以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施例としては、1台の室外機に5台の室内機が並列に接続され冷暖房フリーの運転が行える空気調和装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
図1乃至図4は、本実施例における空気調和装置1の各運転状態での冷媒の流れを説明する冷媒回路図であり、図1は全ての室内機が冷房運転を行っている場合、図2は全ての室内機が暖房運転を行っている場合、図3は冷房主体運転を行っている場合、図4は暖房主体運転を行っている場合、をそれぞれ示している。尚、以下の説明では、運転状態に関わらない、冷媒回路に共通の構成を説明する場合は、図1を代表図として説明することとする。
図1に示すように、本実施例における空気調和装置1は、1台の室外機2と、5台の室内機8a〜8eと、5台の分流ユニット6a〜6eと、高圧ガス管30と、低圧ガス管31と、液管32と、制御部100とを備えている。室外機2と室内機8a〜8eと分流ユニット6a〜6eとが、高圧ガス管30と低圧ガス管31と液管32とで相互に接続されることによって、冷媒回路が構成される。
室外機2は、主として、圧縮機21と、四方弁22と、室外熱交換器23と、アキュムレータ24と、オイルセパレータ25と、室外ファン26と、第1バイパス管33と、第2バイパス管34と、室外膨張弁40と、第1流量調整手段である第1膨張弁41と、第2流量制御手段である第2膨張弁42と、閉鎖弁43〜45とを備えている。
圧縮機21は、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで運転容量を可変できる能力可変型圧縮機である。図1に示すように、圧縮機21の吐出側は、オイルセパレータ25を介して閉鎖弁43に接続されており、オイルセパレータ25と閉鎖弁43との間から分岐した配管が四方弁22に接続されている。また、圧縮機21の吸入側は、アキュムレータ24を介して閉鎖弁45に接続されている。
四方弁22は、冷媒の流れる方向を切り替えるための弁であり、図1に示すように、a〜dの4つのポートを備えている。この四方弁22では、ポートaが上述したように圧縮機21の吐出側と、ポートbが室外熱交換器23と、ポートcがアキュムレータ24と閉鎖弁45とを接続する配管と、それぞれ接続されている。尚、ポートdは封止されている。また、室外熱交換器23の他方は室外膨張弁40を介して閉鎖弁44に接続されている。
空気調和装置1において、図1および図3に示すように、室内機8a〜8eが全て冷房運転を行う場合や冷房主体運転(冷房運転を行っている室内機で要求される負荷が、暖房運転を行っている室内機で要求される負荷よりも大きい状態での空気調和装置1の運転)を行う場合は、四方弁22のポートaとポートbとを連通すると同時にポートcとポートdとを連通するよう切り替えて、室外熱交換器23を凝縮器として機能させる。
また、図2および図4に示すように、室内機8a〜8eが全て暖房運転を行う場合や暖房主体運転(暖房運転を行っている室内機で要求される負荷が、冷房運転を行っている室内機で要求される負荷よりも大きい状態での空気調和装置1の運転)を行う場合は、四方弁22のポートaとポートdとを連通すると同時にポートbとポートcとを連通するよう切り替えて、室外熱交換器23を蒸発器として機能させる。
尚、図1〜図4では、四方弁22の連通しているポート間は実線で示し、連通していないポート間は破線で示している。
アキュムレータ24は、上述したように、圧縮機21の吸入側と閉鎖弁45との間に介設されている。アキュムレータ24は、流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離し、ガス冷媒のみを圧縮機21に吸入させる。
オイルセパレータ25は、圧縮機21の吐出側に接続されており、圧縮機21から吐出されたガス冷媒に混入している冷凍機油をガス冷媒から分離して圧縮機21へ戻す。室外ファン26は、図示しないファンモータによって回転することで、室外機2に外気を取り込み、室外熱交換器23において冷媒と外気とを熱交換させた後室外機2の外へ熱交換後の外気を排出する。
室外膨張弁40は、室外熱交換器23と閉鎖弁44との間に介設されている。室外膨張弁40は、室外熱交換器23が凝縮器として機能する場合は、その開度が全開状態とされるか、高圧センサ50で検出した圧縮機21の吐出圧力と中間圧センサ57で検出した液圧との差に応じて調整される。また、室外熱交換器23が蒸発器として機能する場合は、その開度が室外熱交換器23における冷媒の過熱度(低圧センサ51で検出した吸入圧力から算出した低圧飽和温度と、室外熱交換器23の四方弁22側に設けられた図示しない熱交出口温度センサで検出した冷媒出口温度との差)に応じて調整される。
第1バイパス管33は、一端が圧縮機21の吐出側(オイルセパレータ25)と閉鎖弁43とを接続する配管に、他端が室外膨張弁40と閉鎖弁44とを接続する配管にそれぞれ接続されて、両配管をバイパスするよう接続されている。第1バイパス管33には、第1膨張弁41が介設されており、第1膨張弁41の開度を調整することによって第1バイパス管33を流れる冷媒量を調整する、あるいは、第1膨張弁41を全閉として第1バイパス管33を遮断することができる。
第2バイパス管34は、一端が室外膨張弁40と閉鎖弁44とを接続する配管に、他端が圧縮機21の吸入側(アキュムレータ24)と閉鎖弁45とを接続する配管にそれぞれ接続されて、両配管をバイパスするよう接続されている。第2バイパス管34には、第2膨張弁42が介設されており、第2膨張弁42の開度を調整することによって第2バイパス管34を流れる冷媒量を調整する、あるいは、第2膨張弁42を全閉として第2バイパス管34を遮断することができる。
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。図1に示すように、室外機2は、圧縮機21の吐出側と閉鎖弁43とを接続する配管に、この配管内を流れる高圧のガス冷媒の圧力を検出する高圧冷媒圧力検出手段である高圧センサ50と、圧縮機21の吐出側付近の配管に、圧縮機21から吐出される高圧のガス冷媒の温度を検出する吐出温度センサ52とを備えている。また、圧縮機21の吸入側と閉鎖弁45とを接続する配管に、この配管内を流れる低圧のガス冷媒の圧力を検出する低圧冷媒圧力検出手段である低圧センサ51と、圧縮機21の吸入側付近の配管に、圧縮機21に吸入される低圧ガス冷媒の温度を検出する吸入温度センサ53とを備えている。
