JP2012177414A - 対向ピストン型ディスクブレーキ - Google Patents

対向ピストン型ディスクブレーキ Download PDF

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Abstract

【課題】対向ピストン型ディスクブレーキにて、一体的に形成されているキャリパのインナシリンダ部とアウタシリンダ部とを所定の締結力にて締結する中間連結ピンの小型・軽量化を図ること。
【解決手段】キャリパ20におけるインナシリンダ部21とアウタシリンダ部22のそれぞれに形成されて中間連結ピンの締結力を受ける一対の座面(21f,22f)のピン締結前の形状が、ディスクロータの中心軸線に対してそれぞれ傾斜しロータ径外方に向けて順次開く所定の傾斜面とされていて、前記中間連結ピンが所定の締結力にて締結された状態では、前記中間連結ピンの中心軸線がロータ軸方向に沿って直線状に延び、前記一対の座面(21f,22f)が略平行となるように設定されている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、車両において車輪を制動するために採用される対向ピストン型ディスクブレーキに関する。
対向ピストン型ディスクブレーキの一つとして、
車輪と一体的に回転するディスクロータと、
このディスクロータの内側に配置されて車両の非回転部に固定されるインナシリンダ部と、前記ディスクロータの外側に配置されて前記インナシリンダ部に対して対向するアウタシリンダ部と、前記ディスクロータの外周を跨ぐようにして前記インナシリンダ部と前記アウタシリンダ部のロータ周方向両端部をそれぞれ連結する一対のブリッジ部が一体的に形成されていて、前記インナシリンダ部と前記アウタシリンダ部と前記両ブリッジ部間に開口が形成されているキャリパと、
前記ディスクロータと前記インナシリンダ部間に介装され、前記開口を通してロータ径方向に抜き差し可能なインナパッドと、
前記ディスクロータと前記アウタシリンダ部間に介装され、前記開口を通してロータ径方向に抜き差し可能なアウタパッドと、
前記インナシリンダ部に設けられてロータ軸方向に延びるシリンダ穴にロータ軸方向にて移動可能に収容されて、制動時に液圧により前記インナパッドを前記ディスクロータの外周部内側面に向けてロータ軸方向に押圧するインナピストンと、
前記アウタシリンダ部に設けられてロータ軸方向に延びるシリンダ穴にロータ軸方向にて移動可能に収容されて前記インナピストンに対して対向し、制動時に液圧により前記アウタパッドを前記ディスクロータの外周部外側面に向けてロータ軸方向に押圧するアウタピストンと、
前記開口のロータ周方向中間部位に設けられて前記ディスクロータの径外方にて前記インナシリンダ部と前記アウタシリンダ部とを所定の締結力にて締結する中間連結ピンとを備えていて、
前記中間連結ピンが前記キャリパを構成する金属材料よりヤング率の大きな金属材料製であるものがあり、例えば、下記特許文献1に示されている。なお、下記特許文献1では、インナシリンダ部がインナボディ部と記載され、アウタシリンダ部がアウタボディ部と記載され、ブリッジ部が連結部と記載されている。
特開2005−121174号公報
上記した特許文献1に記載されている対向ピストン型ディスクブレーキにおいては、キャリパを例えばアルミ合金で構成するとともに、中間連結ピンを鋼を中心とする鉄系合金で構成することによって、キャリパの剛性確保(制動時にキャリパに形成されている開口がロータ軸方向に拡がるのを防止すること)と軽量化が図られている。
ところで、上記した特許文献1に記載されている対向ピストン型ディスクブレーキにおいては、キャリパに形成されている開口のロータ周方向中間部位にて、中間連結ピンを用いてキャリパのインナシリンダ部とアウタシリンダ部とを所定の締結力にて締結すると、インナシリンダ部とアウタシリンダ部では、ロータ径内方部位の剛性がロータ径外方部位の剛性に比して強いため、インナシリンダ部とアウタシリンダ部のそれぞれに形成されて中間連結ピンの締結力を受ける一対の座面(通常は、ディスクロータの中心軸線に対して直交し、互いに平行に加工されている)がハの字状に変形する(ロータ径外方部位がロータ径内方部位に比して大きく変形する)ことがある。
