JP2012178234A - 電池システム、車両、及び、リチウムイオン二次電池の充電方法 - Google Patents

電池システム、車両、及び、リチウムイオン二次電池の充電方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池を良好な特性で使い続けることができる(耐久性を良好にすることができる)電池システム等を提供すること。
【解決手段】電池システム200は、通常型充電を充電回路240に行わせる通常型充電手段と、反析出性向上型充電を充電回路240に行わせる反析出性向上型充電手段と、積算時間Hsを算出する時間積算手段と、処理開始条件を満たさないときに、通常型充電手段に通常型充電を行わせる一方、処理開始条件を満たしたときに、積算時間Hsが所定時間Haを越えるまで、反析出性向上型充電手段に反析出性向上型充電を行わせる切替手段とを有する充電制御装置220を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池(以下、単に電池とも言う)と、この電池を充電する充電回路と、この充電回路による電池の充電を制御する充電制御装置とを備える電池システムに関する。また、この電池システムを搭載した車両に関する。また、リチウムイオン二次電池を充電する電池の充電方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、満充電(SOC100%)にした状態で長期間放置すると、電池容量が低下(容量劣化)し易いことが知られている。このため、電池の耐久性を十分に確保するために、通常使用時の充電範囲(通常使用充電範囲)の上限を満充電よりも低く設定し、この通常使用充電範囲内に制限して、電池を充電する方法を採用することがある。
また、下記の特許文献1に開示されているように、電池への充電量を曜日に応じて制御することにより、電池の耐久性を確保する方法もある(特許文献1の特許請求の範囲を参照)。
また、特許文献2には、リチウムイオン二次電池と鉛蓄電池の2種類の電池を搭載する車両において、リチウムイオン二次電池が深い充電深度(高いSOC)で放置される状態となったときに、リチウムイオン二次電池から鉛蓄電池へ放電を行って、リチウムイオン二次電池の劣化を抑制することが記載されている。
特開平10−51968号公報 特開2008−148389号公報
リチウムイオン二次電池は、前述のように、満充電など高い充電状態(深い充電深度,高いSOC)に長期間維持したことによって電池容量が低下するが、金属リチウムが負極板に析出することによっても、電池容量が低下する。即ち、リチウムイオン二次電池は、電池の使用(充放電)に伴って、徐々に金属リチウムが負極板に析出するので、これに起因した電池容量の低下も生じる。特に、電池が低温の状態にあるときに大電流で充電すると、金属リチウムが特に析出し易い。ハイブリッド自動車や電気自動車などの車両では、回生ブレーキによる充電が低温下で行われる場合があるので、車載用の電池では、特に金属リチウムが析出し易い。また、金属リチウムが多量に析出すると、負極板に析出した金属リチウムがセパレータを貫通して正極板にまで達し、内部短絡を生じるおそれもあるので、金属リチウムの析出はできる限り抑制したい。
しかるに、前述の特許文献1,2の充電方法では、電池を満充電など高い充電状態(高SOC)に長期間維持したことに起因する電池容量の低下を抑制できても、金属リチウムの析出に起因する電池容量の低下は抑制できない。このため、結局、電池を十分な電池容量で長期にわたり使用できない。特に、ハイブリッド自動車や電気自動車などに搭載される電池は、例えば10年以上の長期間にわたる使用が見込まれるため、電池容量を長期にわたって確保することが望まれている。また、特許文献1,2の充電方法は、電池の安全性の観点からも好ましくない。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、電池を高い充電状態(高SOC)に長期間維持したこと、及び、金属リチウムが負極板に析出したことのいずれの原因による電池容量の低下をも抑制して、電池を長期にわたり高い電池容量で使用できると共に、安全性の良好な電池として使用できる電池システム、及び、この電池システムを搭載した車両を提供することを目的とする。また、電池を高い充電状態(高SOC)に長期間維持したこと、及び、金属リチウムが負極板に析出したことのいずれの原因による電池容量の低下をも抑制して、電池を長期にわたり高い電池容量で使用できると共に、安全性の良好な電池として使用できる電池の充電方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の一態様は、リチウムイオン二次電池と、前記リチウムイオン二次電池を充電する充電回路と、前記充電回路による前記リチウムイオン二次電池の充電を制御する充電制御装置と、を備える電池システムであって、前記充電制御装置は、満充電よりも上限が低く設定された通常使用充電範囲内で、前記リチウムイオン二次電池を充電する通常型充電を前記充電回路に行わせる通常型充電手段と、前記リチウムイオン二次電池を充電し、これを前記通常使用充電範囲の上限を超える高い充電状態に維持して、前記リチウムイオン二次電池について金属リチウムの析出し難さである反リチウム析出性を向上させる反析出性向上型充電を前記充電回路に行わせる反析出性向上型充電手段と、前記リチウムイオン二次電池が前記通常使用充電範囲の上限を越える高い充電状態に維持された時間を積算した積算時間を算出する時間積算手段と、処理開始条件を満たさないときに、前記通常型充電手段に前記通常型充電を行わせる一方、前記処理開始条件を満たしたときに、前記積算時間が所定時間を越えるまで、前記反析出性向上型充電手段に前記反析出性向上型充電を行わせる切替手段と、を有する電池システムである。