また、室外熱交換器23には、室外熱交換器23内を流れる冷媒の温度を検出する熱交温度センサ55が備えられている。また、室外膨張弁40と閉鎖弁44とを接続する配管には、液管32を流れる冷媒の圧力を検出する液管冷媒圧力検出手段である中間圧センサ57と液管32を流れる冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ54とが備えられている。さらには、室外機2の図示しない外気の吸込口付近には、室外機2内に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ56が備えられている。
5台の室内機8a〜8eは、主に、室内熱交換器81a〜81eと、室内膨張弁82a〜82eと、室内ファン83a〜83eとを備えている。尚、室内機8a〜8eの構成は全て同じであるため、以下の説明では、室内機8aの構成についてのみ説明を行い、その他の室内機8b〜8eについては説明を省略する。
室内熱交換器81aは、一方が室内膨張弁82aを介して液管32に、他方が後述する分流ユニット6aに、それぞれ冷媒配管で接続されている。室内熱交換器81aは、室内機8aが冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機8aが暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。
室内膨張弁82aは、上述したように室内熱交換器81aの液管32側に介設されている。室内膨張弁82aは、室内熱交換器81aが蒸発器として機能する場合は、その開度が要求される冷房能力に応じて調整され、室内熱交換器81aが凝縮器として機能する場合は、その開度が要求される暖房能力に応じて調整される。
室内ファン83aは、図示しないファンモータによって回転することで、室内機8a内に室内空気を取り込み、室内熱交換器81aにおいて冷媒と室内空気とを熱交換させた後、室内へ供給する。
以上説明した構成の他に、室内機8aには各種のセンサが設けられている。図1に示すように、室内熱交換器81aの室内膨張弁82a側の配管には冷媒の温度を検出する液側温度センサ84aが、また、室内熱交換器81aの分流ユニット6a側の配管には冷媒の温度を検出するガス側温度センサ85aが、それぞれ備えられている。また、室内機8aの図示しない室内空気の吸込口付近には、室内機8a内に流入する室内空気の温度、すなわち室内温度を検出する室温センサ86aが備えられている。
空気調和装置1には、上述した5台の室内機8a〜8eに対応する5台の分流ユニット6a〜6eが備えられている。分流ユニット6a〜6eは、主として、第1電磁弁61a〜61eと、第2電磁弁62a〜62eと、第1分流管63a〜63eと、第2分流管64a〜64eとを備えている。尚、分流ユニット6a〜6eの構成は全て同じであるため、以下の説明では、分流ユニット6aの構成についてのみ説明を行い、その他の分流ユニット6b〜6eについては説明を省略する。
図1に示すように、第1分流管63aの一端は高圧ガス管30に接続されており、第2分流管64aの一端は低圧ガス管31に接続されている。また、第1分流管63aの他端および第2分流管64aの他端と液管32とが相互に室内熱交換器81aに接続されている。第1分流管63aには第1電磁弁61aが、また、第2分流管64aには第2電磁弁62aが、それぞれ設けられており、第1電磁弁61aおよび第2電磁弁62aをそれぞれ開閉することによって、分流ユニット6aに対応する室内機8aの室内熱交換器81aが圧縮機21の吐出側(高圧ガス管30側)または吸入側(低圧ガス管31側)に接続されるよう、冷媒回路における冷媒の流路を切り替えることができる。
以上説明した室外機2、室内機8a〜8eおよび分流ユニット6a〜6eと、高圧ガス管30、低圧ガス管31および液管32との接続状態は以下の通りである。室外機2の閉鎖弁43には高圧ガス管30の一端が接続され、高圧ガス管30の他端は分岐して分流ユニット6a〜6eの第1分流管63a〜63eに接続される。室外機2の閉鎖弁45には低圧ガス管31の一端が接続され、低圧ガス管31の他端は分岐して分流ユニット6a〜6eの第2分流管64a〜64eに接続される。
室外機2の閉鎖弁44には液管32の一端が接続され、液管32の他端は分岐して室内機8a〜8eの室内膨張弁82a〜82e側に接続される。また、対応する室内機8a〜8eの室内熱交換器81a〜81e側と分流ユニット6a〜6eとが冷媒配管で各々接続される。
以上説明した接続によって、空気調和装置1の冷媒回路が構成され、冷媒回路に冷媒を流すことによって冷凍サイクルが成立する。
また、空気調和装置1の室外機2には、制御部100が備えられている。制御部100は、主として、CPU110と、記憶部120と、通信部130とから構成される。CPU100は、室外機2の各センサからの検出信号を取り込むとともに、各室内機8a〜8eから出力される制御信号を通信部130を介して取り込む。CPU110は、取り込んだ検出信号や制御信号に基づいて圧縮機21、四方弁22、室外膨張弁40、第1膨張弁41および第2膨張弁42の制御を行う。
記憶部120は、EEPROMやRAMで構成されており、室外機2の制御プログラムや各センサからの検出信号に対応した検出値を記憶する。通信部130は、室内機8a〜8eとの通信を行うインターフェイスである。
尚、図示は省略するが、各室内機8a〜8eにも制御部が備えられている。室内機8a〜8eの制御部は、室内機8a〜8eの各センサからの検出信号を取り込むとともに、図示しない空気調和装置1のリモートコントローラからの制御信号を取り込む。室内機8a〜8eの制御部は、取り込んだ検出信号や制御信号に基づいて室内機8a〜8eの制御を行う。また、室内機8a〜8eの運転モード(冷房運転/暖房運転)に応じて、対応する分流ユニット6a〜6eの第1電磁弁61aおよび第2電磁弁62aをそれぞれ開閉する。
