JP2012180655A - 床構造及び建物 - Google Patents
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Abstract
【課題】他の用途の室の上に設けられた体育室から下階の室内への重量床衝撃音の伝播を抑制すると共に適度な反発の使いやすい床構造、及びこれを備えた建物を提供する。
【解決手段】コンクリート構造床版5上に設置される床構造であって、床部材と床支持部とを備え、床材部が仕上床部10と強化高圧木毛セメント板20を含んだ下地板部とを備え、床支持部が強化木毛セメント板20を所定の間隔で支持する根太部材30と、コンクリート床版5に根太部材30を支える防振用弾性樹脂体60を配設した支持ボルト50とを備え、強化高圧木毛セメンと板20がコンクリート床版5に面して露出して使用される。
【選択図】図1
【解決手段】コンクリート構造床版5上に設置される床構造であって、床部材と床支持部とを備え、床材部が仕上床部10と強化高圧木毛セメント板20を含んだ下地板部とを備え、床支持部が強化木毛セメント板20を所定の間隔で支持する根太部材30と、コンクリート床版5に根太部材30を支える防振用弾性樹脂体60を配設した支持ボルト50とを備え、強化高圧木毛セメンと板20がコンクリート床版5に面して露出して使用される。
【選択図】図1
Description
本発明は、体育用途の室の下階に他の用途を有する建物の体育用途の室の床構造及びそれを備えた建物に関する。
従来の体育室等の床構造は、コンクリート床版から所定の間隔でボルトを立設させ、合板材又はパーティクルボード板材からなる下地材を支持して、その上に仕上げのフローリング板を隠し釘打ちにより固定して、コンクリート床版と合わせて二重床構造とし、前記ボルトに振動を吸収する弾性樹脂製の支持ブロックを介在させた構造としている。しかし、体育室等での運動によって発生する重量床衝撃音が、下の階の室内へ伝播することを前記支持ブロックだけでは抑制できず、下の階の室内環境を悪化させていた。
特開平09−177290号公報には、レベル調整可能かつ下端に弾性体を有する支持脚を備えた木質系のパネル体をコンクリートスラブ等の床基盤上に所定間隔をあけて敷き詰め、これらパネル体の上に捨張材及び仕上材を貼付した床構造において、壁に胴縁を介して巾木を取付け、この巾木の裏側の間隙を介して床下空気と室内空気の流通を常時図るように構成する技術が開示されている。
この技術によれば、床下に湿気がこもり、床面が反ったり、床パネルが腐ったりすることを防止でき、また、床に衝撃が加えられても床下の空気は速やかに床上に逃がすことができ、また、床下空気がバネ、抵抗となり緩衝効果を低減させることがなく、床衝撃音遮断性も向上するとされていた。そして、捨張材には、気孔がある木毛セメント板、エクスパンドメタル等の下地材を使用して、それを支えるパネル体を所定間隔で敷き詰めて構成するとされていた。
しかし、気孔がある木毛セメント板、エクスパンドメタル等の下地材等を用いて、その上に気孔を有する仕上げ材を貼付けることにより、床下に伝わる音を床上に逃がしても、床を支える支持ボルトから下の階の室に伝わる重量床衝撃音を低減することは困難であり、また、エクスパンドメタルを捨張材に使用してもエクスパンドメタル自体では重量床衝撃音は吸収できない。また、気孔がある木毛セメント板を用いたとしても、従来の木毛セメント板は強度が低く、体育室等での運動の衝撃に耐えるためには、所定の大きさのパネル体を広く敷き並べる必要があり、従来の木毛セメント板では下のコンクリート床版に面した気孔の面積は限られたものとなり、気孔による床下の衝撃音の吸収範囲も狭くなっていた。
また、特開平02−026853号公報には、釘打ち可能な高圧木毛セメント板及びその製造方法が開示されている。その製造方法によった木毛セメント板によれば、断熱性能が良く、施工に際し釘打ちができ、ビス止め施工の場合にも下孔を明けてビスをねじ込む必要がなく、施工が簡単となっていた。
本発明が解決しようとする課題は、他の用途の室の上に設けられた体育室から下階の室内への重量床衝撃音の伝播を抑制すると共に使いやすい床構造、及びこれを備えた建物を提供することにある。
