JP2007155107A - 鉄道車両用ブレーキライニング及びディスクブレーキ - Google Patents

鉄道車両用ブレーキライニング及びディスクブレーキ Download PDF

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Abstract

【課題】ブレーキライニングとブレーキディスクの接触面圧を低減して耐久性を向上する。
【解決手段】ブレーキディスク11の摺動面11aに押し付けられるブレーキライニング1である。前記摺動面11aに接触すべく押し付けられる摩擦部材3と、この摩擦部材3を支えると共にブレーキキャリパに取り付けるための裏板2を備える。摩擦部材3は、前記摺動面11aにおける半径方向中央位置に対応する部位であるブレーキライニング1の中央で、半径方向の内周側と外周側に分割する。分割されたそれぞれの摩擦部材3a,3bと裏板2との間に、ブレーキキャリパからの押し付け力を分散してそれぞれの摩擦部材3a,3bに伝える押し付け力分散部4をさらに備える。
【効果】ブレーキライニングとブレーキディスクの接触面圧を効果的に低減でき、両者の摩耗やき裂の発生を軽減できて耐久性が向上し、鉄道車両の高速化、大型化に対応できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、主として鉄道車両用のディスクブレーキにおいて、ブレーキライニングとブレーキディスクの接触面圧を低減し、両者の耐久性を向上させることが可能な鉄道車両用ブレーキライニング及びディスクブレーキに関するものである。
鉄道車両や自動車及び自動二輪車等の陸上輸送機械では、車両の高速化や大型化に伴い、その制動装置としてディスクブレーキが多用されるようになってきている。
ディスクブレーキは、ブレーキディスクとブレーキライニングとの摩擦により制動力を得る装置であり、車軸または車輪に取り付けたブレーキディスクの摺動面にブレーキライニングを押し付けることで、車軸または車輪の回転を制動して車両の速度を制御する。
この制動時、ブレーキライニングとブレーキディスクの接触面では摩擦熱によって温度が上昇するが、より高速になるほど、或いは、より車両重量が大きくなるほど、ブレーキ負荷が大きくなるので、接触面の温度は高くなる傾向にある。
従来型の鉄道車両用ディスクブレーキにおける、ブレーキライニングとブレーキディスクを図7に示す。図7(a)は摩擦部材側から見たブレーキライニングの平面図、(b)は(a)図のA−B断面図である。
ブレーキライニング1は、ブレーキキャリパ(図示省略)に取り付けられ、ブレーキディスク11と接触する摩擦部材3を、リベット(図示省略)によって裏板2に取り付けた構成となされている。
ブレーキキャリパは、ブレーキライニング1をブレーキディスク11に押し付けて制動力を得るための装置であり、油圧式、空圧式などが存在する。
このブレーキキャリパからブレーキライニング1に負荷される押し付け力は、取り付け部の構造上、ブレーキライニング1の全体には作用せず、ある特定の部分に集中して作用する。例えば油圧式キャリパの場合は、図7に示すように押し付け負荷位置21が2箇所存在する。また、空圧式キャリパの場合でも、ほぼ同じ位置に押し付け力が負荷される。
上記のように、従来のディスクブレーキでは、その構造上、ブレーキキャリパからの押し付け力がブレーキライニング1の一部分にのみ作用する。このため、ブレーキライニング1とブレーキディスク11の接触面では、接触面圧の高い部分と低い部分の差が大きくなる。例えばブレーキキャリパからの押し付け力が作用する押し付け負荷位置21の直下では、ブレーキライニング1とブレーキディスク11の接触面圧は高くなる傾向にある。
接触面圧の高い部分では、減速に必要なエネルギーがより多く投入されるので、特に新幹線などの高速車両では、制動中の温度上昇が過大となる可能性がある。また、接触面圧が高くなって温度が上昇すると、ブレーキライニング1とブレーキディスク11の摩耗量が増加し、ブレーキディスク11のき裂発生などの原因となり得る。したがって、ブレーキライニング1やブレーキディスク11の耐久性を確保するためには、制動中における両者の接触面圧を低減することが重要である。
特に新幹線に代表される高速車両では、制動中の温度上昇によりブレーキディスク11が変形するため、ブレーキライニング1とブレーキディスク11の接触面圧がより高くなる傾向にある。
図8は新幹線用ブレーキディスクにおいて、制動中のブレーキディスクとブレーキライニングの接触状態を模式的に示す半径方向−軸方向断面図である。
