JP2012179857A - タイヤ製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加硫済みの帯状トレッドが貼着される貼着面を有する台タイヤの外周長を測定する工程と、台タイヤの外周長よりも短く切断されたトレッドを外径寸法が可変する円筒状のドラムの外周面に巻きつけ、当該トレッドの両端部を外周面上に固定する工程と、トレッドが巻きつけられたドラムの外径寸法を変化させ、トレッドの長さを測定した台タイヤの外周長と一致させる工程とを備える形態とした。
【選択図】図1
Description
トレッドの貼着に際しては、まずトレッドの一方の端部を巻き開始端として台タイヤ表面に配置した状態で台タイヤを回転させることによりトレッドを接着層上に巻き取らせ、巻き開始端と他方の端部である巻き終了端とを引張ることにより巻き開始端と巻き終了端とが突き合わされた状態となるように長さの調整が行われる。このようにトレッドが巻き回された台タイヤは、エンベロープと呼ばれる被覆体内に収容した後に加硫缶と呼ばれる加硫施設内に投入してクッションゴムを加硫することでタイヤとして強固に一体化される。
しかしながら、従来の製造方法にあっては、巻き開始端と巻き終了端とを接合する長さの調整が作業者による手作業で行われていたため、台タイヤに貼着されたトレッドには、巻き開始端側と巻き終了端側とで毎回異なる歪みが内在する結果を招き、加硫後のタイヤの性能に差が生じてしまう虞がある。
本形態によれば、帯状トレッドが貼着される台タイヤの貼着面の外周長を測定し、台タイヤの貼着面に貼着されるトレッドを円筒状のドラムに巻き回してトレッドの両端部をドラムに固定し、トレッドの長さが台タイヤの外周長と一致するようにドラムの外径寸法を変化させてトレッドを伸張することにより、トレッドに局所的な歪を内在させることなく伸張することができ、伸張したトレッドを台タイヤの貼着面にトレッドの長さが台タイヤの外周長に対して過不足することなく貼着することができる。よって、台タイヤに貼着されたトレッドは、局所的な残留応力や残留歪が低減されるのでトレッドの剥離耐久性を向上させることができ、タイヤとして製造したときにユニフォーミティに優れたものとなる。
また、本発明の他の形態として、トレッドの円筒状のドラムへの巻きつけの際に、トレッドの踏面側をドラムの外周面と対向させた状態で巻きつけてトレッドの両端部を外周面上に固定し、台タイヤの外周長と長さが一致したトレッドの一端部の非踏面側を台タイヤの貼着面と対向させた状態で台タイヤ及びドラムを互いに逆方向に回転させてトレッドを台タイヤに貼着する工程を備える形態とした。
本形態によれば、上記効果に加え、トレッドの円筒状のドラムへの巻きつけの際に、トレッドの踏面側をドラムの外周面と対向させた状態で巻きつけてトレッドの両端部を外周面上に固定し、台タイヤの外周長と長さが一致したトレッドの一端部の非踏面側を台タイヤの貼着面と対向させた状態で台タイヤ及びドラムを互いに逆方向に回転させてトレッドを台タイヤに転写するように貼着することにより、トレッドの歪を均一にした状態を維持したままで台タイヤに貼着することができるので、台タイヤに貼着されたトレッドの局所的な残留応力及び残留歪をより低減することができる。また、トレッドに内在する局所的な残留応力及び残留歪が低減されたことにより、トレッドの剥離耐久性が向上し、タイヤとして製造したときにユニフォーミティに優れたものとなる。
タイヤ製造装置1は、トレッドTを伸張するトレッド伸張装置2と、台タイヤSを固定する台タイヤ固定装置3と、トレッド伸張装置2と台タイヤ固定装置3とを制御する制御装置100とにより概略構成される。
トレッド伸張装置2は、トレッドTを搬送する搬送手段4の下流側に配置される。搬送手段4により搬送されるトレッドTは、予め所定長さの帯状に加硫成型されたものであり、その長さが貼着する台タイヤSの外周のうち最大外周長よりも短く切断形成されたものである。搬送手段4は、例えば、ローラーコンベアによって構成され、トレッドTの軸線とローラーコンベアの軸線とが平行となるようにトレッドTをトレッド伸張装置2まで搬送する。
移動機構5は、一対の直動機構により構成され、例えば、リニアガイドと称される直動機構が適用される。リニアガイドは、直線状のリニアレール11と、リニアレール11に沿って移動するスライダ12とにより構成される。リニアレール11は、延長方向が搬送手段4の搬送方向と平行、かつ、搬送手段4と所定距離離間して例えば工場の床面に敷設される。リニアガイドの一方には、スライダ12の駆動機構である図外のボールネジ機構と、ボールネジ機構を駆動するサーボモータ13が配設される。ボールネジ機構は、ボールネジと、ボールネジと螺合するボールナットとにより構成される。ボールネジはリニアレール11の延長方向に沿って回転可能に収容され、ボールナットはスライダ12に固定される。ボールネジは、サーボモータ13の出力軸と接続され、サーボモータ13の駆動により回転する。