本発明の第1の発明は、コンクリート床版上に設置される床構造であって、床材部と床支持部とを備え、前記床材部が仕上床材部と強化高圧木毛セメント板を含んだ下地板材部とを備え、前記下地板材部に含まれている前記強化高圧木毛セメント板が前記コンクリート床版に面していることを特徴としている。
ここで、強化高圧木毛セメント板とは、例えば、セメントの溶剤を外周面に付着させた、巾3.5mm〜5mm、厚さ0.3mm〜0.5mmの不定形な帯状木片を用いて加圧成型し硬化乾燥して、嵩比重を1.0〜1.2とした木毛セメント板であって、最大曲げ応力度が約80kgf/cm2以上である木毛セメント板をいう。下地板材部に強化高圧木毛セメント板を有することにより、それを平面上において格子をなす点又は筋状の位置で支持部材により支持して、床下に面した強化高圧木毛セメント板の面積を拡大することができる。
これにより、体育室等の用途の室で発生した重量床衝撃音を下の階に伝えにくくなる。また、強化高圧木毛セメント板は、床下にカビ、VOCを発生させず、耐湿性に優れる。これにより、床下のコンクリート床版が長期に亘って放湿しても、下地材としての強度が低下せず、また体育室内の室内環境を悪化させない。また、強度が高いため、体育室内での運動活動による振動が繰り返されても、床が歪んで不陸が発生することがない。仕上床材部は、フローリング板、表面に化粧板を張った合板等の木質系床材が好適である。
本発明の第2の発明は、第1の発明の床構造であって、前記床支持部が、前記強化高圧木毛セメント板を所定の間隔で支持するように水平に伸びる根太部材と、前記コンクリート床版に前記根太部材を支えるように、防振用弾性樹脂体を含んで所定の間隔で配設された支持ボルトとを備え、前記強化高圧木毛セメント板が前記コンクリート床版の全域に面して露出して使用されていることを特徴としている。防振用弾性樹脂材は、クロロプレン樹脂、シリコーン樹脂、ブチルゴム、天然ゴム等を含み、防振機能を有すればその材質は限定されない。
体育室等の体育活動により仕上床材であるフローリング板材にて発生した重量床衝撃音は、仕上床材に接して、コンクリート床版の全域に面して広く露出して使用されている下地板材部が有する強化高圧木毛セメント板により、その一部が吸収されて床下空間に伝わる。そして通過した重量床衝撃音は、下のコンクリート床版で反射して再び強化高圧木毛セメント板に入り、反射した重量床衝撃音の一部は再び強化高圧木毛セメント板のなかで吸収される。
これが繰り返されて床下空間内において、強化高圧木毛セメント板により重量床衝撃音が減衰され、階下の室への重量床衝撃音の伝達が減少する。また、体育室の床下空間を所定の高さの空間とし、それに面した気孔率を高くすることにより、音エネルギーを吸収する空間が大きくなる。また、根太部材を床支持部とし、好適には大引部材で根太部材を支持する構成により、根太部材の水平精度を上げることにより、下地板の端面を突き合わせるようにして、精度の高い下地板の敷設が容易である。
本発明の第3の発明は、第1の発明の床構造であって、前記強化高圧木毛セメント板において、少なくとも前記仕上床材部側の面と前記コンクリート床版の側の面とのいずれかの面に合板が貼着されていることを特徴としている。
強化高圧木毛セメント板の上面及び下面の少なくともいずれか、又は両面を突起物がないように平坦に研削して、研削面に合板を貼着すれば、厚さが均一な下地板とすることができ施工が容易である。また、強化高圧木毛セメント板の厚さを厚くし、例えば18mmから50mmの厚さの板にすることにより、強化高圧木毛セメント板内に伝わった重量床衝撃音を、両側の合板で強化高圧木毛セメント板内において反射を繰り返させて減衰させ、下の階に伝わりにくくすることができる。また、強化高圧木毛セメント板の上面のみを平坦に研削した上で、そこに合板を貼着し、強化高圧木毛セメント板内の下面の気孔をコンクリート床版に面するようにしてもよい。
本発明の第4の発明は、第1から第3のいずれかの床構造であって、前記仕上床材部が床フローリング板材からなり、前記下地板材部が床フローリング板材の下に敷設された第1の床下地板材と、第1の床下地板材の下に敷設された前記強化高圧木毛セメント板である第2の床下地板材とからなっていることを特徴としている。仕上床材部をフローリング板材とすることにより、適度な反発の床面とすることができ、強化高圧木毛セメント板の上に、更に一層の床下地板材を敷くことにより、より施工精度の高い床の仕上げ構造が容易に施工できる。
