以下、図面を参照して実施形態を詳細に説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
{1. 実施形態}
図1は、実施形態に係る医療用診療装置100の全体を示す外観図である。また、図2は、医療用診療装置100の構成を示すブロック図である。図1,2に示したように、医療用診療装置100は、術者および患者が使用する診療台10と、診療台10を構成する各要素の駆動制御を行う制御部9とを備えている。
{診療台の構成}
診療台10は、患者シート1(シート)と、スピットン2と、トレーテーブル3と、診療器具4と、フートコントローラ5、トレーテーブル3に搭載されたモニター6(表示部)と、無影灯7(照明装置)と、撮影部8とを備えている。医療用診療装置100は、患者シート1に着席した患者に対して、診療器具4を使用して歯科診療を行うのに適した構成を備えている。なお、診療行為には、診察行為および治療行為の双方が含まれる。また、患者が患者シート1に着席しているとは、患者が患者シート1に支持されている状態をいう。したがって、患者シート1の背凭れ1bが倒れて、患者が寝転んだ姿勢をとっているような場合も、着席していることに含まれる。
患者シート1は、患者の頭部を支持するヘッドレスト1aと、主に患者の背中を支持する背凭れ1bと、患者の臀部を支持する座面シート1cと、患者の両足が載置される足置き台1dとで構成されている。ヘッドレスト1a、背凭れ1b、座面シート1c、足置き台1dは、シート駆動部1Mによって駆動される可動部として構成されている。具体的にシート駆動部1Mは、ヘッドレスト1a、背凭れ1b、座面シート1cのそれぞれを、診療状況に合わせて最適な位置に変位させる。
例えば、患者シート1に対して患者が着席したり離席したりさせる際には、シート駆動部1Mは、背凭れ1bを水平面に対して略垂直に立ち上げる。これにより、患者シート1に対して患者が座ったり、または、患者シート1から立ち上がったりしやすくなる。また、診療中においては、患者シート1のシート駆動部1Mは、背凭れ1b、座面シート1c、足置き台1dを略水平に延びるように配置することによって、患者シート1上で患者を仰臥姿勢にて支持することができる。
図1に戻って、スピットン2は、患者シート1の側部に備え付けられている。患者シート1は、排水口が形成されたスピットン鉢21、コップが載置されるコップ台22、コップに吸水するための給水栓等23を備えている。
後述するように、スピットン2には、スピットン駆動部2Mが設けられている。スピットン駆動部2Mは、スピットン鉢21を上下に移動させる昇降機構21Mと、スピットン鉢21を鉛直方向に延びる所定の回転軸周りに回動させる回動機構22Mを備えている。このようなスピットン駆動部2Mの作用により、患者シート1に着席している患者に対して、スピットン鉢21を適切な位置に接近させることが可能となっている。
トレーテーブル3は、患者シート1から延びるアームに接続されており、患者シート1に対して手動で回動移動できるように構成されている。トレーテーブル3は、ハンドピースである診療器具4を術者が取り上げることができるように保持する診療器具ホルダーを備えている。
診療器具4は、例えばエアータービンハンドピース、マイクロモータハンドピース等の切削工具や、スケーラ、スリーウエイシリンジ、バキュームシリンジ等で構成される。なお、診療器具4は、これらに限定されるものではなく、口腔カメラや光重合照射器(いずれも図示せず)等であってもよい。また、診療器具4は、ミラーまたは注射器等、駆動部を持たない器具で構成されてもよい。
フートコントローラ5は、診療を行う術者が、診療台10を構成する要素(患者シート1、スピットン2または診療器具4等)に対して、いくつかの特定の動作を行うように操作制御するための操作部として機能する。フートコントローラ5には、特定の操作機能が割り当てられる、ペダル、スイッチ等の複数の操作入力部が設けられている。フートコントローラ5の詳細な機能については後述する。
モニター6は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)モニター等で構成される。モニター6には、医療用診療装置100においては、後述する制御部9による画像認識によって、患者シート1に着席する患者、および該患者に処置を行う術者を特定することが可能となっている。モニター6には、この画像認識によって特定された患者または術者に関する各種情報が表示される。
無影灯7は、患者シート1に着席している患者を照明する。特に診療時においては、無影灯7は、患者シート1に着席した患者の処置部位(ここでは口腔部)に光を照射する。無影灯7は、関節アームに取り付けられている。術者は、関節アームを屈曲させることによって、無影灯7を上下または左右に移動させて適当な位置に配置させることができる。
撮影部8は、上記無影灯7に取り付けられている。撮影部8は、無影灯7で明るく照らされた患者の口腔部を撮影し、適当な画像処理を行って、モニター6に該口腔画像を表示させる。このような口腔画像を、例えばモニター6に表示することで、診療時に術者がモニター6を見ながら患者に症状を説明すること等ができる。また、診療中、術者が処置する様子を撮影してモニター6に表示されるようにしてもよい。また、撮影部8は、関節アームに取り付けられて無影灯7の近傍に配置されていても良い。
また撮影部8は、患者または術者の顔貌全体を含むように撮影して、患者または術者の顔画像データを制御部9に送信する機能を備えている。後述するように、制御部9に送信された患者または術者の顔画像データは、医療用診療装置100が、患者または術者を識別(特定)するために使用される。なお、撮影部8は、単一のカメラで構成されていてもよいが、患者を撮影するカメラと術者を撮影するためのカメラとを個別に備えていてもよい。また、撮影部8は、患者の口腔部を撮影するカメラと、患者または術者の顔貌を撮影するカメラとを個別に備えていてもよい。
医療用診療装置100は、術者が着席するオペレーションスツール81を備えている。オペレーションスツール81の底部には複数のコロが取り付けられている。オペレーションスツール81は、このコロによって、患者シート1の周囲を自由に移動することができる。オペレーションスツール81の座面には、術者の着席を検出するため、術者検出部81Sが取り付けられている。術者検出部81Sは、例えばオペレーションスツール81の座面部に埋め込まれる圧力センサ、光学センサまたは温度センサ等によって構成される。術者検出部81Sは、術者の着席を検出すると、撮影部8に検出信号を送信する。なお、術者検出部81Sから出力された検出信号を、制御部9を解して撮影部8に送信するようにしてもよい。
上記実施形態では、撮影部8によって患者又は術者が通過するような領域(患者シート1の周囲)を撮影し、画像認識部96が取得された画像データを解析することによって、患者又は術者を認識するようにしてもよい。
撮影部8は、患者シート1又はオペレーションスツール81に着座している患者又は術者の顔画像を撮影する。そして患者又は術者の顔画像データが、制御部9に送信される。制御部9に送信された顔画像データは、個人認識部92で患者又は術者が特定される。患者であることが特定されると、後述のように患者に応じたコンテンツを再生する。また、術者であることが特定されると、モニター6に表示されている患者シート1に着座している患者に応じたコンテンツをカルテ情報に切り替えるようにしてもよい。
{制御部}
制御部9は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えた一般的なコンピュータとして構成されている。制御部9は、診療台10を構成する各要素の動作を制御する機能を備えている。制御部9は、CPUが所定のプログラムに従って動作することにより、患者および術者の識別処理を行ったり、診療台10を構成する要素の駆動部を制御したりする。制御部9は、診療台10の外部に設けられていてもよいし、診療台10に内蔵されていてもよい。
