<本実施形態の記録装置の概要>
まず、図2を参照しながら、本実施形態の記録装置の概要について説明する。
本実施形態の記録装置は、インクを吐出する複数のノズル(記録ヘッド6のノズル列)と、光を発光する発光部200と、発光部200が発した光と記録ヘッド6に設けられたノズルから吐出されたインクとが交わることにより発生する散乱光を受光して、第1の出力信号(PD_OUT1)と第2の出力信号(PD_OUT2)を出力する受光部300と、記録ヘッド6に設けられたノズルから順次インクを吐出させるノズル駆動手段(記録ヘッドドライバ103に相当)と、第1の出力信号(PD_OUT1)の変化量を表す第2の出力信号(PD_OUT2)に基づいてインクの吐出の有無を検知する検知手段(制御部100に相当)と、を備えて構成する。
本実施形態の記録装置は、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の第1の閾値を上回っている場合は、ノズル駆動手段である記録ヘッドドライバ103による吐出動作と制御部100によるインクの吐出の有無の検知とを停止し、第1の出力信号(PD_OUT1)が第1の閾値以下の値である第2の閾値を下回っている場合は、記録ヘッドドライバ103による吐出動作と制御部100によるインクの吐出の有無の検知とを行うことを特徴とする。
また、本実施形態の記録装置は、インクを吐出する複数のノズル(記録ヘッド6のノズル列)と、光を発光する発光部200と、光を受光して第1の出力信号(PD_OUT1)と第2の出力信号(PD_OUT2)とを出力し、発光部200が発した光と記録ヘッド6に設けられたノズルから吐出されるインクとが交わることにより光の受光量が減少し、第1の出力信号(PD_OUT1)が変化する受光部300と、複数のノズルから順次インクを吐出させるノズル駆動手段(記録ヘッドドライバ103に相当)と、第1の出力信号(PD_OUT1)の変化量を表す第2の出力信号(PD_OUT2)に基づいてインクの吐出の有無を検知する検知手段(制御部100に相当)と、を備えて構成する。
本実施形態の記録装置は、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の第1の閾値を下回っている場合は、記録ヘッドドライバ103による吐出動作と制御部100によるインクの吐出の有無の検知とを停止し、第1の出力信号(PD_OUT1)が第1の閾値以上の値である第2の閾値を上回っている場合は、記録ヘッドドライバ103による吐出動作と制御部100によるインクの吐出の有無の検知とを行うことを特徴とする。
本実施形態の記録装置は、ミストの浮遊によって変化する第1の出力信号(PD_OUT1)を基に、記録ヘッドドライバ103による吐出動作と制御部100による検知動作とを停止したり、行ったりすることができるため、ミストの浮遊を抑制し、より正確にインク滴を検知することができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の記録装置について説明する。
(第1の実施形態)
<記録装置の概略構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の記録装置の概略構成例について説明する。
本実施形態の記録装置は、両側の側板1,2間に主支持ガイドロッド3及び従支持ガイドロッド4を略水平な位置関係で横架し、主支持ガイドロッド3及び従支持ガイドロッド4でキャリッジ5を主走査方向に摺動自在に支持するように構成している。
キャリッジ5は、イエロー(Y)インク、マゼンタ(M)インク、シアン(C)インク、ブラック(Bk)インクを吐出する4個の記録ヘッド6を、その吐出面(ノズル面)を下方に向けて搭載している。また、キャリッジ5は、記録ヘッド6(符号「6」は、各記録ヘッドの何れか又は総称を意味する)の上側に4個のインクカートリッジ7(符号「7」は、各インクカートリッジの何れか又は総称を意味する)を交換可能に搭載している。インクカートリッジ7は、4個の記録ヘッド6にインクを供給するための各色のインク供給体である。キャリッジ5は、主走査モータ8で回転する駆動プーリ(駆動タイミングプーリ)9と、従動プーリ(アイドラプーリ)10と、の間に張装したタイミングベルト11に連結し、主走査モータ8を駆動制御することで、キャリッジ5を主走査方向に移動するように構成している。主走査方向の移動は、キャリッジ5に読取センサ41を設け、その読取センサ41がエンコーダ40のマークを検知して得られるエンコーダ値を基に制御する。マークとしては、目盛りやスリット等が挙げられる。
また、本実施形態の記録装置は、側板1,2を繋ぐ底板12上にサブフレーム13,14を立設し、このサブフレーム13,14間に搬送ローラ15を回転自在に保持して構成している。そして、サブフレーム14側に副走査モータ17を配設し、この副走査モータ17の回転を搬送ローラ15に伝達するために、副走査モータ17の回転軸に固定したギヤ18と搬送ローラ15の軸に固定したギヤ19とを有して構成している。
また、側板1とサブフレーム12との間には、記録ヘッド6の信頼性維持回復機構(以下、「サブシステム」と称する)21を配置している。サブシステム21は、記録ヘッド6の吐出面をキャッピングする4個のキャップ手段22をホルダ23で保持し、このホルダ23をリンク部材24で揺動可能に保持して構成している。そして、キャリッジ5が主走査方向に移動し、ホルダ23に設けた係合部25にキャリッジ5が当接した場合に、ホルダ23がリフトアップし、キャップ手段22で記録ヘッド6の吐出面をキャッピングするようにしている。また、キャリッジ5が画像形成領域16側に移動した場合に、ホルダ23がリフトダウンし、キャップ手段22が記録ヘッド6の吐出面から離れるようにしている。
なお、キャップ手段22は、吸引チューブ26を介して吸引ポンプ27に接続すると共に、大気開放口を形成し、大気開放チューブ及び大気開放バルブを介して大気に連通するようにしている。また、吸引ポンプ27は、吸引した廃液(廃インク)を廃液貯留槽に排出するようにしている。
また、ホルダ23の側方には、記録ヘッド6の吐出面をワイピングするワイパブレード30をブレードアーム31に取り付け、このブレードアーム31は、揺動可能に軸支し、図示しない駆動手段で回動されるカムの回転によって揺動するようにしている。
<記録装置の制御機構の構成例>
次に、図2を参照しながら、本実施形態の記録装置の制御機構の構成例について説明する。
本実施形態の記録装置の制御機構は、制御部100、記憶部101、主走査モータドライバ102、記録ヘッドドライバ103、LDドライバ202等を含んで構成している。
制御部100は、記録データや駆動制御信号(パルス信号)を、記憶部101および各ドライバに供給し、記録装置全体の制御を司る。制御部100は、主走査モータドライバ102を介して、キャリッジ5の主走査方向の駆動を制御する。また、記録ヘッドドライバ103を介して、記録ヘッド6によるインクの吐出タイミングを制御する。また、LDドライバ202を介してLD201から発光する光の発光タイミングを制御する。
記憶部101は、所要の情報を保存しておくものである。例えば、制御部100で実行する処理手順等のプログラムが格納される。
本実施形態の制御部100は、インク検知動作を開始する場合は、主走査モータドライバ102、キャリッジ5、記録ヘッドドライバ103、記録ヘッド6、LDドライバ202、LD201等を制御し、キャリッジ5を図1のMdの位置まで駆動させてインクの検知動作を開始する。キャリッジ5をMdの位置まで移動させた後、キャリッジ5の移動を停止した状態で、LD201から光を発光すると共に、記録ヘッド6のノズル列からインクを吐出し、インク滴の有無に応じた出力信号(PD_OUT2)をインク検知部MdのPD出力回路302から取得する。制御部100は、インク検知部MdのPD出力回路302から取得した出力信号(PD_OUT2)を基に、記録ヘッド6のノズル列から吐出したインク滴を検知したか否かを判定し、記録ヘッド6のノズル列から吐出したインク滴を検知した場合に、そのノズル列からインクが吐出したと判定する。また、記録ヘッド6のノズル列から吐出したインク滴を検知できなかった場合に、そのノズル列からインクが吐出しなかったと判定する(ノズル欠損)。
なお、記録ヘッド6のノズル列から吐出したインクは、図3に示すように、飛翔中に合体して1つのインク滴となる。しかし、図3に示すように合体せずに1つのインク滴にならない場合もある。1つのインク滴にならなかったインクはミストとして気体中に浮遊する。なお、このミストがLD201から発光した光と交わると、インク検知部MdのPD301が受光する光から得られるPD電流の出力レベルが変化するため、PD出力回路302は、ミストの発生状況によっては、上述したインク滴の有無に応じた出力信号(PD_OUT2)を取得することができなくなる。制御部100は、インク滴の有無に応じた出力信号(PD_OUT2)をPD出力回路302から取得できないと、インク滴の有無を検知することができない。
このため、本実施形態の制御部100は、PD301が受光する光から得られるPD電流(PD_OUT1)をPD出力回路302から取得し、その取得したPD電流(PD_OUT1)を基に、ミストの有無を検知し、ミストの有を検知した場合は、記録ヘッド6からのインクの吐出を一旦停止し、ミストを低減させることにしている。これにより、PD出力回路302は、インク滴の有無に応じた出力信号(PD_OUT2)を取得することができるため、制御部100は、インク滴の有無に応じた出力信号(PD_OUT2)をPD出力回路302から取得し、その取得した出力信号(PD_OUT2)を基に、インクの有無を検知することができる。
