JP2012191780A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】非干渉化制御を行っても応答性および追従性を低下させることなく、制御動作も安定なモータ制御装置を提供する。
【解決手段】PI制御量を演算するためのPI制御手段50,51と、モータの非干渉化制御のための非干渉化制御量を所定のタイミングで演算するための非干渉化制御量演算手段52と、PI制御手段50,51により演算されたPI制御量と非干渉化制御量演算手段52により演算された非干渉化制御量とから補正後の非干渉化制御量を決定する補正演算手段53,54と、PI制御手段50,51によって演算されたPI制御量と補正演算手段53,54によって補正された補正後の非干渉化制御量とを加算する加算手段55,56と、を備え、加算手段55,56は、所定の条件をみたす場合は、非干渉化制御量演算手段52によって演算された前回値の非干渉化制御量を補正後の非干渉化制御量として加算する。
【選択図】図2

Description

本発明は、モータ(とくにブラシレスモータ)を駆動するためのモータ制御装置に関するものである。ブラシレスモータは、たとえば、電動パワーステアリング装置における操舵補助力の発生源として利用される。
ブラシレスモータのためのモータ制御装置は、モータの電機子巻線を流れる電流を検出する電流検出部と、モータのロータの回転位置を検出する回転位置検出部と、d軸目標電流およびq軸目標電流を演算するdq軸目標電流演算部と、検出された電流および回転位置に基づいてd軸電流およびq軸電流を求めるdq軸電流演算部と、d軸電圧指令値演算部と、q軸電圧指令値演算部とを備えている。d軸電圧指令値演算部は、d軸目標電流とd軸電流との間のd軸偏差を低減するように、d軸電流のPI演算に基づいてd軸電圧指令値を求める。q軸電圧指令値演算部は、q軸目標電流とq軸電流との間のq軸偏差を低減するように、q軸電流のPI演算に基づいてq軸電圧指令値を求める。こうして求められたd軸電圧指令値、q軸電圧指令値、および検出された回転位置に基づいて、モータ制御装置は、電機子巻線に電圧を印加する。これにより、ロータの回転力が発生する(特許文献1参照)。
特開2001−187578号公報
PI演算値に基づいてdq軸の電圧指令値を求める場合、電圧指令値を制限するリミッタを設ける必要がある。リミッタは、電機子巻線への印加電圧指令値が設定最大値を越えないように電圧指令値を制限する。これにより、ロータの回転位置の変化に対する電機子巻線への印加電圧の変化を表す波形が不連続にならないようにすることができる。
もし、リミッタが設けられていないと、目標電流と検出電流の偏差が減少しない事態が生じた場合にPI演算値が増大し続けてしまう。そうすると、その偏差が減少してもPI演算値に対応する電圧指令値が適正値になるのに時間を要する。また、電機子巻線へ印加可能な最大電圧は電源の性能等に応じて規定されるため、電圧指令値が過大になると、ロータの回転位置の変化に対する電機子巻線への印加電圧の変化を表す波形が不連続になる。例えば、その波形が正弦波の頂点付近をクリップしたような形状になるため、異常音や振動が生じる原因になる。
一般的には、リミッタはPI制御部の一部として設けられ、リミッタによって制限されたPI演算値が、PI制御部から生成されるようになっている。
一方、PI演算値に対して非干渉化制御量を加算する非干渉化制御が知られている(特許文献1参照)。非干渉化制御とは、ロータの回転に伴ってモータ内部で生じる速度起電力を補償するように電圧指令値を定める制御である。非干渉化制御を行うことによって、速度起電力による応答性や追従性の低下を効果的に抑制できると期待されている。
しかしながら、リミッタを備えたPI制御部から出力されるPI演算値に対して非干渉化制御量を加算すると、モータの回転速度や電流値が変動的になり、動作が不安定になる。
具体的に説明すると、リミッタによって制限されたPI演算値に対して非干渉化制御量を加算してモータ電圧指令値を定めると、このモータ電圧指令値は正弦波駆動のための限界値を超えるおそれがある。PI演算値が小さいときには問題は少ないが、PI演算値が大きく非干渉化制御量を加算した後のモータ電圧指令値が限界値を超える状態に至ると、発振状態となり、応答性能が不安定になる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、非干渉化制御を行っても応答性および追従性を低下させることなく、制御動作も安定なモータ制御装置を提供することである。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、モータ電圧指令値に基づいてモータを制御するモータ制御装置であって、PI制御量を演算するためのPI制御手段と、前記モータの非干渉化制御のための非干渉化制御量を演算するための非干渉化制御量演算手段と、前記PI制御手段により演算された前記PI制御量と前記非干渉化制御量演算手段により演算された前記非干渉化制御量とから補正後の非干渉化制御量を決定する補正演算手段と、前記PI制御手段によって演算された前記PI制御量と前記補正演算手段によって補正された前記補正後の非干渉化制御量とを所定のタイミングで加算する加算手段とを備え、前記加算手段は、所定の条件をみたす場合は、前記非干渉化制御量演算手段によって演算された前回値の非干渉化制御量を前記補正後の非干渉化制御量として加算することを要旨とする。