図2に示したように、制御部9は、画像処理部91、個人認識部92、駆動条件設定部93、駆動制御部94(シート駆動制御部941、スピットン駆動制御部942、診療器具駆動制御部943を含む。)として機能する。また、制御部9は、画像認識部96、電源制御部97としても機能する。これらの機能は、制御部9が備えるCPUが所定のプログラムに従って動作することにより実現される。なお、これらの機能の一部または全部を、専用回路として構成することにより、ハードウェア的に実現されるようにしてもよい。
制御部9は、ハードディスク等の記録媒体を有する記憶部95に接続されている。なお、制御部9と記憶部95とは、LAN(Local Area Network)やイントラネット、インターネット等の各種ネットワークを介して接続される。なお、記憶部95にサーバーとしての機能を持たせることにより、医療用診療装置100で使用される各種データを、記憶部95において集中的に管理することが可能となる。これにより、制御部9および制御部9以外の他の端末(図示省略)との間で、記憶部95が保持するデータを共有することが容易となる。したがって、データ取得やデータ保存の自由度を高めることができる。なお、記憶部95は、制御部9の内部に備え付けられていてもよい。
画像処理部91は、撮影部8から送られてきた患者または術者の顔貌を含む画像(顔画像データ)に対して、コントラスト調整や特徴部の抽出等、画像認識のための各種画像処理を行う。この画像処理によって取得された顔画像処理データは、個人認識部92に渡される。
個人認識部92は、記憶部95に格納された個人別情報951から、該顔画像処理データに一致するデータを検索する。ことによって、一致するデータが存在するかどうか照会する。個人別情報951は、複数の患者または複数の術者に関連する種々の情報をまとめられた、情報の集合(データベース)となっている。個人認識部92は、画像処理部91によって取得された顔画像処理データに基づいて、診療台10を使用する患者または術者の特定を行う。つまり、本実施形態では、撮影部8によって取得される患者または術者の顔画像データが、個人を特定するための識別情報として利用される。
個人別情報951は、例えば患者についての顔画像データと、顔画像処理データと、カルテ情報とを、患者毎に関連付けて保持している。
患者の顔画像データは、予め患者の顔貌を撮影部8またはその他の撮影手段で撮影して取得された顔画像を表すデータである。また、顔画像処理データは、顔画像データを画像処理部91が画像処理することにより得られるデータである。
カルテ情報は、患者を診療する上で必要とされる診療情報に相当する。具体的に、カルテ情報には、氏名、年齢、性別、住所、職業、家族構成等の他、病名および主要症状、治療方法、診療年月日、通院歴等の一般的なカルテに記載される情報で構成される。ただし、カルテ情報は、これらの情報のうちの一部のみで構成されていてもよいし、その他の情報が含まれていてもよい。
また、個人別情報951は、術者に関する登録情報として、術者についての顔画像データと、顔画像処理データとを、術者毎に関連付けて保持している。
術者の顔画像データは、上述の患者の顔画像データと同様に、撮影部8またはその他の撮影手段によって撮影された術者の顔画像を表すデータである。また、術者の顔画像処理データは、患者の顔画像処理データと同様に、画像処理部91が顔画像データを画像処理して得られるデータである。
個人認識部92は、個人別情報951に保持されている複数の術者の顔画像処理データの中から、実際に撮影部8で撮影された術者の顔画像データから得られた顔画像処理データを検索する。これにより、医療用診療装置100を使用する術者(患者を処置する者、施術者)を特定する。また、術者の個人情報が個人別情報951に登録されていてもよい。術者の個人情報としては、例えば、術者の氏名等、複数の術者の中から一術者を特定することのできる情報が該当する。術者の個人情報は、複数の術者の各々に割り当てられる識別コード等であってもよい。
医療用診療装置100においては、診療台10の各要素の駆動条件が、患者毎または術者毎に、個人別情報951に登録されている。そして個人認識部92により識別された患者または術者に適合する駆動条件が、個人別情報951から読み出される。駆動条件設定部93は、個人別情報951から読み出された駆動条件を、各要素の駆動条件として設定する。この設定された駆動条件に基づいて、医療用診療装置100の各駆動部が動作することとなる。
画像認識部96は、撮影部8が撮影した画像データに基づいて、患者シート1に対して患者が着席したか離席したかどうかを認識する。具体的には、患者シート1上に患者(検出対象物)がいない状態で、患者シート1上の所定箇所が撮影部8により撮影される。このときに取得される画像データは、比較用のリファレンス画像データとして記憶部95等に格納される。そして画像認識部96は、患者が着席または離席したかどうかを認識する際に、患者シート1上の上記所定箇所を撮影部8により撮影する。これにより、画像認識部96は、認識用画像データを取得する。そして画像認識部96は、認識用画像データとリファレンス画像データとを比較することによって、患者シート1上に患者が存在するかどうか判定する。
認識用画像データを取得する際は、上記リファレンス画像データが取得されたときと同一アングルで撮影部8による撮影が行われることが望ましい。これにより、同一条件下で画像を比較することができるため、検出制度が向上する。
また、患者シート1上に患者が存在するかどうかを判定するような場合、撮影部8によって撮影する画像は、比較的低解像度の画像であってもよい。つまり、患者の着席または離席を判定するだけであれば、リファレンス画像データと認識用画像データの画質は、患者シート1上における相違を検出できる程度でよい。
また、リファレンス画像データと認識用画像データを比較するとき、単一の画像データ同士で比較するようにしてもよいが、複数の画像データ同士を比較するようにしてもよい。例えば時間的に連続して撮影して得られた複数の画像データを比較に用いて、患者を検出するようにしてもよい。このように複数の画像データを使って判定することにより、画像間の撮影誤差(ノイズ等)を低減することができる。したがって、画像認識部96の認識精度を向上することができる。
画像認識部96は、患者が着席したと判定した場合は着席信号を出力し、患者が離席したと判定した場合は離席信号を出力する。本実施形態では、着席信号は、電源制御部97と撮影部8に向けて出力される。また、離席信号は、電源制御部97に向けて出力される。
撮影部8に着席信号が送信されると、撮影部8は、患者シート1上に着席した患者の顔貌を撮影する。そして取得された患者の顔画像データは、画像処理部91に送信される。そして、画像処理部91にて画像処理されて顔画像処理データが取得される。個人認識部92は、該顔画像処理データに基づいて、患者シート1に着席した患者を識別する。つまり個人認識部92は、画像認識部96が送信する着席信号を引き金として、患者の識別を行う。
電源制御部97は、モニター6の電源部の動作と無影灯7の電源部の動作とを制御する。電源制御部97の制御により、モニター6または無影灯7の電源を投入したり、または、切断したりすることができる。
本実施形態では、電源制御部97は、画像認識部96から着席信号を受信すると、モニター6および無影灯7の電源部に向けて、電力供給を開始させる制御信号を出力する。これにより、電力供給が開始される。モニター6においては、各種情報の表示が可能な状態となる。無影灯7においては、ランプが点灯され、患者(特に処置部位)を照明することが可能となる。