以上説明した制御部100と室内機8a〜8eに備えられた各制御部とで、空気調和機装置1の制御手段が構成されている。
次に、本実施例における空気調和装置1の運転動作について説明する。空気調和装置1では、室外機2に備えられた四方弁22の設定(ポートa〜dの接続状態)や分流ユニット6a〜6eに備えられた第1電磁弁61a〜61eおよび第2電磁弁62a〜62eの開閉状態に応じて、様々な運転動作が可能である。以下の説明では、これら運転動作の中から代表的な運転動作を例に挙げて説明する。
尚、以下の説明では、室外熱交換器23や室内熱交換器81a〜81eが凝縮器となる場合はハッチングを付し、蒸発器となる場合は白抜きで図示する。また、分流ユニット6a〜6eにおける第1電磁弁61a〜61eおよび第2電磁弁62a〜62eの開閉状態については、閉じている場合を黒塗りで、開いている場合を白抜きで図示する。また、第1膨張弁41と第2膨張弁42とはともに全閉状態とされて第1バイパス管33と第2バイパス管34は遮断されているとして説明する。
まずは、室内機8a〜8eが全て冷房運転を行う場合について、図1を用いて説明する。図1に示すように、この運転で制御部100は、四方弁22のポートaとポートbとを連通させるとともにポートcとポートdとを連通させる状態に設定する。また、各室内機8a〜8eの制御部は、対応する分流ユニット6a〜6eの第1電磁弁61a〜61eを閉じるとともに第2電磁弁62a〜62eを開く。これにより、室外熱交換器23が凝縮器となり、各室内機8a〜8eの室内熱交換器81a〜81eは全て蒸発器となる。
圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、四方弁22を通過した後室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した高圧の冷媒は、外気と熱交換を行って凝縮する。室外熱交換器23で凝縮した冷媒は、制御部100により全開状態とされた室外膨張弁40を通過し、液管32を流れて各室内機8a〜8eへ分かれて流入する。
室内機8a〜8eへ流入した中間圧の冷媒は、室内膨張弁82a〜82eで減圧されて低圧の冷媒となり室内熱交換器81a〜81eに流入する。室内熱交換器81a〜81eに流入した低圧の冷媒は、室内空気と熱交換を行って蒸発し、これにより室内機8a〜8eが設置された室内の冷房が行われる。ここで、室内膨張弁82a〜82eは、室内機8a〜8eの制御部が、液側温度センサ84a〜84eで検出した冷媒温度およびガス側温度センサ85a〜85eで検出した冷媒温度から、蒸発器である室内熱交換器81a〜81e出口での冷媒過熱度を求め、これに応じて開度を決定している。
具体的には、室内機8a〜8eで要求された冷房能力の大きさに対して冷媒流量が少なく、これに伴って室内熱交換器81a〜81e出口における冷媒の過熱度が大きくなるような場合では、室内機8a〜8eの制御部は、室内膨張弁82a〜82eの開度を大きくして冷媒の流量を増加させる。また、室内機8a〜8eで要求された冷房能力の大きさに対して冷媒流量が多く、これに伴って室内熱交換器81a〜81e出口における冷媒の過熱度が小さくなるような場合では、室内機8a〜8eの制御部は、室内膨張弁82a〜82eの開度を小さくして冷媒の流量を減少させる。
室内熱交換器81a〜81eから流出した低圧の冷媒は分流ユニット6a〜6eに流入し、開となっている第2電磁弁62a〜62eが備えられた第2分流管64a〜64eを流れて低圧ガス管31に流入する。そして、各分流ユニット6a〜6eから低圧ガス管31に流入し低圧ガス管31内で合流した低圧の冷媒は室外機2に流入し、アキュムレータ24を通過して圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
次に、室内機8a〜8eが全て暖房運転を行う場合について、図2を用いて説明する。図2に示すように、この運転で制御部100は、四方弁22のポートaとポートdとを連通させるとともにポートbとポートcとを連通させる状態に設定する。また、各室内機8a〜8eの制御部は、対応する分流ユニット6a〜6eの第1電磁弁61a〜61eを開くとともに第2電磁弁62a〜62eを閉じる。これにより、室外熱交換器23が蒸発器となり、各室内機8a〜8eの室内熱交換器81a〜81eは全て凝縮器となる。
圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、高圧ガス管30を流れて分流ユニット6a〜6eに分かれて流入する。分流ユニット6a〜6eに流入した高圧の冷媒は、開となっている第1電磁弁61a〜61eが備えられた第1分流管63a〜63eを流れて分流ユニット6a〜6eから流出し、対応する室内機8a〜8eに流入する。
室内機8a〜8eに流入した高圧の冷媒は、室内熱交換器81a〜81eに流入して室内空気と熱交換を行って凝縮し、これにより室内機8a〜8eが設置された室内の暖房が行われる。室内熱交換器81a〜81eから流出した高圧の冷媒は、室内膨張弁82a〜82eを通過して減圧される。ここで、室内膨張弁82a〜82eは、室内機8a〜8eの制御部が、液側温度センサ84a〜84eで検出した冷媒温度および室外機2から得た高圧飽和温度(室外機2の高圧センサ50で検出した冷媒の圧力から算出したもので、室内熱交換器81a〜81e内の凝縮温度に相当する温度)から、凝縮器である室内熱交換器81a〜81e出口での冷媒過冷却度を求め、これに応じて開度が決定されている。
具体的には、室内機8a〜8eで要求された暖房能力の大きさに対して冷媒流量が少なく、室内熱交換器81a〜81e出口における冷媒の過冷却度が大きくなるような場合では、室内機8a〜8eの制御部は、室内膨張弁82a〜82eの開度を大きくして冷媒の流量を増加させる。また、室内機8a〜8eで要求された暖房能力の大きさに対して冷媒流量が多く、これに伴って室内熱交換器81a〜81e出口における冷媒の過冷却度が小さくなるような場合では、室内機8a〜8eの制御部は、室内膨張弁82a〜82eの開度を小さくして冷媒の流量を減少させる。
