JP2012192326A - 硫黄含有ガス除去材、その製造方法および硫黄含有ガス除去方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】SOやHSなどの硫黄含有ガスを効率的に除去できる除去材を提供する。
【解決手段】本発明の硫黄含有ガス除去材は、硝酸鉄(III)の原料溶液に塩基を混合しpH3〜5に調整して沈殿物を生成する沈殿工程と、この沈殿物を乾燥および水洗して精製物を得る精製工程と、この精製物を100〜250℃で加熱して焼成物を得る焼成工程とを備える製造方法を経て得られる。本発明の除去材は、主にFeOOHまたはFeからなる非晶質ナノ多孔質体である。本発明の除去材によれば、高温のSOも安定して吸着し、除去できると共にHSをも効率的に除去できる。そして本発明の除去材は、上記の製造方法により容易に製造できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、二酸化硫黄(SO)や硫化水素(HS)などの硫黄含有ガスを効率的に除去できる除去材およびその製造方法と、それを用いた硫黄含有ガス除去方法に関する。なお、本明細書でいう「硫黄含有ガス」は気体状の硫黄化合物を意味し、例えば、二酸化硫黄(SO、適宜「亜硫酸」ともいう。)ガス、硫化水素ガス等がある。
SO やHS等の硫黄含有ガスは、石炭や重油等の燃焼ガスや排水槽や汚水槽等から発生する。このような硫黄含有ガスは有害であり悪臭を伴うことが多いため、硫黄含有ガスを効率的に除去できる除去材が必要となる。そこで下記の特許文献1では、そのような除去材の一つとして活性炭を提案している。
特開2002−355557号公報 特許4012975号公報 特許4126399号公報 特開平10−259026号公報 特開平10−259025号公報 特開2007−254267号公報 特開平1−42329号公報
本発明は、そのような従来の除去材とは全く異なり、より効率的にSO やHSなどの硫黄含有ガスを除去できる除去材と、その製造方法およびそれを用いた硫黄含有ガスの除去方法を提供することを目的とする。
ちなみに、上記の特許文献2および3には、リン酸イオン等に関して優れた吸着性能を有するオキシ水酸化鉄に関する開示があるが、硫黄含有ガスの吸着性等については何ら記載されていない。特許文献4および5には、第二鉄塩から製造される針状オキシ水酸化鉄の製造方法が開示されているが、硫黄含有ガス除去性については開示されていない。また、特許文献6および7には、第一鉄塩から製造されるオキシ水酸化鉄の製造方法が開示されており、特許文献6には結晶性のオキシ水酸化鉄の製造方法、特許文献7には非結晶のオキシ水酸化鉄の製造方法が開示されている。しかし、これらにも硫黄含有ガス除去性については記載がない。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、硝酸鉄(III)溶液のpHを塩基で調整した際に生成する沈殿物を用いることにより、SO やHSなどの硫黄含有ガスを効率的に除去できる除去材が得られることを新たに見出した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《構成》
(1)本件第一の発明は、硝酸鉄(III)原料溶液を塩基でpH3〜5に調整して沈殿物を生成する沈殿工程と、該沈殿物を乾燥および水洗して精製物を得る精製工程と、該精製物を100〜250℃で加熱して焼成物を得る焼成工程とを備え、該焼成物から硫黄含有ガス除去材を得ることを特徴とする硫黄含有ガス除去材の製造方法である。
この製造方法によれば、特殊な原料や装置等に依るまでもなく、後述する本発明の硫黄含有ガス除去材を容易にかつ低コストで製造し得る。
(2)本件第二の発明は、前記製造方法により得られた焼成物からなることを特徴とする硫黄含有ガス除去材である。
(3)本件第三の発明は、上記の硫黄含有ガス除去材を用いて、二酸化硫黄(SO)や、硫化水素(HS)等の硫黄含有ガスを除去することを特徴とする硫黄含有ガス除去方法である。
《作用効果》
(1)本発明の硫黄含有ガス除去材(以下単に「除去材」という。)によれば、SOやHS等の硫黄含有ガスを効率的に除去できる。この理由は必ずしも定かではないが、現状では次のように考えられる。
