JP2012186068A - 光電変換装置およびその製造方法ならびに電子機器 - Google Patents

光電変換装置およびその製造方法ならびに電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】耐電解液性と導電性に優れ、製造工程において低温塗布工程に対応可能な対極を備えることで優れた光電変換特性を得ることができる色素増感光電変換装置を提供する
【解決手段】色素増感光電変換装置10は、光増感色素が吸着した多孔質光電極3と対極6との間に電解質層7が充填された構造を有し、対極6は、カーボン粒子と上記カーボン粒子を結着するバインダ樹脂と導電性ポリマーとからなる導電性カーボン層で構成されており、電解質層7と対向基板4との間の透明導電層5上に密着して形成している
【選択図】図1

Description

本開示は、光電変換装置およびその製造方法ならびに電子機器に関し、例えば色素増感太陽電池に用いて好適な光電変換装置およびその製造方法ならびにこの光電変換装置を用いる電子機器に関するものである。
太陽光を電気エネルギーに変換する光電変換装置である太陽電池は太陽光をエネルギー源としているため、地球環境に対する影響が極めて少なく、より一層の普及が期待されている。
従来の太陽電池としては、単結晶または多結晶のシリコンを用いた結晶シリコン系太陽電池および非晶質(アモルファス)シリコン系太陽電池が主に用いられている。
一方、1991年にグレッツェルらが提案した色素増感太陽電池は、高い光電変換効率を得ることができ、しかも従来のシリコン系太陽電池とは異なり、製造の際に大掛かりな装置を必要とせず、低コストで製造することができることなどにより注目されている(例えば、非特許文献1参照。)。
この色素増感太陽電池は、一般的に、光増感色素を結合させた酸化チタン(TiO2)などからなる多孔質光電極と、白金(Pt)などからなる対極とを対向させ、それらの間に電解液からなる電解質層が充填された構造を有する。電解液としては、ヨウ素(I)やヨウ化物イオン(I+)などの酸化・還元種を含む電解質を溶媒に溶解したものが多く用いられる。
従来、色素増感太陽電池の対極としては、優れた触媒作用と耐腐食性とをあわせもつことなどから、主として白金層が用いられてきた。白金層の形成にはスパッタリング法や、塩化白金酸溶液を塗布後に塩化白金酸を加熱分解して白金を遊離させる湿式法などが用いられる。白金層は一般的に触媒活性や耐腐食性や導電性に優れているが、白金が資源的に希少であり高価であることや、白金層の作製に高真空工程もしくは高温工程を要することなどから大型の製造設備が必要であるという問題点があった。
この問題を解消するために、近年、対極の電極材料としてカーボンを用いる構成や導電性高分子を用いる構成が報告されており、色素増感太陽電池における対極の電極層を、低温塗布工程で簡易かつ安価に形成できる電極材料および電極構造について様々な提案がなされている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
特開2006−108064号公報 特開2004−152747号公報 特開2004−127849号公報
Nature,353,p.737-740,1991
しかしながら、これらの文献で提案されている色素増感太陽電池では、対極の電極層を形成する際の低温塗布工程において用いられる塗液に白金もしくは導電性金属酸化物微粒子が含有されており、簡易かつ安価に対極を提供できるとは言い難かった。
また、対極の電極材料としてカーボン(C)を用いる構成や導電性高分子を用いる構成では、耐電解液性に乏しく、また、従来用いられている白金層からなる対極よりも電解層に接する面の抵抗値が極めて大きいため、従来の白金層からなる対極を用いた色素増感太陽電池と比較して光電変換特性が著しく劣っており、実用に耐える構成ではないというのが実情である。
そこで、本開示が解決しようとする課題は、耐電解液性と導電性に優れ、製造工程において低温塗布工程に対応可能な対極を提供することである。
また、本開示が解決しようとする他の課題は、上記のような優れた対極を用いた光電変換装置を提供することである。
また、本開示が解決しようとするさらに他の課題は、上記のような優れた光電変換装置を用いた高性能の電子機器を提供することである。
上記課題を解決するために、本開示は、
多孔質光電極と対極との間に電解液からなる電解質層が充填された構造を有し、
上記対極は、カーボン粒子と上記カーボン粒子を結着するバインダ樹脂と導電性ポリマーとからなる導電性カーボン層である光電変換装置である。
また、本開示は、
基板にカーボン粒子と上記カーボン粒子を結着するバインダ樹脂と導電性ポリマーと溶媒とを混合した塗料を塗布した後に焼成を行うことにより対極を形成し、
上記多孔質光電極と上記対極との間に電解液からなる電解質層を充填する工程を有する光電変換装置の製造方法である。
また、本開示は、
少なくとも一つの光電変換装置を有し、
上記光電変換装置が、
多孔質光電極と対極との間に電解質層が充填された構造を有し、
上記対極は、カーボン粒子と上記カーボン粒子を結着するバインダ樹脂と導電性ポリマーとからなる導電性カーボン層である光電変換装置である電子機器である。
本開示において、多孔質光電極は、半導体からなる微粒子により構成される。半導体は、好適には、酸化チタン(TiO2)、取り分けアナターゼ型の酸化チタン(TiO2)を含む。
多孔質光電極としては、いわゆるコア−シェル構造の微粒子により構成されたものを用いてもよい。この多孔質光電極としては、好適には、金属からなるコアとこのコアを取り巻く金属酸化物からなるシェルとからなる微粒子により構成されたものが用いられる。このような多孔質光電極を用いると、この多孔質光電極と対極との間に電解質層を設けた場合、電解質層中の電解質が金属/金属酸化物微粒子の金属からなるコアと接触することがないことから、電解質による多孔質光電極の溶解を防止することができる。このため、金属/金属酸化物微粒子のコアを構成する金属として、従来使用が困難であった、表面プラズモン共鳴の効果が大きい金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)などを用いることができ、光電変換において表面プラズモン共鳴の効果を十分に得ることができる。また、電解液の電解質としてヨウ素系の電解質を用いることができる。金属/金属酸化物微粒子のコアを構成する金属としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)などを用いることもできる。金属/金属酸化物微粒子のシェルを構成する金属酸化物としては使用する電解質に溶解しない金属酸化物が用いられ、必要に応じて選ばれる。このような金属酸化物としては、好適には、酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化ニオブ(Nb25)および酸化亜鉛(ZnO)からなる群より選ばれた少なくとも一種の金属酸化物が用いられるが、多孔質電極を構成する材料は、これらに限定されない。例えば、酸化タングステン(WO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)などの金属酸化物を用いることもできる。微粒子の粒径は適宜選ばれるが、好適には1〜500nmの範囲である。また、微粒子のコアの粒径も適宜選ばれるが、好適には1〜200nmの範囲である。
電解質層を構成するものとしては典型的には電解液が用いられる。電解液としては従来公知のものを用いることができ、必要に応じて選択される。電解液の揮発を防止する観点から、好適には、低揮発性の電解液、例えばイオン液体を溶媒に用いたイオン液体系電解液が用いられる。イオン液体としては、従来公知のものを用いることができ、必要に応じて選ばれる。
本開示において「カーボン粒子」とは、典型的にはカーボンブラックである。カーボンブラックは酸化処理されていないものが好ましく、また、中実なカーボンブラックであることが好ましく、また、カーボンブラックと蒸留水との混合液が中性又は弱塩基性を示すことが好ましい。特に酸化処理されておらず、中実なカーボンブラックであることがより好ましく、さらに、蒸留水との混合液が中性又は弱塩基性を示すことが最も好ましい。カーボンブラックの粒径は一次粒子径の平均粒径が、好ましくは40nm以下であり、より好ましくは24nm以下であり、最も好ましくは15nm以下であるが、これに限定されず、炭素の粒子であれば基本的にどのようなものであってもよく、線状、棒状の炭素繊維、グラファイト、カーボンナノチューブなどであってもよい。特にカーボンブラックであれば、チャネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどが挙げられる。また、ストラクチャ構造をなしているカーボン粒子であってもよい。また、カーボン粒子に代えて線状のカーボン繊維、もしくはカーボン繊維を利用したものも用いることもできる。特に、カーボン繊維を利用したものは具体的にはカーボンフェルト、カーボンシート、カーボンペーパーなどが挙げられ、典型的には積層して利用されるが、これに限定されるものではない。
本開示において「バインダ樹脂」とは、電解質に侵されず、電気化学的に安定であり、カーボン粒子を結着できる樹脂であれば基本的にどのようなものであってもよく、典型的には、高分子バインダ、硝子フリットや水硝子などの無機結着剤等が挙げられる。上記に挙げた中でも特に、成膜容易性の観点から、高分子バインダが好ましい。高分子バインダとしては、電解質層を溶液系の電解質、例えば電解液で構成する場合には、耐電解液性、耐溶剤性を有することが好適であり、例えば、架橋硬化系の高分子バインダを用いることが好ましい。また、特に耐電解液性、耐溶剤性に強い材料として分類されるエンジニアプラスチック、スーパーエンジニアリングなどを適宜用いることもできる。