室内機8a〜8eから流出した中間圧の冷媒は液管32に流入する。そして、閉鎖弁44を介して室外機2に流入した中間圧の冷媒は、室外熱交換器23出口での過熱度に応じた開度とされた室外膨張弁40を通過する際に減圧されて低圧の冷媒となり、室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した低圧の冷媒は、外気と熱交換を行って蒸発する。そして、室外熱交換器23から流出した低圧の冷媒は、四方弁22を通過した後アキュムレータ24を通過して圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
次に、冷暖房フリーの運転を行う場合について説明する。以下の冷暖房フリーの運転説明では、冷房主体運転を行う場合としては、図3に示すように、冷房運転を行っている3台の室内機8a〜8cで要求される負荷が、暖房運転を行っている2台の室内機8d,8eで要求される負荷よりも大きい場合を例に挙げて説明する。また、暖房主体運転を行う場合としては、図4に示すように、暖房運転を行っている3台の室内機8a〜8cで要求される負荷が、冷房運転を行っている2台の室内機8d,8eで要求される負荷よりも大きい場合を例に挙げて説明する。
まずは、冷房主体運転を行う場合について、図3を用いて説明する。尚、図3において、矢印は冷媒の流れを示している。図3に示すように、この運転で制御部100は、四方弁22のポートaとポートbとを連通させるとともにポートcとポートdとを連通させる状態に設定する。これにより、室外熱交換器23は凝縮器となる。
また、冷房運転を行う3台の室内機8a〜8cの制御部は、対応する3台の分流ユニット6a〜6cの第1電磁弁61a〜61cを閉じて第1分流管63a〜63cを遮断するとともに、第2電磁弁62a〜62cを開いて第2分流管64a〜64cを連通する。これにより、3台の室内機8a〜8cの室内熱交換器81a〜81cは蒸発器となる。
一方、暖房運転を行う2台の室内機8d,8eの制御部は、対応する2台の分流ユニット6d、6eの第1電磁弁61d、61eを開いて第1分流管63d,63eを連通するとともに、第2電磁弁62d、62eを閉じて第2分流管64d,64eを遮断する。これにより、2台の室内機8d、8eの室内熱交換器81d、81eは凝縮器となる。
圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、四方弁22側と高圧ガス管30側へ分流する。四方弁22を通過した高圧の冷媒は、室外熱交換器23に流入し外気と熱交換を行って凝縮する。室外熱交換器23で凝縮した冷媒は、制御部100により、取り込んだ圧縮機21の吐出圧力と液圧との差に応じた開度とされた室外膨張弁40を通過して中間圧の冷媒となり、液管32を流れて室内機8a〜8cへ分かれて流入する。
室内機8a〜8cへ流入した中間圧の冷媒は、室内膨張弁82a〜82cで減圧され低圧の冷媒となって室内熱交換器81a〜81cに流入する。室内熱交換器81a〜81cに流入した低圧の冷媒は、室内空気と熱交換を行って蒸発し、これにより室内機8a〜8cが設置された室内の冷房が行われる。ここで、室内膨張弁82a〜82cは、室内機8a〜8cの制御部が、液側温度センサ84a〜84cで検出した冷媒温度およびガス側温度センサ85a〜85cで検出した冷媒温度から、蒸発器である室内熱交換器81a〜81cでの冷媒過熱度を求め、これに応じて開度が決定されている。尚、過熱度と室内膨張弁82a〜82cの開度との関係については、上述した全て冷房運転を行う場合で説明した内容と同じであるため、説明は省略する。
室内熱交換器81a〜81cから流出した低圧の冷媒は分流ユニット6a〜6cに流入し、開となっている第2電磁弁62a〜62cが備えられた第2分流管64a〜64cを流れて低圧ガス管31に流入する。そして、各分流ユニット6a〜6cから低圧ガス管31に流入した低圧の冷媒は、低圧ガス管31内で合流後、室外機2に流入し、アキュムレータ24を通過して圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
一方、高圧ガス管30を流れて分流ユニット6d,6eに流入した高圧の冷媒は、開となっている第1電磁弁61d,61eが備えられた第1分流管63d,63eを流れて室内機8d、8eに流入する。室内機8d、8eに流入した高圧の冷媒は、室内熱交換器81d、81eに流入して室内空気と熱交換を行って凝縮し、これにより室内機8d、8eが設置された室内の暖房が行われる。室内熱交換器81d、81eから流出した高圧の冷媒は、室内膨張弁82d、82eを通過して減圧され中間圧の冷媒となる。
ここで、室内膨張弁82d、82eは、室内機8d、8eの制御部が、液側温度センサ84d、84eで検出した冷媒温度および室外機2から得た高圧飽和温度から、凝縮器である室内熱交換器81d、81eでの冷媒過冷却度を求め、これに応じて開度が決定されている。尚、過冷却度と室内膨張弁82d、82eの開度との関係については、上述した全て暖房運転を行う場合で説明した内容と同じであるため、説明は省略する。
そして、室内機8d、8eから流出し液管32で合流した中間圧の冷媒は、室外熱交換器23で凝縮し室外膨張弁で減圧されて室外機2から液管32へ流出する。
次に、暖房主体運転を行う場合について、図4を用いて説明する。尚、図4において、矢印は冷媒の流れを示している。図4に示すように、この運転で制御部100は、四方弁22のポートaとポートdとを連通させるとともにポートbとポートcとを連通させる状態に設定する。これにより、室外熱交換器23は蒸発器となる。
また、暖房運転を行う3台の室内機8a〜8cの制御部は、対応する3台の分流ユニット6a〜6cの第1電磁弁61a〜61cを開いて第1分流管63a〜63cを連通するとともに、第2電磁弁62a〜62cを閉じて第2分流管64a〜64cを遮断する。これにより、3台の室内機8a〜8cの室内熱交換器81a〜81cは凝縮器となる。
一方、冷房運転を行う2台の室内機8d,8eの制御部は、対応する2台の分流ユニット6d、6eの第1電磁弁61d、61eを閉じて第1分流管63d,63eを遮断するとともに、第2電磁弁62d、62eを開いて第2分流管64d,64eを連通する。これにより、2台の室内機8d、8eの室内熱交換器81d、81eは蒸発器となる。
圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、高圧ガス管30を流れて分流ユニット6a〜6cに分かれて流入する。分流ユニット6a〜6cに流入した高圧の冷媒は、開となっている第1電磁弁61a〜61cが備えられた第1分流管63a〜63cを流れて分流ユニット6a〜6cから流出し、対応する室内機8a〜8cに流入する。
室内機8a〜8cに流入した高圧の冷媒は、室内熱交換器81a〜81cに流入して室内空気と熱交換を行って凝縮し、これにより室内機8a〜8cが設置された室内の暖房が行われる。室内熱交換器81a〜81cで凝縮した高圧の冷媒は、室内膨張弁82a〜82cを通過して減圧されて中間圧の冷媒となる。ここで、室内膨張弁82a〜82cは、室内機8a〜8cの制御部が、液側温度センサ84a〜84cで検出した冷媒温度および室外機2から得た高圧飽和温度から、凝縮器である室内熱交換器81a〜81cでの冷媒過冷却度を求め、これに応じて開度が決定されている。尚、過冷却度と室内膨張弁82a〜82cの開度との関係については、上述した全て暖房運転を行う場合で説明した内容と同じであるため、説明は省略する。
室内機8a〜8cから流出した中間圧の冷媒は、液管32に流入する。そして、液管32内で合流した中間圧の冷媒は、一部が室外機2に流入し、残りは液管32を流れて室内機8d,8eに流入する。室外機2に流入した中間圧の冷媒は、室外熱交換器23の過熱度に応じた開度とされた室外膨張弁40を通過する際に減圧して低圧の冷媒となり、室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した低圧の冷媒は、外気と熱交換を行って蒸発する。そして、室外熱交換器23から流出した低圧の冷媒は、四方弁22を通過した後アキュムレータ24を通過して圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
一方、室内機8d,8eに流入した中間圧の冷媒は、室内膨張弁82d、82eで減圧されて低圧の冷媒となり室内熱交換器81d、81eに流入する。室内熱交換器81d、81eに流入した低圧の冷媒は、室内空気と熱交換を行って蒸発し、これにより室内機8d、8eが設置された室内の冷房が行われる。ここで、室内膨張弁82d、82eは、室内機8d、8eの制御部が、液側温度センサ84d、84eで検出した冷媒温度およびガス側温度センサ85d、85eで検出した冷媒温度から、蒸発器である室内熱交換器81d、81eでの冷媒過熱度を求め、これに応じて開度が決定されている。尚、過熱度と室内膨張弁82d、82eの開度との関係については、上述した全て冷房運転を行う場合で説明した内容と同じであるため、説明は省略する。
室内熱交換器81d、81eから流出した低圧の冷媒は分流ユニット6d、6eに流入し、開となっている第2電磁弁62d、62eが備えられた第2分流管64d、64eを流れて低圧ガス管31に流入する。そして、各分流ユニット6d、6eから低圧ガス管31に流入した低圧の冷媒は、低圧ガス管31内で合流後、室外機2に流入し、アキュムレータ24を通過して圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
次に、図5および図6を用いて、本実施例における空気調和装置1で冷暖房フリーの運転を行っている際に、液管32を流れる冷媒の圧力を制御することによって、液管32を流れる冷媒の圧力と高圧ガス管30あるいは低圧ガス管31を流れる冷媒の圧力との圧力差を確保し、冷房運転あるいは暖房運転を行っている室内機での冷媒循環量の低下を防ぐ方法について、具体的に説明する。
まずは、空気調和装置1で冷暖房フリーの運転を行っている際に、室外熱交換器23が凝縮器となっている場合について、図5を用いて説明する。尚、図5は図3で説明した冷房主体運転時の冷媒回路と同じ構成であるため、詳細な説明は省略し、液管32を流れる冷媒の圧力制御に関する説明のみを行うこととする。また、以下の説明では、冷房運転を行っている3台の室内機8a〜8cのうち室内機8aで高い冷房能力が要求され、液管32を流れる冷媒の圧力(以下、液圧と記載)と低圧ガス管31を流れる冷媒の圧力(以下、低圧と記載)との圧力差が小さくなる場合と、暖房運転を行っている2台の室内機8d,8eのうち室内機8dで高い暖房能力が要求され、高圧ガス管30を流れる冷媒の圧力(以下、高圧と記載)と液圧との圧力差が小さくなる場合について説明する。また、各室内膨張弁の前後と記載している場合は、各室内膨張弁に冷媒が流入する側を各室内膨張弁の前側、各室内膨張弁から冷媒が流出する側を各室内膨張弁の後側、としている。
まず、室内機8aで高い冷房能力が要求され、液圧と低圧との圧力差が小さくなる場合について説明する。図5に示す冷媒回路の状態で、冷房運転を行っている室内機8aにおいて高い冷房能力が要求された場合、室内機8aの制御部は要求される冷房能力に応じて室内熱交換器81aに流れる冷媒量を増加させるために室内膨張弁82aの開度を大きくするよう制御する。
室内膨張弁82aの開度が大きくなると、液圧と低圧との圧力差、つまり、室内膨張弁82aの液管32側(室内膨張弁82aの前側)と低圧ガス管31側(室内膨張弁82aの後側)との圧力差が小さくなる。この液圧(中間圧)と低圧との圧力差が所定値(例えば、0.5MPa)より小さくなると、室内熱交換器81aを流れる冷媒量が減少する。冷房運転を行っている他の室内機8b,8cは、室内機8aと並列に配管接続されており、また、室内機8a〜8cは低圧ガス管31にそれぞれ接続されているため、室内膨張弁82aの前後の圧力差が所定値より小さくなると、室内機8b,8cの室内熱交換器81b,81cを流れる冷媒量も減少する。
一方、上述したように室内膨張弁82aの前後の圧力差が所定値より小さくなる、つまり、液圧と低圧との圧力差が所定値より小さくなると、室内機8a〜8cでの冷媒循環量が低下し、室内機8a〜8cでの冷媒循環量を確保することができなくなるため、冷房運転を行っている室内機8a〜8cで要求された冷房能力を発揮できない虞がある。
上記のような状態となった場合、制御部100は、第1膨張弁41や第2膨張弁42を所定の開度で開くあるいは全閉することで第1バイパス管33や第2バイパス管34を所定の冷媒量が流れるよう連通するあるいは遮断することによって液圧を上昇させ、液圧と低圧との圧力差を所定値以上とすることで、室内機8a〜8cでの冷媒循環量を確保できるよう制御を行う。
