図1を参照すると、プロセスプラント10は、一または複数の通信ネットワークにより複数の制御システムおよび保守システムに相互接続される複数のビジネスコンピュータシステムと他のコンピュータシステムとを備えている。プロセスプラント10は、一または複数のプロセス制御システム12、14を備えている。プロセス制御システム12は、PROVOXシステムまたはRS3システムの如き従来のプロセス制御システムまたはその他のDCSであってもよい。ここでいうその他のDCSは、オペレータインターフェイス12Aを備えており、このオペレータインターフェイス12Aはコントローラ12Bに結合され、次いで、コントローラ12Bは入力/出力(I/O)カード12Cに結合され、次いで、この入力/出力(I/O)カード12Cはアナログ型フィールドデバイスおよび高速アドレス可能遠隔トランスミッタ(HART)フィールドデバイス15の如きさまざまなフィールドデバイスに結合される。プロセス制御システム14は、分散型プロセス制御システムであってもよいが、イーサネット(登録商標)バスの如きバスを介して一または複数の分散したコントローラ14Bに結合する一または複数のオペレータインターフェイス14Aを備えている。たとえば、コントローラ14Bは、テキサス州オースティンにあるフィッシャーローズマウントシステムズ社(Fischer−Rosemount Systems、Inc.)により販売されているDeltaV(商標)コントローラであってもよいし、または、他のいかなる所望のタイプのコントローラであってもよい。制御装置14Bは、たとえばHARTフィールドデバイス、Fieldbusフィルールドデバイスの如きまたはPROFIBUS(登録商標)プロトコル、WORLDFIPR(登録商標)プロトコル、Device−Net(登録商標)プロトコル,AS−InterfaceプロトコルおよびCANプロトコルのうちのいずれかを用いるフィールドデバイスを含むその他のスマートフィールドデバイスもしくは非スマートフィールドデバイスの如き一または複数のフィールドデバイスに、I/Oデバイスを介して接続される。公知のように、フィールドデバイス16は、プロセス変数および他のデバイス情報に関連するアナログ情報またはデジタル情報をコントローラ14Bに提供しうる。オペレータインターフェイス14Aは、たとえば制御オプチマイザ、診断エキスパート、ニューラルネットワーク、チューナなどを含む、プロセスの動作を制御するためのプロセス制御オペレータに利用することができるツールを格納し、実行しうる。
さらに、AMSアプリケーションまたはその他のデバイス監視・通信アプリケーションを実行するコンピュータの如き保守システムは、保守アクティビティおよび監視アクティビティを実行すべく、プロセス制御システム12、14またはプロセス制御システム内の個々のデバイスに接続されうる。たとえば、保守コンピュータ18は、デバイス15と通信すべく、場合によっては、デバイス15を再設定すべく、またはデバイス15に他の保守アクティビティを実行すべく、任意の所望の通信回線またはネットワーク(無線ネットワークまたは携帯デバイスネットワークを含む)を介してコントローラ12Bおよび/またはデバイス15に接続されうる。同様に、AMSアプリケーションの如き保守アプリケーションは、デバイス16の動作状況に関連するデータ収集を含む保守・監視機能を実行すべく、分散型プロセス制御システム14に関連するユーザインターフェイス14Aの一または複数に実装され、これらにより実行されうる。
また、プロセス制御プラント10は、特定の恒久的通信リンクまたは一時的通信リンク(たとえば、バス、無線通信システム、または回転装置20に接続され、読み取りを行い、そして取り外される携帯デバイス)を介して、保守コンピュータ22に接続されるタービン、モータなどの如きさまざまな回転装置20も備えている。保守コンピュータ22は、テネシー州のノックスビルにあるCSIシステムにより販売されているたとえばRBMウェア(RBMware、登録商標)のような公知の監視・診断アプリケーション23または、回転装置20の動作状態を診断、監視、および、最適化するために用いられるその他の公知のアプリケーションを格納、実行しうる。保守作業員は、プラント10内の回転装置20の性能を維持・監視すべく、回転装置20の問題を判断すべく、および回転装置20の修理または交換する必要がある時期または必要性を判断すべく、アプリケーション23を利用することが多い。
同様に、プラント10に関連する電力発生・分配装置25を有した電力発生・分配システム24は、たとえばバスを介して、プラント10内の電力発生・分配装置25を実行してその動作を監視する他のコンピュータに接続されている。コンピュータ26は、電力発生・分配装置25を制御・維持すべく、たとえばLiebertおよびASCOまたは他の会社により提供されるような公知の電力制御・診断アプリケーション27を実行しうる。
プラント10内のさまざまな機能システムと関連するコンピュータまたはインターフェイスに通信可能に結合されるコンピュータシステム30が提供されている。これらの機能システムには、プロセス制御機能12、14、コンピュータ18、14A、22、26に実装される保守機能、およびビジネス機能が含まれる。とくに、コンピュータシステム30は、従来のプロセス制御システム12およびこの制御システムに関連する保守インターフェイス18に通信可能に接続され、分散型プロセス制御システム14のプロセス制御および/または保守インターフェイス14Aに接続され、回転装置保守コンピュータ22および電力発生・分配コンピュータ26に接続される。これらの接続にはすべてバス32を利用している。バス32は、通信をするために、所望または適切なローカルエリアネットワーク(LAN)プロトコルまたはワイドエリアネットワーク(WAN)プロトコルを利用してもよい。
図1に例示するように、コンピュータ30は、同一のまたは異なるネットワークバス32を介して、ビジネスシステムコンピュータと保守計画コンピュータ35、36とにも接続されており、これらのコンピュータは、たとえば統合基幹業務計画(ERP)、資材調達計画(MRP)、会計報告、生産・顧客依頼システム、保守計画システムを実行しうるし、または、部品・補充品・原材料注文アプリケーション、生産計画アプリケーションなどの如きその他の所望のビジネスアプリケーションを実行しうる。また、コンピュータ30は、たとえばバス32を介して、プラントワイドLAN37、コーポレートWAN38に加えて、遠隔地からプラント10の遠隔監視またはプラント10との通信を可能にするコンピュータシステム40にも接続されている。
一つの実施形態では、バス32を介した通信はXML/XSLプロトコルを利用して行われる。ここで、コンピュータ12A、18、14A、22、26、35、36などの個々のコンピュータからのデータは、XML/XSLラッパーにラッピングされ、たとえばコンピュータ30に搭載されうるXML/XSLデータサーバに送信される。XML/XSLは記述言語なので、このサーバはどのようなタイプのデータでも処理することができる。サーバでは、必要ならば、このデータは新しいXML/XSLラッパーにカプセル化される。すなわち、このデータは一方のXML/XSLスキーマから他方の一または複数のXML/XSLスキーマにマッピングされる。これら他方のスキーマは受信側アプリケーションのそれぞれに対して作成される。したがって、データ発信者は、それぞれ、該発信者のデバイスまたはアプリケーションが理解しやすいまたは利用しやすいスキーマを利用してデータをラッピングすることができ、受信側のアプリケーションは、それぞれ、該受信側のアプリケーションに用いられるまたは該受信側のアプリケーションが理解しやすい別のスキーマでこのデータを受信することができる。サーバは、データの送信元と送信先に応じて一方のスキーマから他方のスキーマにマッピングするように構成されている。所望の場合には、サーバは、データの受信に基づいてあるデータ処理機能または他の機能も実行してもよい。本明細書に記載するシステムが動作するまえに、マッピング機能および処理機能のルールが設定されてサーバ内に格納される。このようにして、任意の一方のアプリケーションから一または複数の他方のアプリケーションまでデータを送信しうる。