高分子バインダの具体例としては、ポリアミドイミド(略号PAI)または樹脂セルロースとイソシアネートとイソシアネート触媒との混合物が好適であって、特にイソシアネートにおいては、イソシアヌレート型のものが好ましく、樹脂セルロースとしてはエチルセルロース(略号EC)が好ましいが、高分子バインダを構成する材料は、これらに限定されるものではなく、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂およびこれらの混合物も使用することができる。特に、熱可塑性樹脂であれば、例えば、ポリエチレン(略号PE)、ポリプロピレン(略号PP)、脂環式ポリオレフィン、ポリスチレン(略号PS)、ポリテトラフルオロエチレン(略号PTFE)、ポリフェニレンサルファイド(略号PPS)、ポリイミド(略号PI)、ポリスチロール、カルボキシメチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン、アクリロニトリル/スチレン樹脂(略号AS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(略号ABS)、メタクリル樹脂(略号PMMA)、ポリアミド(略号PA)、ポリエーテルイミド(略号PEI)、ポリアリレート(略号PAR)、ポリフェニレンサルファイド(略号PPS)、ポリサルフォン(略号PS)、ポリエーテルサルフォン(略号PES)、ポリエーテルエーテルケトン(略号PEEK)、ポリテトラフロロエチレン(略号PTFE)などが挙げられ、熱硬化性樹脂であれば、例えば、フェノール樹脂(略号PF)、ユリア樹脂(略号UF)、メラミン樹脂(略号MF)、エポキシ樹脂(略号EP)、ウレタン樹脂(略号PU)、シリコーン樹脂等などが挙げられる。また、これらの誘導体あるいは混合物などであってもよく、また、結晶性樹脂であっても非結晶性樹脂であってもよい。
本開示において「導電性ポリマー」としては、対向基板へ高温を要することなく、容易に塗膜形成が可能なものが好ましく、さらに、極性基を持ち、極性の強いものが特に好ましい。典型的には導電性高分子であって、具体的にはポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、およびこれらの誘導体が挙げられ、ポリアニリンおよびその誘導体としては、例えば、ポリアニリン、ポリ(N−アルキルアニリン)、ポリ(アリールアミン)、ポリ(フェニレンジアミン)、ポリ(アミノピレン)などが挙げられる。なお、ポリアニリンは共重合体であっても混合物であってもよい。ポリチオフェンおよびその誘導体としては、チオフェン環の水素原子が無置換のもの、あるいはアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基などの置換基を1または複数有するもの等を用いることができ、具体的には、ポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)などであって、ポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)であれば、例えば、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(3,4−ジアルキルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(略号PEDOT)などが挙げられる。なお、ポリチオフェンは共重合体であっても混合物であってもよい。ポリピロールおよびその誘導体としては、ピロール環の水素原子が無置換のもの、あるいは、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基などの置換基を1または複数有するもの等を用いることができ、具体的には、例えば、ポリ(3−アルキルピロール)、ポリ(3,4−ジアルキルピロール)、ポリ(3,4−アルキレンジオキシピロール)などが挙げられる。なお、ポリピロールは共重合体であっても混合物であってもよいが、導電性ポリマーを構成する材料は、これらに限定されるものではなく、また、これらの中の一種の導電性高分子を用いてもよいし、複数種類の導電性高分子を組み合わせたものを導電性ポリマーとして用いることもできる。
電解質層は、電解液を含む多孔質膜により構成してもよい。こうすることで、電解質層が固体状となるので、光電変換装置が破損した際に電解液が漏れるのを防止することができる。また、多孔質光電極を透過して光電変換装置内部に入った入射光は、電解質層を構成する多孔質膜で散乱されて多孔質光電極に再び入射するため、多孔質光電極による入射光の捕集率が高くなる。これによって、短絡電流密度および光電変換効率が高い光電変換装置を実現することができる。また、電解液を含む多孔質膜により電解質層を構成することができるため、実質的に電解液を膜として扱うことができ、電解液の扱いが極めて簡単となる。このため、特性が優れた色素増感光電変換装置を容易に実現することができる。電解質層を構成する多孔質膜としては種々のものを用いることができ、構造や材質などは必要に応じて選ばれる。この多孔質膜としては、絶縁性のものが用いられるが、この絶縁性の多孔質膜は、絶縁材料からなるものであっても、例えば、導電性材料からなる多孔質膜の空隙部の表面を絶縁体化したり、空隙部の表面に絶縁膜をコーティングしたものであってもよい。この多孔質膜は、有機材料からなるものでも、無機材料からなるものでもよい。この多孔質膜としては、好適には各種の不織布が用いられ、その材料としては、例えばポリオレフィン、ポリエステル、セルロースなどの各種の有機高分子化合物を用いることができるが、これに限定されるものではない。この多孔質膜の空隙率は必要に応じて選ばれるが、多孔質光電極と対極との間に設けられた状態における空隙率(実空隙率)は、好適には50%以上である。この実空隙率は、高い光電変換効率を得る観点からは、好適には、80%以上100%未満に選ばれる。
光電変換装置は、最も典型的には、太陽電池として構成される。ただし、光電変換装置は、太陽電池以外のもの、例えば光センサーなどであってもよい。
電子機器は、基本的にはどのようなものであってもよく、携帯型のものと据え置き型のものとの双方を含むが、具体例を挙げると、携帯電話、モバイル機器、ロボット、パーソナルコンピュータ、車載機器、各種家庭電気製品などである。この場合、光電変換装置は、例えばこれらの電子機器の電源として用いられる太陽電池である。
本技術によれば、カーボン粒子と、上記カーボン粒子を結着するバインダ樹脂と、導電性ポリマーとからなる導電性カーボン層を有する新規な対極を光電変換装置に用いることにより、耐電解液性と導電性に優れ、安価に製造が可能で、その製造工程において低温塗布工程に対応可能とすることができる。また、この光電変換装置を用いることにより、高性能の電子機器などを実現することができる。
実施の形態による色素増感光電変換素子を示す断面図である。 比較例2−1による色素増感光電変換素子10の作製直後の対極6を示す断面図である。 比較例2−1による色素増感光電変換素子10の作製から1000時間経過後の対極6を示す断面図である。 実施例1による色素増感光電変換素子10の作製から1000時間経過後の対極6を示す断面図である。
<実施の形態>
[光電変換装置]
図1は実施の形態による光電変換装置である色素増感光電変換装置10を示す要部断面図である。
図1に示すように、この色素増感光電変換装置10は、透明基板1の一主面に透明電極2が設けられ、この透明電極2上に多孔質光電極3が設けられている。この多孔質光電極3には一種又は複数種の光増感色素(図示せず)が結合している。一方、対向基板4の一主面に透明導電層5が設けられ、この透明導電層5上に対極6が設けられている。そして透明基板1上の多孔質光電極3と、透明導電層5上の対極6との間に電解液からなる電解質層7が充填され、これらの透明基板1および対向基板4の外周部が封止材(図示せず)で封止されている。
多孔質光電極3としては、典型的には、半導体微粒子を焼結させた多孔質半導体層により構成される。光増感色素はこの半導体微粒子の表面に吸着している。半導体微粒子の材料としては、シリコンに代表される元素半導体、化合物半導体、ペロブスカイト構造を有する半導体などを用いることができる。これらの半導体は、光励起下で伝導帯電子がキャリアとなり、アノード電流を生じるn型半導体であることが好ましい。具体的には、例えば、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO3)、酸化ニオブ(Nb25)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化スズ(SnO2)などの半導体が用いられる。これらの半導体の中でも、酸化チタン(TiO2)、取り分けアナターゼ型の酸化チタン(TiO2)を用いることが好ましいが、半導体の種類は、これらに限定されるものではなく、必要に応じて、二種類以上の半導体を混合または複合化して用いることができる。また、半導体微粒子の形態も特に限定されるものではなく、粒状、チューブ状、棒状などのいずれであってもよい。
上記の半導体微粒子の粒径に特に制限はないが、一次粒子の平均粒径で1〜200nmの範囲であることが好ましく、5〜100nmの範囲であることが特に好ましい。また、半導体微粒子よりも大きいサイズの粒子を混合し、例えば、この粒子で光反射層などを形成するなどして入射光を散乱させ、量子収率を向上させることも可能である。この場合、別途混合する粒子の平均サイズは20〜500nmの範囲であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