具体的には、制御部100のCPU110は、中間圧センサ57で検出した室内膨張弁82a前の液圧である液管冷媒圧力と、低圧センサ51で検出した室内膨張弁82a後の低圧である低圧冷媒圧力とを定期的に取り込んで記憶部120に記憶している。CPU110は、記憶した液管冷媒圧力と低圧冷媒圧力との圧力差を算出する。CPU110は、この圧力差が所定値より小さい場合は、第2膨張弁42を全閉として(あるいは、初期設定の状態である全閉のままで)第2バイパス管34を遮断するとともに、第1膨張弁41を所定の開度で開いて第1バイパス管33を連通させる。
第1膨張弁41を所定の開度で開いて第1バイパス管33を連通させることによって、図5の矢印Aで示すように、圧縮機21から吐出され高圧ガス管30へ流れる冷媒の一部が液管32へ流入する。これにより、液圧が上昇するので、液圧と低圧との圧力差を所定値以上とすることができる。従って、室内機8a〜8cでの冷媒循環量を確保することができ、冷房運転を行っている室内機8a〜8cで冷房能力の不足を抑制することができる。
次に、室内機8dで高い暖房能力が要求され、高圧と液圧との圧力差が小さくなる場合について説明する。図5に示す冷媒回路の状態で、暖房運転を行っている室内機8dにおいて高い暖房能力が要求された場合、室内機8dの制御部は要求される暖房能力に応じて室内熱交換器81dに流れる冷媒量を増加させるために室内膨張弁82dの開度を大きくするよう制御する。
室内膨張弁82dの開度が大きくなると、高圧と液圧との圧力差、つまり、室内膨張弁82dの高圧ガス管30側(室内膨張弁82dの前側)と液管32側(室内膨張弁82dの後側)との圧力差が小さくなる。この高圧と液圧(中間圧)との圧力差が所定値(例えば、0.5MPa)より小さくなると、室内熱交換器81dを流れる冷媒量が減少する。暖房運転を行っている他の室内機8eは、室内機8dと並列に配管接続されており、また、室内機8d,8eは高圧ガス管30にそれぞれ接続されているため、室内膨張弁82dの前後の圧力差が所定値より小さくなると、室内機8eの室内熱交換器81eを流れる冷媒量も減少する。
一方、上述したように室内膨張弁82dの前後の圧力差が所定値より小さくなる、つまり、高圧と液圧との圧力差が所定値より小さくなると、室内機8d,8eでの冷媒循環量が低下し、室内機8d,8eでの冷媒循環量を確保できなくなるため、暖房運転を行っている室内機8d,8eで要求された暖房能力を発揮できない虞がある。
上記のような状態となった場合、制御部100は、第1膨張弁41や第2膨張弁42を所定の開度で開くあるいは全閉することで第1バイパス管33や第2バイパス管34を所定の冷媒量が流れるよう連通するあるいは遮断することによって液圧を下降させ、高圧と液圧との圧力差を所定値以上とすることで、室内機8d,8eでの冷媒循環量を確保できるよう制御を行う。
具体的には、制御部100のCPU110は、高圧センサ50で検出した室内膨張弁82d前の高圧である高圧冷媒圧力と、中間圧センサ57で検出した室内膨張弁82a後の液圧である液管冷媒圧力とを定期的に取り込んで記憶部120に記憶している。CPU110は、記憶した高圧冷媒圧力と液管冷媒圧力との圧力差を算出する。CPU110は、この圧力差が所定値より小さい場合は、第1膨張弁41を全閉として(あるいは、初期設定の状態である全閉のままで)第1バイパス管33を遮断するとともに、第2膨張弁42を所定の開度で開いて第2バイパス管34を連通させる。
第2膨張弁42を所定の開度で開いて第2バイパス管34を連通させることによって、図5の矢印Bで示すように、液管32を流れる冷媒の一部が低圧ガス管31へ流入する。これにより、液管冷媒圧力が下降するので、高圧と液圧との圧力差を所定値以上とすることができる。従って、室内機8d,8eでの冷媒循環量を確保することができ、暖房運転を行っている室内機8d、8eで暖房能力の不足を抑制することができる。
次に、空気調和装置1で冷暖房フリーの運転を行っている際に、室外熱交換器23が蒸発器となっている場合について、図6を用いて説明する。尚、図6は図4で説明した暖房主体運転時の冷媒回路と同じ構成であるため、詳細な説明は省略し、液管32を流れる冷媒の圧力制御に関する説明のみを行うこととする。また、以下の説明では、暖房運転を行っている3台の室内機8a〜8cのうち室内機8aで高い暖房能力が要求され、高圧と液圧との圧力差が小さくなる場合と、冷房運転を行っている2台の室内機8d,8eのうち室内機8dで高い冷房能力が要求され、液圧と低圧との圧力差が小さくなる場合について説明する。また、図5での説明と同様に、各室内膨張弁の前後と記載している場合は、各室内膨張弁に冷媒が流入する側を各室内膨張弁の前側、各室内膨張弁から冷媒が流出する側を各室内膨張弁の後側、としている。
まず、室内機8aで高い暖房能力が要求され、高圧と液圧との圧力差が小さくなる場合について説明する。図6に示す冷媒回路の状態で、暖房運転を行っている室内機8aにおいて高い暖房能力が要求された場合、室内機8aの制御部は要求される暖房能力に応じて室内熱交換器81aに流れる冷媒量を増加させるために室内膨張弁82aの開度を大きくするよう制御する。
室内膨張弁82aの開度が大きくなると、高圧と液圧との圧力差、つまり、室内膨張弁82aの高圧ガス管30側(室内膨張弁82aの前側)と液管32側(室内膨張弁82aの後側)との圧力差が小さくなる。この高圧と液圧(中間圧)との圧力差が所定値(例えば、0.5MPa)より小さくなると、室内熱交換器81aを流れる冷媒量が減少する。暖房運転を行っている他の室内機8b,8cは、室内機8aと並列に配管接続されており、また、室内機8a〜8cは高圧ガス管30にそれぞれ接続されているため、室内膨張弁82aの前後の圧力差が所定値より小さくなると、室内機8b,8cの室内熱交換器81b,81cを流れる冷媒量も減少する。
一方、上述したように室内膨張弁82aの前後の圧力差が所定値より小さくなる、つまり、高圧と液圧との圧力差が所定値より小さくなると、室内機8a〜8cでの冷媒循環量が低下し、室内機8a〜8cでの冷媒循環量を確保することができなくなるため、暖房運転を行っている室内機8a〜8cで要求される暖房能力を発揮できない虞がある。