また、電源制御部97は、画像認識部96から離席信号が送信されると、モニター6および無影灯7の電源部に向けて、電力供給を停止させる制御信号を出力する。これにより、各電源部による電源供給が停止される。これにより、モニター6においては、各種情報の表示が停止され、無影灯7においては、ランプが消灯される。
なお、電源制御部97は、モニター6における各種情報の表示を停止させるために、必ずしも電源部からの電力供給のすべてを停止させる必要はなく、各種情報の表示に必要な部分の電源のみを切るようにしてもよい。つまり、電源制御部97によって、モニター6における表示を停止させる、モニター6の一部の要素に対する電力供給のみを停止させればよい。例えば、モニター6が待機状態(省電力モード)に移行する電源管理機能を備えているような場合、該省電力モードに移行させることで、各種情報の表示を停止させればよい。無影灯7についても、同様に、消灯に必要な部分への電力供給のみを停止させるようにしてもよい。
上記実施形態では、電源制御部97がモニター6の電源部の動作を制御することによって、モニター6の電源の切断を行う。これにより、モニター6における情報の表示を停止させている。しかしながら、他の方法によって、モニター6における情報の表示を停止するようにしてもよい。例えば画像認識部96により患者が離席したことが認識されたときに、表示制御部がモニター6の表示内容を変更することによって、それまで行っていた情報の表示を停止するにしてもよい。具体的には、画面に表示された画像の一部または全部の内容を、別の画面に切り替えるようにすればよい。このとき、例えばカルテ情報の表示を停止させることによって、患者の個人情報を他者に見られてしまうことを抑制することができる。これにより、個人情報の漏洩を抑制することができる。
記憶部95は、コンテンツデータ952を格納している。本実施形態では、コンテンツデータ952は、患者の年齢および性別に応じて用意される複数の映像コンテンツの集合体として構成されている。具体的には、患者の年代が、1歳未満、1歳以上6歳未満、6歳以上12歳未満、12歳以上15歳未満、・・・といったように年齢で細かく区分けされた場合に、各世代に対応する映像コンテンツがそれぞれ用意される。さらに、各世代毎に、男性向けの映像コンテンツと女性向けの映像コンテンツとがそれぞれ用意される。なお、映像コンテンツは、患者が患者シート1に着席したことを撮影部8の信号より取得したときに再生される。具体的に、医療用診療装置100では、まず、画像認識部96によって患者の着席が検出された後、個人認識部92により患者シート1に着席した患者が識別される。そして、該患者の年齢および性別に対応した映像コンテンツがコンテンツデータ952から読み出される。患者の年齢および性別に関する情報は、個人別情報951に格納されているカルテ情報から取得される。そして読み出された映像コンテンツがモニター6において再生される。本実施形態では、モニター6がコンテンツ再生部に相当する。
例えば患者が子供である場合には、子供向けのキャラクターが登場する映像が再生される。また、男の子用と女の子用を作っておいても良い。これにより、治療開始前に患者の恐怖感をある程度取り除くことが期待できる。したがって、患者が子供であっても、待機時間中を有意義に過ごすことができる。また、患者が10代後半〜30代の女性である場合には、審美歯科の処置や矯正治療に関する映像が再生される。また患者が年配者である場合には、歯周病予防に関する映像が再生される。患者は、患者シート1に着座してから診療が開始されるまでの間、患者の年代に対応した映像コンテンツを鑑賞することができる。したがって、患者は、待機時間の間に有益な情報を得ることができるため、有意義に過ごすことができる。
なお、具体的な映像コンテンツとしては、アニメ、映画、ドラマ、コマーシャル映像、治療に関連する映像等が想定される。もちろん、これら以外のジャンルの映像コンテンツが用意されていてもよい。また、映像コンテンツは、動画に限定されるものではなく、静止画で構成されていてもよい。
また、本実施形態では、コンテンツデータ952は映像コンテンツで構成されていると説明した。しかしながら、コンテンツデータ952は、音楽や語り(演説、演芸等)等の音声のみのコンテンツ(音声コンテンツ)で構成されていてもよい。この場合、患者の年齢または性別に対応した音声コンテンツが、スピーカー等の音声出力部(図示省略)から再生される。そして音声出力部が、コンテンツ再生部に相当することとなる。
さらに、コンテンツデータ952は、患者の年齢のみ、または、患者の性別のみに対応する内容のコンテンツで構成されていてもよい。また、コンテンツデータ952は、患者の年齢および性別以外の他の性質に対応した内容のコンテンツで構成されていてもよい。例えば、コンテンツデータ952は、患者の症状や住所、家族構成等に対応した内容のコンテンツで構成されていてもよい。また、患者の好みに合せて予め登録しておき、登録しておいたコンテンツを再生しても良い。
医療用診療装置100においては、図2に示したように、診療台10を構成する要素の駆動部として、シート駆動部1M、スピットン駆動部2M、診療器具駆動部4Mが設けられている。そして制御部9は、これらの駆動部を制御する駆動制御部94として、シート駆動制御部941、スピットン駆動制御部942、および、診療器具駆動制御部943を備えている。駆動制御部94は、設定された駆動条件に基づいて、診療台10を構成する要素の駆動部を制御する。本実施形態では、患者シート1の駆動条件、スピットン2の駆動条件、および、診療器具4の駆動条件が設定されている。これらの駆動条件は、術者毎、患者毎、または、患者および術者の組合せ毎に規定されており、個人別情報951として記憶部95に格納されている。本実施形態では、個人認識部92による患者と術者との識別結果に基づいて、患者と術者とに対応した駆動条件が個人別情報951から読み出される。この読み出された駆動条件に基づいて、駆動制御部94が各駆動部を制御する。ここで、本実施形態で想定される複数の駆動条件について詳細に説明する。
{患者シート1の駆動条件}
1.ポジショニング
患者シート1の駆動条件の1つとして、患者シート1の各部の基本位置への位置付け(ポジショニング)がある。このポジショニングの設定に基づき、患者シート1のヘッドレスト1a、背凭れ1b、座面シート1c、足置き台1dが、診療状況に応じて、予め定められた基本位置に位置付けされる。
図3、図4および図5は、診療状況に応じた患者シート1の各部のポジショニングを説明するための患者シート1の側面図である。なお、図3は、歯科治療のために患者を仰向け姿勢にするとき(治療時)の患者シート1の側面図である。図4は、患者がスピットン2を使用するとき(スピットン使用時)の患者シート1の側面図である。図5は、患者が患者シート1から離席するとき(離席時)の患者シート1の側面図である。
図3、4および図5に示したように、本実施形態では、患者シート1に取りけられた駆動機構(シート駆動部1M)によって、ヘッドレスト1a、背凭れ1b、座面シート1c、足置き台1dをそれぞれ変位させることができる。
例えば、座面シート1cは、患者シート1に内蔵された昇降機構によって、高さ(H)を変更することが可能となっている。これにより、患者の臀部を支える座面シート1cの上面の高さ位置を所定の範囲内で変更することができる。座面シート1cを昇降させることで、患者シート1全体を上下に変位させることが可能となっている。
また、患者シート1は、背凭れ1bを、座面シート1cとの接続部を支点として、鉛直方向上側に起こしたり、鉛直方向下側に倒したりする傾動機構を備えている。この傾動機構により、水平線HLに対する背凭れ1bの傾斜角度(J)が調整することが可能となっている。