この電池システムでは、処理開始条件を満たさないときには、充電制御装置の通常型充電手段が充電回路に通常型充電を行わせる。即ち、満充電(SOC100%)よりも上限が低く設定された通常使用充電範囲(例えば、SOC20%〜SOC80%の範囲)内で、電池を充電する。このように通常使用充電範囲内で電池を充電することで、電池を満充電(SOC100%)など通常使用充電範囲の上限(例えばSOC80%)を越える高い充電状態(高SOC)に長期間維持したことに起因する電池容量の低下を抑制できる。
一方、処理開始条件を満たすときには、積算時間が所定時間を越えるまで、充電制御装置の反析出性向上型充電手段が充電回路に反析出性向上型充電を行わせる(以下、この処理を「反析出性向上処理」とも言う)。即ち、積算時間が所定時間を越えるまで、電池を充電し、これを通常使用充電範囲の上限(例えばSOC80%)を越える高い充電状態(例えばSOC100%)に維持して、電池の反リチウム析出性(金属リチウムの析出し難さ)を向上させる反析出性向上処理を行う。これにより、負極板への金属リチウムの析出に起因する電池容量の低下を抑制すると共に、金属リチウムの析出に起因する不具合を適切に防止できる。
かくして、この電池システムでは、電池を高い充電状態(高SOC)に長期間維持したこと、及び、金属リチウムが負極板に析出したことのいずれの原因による電池容量の低下をも抑制して、電池を長期にわたり高い電池容量で使用できると共に、安全性の良好な電池として使用できる。
更に、上記の電池システムであって、前記反析出性向上型充電は、前記リチウムイオン二次電池をSOC80%を越える充電状態に維持する電池システムとすると良い。
電池の反リチウム析出性は、反析出性向上処理時に電池をより高い充電状態(高いSOC)に維持するほど向上させることができる。特に、電池をSOC80%を越える高いSOCに維持することで、反リチウム析出性を確実に向上させることができる。
これに対し、この電池システムでは、反析出性向上型充電において、電池をSOC80%を越える高い充電状態に維持する。従って、電池の反リチウム析出性を確実に向上させることができる。
なお、本明細書では、電池が満充電とされた状態をSOC100%、電池が完全放電された状態をSOC0%として、各SOCの値を算出するものとする。
更に、上記のいずれかに記載の電池システムであって、前記所定時間は、240時間以上1440時間以下の値である電池システムとすると良い。
電池の反リチウム析出性は、反析出性向上処理において電池を通常使用充電範囲の上限を越える高い充電状態(高SOC)に維持する時間(積算時間)を長くするほど向上させることができる。特に、積算時間を240時間以上とすることで、反リチウム析出性を十分に向上させることができる。
但し、積算時間が長くなるほど、反リチウム析出性の単位時間当たりの向上量が徐々に小さくなり、反リチウム析出性の向上が限界に近づく。具体的には、積算時間が1440時間程度になると、反リチウム析出性の向上はほぼ飽和する。逆に、積算時間を長くし過ぎると、電池を高い充電状態(高SOC)に長期間維持したことに起因する電池容量の低下が生じ得るので、この点からも、積算時間は1440時間以下とするのが好ましい。
これに対し、この電池システムでは、前述の所定時間を240時間以上1440時間以下の値としているので、電池の反リチウム析出性を十分に向上させることができる。しかも、電池を高い充電状態(高SOC)に長期間維持したことに起因する電池容量の低下を抑制できる。
更に、上記のいずれかに記載の電池システムであって、前記電池システムは、車両に搭載されると共に、前記車両外部の外部電源に接続して充電する外部充電が可能とされてなる車載用電池システムであり、前記充電回路は、前記外部電源により前記通常型充電及び前記反析出性向上型充電を行う電池システムとすると良い。
前述のように、電池システムは、電池を高い充電状態(高SOC)に長期間維持したこと、及び、金属リチウムが負極板に析出したことのいずれの原因による電池容量の低下をも抑制して、電池を長期にわたり高い電池容量で使用できると共に、安全性の良好な電池として使用できる。従って、これを車載用電池システムとして車両に搭載することで、車両の耐久性及び安全性をより良好にすることができる。
また、他の態様は、上記のいずれかに記載の電池システムを搭載した車両である。
前述のように、電池システムは、電池を高い充電状態(高SOC)に長期間維持したこと、及び、金属リチウムが負極板に析出したことのいずれの原因による電池容量の低下をも抑制して、電池を長期にわたり高い電池容量で使用できると共に、安全性の良好な電池として使用できる。従って、これを搭載した車両自身も、耐久性及び安全性が良好なものとなる。
また、他の態様は、リチウムイオン二次電池を充電する充電方法であって、満充電よりも上限が低く設定された通常使用充電範囲内で、前記リチウムイオン二次電池を充電する通常型充電を行う通常型充電ステップと、前記リチウムイオン二次電池を充電し、これを前記通常使用充電範囲の上限を越える高い充電状態に維持して、前記リチウムイオン二次電池について金属リチウムの析出し難さである反リチウム析出性を向上させる反析出性向上型充電を行う反析出性向上型充電ステップと、前記リチウムイオン二次電池が前記通常使用充電範囲の上限を越える高い充電状態に維持された時間を積算した積算時間を算出する時間積算ステップと、処理開始条件を満たさないときに、前記通常型充電ステップにより前記通常型充電を行わせる一方、前記処理開始条件を満たしたときに、前記積算時間が所定時間を越えるまで、前記反析出性向上型充電ステップにより前記反析出性向上型充電を行わせる切替ステップと、を備えるリチウムイオン二次電池の充電方法である。
この電池の充電方法では、処理開始条件を満たさないときには、通常型充電ステップにより通常型充電を行う。即ち、満充電(SOC100%)よりも上限が低く設定された通常使用充電範囲(例えば、SOC20%〜SOC80%の範囲)内で、電池を充電する。このように通常使用充電範囲内で電池を充電することで、電池を満充電(SOC100%)など通常使用充電範囲の上限(例えばSOC80%)を越える高い充電状態(高SOC)に長期間維持したことに起因する電池容量の低下を抑制できる。
