JP2012179776A - 印刷装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷装置に関する技術を提供する。
【解決手段】同一色のインクを収容するL個のインクカートリッジからインクの供給を受けて印刷を行う印刷装置であって、複数のノズルを所定方向に配列したノズル列をM列備えるノズル列群を有し、印刷媒体に対して相対的に両走査方向に移動する印刷ヘッドと、印刷ヘッドの走査とインクの吐出とを制御する制御部とを備え、制御部は、所定の印刷画像を構成するラスターの少なくとも一つのラスターの一部を、印刷ヘッドの第1の主走査と、その後に少なくとも1回の副走査を経た後の第2の主走査とにおいて、ノズル列群のノズルが吐出したインクドットによって形成するよう制御を行うとともに、印刷において消費するインク量が各インクカートリッジ間で略均等となるように制御を行う印刷装置。
【選択図】図5
【解決手段】同一色のインクを収容するL個のインクカートリッジからインクの供給を受けて印刷を行う印刷装置であって、複数のノズルを所定方向に配列したノズル列をM列備えるノズル列群を有し、印刷媒体に対して相対的に両走査方向に移動する印刷ヘッドと、印刷ヘッドの走査とインクの吐出とを制御する制御部とを備え、制御部は、所定の印刷画像を構成するラスターの少なくとも一つのラスターの一部を、印刷ヘッドの第1の主走査と、その後に少なくとも1回の副走査を経た後の第2の主走査とにおいて、ノズル列群のノズルが吐出したインクドットによって形成するよう制御を行うとともに、印刷において消費するインク量が各インクカートリッジ間で略均等となるように制御を行う印刷装置。
【選択図】図5
Description
本発明は、印刷装置に関し、詳しくは、同一色のインクを収容する複数のインクカートリッジからインクの供給を受けて印刷を行う印刷装置に関するものである。
従来から、同一色のインクを収容したインクカートリッジを複数備える印刷装置において、インクカートリッジ間におけるインクの偏った消費(以下、「インクの偏減り」とも呼ぶ)を抑制したいという要望があった。インクの偏減りを抑制する技術として例えば特許文献1の技術が知られている。
本発明は、従来とは異なる方法で同一色のインクを収容した複数のインクカートリッジにおける偏減りを抑制する技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するために、以下の形態または適用例を取ることが可能である。
[適用例1]
同一色のインクを収容するL個(Lは2以上の整数)のインクカートリッジからインクの供給を受けて印刷を行う印刷装置であって、前記インクを吐出する複数のノズルを所定方向に配列したノズル列を該方向とは交差する方向に離間してM列(MはL以上の整数)備えるノズル列群を有し、前記ノズル列の離間方向を主走査方向、および前記ノズルの配列方向を副走査方向として、印刷媒体に対して相対的に両走査方向に移動する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドの前記走査と前記ノズルからのインクの吐出とを制御する制御部とを備え、前記ノズル列群は、前記各インクカートリッジから個別に前記インクの供給を受けるノズル列の組み合わせとして構成されると共に、前記各ノズル列の少なくとも一部のノズルは前記ノズル列群内で前記副走査方向に同じ位置に配列されており、前記制御部は、所定の印刷画像を構成するラスターの少なくとも一つのラスターの一部を、前記印刷ヘッドの第1の主走査と、その後に少なくとも1回の副走査を経た後の第2の主走査とにおいて、前記ノズル列群のノズルが吐出したインクドットによって形成するよう前記制御を行うとともに、前記印刷において消費するインク量が各インクカートリッジ間で略均等となるように前記制御を行う印刷装置。
同一色のインクを収容するL個(Lは2以上の整数)のインクカートリッジからインクの供給を受けて印刷を行う印刷装置であって、前記インクを吐出する複数のノズルを所定方向に配列したノズル列を該方向とは交差する方向に離間してM列(MはL以上の整数)備えるノズル列群を有し、前記ノズル列の離間方向を主走査方向、および前記ノズルの配列方向を副走査方向として、印刷媒体に対して相対的に両走査方向に移動する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドの前記走査と前記ノズルからのインクの吐出とを制御する制御部とを備え、前記ノズル列群は、前記各インクカートリッジから個別に前記インクの供給を受けるノズル列の組み合わせとして構成されると共に、前記各ノズル列の少なくとも一部のノズルは前記ノズル列群内で前記副走査方向に同じ位置に配列されており、前記制御部は、所定の印刷画像を構成するラスターの少なくとも一つのラスターの一部を、前記印刷ヘッドの第1の主走査と、その後に少なくとも1回の副走査を経た後の第2の主走査とにおいて、前記ノズル列群のノズルが吐出したインクドットによって形成するよう前記制御を行うとともに、前記印刷において消費するインク量が各インクカートリッジ間で略均等となるように前記制御を行う印刷装置。
この印刷装置によると、制御部が、印刷において消費するインク量が各インクカートリッジ間で略均等となるように制御を行うので、インクの偏減りを抑制することができる。
[適用例2]
適用例1記載の印刷装置であって、前記ノズル列群を第1のノズル列群とし、前記印刷ヘッドは、さらに、配列された各ノズルの前記副走査方向の位置が前記第1のノズル列群の各ノズルの位置とは異なるノズル列群であって、前記インクを吐出する複数のノズルを前記副走査方向に配列したノズル列を前記主走査方向に離間してN列(Nは1以上の整数)備えるとともに、該N列のノズル列は各々1つの前記インクカートリッジからインクの供給を受ける第2のノズル列群を備える印刷装置。
適用例1記載の印刷装置であって、前記ノズル列群を第1のノズル列群とし、前記印刷ヘッドは、さらに、配列された各ノズルの前記副走査方向の位置が前記第1のノズル列群の各ノズルの位置とは異なるノズル列群であって、前記インクを吐出する複数のノズルを前記副走査方向に配列したノズル列を前記主走査方向に離間してN列(Nは1以上の整数)備えるとともに、該N列のノズル列は各々1つの前記インクカートリッジからインクの供給を受ける第2のノズル列群を備える印刷装置。
この印刷装置によると、第2のノズル列群を備えるので、さらに高速に印刷を行うことができる。
[適用例3]
適用例2記載の印刷装置であって、第1,第2のノズル列群が備える各ノズルは、前記副走査方向のノズルピッチが等しく、前記第1のノズル列群のノズル列、前記第2のノズル列群の各々のノズル列は、各ノズルの副走査方向の配列位置が互いに前記ノズルピッチの1/(N+1)ずつずれて異なる位置に配置されている印刷装置。
