JP2012177178A - 金属回収方法及び金属回収装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 対象となる金属を効率的に回収するとともに、材料密度が高い状態で対象金属を回収可能とする。
【解決手段】 液体中にプラズマを発生させる工程と、レアメタル又は貴金属を含む材料を液体に投入する工程と、材料がプラズマの照射を受けて分解し、粒子化して、液体中に沈殿する工程と、沈殿したレアメタル又は貴金属のナノ粒子を回収する工程とを有した。
【選択図】 図5

Description

本発明は、レアメタルや貴金属などを回収する金属回収方法、及び、それら金属を回収するための金属回収装置に関し、特に、マイクロ波液中プラズマ装置を用いて、白金担持触媒製造に必要な白金あるいはその他の貴金属、レアメタルなどを、自動車用排ガス処理装置(三元触媒)、電子部品その他から回収するのに好適な金属回収方法及び金属回収装置に関する。
近年、資源のリサイクル化が進められる中、レアメタル(希少金属)や貴金属を廃棄物から回収する技術について種々提案されている。
例えば、液晶ディスプレイなどの廃棄物として出される導電性ITO膜のついたガラス板から、レアメタルであるインジウムを取り出す技術がある(例えば、特許文献1参照。)。具体的に、この方法は、ガラスを砕き、ベルトコンベアに載せ、マイクロ波を照射する。マイクロ波は、ガラスへはほとんど吸収されないが、導電性膜には良く吸収され、導電性膜をジュール熱により発熱させる。この発熱をITO膜の蒸発温度よりも高くなるようにマイクロ波電力を印加することによって、結果的に膜を蒸散させ、インジウムを酸化インジウムスズの蒸発物として回収しようとするものである。
特開2006−159100号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術においては、次のような問題があった。
例えば、同技術では、インジウムを回収の対象金属としている。そして、このインジウムを、膜という凝縮した状態から、一旦、蒸気へと転移させているが、このように一度拡散した蒸気を効率良く回収することは、決して容易なことではない。
また、このように真空中あるいは大気中に金属あるいは金属化合物の蒸気を発生させて金属を回収する方法では、材料密度が極めて粗になる。すなわち、材料密度が極めて低くなるため、それを回収することが困難であり、また、そのままの状態では後工程での処理が行えない。よって、後工程での処理が容易となるように、さらなる加工が必要となっていた。
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、対象となる金属及び金属化合物を効率良く回収するとともに、材料密度が高い状態で対象金属を回収して、後工程での処理を容易とするための加工を不要とする金属回収方法及び金属回収装置の提供を目的とする。
この目的を達成するため、本発明の金属回収方法は、液体中にプラズマを発生させる工程と、レアメタル又は貴金属を含む材料を液体に投入する工程と、材料がプラズマの照射を受けて分解し、粒子化して、液体中に沈殿する工程と、沈殿したレアメタル又は貴金属のナノ粒子を回収する工程とを有した方法としてある。
また、本発明の金属回収装置は、液体が入った容器と、端部が液体の内部に配置された電極と、この電極に電磁波を供給する電磁波供給路とを備え、液体の内部における電極の端部の周囲にプラズマを発生させて、液体に供給されたレアメタル又は貴金属を含む材料を分解し、レアメタル又は貴金属を粒子化して、液体中に沈殿させる構成としてある。
本発明の金属回収方法及び金属回収装置によれば、液中でプラズマを発生させて金属を回収するため、材料密度を落とすことなく、対象となる金属を効率良く回収することができる。
また、材料密度を落とすことなく対象金属を回収できるため、後工程の処理を容易にするための加工が不要となる。
さらに、本発明の金属回収方法を実行した場合には、従来の金属回収方式を行った場合に比べて、単位時間当たりの処理量が多い。よって、所望の処理量の対象金属を、短時間で回収することができる。
本発明の実施形態における金属回収装置の構成を示す模式図である。 マイクロ波電力の波形を示す波形図である。 同軸導波管変換器と液中プラズマ源の構成を示す縦方向断面図である。 本発明の実施形態における金属回収方法の手順を示すフローチャートである。 本発明の金属回収方法を実施したときに、容器内でナノ粒子が生成される様子を示す模式図(容器内)及び縦方向断面図(同軸導波管変換器、液中プラズマ源)である。