一方、処理開始条件を満たすときには、積算時間が所定時間を越えるまで、反析出性向上型充電ステップにより反析出性向上型充電を行う。即ち、積算時間が所定時間を越えるまで、電池を充電し、これを通常使用充電範囲の上限(例えばSOC80%)を越える高い充電状態(例えばSOC100%)に維持して、電池の反リチウム析出性を向上させる。これにより、負極板への金属リチウムの析出に起因する電池容量の低下を抑制すると共に、金属リチウムの析出に起因する不具合を適切に防止できる。
かくして、この電池の充電方法では、電池を高い充電状態(高SOC)に長期間維持したこと、及び、金属リチウムが負極板に析出したことのいずれの原因による電池容量の低下をも抑制して、電池を長期にわたり高い電池容量で使用できると共に、安全性の良好な電池として使用できる。
更に、上記のリチウムイオン二次電池の充電方法であって、前記反析出性向上型充電は、前記リチウムイオン二次電池をSOC80%を越える充電状態に維持するリチウムイオン二次電池の充電方法とすると良い。
前述したように、電池の反リチウム析出性は、反析出性向上処理時に電池をより高い充電状態(高いSOC)に、特にSOC80%を越える高いSOCに維持することで、確実に向上させることができる。
これに対し、この電池の充電方法では、反析出性向上型充電において、電池をSOC80%を越える高い充電状態に維持する。従って、電池の反リチウム析出性を確実に向上させることができる。
更に、上記のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池の充電方法であって、前記所定時間は、240時間以上1440時間以下の値であるリチウムイオン二次電池の充電方法とすると良い。
前述したように、電池の反リチウム析出性は、積算時間を240時間以上とすることで、十分に向上させることができる。但し、積算時間が1440時間程度になると、反リチウム析出性の向上はほぼ飽和する。逆に、積算時間を長くし過ぎると、電池を高い充電状態(高いSOC)に長期間維持したことに起因する電池容量の低下が生じ得るので、この点からも、積算時間は1440時間以下とするのが好ましい。
これに対し、この電池の充電方法では、前述の所定時間を240時間以上1440時間以下の値としているので、電池の反リチウム析出性を十分に向上させることができる。しかも、電池を高い充電状態(高いSOC)に長期間維持したことに起因する電池容量の低下を抑制できる。
実施形態に係り、電池システムを搭載したプラグインハイブリッド自動車の概略を示す説明図である。 実施形態に係り、リチウムイオン二次電池の縦断面図である。 実施形態に係り、電極体を示す斜視図である。 SOC100%に維持したリチウムイオン二次電池について、維持日数とその後に行った充放電サイクル試験で生じた電池容量の容量低下率との関係を示すグラフである。 30日間各々のSOCに維持したリチウムイオン二次電池について、SOCの値とその後に行った充放電サイクル試験で生じた電池容量の容量低下率との関係を示すグラフである。 30日間SOC100%に維持した後に、SOC30%に維持したリチウムイオン二次電池について、経過日数とその後に行った充放電サイクル試験で生じた電池容量の容量低下率との関係と示すグラフである。 SOC100%またはSOC80%に維持したリチウムイオン二次電池について、維持日数とその後に行った充放電サイクル試験で生じた電池容量の容量低下率との関係を示すグラフである。 SOC100%に連続して維持し続けたリチウムイオン二次電池と、SOC100%の状態を分割して維持したリチウムイオン二次電池について、通算の維持日数とその後に行った充放電サイクル試験で生じた電池容量の容量低下率との関係を示すグラフである。 実施形態に係り、電池システムによる外部充電の制御内容を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1に、本実施形態に係る電池システム200を搭載したプラグインハイブリッド自動車(車両)300(以下、単に自動車300とも言う)を示す。この自動車300は、その車体310に、エンジン320と、フロントモータ330及びリアモータ340と、電池システム200とを搭載する。この自動車300は、電池システム200により、外部電源XVから後述する組電池210(リチウムイオン二次電池100)へ充電でき、また、組電池210(リチウムイオン二次電池100)に蓄えられた電気エネルギを用いて、フロントモータ330及びリアモータ340を駆動できるように構成されている。
このうち、電池システム200は、組電池210と、ECU220と、インバータ230と、AC−DCコンバータ(充電回路)240と、これらを接続するケーブル250と、外部電源XVとの接続に用いるプラグ付きケーブル260とを有する。
組電池210は、その内部に複数のリチウムイオン二次電池100,100,…を有する。
ECU220は、CPU、ROM、RAM、入出力回路等から構成されるマイクロコンピュータであり、所定のプラグラムにより駆動される。このECU220は、後述するように、AC−DCコンバータ240による組電池210(電池100)の外部充電(プラグイン充電)を制御することができ、前述の「充電制御装置」に相当する。
インバータ230は、組電池210(電池100)に蓄えた電気エネルギにより、フロントモータ330及びリアモータ340を駆動する回路である。これらフロントモータ330及びリアモータ340を駆動することで、自動車300を走行させることができる。一方、自動車300の減速時には、これらフロントモータ330及びリアモータ340は発電機として機能し、自動車300の運動エネルギを電気エネルギに変換する。この回生した電気エネルギは、インバータ230により組電池210(電池100)に充電される。
また、AC−DCコンバータ240は、車両外部の外部電源XVに接続して組電池210(電池100)を外部充電する回路である。
次に、組電池210を構成するリチウムイオン二次電池100について説明する。この電池100は、角型電池であり、角型の電池ケース110、この電池ケース110内に収容された捲回型の電極体120、電池ケース110に支持された正極端子150及び負極端子160等から構成されている(図2及び図3参照)。また、電池ケース110内には、非水電解液117が保持されている。