適用例2記載の印刷装置であって、第1,第2のノズル列群が備える各ノズルは、前記副走査方向のノズルピッチが等しく、前記第1のノズル列群のノズル列、前記第2のノズル列群の各々のノズル列は、各ノズルの副走査方向の配列位置が互いに前記ノズルピッチの1/(N+1)ずつずれて異なる位置に配置されている印刷装置。
この印刷装置によると、第1のノズル列群のノズル列、第2のノズル列群の各々のノズル列は、各ノズルの副走査方向の配列位置が互いにノズルピッチの1/(N+1)ずつずれて異なる位置に配置されているので、さらに解像度の高い印刷を行うことができる。
[適用例4]
適用例2または適用例3に記載の印刷装置であって、Lの値が2、Mの値が2、Nの値が2である印刷装置。
この印刷装置によると、印刷ヘッドの構造を小さくすることができる。
適用例2または適用例3に記載の印刷装置であって、Lの値が2、Mの値が2、Nの値が2である印刷装置。
この印刷装置によると、印刷ヘッドの構造を小さくすることができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、偏減り抑制方法および装置、印刷システム、それらの方法または装置の機能を実現するための集積回路、コンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
A.第1実施例:
(A1)印刷装置の構成:
図1は、第1実施例としての印刷装置10の構成を説明する説明図である。印刷装置10は、画像データに基づいて、印刷媒体Pにインクを吐出して文字や画像などを印刷するインクジェット式プリンターである。本実施例では、印刷装置10は、いわゆる複合機としてスキャナーやコピーなどの各種機能を有する。また、印刷装置10は、後述するように、ブラックのインクのみを用いて印刷を行うモノクロ印刷専用の印刷装置である。
A.第1実施例:
(A1)印刷装置の構成:
図1は、第1実施例としての印刷装置10の構成を説明する説明図である。印刷装置10は、画像データに基づいて、印刷媒体Pにインクを吐出して文字や画像などを印刷するインクジェット式プリンターである。本実施例では、印刷装置10は、いわゆる複合機としてスキャナーやコピーなどの各種機能を有する。また、印刷装置10は、後述するように、ブラックのインクのみを用いて印刷を行うモノクロ印刷専用の印刷装置である。
印刷装置10は、カードスロット12と、通信コネクター13とを備える。印刷装置10のカードスロット12は、記憶媒体を内蔵するメモリカードとデータをやり取り可能に接続するインターフェースである。印刷装置10の通信コネクター13は、パーソナルコンピューターやデジタルカメラ,デジタルビデオカメラなどの外部機器とデータをやり取り可能に接続するインターフェースである。印刷装置10は、通信コネクター13に接続された外部機器(例えば、コンピューター等)からの印刷要求に基づいて印刷する機能に加え、カードスロット12に接続されたメモリカードや通信コネクター13(例えば、デジタルスチルカメラ等)に接続された外部機器に記憶されている画像データを印刷する機能を有する。
印刷装置10は、更に、スキャナー部11と、ディスプレイ14と、操作パネル15とを備える。スキャナー部11は、原稿台に載置された原稿を読み取ってデジタルデータに変換する。ディスプレイ14は、ユーザに向けて文字や画像を表示する。操作パネル15は、ユーザからの指示入力を受け付ける。
印刷装置10は、上記説明したカードスロット12や通信コネクター13などの他、更に、印刷装置10の各部を制御する制御ユニット20と、印刷媒体Pへの印刷を実行する印刷機構部30とを備える。
制御ユニット20は、CPU21と、RAM22と、ROM23とを備える。CPU21は、ROM23に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより、画像データ取得部24と、モノクロ変換部25と、ハーフトーン処理部26と、吐出ノズル決定処理部27と、印刷制御部28としての機能を実現する。画像データ取得部24は、スキャナー部11やカードスロット12や通信コネクター13から画像データを取得する。モノクロ変換部25は、取得した画像データがRGB画像データである場合に、モノクロ画像データにデータ変換する。ハーフトーン処理部26は、モノクロ変換された画像データの階調に基づいて、画像データをドットの分布に変換する処理を行う。ハーフトーン処理にはROM23が記憶するディザマスク232を用いる。
吐出ノズル決定処理部27は、ハーフトーン処理後の画像データの各ドットに対して、後述する印刷ヘッド50が備えるノズルのうち、どのノズルからインクを吐出して印刷媒体Pにドットを形成するかを決定する。その際、ROM23に記憶している部分オーバーラップ用マスク(以下、POL用マスクとも呼ぶ)236、および偏減り抑制マスク238を用いる。POL用マスク236、偏減り抑制マスク238については後で説明する。印刷制御部28は、吐出ノズル決定処理部27による処理後のデータに基づいて、印刷機構部30の動作を制御する。上記説明した各処理は、ROM23に記憶されているプログラムをCPU21が読み出して実行することによって実現される。また、ディザマスク232、POL用マスク236、偏減り抑制マスク238は予めROM23に記憶されている。
印刷装置10の印刷機構部30は、図1に示すように、キャリッジ40と、ヘッドユニット41と、キャリッジ駆動部32と、搬送部34とを備える。キャリッジ駆動部32は、キャリッジ40を主走査(ヘッド走査)方向に駆動する。搬送部34は、キャリッジ40が移動する主走査方向に交差する副走査方向に印刷媒体Pを搬送する。
キャリッジ40は、ヘッドユニット41を保持すると共に、インクカートリッジ42およびインクカートリッジ43を搭載する。キャリッジ40に搭載されたインクカートリッジ42,43は、ヘッドユニット41にインクを供給する液体供給部として機能する。インクカートリッジ42,43は共に、ブラック(K)のインクを収容する。なお、本実施例では、モノクロ印刷として黒インクの単色によって印刷を行うが、例えば、インクカートリッジ42,43が、例えば、セピア色や、赤、青、マゼンダ(M)、シアン(C)など一色のインクを収容し、マゼンダやシアンなどの単色の印刷を行うこととしてもよい。また、インクカートリッジ42にブラック(K)、インクカートリッジ43にライトブラック(LK)を収容する等、2つのインクカートリッジに同一色相のインクを収容するとしてもよい。
ヘッドユニット41は、印刷ヘッド50を備える。印刷ヘッド50は、ブラック(K)のインク吐出するノズルを複数備えている。印刷媒体Pへの印刷は、印刷ヘッド50,キャリッジ駆動部32,搬送部34の各部が、制御ユニット20の制御に基づいて協働することによって実現される。図2は、印刷装置10における印刷ヘッド50の構成を模式的に示す説明図である。印刷ヘッド50は、インク(本実施例ではブラック)を吐出する複数のノズルNZを副走査方向(つまり、紙送り方向)に並べたノズル列を複数備える。