また、患者シート1は、足置き台1dを、座面シート1cとの接続部を支点として、鉛直方向上側に起こしたり、鉛直方向下側に倒したりする傾動機構を備えている。この傾動機構により、水平線HLに対する足置き台1dの傾斜角度(K)を調整することが可能となっている。
また、患者シート1は、ヘッドレスト1aを、背凭れ1bとの接続部を支点として鉛直方向上側に起こしたり、鉛直方向下側に倒したりする傾動機構を備えている。この傾動機構により、背凭れ1bに対するヘッドレスト1aの傾斜角度(L)を調整することが可能となっている。
図2に示したように、シート駆動部1Mは、駆動制御部94のシート駆動制御部941により制御される。患者シート1の各部を駆動するシート駆動部1Mの構成については、従来の公知技術やこれに類似する各種技術を採用することが可能である。このため、ここでは、シート駆動部1Mの詳細な構造の説明は省略する。
例えば、図3に示す歯科治療時において、患者頭部の最適位置は、術者の体格や術者の好みによって異なる場合がある。患者頭部の位置は、主に、ヘッドレスト1aの傾斜角度(L)を変更したり、座面シート1cの高さ(H)を変更したりすることで調整することができる。本実施形態では、患者頭部の位置を治療に適した位置に配置するため、ヘッドレスト1aの傾斜角度(L)や座面シート1cの高さ(H)等が、駆動条件として術者毎に設定される。これにより、医療用診療装置100を使用する術者に応じて、術者の診療しやすい位置(診療ポジション)に患者頭部を位置付けすることが可能となる。
また、患者頭部の大きさや、患者が口を開けたときの口の大きさによっても、術者にとっての患者頭部の最適位置が異なる場合がある。このような点を考慮する場合には、治療時におけるヘッドレスト1aの傾斜角度(L)や座面シート1cの高さ(H)等が、駆動条件として術者と患者の組合せ毎に設定される。
また図5に示した離席時における患者シート1の各部のポジショニングは、主に患者に応じて設定されることが好ましい。例えば、低身長または低体力の者(子供や老人等)が患者である場合、若者が患者である場合よりも、座面シート1cの高さ位置は低くなるように位置付けされることが望まれる。このように、患者の導入時(または離席時)における座面シート1cの位置を患者毎に設定することで、各患者が患者シート1に安全に着座することが可能となる。
2.変位速度
患者シート1の各部の変位速度は、患者毎または術者毎に設定されることが好ましい。例えば、患者が老人や子供である場合、安全の面から、若者が患者である場合よりも、背凭れ1bの傾動速度や座面シート1cの昇降速度が遅くなるように設定されることが望ましい場合がある。また、術者によっても患者シート1のポジショニング調整を行う際に、好みの変位速度が異なる場合がある。したがって、本実施形態では、患者シート1の各部の変位速度が、駆動条件として患者毎または術者毎に設定される。これにより、患者の姿勢を安全に変更させることができる。患者シート1の各部の変位速度の設定内容は、患者毎または術者毎に、個人別情報951として記憶部95に格納される。もちろん、患者と術者との組合せ毎に、患者シート1の各部の変位速度が設定されるようにしてもよい。
図6は、患者と術者との組合せに応じた患者シート1の駆動条件の設定内容を示す図である。図6では、患者(患者X、患者Y、患者X)と術者(術者A、術者B、術者C)の組合せ毎の駆動条件を図示している。なお、術者A,B,Cの体格は、術者Aの体格が比較的大きく、術者Bが中程度、術者Cが比較的小さいものとする。また、患者Xは若者、患者Yは子供、患者Zは老人であるものとする。図6に示した駆動条件の設定内容は、個人別情報951として記憶部95に格納される。
図6に示した例では、背凭れ1bの傾動速度は、患者の体力等に合わせて設定される。具体的に、若者である患者Xでは「高速」に設定され、子供または老人である患者Y,Zでは「低速」に設定される。また、離席時の座面高さ(座面シート1cの上面の高さ)は、患者の体格等に合わせて設定される。具体的に、患者Xでは「高」に設定され、患者Y,Zでは「低」に設定される。また、治療時の座面高さは、術者A,B,Cの体格に合わせて設定されており、小柄な術者Aで「低」、中程度の術者Bで「中」、大柄な術者Cで「高」に設定される。
このように、患者と術者とに応じて各要素の駆動条件を設定できるようにすることで、術者および患者の双方に適合するように、診療台10の各駆動部を駆動させることができる。これにより、術者が診療を円滑に行うことが可能となる。
{スピットン2の駆動条件}
患者シート1の場合と同様に、スピットン2の位置についても、患者毎に最適な位置が異なる。例えば、患者がうがい等をするときのスピットン鉢21の最適な高さ位置は、患者の身長(または座高)等に応じて異なる。また、患者にとってうがいのしやすい場所も、患者毎に異なる場合がある。そこで、スピットン鉢21の高さ位置、および、水平方向の位置(水平位置)を患者毎に最適化することが望ましい。これにより、患者がスピットン2を使いやすくなるとともに、痰や唾、口腔内をゆすいだ後の汚水等の排液物が、スピットン鉢21の周囲にこぼれにくくすることができる。
本実施形態では、スピットン使用時における患者シート1の各部の変位に連動して、スピットン鉢21が所定の高さ位置および所定の水平位置に移動される。この所定の高さ位置および所定の水平位置は、患者毎に、個人別情報951として記憶部95に格納されている。ここで、スピットン鉢21を所定の高さ位置および所定の水平位置へ移動させるスピットン駆動部2Mについて詳細に説明する。
図7は、スピットン2の内部構成を示す断面図である。図7では、スピットン鉢21が昇降する前の状態と、上昇させた後の状態とを、それぞれ並べて図示している。また、図8は、スピットン2の平面図である。図8では、スピットン鉢21を旋回させる前の状態と、旋回させた後の状態とをそれぞれ並べて示している。
既に述べたように、スピットン2は、スピットン駆動部2Mとして、昇降機構21Mを備えている。図7に示したように、昇降機構21Mは、駆動部としてのモータ210に接続されたボールネジ211を備えている。スピットン鉢21は、該ボールネジに螺合するナット部材212に固定されている。ボールネジ211が正回転または逆回転することによって、ナット部材212が上昇移動または下降移動する。このナット部材212の上下移動に連動して、スピットン鉢21が上下に昇降する。このような昇降機構21Mにより、スピットン鉢21の高さ位置が変更される。
また、スピットン2は、スピットン駆動部2Mとして、回動機構22Mを備えている。回動機構22Mは、スピットン鉢21を回動させるためのモータ220を備えている。該モータ220からは、動力を伝達するための出力軸221が鉛直方向上側に延びている。この出力軸221は、水平方向に広がる回動盤222に接続されている。また、スピットン鉢21の底部からは、排水管21aが鉛直方向下側に延びている。なお、排水管21aは、装置外の排水系に通じる図示しない排水ホースに接続されている。この排水管21aは、回動盤222の偏心位置(出力軸221の回転中心から離れた位置)を貫通しているとともに、回動盤222に連結固定されている。
モータ220の駆動により出力軸221が正回転(または逆回転)することにより、回動盤222が出力軸221周りに回動する。この回動盤222の回動に伴って、排水管21aが回動し、スピットン鉢21が回動する。したがって、図7に示したように、スピットン鉢21の高さ位置を調節した上で、図8に示したように、スピットン鉢21を患者側(患者シート1側)に接近させるように回動させることで、患者がうがいをしやすくなる。また、周囲が汚染されることを抑制できるため、衛生面でも有利である。
なお、上記のスピットン駆動部2Mの構成は一例である。したがって、その他の構成によって、スピットン鉢21を所定位置に移動させるようにしてもよい。