このうち、電極体120は、帯状の正極板121と帯状の負極板131とを通気性を有する帯状のセパレータ141を介して互いに重ねて軸線AX周りに捲回し、扁平状に圧縮したものである。
正極板121は、芯材として、帯状のアルミニウム箔からなる正極集電板122を有する。この正極集電板122の両主面のうち、幅方向の一部でかつ長手方向に延びる領域上には、それぞれ図示しない正極活物質層が長手方向に帯状に設けられている。この正極活物質層は、正極活物質、導電助剤及び結着剤から構成されている。
また、負極板131は、芯材として、帯状の銅箔からなる負極集電板132を有する。この負極集電板132の両主面のうち、幅方向の一部でかつ長手方向に延びる領域上には、それぞれ図示しない負極活物質層が長手方向に帯状に設けられている。この負極活物質層は、負極活物質、結着剤及び増粘剤から構成されている。
また、セパレータ141は、樹脂からなる多孔質膜であり、帯状をなす。
ここで、この電池100について行った種々の試験結果について説明する。
(反リチウム析出性試験1)
まず、同じ電池100を複数(6個)用意し、それぞれ満充電(SOC100%)に充電した。その後、これらの電池100を所定日数、満充電(SOC100%)に維持した。即ち、各電池100をそれぞれ異なる日数、具体的には、0日、1日、5日、10日、30日、60日維持した。
その後、各電池100について、低温でのハイレート充電を伴う充放電サイクル試験を行った。具体的には、電池100を−15℃の環境下に置いて、SOC60%まで放電させた。次に、電流値30C(150A)の定電流で0.1秒間、低温ハイレート充電をした後、電流値0.3C(1.5A)の定電流で10秒間放電させ、その後、29.9秒間休止した。この充放電(40sec)を1サイクルとして、これを10000サイクル繰り返した。この充放電サイクル試験は、低温にて大きな(ハイレートの)電流値で充電を行っているので、充電時に電池100の負極板131に金属リチウムが析出し易い。従って、電池100における金属リチウムの析出し難さ(反リチウム析出性)を評価するのに好適な試験である。
次に、充放電サイクル試験後の各電池100について電池容量を測定し、充放電サイクル試験前に予め測定しておいた電池容量に対する容量低下率(%)を算出した。その結果を図4に示す。
図4のグラフより、電池100を満充電(SOC100%)に維持する維持日数を長くするほど、充放電サイクル試験で生じる容量低下の容量低下率を小さくできることが判る。即ち、SOC100%に維持する日数を長くするほど、電池100の反リチウム析出性を向上させ得ることが判る。特に、維持日数(維持時間)を10日(240時間)以上とすると、より好ましくは、30日(720時間)以上とすると、反リチウム析出性を十分大きく向上させ得ることが判る。
一方、電池100をSOC100%に維持する維持日数が長くなるほど、単位時間当たりの容量低下率の減少量が徐々に小さくなり、維持日数60日で容量低下率の減少が殆どなくなり、これ以上減少し難くなる。即ち、電池100をSOC100%に維持する日数が長くなるほど、反リチウム析出性の向上量が徐々に小さくなり、維持日数60日で反リチウム析出性の向上はほぼ飽和する。従って、維持日数(維持時間)を60日(1440時間)以下とすることで、電池100の反リチウム析出性を効率よく向上させ得ることが判る。
(反リチウム析出性試験2)
また別途、電池100を複数(5個)用意し、所定のSOCとなるまで充電した。即ち、各電池100をそれぞれ異なる充電状態(異なるSOC)、具体的には、SOC0%、SOC30%、SOC60%、SOC80%、SOC100%とした。その後、これらの電池100について各充電状態(各SOC)を30日間維持した。次に、各電池100について、前述の充放電サイクル試験を行い、その前後の容量低下率(%)を算出した。その結果を図5に示す。
図5のグラフより、少なくとも、電池100をSOC60%以上に維持することで、充放電サイクル試験で生じる容量低下の容量低下率を小さくできることが判る。即ち、電池100をSOC60%以上に維持することで、電池100の反リチウム析出性を向上させ得ることが判る。特に、SOC80%以上、より好ましくは、SOC100%に電池100を維持すると、反リチウム析出性を大きく向上させ得ることが判る。
(反リチウム析出性試験3)
また別途、電池100を複数(3個)用意し、それぞれ満充電(SOC100%)に充電した。その後、これらの電池100を30日間SOC100%に維持した。更にその後、これらの電池100をSOC30%まで放電させ、この状態を所定日数維持した。即ち、各電池100をそれぞれ異なる日数、具体的には、0日、15日、30日維持した。次に、各電池100について、SOC60%に充電した後、前述の充放電サイクル試験を行い、その前後の容量低下率(%)を算出した。その結果を図6に示す。
図6のグラフより、電池100を30日間満充電(SOC100%)に維持した場合には、その後に30日間SOC30%に維持したとしても、SOC30%に維持しない場合(経過日数が0日)に比して、充放電サイクル試験の前後の容量低下率が10.4%から10.9%に僅かに(0.5%)上昇する程度である。
反リチウム析出性試験1で示したように(図4参照)、電池100を30日間SOC100%に維持すると、SOC100%に維持しない場合(維持日数0日)に比して、容量低下率が14.5%から10.4%に4.1%改善される。これに対し、その後に電池100を30日間SOC30%に維持した後でも、4.1−0.5=3.6%程度、電池100の反リチウム析出性が向上した状態を保つことができることが判る。このことから、電池100をSOC100%に維持することにより一旦獲得した反リチウム析出性は、その後、長期間にわたり保ち得ることが判る。
(反リチウム析出性試験4)