本実施例では、印刷ヘッド50は、複数のノズルNZを副走査方向(すなわち、紙送方向)に配列したA列,B列,C列,D列の4つのノズル列を備える。これら4つのノズル列は、図2に示すように主走査方向に並列に配設されている。A列とB列とは主走査方向に40/360[inch]の間隔を隔てて配置されている。C列とD列も、同様に、主走査方向に40/360[inch]の間隔を隔てて配置されている。B列とC列とは、104/360[inch]の間隔を隔てて配置されている。
A列,B列,C列,D列の各ノズル列には、ノズルNZが副走査方向に128個ずつ配列されている。各ノズル列において、ノズルNZ同士の副走査方向の間隔(以下、「ノズルピッチ」とも呼ぶ)は1/120[inch]である。印刷ヘッド50におけるB列の位置は、A列のノズル列を基準として、副走査方向に1/360[inch]ずらした位置に配設される。印刷ヘッド50におけるC列の位置は、B列のノズル列を基準として、副走査方向に1/360[inch]ずらした位置に配設される。印刷ヘッド50におけるD列の位置は、C列のノズル列と副走査方向に同じ位置に配設されている。従って、印刷ヘッド50を主走査方向に走査し印刷を行うことによって、実質的に、ノズルピッチが1/360[inch]である構成の印刷ヘッドと同様の印刷を行うことができる。以降の説明において、C列とD列とは印刷上の所定の相関関係を有する。よってA列、B列と区別するため、C列とD列からなるノズル列をノズルユニット53と呼ぶ。また、それに対応して、A列とB列とからなるノズル列をノズルユニット52と呼ぶ。
次に、インクカートリッジ42,43から各ノズルNZへのインクを供給する仕組みについて、図3を用いて説明する。インクカートリッジ42は、A列のノズルNZとC列のノズルNZとに接続された流路(図示省略)を介してインクを供給する。インクカートリッジ43も同様に流路を介して、B列のノズルNZとD列のノズルNZにインクを供給する。すなわち、1つのカートリッジから、A列およびB列のいずれか1列と、C列とD列のいずれか1列にインクを供給する。したがって、本実施例によるインク供給の態様に限らず、例えば、インクカートリッジ42がB列のノズルNZとC列のノズルNZにインクを供給し、インクカートリッジ43がA列のノズルNZとD列のノズルNZにインクを供給する態様としてもよい。
(A2)印刷処理:
次に、印刷装置10が行う印刷処理について説明する。図4は、印刷装置10が行う印刷処理の流れを示したフローチャートである。印刷処理が開始されると、CPU21は、スキャナー部11や、カードスロット12、又は通信コネクター13を通じて画像データを取得する(ステップS102)。取得した画像データがRGB画像データである場合には、画像データをモノクロ画像データに変換する(ステップS104)。例えば、R,G,Bの各要素からなる色変換用の3次元ルックアップテーブルを用いてK(ブラック)の階調値に変換することによってモノクロ画像データに変換する。
次に、印刷装置10が行う印刷処理について説明する。図4は、印刷装置10が行う印刷処理の流れを示したフローチャートである。印刷処理が開始されると、CPU21は、スキャナー部11や、カードスロット12、又は通信コネクター13を通じて画像データを取得する(ステップS102)。取得した画像データがRGB画像データである場合には、画像データをモノクロ画像データに変換する(ステップS104)。例えば、R,G,Bの各要素からなる色変換用の3次元ルックアップテーブルを用いてK(ブラック)の階調値に変換することによってモノクロ画像データに変換する。
モノクロ画像データへの変換後、CPU21は、モノクロ画像データに対してハーフトーン処理を行う(ステップS106)。具体的には、ROM23が記憶するディザマスク232を用い、モノクロ画像データの各画素の階調値を2値のデータに変換する。すなわち、画像データの各画素に対して、ドットを形成するか否かを決定することにより、階調データをドットデータに変換する。本実施例では、ハーフトーン処理として周知の組織的ディザ法を用いる。なお、ハーフトーン処理としては、組織的ディザ法以外にも、誤差拡散法や濃度パターン法など、他のハーフトーン技術を利用することができる。これらハーフトーン技術は周知の技術であるので説明を省略する。
その後、CPU21は、ハーフトーン処理後の画像データに対して吐出ノズル決定処理を行って、ハーフトーン処理後のドットデータの各ドットに対して、どのノズルからインクを吐出して印刷媒体上にドット形成するかを決定する(ステップS108)。その後、吐出ノズル決定処理による決定結果に従って印刷ヘッド50が備える各ノズルNZから印刷媒体に対してインクを吐出して印刷を開始する(ステップS110)。
(A3)吐出ノズル決定処理
次に吐出ノズル決定処理(図4:ステップS108)について説明をする。吐出ノズル決定処理は、上述したように、ハーフトーン処理後のドットデータの各ドットに対して、どのノズルからインクを吐出して印刷媒体上にドット形成するかを決定する処理である。先に、吐出ノズル決定処理の流れについて説明し、その後、各処理の詳細を説明する。図5は、吐出ノズル決定処理の流れを示したフローチャートである。CPU21は、吐出ノズル決定処理を開始すると、フルオーバーラップ処理(以下、FOL処理とも呼ぶ)を行う(ステップS122)。FOL処理後、CPU21は、部分オーバーラップ処理(以下、POL処理とも呼ぶ)を行い(ステップS124)、その後、インク偏減り抑制処理(ステップS126)を行って吐出ノズル決定処理を終了する。以下、各処理の詳細について説明する。
次に吐出ノズル決定処理(図4:ステップS108)について説明をする。吐出ノズル決定処理は、上述したように、ハーフトーン処理後のドットデータの各ドットに対して、どのノズルからインクを吐出して印刷媒体上にドット形成するかを決定する処理である。先に、吐出ノズル決定処理の流れについて説明し、その後、各処理の詳細を説明する。図5は、吐出ノズル決定処理の流れを示したフローチャートである。CPU21は、吐出ノズル決定処理を開始すると、フルオーバーラップ処理(以下、FOL処理とも呼ぶ)を行う(ステップS122)。FOL処理後、CPU21は、部分オーバーラップ処理(以下、POL処理とも呼ぶ)を行い(ステップS124)、その後、インク偏減り抑制処理(ステップS126)を行って吐出ノズル決定処理を終了する。以下、各処理の詳細について説明する。
FOL処理(ステップS122)の詳細について説明する。図6は、FOL処理を説明するための印刷ヘッド50の表記方法を示す説明図である。FOL処理を説明する便宜上、図6(a)に示した印刷ヘッド50およびA列〜D列が備えるノズルNZを、図6(b)に示したように、アルファベットと添字とを用いて表記する。印刷ヘッド50の各枠内に記載した[A−1]や[B−1]の表記は、「A列の第1番目のノズル」、「B列の第1番目のノズル」を意味する。また、C列、D列については[C,D−1],[C,D−2]・・・、と言ったように、C列のノズルとD列のノズルを主走査方向に1組にまとめて表記する。図6(b)の印刷ヘッド50の各ノズルの間の空白の枠は、解像度720dpiの印刷処理について以下に説明するために、便宜上、設けたものである。また、実際は、各列128個のノズルが副走査方向に配列されているが、本説明においては、簡略化して、各列8個ずつのノズルが副走査方向に配列している態様で説明をする。