高速状態から制動力が負荷されると、ブレーキディスク11の摺動面11a近傍の温度が上昇して、ブレーキディスク11は、図8に示すように凸型に変形する。ブレーキディスク11がこのように変形すると、凸の頂点近傍でのみブレーキライニング1とブレーキディスク11が接触することになり、接触面積が減少して接触面圧が局所的に増加する。
そこで、図9に示すように、摩擦部材3を複数個に分割して配置し、ブレーキキャリパからの押し付け力が、それぞれの摩擦部材3に均等に負荷される構造とすることで、ブレーキライニングとブレーキディスクの接触面圧を低減する技術が、特許文献1に開示されている。なお、図9中の22はブレーキディスク摺動面の半径方向中央位置を示す。
特表平10−507250公報
しかしながら、特許文献1で開示された技術的思想は、摩擦部材を複数個に分割して配置しているものの、分割した摩擦部材の配置位置について、ブレーキ負荷によるブレーキディスクの変形までは考慮されていない。したがって、当然、図9のようにブレーキディスク摺動面の半径方向中央位置にも摩擦部材が配置されることになる。
図9のように、ブレーキディスク摺動面の半径方向中央位置に摩擦部材が配置されると、ブレーキディスクが凸型に変形した場合には、凸の頂点でブレーキライニングとブレーキディスクが接触し、その部分で接触面圧が高くなる可能性がある。
本発明が解決しようとする問題点は、制動中におけるブレーキライニングとブレーキディスクの接触面圧を低減してそれぞれの耐久性の向上を図るに際し、従来は、ブレーキディスクの変形を考慮して、摩擦部材の配置、及びブレーキライニングの押し付け負荷位置の適正化を図ったものはなかったという点である。
ブレーキキャリパからブレーキライニングへの押し付け力を、ブレーキライニングとブレーキディスクの接触面全体、特にブレーキディスクの半径方向に広く分散させれば、高速からの制動でブレーキディスクが変形した状態でも両者の接触面圧を低減できる。
かかる着想に基づき、発明者らは以下のような本発明を成立させた。
すなわち、本発明の鉄道車両用ブレーキライニングは、
高速からの制動でブレーキディスクが変形した状態でも、ブレーキライニングへの押し付け力をブレーキライニングとブレーキディスクの接触面全体に、特にブレーキディスクの半径方向に分散させて両者の接触面圧を低減するために、
車輪の両側面または車軸に取り付けられたブレーキディスクの摺動面に、ブレーキキャリパによって押し付けられる鉄道車両用ブレーキライニングであって、
前記ブレーキディスクの摺動面に接触すべく押し付けられる摩擦部材と、
この摩擦部材を支えると共に前記ブレーキキャリパに取り付けるための裏板を備え、
前記摩擦部材は、前記ブレーキディスクの摺動面における半径方向中央位置に対応する部位であるブレーキライニングの中央で、半径方向内周側と外周側に分割されており、
これら分割されたそれぞれの摩擦部材と前記裏板との間に、前記ブレーキキャリパからの押し付け力を分散して前記それぞれの摩擦部材に伝える押し付け力分散部をさらに備えたことを最も主要な特徴としている。
本発明の鉄道車両用ブレーキライニングでは、ブレーキディスク摺動面の半径方向中央位置に対応する部位であるブレーキライニングの中央で、半径方向の内周側と外周側に摩擦部材を分割しているので、ブレーキディスクの変形に摩擦部材を追従させることが出来る。
ここで、摩擦部材を半径方向の内周側と外周側に分割するとは、本願発明では、少なくとも摩擦部材のブレーキディスクと接触する部分が、その半径方向中央部(ライニング中央)においてスリット状に分割されているものを言うこととする。したがって、完全に分割されているものと、途中までしか分割されていないものの両方を含む概念として用いるが、変形容易という点では、摩擦部材が完全に分離されている方がより望ましいことは言うまでもない。
なお、この分割位置は少しずれた位置でも良い。分割位置がずれている場合、そのずれ量は、半径方向の内周側と外周側にそれぞれ10mmの範囲内にあるのが好ましい。
また、本発明の鉄道車両用ブレーキライニングでは、摩擦部材と裏板との間に押し付け力分散部をさらに備えているので、ブレーキキャリパからブレーキライニングへの押し付け力を分散してそれぞれの摩擦部材に伝えることができる。
以上の相乗効果により、本発明の鉄道車両用ブレーキライニングでは、ブレーキライニングとブレーキディスクの接触面圧が高くなるのを効果的に抑制することができ、その結果、ブレーキライニングとブレーキディスクの耐久性が向上する。