また別途、電池100を複数(10個)用意し、そのうち5個の電池100を満充電(SOC100%)に、残り5個の電池100をSOC80%にそれぞれ充電した。その後、これらの電池100を所定日数その充電状態(そのSOC)に維持した。具体的には、各電池100のSOCを0日、15日、30日、45日、60日維持した。次に、各電池100について、前述の充放電サイクル試験を行い、その前後の容量低下率(%)を算出した。その結果を図7に示す。
図7のグラフより、電池100を満充電(SOC100%)に維持した場合、及び、SOC80%に維持した場合のいずれでも、維持日数を長くするほど、充放電サイクル試験の前後の容量低下率を小さくできる(電池100の反リチウム析出性を向上させることができる)ことが判る。また、図7より、電池100をSOC80%に維持した場合に比べ、SOC100%に維持した場合に、電池100の反リチウム析出性を更に向上させ得ることも判る。
また、電池100をSOC80%に維持した場合には、容量低下率を12.6%程度(維持日数60日)までしか小さくできないのに対し、電池100をSOC100%に維持した場合には、容量低下率を9.9%程度(維持日数60日)まで大きく低下させることができる。従って、電池100をより高い充電状態(高SOC)に維持するほど、容量低下率をより小さくできる(反リチウム析出性をより向上させることができる)ことが判る。
(反リチウム析出性試験5)
また別途、電池100を複数(7個)用意し、それぞれ満充電(SOC100%)に充電した。その後、このうち3個の電池100は、満充電(SOC100%)として所定日数(具体的には、1日、5日、10日)に維持した。
一方、別の2個の電池100は、満充電(SOC100%)を8時間維持した後、SOC30%まで放電させて、SOC30%を16時間維持するのを繰り返した。即ち、満充電(SOC100%)に8時間、SOC30%に16時間維持するSOCサイクルを、満充電(SOC100%)に維持した維持時間が、通算で所定日数分(具体的には、5日分または10日分)となるまで、繰り返し行った。
その後、これらの電池100について、前述の充放電サイクル試験を行い、その前後の容量低下率(%)を算出した。なお、残り2個の電池100は、満充電(SOC100%)に充電した後、直ちに前述の充放電サイクル試験を行って、容量低下率(%)を算出した。その結果を図8に示す。
図8のグラフより、電池100を満充電(SOC100%)に8時間、SOC30%に16時間維持するSOCサイクルを繰り返し行った場合には、電池100をSOC100%に連続して維持した場合よりも、容量低下率が若干大きく(悪く)なる。しかし、SOC100%での通算の維持日数を長くするほど、容量低下率を小さくできることが判る。即ち、電池100を、SOC100%に8時間、SOC30%に16時間維持するSOCサイクルを繰り返し行った場合でも、SOC100%での通算の維持日数を長くするほど、電池100の反リチウム析出性を向上させ得ることが判る。このことから、電池100をSOC100%に維持する維持時間を複数回に分割して、電池100をSOC100%に維持した場合でも、反リチウム析出性を向上させる効果が得られることが判る。
次いで、前述の自動車300における、電池システム200による組電池210(電池100)の外部充電の制御について、図9のフローチャートを参照しつつ説明する。ユーザが自動車300のプラグ付きケーブル260を外部電源XVに接続すると、ECU220によりこの外部充電の制御を開始する。
まず、ステップS1において、後述する反析出性向上処理フラグがセットされているか否かを判断する。ここで、YES、即ち、反析出性向上処理フラグが既にセットされている場合には、ステップS2に進み、現在の時刻が運転開始予定時刻Taよりも所定時間Hb(本実施形態では4時間)以上前か否かを判断する。
ここで、「運転開始予定時刻Ta」は、ユーザが自動車300の運転を開始する予定時刻であり、ユーザ自身で予め設定するものである。また、「所定時間Hb」の値は、運転開始予定時刻Taまでの間に、後述する反析出性向上型充電を行う時間を確保できるか否かを判断するための時間であり、予めECU220内に記憶されている。
このステップS2でYES、即ち、現在の時刻が運転開始予定時刻Taよりも所定時間Hb以上前である場合には、運転開始予定時刻Taまでの間に、反析出性向上型充電を行うことが可能であるので、ステップS3に進み、後に詳述する反析出性向上型充電を行う。
一方、このステップS2でNO、即ち、現在の時刻が運転開始予定時刻Taよりも所定時間Hb以上前ではない場合には、運転開始予定時刻Taまでの間に、反析出性向上型充電を行う時間を取れないので、ステップS4に進み、後述する通常型充電を行う。
一方、前述のステップS1でNO、即ち、反析出性向上処理フラグが未だセットされていない場合には、ステップS5に進み、処理開始条件を満たしているか否かを判断する。このステップS5は、反析出性向上処理を開始すべきか否かを判断するものである。「処理開始条件」は、予めECU220内に記憶されている。本実施形態では、反析出性向上処理を定期的に(具体的には1年に1回)行うこととしており、所定の日時になったか否かを「処理開始条件」としている。なお、「処理開始条件」は、後述するように適宜選択できる。
ステップS5でYES、即ち、処理開始条件を満たしている場合には、ステップS6に進み、反析出性向上処理フラグをセットする。そして、前述したステップS2に進む。一方、NO、即ち、処理開始条件を満たしていない場合には、前述のステップS4に進み、通常型充電を行う。即ち、「通常型充電」は、ECU220がAC−DCコンバータ240に組電池210(電池100)の充電を行わせる。具体的には、満充電よりも上限が低く設定された通常使用充電範囲(本実施形態ではSOC20%〜SOC80%の範囲)内で、即ち、SOC100%よりも低い値に設定された通常上限SOC(本実施形態ではSOC80%)以下の範囲内で、電池100を充電する。なお、このステップS4が前述の「通常型充電ステップ」に相当し、また、このステップS4を実行しているECU220が前述の「通常型充電手段」に相当する。
