JP2012188967A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 エンジン始動時にカムトルクの作用によりストッパピンの予期せぬ抜けを防止するバルブタイミング調整装置を提供する。
【解決手段】 バルブタイミング調整装置のブッシュ70はストッパピンが嵌合する貫通孔702を形成する内壁面703、704を有する。ブッシュ70の中心軸70aに垂直な面を仮想し、中心軸70aと仮想した垂直な面との交点を原点703cとし、原点703cを通りベーンの進角方向を正とするx軸を設定した場合、内壁面704の断面形状は、x軸上のx<0にある第2中心704cを中心として距離r2を半径とする円弧形状となる。このとき、x軸上のx>0にあるx軸と内壁面704の断面形状が交差する接続点705は、原点703cから距離r2より小さい距離r1の距離にある。一方、中心軸70aを挟んで反対側の内壁面703の断面形状は、原点を中心とする距離r1を半径とする円弧形状となる。
【選択図】図5
【解決手段】 バルブタイミング調整装置のブッシュ70はストッパピンが嵌合する貫通孔702を形成する内壁面703、704を有する。ブッシュ70の中心軸70aに垂直な面を仮想し、中心軸70aと仮想した垂直な面との交点を原点703cとし、原点703cを通りベーンの進角方向を正とするx軸を設定した場合、内壁面704の断面形状は、x軸上のx<0にある第2中心704cを中心として距離r2を半径とする円弧形状となる。このとき、x軸上のx>0にあるx軸と内壁面704の断面形状が交差する接続点705は、原点703cから距離r2より小さい距離r1の距離にある。一方、中心軸70aを挟んで反対側の内壁面703の断面形状は、原点を中心とする距離r1を半径とする円弧形状となる。
【選択図】図5
Description
本発明は、バルブタイミング調整装置に関する。
従来、エンジンの駆動軸としてのクランクシャフトから吸気弁および排気弁を開閉する従動軸としてのカムシャフトへ動力伝達部材としてのチェーンを介して駆動力を伝達し、吸気弁および排気弁の少なくとも一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置が公知である。バルブタイミング調整装置には、カムシャフトに接続されるベーンロータのベーンを正方向(遅角方向)と負方向(進角方向)に揺動するカムトルクが交互に作用している。このため、バルブタイミング調整装置は、ベーンに設けたストッパピンがスプロケットのブッシュに嵌合することで、エンジン始動時等の低油圧時においてカムトルクにより正逆方向に揺動するベーンとハウジングとの打音を防止している。特許文献1には最遅角でも最進角でもない中間の位置にブッシュが設置されている。
ここで、図9に従来のブッシュ92の上面図および断面図を示す。ブッシュ92は略環状を成しており、ブッシュ92の中心軸92aに沿って形成されている貫通孔922は、その内壁面921がテーパ状となっている。図10(a)にストッパピン90とブッシュ92との嵌合状態における断面図を示す。ストッパピン90の嵌合部93では、その側壁931が貫通孔922の内壁面921と当接するようにテーパ状に形成されている。これにより、ストッパピン90はブッシュ92と嵌合することができる。
しかしながら、エンジン始動時にはカムトルクFtがストッパピン90の側壁931とブッシュ92の内壁面921とが当接する面に作用する。このとき、ストッパピン90には図10(a)の上方向に分力Fが作用する。分力Fの大きさは嵌合部93とブッシュ92とが嵌合する角度Ψの大きさと関係があり、角度Ψが大きくなるほど分力Fは大きくなる。したがって、ストッパピン90の嵌合を解除しやすくするために角度Ψを大きくした場合、エンジン始動時にストッパピン90とブッシュ92との嵌合が解除されやすくなる。特許文献1に記載のバルブタイミング調整装置では、進遅角室に油圧が十分に供給されていない場合、嵌合部の側壁とブッシュの内壁面とが当接する面にカムトルクが作用すると、予期せぬストッパピンとブッシュとの嵌合が解除される懸念がある。
しかしながら、エンジン始動時にはカムトルクFtがストッパピン90の側壁931とブッシュ92の内壁面921とが当接する面に作用する。このとき、ストッパピン90には図10(a)の上方向に分力Fが作用する。分力Fの大きさは嵌合部93とブッシュ92とが嵌合する角度Ψの大きさと関係があり、角度Ψが大きくなるほど分力Fは大きくなる。したがって、ストッパピン90の嵌合を解除しやすくするために角度Ψを大きくした場合、エンジン始動時にストッパピン90とブッシュ92との嵌合が解除されやすくなる。特許文献1に記載のバルブタイミング調整装置では、進遅角室に油圧が十分に供給されていない場合、嵌合部の側壁とブッシュの内壁面とが当接する面にカムトルクが作用すると、予期せぬストッパピンとブッシュとの嵌合が解除される懸念がある。
テーパ角Ψはストッパピンおよびブッシュの設計時に「実テーパ角」として決定される。しかしながら、実際の使用では設計時に決定される「実テーパ角」とは異なり、ストッパピンの側壁とブッシュの内壁面とが当接する位置によって「見かけのテーパ角」が決定される。前述の分力Fの大きさは、この「見かけのテーパ角」の大きさによって決定する。「見かけのテーパ角」について図10から図12を用いて説明する。
図10(b)は、嵌合部93の下端面932を含む面である投影面A(図10(a)参照)に対して、ブッシュ92の内壁面921を投影した図である。ここで、投影面Aとブッシュ92の内壁面921とが交差してできる線を最下線921b、ブッシュ92においてストッパピン90が挿入される側の開口923を形成する上端部924(図9参照)を投影面Aに投影してできる線を最上線921tとする。
従来のバルブタイミング調整装置では、ストッパピン90の中心軸90aとブッシュ92の中心軸92aとは、ずらして設計されており、これによってストッパピン90がブッシュ92にくさび嵌合する。具体的には、図10(a)に示すようにストッパピン90がブッシュ92に嵌合したとき、ブッシュ92の中心軸92aからベーン進角方向に距離θずれるように設計されている。なお、図10(a)では、吸気弁におけるバルブタイミング調整装置を想定して、紙面に向かって右方向がベーン進角方向、左方向がベーン遅角方向である。このとき、ストッパピン90の側壁931はブッシュ92の内壁面921に当接する。図10(b)に示すように、嵌合部93の側壁931と最下線921bとが当接する点を第1当接点90bとする。なお、図10(b)ではストッパピン90が内壁面921に当接したときのストッパピン90の外形を破線で示す。また、ブッシュ92の中心92cとストッパピン90の中心90cとを結ぶ直線をx軸とすると、x軸と最上線921tと交差する点を第2当接点90tとする。