多孔質光電極3は、できるだけ多くの光増感色素を結合させることができるように、半導体微粒子からなる多孔質半導体層の実表面積の大きいものが好ましい。実表面積は多孔質半導体層内部の空孔に面する微粒子表面も含めるものとする。このため、多孔質光電極3を透明電極2の上に形成した状態での実表面積は、多孔質光電極3の外側表面の面積(投影面積)に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることが特に好ましい。この比に特に上限はないが、通常1000倍程度である。
一般に、多孔質光電極3の厚さが増し、単位投影面積当たりに含まれる半導体微粒子の数が増加するほど、実表面積が増加し、単位投影面積に保持することができる光増感色素の量が増加するため、光吸収率が高くなる。一方、多孔質光電極3の厚さが増加すると、光増感色素から多孔質光電極3に移行した電子が透明電極2に達するまでに拡散する距離が増加するため、多孔質光電極3内での電荷再結合による電子の損失も大きくなる。従って、多孔質光電極3には好ましい厚さが存在するが、この厚さは一般的には0.1〜100μmの範囲であり、1〜50μmの範囲であることがより好ましく、3〜30μmの範囲であることが最も好ましい。
電解質層7を構成する電解液としては、酸化還元系(レドックス対)を含む溶液が挙げられる。酸化還元系としては、具体的には、例えば、ヨウ素(I2)と金属または有機物のヨウ化物塩との組み合わせや、臭素(Br2)と金属または有機物の臭化物塩との組み合わせなどが用いられる。金属塩を構成するカチオンとしては、例えば、リチウム(Li+)、ナトリウム(Na+)、カリウム(K+)、セシウム(Cs+)、マグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)などである。また、有機物塩を構成するカチオンとしては、テトラアルキルアンモニウムイオン類、ピリジニウムイオン類、イミダゾリウムイオン類などの第四級アンモニウムイオンが好適なものであり、これらを単独に、あるいは二種類以上を混合して用いることができる。
電解質層7を構成する電解液としては、上記のほかに、フェロシアン酸塩とフェリシアン酸塩との組み合わせや、フェロセンとフェリシニウムイオンとの組み合わせなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオールとアルキルジスルフィドとの組み合わせなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノンとキノンとの組み合わせなどを用いることもできる。
透明基板1は、光が透過しやすい材質と形状のものであれば特に限定されるものではなく、種々の基板材料を用いることができるが、特に可視光の透過率が高い基板材料を用いることが好ましい。また、色素増感光電変換装置10に外部から侵入しようとする水分やガスを阻止する遮断性能が高く、耐溶剤性や耐候性に優れている材料が好ましい。透明基板1の材料としては、具体的には、透明無機材料、透明プラスチックなどが挙げられ、透明無機材料であれば、例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、リン酸ガラス、ソーダガラスなどが挙げられ、透明プラスチックであれば、ポリイミド類、ポリスルホン類、ポリオレフィン類などが挙げられ、ポリイミド類であれば、例えば、ポリエチレンテレフタラート(略号PET)、ポリエチレンナフタラート(略号PEN)、ポリブチレンテレフタラート(略号PBT)、アセチルセルロース(略号AC)、テトラアセチルセルロース(略号TAC)、ポリフェニレンスルフィド(略号PPS)、ポリカーボネート(略号PC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ブロム化フェノキシ、アラミド類、ポリエーテルイミド(略号PEI)などが挙げられ、ポリスルホン類であれば、例えば、ポリスチレン類、ポリアリレート類、ポリエステルスルホン(略号PES)などが挙げられるが、透明基板1を構成する材料は、これらに限定されるものではない。透明基板1の厚さは特に限定はされず、光の透過率や、光電変換装置内外を遮断する性能を勘案して、適宜選択することができる。
透明基板1上に設けられる透明電極2は導電性の薄膜であって、シート抵抗が小さいほど好ましい。具体的には500Ω/□以下であることが好ましく、100Ω/□以下であることがさらに好ましい。これは、シート抵抗が100Ω/□を超えると、透明電極2の内部抵抗が著しく上昇するからである。また薄膜である透明電極2の厚さは、100〜500nmの範囲であることが好ましい。これは、厚さが100nmよりも薄いと表面抵抗値および内部抵抗が上昇し、500nmを超えると透明電極2に亀裂が入りやすくなるためである。また、透明電極2を構成する材料としては公知の材料を用いることができ、必要に応じて選択され、典型的には、金属酸化物であって、例えば、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)、フッ素がドープされた酸化スズ(IV)SnO2(FTO)、酸化スズ(IV)SnO2、酸化亜鉛(II)ZnO、インジウム−亜鉛複合酸化物(IZO)などが挙げられるが、透明電極2を構成する材料は、これらに限定されるものではなく、金属、鉱物の薄膜でもよく、例えば、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、銅(Cu)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)などでもよいが、透明電極2を構成する材料は、これらに限定されない。また、上記で挙げたもの二種類以上を組み合わせて用いることもできる。
多孔質光電極3に結合させる光増感色素は増感作用を示すものであれば特に制限はないが、この多孔質光電極3の表面に吸着する酸官能基を有するものが好ましい。光増感色素は、一般的には、カルボキシ基、リン酸基などを有するものが好ましく、この中でも特にカルボキシ基を有するものが好ましい。具体例には、キサンテン系色素、シアニン系色素、塩基性染料、ポルフィリン系化合物などが挙げられ、キサンテン系色素であれば、例えば、ローダミンB、ローズベンガル、エオシン、エリスロシンなどが挙げられ、シアニン系色素であれば、例えば、メロシアニン、キノシアニン、クリプトシアニンなどが挙げられ、塩基性染料であれば、例えば、フェノサフラニン、カブリブルー、チオシン、メチレンブルーなどが挙げられ、ポルフィリン系化合物であれば、例えば、クロロフィル、亜鉛ポルフィリン、マグネシウムポルフィリンなどが挙げられる。その他のものとしては、例えば、アゾ色素、フタロシアニン化合物、クマリン系化合物、ビピリジン錯化合物、アントラキノン系色素、多環キノン系色素などが挙げられる。さらに、これらの中でも、リガンド(配位子)がピリジン環またはイミダゾリウム環を含み、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、コバルト(Co)、鉄(Fe)および銅(Cu)からなる群より選ばれた少なくとも一種類の金属の錯体の色素は量子収率が高く好ましい。特に、シス−ビス(イソチオシアナート)−N,N−ビス(2,2’−ジピリジル−4,4’−ジカルボン酸)−ルテニウム(II)またはトリス(イソチオシアナート)−ルテニウム(II)−2,2‘ :6’,2“−ターピリジン−4,4‘,4”−トリカルボン酸を基本骨格とする色素分子は吸収波長域が広く好ましいが、光増感色素を構成する材料は、これらに限定されるものではない。光増感色素としては、典型的には、これらのうちの一種類のものを用いるが、二種類以上の光増感色素を混合して用いてもよい。二種類以上の光増感色素を混合して用いる場合、光増感色素は、好適には、多孔質光電極3に保持された、MLCT(Metal to Ligand Charge Transfer)を引き起こす性質を有する無機錯体色素と、この多孔質光電極3に保持された、分子内CT(Charge Transfer)の性質を有する有機分子色素とを有する。この場合、無機錯体色素と有機分子色素とは、多孔質光電極3に互いに異なる立体配座で吸着する。無機錯体色素は、好適には、多孔質光電極3に結合する官能基としてカルボキシ基またはホスホノ基を有する。また、有機分子色素は、好適には、同一炭素に、多孔質光電極3に結合する官能基としてカルボキシ基またはホスホノ基とシアノ基、アミノ基、チオール基またはチオン基とを有する。無機錯体色素は例えばポリピリジン錯体、有機分子色素は例えば、電子供与性の基と電子受容性の基とを併せ持ち、分子内CTの性質を有する芳香族多環共役系分子である。
光増感色素の多孔質光電極3への吸着方法に特に制限はないが、上記の光増感色素を例えばアルコール類、ニトリル類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ジメチルスルホキシド、アミド類、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素、水などの溶媒に溶解させ、これに多孔質光電極3を浸漬したり、光増感色素を含む溶液を多孔質光電極3上に塗布したりすることができる。また、光増感色素の分子同士の会合を低減する目的でデオキシコール酸などを添加してもよい。必要に応じて紫外線吸収剤を併用することもできる。