一般的にいえば、コンピュータ30は、資産活用エキスパート50を格納し、実行する。資産活用エキスパート50は、プロセス制御システム12、14、保守システム18、22、26、およびビジネスシステム35、36により生成されるデータおよび他の情報ならびにこれらのシステムのそれぞれにおいて実行されるデータ解析ツールにより生成される情報を収集する。資産活用エキスパート50は、たとえば、NEXUSにより現在提供されているOZエキスパートシステムに基づいたものでよい。しかしながら、資産活用エキスパート50は、たとえば任意のタイプのデータマイニングシステムを含む他のいかなる所望のタイプのエキスパートシステムであってもかまわない。重要なことは、資産活用エキスパート50が、プロセスプラント10においてデータ・情報交換所として動作し、保守領域の如き一方の機能領域からプロセス制御領域またはビジネス機能領域の如き他方の機能領域までデータまたは情報の分配を調整することができるということである。また、資産活用エキスパート50は、新しい情報またはデータを生成すべく収集済データを使用しうる。プラント10内のさまざまな機能に関連するコンピュータシステムのうちの一または複数にこれらの新しい情報またはデータを分配することができる。さらに、資産活用エキスパート50は、プロセス制御プラント10内で用いられる新しいタイプのデータを生成すべく収集済データを利用する他のアプリケーションを実行するかまたはこの実行を監視しうる。
具体的にいえば、資産活用エキスパート50は、指標生成ソフトウェア51を備えうるかまたは実行しうる。この指標生成ソフトウェア51は、プロセス制御・計測デバイス、電力発生デバイス、回転装置、ユニット、エリアなどのようなデバイスに関連する指標、または、プラント10内のループなどのようなプロセス制御エンティティに関連する指標を作成する。資産活用エキスパート50は指標総計ルーチン60をさらに備えていてもよいしまたは実行するようになっていてもよい。指標総計ルーチン60は、指標生成ルーチン51または他の指標生成ルーチンにより生成される指標を用いて、プロセス制御システム内の、またはより一般的には、一または複数のプロセス制御システムを備えうる資産活用システム内のさまざまなレベルに関連する指標を作成するようになっている。指標総計ルーチン60は、プロセス、ユニット、エリアなどに関連する総指標を作成するとき、重み付け値をさらに有している。指標総計ルーチン60は、別個のルーチンとして提供されてもよいし、または、指標生成ルーチン50の一部として提供されてもよい。
次いで、指標生成ルーチン51および/または指標総計ルーチン60により生成された指標を、プロセス制御の最適化を補助すべくプロセス制御アプリケーションに送信することができ、また、プラント10の運転に関するより完全な情報またはより理解し易い情報をビジネスパーソンに提供するためにビジネスソフトウェアまたはビジネスアプリケーションに送信することができる。また、資産活用エキスパート50は、制御の最適化の如き制御アクティビティをオペレータが実行することを補助すべく、たとえばプロセス制御システム14に関連する制御エキスパート52に保守データ(たとえば、デバイスステータス情報)およびビジネスデータ(たとえば、注文スケジュール、タイムフレームなど)も送信することができる。制御エキスパート52は、たとえばユーザインターフェイス14Aに搭載されてもよいし、または、所望ならば、制御システム14に関連するもしくはコンピュータ30内にあるその他のコンピュータに搭載されてもよい。一つの実施形態では、制御エキスパート52は、上述の米国特許出願番号第09/256,585号および同第09/499,455号に記載された制御エキスパートでありうる。
さらに、資産活用エキスパート50は、情報をプラント10内の一または複数のオプチマイザ55に送信することができる。たとえば、コンピュータ14Aに制御オプチマイザ55を実装することができ、この制御オプチマイザは、一または複数の制御最適化ルーチン55A、55Bなどを実行することができる。これに加えてまたはこれに代えて、コンピュータ30またはその他のコンピュータがオプチマイザルーチン55を格納・実行し、資産活用エキスパート50が必要なデータを送信することもできる。また、所望の場合には、プラント10は、該プラント10のある特徴をモデル化するモデル56を有しており、モデル化機能を実行するために、資産活用エキスパート50または制御エキスパート52の如き制御エキスパートもしくは他のエキスパートがこれらのモデル56を実行することができる。モデル化の目的は、2002年2月の28日に出願された、「プロセスプラント内の指標の作成および表示」という表題が付与された米国特許出願番号第10/085,439号に詳細に説明されている。この文献は、ここで参照することにより本明細書において明確に援用するものとする。しかしながら、一般的にいって、デバイスパラメータ、エリアパラメータ、ユニットパラメータ、ループパラメータなどを決定するため、オプチマイザルーチン55の一部として不良センサまたは他の不良装置を検出するため、プラント10内で使用される性能指標および利用率指標の如き指標を生成するため、性能監視または状態監視を実行するため、および、他の多くの用途のためにモデル56を用いることができる。モデル56は、イギリスのティーサイド(MDCTechnologylocated in Teeside, England)にあるMDCテクノロジにより作成・販売されているようなモデルであってもよいし、または、その他の所望のタイプのモデルであってもかまわない。ビジネスアプリケーションおよびプロセス制御アプリケーションの如き他のアプリケーションに用いられる指標を生成するために、モデル56により生成されるデータのうちの一部が指標生成ルーチン51により用いられてもよい。
資産活用エキスパート50は、バス32またはプロセス制御プラント10内の他のいずかの通信ネットワークを使用して、データが生成されると同時にまたは特定の定期的な時間でデータを受信する。その後、定期的にまたは必要に応じて、資産活用エキスパート50は、他のアプリケーションにこのデータを再分配するか、またはこのデータを用いてプロセスプラント10のさまざまな制御状況または運転状況に有益である他の情報を生成してプラント10内の他の機能システムに提供する。具体的にいえば、資産活用エキスパート50は、プロセスプラント10内のデバイス、ユニット、ループ、エリア、または、他のエンティティのうちの一または複数に関連する、性能指標、利用率指標、健全性指標および変動性指標の如き一連の総合指標を指標生成ルーチン51に作成させるべくデータを供給しうる。また、これらの指標の生成・利用も本明細書において詳細に説明する。