{フートコントローラ5の操作入力部に対する機能割り当て}
上述したように、術者は患者シート1の各部のポジションを切り換えたり、診療器具4を駆動したりする操作を、フートコントローラ5を介して行うことができる。このフートコントローラ5には、複数の操作入力部が設けられており、複数の入力操作が可能に構成されている。それぞれの入力操作には、診療台10を構成する要素に対して、特定の動作を行わせる機能が割り当てられる。この機能の割り当て方は、術者毎に変更することが可能である。術者毎が診療台10を構成する各要素を操作しやすくなるため、診療行為を円滑に行うことが可能となる。ここで、フートコントローラ5の構成について、図9および図10を参照しつつ説明する。
図9は、フートコントローラ5の外観図である。また図10は、フートコントローラ5の操作方法を説明するための概念図である。図9に示すように、フートコントローラ5は、操作入力部として、ペダル5aと、スイッチ5b,5c,5d,5e,5fとを備えている。
ペダル5aは、フートコントローラ5の中央部下側に設けられている。ペダル5aは、足で押し込むことにより、1種類の入力操作ができるように構成されている(入力操作1)。スイッチ5bは、フートコントローラ5の中央部であって、ペダル5aの上側に設けられている。スイッチ5bは、図10に示したように4方向のそれぞれに押し込まれることで、4種類の入力操作が行えるように構成されている(入力操作2〜入力操作5)。
またスイッチ5bの両側には、スイッチ5c,5dが設けられている。スイッチ5c,5dは、その中央部を支点として上下方向に押し込むことが可能となっており、それぞれ2種類の入力操作が行えるように構成されている(入力操作6,7、入力操作8,9)。また、ペダル5aの左右の両側には、スイッチ5e,5fが設けられている。スイッチ5e,5fは、その中央部を支点として左右方向に押し込むことが可能となっており、それぞれ2種類の入力操作が行えるように構成されている(入力操作10,11、入力操作12,13)。
以上のように、本実施形態に係るフートコントローラ5は、計13種類(入力操作1〜13)の入力操作を行うことができるように構成されている。ただし、フートコントローラ5において、スイッチ類(ペダルを含む。)を増設したり、一部を省略したりしてもよい。また、スイッチ類の具体的な操作方法も、上述したような物理的に押し込む操作方法に限定されるものではない。例えば、電気センサや光学センサ等で構成されるタッチセンサを利用して、接触のみで入力操作が完結するようにしてもよい。
図11は、フートコントローラ5に対する入力操作1〜13に割り当てられる機能を具体的に示す図である。なお、図11では、術者A向けと術者B向けの内容を示している。これらの内容は、個人別情報951として記憶部95に格納される。図11に示したように、入力操作1〜入力操作13のそれぞれに対して、診療台10を構成する各要素を駆動する駆動部に、特定の動作を実行させる機能が割り当てられる。
例えば、術者向けAの内容では、入力操作1に「各診療器具の駆動のON/OFF切換、速度調整」という機能が割り当てられている。つまり、入力操作1(ペダル5aの踏み込み)が行われることで、診療器具駆動部4Mが駆動される。これにより、診療器具4を動作させたり、もしくは、停止させたりする制御を行うことができる。また、診療器具駆動部4Mが回転駆動部等を備えているような場合、該回転駆動部の回転数を、ペダル5aの踏み込み量や踏み込み時間等に応じて、速度調節できるようにしてもよい。このとき、踏み込み量(または踏み込み時間)と回転数の関係を、術者毎に異なるように設定できるようにしてもよい。例えば、術者Aでは、可変速とし、別の術者Bでは一定速とすることも可能である。
また、術者A向けの設定では、入力操作2は、「患者シートのポジションの切換」となっている。つまり、術者A向けの設定では、入力操作2が行われる(つまり、スイッチ5bが上側に押し込まれる)ことで、患者シート1の各部を、例えば図3〜図5の各図に示した位置に順次変位される。また、入力操作3〜13に関しても、説明は省略するが、入力操作1,2と同様に、診療台10を構成する要素の駆動内容が、それぞれに割り当てられている。
図11に示したように、入力操作1〜入力操作13に割り当てられる駆動部の動作内容は、術者毎に異ならせることが可能となっている。例えば術者A向けの設定では、入力操作2に「患者シートのポジションの切換」が割り当てられている。しかしながら、術者B向けの設定では、この機能は入力操作6に割り当てられている。その代わりに、術者B向けの設定では、入力操作2には、「患者シートの変位速度を高速に切換」という機能が割り当てられている。すなわち、術者B向けの設定では、入力操作2が行われることで、患者シート1の各部の変位速度が低速から高速に変更される。
また、術者A向けの設定では、「診療台の各部をうがい用のポジションに移動」「診療台の各部をうがい用のポジションに移動させる直前のポジションに移動」という機能が割り当てられている。この入力操作は、患者シート1の各部を図4に示したスピットン使用時の位置に移動させたり、もしくは、スピットン2をうがい位置に移動させたりするときに実行される。一方、術者B向けの設定では、これらの機能は入力操作1〜13には割り当てられていない。その代わりに、「診療器具に対する注水のON/OFF切換」「診療器具の回転駆動部の回転方向の切換」という術者向けAの設定では割り当てられていない駆動部の動作内容が、入力操作12,13に割り当てられている。
以上のような入力操作1〜13のそれぞれに対する駆動部の駆動内容の割り当ては、図2に示したように、駆動条件設定部93によって実行される。具体的には、個人認識部92によって術者が識別されると、該術者に対応した入力操作1〜13の割り当て内容が、個人別情報951から読み出される。そして駆動条件設定部93は、入力操作1〜13のそれぞれに対応するフートコントローラ5の操作信号に応じて、駆動制御部94が各駆動部(シート駆動部1M、スピットン駆動部2M、診療器具駆動部4M)を制御するように、駆動制御部94の動作を規定する。
{診療器具4の駆動条件}
診療器具4の駆動条件は、術者毎または患者毎に設定される。例えば、診療器具4が回転駆動部を備えるエアータービンハンドピース、マイクロモータハンドピースである場合、その回転速度の最大値等が、術者毎に設定される。また、術者が同一人であっても、該術者が患者毎に回転速度の最大値等を変更できるようにしてもよい。この場合、術者と患者の組合せ毎に駆動条件が設定されることとなる。また、術者と患者の組合せが一致する場合においても、例えば診療内容に応じて、診療器具4の駆動条件が変更されるようにしてもよい。患者に対して実施されるべき診療内容は、例えばカルテ情報に事前に記録するようにすればよい。この場合カルテ情報を参照することで、診療内容を特定することが可能となる。
以上が、各要素を駆動するときの駆動条件についての説明である。次に、術者による診療開始前から診療終了後までにおける、医療用診療装置100の動作について説明する。
{診療開始前から診療終了後までにおける医療用診療装置の動作}
図12は、診療開始前から診療終了後までにおける、医療用診療装置100の一連の動作の流れ図である。なお、以下に説明する医療用診療装置100の動作は、特に断らない限り、制御部9の制御に基づいて行われるものとする。