本発明の第5の発明は、第4の発明の床構造であって、第1の床下地板材が、合板材、パーティクルボード板材、表層天然木パーティクルボード板材、MDF板材、OSB板材の少なくともいずれかの板材を含むことを特徴としている。第1の床下地板材の特徴、例えば、パーティクルボードは断熱性に優れ、MDF板材はばらつきが少なく安定した強度を有し平面が平滑である、OSB板材は強度性能が高い、という各々の第1の床下地板材の特徴を活かした床構造とすることができる。また、表層天然木パーティクルボード板材とすることにより、断熱性に優れると共に、表層天然木の部分の厚さを所定の仕上げ厚さとすれば、仕上板材部とすることもできる。
本発明の第6の発明は、第4又は第5の発明の床構造において、第1の床下地板材のジョイント位置と第2の床下地板材のジョイント位置とが、同一の線上にならないように設けられると共に、第1の床下地板材と第2の床下地板材が接着して固定されていることを特徴としている。
第2の床下地板材である強化高圧木毛セメント板材のジョイント位置で小さな目違いがあっても、その上に敷かれる第1の床下地板材を重ねて敷いて、それらのジョイント位置を同一の線上にならないように設ける。これにより第2の床下地板材の縁部近傍となる位置のフローリング板に衝撃力が加わっても、第1の床下地板材が複数の強化高圧木毛セメント板材に跨って設けられているため、仕上面に目違いを生じさせにくく、また、第1の床下地板材又は第2の下地板材部の隅部を欠落させるような破損を発生させにくい。
また、接着剤を強化高圧木毛セメント板材に全面的に塗り、第1の床下地板材を貼り付けることにより、第1の床下地板材の取付け後の仕上がり平面を平滑に仕上げることが容易になる。また、全面的に接着されているため、床上の衝撃荷重が集中することがなく分散され、強化高圧木毛セメント板材と第1の床下地板材が剥離せず、根太部材が強化高圧木毛セメント板材に食い込むような部分的な損傷を防止することができる。接着剤は1液性のウレタン樹脂接着剤のほか、エポキシ樹脂接着剤等、接着剤の種類は限定されない。
本発明の第7の発明は、体育用途の室の下階に他の用途の室を有する建物であって、体育用途の室の床構造が請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載された床構造を備えていることを特徴としている。本発明の体育室の床構造を備えた体育館等の建物とすれば、体育用途の室の下階の室に体育活動により重量床衝撃音が伝播しにくく、室内環境のよい建物とすることができる。
本発明の床構造を適用することにより、体育用途の室の下階に他の用途の室を有する複数階建ての建物において、体育室から下層の室内への重量床衝撃音の伝播を抑制でき、建物の下の階の室内環境を向上させることができると共に、適度な反発のある使いやすい体育室を提供できる。
(実施例1)
実施例1では、図面を参照して学校の体育館の体育室床構造を説明する。図2は学校の体育館の斜視図であり、図3は断面図を示している。体育館1は2階建ての建物であり、2階部分には体育室2が配設されている。体育室2の下の1階には、家庭科室等の教室3が配設されている。体育館の床は、鉄筋コンクリート床版5の上に仕上げの床板6を支持材8で支えた床下空間55の高さが高い二重床4からなっている。
実施例1では、図面を参照して学校の体育館の体育室床構造を説明する。図2は学校の体育館の斜視図であり、図3は断面図を示している。体育館1は2階建ての建物であり、2階部分には体育室2が配設されている。体育室2の下の1階には、家庭科室等の教室3が配設されている。体育館の床は、鉄筋コンクリート床版5の上に仕上げの床板6を支持材8で支えた床下空間55の高さが高い二重床4からなっている。
体育室2で、ボールをバウンドさせたり、生徒が飛び跳ねたりすると体育室2の床から下の教室3に重量床衝撃音7が伝わる。重量床衝撃音は、重くて軟らかい物が衝撃源となるため、床仕上げ材6を軟らかくしても、その低減効果は小さい。更に体育館の床は、適度な反発を求められるため木質系の材料を使用する必要があり、仕上げ材での対応も困難にしていた。
