JP2012197485A - 結晶配向性を有する鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定の結晶配向性を有し、厚さが0.01mm以上10mm以下の鋼板を製造する方法であって、
(a)α−γ変態系マスターピース鋼板と該マスターピース鋼板より低いA3変態点を有するα−γ変態系マテリアル鋼板2を積層する工程、
(b)積層したマスターピース鋼板とマテリアル鋼板を接着することによって一体化する工程、
(c)マテリアル鋼板のA3変態点以上、マスターピース鋼板のA3変態点未満に加熱した後に、マテリアル鋼板
のA3変態点未満に冷却する工程、
から構成されることを特徴とする結晶配向性を有する鋼板の製造方法である。
【選択図】なし
Description
(1)特定の結晶配向性を有し、厚さが0.01mm以上10mm以下の鋼板を製造する方法であって、
(a)α−γ変態系のマスターピース鋼板と該マスターピース鋼板より低いA3変態点を有するα−γ変態系のマテリアル鋼板を積層する工程、
(b)積層したマスターピース鋼板とマテリアル鋼板とを接着することによって一体化する工程、
(c)前記マテリアル鋼板のA3変態点以上、前記マスターピース鋼板のA3変態点未満に加熱した後に、前記マテリアル鋼板2のA3変態点未満に冷却する工程、
から構成される結晶配向性を有する鋼板の製造方法。
(a)α単相系のマスターピース鋼板とα−γ変態系のマテリアル鋼板を積層する工程、
(b)積層したマスターピース鋼板とマテリアル鋼板とを接着することによって一体化する工程、
(c)前記マテリアル鋼板のA3変態点以上1300℃未満に加熱した後に、前記マテリアル鋼板のA3変態点未満に冷却する工程、
から構成される結晶配向性を有する鋼板の製造方法。
本発明の製造方法の概略は、結晶配向性の種となるマスターピース鋼板と、マテリアル鋼板とを積層、接着して一体化させた後に、該マテリアル鋼板のA3変態点以上の温度で加熱、A3変態点未満に冷却することによって、マスターピース鋼板の結晶配向性の種を鋼板全体に成長させるものである。両鋼板を積層させる枚数を調整することによって、所望の厚さの鋼板を特定の結晶配向性を有した状態で得ることができる。
0.01mm未満、あるいは、10mm超であるとエピタキシャル的な結晶成長が起こり難くなり、特定の結晶配向性が得難くなる。このため、加工性や磁気特性が低下するため、本発明では上記範囲に限定した。
マスターピース鋼板は、結晶配向性の種となる鋼板として用いる。結晶配向性としては{100}、{111}、{110}等の各面や、<100>、<111>、<110>等の各方位の内、所望の結晶配向を有するものを使用する。結晶配向性の種類は、圧延の圧下率、熱処理条件やこれらの組み合わせによって調整する。また、熱処理の際の雰囲気を変えて、表面エネルギーが低減できる結晶方位の結晶粒を優先的に成長させることも有効な手段である。
マテリアル鋼板は、α−γ変態系成分であることが必須である。マスターピース鋼板がα−γ変態系である場合には、A3変態点をマスターピース鋼板より低くする必要があり、例えば、C、Mn、Ni、Co、Cu等のγフォーマ元素を含有させてA3点を低下させることは、本発明の効果を容易に得るために有効である。なお、C、Al、Mn、P、N、O、Cu、Ni、Si、Zr、Nb等の不可避不純物を含有していても、本発明の効果を得ることはできる。通常の圧延、再結晶で製造できるが、再結晶していない未焼鈍鋼板を用いても良い。
マスターピース鋼板とマテリアル鋼板とを積層させる。積層状態としては、マスターピース鋼板とマテリアル鋼板とをそれぞれ1枚重ねただけでも良いし、それぞれを交互に複数層積層しても良い。奇数枚のマスターピース鋼板と、マテリアル鋼板とを積層させて、表と裏が異なる種類の鋼板から構成されても良い。この場合、少なくともマスターピース鋼板は1枚、マテリアル鋼板は1枚必要である。さらに、奇数枚のマスターピース鋼板と偶数枚のマテリアル鋼板とを積層して、表裏ともマテリアル鋼板、偶数枚のマスターピース鋼板と奇数枚のマテリアル鋼板を積層して、表裏ともマスターピース鋼板にすることも可能である。この場合には少なくとも、マスターピース鋼板とマテリアル鋼板とは1枚と2枚、あるいは、2枚と1枚の組み合わせが必要である。なお、各鋼板の厚みは、組み合わせの中で全て同じでなくても良い。また、上述のようなエピタキシャル成長を阻害しない厚み範囲で、同種の鋼板を積層したもので積層することも可能である。
マスターピース鋼板からマテリアル鋼板へのエピタキシャル的な結晶成長のために、積層させるだけでは不十分であり、圧着などによる接着が必要である。
熱処理条件としては、マテリアル鋼板のA3変態点以上に加熱して、γ化させることが必須である。さらに、この時にマスターピース鋼板は、α相を維持し、結晶配向が維持されるようにしなければならない。即ち、マスターピース鋼板がα−γ変態系であるならば、マスターピース鋼板のA3変態点を超えないようにすることが必要である。また、マスターピース鋼板がα単相系ならばその心配は無いが、無用な鋼板の変形等を避けるために、加熱温度は1300℃以下に制御する。加熱の後には、マテリアル鋼板のA3変態点未満に冷却することによって、該マテリアル鋼板をα化させて、マスターピース鋼板から結晶配向をエピタキシャル的に成長させる。