<制御部100の構成>
次に、制御部100の内部構成について説明する。図4は、制御部100の機能ブロック図である。
制御部100は、ミスト検知部110、第1の出力信号受信部111、ミスト除去制御部112、ノズル欠損検知制御部113、インク検出部114、第2の出力信号受信部115、吐出動作制御部116、主走査モータドライバ制御部117、信頼性維持回復機構制御部118を備える。インク検知部MdのPD出力回路302は、第1の出力信号出力部302a、第2の出力信号出力部302bを備える。記憶部101は、閾値記憶部101aと、ノズル記憶部101bとを備える。
第1の出力信号出力部302aから第1の出力信号(PD_OUT1)が出力されると、第1の出力信号受信部111で、出力された第1の出力信号を受信する。第1の出力信号受信部111からミスト検知部110に、第1の出力信号が伝えられる。ミスト検知部110は、第1の出力信号の出力電圧の値を監視する。
第2の出力信号出力部302bから、インク滴の有無に応じた出力信号である第2の出力信号(PD_OUT2)が出力されると、第2の出力信号受信部115で第2の出力信号を受信する。受信された第2の出力信号はインク検出部114に伝えられ、インク検出部114は第2の出力信号から、記録ヘッド6から吐出されたインクを検出してノズル欠損検知制御部113に通知する。
ノズルからインクが吐出されなかった場合、ノズル欠損検知制御部113は、インク検出部114からの通知から、インクを吐出していないノズルを検出し、ノズル記憶部101bに検出されたノズルの番号を記憶する。ノズル欠損検知制御部113は、必要に応じて先に述べた信頼性維持回復機構21を制御する信頼性維持回復機構制御部118に伝える。信頼性維持回復機構制御部118は主走査モータドライバ制御部117によりキャリッジ5を信頼性維持回復機構21まで駆動させ、インクを吐出していないノズルに対してインクの吸引を行う。
ミスト検知部110は、第1の出力信号の出力電圧と閾値記憶部に記憶された閾値との比較を行い、第1の出力信号が閾値を上回った場合にノズル欠損検知制御部113に伝える。また、ミスト検知部110は、第1の出力信号が閾値を上回った場合、必要に応じてミスト除去制御部112に伝え、ミスト除去制御部112はミスト除去部を用いてミストを除去するが、ミスト除去については後述する。
第1の出力信号が閾値を上回った通知をミスト検知部110から受け付けたノズル欠損検知制御部113は、吐出動作制御部116に対して吐出を中断する通知を行い、中断時のノズル番号をノズル記憶部101bに記憶する。吐出動作制御部116は、記録ヘッドドライバ113を制御してノズルからのインクの吐出を中断する。インクの吐出の中断時にもミスト検知部110は第1の出力信号の出力電圧の値を監視し続け、出力電圧が閾値を下回った場合にノズル欠損検知制御部113に通知する。ノズル欠損検知制御部113は吐出動作制御部116に対して、中断されたノズルから吐出を再開するよう通知し、吐出動作制御部116はノズルからのインク吐出を再開するよう制御する。
<インク検知部Mdの構成例及び配置位置>
次に、図2、図4、図5を参照しながら、インク検知部Mdの構成例及び配置位置について説明する。
本実施形態のインク検知部Mdは、図5に示すように発光部200の発光素子201と受光部300の受光素子301とが対になって構成している。本実施形態のインク検知部Mdは、図2に示すように、発光素子201と受光素子301とが対になった1つのユニットを有して構成している。
本実施形態のインク検知部Mdの設置面には、図5に示すように、記録ヘッド6のノズル列から吐出したインクを回収するための廃液タンク400が設けられている。本実施形態のインク検知部Mdは、図6に示すように、画像形成領域16と、キャップ手段22(ホームポジション)と、の間に配置するため、廃液タンク400を設けることで、画像形成領域16とキャップ手段22との間で記録ヘッド6のノズル列からインクを吐出した場合でも、その吐出したインクを回収することができる。
また、本実施形態の記録装置において、画像形成領域16の位置は予め固定されており、インク検知部Mdとキャップ手段22との配置位置も予め固定される。このため、図6に示すように、インク検知部Mdの光軸中心とホームポジションとの距離(L1)、及び、インク検知部Mdの光軸中心と画像形成領域端部との距離(L2)も固定した値になる。従って、記録ヘッド6のノズル列と、インク検知部Mdの光軸中心と、の位置関係がわかれば、記録ヘッド6のノズル列とホームポジションとの距離、記録ヘッド6のノズル列と画像形成領域端部との距離もわかるため、記録ヘッド6のノズル列を所望の位置に移動することができる。
なお、図6において、インク検知部Mdの光軸中心とは、受光素子301と対になっている発光素子201から発光した光の光軸中心であり、記録ヘッド中心とは、記録ヘッド6がホームポジションに位置した時の記録ヘッド6の中心位置である。
<散乱光検知方式のインク検知部Mdの構成例>
次に、図7を参照しながら、散乱光検知方式のインク検知部Mdの構成例について説明す
る。
本実施形態では、発光部200の発光素子201にLD(レーザーダイオード)、受光部300の受光素子301にPD(フォトダイオード)を用いた場合を例に説明する。
図7(a)は、インク検知部Mdの側面図を示し、図7(b)は、インク検知部Mdの上面図を示す。
本実施形態の発光部200は、LDドライバ(図2の202)、LD201、コリメートレンズ203、アパーチャ204を有して構成し、図7(b)に示すように、LD201から発光したLD光をコリメートレンズ203にて平行光に変換し、アパーチャ204で主走査方向に対して所望の光の幅になるようにLD光を絞る。
また、本実施形態の受光部300は、PD301、PD出力回路(図2の302)を有して構成し、PD301は、図7に示すように、LD光が直接入射する位置に設けられるのではなく、記録ヘッド6のノズル列から吐出したインクがLD光と交わった際に発生する散乱光が入射する位置に設けられる。これにより、インクとLD光とが交わり、散乱光が発生した場合に、その散乱光がPD301に入光し、PD301は、受光した光に応じたPD電流を流すことになる。なお、PD301は、予め実験等を行って散乱光が入光する位置に配置されることになる。
PD出力回路302は、図8に示すように、I-V変換回路3021と、アンプ3022と、フィルタ3023と、コンパレータ3024と、トランジスタ3025と、を有して構成する。
I-V変換回路3021は、PD301で発生したPD電流を電圧に変換する。アンプ3022は、I-V変換回路3021で変換された電圧を増幅し、第1の出力信号(PD_OUT1)を出力する。フィルタ3023は、アンプ3022で増幅された第1の出力信号(PD_OUT1)からノイズ(低周波数分:ミストによる変化分)を除去し、コンパレータ3024は、フィルタ3023から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)と、基準電圧と、を比較し、2値化した第2の出力信号(PD_OUT2)を出力する。コンパレータ3024の基準電圧は、インクとLD光とが交わることで発生した散乱光がPD301に入光したときのみ、インクを検知した旨のHighの出力信号が出力される値に調整する。アンプ3022から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)と、トランジスタ3025から出力された第2の出力信号(PD_OUT2)と、は制御部100に入力される。制御部100は、トランジスタ3025から出力された第2の出力信号(PD_OUT2)を基に、インク滴の有無を検知し、インク滴の有を検知した場合に、記録ヘッド6の位置を検出する。また、制御部100は、アンプ3022から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)の出力レベルを基に、ミストの有無を検知し、ミストの有を検知した場合に、記録ヘッド6からのインクの吐出を一旦中断し、ミストを低減させることにしている。
尚、フィルタ3023はハイパスフィルタであり、ノイズを除去するとともにフィルタ3023に印加された第1の出力信号(PD_OUT1)の変化量を出力するような微分機能を有するフィルタを用いる。コンパレータ3024は第1の出力信号の変化量(第1の出力信号を微分したもの)と基準電圧を比較し、第1の出力信号の変化量が基準電圧を上回る場合にLowの出力を行い、基準電圧が第1の出力信号の変化量を上回る場合にHighの出力を行う。トランジスタ3025でコンパレータ3024からの出力が反転され、トランジスタ3025のコネクタから、最終的に第1の出力信号(PD_OUT1)から2値化された第2の出力信号(PD_OUT2)が得られる。フィルタ3023として、ハイパスフィルタと微分回路を組み合わせて用いてもよい。
また、図8の構成では、制御部100にアナログポートを設け、アンプ3022から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)をデジタル信号に変換することにした。しかし、制御部100にアナログポートを設けず、図9に示すように、アンプ3022と制御部100との間にADコンバータ3026を設け、ADコンバータ3026でデジタル信号に変換した第1の出力信号(PD_OUT1)を制御部100に出力するように構成することも可能である。このように、アンプ3022から出力される第1の出力信号(PD_OUT1)をデジタル信号に変換する処理をどこかで行うことが可能であれば、特に限定せず、任意の回路構成を適用することが可能である。なお、デジタル信号に変換する際は、必要に応じて抵抗R1,R2により分圧して電圧レベルを調整することが好ましい。