次に、図1、図4、図5を参照して、体育室床構造100を説明する。図1は、強化高圧木毛セメント板を下地材とした体育室床構造の斜視図であり、図4は大引部材40の断面を示す方向を表す体育室床構造の断面図であり、図5は根太部材30の断面を示す方向を表す体育室床構造の断面図である。体育室の床は、下の教室の室内環境の悪化を抑制するために、室内に面した体育室の床板6と、コンクリート床版5の二重床からなっている。体育室床構造100は、床材部と床支持部とからなっている。
床材部は、厚さ15mmの無垢板からなるフローリング板10の仕上床材部と強化高圧木毛セメント板20の下地板材部とからなっている。床支持部は、下地板材部を水平に支える筋状の鋼製の根太部材30と、根太部材に交差して根太部材を支える鋼製の大引部材40と、鋼製の大引部材40を所定の間隔、例えば900mm間隔で支える束ボルト50と、該束ボルトとコンクリート床版5との間に挟まれる防振用弾性樹脂体60とからなっている。防振用弾性樹脂体60は、リングドーナツ形状の振動吸収用の防振用弾性樹脂体である。
本発明の特徴部である強化高圧木毛セメント板20は、例えば巾3.5mm〜5mm、厚さ0.3mm〜0.5mmの不定形な帯状木片とセメントミルクとを混合し、これを型詰めし、厚さの方向に圧力を均一に加え所定の厚さに圧縮した後、これを養生し、嵩比重を1.0〜1.2として製造され、最大曲げ応力度が約80kgf/cm2以上とした木毛セメント板である。
強化高圧木毛セメント板20を下地板材部とすることにより、先に示した特許文献1のように大きな平板状のパネルで支承しなくても、図1、図4に示したように筋状の根太部材30によっても支承可能となっている。そして、強化高圧木毛セメント板20の下面のうち、根太部材30に接していない部分が、広くコンクリート床版5に面する。仕上床材部のフローリング板10は15mmであり、下地床材部の強化高圧木毛セメント板は23mmであり、平面視長方形形状をなす夫々の板体の長手方向が交差する方向に配設されている。また、平面視において交差する2方向ともに、仕上床材部と下地板材部が夫々隣の板と接するジョイント位置は同一線上にならないように、ずらして配置されている。
ここで、図4及び図5を参照して、施工工程を説明する。コンクリート床版5に、所定の間隔で、例えば900mmの間隔で、防振用弾性樹脂体60を脚部下端に有する床支持ボルト50を立設させる。次に、床支持ボルト50の上部に鋼製の大引部材40を、均一な所定の高さとなるように調整ナット53で高さ調整をして横架する。次に、大引部材40と交差する方向に、断面形状がハット形状をした根太部材30の両側裾部をボルト31にて大引部材40に横架して固定して、大引部材と根太部材と含んだ床支持部としてコンクリート床版5に固定する。
根太部材30には、強化高圧木毛セメント板20をビス25にて固定する。ここで、強化高圧木毛セメント板20の製造の際に発生した表面の凸凹を研磨して、強化高圧木毛セメント板20にフローリング板10を、エポキシ系の接着剤15で貼着すると共に所定の間隔で釘16又はビスで固定して敷設する。図は省略しているが、大引部材を省略して、交差して斜めに延びるボルトで、隣り合う支持ボルト50同士を連結して固定してもよい。
(実施例2)
次に、床下空間56の高さが低い低床の二重床の場合の実施例2について、図6を参照して説明する。実施例2の体育室床構造はコンクリート床版5の上に、例えば450mm間隔で防振用弾性樹脂体61を付属させた高さの低い下地床板取付用の脚部51を配設させて、該脚部51が有する螺子機構52により高さ調整をした上で、下地板材21を脚部51に嵌合して固定して、その上にフローリング板11を所定の間隔で釘18を打設して固定している。
次に、床下空間56の高さが低い低床の二重床の場合の実施例2について、図6を参照して説明する。実施例2の体育室床構造はコンクリート床版5の上に、例えば450mm間隔で防振用弾性樹脂体61を付属させた高さの低い下地床板取付用の脚部51を配設させて、該脚部51が有する螺子機構52により高さ調整をした上で、下地板材21を脚部51に嵌合して固定して、その上にフローリング板11を所定の間隔で釘18を打設して固定している。
