法支援システム100,200を例示したが、車両としては、自動車、自動二輪、船舶、航空機等、あらゆる輸送機器に用いることができる。また、車両に限定されず、例えば工作機械等、飲酒状態で操作すると危険を伴うあらゆる機械(駆動システム)に対して装着することができる。
Claims (9)
- 測定対象者の皮膚が接触する接触領域を有する基部と、
前記接触領域内に設けられ、前記測定対象者を特定する識別情報を取得する本人認証部と、
前記接触領域内に設けられ、前記測定対象者の皮膚から出る皮膚ガス中のアルコール濃度を検出するアルコール検出部と、を具備し、
前記アルコール検出部は、
前記測定対象者の皮膚が接触することで、閉空間を構成する閉空間構成部と、
前記閉空間内に設けられ、複数の金属突起を有する突起群と、
前記突起群に向かって光を射出する入射光学系と、
前記突起群で発生したラマン散乱光を検出する受光部と、を備えた
ことを特徴としたアルコール検出装置。 - 請求項1に記載のアルコール検出装置において、
前記測定対象者の指又は掌が前記接触領域に接触した状態で、前記指又は前記掌を位置決めする位置決め部を備えた
ことを特徴としたアルコール検出装置。 - 請求項2に記載のアルコール検出装置において、
前記位置決め部は、前記指又は前記掌を固定する
ことを特徴としたアルコール検出装置。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載のアルコール検出装置において、
前記本人認証部は、前記識別情報として、前記測定対象者の静脈パターンを取得する
ことを特徴としたアルコール検出装置。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載のアルコール検出装置において、
前記閉空間構成部は、前記測定対象の皮膚が接触することで前記閉空間を密閉する密閉部材を備える
ことを特徴としたアルコール検出装置。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載のアルコール検出装置において、
前記本人認証部は、前記閉空間内に設けられた
ことを特徴としたアルコール検出装置。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載のアルコール検出装置と、
駆動部と、
前記駆動部の駆動を制御する制御部と、を具備した駆動システムであって、
前記制御部は、
基準識別情報が記憶された記憶部と、
前記本人認証部により取得された前記識別情報と、前記基準識別情報との一致状態を判断する識別一致判断手段と、
前記アルコール検出部で検出されたラマン散乱光の強度から前記測定対象者の血中アルコール濃度を検出するアルコール濃度検出手段と、
前記識別一致判断手段により前記識別情報と前記基準識別情報とが一致したと判断され、かつ、前記アルコール濃度検出手段により検出されたアルコール濃度が規定値未満である場合に、前記駆動部を駆動させる駆動制御手段と、を備えた
ことを特徴とした駆動システム。 - 請求項7に記載の駆動システムにおいて、
前記駆動部は、車両を駆動させる駆動力を発生させるエンジンまたはモーターであり、
前記アルコール検出装置は、前記車両を操作するためのシフトレバーに設けられた
ことを特徴とした駆動システム。 - 請求項7に記載の駆動システムにおいて、
前記駆動部は、車両を駆動させる駆動力を発生させるエンジンまたはモーターであり、
前記アルコール検出装置は、前記車両のエンジンまたはモーターを始動させるための車両用キーに設けられた
ことを特徴とした駆動システム。
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