次に第1当接点90bと第2当接点90tとの距離を距離Xとすると、図10(b)に示すように嵌合部93の嵌合深さLに対する距離Xの割合から「見かけのテーパ角」が算出される。この場合、tan(Ψ/2)=X/Lとなり、角度Ψはストッパピン90の設計時に決定される「実テーパ角」であり、またストッパピン90における「見かけのテーパ角」でもある。
しかしながら、ストッパピン90の中心90cはストッパピン90の製作上の公差により、ストッパピン90の中心に位置しない。このため、ストッパピン90の実際の中心95cは、ベーンロータの径方向にずれる場合がある。図10(b)にはストッパピン90の実際の中心95cが径外方向に距離dずれた場合のストッパピン90とブッシュ92との当接の状態を実線で示す。
ストッパピン90の実際の中心95cが径外方向に距離dずれた場合、ストッパピン90の側壁931と最下線921bとが当接する点は、第1当接点95bとなる。また、第1当接点95bにおいてx軸に平行な直線x1を設定した場合、直線x1と最上線921tとが交差する点は第2当接点95tとなる。第1当接点95bと第2当接点95tとの距離を距離X1とすると、「見かけのテーパ角」は、tan(Ψ1/2)=X1/Lから導出される。このとき、距離X1は距離Xより大きいため、角度Ψ1は角度Ψより大きくなる。したがって、ストッパピンの中心が径外方向にずれることでストッパピンはブッシュより抜けやすくなる。
図11には、ストッパピンの嵌合深さが一定の場合、ストッパピンの中心における径方向のずれと見かけのテーパ角との関係を示す。ストッパピンの中心における径方向のずれが大きくなると、見かけのテーパ角が大きくなる。したがって、ストッパピンの中心における径方向のずれが大きくなると、ストッパピンは抜けやすくなる。
ストッパピン90の実際の中心95cが径外方向に距離dずれた場合、ストッパピン90の側壁931と最下線921bとが当接する点は、第1当接点95bとなる。また、第1当接点95bにおいてx軸に平行な直線x1を設定した場合、直線x1と最上線921tとが交差する点は第2当接点95tとなる。第1当接点95bと第2当接点95tとの距離を距離X1とすると、「見かけのテーパ角」は、tan(Ψ1/2)=X1/Lから導出される。このとき、距離X1は距離Xより大きいため、角度Ψ1は角度Ψより大きくなる。したがって、ストッパピンの中心が径外方向にずれることでストッパピンはブッシュより抜けやすくなる。
図11には、ストッパピンの嵌合深さが一定の場合、ストッパピンの中心における径方向のずれと見かけのテーパ角との関係を示す。ストッパピンの中心における径方向のずれが大きくなると、見かけのテーパ角が大きくなる。したがって、ストッパピンの中心における径方向のずれが大きくなると、ストッパピンは抜けやすくなる。
図12には、ブッシュ92の中心92cからの距離が異なる中心を有する2つのストッパピンとブッシュとの当接状態を示す。図12(b)には、ブッシュ92の中心92cとの距離が距離d1の中心96cを有するストッパピンの場合、およびブッシュ92の中心92cとの距離が距離d1より大きい距離d2の中心97cを有するストッパピンの場合を示す。中心96cを有する場合、ストッパピン90の側面931と最下線921bとが当接する点は、第1当接点96bとなる。また、第1当接点96bにおいてx軸に平行な直線x2とした場合、最上線921tと交差する点は第2当接点96tとなる。第1当接点96bと第2当接点96tとの距離を距離X2とすると、「見かけのテーパ角」は、tan(Ψ2/2)=X2/Lから導出される。一方、中心97cを有する場合、ストッパピン90の側壁931と最下線921bとが当接する点は、第1当接点97bとなる。また、第1当接点97bにおいてx軸に平行な直線x3とした場合、最上線921tと交差する点は第2当接点97tとなる。第1当接点97bと第2当接点97tとの距離を距離X3とすると、「見かけのテーパ角」は、tan(Ψ3/2)=X3/Lから導出される。
このとき、「見かけのテーパ角」である角度Ψ2と角度Ψ3との大きさを比較すると、距離X2は距離X3より大きいため、Ψ2>Ψ3となる。すなわち、径方向のずれの大きさである距離dが同じである場合、ストッパピンの中心とブッシュの中心との距離が長い方が「見かけのテーパ角」は小さくなる。
このとき、「見かけのテーパ角」である角度Ψ2と角度Ψ3との大きさを比較すると、距離X2は距離X3より大きいため、Ψ2>Ψ3となる。すなわち、径方向のずれの大きさである距離dが同じである場合、ストッパピンの中心とブッシュの中心との距離が長い方が「見かけのテーパ角」は小さくなる。
本発明の目的は、エンジン始動時にカムトルクの作用によりストッパピンの予期せぬ抜けを防止するバルブタイミング調整装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明によると、バルブタイミング調整装置は、ハウジングおよびベーンロータを備える。ハウジングは、駆動軸または従動軸の一方とともに回転する。ハウジングの内部に収容されているベーンロータは、駆動軸または従動軸の他方とともに回転し、ハウジングの内部を遅角室および進角室に仕切るベーンを有している。ベーンロータは、遅角室および進角室に供給される作動流体の圧力によりハウジングに対して相対回動が可能である。ハウジングに対するベーンロータの相対回動を拘束することが可能な規制部材は、ベーンに形成される収容孔に往復移動可能に収容されている。規制部材によってベーンロータの相対回動を拘束する場合、規制部材はハウジングの一方の内壁に形成される嵌合孔に嵌合している環状部材と嵌合する。環状部材は、嵌合する軸方向に連続的に内径が小さくなる貫通孔を形成する内壁面を有する。
請求項1に記載の発明によると、環状部材の内壁面は、吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の開閉によって従動軸に作用するカムトルクが環状部材を経由して規制部材に作用するとき、規制部材と貫通孔との嵌合を保持するように環状部材と規制部材との間に力学的作用が働く嵌合保持形状部を有する