上記のような状態となった場合、制御部100は、第1膨張弁41や第2膨張弁42を所定の開度で開くあるいは全閉することで第1バイパス管33や第2バイパス管34を所定の冷媒量が流れるよう連通するあるいは遮断することによって液管32を流れる冷媒の圧力を下降させ、高圧と液圧との圧力差を所定値以上とすることで、室内機8a〜8cでの冷媒循環量を確保できるよう制御を行う。
具体的には、制御部100のCPU110は、高圧センサ50で検出した室内膨張弁82a前の高圧である高圧冷媒圧力と、中間圧センサ57で検出した室内膨張弁82a後の液圧である液管冷媒圧力とを定期的に取り込んで記憶部120に記憶している。CPU110は、記憶した高圧冷媒圧力と液管冷媒圧力との圧力差を算出する。CPU110は、この圧力差が所定値より小さい場合は、第1膨張弁41を全閉として(あるいは、初期設定の状態である全閉のままで)第1バイパス管33を遮断するとともに、第2膨張弁42を所定の開度で開いて第2バイパス管34を連通させる。
第2膨張弁42を所定の開度で開いて第2バイパス管34を連通させることによって、図6の矢印C
で示すように、液管32を流れる冷媒の一部が低圧ガス管31へ流入する。これにより、液管冷媒圧力が下降するので、高圧冷媒圧力と液管冷媒圧力との圧力差を所定値以上とすることができる。従って、室内機8a〜8cでの冷媒循環量を確保することができ、暖房運転を行っている室内機8a〜8cで暖房能力の不足を抑制することができる。
次に、室内機8dで高い冷房能力が要求され、液圧と低圧との圧力差が小さくなる場合について説明する。図6に示す冷媒回路の状態で、冷房運転を行っている室内機8dにおいて高い冷房能力が要求された場合、室内機8dの制御部は要求される冷房能力に応じて室内熱交換器81dに流れる冷媒量を増加させるために室内膨張弁82dの開度を大きくするよう制御する。
室内膨張弁82dの開度が大きくなると、液圧と低圧との圧力差、つまり、室内膨張弁82dの液管32側(室内膨張弁82dの前側)と低圧ガス管31側(室内膨張弁82dの前側)との圧力差が小さくなる。この液圧(中間圧)と低圧との圧力差が所定値(例えば、0.5MPa)より小さくなると、室内熱交換器81dを流れる冷媒量が減少する。冷房運転を行っている他の室内機8eは、室内機8dと並列に配管接続されており、また、室内機8d,8eは低圧ガス管31にそれぞれ接続されているため、室内膨張弁82dの前後の圧力差が所定値より小さくなると、室内機8eの室内熱交換器81eを流れる冷媒量も減少する。
一方、上述したように室内膨張弁82dの前後の圧力差が所定値より小さくなる、つまり、液圧と低圧との圧力差が所定値より小さくなると、室内機8d,8eでの冷媒循環量が低下し、室内機8d,8eでの冷媒循環量を確保することができなくなるため、冷房運転を行っている室内機8d,8eで要求される冷房能力を発揮できない虞がある。
上記のような状態となった場合、制御部100は、第1膨張弁41や第2膨張弁42を所定の開度で開くあるいは全閉することで第1バイパス管33や第2バイパス管34を所定の冷媒量が流れるよう連通するあるいは遮断することによって液管32を流れる冷媒の圧力を上昇させ、液圧と低圧との圧力差を所定値以上とすることで、室内機8d,8eでの冷媒循環量を確保できるよう制御を行う。
具体的には、制御部100のCPU110は、中間圧センサ57で検出した室内膨張弁82a前の液圧である液管冷媒圧力と、低圧センサ51で検出した室内膨張弁82d後の低圧である低圧冷媒圧力とを定期的に取り込んで記憶部120に記憶している。CPU110は、記憶した液管冷媒圧力と低圧冷媒圧力との圧力差を算出する。CPU110は、この圧力差が所定値より小さい場合は、第2膨張弁42を全閉として(あるいは、初期設定の状態である全閉のままで)第2バイパス管34を遮断するとともに、第1膨張弁41を所定の開度で開いて第1バイパス管33を連通させる。
第1膨張弁41を所定の開度で開いて第1バイパス管33を連通させることによって、図6の矢印Dで示すように、高圧ガス管30を流れる冷媒の一部が液管32へ流入する。これにより、液管冷媒圧力が上昇するので、液管冷媒圧力と低圧冷媒圧力との圧力差を所定値以上とすることができる。従って、室内機8d,8eでの冷媒循環量を確保することができ、冷房運転を行っている室内機8d、8eで冷房能力の不足を抑制することができる。
以上説明した実施例においては、空気調和装置1で冷暖房フリーの運転を行っている場合の冷房主体運転の例として、5台の室内機の内3台が冷房運転を行っている場合について説明したが、冷房運転を行っている室内機の台数に関わらず、冷房運転を行っている室内機での負荷が暖房運転を行っている室内機での負荷より大きい状態であれば冷房主体運転となる。
また、暖房主体運転の例として、5台の室内機の内3台が暖房運転を行っている場合について説明したが、暖房運転を行っている室内機の台数に関わらず、暖房運転を行っている室内機での負荷が冷房運転を行っている室内機での負荷より大きい状態であれば暖房主体運転となる。
また、室内膨張弁82a〜82eの液管32側と高圧ガス管30側あるいは低圧ガス管31側との圧力差は、室内膨張弁82a〜82eのガス管側が高圧ガス管30あるいは低圧ガス管31である場合に関わらず、同じ所定値を設定して制御を行う場合について説明したが、室内膨張弁82a〜82eのガス管側が高圧ガス管30である場合と低圧ガス管31である場合とで所定値を異ならせる、例えば、高圧ガス管30である場合は0.5MPa、低圧ガス管31である場合は1.0MPa、としてもよい。
また、高圧センサ50で高圧を、低圧センサ51で低圧を、中間圧センサ57で液圧を、それぞれ検出し高圧と液圧との圧力差や液圧と低圧との圧力差が所定値以下となった場合に、第1膨張弁41や第2膨張弁42の開閉を制御して液圧を制御する場合について説明したが、これら各冷媒圧力に代えて各冷媒の温度を検出しそれぞれの温度差に応じて第1膨張弁41や第2膨張弁42の開閉を制御して液管冷媒圧力を制御するようにしてもよい。
