JP2012188732A - アーク式蒸発源 - Google Patents

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Abstract

【課題】ターゲットと基材の間の磁力を強くするとともに、ターゲット表面における磁力線の傾きを、垂直となるように又はカソード表面の外周から中心側(内側)に向かう方向となるように制御されたアーク式蒸発源を提供する。
【解決手段】アーク式蒸発源は、磁場発生機構8と外周磁石3とを備えることを特徴とする。磁場発生機構8を、ターゲット2の前方において軸心がターゲット2の前面と略垂直となる方向に沿うように配置し、且つターゲット2の前面と略垂直方向となる磁場を発生するリング状とする。外周磁石3を、リング状として、磁化方向が当該リング形状の径方向に沿っていて、ターゲット2の外周を取り囲むように、且つ概磁化方向がターゲット2の前面と平行となる方向に沿うように配置する。
【選択図】図2

Description

本発明は、機械部品等の耐摩耗性などの向上のために用いられる、窒化物及び酸化物などのセラミック膜、非晶質炭素膜等の薄膜を形成する成膜装置のアーク式蒸発源に関するものである。
従来、耐摩耗性、摺動特性及び保護機能の向上などの目的で、機械部品、切削工具、摺動部品などの基材の表面に薄膜をコーティングする技術として、アークイオンプレーティング法、スパッタ法などの物理蒸着法が広く知られており、アークイオンプレーティング法においては、カソード放電型アーク式蒸発源が用いられている。
カソード放電型アーク式蒸発源は、カソードであるターゲットの表面にアーク放電を発生させ、ターゲットを構成する物質を瞬時に溶解して蒸発させ、イオン化されたその物質を被処理物である基材の表面に引き込むことで薄膜を形成している。このアーク式蒸発源は、蒸発速度が速く、蒸発した物質のイオン化率が高いことから、成膜時には基材にバイアスを印加することで緻密な皮膜を形成できる。このため、切削工具などに耐摩耗性皮膜を形成する目的で産業的に用いられている。
しかしながら、カソード(ターゲット)とアノードの間で生じるアーク放電において、カソード側の電子放出点(アークスポット)を中心としてターゲットが蒸発する際に、アークスポット近傍から溶融した蒸発前のターゲットが放出されることがある。この溶融ターゲットの被処理体への付着は、薄膜の面粗度を低下させる原因となる。
アークスポットから放出される溶融ターゲット物質(マクロパーティクル)の量は、アークスポットが高速で移動すると抑制される傾向にあり、アークスポットの移動速度はターゲット表面に印加された磁界に影響されることが知られている。
また、アーク放電により蒸発するターゲット原子はアークプラズマ中において高度に電離、イオン化することが知られており、ターゲットから基材に向かうイオンの軌跡はターゲットと基材との間の磁界に影響されるなどの問題がある。
このような問題を解消するために、ターゲット表面に磁界を印加し、アークスポットの移動を制御する次のような技術が提案されている。
特許文献1には、ターゲットの周囲に、リング状の磁場発生源を設け、ターゲット表面に垂直な磁場を印加する真空アーク蒸発源が開示されている。また、特許文献2には、カソードの背面に磁石を配置したアーク式蒸発源が開示されている。
特開平11−269634号公報 特開平08−199346号公報
しかしながら、特許文献1に開示の真空アーク蒸発源によれば、ターゲット周辺部からのみターゲット表面に磁場を印加しているために、ターゲット表面の中心付近では磁場が弱くなる。このように磁場が弱くなった中心付近で放電する場合に、パーティクルが多く放出される。
このように中心付近で磁場が弱くなる技術は、大型のターゲットを用いる蒸発源には適用しにくいだけでなく、ターゲット表面からの磁力線が基材方向に向かって伸びていないため、蒸発してイオン化されたターゲットの物質を基材方向に向かって効率的に誘導することができない。この問題を回避するために、リング状の磁場発生源に付加する電流値を大きくすることも考えられるが、電流の増大のみに頼ることには発熱等の問題があり限度がある。