この場合には、上記した一対の座面の変形に伴って、中間連結ピンに引張力と共に曲げ力が作用して中間連結ピンが曲がることがある。このため、中間連結ピンは、かかる曲げにも耐える構成としなければならず、大型化・重量増を強いられることがある。一方、上記した一対の座面では、ロータ径内方側の局部当たりによる陥没で中間連結ピンでの締結力低下が生じるおそれがあるため、座面径を大きくするなどの対策が必要である。なお、中間連結ピンと一対の座面は、ディスクロータの径外方に配置されるものであるため、車輪のホイールによって大きさを制約され、必要十分に大きくすることができないこともある。
また、上記した特許文献1に記載されている対向ピストン型ディスクブレーキにおいては、中間連結ピンの締結時にキャリパの各シリンダ穴の中心軸線(通常は、その中心軸線がディスクロータの中心軸線に対して平行となるように加工されている)が逆ハの字状になるようにキャリパが変形することがある。この場合には、各シリンダ穴の変形中心軸のずれに起因して、各パッドが偏摩耗した場合にピストンがこじれて、ブレーキの利きが低下したり、ブレーキ鳴きが発生したりするおそれがある。なお、各シリンダ穴は一対の座面よりロータ径内方に設けられているため、中間連結ピンの締結時における各シリンダ穴の変形量は、一対の座面の変形量に比して小さいものである。
本発明は、上記した前者の課題(中間連結ピンの大型化・重量増、一対の座面における陥没等)を解決すべくなされたものであり、
車輪と一体的に回転するディスクロータと、
このディスクロータの内側に配置されて車両の非回転部に固定されるインナシリンダ部と、前記ディスクロータの外側に配置されて前記インナシリンダ部に対して対向するアウタシリンダ部と、前記ディスクロータの外周を跨ぐようにして前記インナシリンダ部と前記アウタシリンダ部のロータ周方向両端部をそれぞれ連結する一対のブリッジ部が一体的に形成されていて、前記インナシリンダ部と前記アウタシリンダ部と前記両ブリッジ部間に開口が形成されているキャリパと、
前記ディスクロータと前記インナシリンダ部間に介装され、前記開口を通してロータ径方向に抜き差し可能なインナパッドと、
前記ディスクロータと前記アウタシリンダ部間に介装され、前記開口を通してロータ径方向に抜き差し可能なアウタパッドと、
前記インナシリンダ部に設けられてロータ軸方向に延びるシリンダ穴にロータ軸方向にて移動可能に収容されて、制動時に液圧により前記インナパッドを前記ディスクロータの外周部内側面に向けてロータ軸方向に押圧するインナピストンと、
前記アウタシリンダ部に設けられてロータ軸方向に延びるシリンダ穴にロータ軸方向にて移動可能に収容されて前記インナピストンに対して対向し、制動時に液圧により前記アウタパッドを前記ディスクロータの外周部外側面に向けてロータ軸方向に押圧するアウタピストンと、
前記開口のロータ周方向中間部位に設けられて前記ディスクロータの径外方にて前記インナシリンダ部と前記アウタシリンダ部とを所定の締結力にて締結する中間連結ピンとを備えていて、
前記中間連結ピンが前記キャリパを構成する金属材料よりヤング率の大きな金属材料製である対向ピストン型ディスクブレーキであって、
前記インナシリンダ部と前記アウタシリンダ部のそれぞれに形成されて前記中間連結ピンの締結力を受ける一対の座面のピン締結前の形状が、前記ディスクロータの中心軸線に対してそれぞれ傾斜しロータ径外方に向けて順次開く所定の傾斜面とされていて、
前記中間連結ピンが所定の締結力にて締結された状態では、前記中間連結ピンの中心軸線がロータ軸方向に沿って直線状に延び、前記一対の座面が略平行となるように設定されている対向ピストン型ディスクブレーキに特徴がある。