本発明の除去材は、先ず、SOの吸着やHSの反応に適したナノサイズの細孔が無数に形成された多孔質体(ナノ多孔質体)からなり、非常に大きな比表面積を有する。しかも本発明の除去材は、比較的高温で焼成して製造されたにも拘わらず、非晶質な鉄系化合物(FeOOHまたはFe)により主に構成されている。このような非晶質ナノ多孔質体からなることにより、本発明の除去材は硫黄含有ガスに関して非常に優れた除去性能を発現すると考えられる。
本発明の除去材は、比較的高温で加熱された焼成物からなり、高温安定性または耐熱性に優れるため、高温の硫黄含有ガスに曝されてもその性能が殆ど変化せず、室温域から高温域まで、硫黄含有ガスを安定して効率的に除去し得る。
(2)本発明の除去材によるSOの除去は、SOの吸着作用に依るものである。そして本発明の除去材は高温域でも安定であるから、そのSO除去性能は温度が変化してもあまり低下しない。またSOの除去はその吸着作用によるため、本発明の除去材に吸着されたSOを脱着させれば、本発明の除去材は再生して繰り返し利用可能となる。さらに、本発明の除去材に吸着されたSOを脱着する際には、水蒸気を同伴させてSOを硫酸として脱着する必要もない。このため、本発明の除去材を用いると、SOを含有する空気、例えば、工場排ガスからSOを簡易に吸着し除去することができ、硫黄含有ガス除去装置の簡素化や用途拡大も図れる。
(3)HSは、本発明の除去材により除去されるが本発明の除去材から殆ど脱着しない。これは、HSが、本発明の除去材の表面で化学反応(硫化反応)しているからである。このため高温環境下になるほど、その硫化反応(2FeOOH+4HS→2FeS+4HO+HまたはFe+4HS→2FeS+3HO+H)が進行し易くなって、本発明の除去材によるHSの除去性能は向上し得る。但し、結晶化度の大きな除去材を用いるとHSの除去性能が低下する。従って、HSの除去に関しても、本発明の除去材が上述した非晶質ナノ多孔質体からなること、特に非晶質状態のFeOOHまたはFeが本発明の除去材中により多く存在することが重要であると考えられる。
《その他》
(1)本発明の除去材は、全部が上述した非晶質ナノ多孔質体からなる必要はなく、一部が非晶質ナノ多孔質体からなれば足るが、非晶質ナノ多孔質体の比率が大きいほど好ましい。
(2)本明細書でいう「x〜y」は、特に断らない限り、下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。
(3)本明細書でいうガス濃度は、特に断らない限り、体積濃度であり、全体に対する百分率(%)または百万分率(ppm)で示す。
各試料のX線回折(XRD)図である。 各試料1gあたりの各温度におけるSO除去量を示した棒グラフである。 各試料を入れた反応管へSOを供給したときにおける、SOの出口濃度の時間変化を示すグラフである。 試料No.N1について、脱着時におけるSOの出口濃度の時間変化と、再吸着時におけるSOの出口濃度の時間変化とを示すグラフである。 S除去による各試料の重量変化率の時間変化を示すグラフである。
発明の実施形態を挙げて本発明をより詳しく説明する。上述した本発明の構成に本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。本明細書で説明する内容は、本発明に係る除去材のみならず、その製造方法やそれを用いた硫黄含有ガスの除去方法にも適用され得る。なお、製造方法に関する構成要素は、プロダクトバイプロセスとして理解すれば物に関する構成要素となる。なお、いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《除去材の製造方法》
(1)沈殿工程
沈殿工程は、Fe(NO[硝酸鉄(III)]を含有する原料溶液から沈殿物を生成する工程である。沈殿物は、通常、Fe(NO[硝酸鉄(III)]を含む原料溶液へ塩基を添加、例えば、滴下して所望のpHに調整することにより生成する。
塩基は、その種類を問わないが、例えば、NaOH、KOH、NaCO、KCO、CaO、Ca(OH)、CaCO、NH、NHOH、MgO、MgCO等がある。もっとも、入手性や取扱性等の点で、アルカリ金属(Li、Na、K等)の水酸化物、特に水酸化ナトリウム(NaOH)が好ましい。
原料溶液のpHは3〜5さらには3.5〜4.5に調整されると好ましい。pHが過大でも過小でも、所望の沈殿物が安定して得られない。なお、得られる沈殿物は、オキシ水酸化鉄(FeOOH)からなると考えられる。