また、特許文献2に開示のアーク式蒸発源によれば、カソード背面の磁石によってカソード表面に強い磁場を印加することはできるが、磁力線はカソード表面の中心から外周(外側)に向かう方向に伸びている(発散している)。カソード表面に垂直磁場が印加された状況では、アークスポットは磁力線が倒れる方向に移動する傾向にあるので、放電時にアークスポットが外周部へと移動して放電が不安定になると共に、当該外周部のみで局所的な放電が生じてしまう。
前述した問題に鑑み、本発明は、ターゲットと基材の間の磁力を強くするとともに、ターゲット表面における磁力線の傾きを、垂直となるように、又はカソード表面の外周から中心(内側)に向かう方向となるように制御可能なアーク式蒸発源を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、以下の技術的手段を採用した。
本発明に係るアーク式蒸発源は、ターゲットと、前記ターゲットの前方において軸心がターゲットの前面と略垂直となる方向に沿うように配置され、且つ前記ターゲットの前面と略垂直方向となる磁場を発生するリング状の磁場発生機構と、を有するアーク式蒸発源において、リング状であって、磁化方向が当該リング形状の径方向に沿っていて、前記ターゲットの外周を取り囲むように、且つ前記磁化方向が当該ターゲットの前面と平行となる方向に沿うように配置された外周磁石が備えられたことを特徴とする。
好ましくは、前記外周磁石は、前端部及び/又は後端部が、前記ターゲットの前面より後方且つ背面より前方となるように配置されているとよい。
また、本発明に係るアーク式蒸発源は、ターゲットと、前記ターゲットの前方において軸心がターゲットの前面と略垂直となる方向に沿うように配置され、且つ前記ターゲットの前面と略垂直方向となる磁場を発生するリング状の磁場発生機構と、を有するアーク式蒸発源において、リング状であって、磁化方向が当該リング形状の径方向に沿っていて、前端部が前記ターゲットの背面よりも後方となるように、且つ前記磁化方向が当該ターゲットの前面と平行となる方向に沿うように配置された外周磁石が備えられたことを特徴とする。
好ましくは、上記アーク式蒸発源において、前記ターゲットは円板状であり、前記外周磁石は永久磁石であるとよい。
また、好ましくは、前記磁場発生機構は、電磁コイルであるとよい。
さらに、好ましくは、前記ターゲットの前面における磁場が、100ガウス以上であるとよい。
本発明によると、ターゲットと基材の間の磁力を強くするとともに、ターゲット表面における磁力線の傾きを、垂直となるように、又はカソード表面の外周から中心側(内側)に向かう方向となるように制御することができる。
(a)は、本発明の実施形態に係るアーク式蒸発源を備えた成膜装置の概略構成を示す側面図であり、(b)は、成膜装置の概略構成を示す平面図である。 本発明の実施形態に係るアーク式蒸発源の概略構成を示す図である。 従来例によるアーク式蒸発源の磁力線分布を示す図である。 実施例によるアーク式蒸発源の磁力線分布を示す図である。 本発明の実施形態に係るアーク式蒸発源の変形例の概略構成を示す図である。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づき説明する。
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るアーク式蒸発源1(以下、蒸発源1という)を備えた成膜装置6を示している。
成膜装置6は、チャンバ11を備え、このチャンバ11内には被処理物である基材7を支持する回転台12と、基材7に向けて取り付けられた蒸発源1とが配備されている。チャンバ11には、当該チャンバ11内へ反応ガスを導入するガス導入口13と、チャンバ11内から反応ガスを排出するガス排気口14とが設けられている。