また、この「通常型充電」は、運転開始予定時刻Taまたはその少し前に、通常上限SOCまで充電されるように、電池100の充電を開始する。例えば、運転開始予定時刻Taが午前6時に設定されており、現在の電池100のSOCの値から判断して、電池100を3時間で通常上限SOCまで充電できるとする。仮に午後9時に自動車300が外部電源XVに接続された場合でも、直ちに充電を開始しない。午前3時またはその少し前になった時点で充電を開始して、運転開始予定時刻Taまたはその少し前までに通常上限SOCまで充電する。このようにすることで、電池100を通常上限SOCに長期間維持することに起因する容量劣化を抑制できる。
一方、前述のステップS3に進んだ場合には、反析出性向上型充電を行う。即ち、「反析出向上型充電」は、ECU220がAC−DCコンバータ240に組電池210(電池100)の充電を行わせる。但し、前述の「通常型充電」の場合とは異なり、直ちに充電を開始し、前述の通常使用充電範囲の上限を越える高い充電状態となるまで、電池100を充電する。即ち、前述の通常上限SOC(本実施形態ではSOC80%)よりも高い値に設定された向上処理時基準SOC(本実施形態ではSOC100%)以上となるまで、電池100を充電する。そして、この充電状態(SOC)を維持して、電池100の反リチウム析出性を向上させる。なお、このステップS3が前述の「反析出性向上型充電ステップ」に相当し、また、このステップS3を実行しているECU220が前述の「反析出性向上型充電手段」に相当する。
次に、ステップS7に進み、プラグが外されたか否か、即ち、プラグ付きケーブル260が外部電源XVから外されたか否かを判断する。ここで、NO、即ち、プラグ付きケーブル260が外部電源XVから外されていない場合には、ステップS7でYESと判断されるまで、ステップS3の反析出性向上型充電を続ける。
一方、ステップS7でYES、即ち、プラグ付きケーブル260が外部電源XVから外された場合には、ステップS8に進む。そして、今回の反析出性向上型充電において、電池100が通常使用充電範囲の上限を越える高い充電状態に維持された維持時間、本実施形態では、向上処理時基準SOC(本実施形態ではSOC100%)以上のSOCに維持された維持時間を求める。更に、これ以前にも反析出性向上型充電を行っている場合には、過去の維持時間に今回の維持時間を積算して、維持時間の積算時間Hsを算出する。なお、このステップS8が前述の「時間積算ステップ」に相当し、このステップS8を実行しているECU220が前述の「時間積算手段」に相当する。
次に、ステップS9に進み、ステップS8で求めた積算時間Hsが所定時間Ha(本実施形態では720時間)を越えたか否かを判断する。なお、「所定時間Ha」の値は、予めECU220内に記憶されている。
ここで、NO、即ち、積算時間Hsが所定時間Haを越えていない場合には、次回以降の外部充電時に再び反析出性向上型充電を行うために、反析出性向上処理フラグをセットした状態のまま、この外部充電を終了する。
一方、NO、即ち、積算時間Hsが所定時間Haを越えた場合には、ステップS10に進み、反析出性向上処理を終了するために、反析出性向上処理フラグをクリアする。このようにすることで、一連の「反析出性向上処理」を行うことができる。即ち、積算時間Hsが所定時間Haを越えるまで、電池100を通常使用充電範囲の上限を越える高い充電状態に(本実施形態では、向上処理時基準SOC以上に)充電し、これを維持して、電池100の反リチウム析出性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、ステップS1,S5,S6,S9,S10が前述の「切替ステップ」に相当し、また、ステップS1,S5,S6,S9,S10を実行しているECU220が前述の「切替手段」に相当する。
以上で説明したように、本実施形態に係る電池システム200は、リチウムイオン二次電池100と、この電池100を充電する充電回路(AC−DCコンバータ)240と、充電回路240による電池100の充電を制御する充電制御装置(ECU)220とを備える。このうち、充電制御装置220は、満充電よりも上限が低く設定された通常使用充電範囲(本実施形態ではSOC20%〜SOC80%の範囲)内で、電池100を充電する通常型充電を充電回路240に行わせる通常型充電手段を有する。
また、充電制御装置220は、電池100を充電し、これを通常使用充電範囲の上限(本実施形態ではSOC80%)を越える高い充電状態(本実施形態ではSOC100%)に維持して、電池100について金属リチウムの析出し難さである反リチウム析出性を向上させる反析出性向上型充電を充電回路240に行わせる反析出性向上型充電手段を有する。
また、充電制御装置220は、電池100が通常使用充電範囲の上限を越える高い充電状態に維持された時間を積算した積算時間Hsを算出する時間積算手段を有する。
また更に、充電制御装置220は、処理開始条件(本実施形態では1年に1回の所定日時が到来したか)を満たさないときに、通常型充電手段に通常型充電を行わせる一方、処理開始条件を満たしたときに、積算時間Hsが所定時間Ha(本実施形態では720時間)を越えるまで、反析出性向上型充電手段に反析出性向上型充電を行わせる切替手段を有する。
この電池システム200では、処理開始条件(1年に1回の所定日時が到来したか)を満たさないときには、ECU220がステップS4においてAC−DCコンバータ240に通常型充電を行わせる。即ち、満充電よりも上限が低く設定された通常使用充電範囲(SOC20%〜SOC80%の範囲)内で、電池100を充電する。このように通常使用充電範囲内で電池100を充電することで、電池100を満充電(SOC100%)など通常使用充電範囲の上限を越える高い充電状態(高SOC)に長期間維持したことに起因する電池容量の低下を抑制できる。
一方、処理開始条件(1年に1回の所定日時が到来したか)を満たすときには、積算時間Hsが所定時間Ha(720時間)を越えるまで、ECU220がステップS3においてAC−DCコンバータ240に反析出性向上型充電を行わせる。即ち、積算時間Hsが所定時間Haを越えるまで、電池100を充電し、これを通常使用充電範囲の上限を越える高い充電状態(SOC100%)に維持して、電池100の反リチウム析出性を向上させる。このような反析出性向上処理を行うことで、負極板131への金属リチウムの析出に起因する電池容量の低下を抑制できると共に、金属リチウムの析出に起因する不具合を適切に防止できる。