原料溶液中の[硝酸鉄(III)]と塩基との反応を制御する観点から、原料溶液中のFe3+濃度は0.01〜3mol/Lさらには0.05〜1mol/L、添加する塩基のOH濃度は0.1〜10mol/Lさらには1〜3mol/Lであると好ましい。
(2)精製工程
精製工程は、沈殿工程で得られた沈殿物を乾燥および水洗して精製物を得る工程である。沈殿物の乾燥は、吸引濾過等により取得した沈殿物を所望の乾燥温度で加熱してなされる(乾燥工程)。この際の乾燥雰囲気は大気中でもよいが、乾燥温度を高くするときは真空中または不活性ガス中等の酸化抑制雰囲気が好ましい。
乾燥温度は40〜250℃さらには170〜230℃とするとよい。乾燥温度が過大になると沈殿物の結晶化が進み好ましくないが、乾燥温度が過小では乾燥に長時間を要して実用的でない。乾燥時間は2時間〜48時間さらには5時間〜36時間程度でよい。
この乾燥させた沈殿物を水洗することにより、沈殿物中に残存していた塩や塩基などが除去される(水洗工程)。水洗方法は問わないが、例えば、純水中に所望量の乾燥させた沈殿物を投入することにより行える。
(3)焼成工程
焼成工程は、水洗後に濾別等して得た精製物を所望の焼成温度に加熱してなされる。焼成温度は100〜250℃さらには170〜230℃とするとよい。焼成温度が過大になると精製物の結晶化が進み好ましくない。一方、焼成温度が過小では、除去材の耐熱性が低下する。つまり、高温の硫黄含有ガスに接触した際に結晶化が進行して、除去材の吸着除去性能が低下する。なお、焼成温度は前述した乾燥温度と同一でも異なっていてもよい。もっとも、除去材の粒状化と不純物除去の点で、両温度を同一にすると好ましい。
焼成時間は0.5〜10時間さらには1時間〜5時間程度でよい。焼成雰囲気は、大気中でもよいが、焼成温度を高くするときは真空中または不活性ガス中等の酸化抑制雰囲気が好ましい。
《除去材》
本発明の除去材は、焼成工程後に得られた焼成物を解砕または粉砕して(解砕・粉砕工程)、所望の粒度に調整されたものであると、除去性能が安定して好ましい(粒度調整工程)。本発明の除去材の各粒子の形態や粒径は問わないが、その平均粒子径は例えば、0.125〜2mmさらには0.25〜0.5mmであると好ましい。平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布計(例えば、株式会社堀場製作所、LA−920)を用いて、レーザー回折/散乱法で測定された体積基準粒度分布から算出されるメジアン径により求まる。
本発明の除去材の比表面積(試料1gあたりの表面積)は、140〜250m/g、150〜220m/gさらには160〜200m/gであると好ましい。比表面積が過小でも過大でも、硫黄含有ガスの除去性能(特に初期の除去速度)が低くなる。なお、本明細書でいう比表面積はBET法による測定値である。
本発明の除去材の細孔径やその分布は、除去する硫黄含有ガスに応じたものであると好ましい。例えば、SOは1.2nm以下の細孔に吸着されることがわかっているので、細孔径はピーク値でいうと1〜2nmさらには1.3〜1.8nmであると好ましい。細孔径が過小であったり、その分布が小径側に偏っていると、吸着したSOが除去材内で目詰まりを起こして、最終的な硫黄含有ガスの除去量が減少してしまう。
そこで本発明の除去材は、例えば、平均細孔径が1〜1.4nmさらには1.1〜1.3nmであると好ましい。なお、本明細書でいう細孔径は、MP法により測定した細孔分布に基づく。平均細孔径は細孔径分布の積算値の50%になる細孔径である。
《用途》
本発明の除去材を用いることにより、燃焼ガスや工場等から排出される種々の硫黄含有ガスを効率的に除去することが可能となる。この硫黄含有ガスは、その種類を問わず、複数種のガスが混在したものでもよい。
《試料の製造》
硫黄含有ガスの除去性能試験に供する試料(除去材)を次のようにして製造した。
(1)沈殿工程
表1に示す原料鉄塩を純水に溶かして0.1mol/Lの原料溶液を調製した。この原料溶液へ2mol/LのNaOH(塩基)の水溶液を滴下しつつ攪拌した。用いた原料鉄塩はいずれも和光純薬工業社製であった。
こうして原料溶液を撹拌しながら上記濃度のNaOH水溶液を30分間かけて滴下して原料溶液のpHを4に調整し、さらに攪拌を24時間継続した。この原料溶液を濾過して沈殿物を得た。