<制御部100の処理動作例>
次に、図10を参照しながら、本実施形態の制御部100の処理動作例について説明する。
まず、制御部100のミスト検知部110は、第mのノズルからインクを吐出し、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th)を超えたか否かを判定する(PD_OUT1>th?)(ステップS1)。第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th)を超えていない場合は(PD_OUT1≦th)(ステップS1/No)、ノズル欠損検知制御部113が、PD出力回路302から出力された第2の出力信号(PD_OUT2)を基に、第mのノズルのインクの有無を検知する(ステップS2)。ノズル欠損検知制御部113は、インクの有を検知した場合に、その第mのノズルからインクが吐出したと判定する。また、インクの無を検知した場合に、その第mのノズルからインクが吐出しなかったと判定する(ノズル欠損)。これにより、制御部100は、インクが吐出しなかったノズルを特定することができる。なお、ノズル欠損検知制御部113は、インクが吐出しなかったノズル番号をノズル記憶部101bに記憶し、ノズル欠損があったノズル番号を管理する。
次に、上記検知した第mのノズルが最終ノズル(n)であるか否かを判定し(ステップS3)、最終ノズルである場合は(ステップS3/Yes)、インク検知動作を終了する(End)。また、最終ノズルでない場合は(ステップS3/No)、次のノズル(m=m+1)からインクを吐出し、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th)を超えたか否かを判定する(PD_OUT1>th?)(ステップS1)。
ミスト検知部110は、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th)を超えた場合は(PD_OUT1>th)(ステップS1/Yes)、ノズル欠損検知制御部113に通知してインク検知動作を一旦中断する(ステップS4)。この場合、ノズル欠損検知制御部113は、記録ヘッド6からのインク吐出を一旦中断し、その中断した時のノズル番号(m)をノズル記憶部101bに記憶する。
ミスト検知部110は、第1の出力信号(PD_OUT1)を監視し、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th)を下回った場合は(PD_OUT1≦th)(ステップS5/Yes)、ノズル欠損検知制御部113によりインク検知動作が再開される(ステップS6)。この場合、ノズル欠損検知制御部113は、ノズル記憶部101bに記憶したノズル番号(m)からインク吐出を再開する。
図11は、図10の処理動作例の具体例を示す。図11において、Vcomは、インクを吐出させるために記録ヘッド6に出力する駆動波形を示し、Vcomの上の数字は、ノズル番号を示す。thは、インク検知動作を中断するための閾値を示す。PD_OUT1は、フィルタ3023に出力させる前の第1の出力信号を示し、PD_OUT2は、第1の出力信号(PD_OUT1)の微分波形をフィルタ3023で生成し、その出力をコンパレータ3024で二値化した第2の出力信号を示す。
図11では、ノズル番号が3までは、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th)を超えていないため、第2の出力信号(PD_OUT2)を検出することができる。このため、制御部100は、ノズル番号が3までは、第2の出力信号(PD_OUT2)を基に、インクの有無を検知することができる。しかし、ノズル番号が4の場合は、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th)を超えており、アンプ3022の飽和領域に存在しているため、第2の出力信号(PD_OUT2)を検出することができない。つまり、ノズル番号4のインクの吐出による信号は、アンプ3022の飽和領域にかかり、信号として出力されない。
このため、制御部100は、インク検知動作を一旦中断し、一旦中断したノズル番号4を記憶部101に記憶する。そして、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th)を下回った場合に、一旦中断したノズル番号4からインク吐出を再開し、インク検知動作を再開する。これにより、本実施形態の制御部100は、ミストの浮遊を抑制し、正確にインク滴を検知することができる。なお、中断期間は、100ms程度であることが好ましい。この中断期間だけ、インク検知動作を中断することで、ミストが自然に除去されることになる。なお、中断期間を経過しても、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th)を超えている場合は、エラー通知を行うようにすることも可能である。
<本実施形態の記録装置の作用・効果>
このように、本実施形態の記録装置は、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th)を上回った場合は、インク検知動作を一旦中断し、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th)を下回った場合は、インク検知動作を再開する。これにより、ミストの浮遊を抑制し、インク滴を正確に検知することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th)を上回った場合は、インク検知動作を一旦中断し、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th)を下回った場合は、インク検知動作を再開することにした。即ち、第1の実施形態では、インク検知動作を中断するための閾値(th)と、インク検知動作を再開するための閾値(th)と、を同一の値にした。
第2の実施形態では、閾値(th)にヒステリシスを持たせ、インク検知動作を中断するための閾値(H_th)と、インク検知動作を再開するための閾値(L_th)と、を異なる値にした。これにより、例えば、インクの検知動作を再開するための閾値(L_th)をインクの検知動作を中断するための閾値(H_th)より小さい値にすることで、ミストが十分に低減した後にインク検知動作を再開することになるため、仮に、ミストが再度発生しても、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)が、インク検知動作を中断するための閾値(H_th)を即座に超えることを回避することができる。以下、第2の実施形態について詳細に説明する。
<制御部100の処理動作例>
まず、図12を参照しながら、本実施形態の制御部100の処理動作例について説明する。
まず、ミスト検知部110は、第mのノズルからインクを吐出し、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の第1の閾値(H_th)を超えたか否かを判定する(PD_OUT1>H_th?)(ステップA1)。第1の閾値(H_th)は、正常にインク検知動作ができなくなる上限の閾値にすることが好ましい。第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の第1の閾値(H_th)を超えていない場合は(PD_OUT1≦H_th)(ステップA1/No)、PD出力回路302から出力された第2の出力信号(PD_OUT2)を基に、第mのノズルのインクの有無を検知する(ステップA2)。次に、上記検出した第mのノズルが最終ノズル(n)であるか否かを判定し(ステップA3)、最終ノズルである場合は(ステップA3/Yes)、インク検知動作を終了する(End)。また、最終ノズルでない場合は(ステップA3/No)、次のノズル(m=m+1)からインクを吐出し、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の第1の閾値(H_th)を超えたか否かを判定する(PD_OUT1>H_th?)(ステップA1)。
ミスト検知部110は、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の第1の閾値(H_th)を超えた場合は(PD_OUT1>H_th)(ステップA1/Yes)、ノズル欠損検知制御部113に通知し、ノズル欠損検知制御部113はインク検知動作を一旦中断する(ステップA4)。この場合、吐出動作制御部116は、記録ヘッド6からのインク吐出を一旦中断し、その中断した時のノズル番号(m)をノズル記憶部101bに記憶する。
ミスト検知部110は、第1の出力信号(PD_OUT1)を監視し、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の第2の閾値(L_th)を下回った場合は(PD_OUT1≦L_th)(ステップA5/Yes)、インク検知動作を再開する(ステップA6)。この場合、ノズル欠損検知制御部113は、ノズル記憶部101bに記憶したノズル番号(m)からインク吐出を再開する。第2の閾値(L_th)は、正常にインク検知動作ができる下限の閾値にすることが好ましい。