加えて、成膜装置6は、後述する蒸発源1のターゲット2に負のバイアスをかけるアーク電源15と、基材7に負のバイアスをかけるバイアス電源16とが設けられ、両電源15、16の正極側はグランド18に接地されている。
図1に示すように、蒸発源1は、蒸発面が基材7に向くように配置された所定の厚みを有する円板状(以下、「円板状」とは所定の高さを有する円柱形状も含む)のターゲット2と、ターゲット2の近傍に配備された磁界形成手段8(外周磁石3と背面磁石4から構成される)を備えている。なお、本実施形態の場合には、チャンバ11がアノードとして作用する。このような構成によって、蒸発源1は、カソード放電型のアーク式蒸発源として機能する。
図1及び図2を参照し、成膜装置6に備えられた蒸発源1の構成について、以下に説明する。図2は、本実施形態による蒸発源1の概略構成を示す図である。
蒸発源1は、上述したように、所定の厚みを有する円板状のターゲット2と、ターゲット2の近傍に配備された磁界形成手段8とから構成されている。
なお、以下の説明において、ターゲット2の蒸発面となる基材7側(基材方向)を向く面を「前面」、その反対側(基材と反対方向)を向く面を「背面」とする(図1及び図2参照)。
ターゲット2は、基材7上に形成しようとする薄膜に応じて選択された材料で構成されている。その材料としては、例えば、クロム(Cr)、チタン(Ti)、及びチタンアルミ(TiAl)などの金属材料や炭素(C)などのイオン化可能な材料がある。
磁界形成手段8は、磁場発生機構としての電磁コイル9と、ターゲット2の外周を取り囲むように配置されたリング状(環状乃至はドーナツ状)の外周磁石3とを有している。外周磁石3は、保磁力の高いネオジム磁石により形成された永久磁石によって構成されている。
電磁コイル9は、ターゲット2の前面(蒸発面)に垂直な方向の磁場を発生するリング状のソレノイドであり、例えば、巻数が数百回程度(例えば410回)となっていて、ターゲット2の径よりも若干大きな径のコイルとなるように巻回されている。本実施形態では、2000A・T〜5000A・T程度の電流で磁場を発生させる。
図2に示すように、この電磁コイル9はターゲット2の前面側に設けられ、径方向から見た電磁コイル9の投影が、ターゲット2の投影と重ならないものとなっている。このとき、電磁コイル9は、ターゲット2と同心軸状に並ぶように配置される。このように配置されたターゲット2及び電磁コイル9を基材7側から見ると、円環状の電磁コイル9の内側に、円形のターゲット2がほぼ同心に入り込んだ状態となっている。
このように配置した電磁コイル9に電流を流し、電磁コイル9の内側にターゲット2側から基材7側に向かう磁場を発生させる。このとき、ターゲット2の前面を通過した磁力線を電磁コイル9内に通過させ得るようになっている。
外周磁石3は、上述のとおりリング体であって軸芯方向に所定の厚みを有している。外周磁石3の厚みは、ターゲット2の厚みとほぼ同じであるか若干小さい。
このようなリング状の外周磁石3の外観は、互いに平行な2つの円環状の面(円環面)と、当該2つの円環面を軸心方向につなぐ2つの周面とからなっている。この2つの周面は、円環面の内周側(径内側)に形成される内周面と、円環面の外周側(径外側)に形成される外周面である。これら内周面と外周面の幅は、すなわち外周磁石3の厚みである。
図2に示すように、外周磁石3は、内周面がN極となり、外周面がS極となるように磁化されている。なお、図中でS極からN極に向かう矢印が示されているが、以降、この矢印の方向を磁化方向と呼ぶ。本実施形態の外周磁石3は、この磁化方向がターゲット2の前面と平行となる方向に沿うように、すなわち磁化方向がターゲット2を向くように配備されている。
外周磁石3は、リング状あるいは環状の一体形状をなすものでも良いし、円柱状あるいは直方体状の磁石をその磁化方向がターゲット2の表面と水平方向になるように、リング状あるいは環状に並べたものでも良い。