下地板材21は18mmの厚さからなり、強化高圧木毛セメント板22の表裏の両面に厚さ2.3mmの合板23,24を、エポキシ樹脂系の接着剤で貼着させて構成している。そして、実施例1と同様に、交差する2方向共に、ジョイント位置が同一線上にならないようにして、下地板材21にフローリング板11を所定の間隔で釘18又はビスで固定し、フローリング板11の表面を平坦に仕上げている。強化高圧木毛セメント板22を使用しているため、予めビス用の下孔を空ける必要がなく、ビスに替えて釘18でも、強化高圧木毛セメント板22にフローリング板11が弛まないように固定することができる。なお、釘18又はビスと、接着剤(17)とを併用させて固定すると、より好適である。
実施例2の場合には、フローリングボート11から強化高圧木毛セメント板22内に伝わった重量床衝撃音を、強化高圧木毛セメント板22を挟む合板23,24内で繰り返し反射させることにより、下の階への重量床衝撃音の伝達を低減させている。これにより床下空間56が低くても、重量床衝撃音が下の階の室内に伝播することを抑制することができる。
(実施例3)
図7を参照して、下面のみに3mmの合板を貼着させた実施例3の下地板材200を説明する。実施例3の下地板材200は、厚さ25mmの強化高圧木毛セメント板201の製造時に下方となって、気孔が埋まり易い下面202のみを研削して、厚さ3mm合板210を接着剤で貼着させて下地板材200としている。セメントペーストが沈着して気孔が埋まった下面202のみを研削して、下面202,上面203の両面に多くの気孔を確保するようにして、下面202に合板210を接着剤で貼着させている。
図7を参照して、下面のみに3mmの合板を貼着させた実施例3の下地板材200を説明する。実施例3の下地板材200は、厚さ25mmの強化高圧木毛セメント板201の製造時に下方となって、気孔が埋まり易い下面202のみを研削して、厚さ3mm合板210を接着剤で貼着させて下地板材200としている。セメントペーストが沈着して気孔が埋まった下面202のみを研削して、下面202,上面203の両面に多くの気孔を確保するようにして、下面202に合板210を接着剤で貼着させている。
合板210が貼着された面を、コンクリート床版に面するようにして、上面203に接着剤120と釘121を併用してフローリング板110を全面的に貼着する。これにより、実施例2と同様に、強化高圧木毛セメント板200の上側のフローリング板と下側の合板210とで両面を挟んで、強化高圧木毛セメント板200内で重量床衝撃音を反射させて低減させることも可能である。
(実施例4)
図8を参照して、第1の床下地板材と第2の床下地板材を貼着させた実施例4を説明する。実施例1と同一の構成の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。実施例4では第1の床下地板材としての強化高圧木毛セメント板210の上に、第2の床下地板材としてのパーティクルボード220を、強化高圧木毛セメント板のジョイント位置211とパーティクルボードのジョイント位置221が、平面視で同一線上とならないように張り合わせられている。また、図に示した断面と交差する方向においても同様に、ジョイント位置が平面視で同一線上とならないように第1の床下地板材と第2の床下地板材とが配設されている。
図8を参照して、第1の床下地板材と第2の床下地板材を貼着させた実施例4を説明する。実施例1と同一の構成の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。実施例4では第1の床下地板材としての強化高圧木毛セメント板210の上に、第2の床下地板材としてのパーティクルボード220を、強化高圧木毛セメント板のジョイント位置211とパーティクルボードのジョイント位置221が、平面視で同一線上とならないように張り合わせられている。また、図に示した断面と交差する方向においても同様に、ジョイント位置が平面視で同一線上とならないように第1の床下地板材と第2の床下地板材とが配設されている。