サーボモータ13は、後述の制御装置100と接続され、制御装置100の出力する進退信号に基づきスライダ12を進退させる。スライダ12には、トレッド伸張装置2を載置する平板上の台座15が架設される。
装置本体16の上端側には、拡縮ドラム17を支持する回転軸20が、例えばベアリング等を介して回転可能に架設される。拡縮ドラム17は、トレッドTの搬送方向に対して拡縮ドラム17の回転軸が直交するように配置される。
以下、図2(a),(b)を参照して拡縮ドラム17について説明する。
拡縮ドラム17は、略円筒状の筒体であって、回転軸20の中央に配置される。拡縮ドラム17は、当該拡縮ドラム17の外周面17aを構成する複数のセグメント21と、セグメント21を半径方向に移動させる拡縮機構22とを備える。セグメント21は、円筒体を円周方向に均等に分割した樋形状に形成され、セグメント21を放射状に配置することにより拡縮ドラム17の外周面17aを形成する。セグメント21の内周面17b側には、拡縮機構22に接続される突片24が設けられる。
よって、一方の固定手段18により、拡縮ドラム17に当接されたトレッドTの巻き開始端側の端部を固定するようにスリーブ51を回転軸20上において回転させ、可動片53を移動させて押え部材54をトレッドTに当接させる。そして、図外の方法により可動片53を片部52の延長方向に弾性的に固定することで押え部材54によりトレッドTを押圧させて巻き開始端側を拡縮ドラム17に固定する。同様に、他方の固定手段18により、拡縮ドラム17に当接されたトレッドTの巻き終了端側の端部を固定するようにスリーブ51を回転軸20上において回転させ、可動片53を移動させて押え部材54をトレッドTに当接させる。そして、図外の方法により可動片53を片部52の延長方向に弾性的に固定することで押え部材54によりトレッドTを押圧させて巻き終了端側の端部を拡縮ドラム17に固定する。なお、弾性的に固定とは、可動片53の延長方向への移動を付勢するように、可動片53を片部52に対してスプリング等で付勢して、可動片53に固着された押え部材54が拡縮ドラム17の拡径を妨げない状態を意味する。弾性的に固定しても、拡縮ドラム17を拡径するときに押え部材54がトレッドTを押圧する力が増加するので、巻き開始端側の端部及び巻き終了端側の端部が固定されるセグメント21において、拡径前と拡径後において巻き開始端及び巻き終了端の位置が変わることはない。
そして、拡縮ドラム17を回転させてトレッドTを拡縮ドラム17に巻きつけ、トレッドTの他端側である巻き終了端が拡縮ドラム17に巻きつけられた後に拡縮ドラム17の回転を停止して、巻き終了端側の端部を他方の固定手段18により固定する。そして、トレッドTを拡縮ドラム17に固定した状態で拡縮ドラム17を拡径することにより、トレッドTを拡縮ドラム17の外周面に沿って均等に伸張させることができる。即ち、拡縮ドラム17の各セグメント21が放射状に拡径することにより、各セグメント21に当接するトレッドTも放射状に伸張されるので、例えば、真直ぐに伸びた状態のトレッドTの両端を保持して伸張するときに比べてトレッドTを均等に伸張することができる。よって、トレッドに局所的な歪を内在させることなく伸張することができる。
ドラム35は、タイヤホイールに相当するものであって、拡縮ドラム17の外周面と当該ドラム35の外周面とが対向するように設けられ、装置本体38から水平、かつ、拡縮ドラム17の回転軸20と平行に延長する回転軸39に固着される。ドラム35は、台タイヤSのビード部全域と密着する密着面を外周面に備え、外周面にビード部を密着させた状態で台タイヤSが固定される。ドラム35は、台タイヤSを固定した状態において台タイヤ内に内圧を印加する図外の内圧印加手段を備える。内圧印加手段は、例えば電気的に制御されるバルブであって、工場内に設けられたコンプレッサ等の空気供給手段から延長する配管と接続される。
また、ドラム35は、異なるサイズの台タイヤSであっても、台タイヤSをドラム35の所定の位置、例えば、台タイヤの最大径となる幅方向中心位置と、ドラム35の幅方向中心位置とが一致する位置決め構造を有する。
外周長算出手段101は、測定手段37のローラーの直径を記憶し、測定手段37から信号として出力されたローラーの回転角度に基づいて台タイヤSの最大外周長Mを算出して記憶手段102に出力する。
記憶手段102は、入力手段98から入力されたトレッドTの長さL1と厚さdと、外周長算出手段101から出力される最大外周長Mを記憶する。また、入力手段98から入力される台タイヤ固定装置3やトレッド伸張装置2や移動機構5の動作に関する指令に基づき台タイヤ固定装置3やトレッド伸張装置2や移動機構5に出力する信号を記憶する。
以下、拡径量算出手段103による拡径量δRの算出方法について説明する。なお、拡径量δRは拡縮ドラム17の外径寸法の変化量である。