かくして、この電池システム200では、電池100を高い充電状態(高SOC)に長期間維持したこと、及び、金属リチウムが負極板131に析出したことのいずれの原因による電池容量の低下をも抑制して、電池100を長期にわたり高い電池容量で使用できると共に、安全性の良好な電池として使用できる。
また、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100の充電方法は、満充電よりも上限が低く設定された通常使用充電範囲(本実施形態ではSOC20%〜SOC80%の範囲)内で、電池100を充電する通常型充電を行う通常型充電ステップS4を備える。
また、この充電方法は、電池100を充電し、これを通常使用充電範囲の上限を越える高い充電状態(本実施形態ではSOC100%)に維持して、電池100について金属リチウムの析出し難さである反リチウム析出性を向上させる反析出性向上型充電を行う反析出性向上型充電ステップS3を備える。
また、この充電方法は、電池100が通常使用充電範囲の上限を越える高い充電状態に維持された時間を積算した積算時間Hsを算出する時間積算ステップS8を備える。
また更に、この充電方法は、処理開始条件(本実施形態では1年に1回の所定日時が到来したか)を満たさないときに、通常型充電ステップS4により通常型充電を行わせる一方、処理開始条件を満たしたときに、積算時間Hsが所定時間Ha(本実施形態では720時間)を越えるまで、反析出性向上型充電ステップS3により反析出性向上型充電を行わせる切替ステップ(ステップS1,S5,S6,S9,S10)を備える。
この電池の充電方法では、処理開始条件(1年に1回の所定日時が到来したか)を満たさないときには、通常型充電ステップS4により通常型充電を行う。即ち、満充電よりも上限が低く設定された通常使用充電範囲(SOC20%〜SOC80%の範囲)内で、電池100を充電する。このように通常使用充電範囲内で電池100を充電することで、電池100を満充電(SOC100%)など通常使用充電範囲の上限を越える高い充電状態(高SOC)に長期間維持したことに起因する電池容量の低下を抑制できる。
一方、処理開始条件(1年に1回の所定の日時が到来したか)を満たすときには、積算時間Hsが所定時間Ha(720時間)を越えるまで、反析出性向上型充電ステップS3により反析出性向上型充電を行う。即ち、積算時間Hsが所定時間Haを越えるまで、電池100を充電し、これを通常使用充電範囲の上限を越える高い充電状態(SOC100%)に維持して、電池100の反リチウム析出性を向上させる。これにより、負極板131への金属リチウムの析出に起因する電池容量の低下を抑制すると共に、金属リチ
ウムの析出に起因する不具合を適切に防止できる。
かくして、この電池の充電方法では、電池100を高い充電状態(高SOC)に長期間維持したこと、及び、金属リチウムが負極板131に析出したことのいずれの原因による電池容量の低下をも抑制して、電池100を長期にわたり高い電池容量で使用できると共に、安全性の良好な電池として使用できる。
また、電池100の反リチウム析出性は、反析出性向上処理時に電池100をより高い充電状態(高いSOC)に維持するほど向上させることができる(図5及び図7参照)。特に、電池100をSOC80%を越える高いSOCに維持することで、反リチウム析出性を確実に向上させることができる。
これに対し、本実施形態では、反析出性向上型充電において、電池100をSOC80%を越える高い充電状態(本実施形態ではSOC100%)に維持する。従って、電池100の反リチウム析出性を確実に向上させることができる。
また、電池100の反リチウム析出性は、反析出性向上処理において電池100を通常使用充電範囲の上限を越える高い充電状態(高SOC)に維持する時間(積算時間Hs)を長くするほど向上させることができる(図4及び図7参照)。特に、積算時間Hsを240時間以上とすることで、反リチウム析出性を十分に向上させることができる。
但し、積算時間Hsが長くなるほど、反リチウム析出性の単位時間当たりの向上量が徐々に小さくなり、反リチウム析出性の向上が限界に近づく。具体的には、積算時間Hsが1440時間程度になると、反リチウム析出性の向上はほぼ飽和する。逆に、積算時間Hsを長くし過ぎると、電池100を高い充電状態(高SOC)に長期間維持したことに起因する電池容量の低下が生じ得るので、この点からも、積算時間は1440時間以下とするのが好ましい。
これに対し、本実施形態では、前述の所定時間を240時間以上1440時間以下の値(本実施形態では720時間)としているので、電池100の反リチウム析出性を十分に向上させることができる。しかも、電池100を高い充電状態(高SOC)に長期間維持したことに起因する電池容量の低下を抑制できる。
また、本実施形態では、電池システム200は、車両(プラグインハイブリッド自動車)300に搭載されると共に、車両300外部の外部電源XVに接続して充電する外部充電が可能とされてなる車載用電池システムであり、充電回路240は、外部電源XVにより通常型充電及び反析出性向上型充電を行う。
前述のように、電池システム200は、電池100を高い充電状態(高SOC)に長期間維持したこと、及び、金属リチウムが負極板131に析出したことのいずれの原因による電池容量の低下をも抑制して、電池100を長期にわたり高い電池容量で使用できると共に、安全性の良好な電池として使用できる。従って、これを車載用電池システムとして自動車300に搭載することで、自動車300の耐久性及び安全性をより良好にすることができる。
また、本実施形態に係る車両(プラグインハイブリッド自動車)300は、前述の電池システム200を搭載した車両である。