多孔質光電極3に光増感色素を吸着させた後に、過剰に吸着した光増感色素の除去を促進する目的で、アミン類を用いて多孔質光電極3の表面を処理してもよい。アミン類の具体例としてはピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンなどが挙げられ、これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
対向基板4の材料としては、不透明なガラス、プラスチック、セラミックおよび金属などが挙げられる、金属で対向基板4を構成する場合には典型的には、チタンおよびその合金、ニッケルおよびその合金などを材料として用いる。また。透明材料、例えば透明なガラスやプラスチックを用いても良い。対向基板の一主面には透明導電層5が形成されており、透明導電層5としては、導電性の薄膜であって、シート抵抗が小さいほど好ましい。透明導電層5のシート抵抗は、具体的には、500Ω/□以下であることが好ましく、100Ω/□以下であることがさらに好ましい。100Ω/□を超えると透明導電層5の内部抵抗が著しく上昇するからである。また薄膜である透明導電層5の厚さは100〜500nmの範囲内であることが好ましい。厚さが100nmよりも薄いと表面抵抗値および内部抵抗が上昇し、500nmを超えると透明導電層5に亀裂が入りやすくなるためである。また、透明導電層5を構成する材料としては公知の材料を用いることができ、必要に応じて選択され、典型的には、金属酸化物であって、例えば、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)、フッ素がドープされた酸化スズ(IV)SnO2(FTO)、酸化スズ(IV)SnO2、酸化亜鉛(II)ZnO、インジウム−亜鉛複合酸化物(IZO)などが挙げられるが、透明導電層5を構成する材料は、これらに限定されるものではなく、金属、鉱物の薄膜でもよく、金属であれば、例えば、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、銅(Cu)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)などでもよい。また、上記で挙げたもの二種類以上を組み合わせて用いることもできる。
対極6は典型的には対向基板4の一主面に形成された透明導電層5上に密着して形成されており、対極6の厚さは導電性カーボン層からなる対極であれば2〜40μmの範囲であることが好ましく、10〜40μmの範囲であることがより好ましく、20〜40μmの範囲であることが最も好ましいが、対極6の形態、寸法は、これに限定されるものではない。
対極6は上記に挙げた材料を適宜組み合わせることで形成されるが、特に対極6を導電性カーボン層とする場合には、対極6の全体質量に対して、カーボン粒子の質量が80〜93%、バインダ樹脂の質量が6〜10%、導電性ポリマーの質量が0.1〜10%の割合で組み合わされているものが好ましく、カーボン粒子の質量が83.2〜92.2%、バインダ樹脂の質量が6.8〜8.7%および導電性ポリマーの質量が0.3〜10%の割合で組み合わされているものが特に好ましい。この場合、カーボン粒子はカーボンブラック#40もしくは#2300であることが好ましい。また、バインダ樹脂はイソシアネート化合物、ポリアミドイミド(略号PAI)およびこれらの混合物が好ましい。また、導電性ポリマーはポリアニリンもしくはポリピロールであることが好ましいが、対極6を構成する材料、材料の組み合わせおよび材料の割合は、これらに限定されるものではない。
また、対極6での還元反応に対する触媒作用を向上させるために、電解質層7に接している対極6の表面は、微細構造が形成され、実表面積が増大するように形成されていることが好ましい。例えば、対極6の表面は、多孔質カーボンの状態に形成されていることが好ましい。多孔質カーボンは、カーボン粒子の焼結や有機ポリマーの焼成などの方法によって形成することができる。
[光電変換装置の製造方法]
次に、光電変換装置である色素増感光電変換装置10の製造方法について説明する。
まず、透明基板1の一主面にスパッタリング法などにより透明導電層を形成して透明電極2を形成する。
次に、透明基板1の透明電極2上に多孔質光電極3を形成する。この多孔質光電極3の形成方法に特に制限はないが、物性、利便性、製造コストなどを考慮した場合、湿式製膜法を用いるのが好ましい。湿式製膜法では、半導体微粒子の粉末あるいはゾルを水などの溶媒に均一に分散させたペースト状の分散液を調製し、この分散液を透明基板1の透明電極2上に塗布または印刷する方法が好ましい。分散液の塗布方法または印刷方法に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。具体的には、塗布方法としては、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などを用いることができる。また、印刷方法としては、凸版印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、凹版印刷法、ゴム版印刷法、スクリーン印刷法などを用いることができる。
半導体微粒子の材料としてアナターゼ型酸化チタン(TiO2)を用いる場合、このアナターゼ型酸化チタン(TiO2)は、粉末状、ゾル状、またはスラリー状の市販品を用いてもよいし、酸化チタンアルコキシドを加水分解するなどの公知の方法によって所定の粒径のものを形成してもよい。市販の粉末を使用する際には粒子の二次凝集を解消することが好ましく、ペースト状分散液の調製時に、乳鉢やボールミルなどを使用して粒子の粉砕を行うことが好ましい。このとき、二次凝集が解消された粒子が再度凝集するのを防ぐために、アセチルアセトン、塩酸、硝酸、界面活性剤、キレート剤などをペースト状分散液に添加することができる。また、ペースト状分散液の粘性を増すために、ポリエチレンオキシドやポリビニルアルコールなどの高分子、あるいはセルロース系の増粘剤などの各種増粘剤をペースト状分散液に添加することもできる。
多孔質光電極3は、半導体微粒子を透明電極2上に塗布または印刷した後に、半導体微粒子同士を電気的に接続し、多孔質光電極3の機械的強度を向上させ、透明電極2との密着性を向上させるために、焼成することが好ましい。焼成温度の範囲に特に制限はないが、温度を上げ過ぎると、透明電極2の電気抵抗が高くなり、さらには透明電極2が溶融することもあるため、通常は40〜700℃の温度範囲であることが好ましく、40〜650℃の温度範囲であることがより好ましい。また、焼成時間にも特に制限はないが、通常は10分〜10時間程度である。
焼成後、半導体微粒子の表面積を増加させたり、半導体微粒子間のネッキングを高めたりする目的で、例えば、四塩化チタン水溶液や直径10nm以下の酸化チタン超微粒子ゾルによるディップ処理を行ってもよい。透明電極2を支持する透明基板1としてプラスチック基板を用いる場合には、結着剤を含むペースト状分散液を用いて透明電極2上に多孔質光電極3を製膜し、加熱プレスによって透明電極2に圧着することも可能である。
次に、多孔質光電極3が形成された透明基板1を、光増感色素を所定の有機溶媒に溶解した光増感色素溶液中に浸漬することにより、多孔質光電極3に光増感色素を結合させる。
一方、対向基板4の全面に例えばスパッタリング法などにより、透明導電層5を形成した後、この透明導電層5上に所定の平面形状を有する対極6を形成する。
対極6は、カーボン粒子と、バインダ樹脂と、導電性ポリマーとの混合溶液を透明導電層5上に塗布また印刷する。カーボン粒子は典型的にはカーボンブラックであって、中実で酸化処理されていないものが好ましい。バインダ樹脂は、ポリアミドイミド(略号PAI)または樹脂セルロースとイソシアネートとイソシアネート触媒との混合物が好適であって、特にイソシアネートにおいては、イソシアヌレート型のものが好ましく、樹脂セルロースとしてはエチルセルロース(略号EC)が好ましいが、対極6を構成する材料はこれらに限定されるものではなく、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂およびそれらの混合物を使用することができ、その中でも耐電解液性、耐溶剤性を持つものが好ましい。導電性ポリマーは典型的にはポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンおよびその誘導体からなる群より選ばれた少なくとも一つのものであって、極性基を持ち極性の強い分子であることが好ましい。また、導電性ポリマーは、混合溶液全体の質量に対し、0.1〜10%の量を添加することが好ましいが、導電性ポリマーは、これらの材料および質量に限定されるものではない。また、混合溶液を調製する際には使用する溶媒は、使用するカーボン粒子と、導電性ポリマーと、バインダ樹脂とに親和性を有するものであることが望ましいが、使用する溶媒は、これらに限定されるものではなく、必要に応じて適宜選択される。
その後、カーボン粒子同士を電気的に接続し、対極6の機械的強度を向上させ、透明導電層5との密着性を向上させるために、透明導電層5上に塗布また印刷された混合溶液を焼成することが好ましい。焼成温度の範囲に特に制限はないが、温度を上げ過ぎると、透明導電層5の電気抵抗が高くなり、さらには透明導電層5が溶融することもあるため、通常は40〜700℃の温度範囲であることが好ましく、40〜150℃の温度範囲であることがより好ましい。また、焼成時間にも特に制限はないが、通常は10分〜10時間程度である。
次に、透明基板1と対向基板4とを多孔質光電極3と対極6とが所定の間隔、例えば1〜100μm、好ましくは1〜50μmの範囲の間隔をおいて互いに対向するように配置する。そして、透明基板1および対向基板4の外周部に封止材(図示せず)を形成して電解質層7が封入される空間を作り、この空間に例えば透明基板1に予め形成された注液口(図示せず)から電解液を注入し、電解質層7を形成する。その後、この注液口を塞ぐ。