外周磁石3は、ターゲット2の外周を取り囲むように配置されており、このような配置においてターゲット2と同心軸状となっている。このとき、外周磁石3は、ターゲット2の厚みの範囲から出ないように配置される。よって、外周磁石3の径方向から見た投影がターゲット2の径方向から見た投影と重なるように配置されている。すなわち、外周磁石3は、ターゲット2の蒸発面と平行な方向に外周磁石3とターゲット2とを投影したときに形成される影が互いに重なると共に、外周磁石3の影がターゲット2の影に完全に含まれるように配置されている。
このように、外周磁石3は、前面側の円環面である前端部及び/又は後面側の円環面である後端部が、ターゲット2の前面より背面側(後方)且つ背面より前面側(前方)に配置されるように、蒸発源1に備えられている。
このように外周磁石3を設けると、電磁コイル9だけを用いた場合に比べて、ターゲット2近傍の磁力線を収束させてターゲット2の蒸発面を通過させることができる。また、ターゲット2の蒸発面を通過する磁力線の方向を蒸発面に対してほぼ垂直とすることが可能となるという効果が得られる。
上述の構成において、電磁コイル9の極性は、基材7側がN極であり、ターゲット2側がS極である。また、外周磁石3の極性は、ターゲット2に対向する内周面側がN極であり、外周面側がS極である。しかし、電磁コイル9に付加する電流の向きを逆にするとともに、内周面と外周面の極性が外周磁石3とは逆の外周磁石を用いて、上記の構成とは反対の極性となるように構成しても同様の磁力線分布を得ることができる。
次に、蒸発源1を用いた成膜装置6における成膜の方法を説明する。
まず、チャンバ11を真空引きして真空にした後、アルゴンガス(Ar)等の不活性ガスをガス導入口13より導入し、ターゲット2及び基材7上の酸化物等の不純物をスパッタによって除去する。不純物の除去後、チャンバ11内を再び真空にして、真空となったチャンバ11内にガス導入口13より反応ガスを導入する。
この状態でチャンバ11に設置されたターゲット2上でアーク放電を発生させると、ターゲット2を構成する物質がプラズマ化して反応ガスと反応する。これによって、回転台12に置かれた基材7上に窒化膜、酸化膜、炭化膜、炭窒化膜、或いは非晶質炭素膜等を成膜することができる。
なお、反応ガスとしては、窒素ガス(N)や酸素ガス(O)、またはメタン(CH)などの炭化水素ガスを用途に合わせて選択すればよく、チャンバ11内の反応ガスの圧力は1〜7Pa程度とすればよい。また、成膜時、ターゲット2は、100〜200Aのアーク電流を流すことで放電させると共に、10〜30Vの負電圧をアーク電源15により印加するとよい。さらに、基材7には10〜200Vの負電圧をバイアス電源16により印加するとよい。
また、ターゲット2の前面における磁場が100ガウス以上となるように、外周磁石3及び電磁コイル9を構成及び配置すると好ましい。これにより、成膜を確実に行うことができる。ターゲット2の前面における磁場が150ガウスであれば、より好ましい。
なお、本実施形態の蒸発源1を用いて成膜を行っている場合における磁力線の分布状況は、以下の実施例で精説する。
図3及び図4を参照しながら、本発明の実施形態によるアーク式蒸発源1が発生する磁力線分布の特徴について説明する。
なお、図3及び図4の上段に(a)で示される磁力線分布図は、ターゲット2の背面側から基材7の表面までの磁力線分布を示している。これら図3(a)及び図4(a)の磁力線分布図において、右端は基材7の表面の位置を示している。図3及び図4の下段に(b)で示される磁力線分布図は、それぞれ、図3(b)及び図4(b)における、ターゲット2周辺の拡大図である。
以下に説明する従来例及び実施例での、各種実験条件を示す。例えば、ターゲット2は、その寸法を(100mmφ×16mm厚み)としており、チタン(Ti)とアルミ(Al)の原子比が1:1のチタンアルミ(TiAl)により形成されている。
外周磁石3は、その寸法を(外径170mm、内径150mmφ、厚み10mm)としており、永久磁石により形成されている。
[従来例]
まず理解を深めるため、図3を参照して、従来の例、すなわち電磁コイル9だけを用いたときの磁力線分布について説明する。