強化高圧木毛セメント板は、圧密して製造するために厚さ誤差が発生する場合がある。しかし、隣り合う第1の床下地板材である強化高圧木毛セメント板210の厚さに誤差があって、ジョイント位置211で目違いがあっても、そのジョイント位置211を跨いで、厚さ誤差の小さいパーティクルボード220を馴染みよく重ね合わせて、釘160又はビスで固定することにより、フローリング板10の床仕上面を精度よく施工することが容易である。
(実施例5)
実施例5は、支持ボルトの高さ方向の中間位置に防振用弾性樹脂体80を介在させた床支持部の実施例である。実施例1と異なる構成を、図9図を参照して説明する。床支持部の下方は平板を山型に屈曲させた脚部81を有し、その山型の頂部から上方向には、防振用弾性樹脂体80を介在させて、支持ボルト87,88が延び、大引部材40の設置高さが調整される。前記脚部81の裾部からは両方向に裾板82,83が延び、コンクリート床版5にボルトにて固定される。
実施例5は、支持ボルトの高さ方向の中間位置に防振用弾性樹脂体80を介在させた床支持部の実施例である。実施例1と異なる構成を、図9図を参照して説明する。床支持部の下方は平板を山型に屈曲させた脚部81を有し、その山型の頂部から上方向には、防振用弾性樹脂体80を介在させて、支持ボルト87,88が延び、大引部材40の設置高さが調整される。前記脚部81の裾部からは両方向に裾板82,83が延び、コンクリート床版5にボルトにて固定される。
上方の支持ボルト87と下方の支持ボルト88の中間位置に介在する防振用弾性樹脂体80は、防振用弾性樹脂90と、それを挟持する上下の板材85,86とからなる。上の板材85は上方の支持ボルト87に,下の板材86は上下の支持ボルト88に繋がる。上方の支持ボルト87は大引部材40に固定される。大引部材40には、交差する方向に根太部材30が固定される。根太部材30には実施例1と同様に下地板材部と仕上床材部が固定される。
(遮音性能試験の結果)
本発明の実施例1の体育室床構造(図4参照)の試験体Aと、その下地板材部を厚さ15mmの合板とした実施例(図10参照)の試験体Bとの重量床衝撃音の遮音性の比較試験を行い、遮音性能を確認した。図11に示すグラフは、JIS A1418に基づく重量床衝撃音試験を行った結果を示している。これは、タイヤを用いたバングマシンによる試験をした場合の遮音測定結果を示すものである。また、図12に示すグラフは、タイヤを用いたバングマシンによる試験よりも、下の階に居る人の受ける騒音体感に近いとされるボールのバウンドによる遮音測定結果を示したものである。
本発明の実施例1の体育室床構造(図4参照)の試験体Aと、その下地板材部を厚さ15mmの合板とした実施例(図10参照)の試験体Bとの重量床衝撃音の遮音性の比較試験を行い、遮音性能を確認した。図11に示すグラフは、JIS A1418に基づく重量床衝撃音試験を行った結果を示している。これは、タイヤを用いたバングマシンによる試験をした場合の遮音測定結果を示すものである。また、図12に示すグラフは、タイヤを用いたバングマシンによる試験よりも、下の階に居る人の受ける騒音体感に近いとされるボールのバウンドによる遮音測定結果を示したものである。
図10では、強化高圧木毛セメント板を下地板材部とした試験体Aの遮音値は△印を付した実線で示し、厚さ15mmの合板を下地板材部とした試験体Bの遮音値は□印を付した二点鎖線で示している。○印を付した一点鎖線は、床を設けないでコンクリート床版のまま(以下「素面」という。)で試験した遮音値を示している。試験体Aは、いずれの周波数の音域においても、素面の場合よりも遮音性が向上している。また、遮音が困難であるとされる重量床衝撃音の低周波数領域(63Hz〜125Hz)においても、試験体Aは、試験体Bと比較して遮音性が約5dB向上している(グラフの右軸に示している。以下同じ。)。また、2000Hz以上の高周波数領域においても、同様に遮音性が5dB以上向上し、厚さ15mmの合板を強化高圧木毛セメント板に替えたことによる著しい遮音効果が確認された。