請求項1に記載の発明によると、環状部材の内壁面は、吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の開閉によって従動軸に作用するカムトルクが環状部材を経由して規制部材に作用するとき、規制部材と貫通孔との嵌合を保持するように環状部材と規制部材との間に力学的作用が働く嵌合保持形状部を有する
請求項2に記載の発明によると、嵌合保持形状部は、環状部材の仮想横断面において周方向に円弧領域、同径領域、および大径領域を有する。円弧領域は、カムトルクが作用する側に位置し環状部材の中心軸を中心とする基準円の円弧形状からなる。同径領域は、カムトルクが作用する側とは反対側に位置し環状部材の中心軸周りに基準円と同径の円弧形状からなる。大径領域は、基準円の円弧形状より径外方向に離れる形状からなり円弧領域の両端と同径領域の両端とを接続する。
規制部材と嵌合する環状部材は、規制部材の嵌合部が挿入される貫通孔を形成する内壁面を有している。内壁面は、環状部材が嵌合孔に嵌合しているとき、嵌合する軸方向に連続的に内径が小さくなる、すなわちテーパ状の貫通孔を形成する。また、内壁面は、カムトルクが規制部材に作用するとき、カムトルクの作用による予期せぬ嵌合解除を防止する嵌合保持形状部を有する。
環状部材の仮想横断面における嵌合保持形状部は、3つの領域から形成されている。このなかでも基準円の円弧形状より径外方向に離れる形状からなる大径領域は、規制部材が貫通孔に嵌合したとき、規制部材と接触する。大径領域は、円弧領域および同径領域を形成する基準円の円弧形状より径外方向に離れる形状を成している。この形状によって、規制部材が貫通孔に嵌合する場合、規制部材の中心と環状部材の中心との距離が大きくなる。前述したように、規制部材と環状部材とが嵌合するとき、規制部材の中心における径方向のずれが同じである場合、規制部材の中心と環状部材の中心との距離が長い方が「見かけのテーパ角」は小さくなる。請求項1および2に記載のバルブタイミング調整装置では、規制部材が環状部材に嵌合したとき、規制部材の中心が環状部材の中心から離れているため規制部材の中心がベーンロータの径方向にずれて製作された場合、径方向のずれによる「見かけのテーパ角」は大きくなりにくい。これにより、環状部材を経由して規制部材にカムトルクが作用した場合、規制部材に作用する抜け方向の分力は小さくなる。したがって、エンジン始動時にカムトルクの作用による規制部材の予期せぬ抜けを防止することができる。
環状部材の仮想横断面における嵌合保持形状部は、3つの領域から形成されている。このなかでも基準円の円弧形状より径外方向に離れる形状からなる大径領域は、規制部材が貫通孔に嵌合したとき、規制部材と接触する。大径領域は、円弧領域および同径領域を形成する基準円の円弧形状より径外方向に離れる形状を成している。この形状によって、規制部材が貫通孔に嵌合する場合、規制部材の中心と環状部材の中心との距離が大きくなる。前述したように、規制部材と環状部材とが嵌合するとき、規制部材の中心における径方向のずれが同じである場合、規制部材の中心と環状部材の中心との距離が長い方が「見かけのテーパ角」は小さくなる。請求項1および2に記載のバルブタイミング調整装置では、規制部材が環状部材に嵌合したとき、規制部材の中心が環状部材の中心から離れているため規制部材の中心がベーンロータの径方向にずれて製作された場合、径方向のずれによる「見かけのテーパ角」は大きくなりにくい。これにより、環状部材を経由して規制部材にカムトルクが作用した場合、規制部材に作用する抜け方向の分力は小さくなる。したがって、エンジン始動時にカムトルクの作用による規制部材の予期せぬ抜けを防止することができる。
請求項3に記載の発明によると、環状部材が有する内壁面の大径領域は、円弧領域と環状部材の中心軸とを通って延びる直線上のカムトルクが作用する側とは反対側に位置する第2中心を中心として基準円の半径より長い半径を有する円弧形状からなる。これにより、大径領域での仮想横断面での形状は、環状部材の中心軸からみて基準円の円弧形状より離れる形状となる。
請求項4に記載の発明によると、環状部材が有する内壁面の大径領域は、環状部材の中心軸から円弧領域の円弧形状までの距離を短径とする楕円形状を有している。この形状においても、大径領域での仮想横断面での形状は、環状部材の中心軸からみて基準円の円弧形状より離れる形状となる。
請求項5に記載の発明によると、環状部材が有する内壁面の大径領域は、円弧領域を通り、ベーンロータの中心と環状部材の中心軸とを通りベーンロータの径外方向に延びる直線に平行な直線形状を有している。
以下、本発明の実施形態によるバルブタイミング調整装置について図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるバルブタイミング調整装置を図1から図6に示す。本実施形態のバルブタイミング調整装置は、作動流体として作動油を用いる油圧制御式である。
第1実施形態のバルブタイミング調整装置が設けられる駆動力伝達系では、図1に示すように、エンジン1の「駆動軸」としてのクランクシャフト2に固定されるギア3と、「従動軸」としてのカムシャフト4、5に固定されるギア6、191にチェーン7が巻き掛けられ、クランクシャフト2からカムシャフト4、5に駆動力が伝達される。一方のカムシャフト4はカム機構を経由して吸気弁8を開閉駆動し、他方のカムシャフト5はカム機構を経由して排気弁9を開閉駆動する。第1実施形態のバルブタイミング調整装置10は、ギア191をチェーン7に、ベーンロータをカムシャフト4に接続して、吸気弁8の開閉タイミングを調整する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるバルブタイミング調整装置を図1から図6に示す。本実施形態のバルブタイミング調整装置は、作動流体として作動油を用いる油圧制御式である。
第1実施形態のバルブタイミング調整装置が設けられる駆動力伝達系では、図1に示すように、エンジン1の「駆動軸」としてのクランクシャフト2に固定されるギア3と、「従動軸」としてのカムシャフト4、5に固定されるギア6、191にチェーン7が巻き掛けられ、クランクシャフト2からカムシャフト4、5に駆動力が伝達される。一方のカムシャフト4はカム機構を経由して吸気弁8を開閉駆動し、他方のカムシャフト5はカム機構を経由して排気弁9を開閉駆動する。第1実施形態のバルブタイミング調整装置10は、ギア191をチェーン7に、ベーンロータをカムシャフト4に接続して、吸気弁8の開閉タイミングを調整する。
