JP2012177035A - リグニン誘導体、リグニン二次誘導体、リグニン樹脂組成物、プリプレグおよび複合構造体 - Google Patents

リグニン誘導体、リグニン二次誘導体、リグニン樹脂組成物、プリプレグおよび複合構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】反応性に優れ、かつ溶融性または溶媒への溶解性に優れたリグニン誘導体およびリグニン二次誘導体、これらを含み硬化性に優れたリグニン樹脂組成物、耐熱性や機械的特性に優れた複合構造体を製造可能なプリプレグ、およびこのプリプレグを硬化してなる複合構造体を提供すること。
【解決手段】本発明のリグニン誘導体は、バイオマスを分解して得られるものであり、H−NMR分析に供されたとき、得られる化学シフトのスペクトルにおいて、芳香族プロトンに帰属するピークの積分値が、脂肪族プロトンに帰属するピークの積分値の15〜50%であることを特徴とするものである。また、本発明のリグニン二次誘導体は、上述のリグニン誘導体にエポキシ基のような反応性基を導入してなるものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、リグニン誘導体、リグニン二次誘導体、リグニン樹脂組成物、プリプレグおよび複合構造体に関するものである。
樹皮、間伐材、建築廃材等の木質系廃材(バイオマス)は、これまでその多くが廃棄処分されている。しかしながら、地球環境保護が重要課題になりつつあり、その観点から、木質系廃材の再利用、リサイクルが検討され始めている。
一般的な木質の主要成分は、セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンである。このうち、約30%の割合で含まれるリグニンは、芳香環や、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基を豊富に含む構造を有しているため、樹脂原料としての利用が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。
このようにリグニンを樹脂原料として利用するためには、木質系廃材からリグニンを単離する必要がある。
特許文献1には、木粉に液体状のフェノール誘導体を浸透させ、木粉中のリグニンをフェノール誘導体により溶媒和させ、次いで、濃酸を添加してセルロース成分を溶解することにより、リグニンを溶媒和したフェノール誘導体と、セルロース成分を溶解した濃酸との2相に分離し、このうちフェノール誘導体相からリグニンフェノール誘導体を抽出する方法が開示されている。
また、特許文献1には、木粉にフェノール誘導体を溶解した溶媒を浸透させた後、溶媒を留去し、その後、残存した木粉に濃酸を添加することにより、フェノール誘導体により溶媒和されたリグニンを得る方法が開示されている。
しかしながら、上記のような方法で製造されたリグニン誘導体では、溶融性および溶解性が低いため、基材等に含浸させる場合、その含浸性に乏しい。また、このようなリグニン誘導体は、架橋硬化させても脆く、機械的特性が低いという問題もある。
特開2001−261839号公報
本発明の目的は、反応性に優れ、かつ溶融性または溶媒への溶解性に優れたリグニン誘導体およびリグニン二次誘導体、これらを含み、基材への含浸性に優れたリグニン樹脂組成物、機械的特性(特に曲げ破断時伸び)に優れた樹脂板を製造可能なプリプレグ、およびこのプリプレグを硬化してなる樹脂板(複合構造体)を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(8)の本発明により達成される。
(1) バイオマスを分解して得られるリグニン誘導体であって、
H−NMR分析に供されたとき、得られるスペクトルにおける芳香族プロトンに帰属するピークの積分値が、脂肪族プロトンに帰属するピークの積分値の15〜50%であることを特徴とするリグニン誘導体。
(2) 前記リグニン誘導体は、水酸基に対して芳香環のオルト位およびパラ位の少なくとも一方が無置換である上記(1)に記載のリグニン誘導体。
(3) 前記リグニン誘導体は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン換算の数平均分子量が200〜2000である上記(1)または(2)に記載のリグニン誘導体。
(4) 上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のリグニン誘導体に、反応性基を導入してなることを特徴とするリグニン二次誘導体。
(5) 前記反応性基は、エポキシ基である上記(4)に記載のリグニン二次誘導体。