図3(a)を参照すると、電磁コイル9が形成する磁界による磁力線は、ターゲット2側から収束されつつ電磁コイル9のコイル内に導入されるとともに、当該コイル内から拡散しつつ基材7の表面に向かっている。
図3(b)を参照すると、ターゲット2の前面(蒸発面)を通過する磁力線は、ターゲット2の外周から内周に向かう方向に傾いており、ターゲット2の背面から前面に向かって収束している。
[実施例]
図4を参照して、本発明の実施形態によるアーク式蒸発源1を用いたときの磁力線分布について説明する。
図4(a)を参照すると、電磁コイル9と外周磁石2が形成する磁界による磁力線のうち、ターゲット2の背面側から基材7に向かう磁力線のほぼ全てがターゲット2の前面(蒸発面)を通過して、電磁コイル9のコイル内に導入されている。
図3(a)に示す従来例と比較すると、図4(a)に示す実施例では、ターゲット2と電磁コイル9との間における磁力線の密度が高くなっていることがわかる。つまり、外周磁石2を用いることで、ターゲット2〜電磁コイル9間の磁力が強くなったといえる。
図4(b)を参照すると、図3(b)に示す従来例と比較して、ターゲット2の前面(蒸発面)における磁力線の密度が高くなっていることがわかる。これだけでなく、ターゲット2の蒸発面を通過する磁力線は、ターゲット2の蒸発面に対してほぼ垂直(言い換えれば、ターゲット法線に対して略平行)となっているが、ただ単に蒸発面に対してほぼ垂直というだけでなく、ターゲット2の外周から内周に向かう方向に若干傾いているといえる。
この傾きにより、放電時にアークスポットが外周部へと移動して放電が不安定になるといった問題や、当該外周部のみで局所的な放電が生じてしまうといった問題が発生しにくくなる。
以上、本発明の実施形態及び実施例を通して以下のことが理解できる。つまり、イオン化されたターゲットの物質をターゲット2の蒸発面から効率よく引き出すために、ターゲット2〜電磁コイル9間の磁力を強くしたい場合、外周磁石3を設ければ電磁コイル9に付加する電流値を大きくしなくても、ターゲット2〜電磁コイル9間の磁力強度を高くすることができる。
この外周磁石3を設ける位置については、上記実施形態で開示した位置に限らない。
例えば、外周磁石3を、ターゲット2の背面側に位置をずらして配置することができる。このように外周磁石3の位置をずらすことで、外周磁石3の径方向から見た投影の前面側が、ターゲット2の径方向から見た投影の背面側と重なる。すなわち、外周磁石3は、ターゲット2の蒸発面と平行な方向に外周磁石3とターゲット2とを投影したときに形成される投影が互いに部分的に重なると共に、外周磁石3の投影の前面側がターゲット2の投影の背面側に重なるように配置される。
このとき、図2の外周磁石3において矢印が示された外周磁石3の厚み方向の中央位置つまり、外周磁石3の前端部と後端部の中間位置は、ターゲット2の厚み方向に沿った幅の範囲内にあり、ターゲット2の背面よりも前面側(前方)に配置されている。
このように、本実施形態における外周磁石3は、前端部がターゲット2の背面よりも前方に配置されるように蒸発源1に備えられている。さらに詳細に説明すると、外周磁石3は、ターゲット2の前面側の円環面である前端部及び/又はターゲット2の後面側の円環面である後端部が、ターゲット2の前面より背面側(後方)且つ背面より前面側(前方)に配置されるように、蒸発源1に備えられているといえる。
このように、外周磁石3をターゲット2の背面側にずらして配置すると、ターゲット2の蒸発面を通過する磁力線が、ターゲット2の蒸発面に対してより垂直(言い換えれば、ターゲット法線に対してより平行)となることが期待できる。これに加えて、ターゲット2の消費によって蒸発面の位置が変化した場合でも、蒸発面での磁場に均一性を良好な状態で保つことができるようになる。
上述のように、外周磁石3を、前端部がターゲット2の背面よりも前方となるように配置するのが望ましい。