上記構成によれば、非干渉化制御量に対して補正演算手段による制限が加えられ、すなわち、PI制御手段によって演算されたPI制御量および非干渉化制御量演算手段により演算された非干渉化制御量の値により条件をみたした場合は、非干渉化制御量の前回値が補正後の非干渉化制御量として、PI制御量に加算されるようになっている。これにより、加算手段が出力するモータ電圧指令値は、適正に制限されるため、発振状態となることを確実に回避でき、安定した応答性能を得ることができる。
非干渉化制御を行っても応答性および追従性を低下させることなく、制御動作も安定なモータ制御装置を提供できる。
本発明に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図。 dq軸電圧指令値演算部の詳しい構成を説明するためのブロック図。 モータ制御装置によるモータの制御手順を説明するためのフローチャート。 d軸電圧指令値およびq軸電圧指令値の演算手順を示すフローチャート。
以下、本発明の実施形態について、図に基づいて具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両のステアリングホイールに加えられる操舵トルクを検出するトルクセンサ7と、車両の速度を検出する車速センサ8と、車両の舵取り機構3に操舵補助力を与えるモータ1と、このモータ1を駆動制御するモータ制御装置10とを備えている。モータ制御装置10は、トルクセンサ7が検出する操舵トルクおよび車速センサ8が検出する車速に応じてモータ1を駆動することによって、操舵状況に応じた適切な操舵補助を実現する。モータ1は、たとえば、3相ブラシレスDCモータである。
モータ制御装置10は、電流検出部11、信号処理部としてのマイクロコンピュータ(以下、CPUという)12、および駆動回路13を有する。このモータ制御装置10に、モータ1内のロータの回転位置を検出するレゾルバ2とともに、前述のトルクセンサ7および車速センサ8が接続されるようになっている。
電流検出部11はモータ1の電機子巻線を流れる電流を検出する。本実施形態の電流検出部11は、3相の電機子巻線における相電流をそれぞれ検出する電流検出器11u,11v,11wと、電流検出器11u,11v,11wによる電流検出信号をA/D(アナログ/デジタル)変換するA/D変換器11u′,11v′,11w′とを有する。
CPU12は、プログラム処理(ソフトウェア処理)によって実現される複数の機能処理部を備えている。これらの複数の機能処理部には、基本目標電流演算部15、dq軸目標電流演算部16、dq軸電流演算部17、d軸偏差演算部18d、q軸偏差演算部18q、dq軸電圧指令値演算部19、電圧指令値座標変換部20およびPWM(パルス幅変調)制御部21が含まれている。
駆動回路13は、インバータ回路で構成され、PWM制御部21によって制御されることにより、車載バッテリ等の電源からの電力をモータ1のU相、V相およびW相電機子巻線に供給する。この駆動回路13とモータ1の各相の電機子巻線との間において流れる相電流が電流検出器11u,11v,11wにより検出されるようになっている。
基本目標電流演算部15は、トルクセンサ7により検知される操舵トルクと、車速センサ8により検出される車速とに基づいて、モータ1の基本目標電流I*を演算する。基本目標電流I*は、たとえば、操舵トルクの大きさが大きいほど大きく、車速が小さいほど大きくなるように定められる。
基本目標電流演算部15により演算された基本目標電流I*はdq軸目標電流演算部16に入力される。dq軸目標電流演算部16は、d軸方向の磁界を生成するためのd軸目標電流Id*と、q軸方向の磁界を生成するためのq軸目標電流Iq*とを演算する。d軸とは、モータ1のロータの有する界磁の磁束方向に沿う軸であり、q軸とは、d軸およびロータ回転軸に直交する軸である。dq軸目標電流演算部16における演算は公知の演算式を用いて行うことができる。