以下、本発明に係る金属回収方法及び金属回収装置の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
[金属回収装置]
まず、本発明の金属回収装置の実施形態について、図1を参照して説明する。
同図は、本実施形態の金属回収装置の構成を示す模式図である。
同図に示すように、金属回収装置1は、マイクロ波発振器10と、導波管20と、容器30と、液中プラズマ源40とを備えている。
ここで、マイクロ波発振器10は、マグネトロンボックス11と、マイクロ波電源12と、マイクロ波電源コントローラ13とを有している。
マグネトロンボックス11は、マイクロ波を生成して出力する。
マイクロ波電源12は、マグネトロンボックス11にマイクロ波生成用の電力を供給する。
マイクロ波電源コントローラ13は、マイクロ波電源12に信号を送って、マイクロ波の出力などを調整・制御する。
なお、図1においては、マグネトロンボックス11、マイクロ波電源12、マイクロ波電源コントローラ13をそれぞれ別構成で示したが、別構成に限るものではなく、これらを一体構成とすることができる。
また、マイクロ波は、一般に、波長が100μm〜1m、周波数が300MHz〜3THzの電磁波をいう。
導波管20は、マイクロ波発振器10から出力されたマイクロ波を容器30へ伝送する。
導波管20には、アイソレータ21、パワーメータ22、チューナ23などの立体回路を取り付けることができる。
アイソレータ21は、負荷から反射してきたマイクロ波が再びマグネトロンへ戻らないように、ダミーロードで吸収し、熱に変換する。
パワーメータ22は、出射、反射それぞれのマイクロ波電力を測定する。
チューナ23は、負荷インピーダンスの整合を行なう。
チューナ23には、スリースタブチューナと、EHチューナがある。
スリースタブチューナは、三本のスタブを調整して、負荷の消費電力を最大にする。
EHチューナは、導波管20のE分岐とH分岐にプランジャを設け、これを出し入れすることで、チューニングをとる。
なお、金属回収装置1を実施する場合は、スリースタブチューナとEHチューナのいずれを用いてもよい。
また、導波管20の終端には、可変式の短絡板(プランジャ24a)を備えた終端プランジャ24を設けることができる(図1、図3参照)。終端プランジャ24は、プランジャ24aの位置をマイクロ波の伝送方向に可変することで、同軸導波管変換器25(後述)に対して、定在波が最適となるように調整できるようになっている。
さらに、導波管20の上流側には、オリフィス26が設けられている(図3参照)。オリフィス26は、導波管20の管体内部に設けられたドーナツ型の板部材であり、リアクタンスとして動作する。
そして、プランジャ24a、オリフィス26、同軸導波管変換器25は、共振条件を形成する。このため、プランジャ24aの位置や、オリフィス26の位置及び形状は、効率よくマイクロ波が液中プラズマ源40に供給されるように調整される。
なお、導波管20によるマイクロ波の伝送経路を直交方向へ曲げたいときは、コーナ導波管(図示せず)などを用いることができる。
また、導波管20は、同軸導波管変換器25を有している。この同軸導波管変換器25の構造については、後記の「液中プラズマ源」で詳述する。
容器30は、液体を入れる箱状の器である。この容器30に収められた液体の中でプラズマを発生させる。
この容器30は、化学的な耐性を備える、例えば、テフロン(登録商標)などの樹脂やガラスで形成することが望ましい。
なお、テフロン(登録商標)製の容器30の外側に、ステンレス容器を備えたり、金属製の容器の内側にテフロン(登録商標)塗装を施して使用することもできる。金属製の容器を使うことにより、マイクロ波の漏洩を防止できる。
(液体への供給電力)
次に、液体に供給される電力について、説明する。
液体には、この液中にプラズマを発生させて金属を回収するための電力が供給される。
この電力は、直流パルスではなく、2.45GHz、5.8GHz、9.5GHz帯などの周波数スペクトルが単一のマイクロ波である。このため、共振構造、伝送路インピーダンスの最適化などにより、高い電力供給効率が可能となる。
液中プラズマでは、従来技術として直流パルスによる放電の例がある。