図11においても、試験体Aの遮音値は△印を付した実線で示し、試験体Bの遮音値は□印を付した二点鎖線で示している。○印を付した一点鎖線は素面で試験した遮音値を示している。試験体Aは、略同じ遮音値となる63Hzを除き、いずれの周波数の音域においても、素面の場合よりも遮音性が向上している。また、遮音が困難であるとされる重量床衝撃音の低周波数領域(63Hz〜125Hz)においては、試験体Aは試験体Bと比較して2dB〜3dBの遮音性の向上をしている。また、500Hz以上の周波数領域においても、同様に5dB以上の遮音性の向上をし、下の階の人の受ける騒音体感に近いとされる試験でも、厚さ15mmの合板を強化高圧木毛セメント板に替えたことによる著しい遮音効果が確認された。
これにより、本発明を適用した強化高圧木毛セメント板を含んだ体育室用の床構造が、それを含まない床構造に比して、対策が困難であるとされる重量床衝撃音の低周波数領域において、顕著な効果を有することが確認できた。なお、グラフの中遮音等級を示すL−60等は次の表1の通りである。
(その他の実施例)
・上記の実施例では、体育室の床構造を説明したが、室内で体育活動と同様に重低音衝撃音が発生する用途の室及びそれを備えた建物にも本発明が適用できるのはもちろんのことである。
・上記の実施例において、フローリングの材質や厚さを限定する必要がなく、無垢板であっても、合板の表面に仕上化粧板を張り合わせた木質板であってもよい。更に、その上に樹脂系仕上をしたものであってもよい。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
・上記の実施例では、体育室の床構造を説明したが、室内で体育活動と同様に重低音衝撃音が発生する用途の室及びそれを備えた建物にも本発明が適用できるのはもちろんのことである。
・上記の実施例において、フローリングの材質や厚さを限定する必要がなく、無垢板であっても、合板の表面に仕上化粧板を張り合わせた木質板であってもよい。更に、その上に樹脂系仕上をしたものであってもよい。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1:体育館,2:体育室,3:教室,4:二重床,5:コンクリート床版,6:床板,
7:重量床衝撃音,8:支持材,10,11:フローリング板,15:接着剤,
16,18:ビス,20,22:強化高圧木毛セメント板,21:下地板材,
23,24:合板,30:根太部材,31:ボルト,40:大引部材,50:束ボルト,
51:脚部,52:螺子機構,53:調整ナット,55,56:床下空間,
60,61,80:防振用弾性樹脂体,90:防振用弾性樹脂,
100:体育室床構造,110:フローリング板,160:釘,200:下地板材,
201,210:強化高圧木毛セメント板,220:パーティクルボード,
211,221:ジョイント位置,202:下面,203:上面,81:脚部,
82,83:裾板,85,86:板材,87,88:支持ボルト
7:重量床衝撃音,8:支持材,10,11:フローリング板,15:接着剤,
16,18:ビス,20,22:強化高圧木毛セメント板,21:下地板材,
23,24:合板,30:根太部材,31:ボルト,40:大引部材,50:束ボルト,
51:脚部,52:螺子機構,53:調整ナット,55,56:床下空間,
60,61,80:防振用弾性樹脂体,90:防振用弾性樹脂,
100:体育室床構造,110:フローリング板,160:釘,200:下地板材,
201,210:強化高圧木毛セメント板,220:パーティクルボード,
211,221:ジョイント位置,202:下面,203:上面,81:脚部,
82,83:裾板,85,86:板材,87,88:支持ボルト
Claims (7)
- コンクリート床版上に設置される床構造であって、床材部と床支持部とを備え、
前記床材部が仕上床材部と強化高圧木毛セメント板を含んだ下地板材部とを備え、
前記下地板材部に含まれている前記強化高圧木毛セメント板が前記コンクリート床版に面している、
ことを特徴とする床構造。 - 前記床支持部が、前記強化高圧木毛セメント板を所定の間隔で支持するように水平に伸びる根太部材と、前記コンクリート床版に前記根太部材を支えるように、防振用弾性樹脂体を含んで所定の間隔で配設された支持ボルトとを備え、
前記強化高圧木毛セメント板が前記コンクリート床版の全域に面して露出して使用されている、