本発明の鉄道車両用ブレーキライニングにおいて、ブレーキライニングとブレーキディスクの接触領域を確保するためには、前記押し付け力分散部は半径方向の内周側と外周側に分割された摩擦部材にそれぞれ複数個ずつ設けることが望ましい。
この場合は、押し付け力分散部のブレーキディスク周方向幅は、複数個の合計値として、摩擦部材の幅とほぼ同じとするのが好ましいが、少なくとも摩擦部材の幅の1/2以上とするのが好ましい。
これら複数個ずつ設けた押し付け力分散部は、均等に配置するのが好ましいが、ブレーキディスクの内周側と外周側で同じ数にする必要はない。また、ブレーキディスクの周方向にも完全に均等でなくても良い。
この押し付け力分散部を、裏板側を頂部とするアーチ状とした場合は、ブレーキキャリパからの押し付け力を半径方向に4箇所に分散できるため、接触面圧の低減効果がさらに大きくなる。
以上の押し付け力分散部は、裏板あるいは摩擦部材とは一体に形成されたものでも、別の部材を両者の間に挿入して固定するものでも良い。別の部材の場合は、例えばリング状のものなど様々なものが適用できるが、皿ばねなどばねの特性を有するものを用いると、より摩擦部材が変形しやすくなって効果が大きい。
なお、押し付け力分散部が別の部材の場合は、通常、その中央部付近でボルトやリベットなどで摩擦部材および裏板に取り付けられる。但し、例えば押し付け力分散部の中央部で摩擦部材を分割する場合(周方向に分割された複数の摩擦部材と一つの押し付け力分散部が結合された場合)等は、分割されたぞれぞれの摩擦部材と押し付け力分散部および裏板をボルト、リベットなどで締結すればよい。
裏板と押し付け力分散部との接触位置は、前記ブレーキライニング中央から20mm以上離れているのが好ましく、30mm以上離れているのがより好ましい。この接触位置がブレーキライニングの中央に近過ぎると、押し付け力の分散効果が薄れてしまうからである。
また、この接触位置は、ブレーキディスクの半径方向の内周側と外周側で同じである必要はないが、押し付け力を内周側と外周側で均等に分散するためには、内周側と外周側で接触位置の差は小さい方が良く、10mm以内とするのが好ましい。
以上の押し付け力分散部は、その強度を十分に確保するためには、2mm以上の厚さとすることが好ましい。
上述の押付け力分散部は、強度、剛性、加工性の観点から、鉄鋼材料を用いるのが適当であるが、これらの性能が満足されるならば非鉄金属材料、非金属材料を用いても良い。
また、摩擦部材をブレーキディスクの周方向にも分割すると、よりブレーキライニングとブレーキディスクの接触面圧を低減することが可能になる。しかしながら、過剰に分割すると構造が複雑となるため、8分割以下とするのが好ましい。
このように摩擦部材をブレーキディスクの周方向にも分割する場合は、周方向に分割された摩擦部材のそれぞれには、少なくとも一つの前記押し付け力分散部が備えられているようにしておくことが好ましい。
本発明の鉄道車両用ディスクブレーキは、
車輪の両側面または車軸に取り付けられたブレーキディスクと、
ブレーキキャリパに取り付けられた前述の本発明のブレーキライニングを備え、
前記ブレーキキャリパにより、前記ブレーキディスクの摺動面に前記のブレーキライニングを押し付けて制動力を得るようにしたものである。
なお、本発明のブレーキライニングの構成要素である摩擦部材には、一般的に使用される焼結系材料、樹脂系材料が適用できる。また、本発明のディスクブレーキの構成要素であるブレーキキャリパは、油圧式、空圧式など様々な方式のものが適用可能である。
本発明によれば、ブレーキライニングとブレーキディスクの接触面圧を効果的に低減することができ、ブレーキライニングとブレーキディスクの摩耗やき裂の発生を軽減することが可能になる。これにより、ブレーキライニングとブレーキディスクの耐久性が向上され、鉄道車両の高速化、大型化に対応できるようになる。
以下、本発明を実施するための各種の形態及び最良の形態について、着想から課題解決に至るまでの経過と共に、図1〜図4を用いて説明する。
高速からの制動中にブレーキライニングとブレーキディスクの接触面圧が局部的に高くなるのは、ブレーキキャリパからの押し付け力が特定の部分に集中することと、ブレーキディスクが温度上昇によって凸型に変形して接触領域が小さくなることに起因している。
この問題に対して、上記のように特にブレーキディスクの半径方向に押し付け力を分散させることができれば、ブレーキキャリパからの押し付け力が特定の部分に集中せず、ブレーキディスクが変形して接触領域が小さくなることを回避することが可能になる。