製造できる鋼板の幅には大きな制限は無いが、従来から使用されている接着装置から、少なくとも5mm以上3000mm以下であることが好ましい。
結晶配向性は、例えば、X線回折によって各結晶面の反射強度を測定し、ここから面集積度を求めて評価する方法がある。これらの面集積度の測定は、MoKα線によるX線回折で行うことができる。
その際、例えば、{200}強度比率では、以下の式(I)で表される。
{200}面集積度=[{i(200)/I(200)}/Σ{i(hkl)/I(hkl)}]×100 ・・・ (I)
但し、記号は以下のとおりである。
i(hkl): 測定した試料における{hkl}面の実測積分強度
I(hkl): ランダム方位をもつ試料における{hkl}面の理論積分強度
Σ: α−Fe結晶の11の方位面についての和
ここで、ランダム方位を持つ試料の積分強度は、試料を用意して実測して求めてもよい。
マスターピース鋼板として2種類の成分系を用意した。1つは成分Aのマスターピース鋼板であり、質量%でCr:17%、Ti:0.04%、C:30ppm、残部鉄であり、不可避不純物を含んでいた。このマスターピース鋼板はA3変態点を持たないα単相系であった。
マテリアル鋼板では、熱延は1150℃に加熱した厚み250mmのインゴットを厚み4mmまで薄肉化した。この熱延板の表面からスケールを除去した後に、冷延で厚み0.003mm〜0.5mmまで薄肉化した。
深絞り性評価は、r値が1.5以上の場合には良好の評価として○を、1.5未満の場合には良好ではない評価として×を与えた。
マスターピース鋼板として2種類の成分系を用意した。1つは成分Cのマスターピース鋼板であり、質量%でSi:3.1%、C:30ppm、残部鉄であり、不可避不純物を含んでいた。このマスターピース鋼板はA3変態点を持たないα単相系であった。
No.140は、熱処理の保持温度が鋼板1のA3変態点920℃以上の比較例である。その結果は、{200}面集積度は向上することなく、所望の結晶配向性は得られなかった。
また、本発明の製造法を適用して、その他の{110}面、<111>軸、<100>軸、<110>軸が特定の方位を向いた所望の結晶配向性を有する鋼板を製造したが、何れの場合も所望の厚さの鋼板を任意に得ることができた。
マスターピース鋼板として4種類の成分系の鋼板を用意した。
成分Eのマスターピース鋼板では、質量%でZr:0.04%、C:40ppm、残部鉄であり、不可避不純物を含んでいた。このマスターピース鋼板のA3変態点は911℃であり、α−γ変態系であった。
成分Hのマスターピース鋼板では、質量%でNb:0.02%、Mn:0.10%、C:20ppm、残部鉄であり、不可避不純物を含んでいた。このマスターピース鋼板のA3変態点は907℃であり、α−γ変態系であった。
成分Iのマテリアル鋼板では、質量%でZr:0.04%、Ni:0.10%,C:40ppm、残部鉄であり、不可避不純物を含んでいた。このマテリアル鋼板のA3変態点は909℃であり、α−γ変態系であった。
得られた鋼板の評価は、X線回折による{222}面集積度の測定と、引っ張り試験のr値測定による深絞り性評価を行った。{222}面集積度は、マテリアル鋼板の部分まで鋼板面から鋼板を厚さ方向に研磨し、マテリアル鋼板が評価できるようにした。
Claims (5)
- 特定の結晶配向性を有し、厚さが0.01mm以上10mm以下の鋼板を製造する方法であって、
(a)α−γ変態系のマスターピース鋼板と該マスターピース鋼板より低いA3変態点を有するα−γ変態系のマテリアル鋼板を積層する工程、
(b)積層したマスターピース鋼板とマテリアル鋼板とを接着することによって一体化する工程、
(c)前記マテリアル鋼板のA3変態点以上、前記マスターピース鋼板のA3変態点未満に加熱した後に、前記マテリアル鋼板のA3変態点未満に冷却する工程、
から構成されることを特徴とする結晶配向性を有する鋼板の製造方法。 - 特定の結晶配向性を有し、厚さが0.01mm以上10mm以下の鋼板を製造する方法であって、
(a)α単相系のマスターピース鋼板とα−γ変態系のマテリアル鋼板を積層する工程、
(b)積層したマスターピース鋼板とマテリアル鋼板とを接着することによって一体化する工程、
(c)前記マテリアル鋼板のA3変態点以上1300℃未満に加熱した後に、前記マテリアル鋼板のA3変態点未満に冷却する工程、
から構成されることを特徴とする結晶配向性を有する鋼板の製造方法。 - 前記マスターピース鋼板が、特定の結晶配向性を有する鋼板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の結晶配向性を有する鋼板の製造方法。
- 前記マスターピース鋼板が、再結晶させることによって特定の結晶配向性を発現する未焼鈍鋼板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の結晶配向性を有する鋼板の製造方法。
- 前記積層が、交互に複数層を積層することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の結晶配向性を有する鋼板の製造方法。
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