(2)精製工程
この沈殿物を真空雰囲気で24時間加熱して乾燥させた(乾燥工程)。このときの乾燥温度は後述する焼成温度と同一とした。
乾燥後の沈殿物を純水中へ1:30の割合で投入して洗浄した(水洗工程)。これにより沈殿物中に残存していた塩基や塩(残存物)を沈殿物から溶出させて除去した。この水洗後の沈殿物を再び濾過して精製物を得た。
(3)焼成工程
この精製物を真空雰囲気で3時間加熱して焼成物を得た。このときの各試料の焼成温度は表1に示した。なお、この焼成工程は精製物の乾燥も兼ねている。
(4)解砕、粉砕および粒度調整
焼成後の焼成物を乳鉢で粉砕して篩いにかけた。こうして粒径を0.212mm〜0.850mmに調整した粉末からなる各試料を得た。このようにして製造した除去材(試料No.N1およびN2)の焼成温度とその特性を表1に示す。
《比較材》
(1)試料No.C1およびC2
原料にFe(NO[硝酸鉄(III)]を使用する代わりに、FeClを使用する以外は実施例と同様の操作を行い、比較材(試料No.C1およびC2)を得た。これらの焼成温度とその特性を表1に示す。これらの比較材についても後述の吸着除去試験を行った。
(2)試料No.D〜F
比較のため、表1に示す市販されている活性炭(和光純薬工業株式会社製)、Fe(添川理化学株式会社製)およびγ−FeOOH(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)も用意した。これらの比較材についても後述の吸着除去試験を行った。
《測定》
(1)比表面積および細孔径
各試料の比表面積および細孔径分布(ピーク値を含む)を測定し、それらの結果を表1に併せて示した。なお、比表面積は、日本ベル株式会社製、BET比表面積測定装置、型式BELSORP-miniを用いてBET法により測定した。細孔分布は窒素吸着法を用いて測定し、細孔径分布はMP法により解析した。表1にはその細孔径分布から得られたピーク値を示した。
(2)X線回折(XRD:X‐ray diffraction)
表1に示した試料No.N1、N2、C1およびC2の各結晶構造をX線回折法により調べた。これにより得られた各試料のスペクトル強度(Intensity)と角度(2θ)を図1に示した。
《SOの吸着除去試験》
(1)表1に示した各試料を用いて、次のようなSOの吸着除去試験を行った。先ず、各除去材:0.08gを赤外線ゴールドイメージ炉の反応管へ充填した。次に、この反応管へSOを供給し、一部をパージした後、残りの反応ガスについて、マイクロガスクロマトグラフ分析を行った。なお、このときの触媒充填密度は約1.16g/ccで、空塔速度(SV)は26000/hであった。
反応温度を種々変更して、各試料により除去されたSO量を表2に示すと共に、それぞれのSO除去量を棒グラフで図2に示した。なお、表2に示した除去量は、SOの出口濃度が供給ガス濃度の90%を超えるまでに除去されたSO量の積算値を、試料1gあたりに換算した値である(以下同様)。
(2)試料No.N1、N2およびC2について、SOの吸着除去試験を室温で行ったときの破過曲線を図3に示した。
さらに、試料No.N1を充填した反応管へ、SOを十分に供給した後、そのSOガスに替えてArガスを導入した。こうして得られたSO脱着時の破過曲線を図4に示した。またこのSO脱着後に、再度、SOを反応管へ供給した。こうして得られたSO再吸着時の破過曲線も図4に併せて示した。なお、このSOの吸脱着は100℃で行った。
《HSの除去試験》
表1に示した各試料によるHSの除去量を熱天秤を用いて測定した。各試料の重量変化率の時間変化を図5に示した。また各試料の最終的な重量変化率を表3にまとめた。なお熱天秤には島津製作所TGA−50を用いた。この熱天秤による測定は50℃、HS濃度670ppmの条件で行った。
《評価》
(1)表1から、試料No.N1と試料No.C1は細孔径(ピーク値)が共に1.6nm程度であるが、比表面積は試料No.N1の方が試料No.C1よりも遙かに大きいことがわかる。また図1に示したXRDパターンを観ると、試料No.C1にはα−Feを示すピークが観られるが、試料No.N1には試料No.N2や試料No.C2と同様に、そのようなピークが観られない。