直流パルスは、基本周波数およびその奇数倍のきわめて広範囲の周波数成分を含むので、伝送路および負荷(液体のインピーダンス)との完全な整合が難しく、結果として反射電力が大きく、負荷への電力供給効率は低くなる。
一方、駆動電力をマイクロ波にすることで、電力供給効率を上げることができる。
すなわち、マイクロ波は単周波数なので、伝送路および電極のインピーダンス整合が比較的容易であり、さらに電極を誘電体で覆うなど無電極化することが可能になり、装置寿命、生成物への電極金属汚染などの問題をも解決することができる。
マイクロ波は、理論的には無反射にすることも可能であり、この場合の負荷への電力供給効率は、マグネトロンの発振効率のみが最も大きな損失となるだけなので、電力効率は、70%近くになる。この数値は、他の電力供給方法と比較して極めて高い効率である。
また、直流パルスにおいては、液体の導電率を制御する必要がある。これは、導電率が低い場合は液体に余計な電解質を混入する必要があること、あるいは、既に導電率が必要よりも高い場合にはプラズマを得ることができないことを意味する。
これに対して、マイクロ波は、水の大きな比誘電率(約80)と大きな誘電正接(約10)によりエネルギーを吸収させてプラズマを生じさせるので、このような導電率の制御は不要であり、よって、不純物を入れる必要もなく、多くの物質に適用できる。液体として、水が適当であることも、他方式に対する特長となる。
マイクロ波電力は、図2に示すように、複数周期を一パルスとするパルス状あるいは定常波のいずれも可能である。
定常的に過大なマイクロ波電力をプラズマ源に投入すると、その電力により激しい発熱が生じ、電極が破壊する。しかるに、プラズマが生じるための電力は高く、試作機では、2kW以上のピークパワーを必要とした。この相反する要求を同時に実現するためには、電力供給は始動時に大電力を印加し、維持は低電力とすること、あるいはマイクロ波パルスであることが必要になる。プラズマを低電力で維持するためには、伝送路インピーダンスの整合も重要である。
一方、マイクロ波パルスのパルス幅を1μ秒よりも短くすれば、プラズマはコロナ放電すなわち非熱平衡プラズマとなり、温度上昇が抑えられ、電極の損耗は著しく少なくなる。しかし、液体に与えられるエネルギーは小さくなるため、反応速度が遅くなるか、または条件によっては金属が回収されない可能性がある。
(液中プラズマ源)
次に、液中プラズマ源の構成について、図3を参照して説明する。
同図は、液中プラズマ源の構成を示す縦方向断面図である。
なお、本実施形態においては、同軸導波管変換器25の同軸管41が液中プラズマ源40に含まれるものとする。
液中プラズマ源40は、導波管20を伝搬してきたマイクロ波を容器30内の液体に供給するための装置である。
この液中プラズマ源40は、同図に示すように、同軸管41と、絶縁部材42とを備えている。
同軸管41は、同軸導波管変換器25の一部を構成しており、導波管20からマイクロ波を受けて伝送させる。
一般に、同軸導波管変換器25では、導波管20(管体27)と同軸管41とが直交に接続されている。このため、マイクロ波は、管体27から同軸管41に伝わるときに、その伝送方向を直交方向に変えて伝わっていく。
この同軸管41は、同軸管構造で形成されており、外部導体(外部電極)43と、内部導体(中心電極)44とを有している。
外部導体43は、同軸導波管変換器25の管体27の下部27aから外方(下方)に向かって突設された管状部材である。
この外部導体43の中心軸方向は、同軸導波管変換器25の管体27の中心軸に対して直交する方向であるとともに、その管体27の下部27aに対して垂直下方向である。
この外部導体43の内径は、特性インピーダンスが水に適合する寸法にしてある。特性インピーダンスは、管の内外径比により変更できる。よって、負荷(プラズマ)に整合するよう調整することが可能である。
外部導体43の下側端面43aには、この外部導体43の管状中空部下端部の開口43bが形成されている。そして、下側端面43aにおける開口43bの周縁に沿って耐熱部材43cが取り付けられている。
耐熱部材43cは、プラズマ熱により外部導体43が損耗し、下側端面43aの開口43bの径が大きくなるのを防いでいる。
内部導体44は、筒状の部材であって、外部導体43の管状中空部に、外部導体43と同軸で配置されている。つまり、内部導体44の筒状の中心軸と外部導体43の中心軸とは同一であり、内部導体44の中心軸方向は、同軸導波管変換器25の管体27の下部27aに対して垂直方向である。