押し付け力をブレーキディスクの半径方向に分散させるのは、制動中、凸型に変形したブレーキディスクの頂点が、ほぼ摺動面の半径方向中央位置にあるためである。したがって、押し付け力を半径方向中央の内周側と外周側に分散させれば、半径方向中央で接触面圧が高くなるのを防ぐことができる。
このような押し付け力の分散は、たとえばブレーキキャリパにより裏板を押し付けるポイントを、半径方向中央の内周側と外周側に分散させることで可能になると一見思われるが、裏板の剛性が高いために、押し付けるポイントを分散させただけでは、凸型に変形したブレーキディスクに摩擦部材を追従させることは困難である。
したがって、押し付け力の分散は、裏板と摩擦部材の間に押し付け力が分散して負荷されるような部材を挿入することによってのみ可能となる。このような部材を挿入すれば、押し付け力は半径方向の内周側および外周側の摩擦部材から凸型に変形したブレーキディスクに伝わることになり、その結果、ブレーキライニングとブレーキディスクの接触面圧を低下させることができ、それぞれの耐久性の向上につながる。
ただし、前記部材を挿入して押し付け力を分散させても、ブレーキライニングがブレーキディスクの変形に追従して変形できなければ、両者の接触領域を十分に確保することは困難である。したがって、押し付け力を分散させた効果を発揮するためには、摩擦部材が凸型に変形したブレーキディスクに追従するように構成する必要がある。そのためには、ブレーキディスク摺動面の半径方向中央位置で摩擦部材を分割し、変形を容易にすることが重要である。
本発明の鉄道車両用ブレーキライニングは、以上の着想及び考察に基づいてなされたものであり、例えば図1に示すように、ブレーキディスク11の摺動面11aの半径方向中央位置22における内周側と外周側に摩擦部材3a,3bを分割させている。そして、これらの分割した摩擦部材3a,3bと裏板2の間に、例えばリング状の押付け力分散部4を挿入し、摩擦部材3a,3bに作用する押し付け力を半径方向2箇所に分散させているのである。
また、図2の例は、図1の押し付け力分散部4に代えて、裏板2側を頂部とする、ブレーキディスク11の半径方向にアーチ状となる押し付け力分散部4を挿入し、摩擦部材3a,3bに作用する押し付け力を半径方向に4箇所に分散させたものである。
また、図3の例は、図2の摩擦部材3a,3bに代えて、さらにブレーキディスク11の周方向にも内周側の摩擦部材3aは4分割、外周側の摩擦部材3bは5分割し、かつ、それぞれの摩擦部材3a,3bの半径方向中央位置で、ブレーキディスク周方向に溝5を設けたものである。
また、図4の例は、図3の押し付け力分散部4に代えて、外周側の中央に位置する摩擦部材3bを除いて、それぞれ隣り合う摩擦部材3aと3a、3bと3bで1つの押し付け力分散部4を設けたものである。
このように、摩擦部材3a,3bの半径方向中央位置で、ブレーキディスク周方向に溝5を設けた場合には、摩擦部材3a,3bがブレーキディスク11の摺動面11aの半径方向により変形しやすくなるので、ブレーキライニングとブレーキディスクの接触面圧の抑制効果がさらに向上する。
このとき、より効果を発揮するためには、溝5の深さは摩擦部材3a,3bの板厚に対して0.5倍以上とするのが好ましく、摩擦部材3a,3bの強度を確保するためには0.9倍以下とするのが好ましい。
なお、溝5を設けることに代えて、摩擦部材3a,3bの半径方向中央位置で完全に分割すれば、接触面圧の抑制効果はさらに向上することは言うまでもない。
上記本発明のブレーキライニングを、ブレーキキャリパにより車輪または車軸に取り付けられたブレーキディスクの摺動面に押し付けて制動力を得るディスクブレーキでは、ブレーキライニングとブレーキディスクの接触面圧を効果的に低減でき、ブレーキライニングとブレーキディスクの摩耗やき裂の発生を軽減することが可能になる。これにより、ブレーキライニングとブレーキディスクの耐久性が向上する。これが本発明の鉄道車両用ディスクブレーキである。
以上の図1〜図3に示した本発明のブレーキライニング(本発明例1〜14)とブレーキディスクの接触面圧を評価するため、有限要素解析を行った結果について説明する。有限要素解析では、ブレーキライニングとブレーキディスクを弾性体でモデル化し、ブレーキライニングの背面からブレーキキャリパからの押付け力相当の荷重を与えた。