本発明による対向ピストン型ディスクブレーキにおいては、キャリパのインナシリンダ部とアウタシリンダ部が中間連結ピンにて所定の締結力にて締結されることで、中間連結ピンの中心軸線がロータ軸方向に沿って直線状に延び、前記一対の座面が略平行となる。このため、中間連結ピンに作用する曲げ力を緩和(減少)することができて、中間連結ピンの小型・軽量化を図ることが可能である。また、一対の座面では、局部当たりによる陥没を抑制することができて、座面が受ける締結力の単位面積当たりの大きさを小さくする必要がなくなり、座面径を小さく設定することも可能である。
上記した本発明の実施に際して、前記中間連結ピンが所定の締結力にて締結された状態では、前記インナシリンダ部と前記アウタシリンダ部のそれぞれに形成されて互いに対向する各シリンダ穴の中心軸線が略同軸(一直線状)となるように設定されている(前記中間連結ピンが所定の締結力にて締結される前の状態では、互いに対向する各シリンダ穴の中心軸線がハの字状となるように設定されている)ことも可能である。この場合においては、中間連結ピンの締結時にキャリパの各シリンダ穴が逆ハの字状に変形することがない。このため、各シリンダ穴の逆ハの字状変形に起因する不具合を無くすことが可能である。
本発明による対向ピストン型ディスクブレーキの一実施形態を示した断面図である。 図1に示したキャリパ単体のアウタ側の側面図である。 図2に示したキャリパ単体のロータ周方向中間部位での断面図であって、一対のピン挿通孔、一対の座面、各シリンダ穴等の傾斜角(ディスクロータの中心軸線に対する傾斜角)を誇張して示した断面図である。 図2に示したキャリパ単体のロータ軸方向中間部位での断面図である。 図2に示したキャリパに中間連結ピンを組付けた状態のロータ周方向の端面図である。 図5に示した状態をキャリパの開口側から見た図である。 図5に示した状態のロータ周方向中間部位での断面図である。 中間連結ピンの変形実施形態を示した図である。
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明による対向ピストン型ディスクブレーキの一実施形態を示していて、この実施形態のディスクブレーキ100は、車軸(図示省略)に固定されて車輪(図示省略)と一体的に回転するディスクロータ10を備えるとともに、このディスクロータ10を制動するためのキャリパ20、インナパッド30、アウタパッド40、3個のインナピストン50、3個のアウタピストン60、一本の中間連結ピン70等を備えている。
キャリパ20は、例えばアルミ合金(軽金属)で鋳造されていて、図1〜図7に示したように、インナシリンダ部21とアウタシリンダ部22と一対のブリッジ部23を有し、一体的に形成されている。このキャリパ20では、インナシリンダ部21とアウタシリンダ部22と一対のブリッジ部23間に矩形の開口24(図6参照)が形成されている。
インナシリンダ部21は、ディスクロータ10の内側(図1左側)に配置されていて、車両の非回転部(図示省略の車体)に固定されるものである。アウタシリンダ部22は、ディスクロータ10の外側(図1右側)に配置されていて、インナシリンダ部21に対して対向するものである。一対のブリッジ部23は、ディスクロータ10の外周を跨ぐようにしてインナシリンダ部21とアウタシリンダ部22のロータ周方向両端部をそれぞれ連結するものである。
インナシリンダ部21には、ロータ軸方向に延びディスクロータ10に向けて開口する複数個(3個)のシリンダ穴21aが設けられるとともに、各シリンダ穴21aに環状のインナシール溝21bがそれぞれ設けられている。また、インナシリンダ部21には、キャリパ20を車両の非回転部(車体)に固定するための一対の取付足部21cが設けられている。各取付足部21cには、取付孔21c1が形成されていて、その中心軸線はディスクロータ10の中心軸線Loに対して略平行となるように形成されている。一方、アウタシリンダ部22には、ロータ軸方向に延びディスクロータ10に向けて開口する複数個(3個)のシリンダ穴22aが設けられるとともに、各シリンダ穴22aに環状のアウタシール溝22bがそれぞれ設けられている。