図2および図3に示すように、バルブタイミング調整装置10は、ハウジング11、ベーンロータ20、及び規制部材としてのストッパピン30等を備えている。
ハウジング11は、環状の周壁12及び仕切り部材としてのシュウ13、14、15、16から一体に形成されたシュウハウジング17、フロントプレート18、並びにスプロケット19から構成されている。略台形に形成されたシュウ13、14、15、16は、周壁12から径方向内側へ延びており、周壁12の周方向に略等間隔に設けられている。周方向に隣接するシュウ同士の間隙には略扇状の圧力室50が形成されている。
ハウジング11は、環状の周壁12及び仕切り部材としてのシュウ13、14、15、16から一体に形成されたシュウハウジング17、フロントプレート18、並びにスプロケット19から構成されている。略台形に形成されたシュウ13、14、15、16は、周壁12から径方向内側へ延びており、周壁12の周方向に略等間隔に設けられている。周方向に隣接するシュウ同士の間隙には略扇状の圧力室50が形成されている。
スプロケット19は、径外側にギア191を備え、周壁12の回転軸方向の一方に設けられている。スプロケット19は、軸方向にカムシャフト4を通す軸孔192を有している。
フロントプレート18は、略円盤状に形成され、周壁12の回転軸方向の他方に設けられている。フロントプレート18は、円盤の中心に板厚方向に通じる円孔181を有している。
シュウハウジング17、フロントプレート18及びスプロケット19は、ボルト111によって同軸上に固定されている。
フロントプレート18は、略円盤状に形成され、周壁12の回転軸方向の他方に設けられている。フロントプレート18は、円盤の中心に板厚方向に通じる円孔181を有している。
シュウハウジング17、フロントプレート18及びスプロケット19は、ボルト111によって同軸上に固定されている。
ベーンロータ20は、ハウジング11と略同軸に設けられ、ハウジング11の内側に相対回転可能に収容されている。ベーンロータ20は、略円筒状のロータ21、及びこのロータ21から径外方向に突出する4個のベーン22、23、24、25を有している。
ベーンロータ20とカムシャフト4とはボルト26によって固定されている。ベーンロータ20とカムシャフト4とは、ノックピン27によって周方向の位置決めがされている。これにより、ベーンロータ20は、カムシャフト4とともに回転する。
各ベーン22、23、24、25は、各圧力室50を、それぞれ遅角室51、52、53、54と進角室55、56、57、58とに仕切っている。
ベーンロータ20とカムシャフト4とはボルト26によって固定されている。ベーンロータ20とカムシャフト4とは、ノックピン27によって周方向の位置決めがされている。これにより、ベーンロータ20は、カムシャフト4とともに回転する。
各ベーン22、23、24、25は、各圧力室50を、それぞれ遅角室51、52、53、54と進角室55、56、57、58とに仕切っている。
遅角室51、52、53、54に油圧を供給する遅角通路61、62は、ベーンロータ20のロータ21に形成されている。進角室55、56、57、58に油圧を供給する進角通路63、64は、ロータ21のスプロケット19側の外壁に形成されている。遅角通路61、62及び進角通路63、64は、それぞれカムシャフト4に形成された遅角通路65及び進角通路66に連通している。
シール部材28、29は、例えば樹脂で形成され、各ベーン22、23、24、25の径外方向の外壁と、各シュウ13、14、15、16の径内方向の内壁とに嵌合している。各ベーン22、23、24、25の径外方向の外壁に嵌合するシール部材28は、板ばね281の弾性力により周壁12に押し付けられている。各シュウ13、14、15、16の径内方向の内壁に嵌合するシール部材29は、板ばね281の弾性力によりロータ21に押し付けられている。このため、シール部材28、29は、遅角室51、52、53、54と進角室55、56、57、58との間の作動油の漏れを抑制している。
「規制部材」としてのストッパピン30は、有底円筒状に形成され、ベーン22を回転軸方向に通じる収容孔221に軸方向に往復移動可能に収容されている。
図3に示すように、スプロケット19にはベーンロータ20が最遅角位置に位相制御されている状態で、ストッパピン30に対応する位置に嵌合孔31が形成されている。この嵌合孔31には「環状部材」としてのブッシュ70が設けられている。ストッパピン30は、一方の端部にブッシュ70の径内側に嵌合する嵌合部33を有している。ストッパピン30の他方の端部には、嵌合孔31側に凹む凹部34が設けられている。この凹部34には、付勢部材としてのコイルスプリング35が収容されている。コイルスプリング35は、一端が凹部34の内壁に当接し、他端がフロントプレート18の内壁に当接する圧縮コイルスプリングであり、ストッパピン30をスプロケット19側へ付勢している。
図3に示すように、スプロケット19にはベーンロータ20が最遅角位置に位相制御されている状態で、ストッパピン30に対応する位置に嵌合孔31が形成されている。この嵌合孔31には「環状部材」としてのブッシュ70が設けられている。ストッパピン30は、一方の端部にブッシュ70の径内側に嵌合する嵌合部33を有している。ストッパピン30の他方の端部には、嵌合孔31側に凹む凹部34が設けられている。この凹部34には、付勢部材としてのコイルスプリング35が収容されている。コイルスプリング35は、一端が凹部34の内壁に当接し、他端がフロントプレート18の内壁に当接する圧縮コイルスプリングであり、ストッパピン30をスプロケット19側へ付勢している。