図13は、図12の処理動作例の具体例を示す。図13において、Vcomは、インクを吐出させるために記録ヘッド6に出力する駆動波形を示し、Vcomの上の数字は、ノズル番号を示す。H_thは、インク検知動作を中断するための第1の閾値を示す。L_thは、インク検知動作を再開するための第2の閾値を示す。PD_OUT1は、フィルタ3023に出力させる前の第1の出力信号を示し、PD_OUT2は、第1の出力信号(PD_OUT1)からフィルタ3023で生成した信号について、コンパレータ3024で二値化した第2の出力信号を示す。
図13では、ノズル番号が3までは、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の第1の閾値(H_th)を超えていないため、第2の出力信号(PD_OUT2)を検出することができる。このため、制御部100は、ノズル番号が3までは、第2の出力信号(PD_OUT2)を基に、インクの有無を検知することができる。しかし、ノズル番号が4の場合は、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の第1の閾値(H_th)を超え、アンプ3022の飽和領域となるため、第2の出力信号(PD_OUT2)を検出することができない。このため、インク検知動作を一旦中断し、一旦中断したノズル番号4を記憶部101に記憶する。そして、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の第2の閾値(L_th)を下回った場合に、一旦中断したノズル番号4からインク吐出を再開し、インク検知動作を再開する。これにより、本実施形態の制御部100は、ミストの浮遊を抑制し、インクを検知することができる。
<本実施形態の記録装置の作用・効果>
このように、本実施形態の記録装置は、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の第1の閾値(H_th)を上回った場合は、インク検知動作を一旦中断し、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の第2の閾値(L_th)を下回った場合は、インク検知動作を再開する。これにより、ミストの浮遊を抑制し、インク滴を正確に検出することができる。
また、本実施形態の記録装置は、インク検知動作を再開するための第2の閾値(L_th)をインク検知動作を中断するための第1の閾値(H_th)より小さい値にすることで、ミストが十分に低減してからインク検知動作を再開することになるため、仮に、ミストが再度発生しても、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)がインク検知動作を中断するための第2の閾値(H_th)を即座に超えることを回避することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th)を上回った場合は、インク検知動作を一旦中断し、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th)を下回った場合は、インク検知動作を再開することにした。
第3の実施形態では、インクの吐出間隔を変更するための閾値(H_th1)を設け、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)がその閾値(H_th1)を上回った場合は、インクの吐出間隔を広げ(t1→t2)、ミストの除去時間を確保する。これにより、インク検知動作を行いつつ、ミストの発生を抑制することができるため、インク検知動作の中断を軽減することができる。なお、インクの吐出間隔を広げても、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)がインク検知動作を中断するための閾値(H_th)を上回った場合は、上述した実施形態と同様にインク検知動作を中断する。以下、第3の実施形態について詳細に説明する。
<制御部100の処理動作例>
まず、図14を参照しながら、本実施形態の制御部100の処理動作例について説明する。
まず、ミスト検知部110は、第mのノズルからインクを吐出し、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)が中断検出用の閾値(H_th)を超えたか否かを判定する(PD_OUT1>H_th?)(ステップB1)。第1の出力信号(PD_OUT1)が中断検出用の閾値(H_th)を超えておらず(PD_OUT1≦H_th)(ステップB1/No)、第mのノズルからのインクの吐出間隔がt1である場合は(ステップB2/Yes)、ステップB3に進む。ステップB3において、第1の出力信号(PD_OUT1)がインクの吐出間隔を変更するための第1の閾値(H_th1)を超えているか否かを判定する(PD_OUT1>H_th1?)(ステップB3)。第1の出力信号(PD_OUT1)が第1の閾値(H_th1)を超えていない場合(PD_OUT1≦H_th1)(ステップB3/No)、吐出間隔がt1のまま第mのノズルからのインク吐出を検知する(ステップB4)。
ステップB1で第1の出力信号(PD_OUT1)が中断検出用の閾値(H_th)を超えていない場合であって、インクの吐出間隔がt1である場合(ステップB2/Yes)、第1の出力信号(PD_OUT1)がインクの吐出間隔を変更するための第1の閾値(H_th1)を超えているか否かを判定する(PD_OUT1>H_th1?)(ステップB3)。超えている場合は(PD_OUT1>H_th1)(ステップB3/Yes)、インクの吐出間隔を第1の閾値(H_th1)に応じた値に変更し(t1→t2)(ステップB7)、PD出力回路302から出力された第2の出力信号(PD_OUT2)を基に、第mのノズルのインクの有無を検知する(ステップB4)。
ステップB1で第1の出力信号(PD_OUT1)が中断検出用の閾値(H_th)を超えていない場合であって、インクの吐出間隔がt2である場合(ステップB2/No)、ステップB8に進む。ステップB8では、第1の出力信号(PD_OUT1)がインクの吐出間隔を変更するための第2の閾値(L_th1)以下であるか否かを判定し(PD_OUT1≦L_th1?)(ステップB8)、第1の出力信号(PD_OUT1)がインクの吐出間隔を変更するための第2の閾値(L_th1)以下でない場合は(PD_OUT1>L_th1)(ステップB8/No)、インク吐出間隔がt2のまま、PD出力回路302から出力された第2の出力信号(PD_OUT2)を基に、第mのノズルのインクの有無を検知する(ステップB4)。ステップB8において、第1の出力信号(PD_OUT1)がインクの吐出間隔を変更するための第2の閾値(L_th1)以下である場合には(PD_OUT1≦L_th1)(ステップB8/Yes)、インクの吐出間隔を第2の閾値(L_th1)に応じた値に変更し(t2→t1)(ステップB9)、PD出力回路302から出力された第2の出力信号(PD_OUT2)を基に、第mのノズルのインクの有無を検知する(ステップB4)。
ミスト検知部110は、第1の出力信号(PD_OUT1)が中断検出用の閾値(H_th)を超えた場合は(PD_OUT1>H_th)(ステップB1/Yes)、ノズル欠損検知制御部113に通知し、ノズル欠損検知制御部113はインク検知動作を一旦中断する(ステップB10)。この場合、吐出動作制御部116は、記録ヘッド6からのインク吐出を一旦中断し、その中断した時のノズル番号(m)をノズル記憶部101bに記憶する。
ミスト検知部110は、第1の出力信号(PD_OUT1)を監視し、第1の出力信号(PD_OUT1)が検出再開用の閾値(L_th)を下回った場合は(PD_OUT1≦L_th)(ステップB11/Yes)、インク検知動作を再開する(ステップB12)。この場合、ノズル欠損検知制御部113は、ノズル記憶部101bに記憶したノズル番号(m)からインク吐出を再開する。また、インクの吐出間隔を初期状態時(t1)に設定する。
ノズル欠損検知制御部113は、第mのノズルのインクの有無を検知した後(ステップB4)、上記検出した第mのノズルが最終ノズル(n)であるか否かを判定し(ステップB5)、最終ノズルである場合は(ステップB5/Yes)、インク検知動作を終了する(End)。最終ノズル(n)でない場合、ステップB6においてmをインクリメントし、インクリメントされた第mのノズルについて、ステップB1〜B4を繰り返し実行する。
尚、ステップB4における第mのノズルのインク吐出の検知については、便宜上ステップB5における第mのノズルが最終ノズルか否かの確認(ステップB5)の前に実行しているが、実際は所定タイミング毎に実行している。つまり、必ずしもステップB4のタイミングで実行されるとは限らない。
図15は、図14の処理動作例の具体例を示す。図15において、Vcomは、インクを吐出させるために記録ヘッド6に出力する駆動波形を示し、Vcomの上の数字は、ノズル番号を示す。H_thは、インク検知動作を中断するための第1の閾値を示す。H_th1は、インクの吐出間隔を変更するための第1の閾値を示す。PD_OUT1は、フィルタ3023に出力させる前の第1の出力信号を示し、PD_OUT2は、第1の出力信号(PD_OUT1)をフィルタ3023で生成し、その出力をコンパレータ3024で二値化した第2の出力信号を示す。
図15では、ノズル番号が4の場合は、第1の出力信号(PD_OUT1)がインクの吐出間隔を変更するための第1の閾値(H_th1)を超えているため、インクの吐出間隔を第1の閾値(H_th1)に応じた値に変更し(t1→t2)、ミストの除去時間を確保する。これにより、本実施形態の制御部100は、ミストの浮遊を抑制し、インク滴を正確に検知することができる。また、インクの吐出間隔の変更いかんにかかわらず、第1の出力信号(PD_OUT1)がインク検知動作を中断するための第1の閾値(H_th)を超えた場合は、インク検知動作を一旦中断する(ステップB1/Yes)。