ことを特徴とする請求項1の床構造。 - 前記強化高圧木毛セメント板において、
少なくとも前記仕上床材部側の面と前記コンクリート床版の側の面とのいずれかの面に合板が貼着されている、
ことを特徴とする請求項1の床構造。 - 前記仕上床材部が床フローリング板材からなり、
前記下地板材部が床フローリング板材の下に敷設された第1の床下地板材と、第1の床下地板材の下に敷設された前記強化高圧木毛セメント板である第2の床下地板材とからなっている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の床構造。 - 第1の床下地板材が、合板材、パーティクルボード板材、表層天然木パーティクルボード板材、MDF板材、OSB板材の少なくともいずれかの板材を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の床構造。 - 第1の床下地板材のジョイント位置と第2の床下地板材のジョイント位置とが、同一の線上にならないように設けられると共に、
第1の床下地板材と第2の床下地板材とが接着して固定されている、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の床構造。 - 体育用途の室の下階に他の用途の室を有する建物であって、体育用途の室の床構造が請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載された床構造を備えている、
ことを特徴とする建物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011043233A JP2012180655A (ja) | 2011-02-28 | 2011-02-28 | 床構造及び建物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011043233A JP2012180655A (ja) | 2011-02-28 | 2011-02-28 | 床構造及び建物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2012180655A true JP2012180655A (ja) | 2012-09-20 |
Family
ID=47012071
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2011043233A Withdrawn JP2012180655A (ja) | 2011-02-28 | 2011-02-28 | 床構造及び建物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2012180655A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103758267A (zh) * | 2014-01-22 | 2014-04-30 | 西安建筑科技大学 | 一种用于原竹结构体系的楼板结构 |
CN104264935A (zh) * | 2014-10-16 | 2015-01-07 | 成都纳硕科技有限公司 | 一种带金属支撑柱双层木垫构造的多层隔音强化木地板 |
CN104314274A (zh) * | 2014-10-16 | 2015-01-28 | 成都纳硕科技有限公司 | 一种双层木垫构造的高强度多层隔音竹木复合地板 |
CN104314268A (zh) * | 2014-10-16 | 2015-01-28 | 成都纳硕科技有限公司 | 一种双层木垫构造的紫外光固化多层隔音强化木地板 |
JP7300481B2 (ja) | 2021-07-07 | 2023-06-29 | 美恵子 藤山 | 洋室リフォーム構造及び洋室リフォーム施工方法 |
-
2011
- 2011-02-28 JP JP2011043233A patent/JP2012180655A/ja not_active Withdrawn
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