図7は、図6(b)で示した印刷ヘッド50を主走査方向および副走査方向に走査して、各ノズルNZからインクを吐出して、解像度を720dpiで印刷媒体Pに印刷を行う様子を示す説明図である。印刷ヘッド50は、副走査方向に、7/720[inch]と、11/720[inch]との送り量を交互に繰り返しながらに走査する。実際には、印刷媒体Pが副走査方向に移動しているが、説明の便宜上、印刷ヘッド50が印刷媒体Pに対して相対的に移動しているとして説明をする。また、図に示した「パス数」とは、印刷ヘッド50がノズルNZからインクを吐出しながら主走査方向に移動する回数を示す。シリアルプリンタの場合、印刷ヘッドの片方向の移動の際に印刷ヘッドからインクを吐出する片方向印刷と、印刷ヘッドの主走査方向の往動と復動との双方向でインクを吐出する双方向印刷とがあるが、片方向印刷の場合にはインクの吐出を伴う移動を1回のパスとし、双方向印刷の場合には、往動、復動の各々を1回のパスとする。本実施例における印刷装置10は双方向印刷によって印刷処理を行う。
図7の印刷媒体Pに示した各マス目には、その位置にドットが形成されるとした際、どのノズルから吐出されたインクによってドットが形成されるかを示している。本実施例では、印刷の方法として、印刷画像における1ラスターを、異なる複数のパスによって形成する印刷方法(以下、オーバーラップ印刷(FOL印刷)とも呼ぶ)を採用して印刷を行う。本実施例における印刷装置10では、原則として1つのラスターを、2回のパスにおける2つのノズルから吐出したインクによって形成する。例えば、印刷媒体PのラスターR1は、2パス目の[B−5]と4パス目の[B−2]の2つのノズルから吐出したインクによって形成されている。このように、本実施例におけるFOL処理は、1つのラスター内のドットを、2つのパスの2つのノズルに割り振る処理である。FOL処理における各ドットへのノズルの振り分けは、予め設計段階で決定している印刷ヘッドの副走査方向の相対的な送り量に基づいて、各ラスターを形成するための2回のパスと2つのノズルが算出できるため、その算出結果に基づいて、ハーフトーン処理後のドットデータの各ドットに対してFOL処理としてのノズルの振り分けを行う。
次に、POL処理の詳細について説明する。上述したように、印刷装置10は、原則としてラスターR1を2回のパスにおける2つのノズルから吐出したインクによって形成するFOL印刷を行うが、さらに印刷装置10では、図7に示した1パス目と5パス目の印刷ヘッド50の位置関係のように、印刷ヘッド50の先端部分に位置するノズル(以下、先頭部分ノズルとも呼ぶ)を用いてドットの形成をしたラスターには、その後のパスにおいて、印刷ヘッド50の後方部分に位置するノズル(以下、後方部分ノズルとも呼ぶ)を用いて、そのラスターにドットを形成する。つまり、印刷ヘッド50の先頭部分ノズルと後方部分ノズルとが副走査方向に重なる位置関係をとるように、印刷ヘッド50を印刷媒体Pに対して移動させる。このように、印刷ヘッド50の先頭部分と、後のパスにおける印刷ヘッドの後方部分とが部分的に副走査方向に重なるように印刷ヘッド50を移動させ、先のパスの印刷ヘッド50の先頭部分と、後のパスの印刷ヘッド50後方部分とでラスターを形成する印刷方法を、部分オーバーラップ印刷(以下、POL印刷)と呼ぶ。本実施例では、先頭部分ノズルを各ノズル列(A,B,C,D列)の第7番目と第8番目のノズルとし、後方部分ノズルを各ノズル列の第1番目と第2番目のノズルとする。
印刷装置10が行うPOL印刷は、FOL印刷に用いる2つのノズルのうちの1つが印刷ヘッド50の先頭部分ノズルであった場合に、その先頭部分ノズルが本来インクを吐出すべきドットのいくつかを、後のパスにおける後方部分ノズルによってインクを吐出することによってドットの形成を行う印刷方法である。具体的に説明すると、図7に示した印刷媒体PにおけるラスターR2は、1パス目の[B−7]、即ち先頭部分ノズルと、3パス目の[B−4]に加え、[B−7]に重なるように、5パス目において、後方部分ノズル[B−1]を用いてラスターR2を形成する。この場合、FOL印刷として用いるノズルは1パス目の[B―7]と3パス目の[B−4]である。そして、1パス目の[B−7]が本来形成するドットのいくつかを、5パス目の[B−1]によって形成するPOL印刷を行う。まとめると、FOL印刷のみによって形成されたラスターは2つのパスにおける2つのノズルによって形成され、FOL印刷に加えPOL印刷によって形成されるラスターは3つのパスにおける3つのノズルによって形成される。
上述の具体例で示したラスターR2のPOL印刷では、先頭部分ノズル[B−7]と後方部分ノズル[B−1]とは、略同じ数ずつドットを形成する。即ち、FOL印刷として本来、先頭部分ノズル[B−7]が形成するドットの数の略半分を後方部分ノズル[B−1]が形成する。本具体例では、このような構成としているが、POL印刷を伴う1ラスターにおいて、先頭部分ノズルで形成するドットの数と後方部分ノズルで形成するドットの数、およびその配置位置は、分散性や印刷画像の観察者からの目立ちにくさ等を考慮して、予め任意に設定することが可能であり、それらの設定情報を印刷装置10は、予めPOL用マスク236としてROM23に記憶している。
図8は、POL用マスク236を説明する説明図である。図8(a)は、図6に示した印刷媒体P、即ち、印刷媒体P上にドットを形成するとした際、どのノズルからインクを吐出してドットを形成するかを示した図である。また、図8(b)は、図8(a)に示したノズルのうち、POL印刷に関与するノズルのみを抽出した様子を示しており、これがPOL用マスク236に相当する。以下、詳細を説明する。
POL印刷では、先頭部分ノズルが先行パスとして先にドットを形成し、後方部分ノズルが後行パスとして後にドットを形成する。図8(b)のPOL用マスク236において、先行パスに対応するノズルを縦線ハッチングで示し、後行パスに対応するノズルを斜線ハッチングで示している。図8(b)で示したPOL用マスクは、説明を簡易にするために、先行パスと後パスとが主走査方向に交互に配置し周期性のある構成となっているが、後述する変形例1の図13に示したように、先行パスと後行パスとが人間の視覚で周期性が認識しにくくする構成を採用することもできる。
このように、印刷装置10はFOL印刷に加え、POL印刷を行って印刷処理を行うが、吐出ノズル決定処理として、まず、FOL処理として、ハーフトーン処理後のドットデータの各画素に対して、各ラスターを2つのノズルで2回のパスによってドットを形成するように、各画素を割り振る。その後、POL処理として、POL用マスク236によって、FOL処理として各画素に割り振られたノズルのうち、先頭部分ノズルに該当する画素の幾つかを、後方部分ノズルでドットを形成するように割り振りをする。