電流検出部11から出力される相電流Iu,Iv,Iwはdq軸電流演算部17に入力される。dq軸電流演算部17は、レゾルバ2により検出されたロータ回転位置に基づいて、相電流Iu,Iv,Iwを座標変換することにより、d軸電流Idおよびq軸電流Iqを演算する。dq軸電流演算部17における演算は公知の演算式を用いて行うことができる。
d軸偏差演算部18dは、d軸目標電流Id*とd軸電流Idとの間のd軸偏差ΔIdを求める。同様に、q軸偏差演算部18qは、q軸目標電流Iq*とq軸電流Iqとの間のq軸偏差ΔIqを求める。
dq軸電圧指令値演算部19は、d軸偏差ΔIdに対応するd軸電圧指令値Vd*とq軸偏差ΔIqに対応するq軸電圧指令値Vq*とを求める。
電圧指令値座標変換部20は、レゾルバ2により検出されたロータ回転位置に基づいて、d軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*の座標変換を行い、U相電機子巻線、V相電機子巻線、W相電機子巻線にそれぞれ印加すべき印加電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を演算する。電圧指令値座標変換部20における演算は公知の演算式を用いて行えばよい。
PWM制御部21は、印加電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に対応するデューティ比を有するパルス信号である各相のPWM制御信号を生成する。これにより、d軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*に対応する電圧が駆動回路13から各相の電機子巻線に印加され、ロータの回転力が発生する。
図2は、dq軸電圧指令値演算部19の詳しい構成を説明するためのブロック図である。
dq軸電圧指令値演算部19は、d軸PI演算部50、q軸PI演算部51、非干渉化制御部52、d軸非干渉化補正演算部53、q軸非干渉化補正演算部54、d軸減算部55、q軸加算部56、d軸リミッタ57、q軸リミッタ58、および角速度演算部59を有する。dq軸電圧指令値演算部19は、d軸偏差ΔIdを低減するように、d軸電流のPI演算(以下、d軸PI演算という)等に基づいてd軸電圧指令値Vd*を求めるとともに、q軸偏差ΔIqを低減するように、q軸電流のPI演算(以下、q軸PI演算という)等に基づいてq軸電圧指令値Vq*を求める。
モータ1の電機子巻線への印加電圧指令値が設定最大値を超えないようにするため、dq軸電圧指令値Vd*,Vq*は、d軸リミッタ57、q軸リミッタ58によりそれぞれ限界値以下に制限される。設定最大値とは、ロータ回転位置の変化に対する電機子巻線への印加電圧の変化を表す波形が不連続にならないように、当該波形を正弦波とする正弦波駆動を行うための限界値である。
d軸PI演算部50は、d軸電流のPI演算によりd軸PI演算値Vd_piを演算し、このd軸PI演算値Vd_piをd軸減算部55に出力する。
q軸PI演算部51は、q軸電流のPI演算によりq軸PI演算値Vq_piを演算し、このq軸PI演算値Vq_piをq軸加算部56に出力する。
非干渉化制御部52は、dq軸電流演算部17により求められるq軸電流Iqに基づき、d軸非干渉化制御量Vd_dc(=ωLqIq)を求める。ωはロータの回転速度(rad/sec)、Lqはモータ1の電機子巻線のq軸自己インダクタンスである。ロータの回転速度ωは、レゾルバ2による検出回転位置(モータ回転角)θの変化速度から求められる。q軸自己インダクタンスLqは、予め測定済みの定数である。
同様に、非干渉化制御部52は、dq軸電流演算部17により求められるd軸電流Idに基づき、q軸非干渉化制御量Vq_dc(=ωLdId+ωΦ)を求める。Ldはモータ1の電機子巻線のd軸自己インダクタンスであり、Φはロータの界磁の電機子巻線鎖交磁束数の最大値の(3/2)1/2倍である。d軸自己インダクタンスLdは予め測定済みの定数である。ωはロータの回転速度(rad/sec)である。
d軸非干渉化補正演算部53は、d軸PI演算値Vd_piおよびd軸非干渉化制御量Vd_dcに基づき、d軸非干渉化制御量Vd_dcの補正後の値であるVd_dc’を求める。同様に、q軸非干渉化補正演算部54は、q軸PI演算値Vq_piおよびq軸非干渉化制御量Vq_dcに基づき、q軸非干渉化制御量Vq_dcの補正後の値であるVq_dc’を求める。
d軸減算部55は、d軸PI演算値Vd_piから補正後のd軸非干渉化制御量Vd_dc’を減算する。d軸リミッタ57は、d軸PI演算値Vd_piから補正後のd軸非干渉化制御量Vd_dc’を減算した値の絶対値を限界値以下に制限する。このd軸リミッタ57の出力値が、d軸電圧指令値Vd*となる。これにより、d軸PI演算値Vd_piを補正後のd軸非干渉化制御量Vd_dc’により補正した値に制限を加えて、d軸電圧指令値Vd*が求められている。