内部導体44の下側の端部は、先細りのテーパ状に形成されており、その先端44aが、外部導体43の下側端面43aの開口43bから露出している。この内部導体44の端部を先細りのテーパ状とするにより、この先端44aに電界を集中させ、電界強度を上げることができる。
そして、内部導体44の先端44aを液中に露出させることで、その液中にプラズマを発生させることができる。
内部導体44の上側の端部は、同軸導波管変換器25の管体27の上部27bから突き抜けた状態となっており、この内部導体44の筒状中空部上端部の開口(スラリー投入口44b)が管体27の上部27bから露出している。
そして、その内部導体44の上端部の開口がスラリー状の材料を投入するスラリー投入口44bを構成しており、このスラリー投入口44bから投入されたスラリー状の材料は、内部導体44の筒状中空部であるスラリー通路44cを通過(落下)して、容器30の液体に投入されるようになっている。
このように内部導体44の軸方向を垂直方向に配置するとともに、内部導体44の筒状中空部をスラリーの通るスラリー通路44cとすることにより、スラリー状の材料がスラリー通路44cの中で停留することなくスムーズに流れ落ち、液体に投下されて速やかに処理されることが可能となる。
この内部導体44は、金属などの導電体で形成されている。特に、先端44aは、プラズマの熱を受け損傷するおそれがあるので、タングステンなど耐熱性の材料(高融点材料)で形成することが望ましい。ただし、必ずしも金属である必要はなく、例えば、誘電体を用いて作成することもできる。誘電体で内部導体44を作成すれば、金属が液中に露出しないので、金属不純物の混入を減少できる。
絶縁部材42は、外部導体43の下部内面43dと内部導体44の下部外面44dとの間に設けられた環状部材である。
この絶縁部材42を設けた理由は、次による。
本実施形態の液中プラズマ源40は、容器30の液体に対して上方から入水するため、その液体よりも上方に位置する。よって、外部導体43と内部導体44との間に液体が進入することは考えにくく、これを防止する手段も特に設ける必要はないものとも言える。
ところが、プラズマ発生時に生じる衝撃波により、液体の水面は激しく波立つので、飛沫が同軸管41や管体27にまでおよび、これが汚れとなって付着し、金属腐食の原因となる。
そこで、液体の水面の上下動や飛沫による汚損を防ぐために、外部導体43と内部導体44との間に、絶縁部材42を挿入するものである。
この絶縁部材42は、必ずしも外部導体43や内部導体44に密着している必要はないが、プラズマ発生時の衝撃波と熱に耐える必要がある。そのため、材料としては、セラミックやガラスなどが適当である。
なお、導波管20及び同軸導波管変換器25は、電極である内部導体(中心電極)44及び外部導体(外部電極)43にマイクロ波(電磁波)を供給することから、「電磁波供給路」としての機能を有している。
[金属回収方法]
次に、本実施形態の金属回収装置を用いて金属を回収する手順(金属回収方法)について、図4、図5を参照して説明する。
図4は、その金属を回収する手順を示すフローチャートである。図5は、本発明の金属回収方法を実施したときに、容器内でナノ粒子が生成される様子を示す模式図(容器内)及び縦方向断面図(液中プラズマ源)である。
容器30に、液体(例えば、水)を所定量投入する。また、この液体に、分散剤を所定量投入し、溶けた状態にする(液体投入工程、分散剤投入工程、ステップ10)。
分散剤は、ナノ粒子どうしの凝集を防止する働きがある。この分散剤としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロドリン(PolyVinylPyrrolidone:PVP)、3−メルカプトプロピオン酸(CS)、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミン、ポリアクリル酸等を例示することができる。
なお、液体は、水に限る必要はない。有機溶剤、さらには無極性溶剤でもプラズマが生じることが確認されている。液体は、プロセス、後工程などの諸条件によって選択されるべきである。
この液体の入った容器30を液中プラズマ源40の下方に設置し、この容器30を上方へ移動して(または、液中プラズマ源40を下方へ移動して)、液中プラズマ源40の下端部を液体の液面から入れ、その液中プラズマ源40の内部導体44の先端44a(又は、外部導体43の下側端面43a)をその液面から所定の深さのところに位置させる(液中プラズマ源セッティング工程、ステップ11)。