まず、医療用診療装置100は、撮影部8による撮影を開始する(ステップS100)。このとき、患者シート1に患者が着席したかどうかを検出するため、患者シート1上を含むように撮影が行われる。このときの患者シート1は、背凭れ1bが起立し、足置き台1dの端部が下方に垂れ下がるように配置される。なお、このときの患者シート1の状態は、図5に示した患者離席時の患者シート1に近いものとなる。ただし、図5に示した患者シート1の各部の位置は、上述したように、患者毎に合わせて設定されたものである。これに対して、ステップS100の時点(すなわち、患者が着席する前の時点)では、患者の識別はまだ行われていない。また、着席時における患者シート1の各部の位置は、患者毎に設定されていない。このため、この時点での患者シート1の位置は、好ましくは、あらゆる年代の患者が安全に着席できるように設定される。
次に、医療用診療装置100は、患者シート1に患者が着座したかどうかを判定する(ステップS101)。詳細には、画像認識部96による画像認識によって、患者が患者シート1上に存在するか否かが判定される。患者が着席していないと判定された場合、医療用診療装置100は、患者が着席するまでステップS101を繰り返し実行する。
ステップS101において、患者が患者シート1に着座したと判定された場合、医療用診療装置100は、撮影部8によって患者の顔貌を撮影し、患者の顔画像データを取得する(ステップS102)。そして医療用診療装置100は、取得された顔画像データに基づき、該患者に対応するデータが個人別情報951に登録されているかどうか照会する(ステップS103)。具体的には、医療用診療装置100は、顔画像データを画像処理部91により画像処理して、顔画像処理データを取得する。そして該顔画像処理データと一致するデータを個人別情報951において検索(照会)する。
医療用診療装置100は、ステップS103における照会の結果、個人別情報951の中に一致するデータが存在するかどうか判定する(ステップS104)。一致するデータが存在しない場合、医療用診療装置100は、ステップS102に戻り、再度ステップS102〜ステップS104の動作を行う。これにより、新たな顔画像データが取得されて、該顔画像データに基づいた照会が行われる。
ステップS104において、一致するデータが見つかった場合、医療用診療装置100は、医療用診療装置100の各要素の駆動条件を、特定された患者向けの駆動条件に設定する(ステップS105)。具体的には、例えば患者シート1の背凭れ1bの傾動速度、座面シート1cの昇降速度、診療時、スピットン使用時または離席時における患者シート1の各部の位置付け等が設定される。
また、医療用診療装置100は、電源制御部97の制御により、モニター6の電源を投入する(ステップS106)。この電源投入によりモニター6の表示準備が完了すると、医療用診療装置100は、ステップS104にて特定した患者の年齢および性別に対応する映像コンテンツをコンテンツデータ952から読み出し、モニター6において再生する(ステップS107)。
映像コンテンツを再生している間、医療用診療装置100は、術者の検出を行う(ステップS108)。具体的には、オペレーションスツール81に取り付けられた術者検出部81Sによって、術者が検出される。なお、術者検出部81Sで術者を検出するのではなく、撮影部8で撮影される画像において、術者を画像解析により検出するようにしてもよい。また、術者が到着したことを医療用診療装置100に通知する入力部を設け、該入力部の操作を監視することによって、術者を検出するようにしてもよい。
ステップS108において、術者が検出されると、医療用診療装置100は、術者の識別を行う(ステップS109)。ステップS109の詳細については、図13を参照しつつ説明する。
図13は、術者を識別する医療用診療装置100の一連の動作の流れ図である。術者を識別するために、医療用診療装置100は、まず、術者が検知されたかどうかを判定する。具体的には、医療用診療装置100は、術者検出部81Sにより、術者が患者シート1周囲の所定位置において検出されたか否かで判断する。なお、ステップS201において、撮影部8やその他の撮影手段(図示せず)によって取得される画像が解析されることで、術者が検出されるようにしてもよい。
ステップS201において、術者が検知されなかった場合、医療用診療装置100は、術者を検知するまでステップS201を繰り返し実行する。術者が検知された場合、医療用診療装置100は、撮影部8によって術者の顔貌を撮影し、術者の顔画像データを取得する(ステップS202)。
ステップS202において取得された顔画像データは、術者を特定するための識別情報として利用される。具体的には、医療用診療装置100は、撮影された術者が個人別情報951に登録されているかどうかを照会する(ステップS203)。より詳細には、取得された顔画像データが画像処理部91にて画像処理され、顔画像処理データが生成される。そして、生成された顔画像処理データと一致するデータが、個人別情報951において検索される。
ステップS203の照会結果に基づき、医療用診療装置100は、個人別情報951に取得された顔画像処理データと一致するデータが存在するかどうかを判定する(ステップS204)。一致するデータが存在する場合、医療用診療装置100は術者に対応した駆動条件を個人別情報951から読み出し、該駆動条件に従って各要素が駆動するように設定する(ステップS205)。これにより、各要素の駆動条件が、識別された術者向けのものに設定される。具体的には、診療中における患者シート1の各部のポジショニングや、フートコントローラ5に対する操作入力の機能割り当てが、識別された術者向けの駆動条件に合わせて設定される。
また、医療用診療装置100は、ステップS204における術者の識別結果に基づき、識別された術者に関する情報を個人別情報951から読み出し、読み出した情報をモニター6に表示する(ステップS206)。
図14は、図13に示したステップS206において、モニター6に表示される術者識別結果画面W1の一例を示す図である。図14に示したように、個人認識部92は、識別した術者に関する情報を個人別情報951から読み出して、モニター6に表示する。本実施形態では、術者の顔画像を表示する表示領域と該術者向けの駆動条件を表示する表示領域とがモニター6の画面上に定義される。この駆動条件を表示する表示領域には、例えば、フートコントローラ5に対する入力操作1〜13に割り当てられる機能の一覧(図11参照)が表示される。本実施形態に係るモニター6は、駆動条件表示部を構成する。このような画面がモニター6に表示されることにより、個人認識部92によって、術者が正しく識別されているかどうかを、モニター6を介して確認することが可能となる。
なお、術者識別結果画面W1は、図14に示したようなものに限定されない。例えば、識別した術者の顔画像、または、術者の氏名等のみが表示されるようにしてもよい。また術者識別結果画面W1は、モニター6の画面のうち全部を使用して表示されるようにしてもよいし、一部のみを使用して表示されるようにしてもよい。また、術者識別結果画面W1を、モニター6以外の表示装置に表示するようにしてもよい。例えば、患者シート1やその他の場所に術者用のモニターを設けて、該画面に術者識別結果画面W1を表示するようにしてもよい。
再び図12に戻って、医療用診療装置100は、ステップS109において術者を識別すると、ステップS102〜ステップS104の動作により識別した患者に関するカルテ情報等を表示する(ステップS110)。具体的には、個人認識部92が個人別情報951から識別した患者のカルテ情報や顔画像情報を読み出し、これらの情報をモニター6に表示する。
図15は、図12に示したステップS110において、モニター6に表示される患者識別結果画面W2の一例を示す図である。ステップS104における個人認識部92の識別結果に基づき、モニター6にその識別結果(患者識別結果)が表示される。ここでは、患者の顔画像を表示する表示領域と、該患者のカルテ情報を表示する表示領域とが、モニター6の画面上に定義される。制御部9は、このような患者識別結果をモニター6に表示することで、個人認識部92による患者識別結果を外部に通知する。つまりモニター6は、患者識別結果を通知する通知部として機能する。また、モニター6は、患者情報表示部としても機能する。このような画面がモニター6に表示されることにより、個人認識部92によって、患者が正しく識別されているかどうかを、モニター6を介して確認することが可能となる。