q軸減算部56は、q軸PI演算値Vq_piに補正後のq軸非干渉化制御量Vq_dc’を加算する。q軸リミッタ58は、q軸PI演算値Vq_piに補正後のq軸非干渉化制御量Vqd_dc’を加算した値の絶対値を限界値以下に制限する。このq軸リミッタ58の出力値が、q軸電圧指令値Vq*となる。これにより、q軸PI演算値Vq_piを補正後のq軸非干渉化制御量Vq_dc’により補正した値に制限を加えて、q軸電圧指令値Vd*が求められている。
図3は、モータ制御装置10によるモータ1の制御手順を説明するためのフローチャートである。図1,2を参照して、まず、CPU12は、トルクセンサ7、車速センサ8、電流検出器11u,11v,11wによる検出値を読み込む(ステップS301)。基本目標電流演算部15は、検出された操舵トルクおよび車速に基づき、目標電流I*を演算する(ステップS302)。dq軸目標電流演算部16は、その目標電流I*に対応するd軸目標電流Id*とq軸目標電流Iq*とを演算する(ステップS303)。dq軸電流演算部17は、検出された相電流Iu,Iv,Iwに対応するd軸電流Idおよびq軸電流Iqを演算する(ステップS304)。d軸目標電流Id*とd軸電流Idとから、d軸偏差演算部18dにおいて、d軸偏差ΔIdが演算され、q軸目標電流Iq*とq軸電流Iqから、q軸偏差演算部18qにおいて、q軸偏差ΔIqが演算される(ステップS305)。
次に、dq軸電圧指令値演算部19において、d軸電圧指令値Vd*とq軸電圧指令値Vq*とが演算される(ステップS306)。そして、電圧指令値座標変換部20において、d軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*に対応するU相電機子巻線、V相電機子巻線、W相電機子巻線への印加電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*が演算される(ステップS307)。これらの印加電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に対応するPWM制御信号がPWM制御部21から駆動回路13に与えられる。これより、モータ1が駆動される(ステップS308)。そして、制御を終了するか否かを例えばイグニッションスイッチのオン・オフにより判断し(ステップS309)、終了しない場合はステップS301に戻る。
図4は、d軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*の演算手順を示すフローチャートである。まず、d軸PI演算およびq軸PI演算によりd軸PI演算値Vd_piおよびq軸PI演算値Vq_piがそれぞれ求められる(ステップS401)。一方、d軸非干渉化制御量演算部52においてωLqIq、ωLdId+ωΦがそれぞれ求められる(ステップS402)。そして、d軸非干渉化制御量Vd_dcにωLqIqが設定され、q軸PI演算値Vq_dcにωLdId+ωΦが設定される(ステップS403)。また、d軸PI演算値Vd_pi、q軸PI演算値Vq_pi、d軸非干渉化制御量Vd_dc、およびq軸非干渉化制御量Vq_dcは、それぞれ所定の限界値以下に制限される(ステップS404)。
次に、d軸PI演算値Vd_piが負か否かを判断する(ステップS405)。負でなければ、d軸PI演算値−d軸非干渉化制御量(Vd_pi−Vd_dc)の値が負か否かを判断し(ステップS406)、負でなければ、ステップS409に移行する。d軸PI演算値Vd_piが負であれば、d軸PI演算値−d軸非干渉化制御量(Vd_pi−Vd_dc)の値が正か否かを判断し(ステップS407)、正であれば、d軸非干渉化制御量Vd_dcの値を前回値のd軸非干渉化制御量に設定する(ステップS408)。正でなければ、ステップS409に移行する。この結果が、次回のd軸非干渉化制御量Vd_dcの前回値として用いるためにメモリに記憶される。
引き続き、q軸PI演算値Vq_piが正か否かを判断する(ステップS409)。正でなければ、q軸PI演算値+q軸非干渉化制御量(Vq_pi+Vq_dc)の値が正か否かを判断し(ステップS410)、正でなければ、ステップS413に移行する。q軸PI演算値Vq_piが正であれば、q軸PI演算値+q軸非干渉化制御量(Vq_pi+Vq_dc)の値が負か否かを判断する(ステップS411)。負であれば、q軸非干渉化制御量Vq_dcの値を前回値のq軸非干渉化制御量に設定する(ステップS412)。負でなければ、ステップS413に移行する。この結果が、次回のq軸非干渉化制御量Vq_dcの前回値として用いるためにメモリに記憶される。