(6) 上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のリグニン誘導体および請求項4または5に記載のリグニン二次誘導体のうちの少なくとも一方と、架橋剤と、を含むことを特徴とするリグニン樹脂組成物。
(7) 上記(6)に記載のリグニン樹脂組成物を基材に含浸してなることを特徴とするプリプレグ。
(8) 上記(7)に記載のプリプレグを硬化させてなることを特徴とする複合構造体。
本発明によれば、反応性に優れ、かつ溶融性または溶媒への溶解性に優れたリグニン誘導体およびリグニン二次誘導体が得られる。また、本発明によれば、基材への含浸性に優れたリグニン樹脂組成物、および、機械的特性(特に曲げ破断時伸び)に優れた樹脂板を製造可能なプリプレグおよびこのプリプレグを硬化してなる樹脂板(複合構造体)が得られる。
以下、本発明のリグニン誘導体、リグニン二次誘導体、リグニン樹脂組成物、プリプレグおよび複合構造体について、詳細に説明する。
本発明のリグニン誘導体は、バイオマスを分解して得られるものであって、H−NMR分析に供されたとき、得られるスペクトルにおける芳香族プロトンに帰属するピークの積分値が、脂肪族プロトンに帰属するピークの積分値の15〜50%であることを特徴とするものである。
また、本発明のリグニン二次誘導体は、上述のリグニン誘導体に反応性基を導入してなるものである。
また、本発明のリグニン樹脂組成物は、上述のリグニン誘導体および上述のリグニン二次誘導体の少なくとも一方と架橋剤とを含むものであり、本発明のプリプレグは、上述のリグニン樹脂組成物を基材に含浸させてなるものである。
<リグニン誘導体およびリグニン二次誘導体>
まず、本発明のリグニン誘導体およびリグニン二次誘導体について説明する。
本発明のリグニン誘導体およびリグニン二次誘導体は、前述したように、バイオマスを分解して得られるものである。
本発明におけるバイオマスとは、リグニンを含有する植物または植物の加工品である。植物としては、例えば、ブナ、白樺、ナラのような広葉樹、スギ、マツ、ヒノキのような針葉樹、竹、稲わらのようなイネ科植物、椰子殻等が挙げられる。
このようなリグニン誘導体およびリグニン二次誘導体は、様々な樹脂製品の原料となり得るが、従来のリグニン誘導体は、溶融性および溶解性が低いため、基材等に含浸させる場合、その含浸性が乏しいことが問題となっていた。また、これらのリグニン誘導体およびリグニン二次誘導体は、樹脂硬化させても脆く、機械的特性が低い。このため、樹脂原料として利用することが困難であった。
そこで、本発明者は、リグニン誘導体の硬化樹脂の機械的特性に寄与する反応性と基材等への含浸性に寄与する溶融性または溶解性とを両立する条件について鋭意検討を重ねた。そして、リグニン誘導体中のプロトン(水素原子)がいかなる結合状態で存在しているかということが、リグニン誘導体の反応性および溶融性、溶解性を大きく左右する要素であることを見出した。そして、バイオマスを分解して得られたリグニン誘導体をH−NMR分析に供したとき、得られる化学シフトのスペクトルにおいて、芳香族プロトンに帰属するピークの積分値が、脂肪族プロトンに帰属するピークの積分値の15〜50%であれば、上記課題を確実に解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、芳香族プロトンとして存在するプロトンと脂肪族プロトンとして存在するプロトンとの割合をH−NMR分析の化学シフトの結果を基にして最適化することにより、優れた反応性と優れた溶融性または溶解性とをバランスよく有する樹脂原料を容易に特定し得ることを見出したのである。
また、芳香族プロトンに帰属するピークの積分値は、脂肪族プロトンに帰属するピークの積分値に対する比率が15〜50%とされるが、好ましくは15〜45%程度とされ、より好ましくは20〜40%程度とされ、さらに好ましくは20〜35%程度とされる。
なお、前記比率が前記下限値を下回ると、一般的な硬化剤の作用により架橋反応を生じる反応サイトあるいは反応性基を導入するための反応サイトが脂肪族基で置換されていて基材とのなじみが悪くなるため、樹脂原料として用いたときに、基材への含浸性が著しく低下する。一方、前記比率が前記上限値を上回ると、樹脂原料として利用したときに、曲げ破断時の伸びが低下するなど機械的特性が低下したり、樹脂原料として利用することが困難になる。
また、芳香族プロトンおよび脂肪族プロトンは、H−NMR分析の化学シフトのスペクトルにおいて、離れた位置にピークを生じるため、ピークの分離が可能であり、ピークの同定および積分値の算出を行うことができる。
具体的には、分析の基準物質としてテトラメチルシランを用いた場合、一般的には、芳香族プロトンに帰属するピークは6〜8ppm付近に位置する。また、脂肪族プロトンに帰属するピークは0.5〜5ppm付近に位置することとなる。