しかし、図5に示すように、本実施形態によるアーク式蒸発源1の変形例として、外周磁石3を、ターゲット2の外周を取り囲まずに、前端部がターゲット2の背面よりも後方となるように配置できる場合がある。このとき、外周磁石3の径方向から見た投影の前面側は、ターゲット2の径方向から見た投影の背面側よりも後方に位置することになる。すなわち、外周磁石3を、ターゲット2の蒸発面と平行な方向に外周磁石3とターゲット2とを投影したときに形成される投影が重ならず、外周磁石3の投影の前面側がターゲット2の投影の背面側よりも後方となるように配置することができる。
言うまでもなく、外周磁石3をターゲット2の背面から後方に離しすぎると、ターゲット2前面の磁力が弱くなると共に、ターゲット2の外側に発散するような磁力線が形成されてしまう。そこで、ターゲット2の前面での磁力線がおよそ100ガウス程度又はそれ以上となり、且つターゲット2の外周部にターゲット中心方向に傾いた磁力線が形成されるという条件が満たされていれば、例えば、外周磁石3は、軸心がターゲット2の前面と略垂直に交差する位置で、前端部がターゲット2の背面よりも後方となるように、且つ磁化方向がターゲット2の前面と平行となる方向に沿うように配置されてもよい。より好ましくは、外周磁石3は、ターゲット2とほぼ同軸(同心軸状)となるように配置されるとよい。
ところで、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、動作条件や測定条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
本発明は、薄膜を形成する成膜装置のアーク式蒸発源として利用することができる。
1 蒸発源(アーク式蒸発源)
2 ターゲット
3 外周磁石
6 成膜装置
7 基材
8 磁界形成手段
9 電磁コイル
11 真空チャンバ
12 回転台
13 ガス導入口
14 ガス排気口
15 アーク電源
16 バイアス電源
18 グランド

Claims (6)

  1. ターゲットと、前記ターゲットの前方において軸心がターゲットの前面と略垂直となる方向に沿うように配置され、且つ前記ターゲットの前面と略垂直方向となる磁場を発生するリング状の磁場発生機構と、を有するアーク式蒸発源において、
    リング状であって、磁化方向が当該リング形状の径方向に沿っていて、前記ターゲットの外周を取り囲むように、且つ前記磁化方向が当該ターゲットの前面と平行となる方向に沿うように配置された外周磁石が備えられたことを特徴とするアーク式蒸発源。
  2. 前記外周磁石は、前端部及び/又は後端部が、前記ターゲットの前面より後方且つ背面より前方となるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のアーク式蒸発源。
  3. ターゲットと、前記ターゲットの前方において軸心がターゲットの前面と略垂直となる方向に沿うように配置され、且つ前記ターゲットの前面と略垂直方向となる磁場を発生するリング状の磁場発生機構と、を有するアーク式蒸発源において、
    リング状であって、磁化方向が当該リング形状の径方向に沿っていて、前端部が前記ターゲットの背面よりも後方となるように、且つ前記磁化方向が当該ターゲットの前面と平行となる方向に沿うように配置された外周磁石が備えられたことを特徴とするアーク式蒸発源。
  4. 前記ターゲットは円板状であり、前記外周磁石は永久磁石であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアーク式蒸発源。
  5. 前記磁場発生機構は、電磁コイルからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアーク式蒸発源。
  6. 前記ターゲットの前面における磁場が、100ガウス以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアーク式蒸発源。
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