以上により、目的とする色素増感光電変換装置10が製造される。
[光電変換装置の動作]
次に、光電変換装置である色素増感光電変換装置10の動作について説明する。
この色素増感光電変換装置10は、光が入射すると、対極6を正極、透明電極2を負極とする電池として動作する。その原理は次の通りである。なお、ここでは、透明電極2の材料としてFTOを用い、多孔質光電極3の材料として酸化チタン(TiO2)を用い、レドックス対としてI-/I3 - の酸化還元種を用いることを想定しているが、これに限定されるものではない。また、多孔質光電極3に、一種類の光増感色素が結合していることを想定する。
透明基板1および透明電極2を透過し、多孔質光電極3に入射した光子を多孔質光電極3に結合した光増感色素が吸収すると、この光増感色素中の電子が基底状態(HOMO)から励起状態(LUMO)へ励起される。こうして励起された電子は、光増感色素と多孔質光電極3との間に電気的結合を介して、多孔質光電極3を構成する酸化チタン(TiO2)の伝導帯に引き出され、多孔質光電極3を通って透明電極2に到達する。
一方、電子を失った光増感色素は、電解質層7中の還元剤、例えばIから下記の反応によって電子を受け取り、電解質層7中に酸化剤、例えばI3 -(I2とI-の結合体)を生成する。
2I- → I2+ 2e-
2+ I- → I3 -
こうして生成された酸化剤は拡散によって対極6に到達し、上記の反応の逆反応によって対極6から電子を受け取り、もとの還元剤に還元される。
3 - → I2+ I-
2+ 2e- → 2I-
透明電極2から外部回路に送り出された電子は、外部回路で電気的仕事をした後、対極6に戻る。このようにして、光増感色素にも電解質層7にも何の変化も残さず、光エネルギーが電気エネルギーに変換される。
<実施例1−1>
色素増感光電変換装置10を以下のようにして製造した。
透明基板1を次のように準備した。日本板硝子製アモルファス太陽電池用FTO基板(シート抵抗10Ω/□)を25mm×25mm×t(厚さ)1.1mmのサイズに加工し、アセトン、アルコール、アルカリ系洗浄液、超純水を順に用いて超音波洗浄を行い、十分に乾燥させた。
このFTO基板上へ直径5mmの形状のスクリーンマスクを用い、Solaronix製酸化チタン(TiO2)ペーストをスクリーン印刷機で塗布した。ペーストはFTO基板側より透明なTi-Nanoxide TSPペーストを厚さ7μm、散乱粒子を含むTi-Nanoxide DSPペーストを厚さ13μm順次積層させ、合計20μmの厚さの多孔質酸化チタン(TiO2)膜を得た。次に、この多孔質酸化チタン(TiO2)膜を500℃で30分間電気炉で焼成し、放冷後、0.1mol/LのTiCl4水溶液中に浸漬させ、70℃で30分間保持し、十分に純水およびエタノールで洗浄し、乾燥後、再び500℃で30分間電気炉で焼成した。こうして多孔質光電極3となる酸化チタン(TiO2)焼結体を作製した。
次に、作製した酸化チタン(TiO2)焼結体の不純物を除去し、活性を高める目的で、エキシマランプにより3分間、紫外線露光を行った。
次に、0.5mMシス−ビス(イソチオシアナート)−N,N−ビス(2,2' −ジピリジル−4,4' −ジカルボン酸)−ルテニウム(II)ジテトラブチルアンモニウム塩(N719色素)のtert−ブチルアルコール/アセトニトリル混合溶媒(体積比1:1)に上記の酸化チタン(TiO2)焼結体を室温下、48時間浸漬させて色素を担持させた。この酸化チタン(TiO2)焼結体をアセトニトリルで洗浄し、暗所で乾燥させた。こうして光増感色素を担持した多孔質光電極3を作製した。
一方、溶媒としての3−メトキシプロピオニトリル(略号MPN)に、0.6Mの1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムヨーダイド(略号MPImI)、0.1Mのヨウ素I2、そして添加剤として0.5MのN−ブチルベンズミダゾール(略号NBB)を溶解させ、電解液を調製した。
対向基板4としては、FTO層付き導電性ガラス基板(前述の、日本板硝子(株)製、シート抵抗10Ω/□、厚さ1.1mmの基板)を縦25mm×横25mmの正方形に加工したものを用いる。さらに、この対向基板4の中心部を外れた位置に、電解液の注入口として直径0.5mmの孔を形成した。
次に対極6を形成するための材料である混合溶液を調製する。使用する溶媒は、メチルエチルケトン(略号MEK)とシクロヘキサノン(略号ANON)の二種類である。また、カーボン粒子としてカーボンブラック#2300(商品名;三菱化学(株)製)を使用する。カーボンブラック#2300は中実であって、表面を酸化処理していないので、蒸留水との混合液の酸塩基特性は中性〜弱アルカリ性である。カーボンブラック#2300の具体的な物性値は、粒子径(算術平均径)が15nm、吸着比表面積320(m2/g)、DBP(ジブチルフタレート)吸収量が64(cm2/100g)、揮発分が2%、pH値は8である。粒子径は、カーボンブラックの粒子を電子顕微鏡で観察して求めた算術平均径である。吸着比表面積は、窒素吸着量からS−BET式で求めた比表面積(JIS K6217)で、一般に粒子径が小さいほど比表面積は大きくなる。DBP吸収量は、カーボンブラック100gが吸収するDBP(ジブチルフタレート)の量(JIS K6221)で、一般にストラクチャが発達しているほど、吸収量が大きくなる。揮発分は、カーボンブラックを950℃で7分間加熱した際の揮発分(質量の減少率)で、一般に表面官能基が多いほど、揮発する成分は多くなる。pH値は、カーボンブラックと蒸留水との混合液をガラス電極pHメーターで測定した値である。バインダ樹脂としては、エチルセルロース45(商品名;和光純薬(株)製)と、デュラネートTPA−100(商品名;旭化成(株)製)と、およびオルガチックスZC−700(商品名;マツモト交商(株)製)との混合物を使用する。エチルセルロース45はエトキシ化率が約49%のエチルセルロースである。また、デュラネートTPA−100は、イソシアヌレート型のイソシアネートである。また、オルガチックスZC−700は、イソシアネート硬化触媒であるジルコニウムテトラアセチルアセトネート(Zr(C5724)をトルエン(略号TOL)などの溶媒に20質量%の濃度で溶解させた溶液である。導電性ポリマーは、ポリアニリン溶液であるベラゾールAN−S03T(商品名;綜研化学製)を使用する。ベラゾールAN−S03Tは、ポリアニリン骨格にスルホン酸塩をドープしたものをトルエン/プロピレングリコールモノエチルエーテル(略号TOL/PGME)溶媒に固形分が4質量%となるように溶解させた導電性ポリマー溶液である。
上記混合溶液を調製するにあたって、まず、カーボンブラック#2300と、エチルセルロース45と、デュラネートTPA−100と、オルガチックスZC−700とをそれぞれ92.2:6.2:1.2:0.1の質量比で、メチルエチルケトン(略号MEK)に固形分が混合溶液全体の19.3質量%となるように混合させる。次に、上記固形分の重量の10倍量のφ3mmジルコニアビーズを添加し、ペイントシェイカーで65Hz、3時間攪拌を行う。さらに、攪拌後の混合溶液に、上記メチルエチルケトン(略号MEK)の質量に対して3/7の割合でシクロヘキサノン(略号ANON)を添加する。その後、調製した溶液を更にペイントシェイカーで65Hz、1時間攪拌を行い、攪拌後にベラゾールAN−S03Tを、上記カーボンブラック#2300の質量に対して0.3/92.2の割合で添加し、手で数分軽く攪拌させて対極6を形成するための材料である混合溶液が完成した。
ここで、使用するカーボンブラックが中実であって、表面を酸化処理しておらず、蒸留水との混合液の酸塩基特性が中性〜弱アルカリ性である必要があるのは、表面を酸化処理しているカーボンブラック、例えば、カーボンブラック#2350(商品名;三菱化学(株)製)などを対極6の材料として使用し同様に混合溶液を調製すると、得られた混合溶液は、のりのようにゲル化した混合溶液となり塗布によって良好な塗膜が形成できないからである。この要因としては、表面を酸化処理しているカーボンブラックは、カルボキシ基などの極性の大きな基が多数導入されているため、ポリアミドイミド(略号PAI)などのバインダ樹脂との親和性に乏しいからであると考えられる。また、例えば、ケッチェンブラック ECP(商品名;ライオン(株)製)などの中空形状を有し、比表面積が大きいケッチェンブラックを対極6の材料として使用し、同様に混合溶液を調製すると、得られた混合溶液は粘度のような混合溶液となり、塗布によって良好な塗膜が形成できない。この要因としては、ケッチェンブラックの比表面積が一般的なカーボンブラックなどに対して大きいので、ポリアミドイミド(略号PAI)などのバインダ樹脂がケッチェンブラックの表面を覆いきれないためであると考えられる。また、ケッチェンブラックで構成された混合溶液の流動性を向上させるために、ケッチェンブラックの表面をバインダ樹脂が全て覆うようにすると、大量のバインダ樹脂が必要となり、ケッチェンブラックに対するバインダ樹脂の質量比が著しく増大し対極6が形成できなくなると考えられ、また、たとえ対極6が形成できたとしても、対極6の導電性を担うケッチェンブラックの対極6全体に対する質量比が著しく減少するので、導電性が良好な対極6を形成することができなくなると考えられる。