図4にストッパピン30とブッシュ70との嵌合状態における断面の拡大図を示す。ブッシュ70は、スプロケット19に形成されている嵌合孔31に挿入されている。ストッパピン30のブッシュ70に嵌合する嵌合部33は角度Ψの角度でテーパ状に形成されている。ストッパピン30の嵌合部33がブッシュ70に嵌合しているとき、嵌合部33の側壁331は、ブッシュ70に形成されている貫通孔702の内壁面のうちベーン進角方向の内壁面である内壁面704に当接する。後述するようにエンジン始動時にストッパピン30に作用するカムトルクFtは、ブッシュ70を経由してストッパピン30の側壁331と貫通孔702の内壁面704とが当接する面に作用する。このとき、ストッパピン30の中心軸30aは、ブッシュ70の中心軸70aに対してベーン進角方向に距離θの位置にある。なお、嵌合部33と貫通孔702とが嵌合している深さ、すなわち嵌合深さをLとする。内壁面703は、特許請求の範囲に記載の「嵌合保持形状部」、「同径領域」に相当する。内壁面704は、特許請求の範囲に記載の「嵌合保持形状部」、「円弧領域」、「大径領域」に相当する。
貫通孔702は、図5(a)に示すように嵌合部33とくさび嵌合するためにテーパ状の内壁面703、704から形成されている。具体的には、ブッシュ70の上端面708側の内径は、下端面709側の内径より大きく形成されている。ブッシュ70は、嵌合孔31を形成する底面に下端面709を当接するように嵌合している。なお、図5には、本実施形態の比較例としてのブッシュの形状を破線で示している。
貫通孔702は、断面形状が異なる面から形成されている。ここで、ブッシュ70の中心軸70aに垂直であり、かつ下端面709を含む面での断面形状を説明する。当該垂直な面とブッシュ70の中心軸70aとの交点を原点703cとして、ベーンロータ20の径方向に原点を通る線をy軸、当該垂直な面上にあって原点を通りy軸に垂直な線をx軸とする。当該垂直な面上において原点703cよりy軸のベーンロータ20の径外方向側をy>0とし、原点703cよりx軸のベーン22の進角方向をx>0とする。このとき、当該垂直な面上でx>0およびy>0の領域を第1象限、x<0およびy>0の領域を第2象限、x<0およびy<0の領域を第3象限、x>0およびy<0の領域を第4象限とする。
第2象限および第3象限での貫通孔702の断面形状は、原点703cを中心とする距離r1の半径を有する円弧形状となっている。このとき、x軸上のx<0において貫通孔702の断面形状とx軸とが交差する点は、原点703cから距離r1の位置にある。また、y軸上の貫通孔702の断面形状とy軸と交差する点は、原点703cから距離r1の位置にある。
一方、第1象限および第4象限での貫通孔702の断面形状は、原点703cよりx<0のx軸上にある第2中心704cから距離r2の円弧形状となっている。このとき、距離r1と距離r2との関係は、距離r2>距離r1である。なお、x軸上のx>0において貫通孔702の断面形状とx軸とが交差する点である接続点705は、第2中心704cからの距離r2の位置にあり、原点703cから距離r1の位置にある。
一方、第1象限および第4象限での貫通孔702の断面形状は、原点703cよりx<0のx軸上にある第2中心704cから距離r2の円弧形状となっている。このとき、距離r1と距離r2との関係は、距離r2>距離r1である。なお、x軸上のx>0において貫通孔702の断面形状とx軸とが交差する点である接続点705は、第2中心704cからの距離r2の位置にあり、原点703cから距離r1の位置にある。
次に図6を用いてストッパピン30とブッシュ70とで形成される「見かけのテーパ角」について説明する。図6は、ブッシュ70の中心軸70aに垂直な面であって下端面332を含む平面A(図4参照)に対して、ブッシュ70の内壁面703、704を投影した図である。ここで、平面Aとブッシュ70の内壁面703、704とが交差してできる線を最下線703b、704b、ブッシュ70において上端面708と貫通孔722とを接続する線を平面Aに投影してできる線を最上線703t、704tとする。図6では、第1実施形態でのストッパピン30の外形は実線で示されている。また、貫通孔702の内壁面704に当接したときのストッパピン30の中心軸30aが動く軌跡を曲線30rで示している。
ブッシュ70にストッパピン30が当接したとき、平面A上でストッパピン30と内壁面704が当接する点である第1当接点70bは、第2中心704cから点30dを通る直線が最下線704bと交差する点となる。なお、点30dは、曲線30r上においてx軸からの距離が距離dの位置にある点である。また、第1当接点70bにおいてx軸に平行な直線x4を設定した場合、最上線704tと交差する点は第2当接点70tとなる。したがって、ブッシュ70とストッパピン30とが嵌合している場合、第1当接点70bと第2当接点70tとの距離を距離X4とすると、「見かけのテーパ角」は、tan(Ψ4/2)=X4/Lから導かれる角度Ψ4となる。
ブッシュ70にストッパピン30が当接したとき、平面A上でストッパピン30と内壁面704が当接する点である第1当接点70bは、第2中心704cから点30dを通る直線が最下線704bと交差する点となる。なお、点30dは、曲線30r上においてx軸からの距離が距離dの位置にある点である。また、第1当接点70bにおいてx軸に平行な直線x4を設定した場合、最上線704tと交差する点は第2当接点70tとなる。したがって、ブッシュ70とストッパピン30とが嵌合している場合、第1当接点70bと第2当接点70tとの距離を距離X4とすると、「見かけのテーパ角」は、tan(Ψ4/2)=X4/Lから導かれる角度Ψ4となる。
次に、バルブタイミング調整装置10の作動を説明する。
<エンジン始動前>
エンジン1が停止している状態では、図3に示すようにストッパピン30は嵌合孔31のブッシュ70に嵌合している。エンジン1を始動した直後の状態では、遅角室51、52、53、54及び進角室55、56、57、58に油圧ポンプ80から十分に作動油が供給されない。このため、ストッパピン30はブッシュ70に嵌合した状態を維持し、クランクシャフト2に対しカムシャフト4は最遅角位置に保持されている。このとき、ストッパピン30の嵌合部33は、図4に示すようにブッシュ70の内壁面704に当接している。
<エンジン始動前>
エンジン1が停止している状態では、図3に示すようにストッパピン30は嵌合孔31のブッシュ70に嵌合している。エンジン1を始動した直後の状態では、遅角室51、52、53、54及び進角室55、56、57、58に油圧ポンプ80から十分に作動油が供給されない。このため、ストッパピン30はブッシュ70に嵌合した状態を維持し、クランクシャフト2に対しカムシャフト4は最遅角位置に保持されている。このとき、ストッパピン30の嵌合部33は、図4に示すようにブッシュ70の内壁面704に当接している。