ドットデータに対してFOL処理およびPOL処理をした後、CPU21は、吐出ノズル決定処理として、インク偏減り抑制処理(図5:ステップS126)を行う。インク偏減り抑制処理とは、1回の印刷処理において、インクカートリッジ42とインクカートリッジ43の各インクカートリッジから供給するインク量を略均等にする処理である。この2つのインクカートリッジからのインク供給量を略均等にすることで、2つのインクカートリッジの一方のインクだけが偏って減少するのを抑制する。以下、複数のインクカートリッジのインクが偏って減少することを、単に「インクの偏減り」とも呼ぶ。
図8(b)から分かるように、POL用マスク236による処理は、[C,D]のノズルで形成するドットを、先行パスのノズルで形成するか、後行パスのノズルで形成するかを決定するにとどまり、C列に属するノズルによって形成されるのか、D列に属するノズルによって形成されるのかは決定していない。そこで、次にCPU21は、インクの偏減りを抑制することを条件とし、図8(a)のデータのC,D列のノズルによって形成されるドットを、C列、又はD列のどちらのノズルからインクを吐出してドットを形成するかを決定する。その際、C列のノズルによって形成されるドットと、D列のノズルによって形成されるドットの数を略等しくすることによって、インクカートリッジ42とインクカートリッジ43とから供給されるインク量を略等しくする。
前提として、ドットデータの各画素に対してA列のノズルとB列のノズルとよって形成されるドット数は略均等になるように、FOL処理の段階でドットの割り振りがなされている。本実施例の場合、図7に示した印刷媒体Pから分かるように、1つのラスターをA列のノズルのみ、またはB列のノズルのみで形成するように、ノズルの割り振りを行うことによって、それを実現している。即ち、1つのラスターをA列のノズルのみ、または、B列のノズルのみによって形成するとした場合には、その後にPOL処理を行ったとしても、そのラスターのドットは全てA列のノズルのみ、または、B列のノズルのみによって形成されることには変わりはない。従って、FOL処理によってA列のノズルによって形成するラスター数とB列のノズルによって形成するラスター数を略均等にして、A列、B列の各ノズルによって使用されるインク量を略均等とすることが可能である。勿論、FOL処理として、各ドットに対して他の方法によってノズルの割り振りを行って、A列、B列の各ノズルによって使用されるインク量を略均等とすることを実現してもよい。
上述のように、A列、B列の各ノズルによって使用されるインク量が略均等となるようにFOL処理によって制御しているので、インク偏減り抑制処理によって、C列、D列の各ノズルによって使用されるインク量を略均等とすることで、図3で説明したインクの供給の仕組みを考慮すると、1回の印刷処理においてインクカートリッジ42とインクカートリッジ43とで使用されるインク量は略均等となり、この2つのインクカートリッジにおけるインクの偏減りを抑制することができる。以下、インク偏減り抑制処理を詳しく説明する。
図9は、インク偏減り抑制処理を説明する説明図である。また、図10は、インク偏減り抑制処理に用いる偏減り抑制マスク238を示した説明図である。インク偏減り抑制処理を説明するにあたり、理解を容易にするため、図9に示したように、印刷ヘッド50をC列、D列のみで示した態様で表記する。また、図9には、図7で示した印刷ヘッド50がインクを吐出しながら印刷媒体Pに対して相対的に主走査,副走査方向に移動している様子を、C列、D列のみで表した印刷ヘッド50で8パス分まで示した。パスの1回目〜8回目まで示した印刷ヘッド50の、C,D列に対応するマス目内には〈1〉〜〈8〉までの番号が記載されている。この〈1〉〜〈8〉の番号は、図10に示した偏減り抑制マスク238のマスクパターン番号を示している。
偏減り抑制マスク238の用い方について具体例によって説明する。例えば、図7を参照すると、印刷媒体PのラスターR3は、2パス目の[C,D−6]のノズルと4パス目の[C,D−3]のノズルとによるFOL印刷のみによって交互にドットを形成する。即ち、POL印刷を伴わない。このようなFOL印刷のみを行うラスターにおける偏減り抑制マスク238の適用例として、ラスターR3の[C,D−6]と記載されたドットに対して、2パス目の[C,D−6]のノズルのうち、C列またはD列のどちらに属するノズルによってドットを形成するか決定する場合を考える。このとき、図9を参照すると、2パス目の[C,D−6]に対応するマス目には、偏減りマスクのマスクパターン番号として〈6〉が記載されている。よって図10の偏減り抑制マスク238の〈6〉を参照すると、紙面左から右に順に「D・D・C・D・C・D・C・C」と記載されている。従って、CPU21は、ラスターR3(図6参照)の[C,D−6]と記載されたドットに対して、マスクパターン番号〈6〉に記載された順に、D列・D列・C列・・・・・のノズルから順番にインクを吐出してドットを形成ように決定する。このように、偏減り抑制マスク238は、図9で示した各パスにおけるC列またはD列で形成するドットを、C列とD列のどちらのノズルで形成するかを決定するためのマスクである。
また、偏減り抑制マスク238は、その特徴として、マスク全体で、CとDとの数が均等であると言う性質を備える。従って、例えば、仮にPOL印刷を伴わずにFOL印刷のみによって印刷処理を行った場合には、図9の1パス〜4パスを参考にして分かるように、〈1〉〜〈8〉の各マスクパターンは、均等な頻度で適用されるため、1回の印刷処理におけるC列のノズルによって形成される平均的なドット形成数と、D列のノズルによって形成される平均的なドット形成数とが略均等になる。
次に、本実施例のように、FOL印刷に加え、POL印刷を伴う場合のインク偏減り抑制処理について説明する。例として、図7,図9に示したラスターR4によって説明をする。図11は、ラスターR4を形成するためのノズルだけを抽出した説明図である。ラスターR4は、2パス目の[C,D−7]のノズルと、4パス目の[C,D−4]のノズルとによってFOL印刷によって印刷を行う。また、2パス目の[C,D−7]のノズルが先頭部分ノズルに該当するため、FOL印刷として2パス目の[C,D−7]のノズルで形成するドットのいくつかを、後のパスの後方部分ノズルで形成するPOL印刷を行う。本実施例の場合は、後方部分ノズルとして、6パス目の[C,D−1]のノズルを用いる。まとめると、ラスターR4は、2パス目の[C,D−7]と、4パス目の[C,D−4]とでFOL印刷を行い、更に、2パス目の[C,D−7]と、6パス目の[C,D−1]とでPOL印刷を行う。