なお、各シリンダ穴21aの底部と各シリンダ穴22aの底部は、各シリンダ部21,22に設けた各油孔(図示省略)を通して互いに連通しているとともに、各ブリッジ部23に設けた油孔23a(図4参照)を通して互いに連通している。また、各インナシール溝21bと各アウタシール溝22bには、同一素材で同一の形状に形成されているピストンシールリングSがそれぞれ組付けられている。各ピストンシールリングSは、各ピストン50,60の中間部外周に係合しており、制動時に各シール溝21b,22b内にて弾性変形し、制動解除時に各シール溝21b,22b内にて弾性復帰するように構成されている。
インナパッド30は、キャリパ20に一対の支持ピン(図示省略の支持部材)を介してロータ軸方向にて移動可能に組付けられていて、ディスクロータ10とインナシリンダ部21間に介装されており、その制動トルクはキャリパ20によって受け止められるように構成されている。一方、アウタパッド40は、キャリパ20に上記した一対の支持ピン(図示省略)を介してロータ軸方向にて移動可能に組付けられていて、ディスクロータ10とアウタシリンダ部22間に介装されており、その制動トルクはキャリパ20によって受け止められるように構成されている。なお、上記した各制動トルクは、一対の支持ピン(図示省略)によって受け止められるように構成して実施することも可能である。
インナパッド30とアウタパッド40は、上記した一対の支持ピン(図示省略)をキャリパ20から取り外すことにより、キャリパ20の開口24を通してロータ径方向に抜き差し可能(脱着可能)である。上記した一対の支持ピン(図示省略)は、キャリパ20に対して脱着可能であり、キャリパ20のインナシリンダ部21に設けた一対の取付孔21d(図4参照)に対して抜き差し可能であるとともに、アウタシリンダ部22に設けた一対の取付孔22d(図2参照)に対して抜き差し可能である。
各インナピストン50は、インナシリンダ部21に設けた各シリンダ穴21aにそれぞれロータ軸方向にて移動可能に収容されていて、制動時に液圧によりインナパッド30をディスクロータ10の外周部内側面に向けてロータ軸方向に押圧するように構成されている。一方、各アウタピストン60は、アウタシリンダ部22に設けた各シリンダ穴22aにそれぞれロータ軸方向にて移動可能に収容されて各インナピストン50に対して対向しており、制動時に液圧によりアウタパッド40をディスクロータ10の外周部外側面に向けてロータ軸方向に押圧するように構成されている。なお、各インナピストン50と各アウタピストン60は、同一素材で同一の形状に形成されている。
中間連結ピン70は、キャリパ20における開口24のロータ周方向中間部位に設けられていて、ディスクロータ10の径外方にてキャリパ20のインナシリンダ部21とアウタシリンダ部22とを所定の締結力にて締結するものである。この中間連結ピン70は、キャリパ20を構成する金属材料よりヤング率の大きな金属材料製(例えば、鋼を中心とする鉄系合金製)であり、ピン部材71とボルト72によって構成されている。
ピン部材71は、頭部71aと、所定長さの軸部71bと、雌ねじ部71cを有している。頭部71aは、キャリパ20のアウタシリンダ部22に設けたピン挿通孔22eの端部に形成されたアウタ側座面22fと当接可能に形成されている。軸部71bは、キャリパ20のインナシリンダ部21に設けたピン挿通孔21eと、キャリパ20のアウタシリンダ部22に設けたピン挿通孔22eに抜き差し可能に構成されている。
ボルト72は、頭部72aと、雄ねじ部72bを有している。頭部72aは、キャリパ20のインナシリンダ部21に設けたピン挿通孔21eの端部に形成されたインナ側座面21fと、ピン部材71における軸部71bの先端面71b1とに当接可能に形成されている。雄ねじ部72bは、ピン部材71における雌ねじ部71cに対して脱着可能に構成されている。