比較として、図7に示した押付け力が分散せず摩擦部材に負荷される従来型のブレーキライニング(比較例1)と、図9に示した摩擦部材を18個に分割し、それぞれの摩擦部材に等分布に押し付け力が負荷される構造としたブレーキライニング(比較例2)についても有限要素解析を行った。
本発明の目的は、ブレーキライニングとブレーキディスクの耐久性を向上することにあり、両者の耐久性はブレーキライニングとブレーキディスクの接触面圧が低いほど高くなると考えられるため、ここでは、制動中の変形状態を対象に、有限要素解析で求めた最大接触面圧で評価することとした。
ここで、摩擦部材3に作用する押し付け力の位置は、図1〜図3に示すように、ブレーキディスク摺動面の半径方向中央位置22を基準に決定した。
A点は、裏板2と押し付け力分散部4の接触部において、ブレーキディスク摺動面の半径方向中央位置22に近い側の端点を表す。B点は、押し付け力分散部4をアーチ状としたときの、ブレーキディスク摺動面の半径方向中央位置22に近い側の押し付け力分散部4と摩擦部材3a,3bの接触部端を、C点は、同じく遠い側の押付け力分散部4と摩擦部材3a,3bの接触部端を表す。
また、d1は、ブレーキディスク摺動面の半径方向中央位置22からA点までの距離を表す。d2は、A点とB点のブレーキディスク半径方向距離を、d3は、A点とC点のブレーキディスク半径方向距離をそれぞれ表す。
すべては新幹線用ブレーキライニングを対象とし、ブレーキライニングの長手方向長さは400mm、幅方向長さは130mmとした。また、図1に示したリング状の押付け力分散部4は、厚さが2mm、外径が20mmで、外周側の摩擦部材3aには10個を等間隔に、内周側の摩擦部材3bには8個を等間隔にそれぞれ配置したものとした。また、図2,3に示したアーチ状の押付け力分散部4は、厚さが3mm、アーチの高さが1mm、ブレーキディスク11の半径方向の長さが45mmで、ブレーキディスク11の周方向の長さは、内周側に配置するものが45mm、外周側に配置するものが65mmとした。そして、外周側の摩擦部材3aには5個を等間隔に、内周側の摩擦部材3bには4個を等間隔にそれぞれ配置したものとした。
ブレーキライニングを構成する材料は、裏板が鉄鋼材料、摩擦部材が銅焼結合金とした。ブレーキ条件は360km/hからの非常ブレーキ相当で、押し付け力を20kNとして最もブレーキディスクが変形した状態を対象とした。ブレーキディスクは鍛鋼製ブレーキディスクであり、ブレーキライニングと接触する摺動面の外径が720mm、内径が465mmである。
下記表1に評価したブレーキライニングをまとめて示す。また、下記表2に、各ブレーキライニングについて有限要素解析で求めた最大接触面圧をそれぞれ示す。
Figure 2007155107
Figure 2007155107
表2より、本発明例は、いずれも押し付け力が半径方向に分散され、摩擦部材がブレーキディスクの摺動面中央で分割されているため、従来型のブレーキライニングである比較例1と比べて最大接触面圧が大幅に低くなることが分かる。また、比較例2のブレーキライニングと比べても、最大接触面圧が低く、耐久性が向上されることが分かる。
図5に、本発明例1〜5における最大接触面圧とd1との関係を示す。図5より、d1が大きくなるに従って最大接触面圧は低減されること、d1を20mm以上とするとよりその効果が大きくなるが、30mm以上とすると最大接触面圧はあまり変化しなくなることが分かる。
図6に、押し付け力分散部にアーチ状のものを用いた本発明例6〜11における最大接触面圧とd1との関係を示す。図6より、d1が大きくなるに従って最大接触面圧は低減されること、d1を20mm以上とするとよりその効果が大きくなり、35mmで最大接触面圧が最も低減されることが分かる。
図5と図6を比較すると、同じd1でもアーチ状の押し付け力分散部を用いた本発明例6〜11の方が、本発明例1〜5に比べて最大接触面圧が低減されることが分かる。
また、本発明例9に対して、摩擦部材を周方向にも分割した本発明例12,13は、より最大接触面圧が低くなり、本発明例13に対して、摩擦部材の中央にブレーキディスク周方向に溝をつけた本発明例14は、さらに最大接触面圧が低減されていることが分かる。
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範囲内で、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
押し付け力分散部の形状は、前記の例に示された形状に限らず、また、設置数も半径方向中央(ライニング中央)より内周側と外周側にそれぞれ少なくとも1つ設けられていれば良い。例えば押し付け力分散部は、分割された摩擦部材とほぼ相似形で摩擦部材より小さめに形成したものでも良く、また、複数に分割されていても良い。