次に、d軸減算部55は、d軸PI演算値Vd_piからd軸非干渉化制御量Vd_dcを減算し、d軸電圧指令値Vd*が設定される(ステップ413)。同様に、q軸加算部56により、q軸PI演算値Vq_pi*にq軸非干渉化制御量Vq_dcが加算され、q軸電圧指令値Vq*が設定される(ステップS414)。そして、d軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*は、それぞれ演算により求めた所定の限界値以下に制限される。(ステップS415)。この処理の後、d軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*として出力されメインルーチン(図3参照)に戻る。
以上のように、本実施形態によれば、所定の条件をみたした場合、d軸PI演算値Vd_piをd軸非干渉化制御量Vd_dcの前回値により補正を行いd軸電圧指令値Vd*を求めている。同様に、所定の条件をみたした場合、q軸PI演算値Vq_piをq軸非干渉化制御量Vq_dcの前回値により補正を行いq軸電圧指令値Vq*を求めている。これにより、非干渉化制御を行いつつ、d軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*を限界値範囲内の値とすることができる。その結果、非干渉化制御を行っても応答性および追従性を低下させることがなく、しかも、オーバーシュートやアンダーシュートを大幅に低減できるため、制御の安定性を確保することができる。これにより、振動や異音を抑制しつつ動特性を向上できるので、電動パワーステアリング装置における操舵フィーリングを向上することができる。また、オーバーシュートやアンダーシュートを大幅に低減できるため、モータ1から舵取り機構3にトルクを伝達する伝達系の強度設計時の想定最大荷重を抑制できる。これにより、コストの低減を図ることができる。
また、d軸PI演算値Vd_piの符号に対して、d軸電圧指令値Vd*の符号が反転する場合にd軸非干渉化制御量Vd_dcの前回値を用いて、d軸電圧指令値Vd*の符号が反転することがないようにd軸電圧指令値Vd*を求めている。同様に、q軸PI演算値Vq_piの符号に対して、q軸電圧指令値Vq*の符号が反転する場合にq軸非干渉化制御量Vq_dcの前回値を用いて、q軸電圧指令値Vq*の符号が反転することがないようにq軸電圧指令値Vq*を求めている。これにより、PI演算に対して非干渉化制御の影響が及ぶことがないので、適切なPI演算を行うことができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することも可能である。
また、前述の実施形態では、電動パワーステアリング装置の駆動源としてのモータに本発明が適用された例について説明したが、この発明は、電動パワーステアリング装置以外の用途のモータの制御に対しても適用が可能である。とくに、サーボ系で応答性や追従性が要求される用途でのモータトルク制御に応用すると効果的である。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1:モータ、10:モータ制御装置、12:CPU、19:dq軸電圧指令値演算部、
50:d軸PI制御部、51:q軸PI制御部、52:非干渉化制御部、
53:d軸非干渉化補正演算部、54:q軸非干渉化補正演算部、55:d軸減算部、
56:q軸加算部、57,58:dq軸リミッタ、59:角速度演算部、
Id,Iq:dq軸電流、Id*,Iq*:dq軸目標電流、ΔId,ΔIq:dq軸偏差、
Vd*,Vq*:dq軸電圧指令値、Vd_pi,Vq_pi:dq軸PI演算値、
Vd_dc,Vq_dc: dq軸非干渉化制御量、
Vd_dc’,Vq_dc’:補正後のdq軸非干渉化制御量、
θ:モータ回転角、ω:回転角速度

Claims (1)

  1. モータ電圧指令値に基づいてモータを制御するモータ制御装置であって、
    PI制御量を演算するためのPI制御手段と、
    前記モータの非干渉化制御のための非干渉化制御量を演算するための非干渉化制御量演算手段と、
    前記PI制御手段により演算された前記PI制御量と、前記非干渉化制御量演算手段により演算された前記非干渉化制御量と、から補正後の非干渉化制御量を決定する補正演算手段と、
    前記PI制御手段によって演算された前記PI制御量と、前記補正演算手段によって補正された前記補正後の非干渉化制御量と、を所定のタイミングで加算する加算手段と、を備え、
    前記加算手段は、所定の条件をみたす場合は、前記非干渉化制御量演算手段によって演算された前回値の非干渉化制御量を前記補正後の非干渉化制御量として加算することを特徴とするモータ制御装置。
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