<エンジン始動後>
エンジン始動直後、ストッパピン30の嵌合部33とブッシュ70の側壁703とが当接している面には吸気弁8からのカムトルクが作用する。ストッパピン30とブッシュ70とが形成する「見かけのテーパ角」は、角度Ψ4となっている。角度Ψ4から算出される分力Fがストッパピン30に作用する。
エンジン始動後、油圧制御弁82はストッパピン30を嵌合孔31から抜くための油圧を供給する。供給される油圧がコイルスプリング35の付勢力よりも高くなると、ストッパピン30は嵌合孔31から抜け出す。これにより、ベーンロータ20とハウジング11とが相対回動可能となる。その後、遅角室51、52、53、54及び進角室55、56、57、58の油圧を制御することにより、クランクシャフト2に対するカムシャフト4の位相差が調整可能となる。
エンジン始動直後、ストッパピン30の嵌合部33とブッシュ70の側壁703とが当接している面には吸気弁8からのカムトルクが作用する。ストッパピン30とブッシュ70とが形成する「見かけのテーパ角」は、角度Ψ4となっている。角度Ψ4から算出される分力Fがストッパピン30に作用する。
エンジン始動後、油圧制御弁82はストッパピン30を嵌合孔31から抜くための油圧を供給する。供給される油圧がコイルスプリング35の付勢力よりも高くなると、ストッパピン30は嵌合孔31から抜け出す。これにより、ベーンロータ20とハウジング11とが相対回動可能となる。その後、遅角室51、52、53、54及び進角室55、56、57、58の油圧を制御することにより、クランクシャフト2に対するカムシャフト4の位相差が調整可能となる。
<進角作動時>
バルブタイミング調整装置10を進角制御するとき、ECU81は、油圧制御弁82に供給する駆動電流を制御する。油圧制御弁82は、油圧ポンプ80と進角通路83とを接続し、遅角通路84とオイルパン85とを接続する。油圧ポンプ80が吐出する作動油は、進角通路83、66、63、64を経由し、進角室55、56、57、58に供給される。一方、遅角室51、52、53、54の作動油は、遅角通路61、62、65、84を経由し、オイルパン85に排出される。進角室55、56、57、58の油圧はベーン22、23、24、25に作用し、ベーンロータ20を進角方向に付勢するトルクを発生する。これにより、ベーンロータ20は、ハウジング11に対し進角方向に回転する。
バルブタイミング調整装置10を進角制御するとき、ECU81は、油圧制御弁82に供給する駆動電流を制御する。油圧制御弁82は、油圧ポンプ80と進角通路83とを接続し、遅角通路84とオイルパン85とを接続する。油圧ポンプ80が吐出する作動油は、進角通路83、66、63、64を経由し、進角室55、56、57、58に供給される。一方、遅角室51、52、53、54の作動油は、遅角通路61、62、65、84を経由し、オイルパン85に排出される。進角室55、56、57、58の油圧はベーン22、23、24、25に作用し、ベーンロータ20を進角方向に付勢するトルクを発生する。これにより、ベーンロータ20は、ハウジング11に対し進角方向に回転する。
<遅角作動時>
バルブタイミング調整装置10を遅角制御するとき、ECU81は、油圧制御弁82に供給する駆動電流を制御する。油圧制御弁82は、油圧ポンプ80と遅角通路84とを接続し、進角通路83とオイルパン85とを接続する。油圧ポンプ80から吐出される作動油は、遅角通路84、65、61、62を経由し、遅角室51、52、53、54に供給される。一方、進角室55、56、57、58の作動油は進角通路63、64、66、83を経由し、オイルパン85に排出される。遅角室51、52、53、54の油圧がベーン22、23、24、25に作用し、ベーンロータ20を遅角方向に付勢するトルクを発生する。これにより、ベーンロータ20は、ハウジング11に対して遅角方向に回転する。
バルブタイミング調整装置10を遅角制御するとき、ECU81は、油圧制御弁82に供給する駆動電流を制御する。油圧制御弁82は、油圧ポンプ80と遅角通路84とを接続し、進角通路83とオイルパン85とを接続する。油圧ポンプ80から吐出される作動油は、遅角通路84、65、61、62を経由し、遅角室51、52、53、54に供給される。一方、進角室55、56、57、58の作動油は進角通路63、64、66、83を経由し、オイルパン85に排出される。遅角室51、52、53、54の油圧がベーン22、23、24、25に作用し、ベーンロータ20を遅角方向に付勢するトルクを発生する。これにより、ベーンロータ20は、ハウジング11に対して遅角方向に回転する。
<中間保持作動時>
ベーンロータ20が目標位相に到達すると、ECU81は油圧制御弁82に供給する駆動電流のデューティ比を制御する。油圧制御弁82は、油圧ポンプ80と、遅角通路84および進角通路83との接続を遮断し、遅角室51、52、53、54および進角室55、56、57、58からオイルパン85に作動油が排出されることを規制する。このため、ベーンロータ20は目標位相に保持される。
なお、進角作動時、遅角作動時及び中間保持作動時では、油圧ポンプ80からバルブタイミング調整装置10が供給する油圧は遅角解除圧及び進角解除圧よりも高いので、ストッパピン30と嵌合孔31との嵌合は解除されている。
ベーンロータ20が目標位相に到達すると、ECU81は油圧制御弁82に供給する駆動電流のデューティ比を制御する。油圧制御弁82は、油圧ポンプ80と、遅角通路84および進角通路83との接続を遮断し、遅角室51、52、53、54および進角室55、56、57、58からオイルパン85に作動油が排出されることを規制する。このため、ベーンロータ20は目標位相に保持される。
なお、進角作動時、遅角作動時及び中間保持作動時では、油圧ポンプ80からバルブタイミング調整装置10が供給する油圧は遅角解除圧及び進角解除圧よりも高いので、ストッパピン30と嵌合孔31との嵌合は解除されている。
<エンジン停止時作動>
バルブタイミング調整装置10の作動中にエンジン停止が指示されると、上記遅角作動時と同じように、ベーンロータ20はハウジング11に対して遅角方向に回転し、ロック位相である最遅角位置に位相制御される。また、エンジン停止指示後、エンジンの回転低下に伴って、バルブタイミング調整装置10に供給される油圧は次第に低くなり、ストッパピン30に印加される圧力も低下する。