なお、この患者情報が表示される前に、モニター6における映像コンテンツの再生(ステップS107)が停止される。ただし、上述した術者の識別(ステップS109)における術者識別結果の表示(ステップS206)において、術者識別結果画面W1がモニター6の全画面を使用して表示される場合は、ステップS206の時点で、映像コンテンツの再生が停止されてもよい。
{識別結果の変更}
本実施形態では、個人認識部92による識別結果が誤っているのを訂正するため、図2に示したように、マウス、キーボード、タッチパネル等で構成され、トレーテーブル3等に設けられる入力部61が制御部9に接続されている。本実施形態では、患者を指定するための変更入力ボタン群61a(図15参照)、または、術者を指定するための変更入力ボタン群61b(図14参照)が、モニター6上に表示される。操作者は、入力部61を介して、変更入力ボタン群61a,61bの中から、特定の患者または特定の術者に相当するボタンを選択する。これにより、個人認識部92が識別した患者または術者を、選択した患者または術者に変更することができる。つまり、入力部61は、変更入力部として機能する。
例えば、図15に示した患者識別結果画面W2では、患者X、患者Yおよび患者Zのそれぞれに対応する変更入力ボタン群61aが表示されている。操作者は、変更入力ボタン群61aから特定の患者(例えば患者Y)に対応するボタンを、入力部61を介して選択する。すると、個人認識部92は、識別した患者を選択された患者に変更する。その結果、変更後の患者についての顔画像やカルテ情報がモニター6に表示されることとなる。また、ステップS105において、識別された患者向けに設定された各駆動部の駆動条件が、変更入力ボタン群61aを介して新たに選択された患者向けの駆動条件に設定し直される。
同様に、図14に示した術者識別結果画面W1では、術者A、術者Bおよび術者Cのそれぞれに対応する変更入力ボタン群61bが表示されている。操作者は、変更入力ボタン群61bから特定の術者(例えば術者B)に対応するボタンを、入力部61を介して選択する。すると、個人認識部92は、識別した術者を選択された術者に変更する。個人認識部92は、変更後の術者に対応する顔画像や駆動情報を取得し、その結果、変更後の術者についての顔画像や駆動条件がモニター6に表示されることとなる。また、ステップS205において、識別された術者向けに設定された各駆動部の駆動条件が、変更入力ボタン群61bを介して新たに選択された術者向けの駆動条件に設定し直される。
このように入力部61を備えることによって、個人認識部92による患者または術者の識別結果が誤っていた場合でも、その結果を訂正することができる。
なお、図14に示した変更入力ボタン群61bのうち特定のボタンが選択されたときに、個人認識部92による術者の識別結果を変更せず、単に駆動条件表示領域に表示される表示内容が、選択されたボタンに対応する術者のものに表示が変更されるようにしてもよい。この場合、識別結果を変更することなく、他の術者の駆動条件を確認することができる。この場合、入力部61は、選択入力部を構成することとなる。
また、モニター6がタッチパネルで構成されている場合には、変更入力ボタン群61a,61bをタッチすることで、患者または術者を選択できるようにしてもよい。この場合、モニター6が入力部61の機能の一部を担うこととなる。
再び図12に戻って、医療用診療装置100は、カルテ情報をモニター6に表示すると、無影灯7の電源を投入する(ステップS111)。これにより、無影灯7によって患者を照明することが可能となる。本実施形態によると、術者の検出に基づいて、無影灯7の電源が自動で投入されるため、術者による無影灯7の電源投入操作が不要となる。したがって、医療用診療装置100の利便性を高めることができる。なお、無影灯7の電源は、術者の操作によって投入されるようにしてもよい。このような場合は、医療用診療装置100は、ステップS111をスキップすればよい。
なお、ステップS111の無影灯7の電源投入は、ステップS101において、画像認識部96により患者が検出された時点で行われるようにしてもよい。つまり、画像認識部96から送信される信号に基づいて、電源制御部97が無影灯7の電源を投入するようにしてもよい(図2参照)。このとき、無影灯7によって患者の顔を照明するようにすることで、患者の顔貌を撮影したときに、鮮明な顔画像を取得しやすくなる。ただし、無影灯7の照明によって患者がコンテンツを鑑賞し難くなるような場合、少なくともコンテンツ再生中は、該無影灯7は消灯されることが望ましい。
医療用診療装置100がステップS111までの動作を完了すると、医療用診療装置100において、術者による患者の治療が開始される。このとき、術者は、モニター6に表示されたカルテ情報を利用しながら、診療を進めることができる。また、医療用診療装置100の各駆動部が、患者および術者向けの駆動条件に設定されているため、術者は円滑に診療を進めることができる。
診療中、医療用診療装置100は、患者が患者シート1から離席したかどうかを監視する(ステップS112)。具体的には、画像認識部96によって、患者シート1上に患者が存在するかどうかが解析される。ステップS112において、患者が離席したと判定された場合、医療用診療装置100は、ステップS113〜ステップS117をスキップして、ステップS118に進む。
ステップS112において、患者が離席していない(すなわち、着席している)と判定された場合、医療用診療装置100は、術者がオペレーションスツール81から離席したかどうかを監視する(ステップS113)。具体的には、術者検出部81Sによって、術者が離席したかどうかが検出される。術者が離席したことを検出した場合、医療用診療装置100は、無影灯7の電源を切断する(ステップS114)。これにより、無影灯7が消灯される。なお、ステップS114は省略してもよい。さらに医療用診療装置100は、モニター6において患者に対応した映像コンテンツを再生する(ステップS115)。
診療においては、治療中に、術者が待機しなければならない状況が起こりうる。典型的な例としては、歯科診療における印象採得を挙げることができる。印象採得では、トレーに充填した印象材を、数分〜数十分の間、患者の歯にあてがうことにより、患者の歯型が採取される。この空き時間の間、術者は席を外すことがある。医療用診療装置100は、この術者が席を外したことを検出することによって、コンテンツの再生を開始する。したがって、患者は、診療中に待機時間が発生した場合においても、再生されるコンテンツを鑑賞することによって、待機時間を有意義に過ごすことが可能になる。
なお、ステップS113においては、術者検出部81Sが術者の離席を検出したとしても、所定時間が経過してから、ステップS114,S115が実行されるようにすることが望ましい。これにより、術者が離れることを意図しないような場合(例えば、術者が単に起立して座り直すような場合)に、無影灯7が消灯されてしまったり、コンテンツが再生されたりすることによって、診療が中断されてしまうことを防止することができる。
上述したように、術者検出部81Sを利用して術者を検出する代わりに、撮影部8で撮影した画像が解析されることによって、術者が検出されるようにしてもよい。また、術者が離席することを医療用診療装置100に通知する入力部を設けて、該入力部の術者による操作を検出することで、術者の離席を検出するようにしてもよい。