POL印刷を伴うインク偏減り抑制処理の場合、CPU21は、POL印刷に用いる2つのノズルには、その2つのノズルで1つのマスクパターン番号を適用する。よって本具体例の場合には、POL印刷に用いる2パス目の[C,D−7]と、6パス目の[C,D−1]とは、この2つのノズルで、1つのマスクパターン番号〈7〉を適用する。図12は、4パス目の[C,D−4]にマスクパターン番号〈4〉を適用し、POL印刷に用いる2パス目の[C,D−7]と6パス目の[C,D−1]にマスクパターン番号〈7〉を適用した場合の、ラスターR4のドットを形成するノズル列を示した図である。このように、POL印刷に用いる2つの[C,D]のノズルに対して1つのマスクパターン番号を適用することで、上述したFOL印刷のみで印刷処理を行う場合と同様に、1回の印刷処理において、C列のノズルによって形成するドット数と、D列のノズルによって形成するドット数とを略均等にすることができる。即ち、FOL印刷に加えPOL印刷を行う場合において、インクの偏減りを抑制することができる。
次に、各パスの、印刷ヘッド50の[C,D]のノズル(本実施例の場合は[C,D−1]〜[C,D−8])に、偏減り抑制マスク238のマスクパターン番号を割り振る方法について図9を用いて説明する。最初に、1パス目の[C,D−1]〜[C,D−8]のノズルにおいて、先頭側のノズルである[C,D−8]から後方の[C,D−1]にむけて、マスクパターン番号の大きい〈8〉から順に〈8〉、〈7〉、〈6〉・・・といったように番号を割り振る。次に、1パス目の[C,D]のノズルに対してPOL印刷用のノズルとして用いられるのは5パス目からであるので、5パス目以前、すなわち1パス目〜4パス目までは、各パスの各[C,D]のノズルに対して、1パス目と同様にマスクパターン番号を割り振る。5パス目の各[C,D]のノズルに割り振るマスクパターン番号は、以下のようにして割り振る。
まず、5パス目の印刷ヘッド50の先頭の[C,D]のノズル、即ち、[C,D−8]に割り振るマスクパターン番号(以下、先頭マスクパターン番号とも呼ぶ)を決定する。5パス目の先頭マスクパターン番号は、1パス目の[C,D]のノズルと5パス目の[C,D]のノズルとの重なる[C,D]のノズル数(以下、重なりノズル数とも呼ぶ)、即ち、1回のパスでPOL印刷用のノズルとして用いられる[C,D]のノズル数である「2」を、1パス目の先頭の[C,D]のノズルである[C,D−8]に割り振られたマスクパターン番号〈8〉から減算する。重なりノズル数は「2」であるので、8から2を減算し、5パス目の先頭マスクパターン番号は〈6〉となる。先頭マスクパターン番号が決定すると、5パス目の[C,D−8]に〈6〉を割り振り、後方のノズルにかけて順に、〈5〉、〈4〉・・・〈1〉、〈8〉、〈7〉とマスクパターン番号を割り振る。
次に、今度は5パス目を基準とし、5パス目のノズルに対してPOL印刷用のノズルとして用いられるのは9パス目からであるので、5パス目〜8パス目までは、各パスの各[C,D]のノズルに対して、5パス目と同様にマスクパターン番号を割り振る。このように、本実施例の場合は、4パスずつ(1パス〜4パス、5パス〜8パス、9パス〜12パス・・・・)を単位として、先述した先頭マスクパターン番号の算出方法に基づいて、各パスの各[C,D]のノズルにマスクパターン番号を割り振ると、1つのラスターにおいてPOL印刷に用いられる2つの[C,D]のノズルは、マスクパターン番号が同じになり、上述したように、POL印刷に用いられる2つの[C,D]のノズルで1つのマスクパターン番号を割り振ることができる。
本実施例では、説明の便宜上、1パス目の先頭マスクパターン番号を、マスクパターン番号の最大値である〈8〉を割り振るとして説明したが、〈1〉〜〈8〉のどの番号から開始しても、上記規則に従ってマスクパターン番号を割り振ることで、POL印刷に用いられる2つの[C,D]のノズルで1つのマスクパターン番号を割り振ることができる。
以上、CPU21が行うインク偏減り抑制処理の詳細について説明をした。まとめると、図4,図5に示したように、CPU21は、FOL処理として(図5:ステップS122)、ハーフトーン処理後のドットデータの各画素に対して、各ラスターを2つのノズルで2回のパスによってドットを形成するように、各画素を割り振る。その後、CPU21は、POL処理として(図5:ステップS124)、POL用マスク236を用い、FOL処理として各画素に割り振られたノズルのうち、先頭部分ノズルに該当する画素の幾つかを、後方部分ノズルでドットを形成するように割り振りをする。そして、CPU21は、インク偏減り抑制処理として(図5:ステップS126)、POL処理によって割り振られた[C,D]のドットに対して、C列のノズルによって形成される平均的なドット形成数と、D列のノズルによって形成される平均的なドット形成数とが略均等になるように、偏減り抑制マスク238を用いて、各ドットにCとDとを割り振る。
以上説明したように、印刷装置10は、印刷処理におけるノズル決定処理において、インク偏減り抑制処理を行っているので、インクカートリッジ42,43の2つのインクカートリッジのインクが偏減りすることを抑制することができる。また、その際、ハーフトーン処理後のドットデータの各画素のうち、[C,D]のノズルで形成すべきドットを、C列,D列いずれのノズル列のノズルによって形成すべきかは、予め記憶している偏減り抑制マスク238およびPOL用マスクを用いて決定するので、比較的容易に決定処理を行うことができる。
さらに、本実施例の印刷処理では、FOL印刷に加え、POL印刷も行っている。従って、印刷処理後の印刷画像において、先行パスによって形成されるドットの領域の境界が、後行パスによって形成されるドットの領域に重なり、各パス毎に形成されるドット領域の境界を目立たなくすることができる。
加えて、印刷ヘッド50の各ノズル列の配置(図2参照)により、各ノズル列のノズルピッチは1/120[inch]であるが、実質、ノズルピッチを1/360[inch]として扱うことができるため、解像度を360[dpi]や、本実施例で示した720[dpi]の印刷を高速に行うことができる。なお、特許請求の範囲との対応関係としては、吐出ノズル決定処理部27および印刷制御部28が特許請求の範囲に記載の制御部に相当する。
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(B1)変形例1:
上記実施例では、POL用マスク236として、図8(b)に示した先行パスと後行パスのパターンを採用したが、他のパターンを採用することもできる。例えば、図13(a)に示したような、先行パスと後行パスのパターンのPOL用マスクを採用するとしてもよい。図13(a)に示したPOL用マスクは、先行パスと後行パスとが人間の視覚で周期性が認識しにくくする構成としている。図13(b)は、図13(a)のPOL用マスクを適用後の、印刷媒体Pの各ドットを形成する各ノズル示した一例である。このようなPOL用マスクを採用することで、印刷画像において、先行パス、後行パスのパターンの周期性を印刷画像の観察者が認識しにくくすることができる。