液中プラズマ源40のセッティングが終わると、マイクロ波電源12の電源スイッチを投入して(ONにして)、マグネトロンボックス11に電力を供給する。
マグネトロンボックス11は、マイクロ波電源12からの電力の供給を受けて、マイクロ波を生成し出力する。このマイクロ波は、マイクロ波電源コントローラ13で調整された値を示す。また、マイクロ波は、図2に示すように、複数周期を一パルスとするパルス状に形成されたもの、あるいは定常波(CW波)である。
導波管20は、マグネトロンボックス11から出力されたマイクロ波を伝送し、同軸導波管変換器25の内部に設けられた同軸管41へ送る。
そして、内部導体44の先端44aに、マイクロ波の電界が集中し、容器30に投入された液体の中で、その先端44aの周囲にプラズマが発生する(プラズマ発生工程、ステップ12)。
一方、用意した材料を、細かく破砕(又は粉砕)し、溶液に溶かしてスラリー状にする(スラリー生成工程、ステップ13)。材料には、例えば、自動車用排ガス処理装置(三元触媒)、電子部品その他の物、廃棄物などを用いることができる。また、レアメタルや貴金属の金属単体を含むものを材料とすることができる。さらに、レアメタルや貴金属の金属単体は含まないが、それらレアメタルや貴金属のイオンを含む酸化物や錯体も、材料とすることができる。
なお、レアメタルには、リチウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、パラジウム、インジウム、アンチモン、テルル、セシウム、バリウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金、タリウム、ビスマス、希土類(レアアース)が含まれる。
また、希土類元素(レアアース)には、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムが含まれる。
さらに、貴金属には、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムが含まれる。
スラリー状の材料を、液中プラズマ源40のスラリー投入口44bに投入する(スラリー投入工程、ステップ14)。投入されたスラリーは、内部導体44のスラリー通路44cを通って、容器30内の液体に供給される。
液体中で、スラリーは、液中プラズマ源40の内部導体44の先端44aで発生しているプラズマの照射を受け、原子まで分解されて、液中に放出される(プラズマ照射工程、ナノ粒子生成工程、ステップ15、ステップ16)。
また、液には分散剤が溶かしてある。このため、ナノ粒子どうしは凝集せず、分散された状態で、容器30の底に沈殿する(ナノ粒子沈殿工程、ステップ17)。
所定時間経過後(または、ナノ粒子が所定量生成された後)、マイクロ波電源12からの電力供給を停止し(電源スイッチをOFFにし)、マグネトロンボックス11からのマイクロ波出力を停止して、液体中のプラズマの発生を終了する。
そして、容器30を液中プラズマ源40から外して、その容器30の底に沈殿したナノ粒子を回収する(ナノ粒子回収工程、ステップ18)。
なお、ステップ16においては、ナノ粒子を形成する際に表面エネルギーの差により、金属と担持物は、個別にナノ粒子を形成する。
金属は、液中で直ちに金属あるいは金属化合物ナノ粒子となる。この段階で既に金属あるいは金属化合物と担持物は分解され、別々の粒子になっているので、比重の違いにより、金属あるいは金属化合物と担持物の分離は容易である。分離方法は、比重勾配遠心分離法、湿式比重分離法などが例示される。
こうして回収された金属は、燃料電池用金属担持触媒等、工業用原料として使用することができる。
以上説明したように、本実施形態の金属回収方法及び金属回収装置によれば、材料を粉砕し、スラリー状にして、液中に投入し、液中プラズマ源により液中にプラズマを発生させて、そのスラリー状の材料を分解して粒子化し、液中に沈殿させて回収することができる。
また、材料として自動車用排ガス処理装置(三元触媒)、電子部品その他を用いることで、白金担持触媒製造に必要な白金あるいはその他の貴金属、レアメタルなどを回収することができる。
さらに、プラズマは、真空あるいは大気圧プラズマのように拡散せずに電極先端の極めて狭い領域で生じるので、プラズマに投じたエネルギーは、効率良くナノ粒子の生成に使われる。ナノ粒子の生成を液中で行っていることから、材料密度を落とすことなく、効率的に回収することができる。これは、対象となる金属を蒸発金属として回収することと比較して、非常に効率的である。