上述の説明の結果として、モデルを利用することにより、ビジネスアプリケーション、プロセス制御アプリケーション、および資産保守もしくは管理アプリケーションに対して多くの新規のタイプのデータまたは情報が提供される、ということが理解できる。具体的にいえば、性能監視を実行すべく、および、プラント内のデバイス、ユニット、エリアなどの相対的な性能を示す性能指標を生成するべく、モデルを利用することができる。この性能指標は、エンティティの潜在的性能に対するエンティティの性能の尺度でありうる。さらに、デバイスモデルおよびユニットモデルが以上において説明されたが、ループ、ユニットなどの如きプロセス制御エンティティに対して、これらのタイプのエンティティの性能尺度および最適化基準を提供すべく同様のモデルを作成して実行してもよい。また、上述のように、場合によっては、特定のデバイスの健全性または他のエンティティの健全性を測定または示すべくおよびこれらのエンティティを表す健全性指標を提供すべくモデルを利用することがある。たとえば、あるモデルに用いられる回帰分析により求められたある入力センサおよび出力センサの誤差の測定値は、これらのデバイスの健全性指標として利用されうるし、またはこれらのデバイスの健全性指標に変換されうる。また、モデルパラメータおよびこれらのモデルに基づく仮想センサの測定値の如きプロセス制御装置が通常利用できないような情報をプロセス制御装置またはビジネスパーソンに提供して複数の方法で利用しうる。
性能指標および健全性指標以外に、資産活用エキスパート50は、利用率指標および変動性指標の如き他のタイプの指標を作成するのに指標作成ルーチン51を補助することができる。変動性指標は、デバイス、ループ、ユニットなどに送信されるなんらかの信号、これらから配信されるなんらかの信号、またはこれらに関連する他のなんらかのパラメータが変動する程度をこの信号またはパラメータの予想される変動の程度と比較して示す。この変動性指標を作成するために必要なデータは、資産活用エキスパート50により収集され、任意の所望の時間もしくは都合よい時間に指標生成ルーチン51に供与されうる。もちろん、信号またはパラメータの正常変動量は、そのエンティティに詳しい製造業者、技術者、オペレータ、または保守作業員により設定されうるか、またはプラント内のそのエンティティもしくは他の同様のエンティティに関連する統計的尺度(たとえば、平均、標準偏差)に基づきうる。この正常なもしくは予測される偏差は、指標生成ルーチン51もしくは指標総計ルーチン60により格納されるかまたは指標生成ルーチン51もしくは指標総計ルーチン60内で更新されうる。
いかなる形態であれ、利用率指標は、個々のデバイス、ユニット、ループ、または他のエンティティの使用率を追跡または反映し、以前に決めたベンチマークまたは運転目標に基づいてこれらのエンティティが使用過多かまたは使用不足かに関するなんらかの指標を提供しうる。実際のデバイスの測定された使用率に基づいて利用率指標を生成することができる。たとえば、デバイスは、プロセス内でどの程度の頻度で使用されるかまたはどの程度の頻度でアイドリング状態のまま放置されているのかに関して測定され、この指標がそのエンティティの所望の使用頻度と比較され、そのエンティティが使用過多かまたは使用不足かを判定しうる。利用率指標は、使用しうる頻度または使用すべき頻度で使用されていない、換言すれば、使用のしすぎ、したがって使用過多のデバイス、ユニット、ループなどを特定しうる。場合によっては、利用率指標は、あるデバイスの適切な使用または所望の使用に関して下された事業意思決定に基づいて決定されることがある。
ここで図2を参照すると、プロセスプラント10内の指標総計ルーチン60と他のデータツールまたはデータ供給源との間のデータの流れの一部を例証するデータフロー図が示されている。1つの実施形態では、指標総計ルーチン60は、プロセスプラント内のデバイス、ループ、ユニット、エリアなどに関するステータス情報を提供するためのさまざまなルーチンおよびアプリケーションを実行しうる情報供給源から情報を受信するようになっている。指標総計ルーチン60は、さまざまなデータツールおよびデータ供給源からステータス情報のほとんどを受信するようになっている上述の資産活用エキスパート50の如き中央データ収集・共有・分配アプリケーションと組み合わせられてもよいし、または、別個のアプリケーションとして設けられてもよい。プラント10においてその場で保守されうるまたはプラント10から遠く離れたところから保守されうるあるサーバに集中的に、指標総計ルーチン60を設けることか可能である。これに代えて、ビジネスシステムコンピュータ35、保守コンピュータ18、22、保守計画コンピュータ36の如きいくつかのコンピュータの間に分散的に、指標総計ルーチン60を設けてもよい。さらに、指標総計ルーチン60は、インターネットおよび/またはプラントワイドLAN37上で利用可能であるとともに、ユーザインターフェイス12A、14A、58を通じてさまざまな人達に利用可能であるネットワークアプリケーションであってもよい。
上述のように、指標総計ルーチン60は、さまざまなデータ供給源から情報を受信するようになっている。データ供給源としては、データ収集器、データ生成器またはデータツールが挙げられ、指標生成ルーチン51、モデル生成ルーチン56、制御ルーチン62、保守システムアプリケーション64、データヒストリアン66、診断ルーチン68などが含まれる。1つの実施形態では、指標総計ルーチン60は、先に記載されている資産活用エキスパート50であって、先に参照した米国特許出願第10/085,439号においてさらに詳細に記載されている資産活用エキスパート50から情報を受信しうる。この情報は、あるデバイス、ループ、ユニット、エリアなどの健全性、性能、利用率および変動性に関する指標を含みうる。このデータは、他の機能システムがデータをどのように生成するまたは用いるかに基づいて、いかなる所望の形態を有することができる。さらに、このデータを上述のXML/XSLプロトコルの如きいかなる所望のまたは適切なデータ通信プロトコルおよび通信ハードウェアを用いて指標総計ルーチン60に送信してもよい。
指標生成ルーチン51、モデル生成ルーチン56、制御ルーチン62、保守システムアプリケーション64、データヒストリアン66、診断ルーチン68などから受信された情報は、論理群および/または物理群のデバイス内の各デバイスに対して重み付け値を作成し、割り当てるために用いられてもよい。たとえば、論理プロセス(たとえば、制御ループ)、サブユニット、ユニット、エリアまたはプラント内の各デバイスに対して、重み付け値を付与してもよい。さらに、論理プロセス、サブユニット、エリアまたはプラントを含む物理群および/または物理群に対して、重み付け値を作成し、付与してもよい。