次に、スキージを用いた手塗り塗布によって上記混合溶液を、対向基板4の一主面に形成されたFTO層である透明導電層5上に被着させ、ホットプレート上で85℃、1分間加熱焼成して溶媒を蒸発させる。さらに、イソシアネート硬化の為に、オーブンで85℃、24時間加熱焼成して、得られる導電性カーボン層の膜厚が20μmとなるように対極6を形成した。膜厚測定装置DEKTAC3(商品名;アルバック(株)製)を用いて対極6の厚さを測定したところ、その厚さは20μmであった。
次に、透明基板1と対向基板4とを多孔質光電極3と対極6とが所定の間隔、例えば1〜100μmの範囲、好ましくは1〜50μmの範囲である間隔をおいて互いに対向するように配置する。そして、透明基板1および対向基板4の外周部に封止材(図示せず)を形成して電解質層7が封入される空間を作り、この空間に例えば透明基板1に予め形成された注液口(図示せず)から電解液を注入し、電解質層7を形成する。その後、この注液口を塞ぐ。
以上により、目的とする色素増感光電変換装置10が製造された。
<実施例1−2>
上記混合溶液を調製するにあたって、導電性ポリマーとして、ベラゾールAN−S03Tの代わりに、ポリピロール溶液であるベラゾールDPY−SA−C(商品名;綜研化学(株)製)を上記混合溶液に同量添加した。ベラゾールDPY−SA−Cはポリピロール骨格にスルホン酸塩をドープしたものを、シクロヘキサノン(略号ANON)/ベンジルアルコール溶媒に固形分が3.4質量%となるように溶解させた導電性ポリマー溶液である。その他は実施例1−1と同様にして色素増感光電変換装置10を製造した。
<実施例1−3>
上記混合溶液を調製するにあたって、カーボンブラック#2300、エチルセルロース45、デュラネートTPA−100およびオルガチックスZC−700の分量を、それぞれ83.2:5.6:1.1:0.1の質量比で、メチルエチルケトン(略号MEK)に固形分が混合溶液全体の13.4質量%となるように混合させた。さらに、導電性ポリマーであるベラゾールAN−S03Tを、カーボンブラック#2300の添加量に対して、10/83.2の質量比で添加した。その他は実施例1−1と同様にして色素増感光電変換装置10を製造した。
<実施例1−4>
上記混合溶液を調製するにあたって、カーボンブラック#2300と、エチルセルロース45と、デュラネートTPA−100と、オルガチックスZC−700とを、それぞれ83.2:5.6:1.1:0.1の質量比で、メチルエチルケトン(略号MEK)に固形分が混合溶液全体の13.4質量%となるように混合させた。さらに、ベラゾールAN−S03Tに代えてベラゾールDPY−SA−Cを使用し、ベラゾールDPY−SA−Cを、カーボンブラック#2300の添加量に対して、10/83.2の質量比で添加した。その他は実施例1−1と同様にして色素増感光電変換装置10を製造した。
<実施例2−1>
上記混合溶液を調製するにあたって、使用する溶媒をメチルエチルケトン(略号MEK)とシクロヘキサノン(略号ANON)の二種類に代えて、N−メチルピロリドン(略号NMP)一種類とした。また、バインダ樹脂としては、エチルセルロース45、デュラネートTPA−100およびオルガチックスZC−700の混合物に代えて、ポリアミドイミド(略号PAI)であるHR11NN(商品名;東洋紡(株)製)を用いた。HR11NNは、ポリアミドイミド(略号PAI)をN−メチルピロリドン(略号NMP)に15質量%の濃度で溶解させた溶液である。まず、カーボンブラック#2300とポリアミドイミドとを、91:8.7の質量比で、N−メチルピロリドン(略号NMP)に固形分が混合溶液全体の15質量%となるように混合させ、次に上記固形分の重量の10倍量のφ3mmジルコニアビーズを添加し、ペイントシェイカーで65Hz、3時間攪拌を行う。攪拌後の混合溶液にベラゾールAN−S03Tをカーボンブラック#2300の添加量に対して0.3/91の質量比で添加し、手で数分軽く攪拌させて対極6を形成するための材料である混合溶液が完成した。次に、スキージを用いた手塗り塗布によって上記混合溶液をFTO層である透明導電層5上に被着させた後、ホットプレート上で150℃・15分間加熱焼成して溶媒を蒸発させて、膜厚が20μmとなるように対極6を形成した。その他は実施例1−1と同様にして色素増感光電変換装置10を製造した。
<実施例2−2>
膜厚が10μmとなるように対極6を形成した。その他は実施例2−1と同様にして色素増感光電変換装置10を製造した。
<比較例1−1>
上記混合溶液を調製するにあたって、カーボンブラック#2300とポリアミドイミド(略号PAI)とを91:9の質量比で、NMPに固形分が混合溶液全体の15質量%となるように混合させた。次に、上記固形分の重量の10倍量のφ3mmジルコニアビーズを添加し、ペイントシェイカーで65Hz、3時間攪拌を行い、導電性ポリマーの添加をせずに、スキージを用いた手塗り塗布によって上記混合溶液をFTO層である透明導電層5上に被着させた。その他は実施例2−1と同様にして色素増感光電変換装置10を製造した。
<比較例1−2>
上記混合溶液を調製するにあたって、カーボンブラック#2300と、エチルセルロース45と、デュラネートTPA−100と、オルガチックスZC−700とを、それぞれ92.5:6.2:1.2:0.1の質量比で、メチルエチルケトン(略号MEK)に固形分が混合溶液全体の18質量%となるように混合させ、次に上記固形分の重量の10倍量のφ3mmジルコニアビーズを添加し、ペイントシェイカーで65Hz、3時間攪拌を行う。攪拌後の混合溶液に、使用したメチルエチルケトン(略号MEK)に対して3/7の質量比でシクロヘキサノン(略号ANON)を添加する。その後、更にペイントシェイカーで65Hz、1時間攪拌を行い、導電性ポリマーの添加をせずに、スキージを用いた手塗り塗布によって上記混合溶液をFTO層である透明導電層5上に被着させた。その他は実施例1−1と同様にして色素増感光電変換装置10を製造した。
<比較例2−1>
上記混合溶液を調製するにあたって、MEKに混合させる材料として、カーボンブラック#2300、エチルセルロース45、デュラネートTPA−100およびオルガチックスZC−700に代えて、導電性ポリマーであるポリアニリン溶液(ベラゾールAN−S03T)のみを固形分が混合溶液全体の4質量%となるように混合させた。その他は実施例1−1と同様にして色素増感光電変換装置10を製造した。
<比較例2−2>
上記混合溶液を調製するにあたって、メチルエチルケトン(略号MEK)に混合させる材料として、カーボンブラック#2300、エチルセルロース45、デュラネートTPA−100およびオルガチックスZC−700に代えて、導電性ポリマーであるポリピロール溶液(べラゾールDPY−SA−C)のみを固形分が混合溶液全体の4質量%となるように混合させた。その他は実施例1−1と同様にして色素増感光電変換装置10を製造した。
<比較例3>
透明導電層5の全面にスパッタリング法により、白金(Pt)の膜を形成し対極6を形成した。その他は実施例1−1と同様にして色素増感光電変換装置10を製造した。この色素増感光電変換装置10の性能を基準として、実施例による色素増感光電変換装置10の性能を評価した。
表1および2は、実施例1〜2および比較例1〜2の色素増感光電変換装置10の対極6で使用した混合溶液の組成、溶液中の固形分の割合、塗布特性および塗膜特性と、比較例3の白金(Pt)の膜厚を示したものである。
Figure 2012186068
Figure 2012186068
表1および表2より、FTO層である透明導電層5へ混合溶液をスキージ塗布成膜した場合の各実施例、比較例における塗布特性は、混合溶液中に中実で酸化処理のされていないカーボンブラックとバインダ樹脂とを含む実施例1、2および比較例1では概ね良好で、透明導電層5上には膜厚が10〜20μmの塗膜が形成され、塗膜を焼成することによって得られた導電性カーボン層の膜厚は10〜20μmであり、概観は均一な黒色であった。
一方、導電性ポリマー溶液のみを混合溶液とした比較例2では、比較例2−1、2−2いずれの場合においても、FTO層である透明導電層5に混合溶液を塗布して形成された塗膜にははじきが発生し、さらに、塗膜を焼成することによって得られた導電性ポリマー層である対極6の膜厚は3〜4μmであり、対極6の概観は色むらが生じていた(アニリンは緑色、ピロールは黒色である。)。これは、対極6の膜厚もしくは、対極6を構成する導電性ポリマーの密度が均一に形成できていないからであると考えられる。
この結果により、FTO層である透明導電層5への塗布特性は、中実で酸化処理のされていないカーボンブラックとバインダ樹脂とで構成された混合溶液は、均一な塗布が可能で、塗布特性は良好であるが、導電性ポリマー溶液のみで構成された混合溶液は、均一な塗布が困難であり、塗布特性が悪いということが確認された。また、各実施例、各比較例において対極6を導電性カーボン層によって構成する場合に、膜厚の上限を20μmとしたのは、透明導電層5に形成される対極6を塗膜の状態から溶媒を蒸発させ、透明導電層5に対極6を定着させる工程において、対極6の膜厚が大きいと透明電極層5からの剥がれが生じやすくなるからである。対極6を導電性カーボン層によって形成する場合においては、その膜厚の上限は20μm〜40μmの範囲内にある。よって、対極6を導電性カーボン層とするときは、その膜厚は20〜40μmの範囲であることが好ましい。
表3は、色素増感光電変換装置10の作製直後における実施例1〜2および比較例1〜3の対極6の表面抵抗値(Ω/□)、電流密度JSC(mA/cm2)、電圧VОC(V)、フィルファクター(FF)、変換効率実測値(%)、白金対極の色素増感光電変換装置10の変換効率を100とした時の相対値(%)および電解液と対極間の電子輸送抵抗を示す第一円弧の半径Rctの測定結果を示す。