次に、インクの吐出間隔を変更するための閾値(H_th1)を設けた場合と、設けない場合と、の比較例について説明する。なお、t1=0.3ms、t2=1ms、tout=100msとする(toutは中断時間)。
第1の実施形態のように、第1の出力信号(PD_OUT1)が飽和し、第1の出力信号(PD_OUT1)が中断検出用の閾値(H_th)を超えた場合は、インク検知動作を一旦中断する。この場合、100msの時間だけ中断する。
これに対し、本実施形態のように、インクの吐出間隔を変更するための閾値(H_th1,L_th1)を設け、第1の出力信号(PD_OUT1)がインクの吐出間隔を変更するための第1の閾値(H_th1)を超えた場合は(PD_OUT1>H_th1)、インクの吐出間隔を広げ(t1→t2)、インクの吐出間隔を1msとしてインクを吐出すると、100msの中断時間の間に100ノズル分のインク検知を行うことができる。
また、インクの吐出間隔を1msとしてインク検知を行っている間にミストが低減し、第1の出力信号(PD_OUT1)がインクの吐出間隔を変更するための第2の閾値(L_th1)を超えなくなった場合は(PD_OUT1≦L_th1)、インクの吐出間隔を狭め(t2→t1)、インクの吐出間隔を0.3msとしてインクを吐出すると、中断時間に相当する100ms中に、少なくとも100ノズル以上のインク検知を行うことができる。
ところで、インクの吐出間隔を変更するための第1の閾値(H_th1)を設けた場合に、第1の出力信号(PD_OUT1)がインクの吐出間隔を変更するための第1の閾値(H_th1)を超えた時点での残りの検知ノズル数をNとする。この場合、第1の出力信号(PD_OUT1)が第1の閾値を超えてからのNノズル分の検知動作にかかる時間はN×1msとなる。これに対し、インクの吐出間隔を変更せずに、第1の出力信号(PD_OUT1)がインク検知動作を中断するための第1の閾値(H_th)を超えた時にインク吐出を中断させる場合と比較する。この場合、第1の出力信号(PD_OUT1)がインクの吐出間隔を変更するための第1の閾値(H_th1)を超えた時点での、Nノズルの検知動作にかかる時間は、100ms+N×0.3msとなる。
ここで、第1の閾値(H_th1)を設けたことによる優位性があるのは、N×1ms<100ms+N×0.3msを満たすときであり、つまりN<142.85…となり、Nが142ノズル以下の場合となる。
以上より、残りの検知ノズル数が142以下のとき、H_th1を適用し(第3の実施形態)、中断せずにインク検知を行い、残りの検知ノズル数が142を超えるとき、H_thを適用し(第1、2の実施形態)、中断をはさんでインク検知を行うといった制御を搭載することによって、効率よく欠損検知動作を実施することができる。
なお、上記の実施形態では、インクの吐出間隔を変更するための閾値として第1の閾値(H_th1)と第2の閾値(L_th1)とを設けたが、例えば、より細かい段階でインクの吐出間隔を変更するための閾値を設けることも可能である。即ちH_th2,3,・・・、L_th2,3,・・・を設けた構成を必要に応じて使用することも可能である。
<本実施形態の記録装置の作用・効果>
このように、本実施形態の記録装置は、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)がインクの吐出間隔を変更するための閾値(H_th1)を上回った場合は、インクの吐出間隔を広げ(t1→t2)、ミストが除去される時間を確保する。これにより、インク検知動作の中断を軽減することができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th)を上回った場合は、インク検知動作を一旦中断し、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th)を下回った場合は、インク検知動作を再開することにした。
第4の実施形態では、図16に示すように、ミストを除去するためのミスト除去手段500を設け、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th)を上回った場合は、インク検知動作を一旦中断すると共に、ミスト除去手段500を動作し、強制的にミストを除去し、第1の出力信号(PD_OUT1)が閾値(th)を下回った場合は、ミスト除去手段500を停止し、インク検知動作を再開する。これにより、ミストが低減するまでの中断時間を短縮することができる。以下、第4の実施形態について詳細に説明する。
<記録装置の制御機構の構成例>
まず、図16を参照しながら、本実施形態の記録装置の制御機構の構成例について説明する。
本実施形態の記録装置は、ミスト除去手段500を新たに設けて構成する。ミスト除去手段500としては、例えば、特開2009-298000号公報に開示されている除去手段(電極による静電吸着除去)や、特開2004-284059号公報に開示されている除去手段(吸引ファン、送風ファンによる除去)などが適用可能である。
図17は、本実施形態の記録装置の処理動作例の具体例を示す。図17において、Vcomは、インクを吐出させるために記録ヘッド6に出力する駆動波形を示し、Vcomの上の数字は、ノズル番号を示す。H_thは、インク検知動作を中断するための第1の閾値を示す。L_thは、インク検知動作を再開するための第2の閾値を示す。PD_OUT1は、フィルタ3023に出力させる前の第1の出力信号を示し、PD_OUT2は、第1の出力信号(PD_OUT1)からフィルタ3023で第1の出力信号(PD_OUT1)の微分信号(変化量)を生成し、次いでコンパレータ3024で二値化した第2の出力信号を示す。FAN_ONは、ミスト除去手段500を制御するための制御信号を示す。
図17では、ノズル番号が4の場合は、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の第1の閾値(H_th)を超えているため、ミスト検知部110は、インク検知動作を一旦中断し、一旦中断したノズル番号4をノズル記憶部101bに記憶する。そして、ミスト除去制御部112は、ミスト除去手段500の制御動作を開始し、ミストを強制的に除去する。そして、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の第2の閾値(L_th)を下回った場合に、ミスト除去手段500の制御動作を終了し、一旦中断したノズル番号4からインク吐出を再開し、インク検知動作を再開する。これにより、本実施形態の制御部100は、ミストの浮遊を強制的に除去し、インクを検知することができる。
なお、ミストが自然に除去するまでに必要な中断時間は100ms程度かかる。これは、ミストがインク滴に比べ小さく、ミストに対して大きな空気抵抗が働くためである。このため、インクの吐出間隔(1ノズル分の検出時間)を300μsと仮定すると、中断時間である100msは、100ms/300μs=333ノズル分に相当するため、インク検知動作を一旦中断してしまうと、かなりの時間ロスに繋がることになる。このため、本実施形態のように、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の第1の閾値(H_th)を超えた場合は、ミスト除去手段500を制御し、ミスト除去手段500により強制的にミストを除去する。これにより、ミストを強制的に除去することが可能になるため、中断時間を短縮することが可能となる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。
第3の実施形態では、インクの吐出間隔を変更するための閾値(H_th1)を設け、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)がその閾値(H_th1)を上回った場合は、インクの吐出間隔を広げ(t1→t2)、ミストの除去時間を確保した。
第5の実施形態は、インク検知に使用するインク滴のサイズを変更するための閾値(H_th1)を設け、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)がその閾値(H_th1)を上回った場合は、インク滴のサイズを小さくし(大滴→小滴)、ミストの発生を抑制することができる。
通常は、インク滴のサイズを大滴としてインク検知を行う。これは、インク滴のサイズが大きい程、LD201から発する光と交わり、PD301が受光する光から得られるPD電流が大きくなるためである。しかし、大滴を使用するとミストが多く発生することになる。これに対し、インク滴のサイズを小滴としてインク検知を行うと、ミストが少なくなる。しかし、インク滴が小さいため、LD201から発する光と交わり難くなり、PD301が受光する光から得られるPD電流が低減する。このため、インク滴のサイズを小さくした場合は、LD201から発する光の発光量を増大し、小さいインク滴でもPD301が受光する光から得られるPD電流を低減させないようにすることが好ましい。例えば、インク検知動作で使用する散乱はミー散乱であるため、インク滴のサイズが小さくなると前方散乱が弱まってしまう。このため、インク滴のサイズを小さくした場合は、LD201から発する光の発光量を増大し、インク検知に十分な前方散乱光の強度が得られるようにすることが好ましい。即ち、インク滴のサイズを変更した場合は、LD201から発する光の発光量をインク滴のサイズに応じた発光量に変更し、また、コンパレータ3024の基準電圧をインク滴のサイズに応じた基準電圧に変更したりすることが好ましい。