一般的に、重み付け値は、同一の物理および/または論理な群内の複数のデバイス、ループ、サブユニットなどの間におけるあるデバイス、ループ、サブユニットなどの重要度または優先性と関係がある。換言すれば、ある群内の各資産は、その群内の各資産の評価に基づいてシステム上の判断基準、運用上の判断基準、資産上の判断基準などに従ってランクづけされ、ある重み付け値が、各資産に対してその重要度に基づいて付与される。たとえば、複数のデバイスおよび/またはループを含んでいるサブユニット内で、ある回転装置20が、フィールドデバイス16と比べてサブユニットの運転とってより重要であると考えられているとする。回転装置20およびフィールドデバイス16の両方が保守を必要とする場合、保守に割り当てられる資源の点において、回転装置20がフィールドデバイス16に比べて優先性を受けることが可能である。したがって、回転装置20はフィールドデバイス16に付与される重み付け値よりも大きな重み付け値を付与されることになる。同様に、あるエリア内のサブユニットおよび/またはユニットの間において、一方のサブユニットが、他方のサブユニットよりもエリアにとってより重要であると考えられると、それに応じて重み付けされる。いうまでもなく、プラント内のエリアが重要度に応じて重み付けされてもよいし、また、ビジネスエンタープライズ内のプラントがそれと同様に重み付けされてもよい。さらにいうまでもなく、ある群内の資産がその直前のレベルに限定される必要がない。たとえば、エリア内の各ユニットにしか付与されないというよりは、エリア内の各々のデバイス、ループ、サブユニットおよび/またはユニットに対して、重み付け値を付与することが可能である。同様に、プラント内の各々のデバイス、ループ、サブユニット、ユニットおよび/またはエリアに対して、重み付け値を付与することが可能である。ユーザは、ユーザにとても役立つやり方でグループ化を定義して、それに従って、重み付け値を付与してもよい。したがって、各々のデバイス、ループ、サブユニット、ユニット、エリア、プラントなどがある群内のその重要度に従って重み付けされてもよく、よって、ある与えられた群内の各資産がある重み付け値を付与されていることになる。
一般的に、デバイス、ループ、サブユニット、ユニット、エリアなどの重要度およびその対応する重み付け値は、2つの要因に基づく:資産が故障した場合の群に対する衝撃および故障の頻度。たとえば、故障した場合にエリアに対する衝撃がほとんどないデバイスは、故障中にエリア対して大きな衝撃を与えるデバイスよりも低い重み付け値が付与される。同様に、故障頻度の少ないデバイスは、故障頻度の多いデバイスよりも低く重み付けされる。故障の衝撃および頻度が定量化され、故障の衝撃および頻度の掛け合わせたものが重み付け値になる。故障の衝撃および頻度の評価はさまざまな因子に基づいたものになる。これらの因子には、制限するわけではないが、プロセス情報、オンライン監視情報、履歴情報、保守情報、診断情報および、プロセスプラント作業員の経験に基づくヒューリスティック情報が含まれる。
指標総計ルーチン60は、他の供給源から各重み付け値を受信することによりまたはさまざまな供給源からの情報に基づいて各重み付け値の作成することにより、ある郡内の各々のデバイス、ループ、サブユニット、ユニット、エリア、プラントなど関連する重み付け値を取得することが可能である。たとえば、指標総計ルーチン60は、ある郡内の各々のデバイス、ループ、サブユニット、ユニット、エリア、プラントなどの故障の衝撃および頻度に関連するデータを受信し、故障の衝撃および頻度に基づいて各重み付け値(たとえば、故障の衝撃度および頻度を掛け合わせたもの)を作成してもよい。
他の実施例では、指標総計ルーチン60は、ある群内の各々のデバイス、ループ、サブユニット、ユニット、エリア、プラントなどに関連する情報であって、その群内の各資産の故障の衝撃および頻度を評価してその郡内の各資産の重み付け値を作成するための情報を受信することが可能である。この情報には、上述のプロセス情報、オンライン監視情報、履歴情報、保守情報、診断情報およびヒューリスティック情報が含まれうる。したがって、指標総計ルーチン60は、図2に示されているようなモデル生成ルーチン56、制御ルーチン62、保守システムアプリケーション64、データヒストリアン66、診断ルーチン68または他のデータ供給源と通信可能に結合されている。一群の資産内のある資産の故障の衝撃および/または頻度を評価するために、さまざまなタイプの情報の各々を用いることが可能である。たとえば、履歴情報、診断情報および保守情報は、あるデバイスの前の故障に関する情報を提供することが可能であり、履歴情報、プロセス情報、オンライン監視情報およびヒューリスティック情報は、群に対する過去の故障の衝撃または群に対する予測された故障の衝撃についての情報を提供することが可能である。もちろん、いうまでもなく、重み付け値が、資産活用エキスパート50または指標生成ルーチン51を含むプロセスプラント内の他のルーチンもしくはシステムを用いて同様の方法で作成されてもよいし、または、プロセスプラントの外側で作成されてもよい。
あるグループ内の各々のデバイス、ループ、サブユニット、ユニット、エリア、プラントなどに関する重み付け値を取得することに加えて、指標総計ルーチン60は、その郡内の各々のデバイス、ループ、サブユニット、ユニット、エリア、プラントなどのステータスに関する指標を取得するようになっている。これらの指標は指標生成ルーチン51から得られてもよく、各指標は、上述の健全性指標、利用率指標、性能指標または変動性指標を含みうる。各指標の具体例およびその生成については、以下にさらに記載されていることに加えて、先に参照した米国特許出願第10/085,439号にも記載されている。しかしながら、いうまでもなく、ある郡に対する総指標を決定するために、指標総計ルーチン60により他のさまざまな指標が用いられてもよい。
したがって、重み付け値は、重み付け値を受け取ることにより取得されてもよいし、故障の衝撃および頻度を受信して情報重み付け値を作成することにより取得されてもよいし、または、モデル生成ルーチン56、制御ルーチン62、保守システムアプリケーション64、データヒストリアン66、診断ルーチン68などから情報を受信し、故障の衝撃および頻度を評価し、論理的および/または物理的な群内の複数のデバイス、ループ、サブユニット、ユニット、エリアおよび/またはプラントなどの各々に対して重み付け値を作成することにより取得されてもよい。さらに、論理的および/または物理的な群内の複数のデバイス、ループ、サブユニット、ユニット、エリアおよび/またはプラントなどの各々に関する指標が指標総計ルーチン60により取得されてもよい。これらの重み付け値と指標とを用いて、指標総計ルーチン60は、総健全性指標、総利用率指標、総性能指標または総変動性指標の如きその群の全体的なステータスに関する総指標を作成することが可能である。指標総計ルーチン60は、次の一般式に従って加重平均として総指標を計算することが可能である。
この式で、u=群の総指標、n=群内の資産の数、h
i=i番目の資産の指標、w
i=i番目の資産の重み付けである。
上述の式から明らかなように、ある群の総指標は、総指標の範囲が総指標の作成に用いられ指標の範囲内である規格化された表現として作成されている。このことにより、上述の表現をさまざまな指標範囲に用いることが可能となるとともに、総指標を重要度が異なる資産を有するさまざまな資産群に用いることが可能となる。具体的にいえば、郡内の各資産に対する指標値が共通の指標値の範囲内にあり、郡内の各資産に対する重み付け値が共通の重み付け値の範囲内にある。したがって、その群の総指標は、その群内の資産の指標に用いられている同一の範囲内にあることになる。たとえば、uiの値は0から100までの数であり、「0」は、既知の使用指標が低いこと(たとえば、貧弱な健全性、貧弱な性能、低い利用率、高い変動性など)に対応しており、「100」は、指標が高いこと(たとえば、優れた健全性、優れた性能、高い利用率、低い変動性など)に対応している。したがって、総指標uは、郡内の資産により用いられる指標の範囲に対応する0から100までの数として提供されている。さらに、wiは、0から100までの数であり、「0」は既知の重要度が低いことに対応しており、「100」は重要度が高いことに対応している。