また、前記の例では、ボルトあるいはリベットで裏板と摩擦部材の間に押し付け力分散部を締結することとしたが、それに限らず、裏板あるいは摩擦部材に突起状に予め一体化されたものでも良く、予め何れかに何らかの手段にて結合されていても良い等である。
以上の本発明は、鉄道車両用のブレーキディスクに限らず、自動車や自動二輪車等のブレーキディスクであっても適用できる。
(a)は本発明の第1のブレーキライニングを摩擦部材側から見た平面図、(b)は(a)図のA−B断面図である。 (a)は本発明の第2のブレーキライニングを摩擦部材側から見た平面図、(b)は(a)図のA−B断面図である。 (a)は本発明の第3のブレーキライニングを摩擦部材側から見た平面図、(b)は(a)図のA−B断面図である。 本発明の第4のブレーキライニングを摩擦部材側から見た平面図である。 本発明例1〜5における最大接触面圧とd1との関係を示す図である。 本発明例6〜11における最大接触面圧とd1との関係を示す図である。 (a)は従来型のブレーキライニングを摩擦部材側から見た平面図、(b)は(a)図のA−B断面図である。 新幹線用ブレーキディスクにおける制動中のブレーキディスクとブレーキライニングの接触状態を模式的に示す半径方向−軸方向断面図である。 摩擦部材を複数個に分割して配置したブレーキライニングを摩擦部材側から見た平面図である。
符号の説明
1 ブレーキライニング
2 裏板
3 摩擦部材
4 押し付け力分散部
11 ブレーキディスク
11a 摺動面
22 ブレーキディスク摺動面の半径方向中央位置

Claims (8)

  1. 車輪の両側面または車軸に取り付けられたブレーキディスクの摺動面に、ブレーキキャリパによって押し付けられる鉄道車両用ブレーキライニングであって、
    前記ブレーキディスクの摺動面に接触すべく押し付けられる摩擦部材と、
    この摩擦部材を支えると共に前記ブレーキキャリパに取り付けるための裏板を備え、
    前記摩擦部材は、前記ブレーキディスクの摺動面における半径方向中央位置に対応する部位であるブレーキライニングの中央で、半径方向内周側と外周側に分割されており、
    これら分割されたそれぞれの摩擦部材と前記裏板との間に、前記ブレーキキャリパからの押し付け力を分散して前記それぞれの摩擦部材に伝える押し付け力分散部をさらに備えたことを特徴とする鉄道車両用ブレーキライニング。
  2. 前記押し付け力分散部は、前記分割された摩擦部材にそれぞれ複数個ずつ設けられていることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用ブレーキライニング。
  3. 前記押し付け力分散部は、前記裏板側を頂部とするアーチ状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道車両用ブレーキライニング。
  4. 前記押し付け力分散部は、前記裏板あるいは前記摩擦部材とは別の部材を両者の間に挿入して固定するものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の鉄道車両用ブレーキライニング。
  5. 前記の押し付け力分散部と裏板との接触位置と、前記ブレーキライニング中央との距離が20mm以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の鉄道車両用ブレーキライニング。
  6. 前記摩擦部材は、ブレーキディスクの周方向にも分割されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の鉄道車両用ブレーキライニング。
  7. 前記周方向に分割された摩擦部材のそれぞれには、少なくとも一つの前記押し付け力分散部が備えられていることを特徴とする請求項6に記載の鉄道車両用ブレーキライニング。
  8. 車輪の両側面または車軸に取り付けられたブレーキディスクと、
    ブレーキキャリパに取り付けられた請求項1〜7の何れかに記載のブレーキライニングを備え、
    前記ブレーキキャリパにより、前記ブレーキディスクの摺動面に前記のブレーキライニングを押し付けて制動力を得るようにしたことを特徴とする鉄道車両用ディスクブレーキ。
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