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。
上述した各実施形態は、図7に示す散乱光検知方式のインク検知部Mdを用いた場合を例に説明した。
第6の実施形態は、図18に示す透過光検知方式のインク検知部Mdを用いた場合について説明する。この図18に示す透過光検知方式のインク検知部Mdを用いた場合でも上述した各実施形態と同様な処理を行うことができる。以下、第6の実施形態について説明する。
<透過光検知方式のインク検知部Mdの構成例>
まず、図18を参照しながら、透過光検知方式のインク検知部Mdの構成例について説明する。図18(a)は、インク検知部Mdの側面図を示し、図18(b)は、インク検知部Mdの上面図を示す。
透過光検知方式のインク検知部Mdは、図8に示す散乱光検知方式の構成とほぼ同様に構成する。但し、PD301は、図18に示すように、LD光が直接入射する位置に設けられる。
透過光検知方式のインク検知部Mdは、インクとLD光とが交わると、散乱光検知方式とは逆にPD301の受光量が減衰する。このため、透過光検知方式のインク検知部Mdの場合は、ミストが発生すると、PD電流(PD_OUT1)の出力レベルが低減することになる。
<制御部100の処理動作例>
次に、図19を参照しながら、本実施形態の制御部100の処理動作例について説明する。
まず、ミスト検知部110は、第mのノズルからインクを吐出し、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th')を下回ったか否かを判定する(PD_OUT1<th'?)(ステップS'1)。第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th')を下回っていない場合は(PD_OUT1≧th')(ステップS'1/No)、PD出力回路302から出力された第2の出力信号(PD_OUT2)を基に、第mのノズルのインクの有無を検知する(ステップS'2)。
次に、上記検知した第mのノズルが最終ノズル(n)であるか否かを判定し(ステップS'3)、最終ノズルである場合は(ステップS'3/Yes)、インク検知動作を終了する(End)。また、最終ノズルでない場合は(ステップS'3/No)、次のノズル(m=m+1)からインクを吐出し、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th')を下回ったか否かを判定する(PD_OUT1<th'?)(ステップS'1)。
ミスト検知部110は、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th')を下回った場合は(PD_OUT1<th')(ステップS'1/Yes)、インク検知動作を一旦中断する(ステップS'4)。この場合、ミスト検知部110は第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th')を下回った通知をノズル欠損検知制御部113に伝え、ノズル欠損検知制御部113は、記録ヘッド6からのインク吐出を一旦中断し、その中断した時のノズル番号(m)をノズル記憶部101bに記憶する。
ミスト検知部110は、第1の出力信号(PD_OUT1)を監視し、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th')を上回った場合は(PD_OUT1>th')(ステップS'5/Yes)、インク検知動作を再開する(ステップS'6)。この場合、ノズル欠損検知制御部113は、ノズル記憶部101bに記憶したノズル番号(m)からインク吐出を再開する。
図20は、図19の処理動作例の具体例を示す。図20において、Vcomは、インクを吐出させるために記録ヘッド6に出力する駆動波形を示し、Vcomの上の数字は、ノズル番号を示す。th'は、インク検知動作を中断するための閾値を示す。PD_OUT1は、フィルタ3023に出力させる前の第1の出力信号を示し、PD_OUT2は、第1の出力信号(PD_OUT1)からフィルタ3023で生成した信号について、コンパレータ3024で二値化した第2の出力信号を示す。
図20では、ノズル番号が3までは、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th')を下回っていないため、第2の出力信号(PD_OUT2)を検出することができる。このため、制御部100は、ノズル番号が3までは、第2の出力信号(PD_OUT2)を基に、インクの有無を検知することができる。しかし、ノズル番号が4の場合は、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th')を下回っているため、信号が飽和して第2の出力信号(PD_OUT2)を検出することができない。このため、制御部100は、インク検知動作を一旦中断し、一旦中断したノズル番号4を記憶部101に記憶する。そして、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th')を上回った場合に、一旦中断したノズル番号4からインク吐出を再開し、インク検知動作を再開する。これにより、本実施形態の制御部100は、ミストの浮遊を抑制し、インクを検知することができる。
<本実施形態の記録装置の作用・効果>
このように、本実施形態の記録装置は、PD出力回路302から出力された第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th')を下回った場合は、インク検知動作を一旦中断し、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(th')を上回った場合は、インク検知動作を再開する。これにより、ミストの浮遊を抑制し、インクを検知することができる。
なお、上述した実施形態の内容は、第1の実施形態の散乱光検知方式を透過光検知方式に変更した場合の処理動作例について説明した。しかし、各実施形態も上述した実施形態と同様に透過光検知方式を用いて行うことが可能である。なお、透過光検知方式を用いる場合は、第1の出力信号(PD_OUT1)が閾値を上回ったか、下回ったかの判断が上述した散乱光検知方式の場合と逆になる。
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態について説明する。上述した実施形態では、第1の出力信号(PD_OUT1)が閾値を上回った場合にインクの吐出を中断し、その後閾値を下回った場合にインクの吐出を再開した。この場合に、ノズル欠損検知動作は1ノズルずつ行うため、インクの吐出の中断後に吐出を行うノズルについては、ノズル面が乾燥してしまう。ノズル面が乾燥するとインクが高粘度化し、意図した速度でインクが吐出されず、ミストとして浮遊してしまう。
そこで第7の実施形態では、インクの吐出の中断時にノズルの維持動作を行い、ノズル面の乾燥を防ぐ。図21は、第7の実施形態における制御部100の機能ブロック図である。第7の実施形態において、図4における機能ブロック図と重複する点については、説明を省略する。
制御部100は、ミスト検知部110、第1の出力信号受信部111、ミスト除去制御部112'、ノズル欠損検知制御部113、インク検出部114、第2の出力信号受信部115、吐出動作制御部116、主走査モータドライバ制御部117、信頼性維持回復機構制御部118のほか、吸引動作制御部119、経過時間判断部120、タイマ121、傾き値取得部122を備える。ミスト検知部110で第1の出力信号と閾値とを比較し、第1の出力信号が閾値を上回った場合にインクの吐出を中断させるまでの動作については、第1の実施形態と同様である。
ノズル欠損検知制御部113は、インクの吐出中断を信頼性維持回復機構制御部118に通知すると、信頼性維持回復機構制御部118は主走査モータドライバ制御部117に、維持動作を行う通知を出す。主走査モータドライバ制御部117は、ホームポジションまでキャリッジ5を移動させるよう、主走査モータドライバ102を制御する。
信頼性維持回復機構制御部118はノズル記憶部101bを参照し、インクの吐出を中断したノズル番号を読み出し、キャリッジ5がホームポジションに移動すると、読み出したノズル番号を吐出動作制御部116に通知する。吐出動作制御部116は、記録ヘッドドライバ103を制御して、通知されたノズル番号のノズルから維持動作のためのインクの吐出を行う。インクの吐出を中断したノズル番号から、最後にノズル欠損検知を行うノズルまで、維持動作のためのインクの吐出を実行する。
維持動作を行っている間にもミスト検知部110は第1の出力信号を監視し、第1の出力信号が閾値を下回った場合にノズル欠損検知制御部113に通知する。維持動作のためのインク吐出が終了すると、信頼性維持回復機構制御部118はノズル欠損検知制御部113に通知を行い、この時に第1の出力信号が閾値を下回っている場合、ノズル欠損検知制御部113は主走査モータドライバ制御部117に対し、主走査モータドライバ102をMdの位置に戻すよう制御させる。ノズル欠損検知制御部113はノズル記憶部101bを参照し、インクの吐出を中断したノズル番号のノズルからノズル欠損検知のためのインクの吐出を再開する。