上記の例ではuiとwiが同一の値域を有することが示されているが、指標の値域は重み付け値に用いられる範囲とは異なっていてもよい。場合によっては、指標および/または重み付け値が公知になっておらず郡内のある資産について他の方法で入手できない場合もあるが、この場合、資産の指標および/または重要度について仮定するのが難しい。したがって、得られる総指標が歪まないようにするために、uiおよび/またはwiの値をゼロにセットする。すべての重み付け値がゼロである場合には、ゼロによる除算を回避するために、総指標のデフォルト値がゼロにセットされる。上記の範囲は例示のみを意図して提供されており、上記のパラメータに整合するさまざまな範囲が用いられてもよい。
作用においては、指標総計ルーチン60は、ある群内の各資産のステータスに関する指標を取得し、ある群内の各資産の重要度(たとえば、重要度、優先性)に関連する重み付け値を取得し、群全体に関する総指標を作成するようになっている。たとえば、エリアは、いくつかのデバイス、ループ、サブユニットおよびユニットを含んでいる場合がある。そのエリア内の各デバイスの健全性指標値および重み付け値を取得することにより、そのエリアの全体的な健全性を決定することが可能となる。これに代えて、そのエリア内のループ、サブユニットまたはユニットに基づいて、または、そのエリア内のデバイス、ループ、サブユニットおよびユニットの組み合わせに基づいて、そのエリアの総健全性指標を計算してもよい。次いで、指標総計ルーチン60は、プラント内の各エリアの健全性を計算してもよいし、または、指標生成ルーチン53からエリア健全性指標を受信し、プラント内の各エリアの重み付け値を取得し、プラントの全体的な健全性に対応する総健全性指標を生成してもよい。同様の総指標が、ループ、サブユニット、ユニット、ビジネスエンタープライズまたはその他の階層レベルで決定されてもよい。
一般的に、個々のデバイスに対して、論理的および/または物理的なデバイス群に対して、論理的処理(たとえば、制御ループ)に対して、ユニット、エリア、プラントなどの如き論理的なデバイス群に対して、指標生成ルーチン51により生成され指標の各々を計算することが可能である。一方、論理的および/または物理的なデバイス群、論理的処理(たとえば、制御ループ)、ユニット、エリア、プラントなどの如き論理的なデバイス群に対する総指標を計算するために、指標生成ルーチン51により生成され指標の各々を、指標生成ルーチン51により提供される指標に基づいて、指標総計ルーチン60または他の指標の供給源により以前に決定された指標に基づいて、また、デバイス、論理的および/または物理的なデバイス群、論理的処理、ユニット、エリア、プラントなどの各々に関連する重み付け値にさらに基づいて計算することが可能である。換言すれば、原則的には、プロセス制御システムまたはさらに一般的に一または複数のプロセス制御システムを備えうる資産活用システムの装置階層および論理的階層の各々のレベルにおいて、指標を計算することが可能である。しかしながら、ある指標の意味するところは、その指標が生成され表示される背景(すなわち、指標が論理的な群のデバイスおよび/もしくはパラメータに対応しているかまたは物理的な群のデバイスおよび/もしくはパラメータに対応しているか)に依存しうるし、また、指標が表示される階層レベルに依存しうる。たとえば、装置階層の最低レベルでは、指標は、バルブ、温度センサ、アクチュエータなどの如き物理的デバイスに対応している。したがって、各デバイスは、そのデバイスが生産されたときにそのデバイス内に格納される情報に基づいてそのデバイス内に生成されうるまたはそのデバイスに対して生成されうる一組の固有の指標を有することが可能である。したがって、各デバイスは、必要に応じて、より高い階層レベルおよび資産活用エキスパート50に対してその指標を生成および提供することが可能である。
同様に、ユニットまたはループは、それぞれ一または複数のデバイスまたは機能ブロックから構成されており、一組の固有の指標を有しうる。しかしながら、このユニットまたはループ内で用いられる個々のデバイスまた他は機能ブロックの指標の値を数学的に結合させることにより、各ユニットの指標またはループの指標の値を生成することが可能である。したがって、ユニットまたはループが圧力トランスミッタ、バルブ、およびポンプ(または、これらのデバイスの動作に関連する機能ブロック)により構成されている場合、このユニットまたはループの指標の値は、このユニットまたはループを構成するデバイスまたは機能ブロックのそれぞれに対して生成された指標の値またはこれらのデバイスまたは機能ブロックのそれぞれにより生成された指標の値のさまざまな数学的な結合に基づきうる。同様に、このサブユニットおよびユニットの階層レベルが一または複数のループにより構成され、次いで、これらのループがデバイスにより構成されているので、各ユニットおよびサブユニットに対する指標値は、ループ指標値またはデバイス指標値の数学的結合により生成しうる。さらに、エリア指標は、そのエリア内のユニット、ループ、デバイスなどの結合として決定されうる。
また、一般的にいって、プラント10内のコンピュータのうちの一または複数が一または複数のユーザインターフェイスルーチン58を格納・実行することができる。たとえば、コンピュータ30、ユーザインターフェイス14A、ビジネスシステムコンピュータ35、またはその他のコンピュータはユーザインターフェイスルーチン58を実行しうる。各ユーザインターフェイスルーチン58は、資産活用エキスパート50からの情報を受信または購読でき、同一セットまたは異なるセットのデータが各ユーザインターフェイスルーチン58に送信されうる。ユーザインターフェイスルーチン58のうちのいずれの一つでも、異なるタイプの情報を異なるスクリーンを用いて異なるユーザに提供することができる。たとえば、ユーザインターフェイスルーチン58のうちの一つは、制御オペレータまたはビジネスパーソンに一つのスクリーンまたは一組のスクリーンを提供することにより、標準制御ルーチンまたは制御最適化ルーチンにおいて利用する制約の設定または最適化変数の選択を制御オペレータまたはビジネスパーソンができるようにしうる。ユーザインターフェイスルーチン58は、指標生成ソフトウェア51により作成された指標をある協調した方法でユーザが閲覧することを可能にする制御ガイダンスツールを提供しうる。また、この制御ガイダンスツールにより、オペレータまたはその他の人は、デバイス状態、制御ループ状態、ユニット状態などについての情報を得ることができ、これらのエンティティの問題に関連する情報を容易に閲覧することができる。というのは、この情報はプロセス10内の他のソフトウェアにより検出されているからである。また、ユーザインターフェイスルーチン58は、ツール23、27、AMSアプリケーションの如き保守プログラム、もしくはその他の保守プログラムにより提供もしくは生成される性能監視データまたは資産活用エキスパート50と協同してモデルが生成する性能監視データを利用して性能監視スクリーンを提供しうる。もちろん、ユーザインターフェイスルーチン58は、プラント10の一部の機能領域または全部の機能領域へのアクセスをいかなるユーザに対しても提供し、これらの領域おける選択肢または他の変数をユーザが変更できるようにしうる。