対極6が白金層である色素増感光電変換装置10の初期変換効率を100とした時の相対値(%)は、実施例1、比較例1および比較例2の色素増感光電変換装置10については比較例3の初期変換効率を100とした場合の値を示し、実施例2の色素増感光電変換装置10については、実施例2と同一の色素と電解液を用いた白金対極の色素増感光電変換装置10の初期変換効率を100とした場合の値を示す。表面抵抗値は、対極6内の電子の動きにくさを表す物理量であって、その測定方法は、測定装置「三菱化学アナリテック社製 ロレスタGP MCP−T610型」を用いて、測定プローブを対極6に押し当てて抵抗値を計測する四探針法により測定を行った。
Figure 2012186068
表3より、各実施例、比較例における色素増感光電変換装置10の作製直後における光電変換効率は、実施例2、比較例1−1および比較例2−1の色素増感光電変換装置10が良好な値を示した。
この結果により、色素増感光電変換装置10の対極6をカーボンブラックとバインダ樹脂とで構成された導電性カーボン層とし、カーボンブラックを中実で酸化処理のされていないカーボンブラックとすると、このように構成された色素増感光電変換装置10の作製直後の光電変換効率は、白金層からなる対極6を備えた色素増感光電変換装置10の光電変換効率と比較して、いずれの実施例、比較例においても80%以上の値を示すことが明らかとなった。特に、バインダ樹脂をポリアミドイミド(略号PAI)として導電性カーボン層を構成したものを対極6とした比較例1−1の色素増感光電変換装置10の光電変換効率は、対極6を白金層とした比較例3の色素増感光電変換装置10の光電変換効率と比較して90%を超える値を示した。さらに、比較例1−1の対極6の構成に対して導電性ポリマーであるポリアニリンを少量添加して対極6を構成した実施例2の色素増感光電変換装置10では、特に、対極6の膜厚を20μmとした実施例2−1の色素増感光電変換装置10において、その光電変換効率は、対極6が白金層である比較例3の色素増感光電変換装置10の光電変換効率と比較して90%を超える値を示した。
この結果により、中実で酸化処理のされていないカーボンブラックとポリアミドイミド(略号PAI)とで導電性カーボン層を構成し、その膜厚を20μmとしたものを対極6として色素増感光電変換装置10を構成すると、色素増感光電変換装置10の作製直後においては、高い光電変換効率の値を示すことが示された。この理由として、第一に、対極6を多孔質層である導電性カーボン層としたので、対極6と電解液とが接触する面積が大きく、電解液からより多くの電子やり取りすることが可能であるからであると考えられる。第二に、特にポリアミドイミド(略号PAI)をバインダ樹脂として対極6を構成すると、他のバインダ樹脂で対極6を構成した場合よりも表面抵抗値を低く抑えられていることから、カーボンブラックとポリアミドイミド(略号PAI)とで構成された導電性カーボン層を対極6とすると、他のバインダ樹脂で構成された対極6よりも、対極6に含まれるカーボンブラック同士が物理的に結着して形成されるストラクチャの規模が大きく、カーボンブラック同士の結着表面積が大きいために対極6を構成する導電性カーボン層がより多くの電子を移動させることができ、対極6が高い導電性を持つことができたと考えられる。
また、対極6を導電性ポリマーであるポリアニリンのみの導電性ポリマー層として構成した比較例2−1の色素増感光電変換装置10の光電変換効率も、対極6を白金層とした比較例3の色素増感光電変換装置10の光電変換効率と比較して90%を超える値を示した。これは、導電性ポリマーであるポリアニリンが対極6の導電を担うことで、高い光電変換性能を発揮したためであると考えられる。
実施例1−1および1−2と実施例1−3および1−4との色素増感光電変換装置10の光電変換効率の比較により、色素増感光電変換装置10の対極6を構成するバインダ樹脂をエチルセルロース(略号EC)とイソシアネートとイソシアネート硬化触媒とした導電性カーボン層とする場合において、導電性ポリマーをより多く含有させた状態で導電性カーボン層である対極6を構成すると、色素増感光電変換装置10の作製直後においては、対極6の表面抵抗値を低く抑えることができることが明らかとなった。これは、比較例2−1の色素増感光電変換装置10と同様に、対極6に含有される導電性ポリマーが対極6の導電を担うことで、高い光電変換性能を発揮したためであると考えられる。
表4は、実施例1〜2および比較例1〜3の対極6を用いて構成された色素増感光電変換装置の、作製から1000時間経過後の対極6の目視による対極概観および表面抵抗値(Ω/□)の測定結果を示す。
Figure 2012186068
表4より、色素増感光電変換装置10の作製から1000時間経過後の対極6の対極概観は、実施例1、2、比較例2−2および比較例3の色素増感光電変換装置10では目視で変化が確認できなかったのに対して、対極6を構成する材料に導電性ポリマーを含まない導電性カーボン層とした比較例1の色素増感光電変換装置10では、目視で確認できる程度に透明導電層5からの対極6の剥離が生じており、また、対極6を構成する物質を導電性ポリマーであるポリアニリンのみの導電性ポリマー層とした比較例2−1の色素増感光電変換装置10では、透明導電層5からの剥離は生じていないものの、導電性ポリマー層である対極6全体が黄色く変色した。
また、色素増感光電変換装置10の作製から1000時間経過後の対極6の表面抵抗値は、対極6を構成する導電性カーボン層に、導電性ポリマーを対極6の質量に対し0.3%の質量を添加した、実施例1−1、1−2、2−1および2−2の色素増感光電変換装置10では、色素増感光電変換装置10の作製当初の対極6の表面抵抗値の値と比較して変化が生じていない。一方、対極6を構成する導電性カーボン層に、導電性ポリマーを対極6の質量に対し10%の質量を添加した実施例1−3、1−4の色素増感光電変換装置10では、色素増感光電変換装置10の作製当初の表面抵抗値の値と比較して著しく値が上昇しており、特に、実施例1−1および1−2と実施例1−3および1−4との対極6の表面抵抗値の比較においては、色素増感光電変換装置10の作製から1000時間経過後にあっては両者の表面抵抗値に大きな差が無くなった。
また、対極6を構成する物質を導電性ポリマーのみとした、導電性ポリマー層である比較例2の色素増感光電変換装置10においては、色素増感光電変換装置10の作製から1000時間経過後の対極6の表面抵抗値は、比較例2−1および2−2のいずれの色素増感光電変換装置10においても測定が不能となるほどに上昇した。
また、対極6を導電性ポリマーを含まない導電性カーボン層として構成した比較例1の色素増感光電変換装置10では、比較例1−1および1−2ともに透明導電層5からの対極6の剥離が起きているので、表面抵抗値の測定は行わなかった。
色素増感光電変換装置10の作製から1000時間経過後における対極6の特性変化は、電解質層7を構成する電解液もしくは電解質と対極6とが長時間接し対極6を構成する物質が変化することよって起こると考えられ、1000時間経過後にあっても光電変換特性の変化が少ない対極6は耐電解液特性に優れているといえる。
比較例1の色素増感光電変換装置10において、作製から1000時間経過後に導電性カーボン層である対極6の透明導電層5からの剥離が確認されたのは、比較例1のいずれの色素増感光電変換装置10の対極6も、カーボンブラックと、バインダ樹脂とによって構成された導電性カーボン層からなり、電解質層7を構成する電解液もしくは電解質と対極6とが長時間接することで、バインダ樹脂に特性変化が起きるからであると考えられる。すなわち、導電性カーボン層とFTO層である透明導電層5とは導電性カーボン層に含まれるバインダ樹脂によって結着されていると考えられ、この導電性カーボン層が電解液に長時間接すると、そこに含まれるバインダ樹脂に特性変化が起こり、導電性カーボン層である対極6とFTO層である透明導電層5との結合が失われると考えられる。
この結果により、カーボンブラックとバインダ樹脂とで構成された導電性カーボン層である対極6は、電解液に長時間接するとFTO層である透明導電層5と対極6との結着が失われるので、この対極6を用いて作製された色素増感光電変換装置10は一定時間を超えると透明導電層5からの対極6の剥離が起こり、その光電変換性能は失われる。
一方、実施例1および2の色素増感光電変換装置10では、色素増感光電変換装置10の作製から1000時間経過後においては、対極6の透明導電層5からの剥離は起こらず、結着は維持されている。これは、導電性カーボン層である対極6をカーボンブラックとバインダ樹脂に導電性ポリマーを添加して構成したためであると考えられ、さらに、導電性ポリマーを極性基に持つ導電性高分子としたからであると考えられる。これは対極6を導電性ポリマー層とした比較例2の色素増感光電変換装置10が、長時間電解液に接していても対極6の透明導電層5からの剥離が起きなかったことからも言うことができる。
図2は比較例2−1における色素増感光電変換素子10の作製直後の対極6を示す断面図である。
図2に示すように、対極6をカーボンブラックと、バインダ樹脂と、導電性ポリマーとで構成し、導電性ポリマーをポリアニリンとした場合では、ポリアニリンは極性を持つ高分子であるので、極性基であるスルホン基(SO3 -)とH+とを有している。そのため、このうちのH+基が対極6に接するFTO層である透明導電層5内のF-基とイオン結合し、このイオン結合による静電相互作用によって対極6とFTO層である透明導電層5との結着が促進される。さらに導電性カーボン層である対極6が電解液に長時間接する場合であっても、上述した対極6とFTO層である透明導電層5とのイオン結合には変化が生じないと考えられるので、たとえ対極6を構成するバインダ樹脂と透明電極層5との結着が失われたとしても、対極6を構成するポリアニリンと透明電極層5を構成するFTOとのイオン結合による結着は失われないので、対極6と透明導電層5との結着が維持されると考えられる。