ここで、リグニン誘導体は、フェノール誘導体を単位構造とする化合物である。この単位構造は、化学的および生物学的に安定な炭素−炭素結合や炭素−酸素−炭素結合を有するため、化学的な劣化や生物的分解を受け難い。このため、リグニン誘導体は、樹脂原料として有用とされる。
リグニン誘導体の具体例としては、下記式(1)で表わされるグアイアシルプロパン構造、下記式(2)で表わされるシリンギルプロパン構造、下記式(3)で表わされる4−ヒドロキシフェニルプロパン構造等が挙げられる。
Figure 2012177035
また、本発明のリグニン誘導体は、水酸基に対して芳香環のオルト位およびパラ位の少なくとも一方が無置換になっているものが好ましい。このようなリグニン誘導体は、芳香環への親電子置換反応により硬化剤が作用する反応サイトを多く含み、水酸基での反応において立体障害が低減できることになるため、反応性に優れたものとなる。
また、本発明のリグニン誘導体は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン換算の数平均分子量が200〜2000であるものが好ましく、300〜1800であるものがより好ましい。このような数平均分子量のリグニン誘導体は、その反応性(硬化性)と溶融性または溶解性とをより高度に両立するものとなる。このため、樹脂原料としての利用性をより高めることができる。
なお、数平均分子量が前記下限値未満である場合、リグニン誘導体の反応性が低下するおそれがある。一方、数平均分子量が前記上限値超である場合、リグニン誘導体の軟化点が高過ぎて溶融性または溶解性が低下するおそれがある。
また、本発明のリグニン二次誘導体は、前述したように、本発明のリグニン誘導体に反応性基を導入してなるものである。このようなリグニン二次誘導体は、種々の反応性基を有していることから、高い密度で架橋することができ、樹脂原料として有用である。
リグニン二次誘導体が有する反応性基は、反応性を有する原子団であり、自己反応性を有し、2個以上の同じ反応性基が互いに反応し得るもの、または他の官能基と反応し得るものであれば特に限定されない。具体例としては、炭素−炭素不飽和結合を有するビニル基、エチニル基、マレイミド基の他、エポキシ基、シアネート基、イソシアネート基等が挙げられる。また、好ましくはエポキシ基が用いられる。エポキシ基を有するリグニン二次誘導体は、一般的なエポキシ樹脂を代替し得る樹脂原料として有用なものとなる。
<リグニン誘導体の製造方法およびリグニン二次誘導体の製造方法>
次に、本発明のリグニン誘導体およびリグニン二次誘導体をそれぞれ製造する方法について説明する。
本発明のリグニン誘導体は、前述したバイオマスを溶媒存在下におき、かつ高温高圧下で分解処理することにより得られる。
具体的には、バイオマスを一定の大きさに調整し、次いで、これを溶媒存在下におき、高温高圧下で分解処理する分解工程と、分解工程により得られた処理物中の不溶分をリグニンが可溶な溶媒に浸漬処理する浸漬工程と、浸漬工程により得られた処理物中の可溶分からリグニンが可溶な溶媒を留去する留去工程と、を有している。
以下、各工程について順次説明する。
[1]
まず、バイオマスを溶媒存在下におく。
バイオマスとしては、前述したようなものが挙げられるが、その形状は、特に限定されないものの、ブロック状、チップ状、粉末状等とされる。
また、本発明に用いられるバイオマスは、その大きさが100μm〜1cm程度であるのが好ましく、200〜1000μm程度であるのがより好ましい。このような大きさのバイオマスを用いることにより、液中でのバイオマスの分散性を高めるとともに、バイオマスの分解処理を効率よく行うことができる。
分解工程において用いる溶媒としては、例えば、水の他、メタノール、エタノールのようなアルコール類、フェノール、クレゾールのようなフェノール類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類、アセトニトリルのようなニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミドのようなアミド類等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合溶媒が用いられる。
また、溶媒としては特に水が好ましく用いられる。これにより、本発明のリグニン誘導体をより確実に製造することができる。
溶媒の使用量としては、バイオマスに対して多いほどよいが、好ましくはバイオマスに対して1〜20質量倍程度であるのが好ましく、2〜10質量倍程度であるのがより好ましい。
次に、溶媒存在下においたバイオマスを高温高圧下で分解処理する(分解工程)。これにより、バイオマスは、リグニン、セルロース、ヘミセルロース、およびその他の反応物等に分解される。