図1のシステムの一つの重要な特徴は、ユーザインターフェイスルーチン58がグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を提供しており、GUIは本明細書で記述される資産活用エキスパート50と一体化され、資産活用エキスパート50により提供される多種の資産活用機能とユーザとが相互に作用することを容易にすることにある。しかしながら、より詳細にGUIを説明するまえに、GUIが任意の適切なプログラム言語およびプログラム技術を利用して実施される一または複数のソフトウェアルーチンを有しうることを認識する必要がある。さらに、GUIを構成するソフトウェアルーチンは、プラント10内のワークステーション、制御装置などの如き単一処理ステーションまたはユニット内に格納・処理されてもよく、またはGUIのソフトウェアルーチンは、複数の処理ユニットを利用して分散する方法で格納・実行されてもかまわない。これらの処理ユニットは、資産活用システム内において互いに通信可能に結合されている。
好ましいが必要というわけではないが、GUIは良く知られたグラフィカルウインドウ式構造および外見を用いて実現しうる。ここでは、相互リンクした複数のグラフィカルビューまたはページが一または複数のプルダウンメニューを有しており、これにより、ユーザは所望の方法でそれらのページ全体を通してナビゲートされ、特定の種類の情報を閲覧および/または検索することができる。上述された資産活用エキスパート50の特徴および/または能力は、そのGUIの一または複数の対応するページ、ビュー、または表示画面を介して、表示、アクセス、呼び出されうる。さらに、GUIを構成する多種の表示画面は、論理的な方法で相互にリンクされており、ユーザは迅速にかつ直感的にすべての表示画面を通してナビゲートされ特定の種類の情報の検索または資材活用エキスパート50の特定の機能へのアクセスおよび/もしくはその呼び出しを行うことができる。
一般的にいえば、本明細書で記載されるGUIは、プロセス制御エリア、ユニット、ループ、デバイスなどの直感的なグラフィカル描画または表示画面を提供する。これらのグラフィカル表示画面はそれぞれ、GUIにより表示されるあるビューに関連する数値ステータスおよび指標(その一部または全部は上述の指標生成ルーチン51および指標総計ルーチン60により生成されうる)を有しうる。たとえば、プロセス制御エリアを描画する表示画面はそのエリア(すなわち、装置のある階層レベルにおけるプロセス制御システムのある部分)のステータスおよび性能を反映する一組の指標を提供しうる。これに対して、ループを描画する表示画面は、その特定のループに関連する一組のステータス指標および性能指標を提供しうる。いずれにしろ、ユーザは任意のビュー、ページ、または表示画面内に示される指標を利用して、その表示画面内に描画されるデバイス、ループなどのうちのいずれかに問題が存在するか否かを迅速に評価しうる。
さらに、本明細書で記述されるGUIは、自動的にまたはユーザの要求に応答して、保守情報をそのユーザに提供しうる。この保守情報は、資産活用エキスパート50の任意の部分により提供されうる。同様に、GUIは、アラーム情報、プロセス制御情報などを表示しうるし、また、この情報は資産活用エキスパート50によっても提供されうる。さらに、GUIは、プラント10内で発生した問題または発生しうる問題に関するメッセージをユーザに提供しうる。これらのメッセージは、問題の記述、現在の問題を回避するために実施しうる有望な変更または潜在的な問題の回避のために実施しうる有望な変更の提案、問題の解決または回避のために遂行されうる行動計画の記述などを行うグラフィカル情報および/またはテキスト情報を有しうる。
一般的にいえば、本明細書で記載されるGUIは、プロセス制御エリア、ユニット、ループ、デバイスなどの直感的なグラフィカル描画または表示画面を提供する。これらのグラフィカル表示画面はそれぞれ、GUIにより表示されるあるビューに関連する数値ステータスおよび性能指標(その一部または全部は上述の指標生成ルーチン51により生成されうる)を有しうる。たとえば、プロセス制御領域を描画する表示画面はその領域(すなわち、装置の階層構造の特定のレベルにおけるプロセス制御システムの特定の部分)のステータスおよび性能を反映する一組の指標を提供しうる。これに反して、ループを描画する表示画面は、その特定のループに関連する一組のステータス指標および性能指標を提供しうる。いずれにしろ、ユーザは任意のビュー、ページ、または表示画面内に示される指標を利用して、その表示画面内に描画される任意のデバイスおよびループなどのうちのいずれかに問題が存在するかどうかを迅速に評価しうる。
さらに、本明細書で記述されるGUIは、自動的にまたはユーザの要求に応答して、保守情報をそのユーザに提供しうる。この保守情報は、資産活用エキスパート50の任意の部分により提供されうる。同様に、GUIは、アラーム情報およびプロセス制御情報などを表示しうるし、また、この情報は資産活用エキスパート50によっても提供されうる。さらに、GUIは、プラント10内で発生した問題または発生しうる問題に関するメッセージをユーザに提供しうる。これらのメッセージは、問題の記述、現在の問題を回避するために実施しうる有望な変更または潜在的な問題の回避のために実施しうる有望な変更の提案、問題の解決または回避のために遂行されうる行動計画の記述などを行うグラフィカル情報、および/またはテキスト情報を有しうる。
図3は、GUIにより表示されうるプロセス制御システム内のユニット100を表す表示画面の一例である。図3に示されるように、ユニット100は、バルブ、ポンプ、温度トランスミッタなどの如き複数のデバイスを備えており、それらはすべて、例示されているようにグラフィックスで描画されうる。加えて、その表示は、線、矢印、および多種のデバイス間の論理的および物理的な相互接続を表す別の印をさらに有しうる。もちろん、プロセス制御システム(またはプロセス制御システムの一部)のそのようなグラフィカル表現はその分野においては周知のことであり、よって、これらのグラフィカル表現または表示を実現する方法については本明細書においてはこれ以上詳しくは記述しない。
重要なことには、図3に示されるGUI表示画面は、複数の指標名および数値150を有している。具体的にいえば、指標名および数値150は、性能指標、健全性指標、変動性指標および利用率指標を有しており、それらはすべて、資産活用エキスパート50、指標生成ルーチン51および指標総計ルーチン60に関連して先に既に簡単に説明されている。指標名および数値150は、示されている表形式または所望の他のどのような形式ででも表示されうる。指標名および数値150は、ユニット100全体の性能および状況を表しており、したがって、示される指標数値は、ユニット100を構成しているサブユニットおよび/またはデバイスのそれぞれと関連する指標数値で構成されていることが好ましい、しかし、必要ということではない。
GUIの各種表示画面に関連して本明細書において詳細に記載されるように、指標生成ルーチン51および指標総計ルーチン60により生成される、たとえば性能指標、健全性指標、変動性指標および利用率指標などを含む指標がGUIにより表示されてもよいし、本発明の範囲を逸脱することなく、さらなるおよび/または異なる指標が資産活用エキスパート50により生成されGUIにより表示されてもよい。