しかも、本発明は、従来の金属回収方式に比べて、単位時間当たりの処理量が多い。このため、所望の処理量のナノ粒子を、短時間で回収することができる。
また、分散材が投入された液体の中で、プラズマにより材料を分解していることから、溶液に分散させたかたちでナノ粒子を回収できる。特に、ナノ粒子の扱いは、一般に、溶液に分散させた状態で行う。このことから、回収したナノ粒子の後工程が容易となる。
以上、本発明の金属回収方法及び金属回収装置の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る金属回収方法及び金属回収装置は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、容器を一つのみ備えた構成としたが、容器は、一つに限るものではなく、二つ以上備えることもできる。
また、上述した実施形態では、導波管の構成は、図1に示した構成としたが、この構成に限るものではなく、液体にマイクロ波を供給できるものであれば、任意の構成とすることができる。
さらに、同軸導波管変換器は、プラズマ源からの熱を受けて温度上昇しやすいことから、冷却装置を備えることができる。
本発明は、電磁波によって励起された液中プラズマを用いて金属を回収する技術に関する発明であるため、液中プラズマを発生させて金属を回収する装置や機器に利用可能である。
1 金属回収装置
20 導波管
25 同軸導波管変換器
30 容器
40 液中プラズマ源
41 同軸管
42 絶縁部材
43 外部導体
44 内部導体
44a 先端
44b スラリー投入口
44c スラリー通路

Claims (8)

  1. 液体中にプラズマを発生させる工程と、
    レアメタル又は貴金属を含む材料を前記液体に投入する工程と、
    前記材料が前記プラズマの照射を受けて分解し、粒子化して、前記液体中に沈殿する工程と、
    沈殿した前記レアメタル又は前記貴金属のナノ粒子を回収する工程とを有した
    ことを特徴とする金属回収方法。
  2. 前記液体に材料を投入する工程は、
    前記材料を破砕し、溶液に溶かしてスラリー状にし、このスラリー状にした材料を前記液体に投入する工程である
    ことを特徴とする請求項1記載の金属回収方法。
  3. 前記粒子どうしの凝集を防止する分散剤を、前記液体に予め溶かしておく工程を有した
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の金属回収方法。
  4. 前記プラズマが、電磁波の供給を受けて発生する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属回収方法。
  5. 液体が入った容器と、
    端部が前記液体の内部に配置された電極と、
    この電極に電磁波を供給する電磁波供給路とを備え、
    前記液体の内部における前記電極の端部の周囲にプラズマを発生させて、前記液体に供給されたレアメタル又は貴金属を含む材料を分解し、前記レアメタル又は前記貴金属を粒子化して、前記液体中に沈殿させる
    ことを特徴とする金属回収装置。
  6. 前記電磁波供給路は、
    前記電磁波を伝送する導波管と、
    この導波管による前記電磁波の伝送方向に対して直交する方向へ前記電磁波を伝送させる同軸導波管変換器とを備え、
    この同軸導波管変換器は、外部導体と内部導体が同軸で配置された同軸管を有し、
    この同軸管は、前記導波管による前記電磁波の伝送方向に対して直交する下方向を軸方向として配置されるとともに、下側の端部が前記液体の内部に位置する
    ことを特徴とする請求項5記載の金属回収装置。
  7. 前記内部導体は、筒状に形成されるとともに、軸方向が垂直方向に配置され、筒状中空部の下側開口が前記液体の内部に位置し、前記筒状中空部の上側開口が前記同軸導波管変換器の上部から露出して、前記材料の投入口を構成する
    ことを特徴とする請求項6記載の金属回収装置。
  8. 前記外部導体の下部内面と前記内部導体の下部外面との間に、前記液体の進入を防ぐ絶縁部材を設けた
    ことを特徴とする請求項6又は7記載の金属回収装置。
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