尚、維持動作のためのインク吐出の実行中であっても、第1の出力信号が閾値を下回った場合には維持動作を中止し、キャリッジ5をMdの位置まで戻してノズル欠損検知を再開するよう制御することも可能である。この場合、ミスト検知部110から第1の出力信号が閾値を下回った通知を受けたノズル欠損検知制御部113は、信頼性維持回復機構制御部118に維持動作を中止させて主走査モータドライバ102をMd位置まで戻させる。さらに、ノズル欠損検知制御部113は、吐出動作制御部116に対し、インク吐出を中断したノズル番号のノズルからインクの吐出を再開するよう通知する。
これにより、ノズル面の乾燥を防ぎ、乾燥によるミストの発生を防ぐことができる。また、これから検知動作を行うノズルについて維持動作であるインクの吐出を行うよう制御することで、すべてのノズルについてインクの吐出を行う場合にくらべ、余分なインク消費を防ぐことができる。
さらに、ノズル欠損検知のためのインク吐出の中断時に、維持動作としてノズルの吸引を行うことも可能である。維持動作としてノズルの吸引を行うことで、ノズル欠損検知のためのインク吐出の再開時に、ミストが発生するのを防ぐことができる。この場合は、信頼性維持回復機構制御部118が主走査モータドライバ制御部117に通知を行い、キャリッジ5をホームポジションまで移動させ、吸引動作制御部119が吸引ポンプ27を制御してノズル面の吸引を行う。
尚、後述する第9の実施形態で、傾き値取得部122で第1の出力信号(PD_OUT1)の傾き値を検知し、傾き値に応じて維持動作を使い分ける。また、第10の実施形態で、タイマ121において維持動作の終了から次の維持動作の開始までの時間を計測し、経過時間判断部20で維持動作を使い分けるが、いずれも後に詳述する。
次に、維持動作に用いる信頼性維持回復機構21の概略構成について説明する。図22は、信頼性維持回復機構の概略構成図である。
信頼性維持回復機構21は、吸引ポンプ27と、キャップ手段22と、ワイパブレード30のほか、空吐出受401を備える。維持動作を上述したインク吐出で行う場合、キャリッジ5を空吐出受401上に移動させ、空吐出受401上でインクが吐出される。空吐出受401で受けたインクは廃液タンク400へ廃棄される。
維持動作を吸引動作で行う場合、空吐出受401上に移動したキャリッジ5に搭載された記録ヘッド6に対して、キャップ手段22が上昇してキャッピングされる。その後吸引ポンプ27で、キャッピングされた記録ヘッド6のノズル面が吸引される。吸引されたインクは空吐出受401で受け、廃液タンク400へ廃棄される。
次に、第7の実施形態における記録装置の処理動作について説明する。図23は、第7の実施形態における記録装置の処理動作例を示す図である。本説明では、ノズル欠損検知を行うノズルをmとし、最後にノズル欠損検知を行うノズルをnとする。
ステップC1では、ミスト検知部110において、第1の出力信号(PD_OUT1)が閾値(H_th)を上回るか否かが監視される。第1の出力信号(PD_OUT1)が閾値(H_th)を上回った場合はステップC2に進み、ノズル欠損検知制御部113の制御によりノズル欠損検知のためのインクの吐出が中断される。
その後ステップC3において、信頼性維持回復機構制御部118から通知を受けた主走査モータドライバ制御部117により、キャリッジ5がホームポジションまで移動される。ステップC4では、信頼性維持回復機構制御部118が吸引動作制御部119か又は吐出動作制御部116に維持動作を行うよう通知し、維持動作が実行される。維持動作が終了すると、信頼性維持回復機構制御部118から主走査モータドライバ制御部117に対して維持動作終了が通知され、ステップC5でキャリッジ5がノズル欠損検知の位置Mdに戻される。
ステップC6において、ミスト検知部110が第1の出力信号(PD_OUT1)と閾値(H_th)とを比較し、第1の出力信号(PD_OUT1)が閾値(H_th)以下であった場合にステップC7に進む。第1の出力信号(PD_OUT1)が閾値(H_th)を上回る場合は、第1の出力信号(PD_OUT1)が閾値(H_th)以下になるまでミスト制御部110が第1の出力信号を監視する。
ステップC7において、ノズル欠損検知制御部113がmノズル目のノズル欠損検知を終了すると、ステップC8に進み、ノズル欠損検知制御部113でm=nか否かが確認される。m=nでない場合はステップC9においてmがインクリメントされ、インクリメントされたmについて、C1からC7の処理が繰り返される。ステップC8で、m=nであった場合は、インク検知動作を終了する。
ノズル欠損検知のためのインク吐出中断時に維持動作を行うことで、ノズル面の乾燥を防ぎ、ノズル面の乾燥から生じるミストの発生を抑制することができる。
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態について説明する。第7の実施形態では、維持動作を行うにあたり、キャリッジ5をホームポジションに移動させる。そのため、キャリッジ5の移動に余計な時間がかかってしまう。第8の実施形態では、キャリッジを移動せず、ノズル欠損検知位置であるMdの位置で維持動作であるインクの吐出を実行する。この場合、吐出したインクからミストが発生してしまうため、ミスト除去手段500でミストを除去しながら維持動作を行う。尚、ノズル欠損検知を行うノズルをmとし、最後にノズル欠損検知を行うノズルをnとする。
図24は、第8の実施形態の記録装置の処理動作例を示す図である。ステップD1において、ミスト検知部110が第1の出力信号(PD_OUT1)を監視し、閾値(H_th)を上回った場合にステップD2に進む。ステップD2において、ノズル欠損検知制御部113によるノズル欠損検知が中断される。
ステップD3に進み、ノズル欠損検知制御部113からノズル欠損検知の中断の通知を受け付けた信頼性維持回復機構制御部118は、吐出動作制御部116に維持動作のためのインク吐出を開始するよう通知する。吐出動作制御部116は、記録ヘッドドライバ103に対し、インク吐出を開始するよう制御する。
ステップD4において、信頼性維持回復機構制御部118から維持動作が終了した通知を受け付けたミスト除去制御部112'は、吸引ファンや送風ファンであるミスト除去手段500を制御して、維持動作のためのインク吐出から生じたミストを除去する。ステップD5で、ミスト検知部110によって監視されている第1の出力信号(PD_OUT1)が閾値(H_th)を上回った場合に、ステップD6に進む。
ステップD6において、ノズル欠損検知が再開され、mノズル目のノズル欠損検知のためのインク吐出がノズル欠損検知制御部113で確認される。ステップD7で、ノズル欠損検知制御部113でm=nか否かが確認され、m=nでない場合はステップD8に進み、mがインクリメントされる。インクリメントされたmについて、D1からD6の処理が繰り返される。ステップD7でm=nであった場合は、処理を終了する。
本実施形態によれば、ノズル欠損検知のためのインク吐出の中断時に、ノズル欠損検知位置のMdで維持動作を行い、維持動作により生じるミストをミスト除去手段500で除去することにより、維持動作にかかる時間を短縮することができる。
(第9の実施形態)
次に、第9の実施形態について説明する。本実施形態では、維持動作に入る前の第1の出力信号(PD_OUT1)の傾き値を取得し、傾き値に応じて維持動作を使い分ける。図25は、第9の実施形態の具体的な処理動作例を示す図である。
図25では、ノズル3、ノズル4のインク吐出の際に徐々に第1の出力信号(PD_OUT1)が増加している。前に述べた通り、第1の出力信号(PD_OUT1)を基にミストの有無を検知するため、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値を超えた場合に、正常なノズル欠損検知ができなくなるおそれがあるため、ノズル欠損検知のためのインク吐出を中断する。
第1の出力信号(PD_OUT1)の出力レベルの増加の態様で、ノズルの状態を推測することができる。例えば、第1の出力信号(PD_OUT1)の出力レベルが急激に増加した場合、ミストの発生も急激であるため、ノズル面が乾燥していたり、気泡が混入しているなど、ノズルの状態がかなり悪いと考えられる。一方、第1の出力信号(PD_OUT1)の出力レベルの増加が比較的ゆるやかな場合は、ミストの発生も急激でないため、ノズルの状態はさほど悪くないと考えられる。
そのため、第1の出力信号(PD_OUT1)の出力レベルの増加割合を認識するために、第1の出力信号(PD_OUT1)の傾き値を取得し、傾きがゆるやかな場合は維持動作としての吐出動作を数回〜数十回、傾きが中程度の場合は吐出動作を数百回〜数千回行う。傾きが急である場合は、維持動作として吸引動作をするよう、維持動作を使い分ける。これにより、ノズルの状態に応じた適切な維持動作が可能となる。
傾き値は、制御部100の第1の出力信号受信部111で受信した第1の出力信号(PD_OUT1)から傾き値取得部122が取得し、信頼性維持回復機構制御部118に伝える。また、第1の出力信号(PD_OUT1)をインク検知部Mdの微分回路で微分して、傾き値を取得し、制御部100に送信することもできる。
尚、吸引動作はキャリッジ5の移動のほか、キャップ手段22の上げ下げをして吸引を行う必要があるため、吐出動作に比べて時間がかかる。そのため、ノズルの状態が悪い場合に限って吸引動作を実施することにより、維持動作にかかる時間を短縮することができる。また、維持動作として吸引動作を行うことで、ノズル面を適切な状態にし、ノズル欠損検知によるインク吐出の中断前に比べてミストの発生を抑制することができる。