以下において詳細に説明するように、上述のループ階層レベル、サブユニット階層レベル、ユニット階層レベルおよびエリア階層レベルに対する指標値を形成すべくデバイス指標値を数学的に結合するために、加重和、加重平均またはその他の適切な数学的結合が用いられてもよい。もちろん、性能指標、健全性指標、変動性指標および利用率指標のうちの一または複数の計算が、すべてのレベルの論理的階層および装置階層に対して、適切であり、要求され、または役に立つということではない。図4は、性能指標(PI)、健全性指標(HI)、変動性指標(VI)および利用率指標(UI)が上述のシステム階層のデバイスレベル、ループレベル、サブユニットレベルおよびユニットレベルに対して生成されうるまたは生成されえない一つの様態を示すテーブルの一例である。図4に示すように、PIは、ユニットレベルまたはサブユニットレベルに対して生成されうる。このユニットレベルまたはサブユニットレベルでは、このユニットレベルまたはサブユニットレベルのモデル(たとえば、モデル56のうちの一つ)をこのユニットレベルまたはサブユニットレベルの実際の性能と比較することによりまたはその他の所望の方法により、PIを計算することが可能である。具体的にいえば、この背景における(すなわち、上述の階層のユニットレベルまたはサブユニットレベルにおける)PIは、たとえば、理論的最大効率に対する効率であってもよいし、またはこれに代えて、実際のシステム性能に基づいた経験に導かれた最大効率に対する効率であってもよい。また、図4に示したテーブルから、個々のデバイスまたはループに対してPIを計算する必要がないことも分かる。しかしながら、用途によっては、ループまたはデバイスに対してPIを計算することが望ましい場合もある。たとえば、あるデバイスのPIを計算する場合、デバイスの製造業者は、デバイス内に性能情報を格納しておくことによりデバイスが実際の性能特性(たとえば、動作効率など)と格納された性能情報との比較結果に基づいてPIを計算しすることが可能となっている。この格納された性能情報には理論最大デバイス効率が含まれうる。もちろん、指標生成ルーチン51または指標総計ルーチン60もこの機能を実行しうる。ループのPIを計算する場合、システムは、たとえば、最大ループ誤差または平均ループ誤差(すなわち、定常状態誤差信号)を、理想的には零でありうる、ある所定の最小誤差値と比較しうる。このようにして、小さなループ誤差が、望ましい性能を表すPI値に対応することが可能となる。
また、図4は、上述の階層のループレベルおよびデバイスレベルでVIを計算することが可能であることを示している。デバイスレベルで、デバイス出力の変化または偏差を予測変化量もしくは所望変化量または予測偏差量もしくは所望偏差量と比較することにより、VIを計算することが可能である。高すぎるVI値または低くすぎるVI値は、デバイス不良もしくはデバイス異常または目前に迫った不良もしくは異常を示しうる。同様に、ループレベルで、極端に高頻度のループ出力の変化または極端に大きなループ出力の変化は、問題が存在していることを表しうる。いずれにしても、ループおよびデバイスのVIは、実際のパラメータの変動と予測されるパラメータの変動との比較に基づいており、これは、理論的にまたは実験的に求めることが可能である。図4は、ユニットレベルおよびサブユニットレベルのVIを計算しなくてもよいことを示しているが、用途によっては、これらのレベルのVIを計算することが望ましい場合もある。
さらに、図4により、デバイスレベル、ループレベル、サブユニットレベルおよびユニットレベルに対してHIを計算することが可能であることが示されている。あるデバイスの健全性指標(HI)をそのデバイスの使用履歴に基づきうる。具体的にいえば、デバイス製造業者は、デバイス内にそのデバイスのライフサイクルに関する情報を格納することが可能であり、デバイスの使用時間と動作中にデバイスが受けた動作環境からの影響(たとえば、温度変動、ショックなど)とに基づいて、該デバイスが、ライフサイクル曲線に沿ってどの程度移動(すなわち、経年)したのかを判断しうる。デバイス製造業者は、デバイスをプログラムして、デバイスのライフサイクルの現在のステータスを示すHI値を提供するようにすることが可能である。たとえば、ストローク式バルブは、フルストロークサイクルで、250,000回の予想寿命動作ライフサイクルを有すことができ、このストローク式バルブデバイスは通常のスマートフィールドデバイスであり、このデバイスの製造業者は、生涯動作ストローク数をこのバルブが現在到達しているストローク数とともにメモリ内に格納している。したがって、HI値が0と10との範囲(0は最低の健全性を表し、10は最高の健全性を表す)である場合、このバルブにより生成されるHI値は、ストローク数が0から250,000になるに従って0から10に上昇することになる。もちろん、HI値とライフサイクル特性(たとえば、ストローク)との間の正確な関係が線形関係でないこともある。しかし、ライフサイクル特性の多くは、デバイス性能/動作の不良および劣化が時間の経過とともに、ストロークの完了につれて、等々に従って、急激に進むようになる指標特性または多項式特性に従うものである。もちろん、デバイスの現在の検出状態およびデバイスの動作状態に基づいて、そのデバイスのHIを定義または算出する方法は他にも多くある。たとえば、デバイスに二つの軽微な問題が検出された場、このデバイスのHI値が下がるようになっていてもよい。
これに対して、ループのHIは、好ましくはしかし必ずしも必要という訳ではないが、ループを構成する個々のデバイスまたは機能ブロックのHI値の数学的結合(たとえば、加重和もしくは加重平均など)である。また、同様に、サブユニットレベルまたはユニットレベルのHI値が、ループおよびサブユニットのHI値である下位のHI値の数学的結合であってもよい。したがって、最終的には、デバイスレベルの上方にある階層レベルのHI値は、合成値を形成しているデバイス等の一または複数のHI値に基づくものである。
また、図4にも示されているように、UI値は、ループレベル、サブユニットレベルおよびユニットレベルに対して計算されうるものの、デバイスレベルに対して必ずしも計算される必要はない。一般的にいえば、UIは、ある資産(たとえば、ループ、サブユニットまたはユニット)がその容量または所望の使用率に対して使用されている程度を表している。たとえば、UI値は、ユニット、サブユニットまたはループが出力を制御または生成するために用いられている時間に基づくものであってもよい。これに加えてまたはこれに代えて、UI値は、ループ、サブユニットおよび/またはユニットにより処理されている材料の量と、このループ、サブユニット、ユニットなどにより処理されうる最大量との比較に基づくものであってもよい。
図5は、図3に示されているユニット300のPIを計算しうる一つの方法を示すチャートの一例である。図5に示されているように、ユニット100を構成する複数のループ175はそれぞれ、特有のPIおよび重み係数を有しており、これらは、ユニット100の全体的な動作に対するそのループの相対的な重要度に基づいてユーザにより選択または定義されうる。次いで、ループ175の指標および重みは、加算平均を利用して数学的に結合され、ユニット100に対して81.8というPI値が導かれる。