バルブタイミング調整装置10の作動中にエンジン停止が指示されると、上記遅角作動時と同じように、ベーンロータ20はハウジング11に対して遅角方向に回転し、ロック位相である最遅角位置に位相制御される。また、エンジン停止指示後、エンジンの回転低下に伴って、バルブタイミング調整装置10に供給される油圧は次第に低くなり、ストッパピン30に印加される圧力も低下する。
(効果)
次に第1実施形態のバルブタイミング調整装置10の効果について図6を用いて説明する。
(A)図6には、比較例としてのブッシュ92に当接しているストッパピン30の当接状態を破線で示している。図6では、径方向のずれを第1実施形態のブッシュ70、および比較例としてのブッシュ92に対して同じ距離dとしている。また、ブッシュ92に当接したときのストッパピン30の中心30aが動く軌跡を曲線92rで示している。
第1実施形態では、「見かけのテーパ角」は、前述したようにtan(Ψ4/2)=X4/Lから導かれる角度Ψ4となる。一方、ブッシュ92にストッパピン30が当接したとき、平面A上でストッパピン30とブッシュ92とが当接する点である第1当接点92bは、原点703cから点92dを通る直線が最下線921bと交差する点となる。なお、点92dは、曲線92r上においてx軸からの距離が距離dの位置にある点である。また、第1当接点92bを通りx軸に平行な直線を直線x5としたとき、直線x5と最上線921tとが交差する点は第2当接点92tとなる。第1当接点92bと第2当接点92tとの距離を距離X5とすると、「見かけのテーパ角」は、tan(Ψ5/2)=X5/Lから導出される角度Ψ5となる。なお、ストッパピン30が設計上当接する位置での「見かけのテーパ角」は、図6に示すようにtan(Ψ/2)=X/Lから導出される角度Ψとなる。
このとき、それぞれの角度の大きさを比較すると、距離X、X4、X5の大小関係から、Ψ<Ψ4<Ψ5となる。すなわち、ブッシュ70においてストッパピン30と当接する側壁704の断面形状を第2中心704cを中心とする距離r2の半径を有する円弧形状とすることにより、「見かけのテーパ角」が比較例のブッシュ92を用いた場合に比べて小さくなる。したがって、エンジン始動時にカムトルクがストッパピン30とブッシュ70との当接面に作用したとき、ストッパピンの抜けを防止することができる
次に第1実施形態のバルブタイミング調整装置10の効果について図6を用いて説明する。
(A)図6には、比較例としてのブッシュ92に当接しているストッパピン30の当接状態を破線で示している。図6では、径方向のずれを第1実施形態のブッシュ70、および比較例としてのブッシュ92に対して同じ距離dとしている。また、ブッシュ92に当接したときのストッパピン30の中心30aが動く軌跡を曲線92rで示している。
第1実施形態では、「見かけのテーパ角」は、前述したようにtan(Ψ4/2)=X4/Lから導かれる角度Ψ4となる。一方、ブッシュ92にストッパピン30が当接したとき、平面A上でストッパピン30とブッシュ92とが当接する点である第1当接点92bは、原点703cから点92dを通る直線が最下線921bと交差する点となる。なお、点92dは、曲線92r上においてx軸からの距離が距離dの位置にある点である。また、第1当接点92bを通りx軸に平行な直線を直線x5としたとき、直線x5と最上線921tとが交差する点は第2当接点92tとなる。第1当接点92bと第2当接点92tとの距離を距離X5とすると、「見かけのテーパ角」は、tan(Ψ5/2)=X5/Lから導出される角度Ψ5となる。なお、ストッパピン30が設計上当接する位置での「見かけのテーパ角」は、図6に示すようにtan(Ψ/2)=X/Lから導出される角度Ψとなる。
このとき、それぞれの角度の大きさを比較すると、距離X、X4、X5の大小関係から、Ψ<Ψ4<Ψ5となる。すなわち、ブッシュ70においてストッパピン30と当接する側壁704の断面形状を第2中心704cを中心とする距離r2の半径を有する円弧形状とすることにより、「見かけのテーパ角」が比較例のブッシュ92を用いた場合に比べて小さくなる。したがって、エンジン始動時にカムトルクがストッパピン30とブッシュ70との当接面に作用したとき、ストッパピンの抜けを防止することができる
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図7に基づいて説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対して、ブッシュの形状が一部異なる。なお、第1実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
次に、本発明の第2実施形態を図7に基づいて説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対して、ブッシュの形状が一部異なる。なお、第1実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第2実施形態のブッシュ72は、ストッパピン30と当接する側の内壁面724の断面形状に楕円形状を含んでいる。具体的には、図6に示すようにブッシュ72の貫通孔722は形状が異なる2つの面から形成されている。第1象限および第4象限での貫通孔722の断面形状は、原点723cから接続点725までの距離を距離r1とし、距離r1を短径とする楕円形状を一部に含んでいる。このとき、原点723cは楕円の中心となる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図8に基づいて説明する。第3実施形態は、第1実施形態に対して、ブッシュの形状が一部異なる。なお、第1実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
次に、本発明の第3実施形態を図8に基づいて説明する。第3実施形態は、第1実施形態に対して、ブッシュの形状が一部異なる。なお、第1実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第3実施形態のブッシュ74は、ストッパピン30と当接する側の内壁面744の断面形状が直線を含んでいる。具体的には、図8に示すようにブッシュ74の貫通孔742は形状が異なる2つの面から形成されている。第1象限および第4象限での貫通孔742の断面形状は、接続点745を通ってy軸に平行な直線形状を一部に含んでいる。