また、実施例1の色素増感光電変換装置10において、対極6を導電性ポリマーを含有する導電性カーボン層とするとき、導電性カーボン層に含有される導電性ポリマーの質量を全体の質量の10%とすると、上記導電性ポリマーの質量を対極6を構成する導電性カーボン層全体の質量の0.3%としたときよりも、色素増感光電変換装置10の作製から1000時間経過後の対極6の表面抵抗値が著しく増大し、実施例1−1〜1−4の色素増感光電変換装置10において対極6の表面抵抗値に大きな差は無くなった。この原因としては、導電性ポリマーの電解液による特性変化が、対極6の導電性に及ぼす影響が大きいからであると考えられ、特に、比較例2の色素増感光電変換装置10における導電性ポリマー層である対極6を長時間電解液に接触させると、比較例2−1、2−2いずれの色素増感光電変換装置10においても、対極6の表面抵抗値が測定不能になるほどに上昇したことからも、導電性ポリマーが電解液に長時間接することで特性変化が起こり、導電性ポリマー自体の導電性が失われたと考えられる。
この結果から、対極6を導電性ポリマーを含む導電性カーボン層とした色素増感光電変換装置10の、作製から1000時間経過後の対極6において、対極6を構成する導電性ポリマーは、その導電性は失われるため、対極6の導電性には寄与しないものの、極性基であるH+基を持つことから、極性基F-基を持つFTO層である透明導電層5とイオン結合することによって、対極6と透明導電層5との結着に大きく寄与していると考えられる。これにより、導電性カーボン層に含有させる導電性ポリマーの分量はFTO層である透明導電層5との結着に必要な量のみで良く、その質量は対極6を構成する導電性カーボン層全体の質量の0.1〜5.0%の範囲であることが好ましく、0.1〜1%の範囲であることがより好ましく、0.1〜0.5%の範囲であることが最も好ましい。
図3は比較例2−1による色素増感光電変換素子10の作製から1000時間経過後の対極6を示す断面図である。
図4は実施例1による色素増感光電変換素子10の作製から1000時間経過後の対極6を示す断面図である。
導電性ポリマーであるポリアニリンのみで対極6を構成した比較例2−1の色素増感光電変換装置10において、導電性ポリマー層である対極6が長時間電解液に接することでポリアニリン本来の色である緑色から黄色に変化する原因としては、図3に示すように、導電性ポリマーであるポリアニリンが長時間電解液に接したことによる特性変化によって、スルホン基(SO3 -)が脱離したことによるものであると考えられる。この脱離によってポリアニリンの電導性は失われると考えられる。一方で、FTO層である透明導電層5のF-基と、対極6を構成するポリアニリンが持つ極性基H+基とのイオン結合はポリアニリンからスルホン基(SO3 -)が脱離した後であっても変化することはないので、対極6と透明導電層5との結着は維持される。
また、導電性ポリマーであるポリピロールのみで対極6を構成した比較例2−2の色素増感光電変換装置10においては、比較例2−1と同様に電解液に長時間接することにより電導性が失われるものの、比較例2−1で確認されたような概観の変化がみられなかったのは、ポリピロールの本来の色が黒色であるので、極性基の脱離などによる特性変化が目立たず概観に変化をもたらさなかったものと考えられる。同様に、対極6をカーボンブラックとバインダ樹脂と導電性ポリマーとで構成された導電性カーボン層としたときであっても、対極6が電解液に長時間接することによる導電性ポリマーから極性基の脱離は起こると考えられるが、図4に示すように、対極6に含まれるカーボンブラックの黒色のために概観の変化は目立たなかったものと考えられる。これらの場合においても、FTO層である透明導電層5と対極6とのイオン結合は変化することはないので、対極6と透明導電層5との結着は維持される。
以上のように、この実施の形態によれば、色素増感光電変換装置10の対極6を、白金材料などを用いない導電性カーボン層としたので、製造に大規模な施設が必要なく、高価な白金材料を使用しないので安価に色素増感光電変換装置10を製造することができる。また、対極6を製造する際の焼成工程において150℃以下の低温で行うことも可能なので、透明基板2を高価なFTOガラス基板ではなく、安価なプラスチック基板とすることもできる。また、導電性カーボン層を、カーボンブラックと、バインダ樹脂と、極性基をもつ導電性ポリマーとで構成することにより、カーボンブラックがバインダ樹脂によって結着連結しストラクチャを構成することで電子の通り道が出来て導電性が発現し、特にバインダ樹脂をポリアミドイミド(略号PAI)とすると、導電性カーボン層内において、より大規模なカーボンブラックのストラクチャを構成するので特に高い導電性を持つ対極6を得ることができ、対極6を備えた高性能な色素増感光電変換装置10を得ることができる。さらに、導電性カーボン層である対極6が長時間電解液に接しても、導電性カーボン層に含有される極性基をもつ導電性ポリマーがFTO層である透明導電層5とイオン結合することによって、対極6と透明導電層5との結着を維持し、さらに、バインダ樹脂がカーボンブラック同士の結着を維持するので、これらの相乗効果によって、対極6の耐電解液性が飛躍的に向上し、高性能で長時間使用しても性能の低下が起きにくい色素増感光電変換装置10を得ることができる。
以上、実施の形態および実施例について具体的に説明したが、本開示は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、本開示の技術思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、構造、構成、形状、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、形状、材料などを用いても良い。
1…透明基板、2…透明電極、3…多孔質光電極、4…対向基板、5…透明導電層、6…対極、7…電解質層

Claims (18)

  1. 多孔質光電極と対極との間に電解質層が充填された構造を有し、
    上記対極は、カーボン粒子と上記カーボン粒子を結着するバインダ樹脂と導電性ポリマーとからなる導電性カーボン層である光電変換装置。
  2. 上記導電性カーボン層は、上記電解質層と対向基板との間に上記対向基板上に密着して形成されている請求項1に記載の光電変換装置。
  3. 上記対向基板がフッ素ドープ酸化スズ基板である請求項2に記載の光電変換装置。
  4. 上記カーボン粒子が、中実で、酸化処理されていないカーボンブラックである請求項3に記載の光電変換装置。
  5. 上記バインダ樹脂は、樹脂セルロースと、イソシアネートと、イソシアネート触媒との混合物である請求項4に記載の光電変換装置。
  6. 上記バインダ樹脂は、ポリアミドイミドである請求項4に記載の光電変換装置。
  7. 上記導電性ポリマーは、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンおよびその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一つである請求項6に記載の光電変換装置。
  8. 上記光電変換装置は、上記多孔質光電極に光増感色素が結合した色素増感光電変換装置である請求項1に記載の光電変換装置。
  9. 上記多孔質光電極は、半導体からなる微粒子により構成されている請求項8に記載の光電変換装置。
  10. 基板に、カーボン粒子と、上記カーボン粒子を結着するバインダ樹脂と、導電性ポリマーと溶媒とを混合した溶液を塗布した後に焼成を行うことにより対極を形成し、
    多孔質光電極と上記対極との間に電解液からなる電解質層を充填する工程を有する光電変換装置の製造方法。
  11. 上記基板がフッ素ドープ酸化スズ基板であって、上記焼成温度が150℃以下である請求項10に記載の光電変換装置の製造方法。
  12. 上記カーボン粒子が中実で酸化処理されていないカーボンブラックである請求項11に記載の光電変換装置の製造方法。
  13. 上記バインダ樹脂は、樹脂セルロースと、イソシアネートと、イソシアネート触媒の混合物である請求項12に記載の光電変換装置の製造方法。
  14. 上記バインダ樹脂はポリアミドイミドである請求項12に記載の光電変換装置の製造方法。
  15. 上記導電性ポリマーは、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンおよびその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一つである請求項14に記載の光電変換装置の製造方法。
  16. 上記光電変換装置は、上記多孔質光電極に光増感色素が結合した色素増感光電変換装置である請求項15に記載の光電変換装置の製造方法。
  17. 上記多孔質光電極は、半導体からなる微粒子により構成されている請求項16に記載の光電変換装置の製造方法。
  18. 少なくとも一つの光電変換装置を有し、
    上記光電変換装置が、
    多孔質光電極と対極との間に電解液からなる電解質層が充填された構造を有し、
    上記対極は、カーボン粒子と、上記カーボン粒子を結着するバインダ樹脂と、導電性ポリマーとからなる導電性カーボン層である光電変換装置である電子機器。
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