同様に、ユニット100のHIは、ユニット100を構成するデバイス(および/またはループ)すべてのHI値の重み付け平均として計算されうる。この重み付け平均に含むべき数値を表すために、図6に示すようなテーブルが用いられてもよい。また、図11にも示されているように、テキスト記述が特定のデバイスおよび指標値に関連付けられてもよい。これらのテキスト記述は、HI値およびそのHI値に関連したデバイスに基づいて診断情報、保守情報などを提供しうる。
図7は、図3に示されているユニット500の如きユニットに対してVI値を計算しうる一つの方法を例示するテーブルの一例である。HIと同様に、図3のユニット500に対して計算されたVIは、ユニット500を構成する個々のデバイス、ループおよび/またはサブユニットのVI値の重み付け平均に基づくものである。もちろん、GUIは、図10〜図12に例示されているような重み付け平均データを閲覧する機能をユーザに提供してもよいし、また、ユーザがその重み付けを変更できるようにしてもよい。
図8は、プラント10内のプロセスエリアの動作ステータスおよび性能をユーザが迅速に解析できるようにGUIにより提供されうるグラフィカル表示画面の一例である。図8に示すように、GUIは、プロセスエリア200内の物理的装置(そして、それらの間の配線)をグラフィック様態で描画しうる。もちろん、プロセスエリアが図8に示すGUI表示画面内に描画されているが、いうまでもなく、これに代えて、たとえば、ユニット、サブユニット、ループ、デバイスなどの如き、プラント10のその他の部分が、同一の結果または同様な結果を達成するために示されてもよい。いずれにしても、プロセスエリア200は、一対のタンクと、複数の温度トランスミッタ、圧力トランスミッタ、流量トランスミッタなどと、パイプとを有しているように描画されており、それらをすべて、図8に示すように相互に接続してもよい。さらに、物理的デバイスの各々は、プラント10内でそのデバイスを一意に識別する付随した英数字式識別子(たとえば、TT−394)とともに表示されてもよいし、さらに、そのデバイスに関連する検出パラメータのステータスを、ユーザが迅速に判断することを可能とするグラフィック式の計測器またはゲージ(すなわち、部分的に陰を施した半円形の特徴物)と共に表示してもよい。たとえば、GUIは、温度トランスミッタに関連するグラフィック式計測器またはゲージを表示してもよいし、また、温度トランスミッタにより現在検出されている温度に基づいてグラフィック式計測器に多少の影をつけてもよい。重要なことは、エリア200内で示されるデバイスのうちの一または複数のデバイスのVI値、HI値、UI値およびPI値が表示されうるということである。単に例示のみを意図するものであるが、エリア200内のタンク210に接続されているデバイスのうちの複数のデバイスのHI値が表示される。しかしながら、所望ならば、さらに多いHI値またはさらに少ないHI値が表示されてもよい。加えて、所望ならば、エリア200内に存在するデバイスのうちのいずれかのさまざまな指標値または複数の群の指標値が表示されてもよい。図8に示す表示画面から分かるように、ユーザは、エリアが、正しくに動作し、継続して正しく動作するか否かを迅速に確認することができる。さらに、ユーザは、注意を必要としうるおよび/または問題を起こしうるデバイス、ユニット、サブユニットなどを迅速に識別することがさらにできる。
いうまでもなく、ユーザがプラント内の低レベルのエンティティを順次に閲覧し、これらの異なるエンティティまたはビューのそれぞれに付随する指標についての情報を取得してもよい。したがって、たとえば、ユーザは、プラントのビューを閲覧し、そのプラントの一組の指標を閲覧することが可能である。次いで、ユーザは、そのプラントのビュー内のエリアのうちの一つをクリックすることにより一つのエリアに集中し、そのエリアに関連する指標を閲覧することが可能である。同様に、表示されたエリア内のユニットをクリックすることにより、さまざまなユニットの指標を閲覧することが可能である。同様に、これらのさまざまなエンティティが設置されている1つのエンティティのビューからこれらのエンティティに焦点を合わすことにより、ループ、サブユニット、デバイスなどの指標を閲覧することが可能である。このように、ユーザは、プラントの任意の地点またはレベルにおいて、予測した指標よりも低い(または高い)原因を素早く突き止めることができる。
図9は、エリア200内で用いられる任意のデバイスに関連した監査証跡情報をユーザが閲覧できるようにGUIにより提供されうる表示画面の一例である。単に例示のみを意図するものであるが、ユーザは、マウスを用いてある与えられたデバイスもしくはその英数字式識別子をクリックするか、または、キーボードを介してその英数字式識別子を入力することにより、そのデバイスのポップアップ監査証跡ウインドウ250を要求しうる。このように、ユーザは、この監査証跡情報を利用して、不適切な指標値または許容できない指標値がデバイスの正しい校正または適時な校正の失敗に関連があるか否か、デバイスが正しく設定されていたか否かなどを判断することができる。
図10は、あるエリアに関連する総合指標をユーザが閲覧できるようにGUIにより提供されうる表示画面の一例である。 単に例示のみを意図するものであるが、指標総計ルーチン60により求められたエリアの総健全性指標は、表示画面の左上に配置されており、エリアのデバイスはその下方に表示されている。ユーザは、マウスを用いてある与えられたデバイスもしくはその英数字式識別子をクリックするか、または、キーボードを介してその英数字式識別子を入力することにより、そのデバイスのウインドウを要求しうる。このように、ユーザは、不適切な指標値または許容できない指標値がエリア内の不良デバイスに関連があるか否か判断するために、重み付け値、健全性指標、記述、位置、アラートなどの如きそのデバイスに関するさらなる詳細な情報を閲覧することができる。
資産活用エキスパート50、指標生成ルーチン51、指標総計ルーチン60および他のプロセスエレメントがソフトウェアにより実現されることが好ましいと記載されているが、ハードウェア、ファームウェアなどにより実現されてもよいし、また、プロセス制御システム10に関連したその他のプロセッサにより実施されてもよい。したがって、本明細書に記載のエレメントは、標準型多目的CPUによりまたは所望ならば特定用途向けIC(ASIC)もしくは他のハードワイヤードデバイスの如き特別に設計されたハードウェアもしくはファームウェアにより実現されてもよい。ソフトウェアにより実現された場合、ソフトウェアルーチンは、磁気ディスク、レーザディスク、または他の格納媒体の如き任意のコンピュータ読取り可能メモリ内、コンピュータのRAMまたはROM内、任意のデータベース内などに格納されうる。同様に、このソフトウェアは、たとえば、コンピュータ読み取り可能ディスクもしくは他の伝送可能なコンピュータ格納メカニズム、または電話回線、インターネット、無線通信などの如き通信チャネルを含む公知または所望の任意の伝送方法を介してユーザまたはプロセス制御プラントに伝送されうる(電話回線、インターネット、無線通信などの如き通信チャネルの利用は、伝送可能な格納媒体を介してこのソフトウェアを提供することと同一または互換性があると考えられている)。
したがって、本発明は特定の例を参照して記載したが、これらの例は説明のみを意図し、本発明を限定することを意図したものではなく、本発明の技術思想および技術範囲から逸脱することなく、開示された実施例に変更、追加、または削除を加えうることは当業者にとって明らかである。