拡径量算出手段103では、まず、記憶手段102からトレッドTの自然状態における長さL1と、測定された台タイヤSの最大外周長Mとを読み出し、トレッドTの伸張すべき伸張量δLを算出する。
次に、伸張量δLに基づいて拡径量δRを算出する。具体的には、拡縮ドラム17の初期状態における外径寸法をDとしたときに拡縮ドラム17を拡径量δR拡径後の外周長は、π(D+δR)であるから、拡径前の外周長πDとの差を算出するとπδRとなる。つまり、δR分だけ外径寸法が変化すると、外周長がπδR増加するので、外周長のπδR増加分がトレッドTの伸張すべき伸張長さδLと等しくなるように伸張すれば良いのでδL=πδRと表すことができる。よって、算出すべき拡径量δRは、δR=δL/πと書き換えられるので、拡径量算出手段103では、δL/πにより拡径量δRを算出する。
ドラム拡径制御手段104は、拡径量算出手段103により算出された拡径量δRとなるように駆動機構27のサーボモータに駆動信号を出力して拡縮ドラム17を拡径させる。
まず、使用済みタイヤのトレッド部分をバフ掛けすることにより除去し、貼着面にクッションゴムや接着剤等による接着層が形成された台タイヤSを台タイヤ固定装置3のドラム35に配置して内圧を印加した状態で固定する。また、トレッドTをトレッド伸張装置2の拡縮ドラム17の外周面にトレッドTの踏面Ta側が当接するようにして巻きつけ、トレッドTの両端を固定手段18により拡縮ドラム17に固定する。
具体的には、図4(a)に示すように、搬送手段4により搬送されたトレッドTの一端側を拡縮ドラム17の外周面に当接させて、固定手段18によりトレッドTの一端側の端部を拡縮ドラムに固定する。次に、作業者が入力手段98を操作することにより、拡縮ドラム17がトレッドTの長さL1分だけ搬送方向に沿うように回転させる信号を制御装置100からモーター31に出力させてトレッドTを拡縮ドラム17に巻き取らせる。次に図4(b)に示すように、巻き終了端となるトレッドTの他端側の端部を固定手段18により固定する。
そして、拡縮ドラム17への巻きつけにおいて巻き開始端であるトレッドTの一方の端部が台タイヤSと当接した後に、作業者が、当該端部側の固定手段18を取り外すことにより、トレッドTの貼着が完了する。この状態において、台タイヤSに貼着されたトレッドTは、過不足することなく巻き開始端と巻き終了端とが隙間無く互いに当接する。つまり、巻き開始端側の端面Tcと巻き終了端側の端面Tdとが隙間無く当接して、台タイヤSに貼着される。
また、測定手段37が台タイヤSの最大外周長となるタイヤ赤道の位置を測定するとして説明したが、測定する位置はタイヤ赤道に限らず、台タイヤSの貼着面において最大外周長となる位置を測定すれば良い。この場合、測定手段37をタイヤ幅方向に移動可能に構成することにより、台タイヤSの幅方向の任意の位置の外周長を測定することができる。
また、トレッドTの伸張において、トレッドTの踏面Ta側を拡縮ドラム17の外周面と対向させた状態で巻きつけてトレッドTの両端部を外周面上に固定し、台タイヤSの最大外周長Mと長さが一致したトレッドTの一端部の非踏面Tb側を台タイヤSの貼着面と対向させた状態で、台タイヤS及び拡縮ドラム17を互いに逆方向に回転させてトレッドTを台タイヤSに貼着することにより、トレッドの歪を均一にした状態を維持したままで台タイヤに貼着することができるので、台タイヤに貼着されたトレッドの局所的な残留応力及び残留歪をより低減することができる。また、トレッドに内在する局所的な残留応力及び残留歪が低減されたことにより、トレッドの剥離耐久性が向上するとともにタイヤとして製造したときにユニフォーミティに優れたものとなる。
17 拡縮ドラム、18 固定手段、27 駆動機構、37 測定手段、
100 制御装置、101 外周長算出手段、102 記憶手段、
103 拡径量算出手段、104 ドラム拡径制御手段、D 外径寸法、d 厚さ、
S 台タイヤ、T 帯状トレッド、Ta 踏面、Tb 非踏面、δR 拡径量。
Claims (2)
- 加硫済みの帯状トレッドが貼着される貼着面を有する台タイヤの外周長を測定する工程と、
前記台タイヤの外周長よりも短く切断された前記トレッドを外径寸法が可変する円筒状のドラムの外周面に巻きつけ、当該トレッドの両端部を外周面上に固定する工程と、
トレッドが巻きつけられたドラムの外径寸法を変化させ、前記トレッドの長さを測定した台タイヤの外周長と一致させる工程と、
を備えるタイヤ製造方法。 - 前記トレッドの円筒状のドラムへの巻きつけの際に、トレッドの踏面側を前記ドラムの外周面と対向させた状態で巻きつけてトレッドの両端部を外周面上に固定し、
台タイヤの外周長と長さが一致したトレッドの一端部の非踏面側を前記台タイヤの貼着面と対向させた状態で前記台タイヤ及びドラムを互いに逆方向に回転させて前記トレッドを前記台タイヤに貼着する工程を備える請求項1記載のタイヤ製造方法。
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