具体的には、制御部100は高圧センサ50で高圧ガス管30を流れる冷媒の圧力を検出し、検出した高圧に対応した飽和温度を算出することで、凝縮器となっている室内熱交換器または室外熱交換器での凝縮温度を求める。尚、制御部100と高圧センサ50とで凝縮温度検出手段を構成している。また、制御部100は、冷房運転を行っている室内機の液側温度センサが検出した室内交換器の蒸発温度を取り込む。この場合、冷房運転を行っている室内機の液側温度センサが蒸発温度検出手段となる。さらには、制御部100は冷媒温度センサ54で液管32を流れる冷媒の温度(以下、液管冷媒温度と記載する)を検出する。尚、冷媒温度センサ54が液管冷媒温度検出手段である。
凝縮温度は、高圧の変化に対応して変化するものであるため、高圧ガス管30を流れる冷媒の圧力を示す指標となる。また、蒸発温度は、低圧の変化に対応して変化するものであるため、低圧ガス管31を流れる冷媒の圧力を示す指標となる。従って、制御部100は、凝縮温度と液管冷媒温度との温度差や液管冷媒温度と蒸発温度との温度差を算出することで、液圧と高圧あるいは低圧との圧力差を把握することができる。
空気調和装置1で冷暖房フリーの運転を行っている際に、制御部100は検出した凝縮温度と液管冷媒温度との温度差、あるいは、液管冷媒温度と蒸発温度との温度差を算出し、この温度差が所定値より小さくなった場合は、第2膨張弁42を全閉として第2バイパス管34を遮断するとともに、第1膨張弁41を所定の開度で開いて第1バイパス管33を連通させる、あるいは、第1膨張弁41を全閉として第1バイパス管33を遮断するとともに、第2膨張弁42を所定の開度で開いて第2バイパス管34を連通させる。
これにより、液圧を上昇あるいは下降させるので、高圧および低圧と液圧との圧力差を所定値以上とすることができる。従って、冷房運転あるいは暖房運転を行っている室内機での冷媒循環量を確保することができ、各室内機での運転能力の不足を抑制することができる。
次に、図7に示すフローチャートを用いて、本発明における空気調和装置1での処理の流れについて説明する。図7に示すフローチャートは、空気調和装置1の制御部100に備えられたCPU110での処理の流れを説明するものであり、STはステップを表しこれに続く数字はステップの番号を表している。尚、図7では本発明に関わる処理を中心に説明しており、四方弁22の切り替えや使用者の指示した設定温度に対応した圧縮機の回転数や各膨張弁の開度調整等といった、冷媒回路に関するその他の処理の説明は省略している。
空気調和装置1が運転を開始すると、CPU110は室外機2の第1膨張弁41および第2膨張弁42を全閉とする(ST1)。次にCPU110は、運転している室内機が全て冷房運転あるいは暖房運転を行っているか否かを判断する(ST2)。
運転している室内機が全て冷房運転あるいは暖房運転を行っている場合は(ST2−Yes)、CPU110は、使用者による運転指示内容(設定温度や風量等の指示)や各種センサでの検出値に応じて、室外機2の運転を開始もしくは継続する(ST9)。そして、ST2に処理を戻す。
ST2において、運転している室内機が全て冷房運転あるいは暖房運転を行っていない場合(ST2−No)、つまり、冷暖房フリーの運転を行っている場合は、CPU110は高圧センサ50で検出した高圧冷媒圧力と、低圧センサ51で検出した低圧冷媒圧力と、中間圧センサ57で検出した液管冷媒圧力とを各々取り込んで記憶部120に記憶する(ST3)。
次にCPU110は、記憶した高圧冷媒圧力と液管冷媒圧力との圧力差を算出しこの値が所定値以上であるか否かを判断する(ST4)。圧力差が所定値より小さければ(ST4−No)、CPU110は第1膨張弁41を全閉とするとともに第2膨張弁42を所定の開度で開く(ST5)。そして、ST6へ処理を進める。
一方、ST4において、圧力差が所定値以上であれば(ST4−Yes)、CPU110は、記憶した液管冷媒圧力と低圧冷媒圧力との圧力差を算出しこの値が所定値以上であるか否かを判断する(ST10)。圧力差が所定値以上であれば(ST10−Yes)、CPU110は処理をST2に戻す。圧力差が所定値より小さければ(ST10−No)、CPU110は第2膨張弁42を全閉とするとともに第1膨張弁41を所定の開度で開く(ST11)。そして、ST6へ処理を進める。
上記のように第1膨張弁41および第2膨張弁42の開閉を制御した後、CPU110は、高圧冷媒圧力と液管冷媒圧力との圧力差、あるいは、液管冷媒圧力と低圧冷媒圧力との圧力差が所定値以上となったか否かを判断する(ST6)。圧力差が所定値以上となっていなければ(ST6−No)、CPU110は現在の運転状態が変更されたか否かを判断する(ST7)。
ここで、運転状態の変更とは、現在の室内機8a〜8eのうち少なくともいずれか1台の運転モードが変更された場合を指し、例えば、5台の室内機のうち3台が冷房運転で残りが暖房運転を行っている状態から、全ての室内機で冷房運転を行う状態に変更された場合等である。
運転状態が変更されていなければ(ST7−No)、CPU110はST2に処理を戻す。運転状態が変更されていれば(ST7−Yes)、CPU110は開いている第1膨張弁41あるいは第2膨張弁42を全閉とし(ST8)、ST2へ処理を戻す。尚、ST6において、圧力差が所定値以上となっていれば(ST6−Yes)、CPU110はST8に処理を進める。
少なくとも1台の室内機で運転状態が変更されると、空気調和装置1の冷媒回路における圧力のバランスが変わり、高圧冷媒圧力と液管冷媒圧力との圧力差あるいは液管冷媒圧力と低圧冷媒圧力との圧力差も変わる。また、運転状態の変更によって、室内機8a〜8e全てが冷房運転あるいは暖房運転となる場合、つまり、冷暖房フリーの運転でなくなる場合も考えられる。以上の理由により、本実施例では運転状態が変更された場合はST8の処理で一旦第1膨張弁と第2膨張弁を全閉し、ST2からの処理を繰り返すようにしている。
以上説明した通り、本発明による空気調和装置では、各バイパス管の流量調整弁を開閉することによって液管を流れる冷媒の圧力を調整する。これにより、室外熱交換器を蒸発器として使用している際に室内機で高い運転能力が要求されて液圧と低圧との差、または、高圧と液圧との差が小さくなった場合でも、これらの圧力差を確保することができる。従って、冷房運転あるいは暖房運転を行っている室内機で、冷媒循環量の低下を防ぐことができ、冷媒循環量の低下に起因する冷房能力あるいは暖房能力の不足を抑制することができる。