これらから、試料No.N1は試料No.C1と同様に焼成温度を200℃と高温にして製造したものであるが、試料No.C1とは異なり非晶質であり、比表面積が比較的大きいことがわかる。一方、試料No.C2(焼成温度50℃)は非晶質であるが、試料No.C1(焼成温度200℃)にはα−Feを示すピークが観られることから、FeClから製造した除去材は熱に不安定で、結晶質化し易く、高温加熱によって比表面積が大きく低下することがわかる。
(2)表2および図2から、試料No.N1は室温から高温域にかけてSOを安定して除去し得ることがわかる。特に200℃における試料No.N1のSO除去量は、比表面積が遙かに大きな試料No.D(活性炭)よりも大幅に多くなっている。なお、試料No.Eおよび試料No.Fは、SO除去量が非常に小さく、特に200℃の高温域ではSOを殆ど除去できないことがわかった。
さらに図3に示す破過曲線を観ると、試料No.N1は、空塔速度が非常に大きいにも拘わらず(SV:26000/h)、試験開始後の数時間はSOの出口濃度が零になっており、除去速度(吸着速度)が早いことがわかる。
なお、この試料No.N1によるSOガスの除去が吸着に依るものであることは、SOの脱着およびその再吸着を示す図4の破過曲線からわかる。また、それらの破過曲線が対称的になっていることから、試料No.N1からなる除去材は、SOに関して十分に再生可能であるといえる。
(3)表3および図5から、先ず、試料No.N1は、HSを急速に最も多く除去し得ることがわかる。逆に、試料No.Eや比表面積がもっとも大きい試料No.Dは、HSを殆ど除去できないこともわかった。
次に、化学量論的に考えると、オキシ水酸化鉄(FeOOH)が硫化反応により硫化鉄(FeS)に変化するときの重量変化率は135.0%であり、酸化鉄(Fe)が硫化反応により硫化鉄(FeS)に変化するときの重量変化率は150.3%である。そうすると、前者は試料No.N2およびC2の表3に示した重量変化率に近く、後者は試料No.N1の重量変化率に近いこともわかる。すなわち試料No.N1は、FeOOHよりもFeに非常に近いといえる。
さらに、HSを除去した試料について脱着試験を行ったところ、試験開始当初はHSが検出されるが、短時間内にHSが全く検出されなくなった。このことから、除去されたHSは、試料の細孔内へ侵入して吸着された後、主に硫化反応を起こして試料内で化学的に結合したと考えられる。
ところで、試料No.N2や試料No.C2は、試料No.N1と同様に非晶質であり試料No.N1よりも比表面積が大きいが、最終的なHSの除去量(重量変化率)は試料No.N1より小さかった。このことから、焼成温度が高くて鉄含有量率が大きい試料ほど、HSの除去に伴う重量変化率が大きくなるといえる。
もっとも、通常の酸化鉄(Fe)からなる試料No.EはHSを殆ど除去できず、試料No.C1は鉄含有量率が試料No.N1とほぼ等しいが、HS除去性が試料No.N1よりも劣っていることから考えると、試料No.N1がHSの除去性能に優れるのは、試料No.N1が好適な細孔径および比表面積を有する多孔質体であると共に、鉄含有量率の大きな非晶質体であるためと考えられる。逆に、鉄含有量率が大きくても、HSと反応できない結晶化した鉄が多いと、HSの除去性能は低下し得る。
なお、本実施例に係る試料No.N1からなる除去材を用いると、1gあたり最大で850mgのHSを除去できる。これは1kgの除去材で、100ppmのHS環境下で5000mもの空間を浄化できることを意味する。
Figure 2012192326
Figure 2012192326
Figure 2012192326

Claims (3)

  1. 硝酸鉄(III)溶液を塩基でpH3〜5に調整して沈殿物を生成する沈殿工程と、
    該沈殿物を乾燥および水洗し、精製物を得る精製工程と、
    該精製物を100〜250℃で加熱して焼成物を得る焼成工程と、
    を備えることを特徴とする硫黄含有ガス除去材の製造方法。
  2. 請求項1に記載製造方法により得られた焼成物からなることを特徴とする硫黄含有ガス除去材。
  3. 請求項2に記載の硫黄含有ガス除去材を用いて、二酸化硫黄(SO)または硫化水素(HS)を除去することを特徴とする硫黄含有ガス除去方法。
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