図26は、第9の実施形態の記録装置の処理動作例を示す図である。以下の説明において、ノズル欠損検知を行うノズルをmとし、最後にノズル欠損検知を行うノズルをnとする。また、M、Nは第1の出力信号(PD_OUT1)の傾き値であり、M<Nとし、M及びNの値により維持動作を使い分けることでノズル面を適切な状態に保つよう、予め実験によりM、Nの値を定め、信頼性維持回復機構制御部118内のレジスタに記憶しておく。
m=1からノズル欠損検知をスタートし、ステップE1でミスト検知部110により、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(H_th)を超えたか否かが監視される。第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(H_th)を上回った場合、ステップE2に進み、ノズル欠損検知制御部113の制御によってノズル欠損検知のためのインクの吐出が中断される。
ステップE3において、傾き値取得部122により、インク吐出中断前の第1の出力信号(PD_OUT1)の傾き値が取得され、信頼性維持回復機構制御部118に伝えられる。信頼性維持回復機構制御部118では、レジスタに予め格納された傾き値Mとの比較がされ、傾き値がMよりも小さい場合、ステップE5に進み、ノズルの状態が比較的悪くない場合に実施される維持動作Aが開始される。維持動作Aでは、ノズルからの吐出動作を数回〜数十回行う。
ステップE3において、第1の出力信号(PD_OUT1)の傾き値がMよりも大きい場合、ステップE4に進み、信頼性維持回復機構制御部118において、第1の出力信号(PD_OUT1)の傾き値と予めレジスタに格納された傾き値Nとの比較がされる。傾き値がNよりも小さい場合、ステップE6に進み、信頼性維持回復機構制御部118の制御により、ノズルの状態が中程度である場合に実施される維持動作Bが開始される。維持動作Bでは、ノズルからの吐出動作を数百回〜数千回行う。
ステップE4において、第1の出力信号(PD_OUT1)の傾き値がNよりも大きい場合、ノズルの状態がかなり悪いことが推測されるので、ステップE7において、信頼性維持回復機構制御部118の制御により、ノズルの状態が悪い場合に実施される維持動作Cが実施される。維持動作Cでは、ノズル面を吸引動作する。
いずれかの維持動作が終了した場合、信頼性維持回復機構制御部118はノズル欠損検知制御部113に維持動作終了を通知する。ミスト検知部110は、維持動作の実行中にも第1の出力信号(PD_OUT1)を監視しており、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(H_th)を下回った場合にノズル欠損検知制御部113に伝える。ステップE8において、ノズル欠損検知制御部113が、信頼性維持回復機構制御部118から維持動作終了の通知を受けつけ、かつミスト検知部110から第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(H_th)を下回った通知を受け付けた場合に、ステップE9に進む。
ステップE9で、ノズル欠損検知制御部113の制御により、ノズル欠損検知のためのインク吐出が再開される。mノズル目の検出がされた場合、ステップE10に進み、ノズル欠損検知制御部113によって、ノズルmが最後にノズル欠損検知を行うノズルnであるかが判断される。m=nでない場合、ステップE11に進み、mがインクリメントされ、インクリメントされたノズルmについて、ステップE1からステップE9が繰り返して実行される。ノズルnまでノズル欠損検知が行われた場合、処理を終了する。
尚、上述の維持動作は一例であり、吐出の回数や維持動作の方法など、ミストの増加割合に応じて適切な方法を実施可能であることは言うまでもない。ミストの増加の割合に応じて維持動作を使い分けることで、ノズル欠損検知のための維持動作の中断時にもノズル面を適切な状態に保つことができる。
(第10の実施形態)
次に、第10の実施形態について説明する。本実施形態では、維持動作を複数回実行する場合において、前回の維持動作から経過した時間を計測し、経過時間に応じて次の維持動作を使い分ける。
前回の維持動作からの経過時間が短ければ、ノズルの状態はさほど悪くなっていないため、簡易な維持動作でノズル面を良好な状態に保つことができる。一方、前回の維持動作からの経過時間が長ければ、それだけノズル面が乾燥したり、ノズル穴のつまりがあることが想定されるため、より確実な維持動作が必要になる。
そのため、図21における経過時間判断部120において、信頼性維持回復機構制御部118から維持動作の終了を受けつけ、タイマ121で時間を計測する。次に維持動作をする場合に信頼性維持回復機構制御部118が経過時間判断部120に経過時間を問い合わせ、経過時間に応じて維持動作を使い分ける。
図27は、第10の実施形態の記録装置の処理動作例を示す図である。以下の説明では、ノズル欠損検知を行うノズルをmとし、最後にノズル欠損検知を行うノズルをnとする。また、M、Nは維持動作を使い分けるための経過時間の基準値であり、M及びNの値により維持動作を使い分けることでノズル面を適切な状態に保つよう、予め実験によりM、Nの値を定め、ノズル欠損検知制御部113内のレジスタに記憶しておく。
ステップF1でマシンが起動されると、ステップF2でタイマ121が起動され、時間がカウントされる。ステップF3で、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(H_th)を上回ると、ステップF4でノズル欠損検知のためのインク吐出が中断され、中断期間中の維持動作が実行される。ステップF5において維持動作が終了すると、ステップF6でタイマ121がリセットされ、新たに時間がカウントされる。
ステップF7において、第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(H_th)を下回ると、ステップF8でノズル欠損検知動作が再開される。ステップF9でノズル欠損検知動作が終了する。
ステップF10で、次のノズル欠損検知動作の実行が開始される。m=1のノズル番号から、ノズル欠損検知動作のためのインク吐出が行われる。ステップF11からステップF12の処理は、図26の第9の実施形態におけるステップE1からステップE2の処理と同じである。
ステップE13に進み、信頼性維持回復機構制御部118から経過時間の問い合わせを受け付けた経過時間判断部120は、タイマ121を参照し、経過時間を信頼性維持回復機構制御部118に返す。信頼性維持回復機構制御部118が経過時間をノズル欠損検知制御部113に通知すると、ステップE15においてノズル欠損検知制御部113がレジスタに記憶した基準値のMと比較を行う。経過時間がMよりも小さい場合、ステップF15において、維持動作Aとしてノズルから数回〜数十回のインク吐出を実行する。
ステップF13において、経過時間がMよりも大きい場合はステップF14に進み、ノズル欠損検知制御部113により経過時間がNよりも小さいことが確認された場合、ステップF16に進む。ステップF16で、維持動作Bとしてノズルから数百回〜数千回のインク吐出を実行する。
ステップF14において、経過時間がNよりも大きい場合、前回の維持動作から相当の時間が経過しているため、より確実な維持動作を行う必要がある。ステップF17で、維持動作Cとして、ノズルの吸引動作が実行される。
ステップF18において、いずれかの維持動作が終了すると、ステップF19に進み、タイマ121がリセットされる。ステップF20で第1の出力信号(PD_OUT1)が所定の閾値(H_th)を下回ると、ステップF21に進み、ノズル欠損検知が再開される。ステップF21でノズル欠損検知制御部113の制御により、mノズル目のノズル欠損検知が行われると、ステップF22に進み、ノズルm=nである場合に処理を終了する。ステップF22でm=nでない場合はステップF23においてmがインクリメントされ、インクリメントされたノズルについてステップF11からステップF21までの処理が繰り返される。
尚、維持動作について上述の動作に限定されないことは、第9の実施形態と同様である。前回の維持動作から経過した時間に応じて維持動作を使い分けることで、ノズル欠損検知のための維持動作の中断時に、ノズル面を適切な状態に保つことができる。
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
例えば、上述した本実施形態の記録装置を構成する各部の制御動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実行することも可能である。
なお、ソフトウェアを用いて処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、リムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。なお、リムーバブル記録媒体としては、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどが挙げられる。
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールすることになる。また、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送することになる。また、ネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することになる。
また、本実施形態における記録装置は、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。