ところで、この実施形態においては、インナシリンダ部21とアウタシリンダ部22のそれぞれに形成されて中間連結ピン70の締結力を受ける一対の座面(インナ側座面21fとアウタ側座面22f)のピン締結前の形状が、図3にて誇張して示したように、ディスクロータ10の中心軸線Lo(図1参照)に対してそれぞれ傾斜しロータ径外方に向けて順次開く所定の傾斜面(逆ハの字状の傾斜面)とされていて、中間連結ピン70が所定の締結力にて締結された状態(ボルト72の頭部72aが、インナ側座面21fと、ピン部材71における軸部71bの先端面71b1に当接する状態)では、図1および図7にて示したように、中間連結ピン70の中心軸線L1がロータ軸方向に沿って直線状(ディスクロータ10の中心軸線Loに対して略平行)に延び、一対の座面(インナ側座面21fとアウタ側座面22f)が略平行となるように設定されている。
また、この実施形態では、インナシリンダ部21とアウタシリンダ部22のそれぞれに形成されて互いに対向する各シリンダ穴21a,22aのピン締結前の形状が、図3にて誇張して示したように、ディスクロータ10の中心軸線Lo(図1参照)に対してそれぞれ傾斜してハの字状となるように設定されていて、中間連結ピン70が所定の締結力にて締結された状態(ボルト72の頭部72aが、インナ側座面21fと、ピン部材71における軸部71bの先端面71b1に当接する状態)では、図1および図7にて示したように、互いに対向する各シリンダ穴21a,22aの中心軸線L2が略同軸(一直線状)となるように設定されている。
上記のように構成したこの実施形態においては、キャリパ20のインナシリンダ部21とアウタシリンダ部22が中間連結ピン70にて所定の締結力にて締結されることで、中間連結ピン70の中心軸線L1がロータ軸方向に沿って直線状に延び、中間連結ピン70による所定の締結力を受ける一対の座面(インナ側座面21fとアウタ側座面22f)が略平行となる。このため、中間連結ピン70に作用する曲げ力を緩和(減少)することができて、中間連結ピン70の小型・軽量化を図ることが可能である。また、一対の座面(インナ側座面21fとアウタ側座面22f)では、局部当たりによる陥没を抑制することができて、座面が受ける締結力の単位面積当たりの大きさを小さくする必要がなくなり、座面径を小さく設定することも可能である。
また、この実施形態においては、中間連結ピン70が所定の締結力にて締結された状態では、インナシリンダ部21とアウタシリンダ部22のそれぞれに形成されて互いに対向する各シリンダ穴21a,22aの中心軸線L2が略同軸(一直線状)となるように設定されている。このため、中間連結ピン70の締結時にキャリパ20の各シリンダ穴21a,22aの中心軸線が逆ハの字状になるようにキャリパ20が変形することがない。このため、前記キャリパ20の変形に起因する不具合を無くすことが可能である。
上記した実施形態においては、図3に誇張して示したように、インナシリンダ部21とアウタシリンダ部22のそれぞれに形成されて互いに対向する各シリンダ穴21a,22aのピン締結前の中心軸線が、ディスクロータ10の中心軸線Lo(図1参照)に対してそれぞれ傾斜してハの字状となるように設定して実施したが、各シリンダ穴(21a,22a)のピン締結による傾斜変形量が問題とならない程度に小さい場合には、各シリンダ穴(21a,22a)のピン締結前の中心軸線が、ディスクロータの中心軸線(図1のLo参照)に対してそれぞれ傾斜しない(平行となる)ように設定して実施することも可能である。
また、上記した実施形態においては、中間連結ピン70を、ピン部材71とボルト72にて構成して実施したが、図8の(a)、(b)、(c)に示したように、構成して実施することも可能である。図8の(a)に示した中間連結ピン170は、ピン部材171とナット172によって構成されている。ピン部材171は、頭部171aと、所定長さの軸部171bと、雄ねじ部171cを有している。ナット172は、雄ねじ部171cに螺着されている。なお、ピン部材171の頭部171aには、アウタ側座面22fと当接する環状のフランジ部が形成されているが、かかる環状のフランジ部は上記実施形態におけるピン部材71の頭部71aに形成して実施することも可能である。