医療用診療装置100は、ステップS115においてコンテンツ再生を開始すると、術者が検出されるかどうか監視する(ステップS116)。詳細には、ステップS108と同様に、術者検出部81Sによって術者が検出されたか否かで判断される。もちろん、撮影部8により撮影された画像を解析して術者を検出するようにしてもよい。また、術者が定位置に戻ったことを医療用診療装置100に通知する入力部を設け、該入力部の操作が監視されることで、術者が検出されるようにしてもよい。
ステップS116において術者が検出された場合、医療用診療装置100は、ステップS110に戻り、コンテンツ再生を停止して、カルテ情報等を表示する。これにより、術者が医療用診療装置100に戻って来たときに、スムーズに診療を再開することができる。
ステップS116において術者を検出できない場合、医療用診療装置100は、患者が離席したかどうかを判定する(ステップS117)。具体的には、画像認識部96によって、患者シート1上に患者が存在するかどうかが解析される。患者が離席していない(すなわち、着席している)と判定された場合、医療用診療装置100は再びステップS116に戻って、術者の検出を行う。
ステップS117において、患者が離席したと判定された場合、医療用診療装置100は、カルテ情報を保存する(ステップS118)。カルテ情報は、例えば、診療中に術者(またはその他の操作者)により、例えば入力部61(マウスまたはキーボード等の入力装置)を介して、診療に関する情報がカルテ情報に記入される。具体的には、術者と患者との間で行われる問診の内容や、診療時に患者に対して術者が行った具体的な治療内容、または、症例に対する術者の所見等がカルテ情報として記録される。医療用診療装置100は、このようにして診療中に入力されたデータを、既存のカルテ情報と統合して、新たなカルテ情報として個人別情報951に記録する。なお、術者が所定の操作入力を行うことにより、カルテ情報をマニュアル操作で保存してもよい。この場合、医療用診療装置100によるステップS118の動作を省略することも可能である。
カルテ情報の保存が行われると、医療用診療装置100は、モニター6の電源を切断する(ステップS119)。つまり、患者が離席したことが画像認識部96によって認識された場合に、コンテンツ再生部の電源が切断されることとなる。これにより、モニター6におけるコンテンツ再生が停止される。
なお、ステップS112において患者が離席したと判定された場合、ステップS119の時点において無影灯7が点灯したままとなる。このような場合には、医療用診療装置100は、モニター6の電源とともに、無影灯7の電源も切断する。これにより、患者が離席したことに伴って(ステップS112)、モニター6の電源および無影灯7の電源が切断される。これにより、術者が診療終了後にモニター6や無影灯7の電源を切断する必要がないため、医療用診療装置100の利便性を向上させることができる。
以上が、診療開始前から診療終了後までにおける、医療用診療装置100の一連の動作の説明である。
{2. 変形例}
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
例えば、映像コンテンツを再生するモニターを天井に設けて、患者が仰向け姿勢のときに映像コンテンツを鑑賞できるようにしてもよい。この場合、モニター6にも映像コンテンツを映せるようにしてもよいし、モニター6を省略することも可能である。また、撮影部8の近傍に映像コンテンツを再生するモニターを設けてもよい。また、撮影部8の近傍に患者が自分の口腔部を映して確認するための鏡が設けられているような場合には、該鏡に映像コンテンツを映して患者が鏡越しに鑑賞できるようにしてもよい。また、プロジェクターを使って、壁またはスクリーン等に映像コンテンツを映すようにしてもよい。
また、識別情報として利用される患者または術者の顔画像データは、患者または術者の顔貌全体を含んでいる必要はない。つまり、個人認識部92が個人別情報951において照合することが可能であれば、患者または術者の顔貌の一部のみを撮影部8によって撮影するようにしてもよい。
また撮影部8により顔画像データを取得する際には、認証精度を向上させるために、なるべく一定条件での撮影が行われることが望ましい。このため、ステップS101またはステップS201において患者または術者が検知された段階で、医療用診療装置100が、音声や映像等を介して、患者または術者に対し動作を停止するよう要求したり、立ち位置や姿勢について指示したりするようにしてもよい。
また、顔画像データ以外の識別情報に基づいて、患者または術者の識別が行われるようにしてもよい。例えば、患者または術者を示す個人データ(名前、住所、生年月日等の個人情報や、各人に割り当てられた番号等の識別コード等)が制御部9に入力され、これを個人認識部92が照会するようにしてもよい。また、カード(例えば、診察カード)等に付された個人データ(例えばバーコードで表される。)が読み取られたり、RFID等の技術を利用して個人データが電磁的に読み取られたりして、制御部9に該個人データが入力されるようにしてもよい。また、顔貌以外の生体情報が識別情報として取得され、これにより患者または術者の識別が行われるようにしてもよい。また、顔画像データとその他の識別情報とを組合せて、患者または術者の識別が行われてもよい。
また、個人認識部92は、患者または術者を特定する際に、個人別情報951に登録されているすべての患者または術者の中から、識別情報に一致する患者または術者を特定する。しかしながら、このときの検索対象を予め個人別情報951に登録されているうちの一部に絞り込めるようにしてもよい。例えば、診療日毎に、医療用診療装置100を使用する患者または術者が決まっているような場合、診療日当日の患者または術者についてのデータのみを検索対象とすればよい。また、術者が識別された時点で、検索対象である患者グループのうち、識別された術者が担当する患者のみに絞り込まれるようにしてもよい。これらの工夫により、患者または術者の特定を効率的に行うことができる。
また、医療用診療装置100において、患者が患者シート1に着座する前に、患者を識別するようにしてもよい。着座前に患者を識別することができれば、患者導入時における患者シート1の各部のポジショニングを、各患者毎の体格や体力に応じて設定することが可能となる。なお、この導入時のポジショニングは、離席時のポジショニング(図3等参照)と一致させればよい。これにより、患者にとって、患者シート1に着座することを楽に行うことができるようになる。
また、足置き台1dの下側部分を伸縮可能に構成してもよい。足置き台1dの長さを状況に応じて調節することによって、患者が患者シート1に座ったり患者シート1から立ち上がったりしやすくなる。また、この伸縮の長さを、駆動条件として患者毎に設定できるようにしてもよい。
また、トレーテーブル3を移動させる駆動部を設けてもよい。そして、トレーテーブル3をフートコントローラ5等の操作手段を介して、トレーテーブル3の位置を操作できるようにしてもよい。また駆動条件として、トレーテーブル3のポジショニングを患者毎または術者毎に設定できるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、医療用診療装置100は、歯科治療に適合するように構成されている。しかしながら、本発明は、眼科、耳鼻咽喉科、産婦人科、整形外科、形成外科、神経科、小児科、内科、皮膚科、放射線科、泌尿器科等のあらゆる医科分野や、口腔外科、矯正外科等を含む一般歯科等の各種分野の医療用診療装置について適用することが可能である。
また、上記各実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合せたり、省略したりすることができる。