前述のように、電池システム200は、電池100を高い充電状態(高SOC)に長期間維持したこと、及び、金属リチウムが負極板131に析出したことのいずれの原因による電池容量の低下をも抑制して、電池100を長期にわたり高い電池容量で使用できると共に、安全性の良好な電池として使用できる。従って、これを搭載した自動車300自身も、耐久性及び安全性が良好なものとなる。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、反析出性向上処理を定期的に行うものとして、反析出性向上型処理を開始するための「処理開始条件」を、所定の日時が到来したこととしている。しかし、「処理開始条件」はこれに限られない。「処理開始条件」としては、例えば、前回行った反析出性向上処理からの経過時間、走行距離(所定の走行距離毎、または、前回行った反析出性向上処理からの走行距離など)、自動車300(電池システム200)の使用地域の季節情報、気温、電池100内に析出している金属リチウムの推定析出量などに基づいて設定できる。また、ユーザの指示(ユーザが反析出性向上処理の開始を決定する)を、「処理開始条件」としてもよい。
また、上記実施形態では、本発明に係る電池システムを搭載する車両として、プラグインハイブリッド自動車300を例示したが、これに限られない。本発明に係る電池システムを搭載する車両としては、例えば、電気自動車、ハイブリッド鉄道車両、フォークリフト、電気車いす、電動アシスト自転車、電動スクータなどが挙げられる。
100 リチウムイオン二次電池
200 電池システム
210 組電池
220 ECU(充電制御装置、通常型充電手段、反析出性向上型充電手段、時間積算手段、切替手段)
230 インバータ
240 AC−DCコンバータ(充電回路)
300 プラグインハイブリッド自動車(車両)
XV 外部電源

Claims (8)

  1. リチウムイオン二次電池と、
    前記リチウムイオン二次電池を充電する充電回路と、
    前記充電回路による前記リチウムイオン二次電池の充電を制御する充電制御装置と、を備える
    電池システムであって、
    前記充電制御装置は、
    満充電よりも上限が低く設定された通常使用充電範囲内で、前記リチウムイオン二次電池を充電する通常型充電を前記充電回路に行わせる通常型充電手段と、
    前記リチウムイオン二次電池を充電し、これを前記通常使用充電範囲の上限を越える高い充電状態に維持して、前記リチウムイオン二次電池について金属リチウムの析出し難さである反リチウム析出性を向上させる反析出性向上型充電を前記充電回路に行わせる反析出性向上型充電手段と、
    前記リチウムイオン二次電池が前記通常使用充電範囲の上限を越える高い充電状態に維持された時間を積算した積算時間を算出する時間積算手段と、
    処理開始条件を満たさないときに、前記通常型充電手段に前記通常型充電を行わせる一方、前記処理開始条件を満たしたときに、前記積算時間が所定時間を越えるまで、前記反析出性向上型充電手段に前記反析出性向上型充電を行わせる切替手段と、を有する
    電池システム。
  2. 請求項1に記載の電池システムであって、
    前記反析出性向上型充電は、
    前記リチウムイオン二次電池をSOC80%を越える充電状態に維持する
    電池システム。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電池システムであって、
    前記所定時間は、240時間以上1440時間以下の値である
    電池システム。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電池システムであって、
    前記電池システムは、
    車両に搭載されると共に、前記車両外部の外部電源に接続して充電する外部充電が可能とされてなる車載用電池システムであり、
    前記充電回路は、
    前記外部電源により前記通常型充電及び前記反析出性向上型充電を行う
    電池システム。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の電池システムを搭載した車両。
  6. リチウムイオン二次電池を充電する充電方法であって、
    満充電よりも上限が低く設定された通常使用充電範囲内で、前記リチウムイオン二次電池を充電する通常型充電を行う通常型充電ステップと、
    前記リチウムイオン二次電池を充電し、これを前記通常使用充電範囲の上限を越える高い充電状態に維持して、前記リチウムイオン二次電池について金属リチウムの析出し難さである反リチウム析出性を向上させる反析出性向上型充電を行う反析出性向上型充電ステップと、
    前記リチウムイオン二次電池が前記通常使用充電範囲の上限を越える高い充電状態に維持された時間を積算した積算時間を算出する時間積算ステップと、
    処理開始条件を満たさないときに、前記通常型充電ステップにより前記通常型充電を行わせる一方、前記処理開始条件を満たしたときに、前記積算時間が所定時間を越えるまで、前記反析出性向上型充電ステップにより前記反析出性向上型充電を行わせる切替ステップと、を備える
    リチウムイオン二次電池の充電方法。
  7. 請求項6に記載のリチウムイオン二次電池の充電方法であって、
    前記反析出性向上型充電は、
    前記リチウムイオン二次電池をSOC80%を越える充電状態に維持する
    リチウムイオン二次電池の充電方法。
  8. 請求項6または請求項7に記載のリチウムイオン二次電池の充電方法であって、
    前記所定時間は、240時間以上1440時間以下の値である
    リチウムイオン二次電池の充電方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018055804A (ja) * 2016-09-26 2018-04-05 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池の回復処理方法

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