(他の実施形態)
(ア)上述の実施形態では、本発明は吸気弁側のバルブタイミング調整装置に適用するとした。しかしながら、これに限定されなくてもよい。本発明は、排気弁側のバルブタイミング調整装置に適用してもよいし、吸気弁及び排気弁両方のバルブタイミング調整装置に適用してもよい。
(ア)上述の実施形態では、本発明は吸気弁側のバルブタイミング調整装置に適用するとした。しかしながら、これに限定されなくてもよい。本発明は、排気弁側のバルブタイミング調整装置に適用してもよいし、吸気弁及び排気弁両方のバルブタイミング調整装置に適用してもよい。
(イ)上述の第1実施形態では、中心軸に垂直な面での第1象限および第4象限の断面形状は円弧形状を含むとした。また、上述の第2実施形態では、中心軸に垂直な面での第1象限および第4象限の断面形状は楕円形状を含むとした。また、上述の第3実施形態では、中心軸に垂直な面での第1象限および第4象限の断面形状は直線形状を含むとした。しかしながら、断面形状はこれに限定されなくてもよい。x>0でのx軸と断面形状との交点から原点までの距離を距離r1とすると、第1象限および第4象限の断面形状は原点からの距離が距離r1より大きければよい。また、原点からの距離が距離r1より大きい領域は、第1象限および第4象限に限定されず、第2象限または第3象限にあってもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
1 ・・・エンジン(内燃機関)、
2 ・・・クランクシャフト(駆動軸)、
4 ・・・カムシャフト(従動軸)、
8 ・・・吸気弁、
9 ・・・排気弁、
10 ・・・バルブタイミング調整装置、
11 ・・・ハウジング、
17 ・・・シュウハウジング(ハウジング)、
18 ・・・フロントプレート(ハウジング)、
19 ・・・スプロケット(ハウジング)、
20 ・・・ベーンロータ、
22、23、24、25・・・ベーン、
221 ・・・収容孔、
30 ・・・ストッパピン(規制部材)、
31 ・・・嵌合孔、
51、52、53、54・・・遅角室、
55、56、57、58・・・進角室、
70、72、74・・・ブッシュ(環状部材)
70a、72a、74a・・・中心軸、
702、722、742・・・貫通孔、
703、723、743・・・内壁面(嵌合保持形状部、同径領域)、
704、724、744・・・内壁面(嵌合保持形状部、円弧領域、大径領域)。
2 ・・・クランクシャフト(駆動軸)、
4 ・・・カムシャフト(従動軸)、
8 ・・・吸気弁、
9 ・・・排気弁、
10 ・・・バルブタイミング調整装置、
11 ・・・ハウジング、
17 ・・・シュウハウジング(ハウジング)、
18 ・・・フロントプレート(ハウジング)、
19 ・・・スプロケット(ハウジング)、
20 ・・・ベーンロータ、
22、23、24、25・・・ベーン、
221 ・・・収容孔、
30 ・・・ストッパピン(規制部材)、
31 ・・・嵌合孔、
51、52、53、54・・・遅角室、
55、56、57、58・・・進角室、
70、72、74・・・ブッシュ(環状部材)
70a、72a、74a・・・中心軸、
702、722、742・・・貫通孔、
703、723、743・・・内壁面(嵌合保持形状部、同径領域)、
704、724、744・・・内壁面(嵌合保持形状部、円弧領域、大径領域)。
Claims (5)
- 内燃機関の駆動軸の駆動力を従動軸に伝達するとともに前記駆動軸と前記従動軸との回転位相を可変にし、前記従動軸と連動する吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、
前記駆動軸または前記従動軸の一方とともに回転するハウジングと、
前記駆動軸または前記従動軸の他方とともに回転し、前記ハウジングの内部を遅角室および進角室に仕切るベーンを有し、前記遅角室および前記進角室に供給される作動流体の圧力により前記ハウジングに対して相対回動可能なベーンロータと、
前記ハウジングの回転軸方向の一方の内壁に形成される嵌合孔に嵌合し、嵌合する軸方向に連続的に内径が小さくなる貫通孔を形成する内壁面を有する環状部材と、
前記ベーンに形成された収容孔に往復移動可能に収容され、前記環状部材の前記貫通孔に嵌合するとき前記ハウジングに対する前記ベーンロータの相対回動を拘束可能にする規制部材と、
を備え、
前記環状部材の前記内壁面は、前記吸気弁及び前記排気弁の少なくとも一方の開閉によって前記従動軸に作用するカムトルクが前記環状部材を経由して前記規制部材に作用するとき前記規制部材と前記貫通孔との嵌合を保持するように前記環状部材と前記規制部材との間に力学的作用が働く嵌合保持形状部を有することを特徴とするバルブタイミング調整装置。 - 前記嵌合保持形状部は、前記環状部材の仮想横断面をとると周方向に、
前記カムトルクが作用する側に位置し、前記環状部材の中心軸を中心とする基準円の円弧形状からなる円弧領域と、
前記カムトルクが作用する側とは反対側に位置し、前記環状部材の中心軸周りに前記基準円と同径の円弧形状からなる同径領域と、
前記基準円の円弧形状より径外方向に離れる形状からなり、前記円弧領域の両端と前記同径領域の両端とを接続する大径領域と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。 - 前記大径領域は、前記円弧領域と前記環状部材の中心軸とを通って延びる直線上の前記カムトルクが作用する側とは反対側に位置する第2中心を中心として前記基準円の半径より長い半径を有する円弧形状からなることを特徴とする請求項2に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記大径領域は、前記環状部材の中心軸から前記円弧領域の円弧形状までの距離を短径とする楕円形状を有していることを特徴とする請求項2に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記大径領域は、前記円弧領域を通り、前記ベーンロータの中心と前記環状部材の中心軸とを通り前記ベーンロータの径外方向に延びる直線に平行な直線形状を有していることを特徴とする請求項2に記載のバルブタイミング調整装置。
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