上記実施例では、POL用マスク236として、図8(b)に示した先行パスと後行パスのパターンを採用したが、他のパターンを採用することもできる。例えば、図13(a)に示したような、先行パスと後行パスのパターンのPOL用マスクを採用するとしてもよい。図13(a)に示したPOL用マスクは、先行パスと後行パスとが人間の視覚で周期性が認識しにくくする構成としている。図13(b)は、図13(a)のPOL用マスクを適用後の、印刷媒体Pの各ドットを形成する各ノズル示した一例である。このようなPOL用マスクを採用することで、印刷画像において、先行パス、後行パスのパターンの周期性を印刷画像の観察者が認識しにくくすることができる。
(B2)変形例2:
上記実施例では図10で示した偏減り抑制マスク238を採用したが、例えば図14に示したような、他の偏減り抑制マスクを採用することもできる。図14に示した偏減り抑制マスクも、その特徴として、マスク全体でCとDの数は同じである。また、その他、CとDとが千鳥模様に配置された偏減り抑制マスクを採用してもよいし、CとDとの配置による空間周波数がブルーノイズ特性を有する偏減り抑制マスクを採用してもよい。ブルーノイズ特性を有する偏減り抑制マスクを採用することにより、人間の視覚特性上CとDの周期性が視認出来ないので、印刷画像としてC,Dの周期性を目立ちにくくすることができる。このような他の偏減り抑制マスクを適用しても、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
上記実施例では図10で示した偏減り抑制マスク238を採用したが、例えば図14に示したような、他の偏減り抑制マスクを採用することもできる。図14に示した偏減り抑制マスクも、その特徴として、マスク全体でCとDの数は同じである。また、その他、CとDとが千鳥模様に配置された偏減り抑制マスクを採用してもよいし、CとDとの配置による空間周波数がブルーノイズ特性を有する偏減り抑制マスクを採用してもよい。ブルーノイズ特性を有する偏減り抑制マスクを採用することにより、人間の視覚特性上CとDの周期性が視認出来ないので、印刷画像としてC,Dの周期性を目立ちにくくすることができる。このような他の偏減り抑制マスクを適用しても、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
(B3)変形例3:
上記実施例では、印刷ヘッド50はA列、B列のノズルを備えるとしたが、そのような態様にかかわらず、印刷ヘッド50はC列とD列のみを備えるとしてもよい。この場合の印刷処理の方法としては、上記実施例において、A列、B列のみによって形成するラスターが、当初から無いものと考えて吐出ドット形成処理を行うことで実現することができる。このようにしても、インクの偏減りを抑制することができる。
上記実施例では、印刷ヘッド50はA列、B列のノズルを備えるとしたが、そのような態様にかかわらず、印刷ヘッド50はC列とD列のみを備えるとしてもよい。この場合の印刷処理の方法としては、上記実施例において、A列、B列のみによって形成するラスターが、当初から無いものと考えて吐出ドット形成処理を行うことで実現することができる。このようにしても、インクの偏減りを抑制することができる。
(B4)変形例4:
上記実施例では、印刷ヘッド50およびインクの供給の仕組みを、図2,図3で示す態様としたが、それに限ることなく、他の印刷ヘッドの構成およびインク供給の仕組みを採用することができる。図15,図16,図17にその一例を示した。図15に示した態様1は、ノズルユニット52aはノズル列を4列備える。ノズルユニット52aの4列のノズル列のうち、2列分はインクカートリッジ42aからインクの供給を受け、残りの2列分はインクカートリッジ43aからインクの供給を受ける。すなわち、各インクカートリッジから各々、ノズル列2列分ずつインクの供給をうけている。一方、ノズルユニット53aはノズル列を2列備える。ノズルユニット53aの2列のノズル列のうち、1列はインクカートリッジ42aからインクの供給を受け、残りの1列はインクカートリッジ43aからインクの供給を受ける。
上記実施例では、印刷ヘッド50およびインクの供給の仕組みを、図2,図3で示す態様としたが、それに限ることなく、他の印刷ヘッドの構成およびインク供給の仕組みを採用することができる。図15,図16,図17にその一例を示した。図15に示した態様1は、ノズルユニット52aはノズル列を4列備える。ノズルユニット52aの4列のノズル列のうち、2列分はインクカートリッジ42aからインクの供給を受け、残りの2列分はインクカートリッジ43aからインクの供給を受ける。すなわち、各インクカートリッジから各々、ノズル列2列分ずつインクの供給をうけている。一方、ノズルユニット53aはノズル列を2列備える。ノズルユニット53aの2列のノズル列のうち、1列はインクカートリッジ42aからインクの供給を受け、残りの1列はインクカートリッジ43aからインクの供給を受ける。
このような態様1の印刷ヘッド50aを用いた印刷処理は、上記のA列のみ、B列のみの各ラスターを、A列、B列、C列、D列の各列のノズルのみで形成するラスターに拡張することで実現可能である。このような態様とすることで、上記実施例の効果に加え、さらに印刷処理の高速化が可能となる。
また、図16には、他の印刷ヘッドの構成およびインク供給の仕組みとして態様2を示した。図16から分かるように、ノズルユニット52bは、各インクカートリッジ42b,43b,44bの各々から、ノズル列1列分のインクの供給を受けている。ノズルユニット53bも、ノズルユニット52bと同様に、各インクカートリッジ42b,43b,44bの各々から、ノズル列1列分のインクの供給を受けている。
このような態様2の印刷ヘッド50bを用いた印刷処理は、上記のA列のみ、B列のみの各ラスターを、A列、B列、C列の各列のノズルのみで形成するラスターに拡張し、上記実施例におけるC列、D列におけるPOL印刷およびインク偏減り抑制処理をD列、E列、F列に拡張することで実現可能である。このような態様とすることで、態様1と同様に、さらに印刷処理の高速化が可能となる。
図17には、さらに他の印刷ヘッドの構成およびインク供給の仕組みとして態様3を示した。図17から分かるように、ノズルユニット52c、即ち、A列のノズル列はインクカートリッジ42cからインクの供給を受けている。ノズルユニット53cのB列、C列の各ノズル列は、各々インクカートリッジ43cからインクの供給を受けている。
このような態様3の印刷ヘッド50cを用いた印刷処理は、例えば、2種類のラスターを交互に印刷することによりインクの偏減りを抑制することができる。具体的には、A列のノズルからのドットのみで形成するラスターと、B列のノズルからのドット数とC列のノズルからのドット数とが略等しいラスターとを交互に形成して印刷を行う。このようにすることで、インクの偏減りの抑制が可能である。
(B5)変形例5:
上記実施例においては、C列とD列とは、ドットを形成する際に、排他的かつ互換性を持って印刷処理を行ったが、それに限らず、同じ画素位置にC列、D列のノズルからインクを吐出してインクドットを形成するとしてもよい。例えば、C列とD列の両方から同じ画素位置に数回ずつインクを吐出して、形成するインクドットの大きさを制御しながら印刷処理を行うとしてもよい。
上記実施例においては、C列とD列とは、ドットを形成する際に、排他的かつ互換性を持って印刷処理を行ったが、それに限らず、同じ画素位置にC列、D列のノズルからインクを吐出してインクドットを形成するとしてもよい。例えば、C列とD列の両方から同じ画素位置に数回ずつインクを吐出して、形成するインクドットの大きさを制御しながら印刷処理を行うとしてもよい。
(B6)変形例6:
上記実施例においてソフトウェアで実現されている機能の一部をハードウェアで実現してもよく、あるいは、ハードウェアで実現されている機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、ソフトウェアで実現されている機能の一部を、印刷装置10と接続される外部機器(例えば、コンピューター)が備えるとしてもよい。また、上記実施例では、印刷装置10はスキャナーやコピーなどを備える複合機として説明したが、それに限ることなく、印刷装置10を印刷処理専用の印刷装置としてもよい。この場合、印刷装置10と外部接続したコンピューターから画像データを取得することで印刷処理が可能となる。さらに、印刷装置10はモノクロ印刷専用の印刷装置としてブラックのインクのみを備えるとしたが、別途、カラーインクも備え、カラー印刷も可能であるとしてもよい。
上記実施例においてソフトウェアで実現されている機能の一部をハードウェアで実現してもよく、あるいは、ハードウェアで実現されている機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、ソフトウェアで実現されている機能の一部を、印刷装置10と接続される外部機器(例えば、コンピューター)が備えるとしてもよい。また、上記実施例では、印刷装置10はスキャナーやコピーなどを備える複合機として説明したが、それに限ることなく、印刷装置10を印刷処理専用の印刷装置としてもよい。この場合、印刷装置10と外部接続したコンピューターから画像データを取得することで印刷処理が可能となる。さらに、印刷装置10はモノクロ印刷専用の印刷装置としてブラックのインクのみを備えるとしたが、別途、カラーインクも備え、カラー印刷も可能であるとしてもよい。
10…印刷装置
11…スキャナー部
12…カードスロット
13…通信コネクター
14…ディスプレイ
15…操作パネル
20…制御ユニット
21…CPU
22…RAM
23…ROM
24…画像データ取得部
25…モノクロ変換部
26…ハーフトーン処理部
27…吐出ノズル決定処理部
28…印刷制御部
30…印刷機構部
32…キャリッジ駆動部
34…搬送部
40…キャリッジ
41…ヘッドユニット
42,42a〜42c,43,43a〜43c,44b…インクカートリッジ
50…印刷ヘッド
52,52a〜52c,53,53a〜53c…ノズル列ユニット
232…ディザマスク
236…POL用マスク
238…偏減り抑制マスク
P…印刷媒体
NZ…ノズル
R1〜R4…ラスター
11…スキャナー部
12…カードスロット
13…通信コネクター
14…ディスプレイ
15…操作パネル
20…制御ユニット
21…CPU
22…RAM
23…ROM
24…画像データ取得部
25…モノクロ変換部
26…ハーフトーン処理部
27…吐出ノズル決定処理部
28…印刷制御部
30…印刷機構部
32…キャリッジ駆動部
34…搬送部
40…キャリッジ
41…ヘッドユニット
42,42a〜42c,43,43a〜43c,44b…インクカートリッジ
50…印刷ヘッド
52,52a〜52c,53,53a〜53c…ノズル列ユニット
232…ディザマスク
236…POL用マスク
238…偏減り抑制マスク
P…印刷媒体
NZ…ノズル
R1〜R4…ラスター
Claims (4)
- 同一色のインクを収容するL個(Lは2以上の整数)のインクカートリッジからインクの供給を受けて印刷を行う印刷装置であって、
前記インクを吐出する複数のノズルを所定方向に配列したノズル列を該方向とは交差する方向に離間してM列(MはL以上の整数)備えるノズル列群を有し、前記ノズル列の離間方向を主走査方向、および前記ノズルの配列方向を副走査方向として、印刷媒体に対して相対的に両走査方向に移動する印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドの前記走査と前記ノズルからのインクの吐出とを制御する制御部と
を備え、
前記ノズル列群は、前記各インクカートリッジから個別に前記インクの供給を受けるノズル列の組み合わせとして構成されると共に、前記各ノズル列の少なくとも一部のノズルは前記ノズル列群内で前記副走査方向に同じ位置に配列されており、
前記制御部は、所定の印刷画像を構成するラスターの少なくとも一つのラスターの一部を、前記印刷ヘッドの第1の主走査と、その後に少なくとも1回の副走査を経た後の第2の主走査とにおいて、前記ノズル列群のノズルが吐出したインクドットによって形成するよう前記制御を行うとともに、前記印刷において消費するインク量が各インクカートリッジ間で略均等となるように前記制御を行う
印刷装置。 - 請求項1記載の印刷装置であって、
前記ノズル列群を第1のノズル列群とし、
前記印刷ヘッドは、さらに、
配列された各ノズルの前記副走査方向の位置が前記第1のノズル列群の各ノズルの位置とは異なるノズル列群であって、前記インクを吐出する複数のノズルを前記副走査方向に配列したノズル列を前記主走査方向に離間してN列(Nは1以上の整数)備えるとともに、該N列のノズル列は各々1つの前記インクカートリッジからインクの供給を受ける第2のノズル列群を備える
印刷装置。 - 請求項2記載の印刷装置であって、
第1,第2のノズル列群が備える各ノズルは、前記副走査方向のノズルピッチが等しく、
前記第1のノズル列群のノズル列、前記第2のノズル列群の各々のノズル列は、各ノズルの副走査方向の配列位置が互いに前記ノズルピッチの1/(N+1)ずつずれて異なる位置に配置されている
印刷装置。 - 請求項2または請求項3に記載の印刷装置であって、
Lの値が2、Mの値が2、Nの値が2である印刷装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016527107A (ja) * | 2013-07-25 | 2016-09-08 | メムジェット テクノロジー リミテッド | インクジェット印刷方法及びノズル水和を維持する方法 |
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-
2011
- 2011-03-01 JP JP2011043548A patent/JP2012179776A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20140513 |