図8の(b)に示した中間連結ピン270は、ピン部材271と一対のボルト272,273によって構成されている。ピン部材271は、所定長さの軸部271aと、一対の雌ねじ部271b、271cを有している。ボルト272は雌ねじ部271bに螺着され、ボルト273は雌ねじ部271cに螺着されている。図8の(c)に示した中間連結ピン370は、ピン部材371と一対のナット372,373によって構成されている。ピン部材371は、所定長さの軸部371aと、一対の雄ねじ部371b、371cを有している。ナット372は雄ねじ部371bに螺着され、ナット373は雄ねじ部371cに螺着されている。
また、上記した実施形態では、インナシリンダ部21とアウタシリンダ部22に設けられるシリンダ穴とピストンをそれぞれ3個として実施したが、シリンダ穴とピストンの個数は適宜設定可能であり、例えば、2個または1個であってもよい。また、上記した実施形態では、中間連結ピン70を一本で構成して実施したが、中間連結ピンの個数は複数(例えば、2本)であってもよい。
10…ディスクロータ、20…キャリパ、21…インナシリンダ部、21a…シリンダ穴、21b…インナシール溝、21c…取付足部、21e…ピン挿通孔、21f…インナ側座面、22…アウタシリンダ部、22a…シリンダ穴、22b…アウタシール溝、22e…ピン挿通孔、22f…アウタ側座面、30…インナパッド、40…アウタパッド、50…インナピストン、60…アウタピストン、70…中間連結ピン、100…対向型ディスクブレーキ

Claims (2)

  1. 車輪と一体的に回転するディスクロータと、
    このディスクロータの内側に配置されて車両の非回転部に固定されるインナシリンダ部と、前記ディスクロータの外側に配置されて前記インナシリンダ部に対して対向するアウタシリンダ部と、前記ディスクロータの外周を跨ぐようにして前記インナシリンダ部と前記アウタシリンダ部のロータ周方向両端部をそれぞれ連結する一対のブリッジ部が一体的に形成されていて、前記インナシリンダ部と前記アウタシリンダ部と前記両ブリッジ部間に開口が形成されているキャリパと、
    前記ディスクロータと前記インナシリンダ部間に介装され、前記開口を通してロータ径方向に抜き差し可能なインナパッドと、
    前記ディスクロータと前記アウタシリンダ部間に介装され、前記開口を通してロータ径方向に抜き差し可能なアウタパッドと、
    前記インナシリンダ部に設けられてロータ軸方向に延びるシリンダ穴にロータ軸方向にて移動可能に収容されて、制動時に液圧により前記インナパッドを前記ディスクロータの外周部内側面に向けてロータ軸方向に押圧するインナピストンと、
    前記アウタシリンダ部に設けられてロータ軸方向に延びるシリンダ穴にロータ軸方向にて移動可能に収容されて前記インナピストンに対して対向し、制動時に液圧により前記アウタパッドを前記ディスクロータの外周部外側面に向けてロータ軸方向に押圧するアウタピストンと、
    前記開口のロータ周方向中間部位に設けられて前記ディスクロータの径外方にて前記インナシリンダ部と前記アウタシリンダ部とを所定の締結力にて締結する中間連結ピンとを備えていて、
    前記中間連結ピンが前記キャリパを構成する金属材料よりヤング率の大きな金属材料製である対向ピストン型ディスクブレーキであって、
    前記インナシリンダ部と前記アウタシリンダ部のそれぞれに形成されて前記中間連結ピンの締結力を受ける一対の座面のピン締結前の形状が、前記ディスクロータの中心軸線に対してそれぞれ傾斜しロータ径外方に向けて順次開く所定の傾斜面とされていて、
    前記中間連結ピンが所定の締結力にて締結された状態では、前記中間連結ピンの中心軸線がロータ軸方向に沿って直線状に延び、前記一対の座面が略平行となるように設定されている対向ピストン型ディスクブレーキ。
  2. 請求項1に記載の対向ピストン型ディスクブレーキにおいて、
    前記中間連結ピンが所定の締結力にて締結された状態では、前記インナシリンダ部と前記アウタシリンダ部のそれぞれに形成されて互いに対向する各シリンダ穴の中心軸線が略同軸となるように設定されている対向ピストン型ディスクブレーキ。
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