高温高圧環境の生成においては、オートクレーブのような耐圧容器が用いられる。また、この耐圧容器としては、加熱手段や撹拌手段を備えているものが好ましく用いられ、高温高圧下でバイオマスを撹拌するようにするのが好ましい。また、必要に応じて容器内の温度など圧力に影響を与える要因とは独立に加圧する手段を備えていてもよい。かかる手段としては、例えば、容器内にアルゴンガス等の不活性ガスを導入する手段等が挙げられる。
分解処理における条件は、処理温度が150〜400℃であるのが好ましく、200〜380℃であるのがより好ましい。処理温度が前記範囲内であれば、分解後に得られるリグニン誘導体の分子量が反応性と溶融性または溶解性とを両立し得るものとなる。なお、処理温度が前記下限値未満である場合、リグニン誘導体の分子量が必要以上に高くなり、溶解性・溶融性に劣るおそれがある。一方、処理温度が前記上限値を超える場合、リグニン誘導体の分子量が必要以上に低くなり、樹脂原料として用いたときに反応性が低下するおそれがある。
また、分解処理における処理時間は、480分以下であるのが好ましく、30〜360分であるのがより好ましい。処理時間が前記範囲内であれば、分解後に得られるリグニン誘導体の芳香族プロトンと脂肪族プロトンの比率が適切な値となり、かつ反応性と溶融性または溶解性との両立の観点から最適化することができる。
さらに、分解処理における圧力は、1〜40MPaであるのが好ましく、1.5〜25MPaであるのがより好ましい。圧力が前記範囲内であれば、バイオマスの分解効率を格段に高めることができ、その分、処理時間の短縮化を図ることができる。
なお、溶媒中には、必要に応じて、分解処理を促進する触媒を添加するようにしてもよい。この触媒としては、例えば、炭酸ナトリウムのような無機塩基類等が挙げられる。
さらに、分解工程の前処理として、バイオマスと前記溶媒とを十分に撹拌し、両者をなじませる工程を行うのが好ましい。これにより、バイオマスの分解を特に最適化することができる。
なお、撹拌温度としては、0〜150℃程度であるのが好ましく、10〜130℃程度であるのがより好ましい。
また、撹拌時間としては、1〜120分程度であるのが好ましく、5〜60分程度であるのがより好ましい。
さらに、撹拌方法としては、ボールミル、ビーズミル等の各種ミル、撹拌翼を備えた撹拌機等を用いた方法、ホモジナイザー、ジェットポンプなどによる水流攪拌を用いた方法等が挙げられる。
[2]
次に、耐圧容器内の処理物を濾過する。そして濾液を除去し、濾別した溶媒不溶分を回収する。そして、回収した溶媒不溶分を、リグニンが可溶な溶媒に浸漬する(浸漬工程)。
リグニンが可溶な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類を含むものが好ましく用いられる。
浸漬時間は、特に限定されないが、1〜48時間程度であるのが好ましく、2〜30時間程度であるのがより好ましい。
[3]
次に、浸漬工程により得られた処理物から溶媒可溶分を回収する。そして、回収した溶媒可溶分からリグニンが可溶な溶媒を留去する(留去工程)。これにより、本発明のリグニン誘導体が得られる。
[4]
また、本発明のリグニン二次誘導体は、留去工程の後に、バイオマスの処理物と反応性基を含む化合物とを混合することにより、リグニン誘導体に反応性基を導入する反応性基導入工程を行うことで製造される。
反応性基を導入する方法としては、例えば、リグニン誘導体と反応性基を含む化合物とを混合する方法が用いられる。そして、混合後、必要に応じて触媒等を添加することにより、リグニン誘導体に反応性基が導入される。
具体的には、エポキシ基を導入する場合、リグニン誘導体とエピクロロヒドリンと溶媒とを混合し、これに減圧還流下で水酸化ナトリウム等の塩基触媒を添加することで導入することができる。
また、ビニル基を導入する場合、リグニン誘導体とハロゲン化アリルまたはハロゲン化ビニルベンジル等のビニル基を含むハロゲン化合物と溶媒とを混合し、これに加熱攪拌下で水酸化ナトリウム等の塩基触媒を添加することで導入することができる。
また、エチニル基を導入する場合、リグニン誘導体とハロゲン化プロパルギルまたはハロゲン化フェニルアセチレン等のエチニル基を含むハロゲン化合物と溶媒とを混合し、これに加熱攪拌下で水酸化ナトリウム等の塩基触媒を添加することで導入することができる。
また、シアネート基を導入する場合、リグニン誘導体とハロゲン化シアネートと溶媒とを混合し、これに加熱攪拌下で水酸化ナトリウム等の塩基触媒を添加することで導入することができる。
また、マレイミド基を導入する場合、リグニン誘導体とパラクロロニトロベンゼンとを混合する。これにより、リグニン誘導体のフェノール性水酸基にクロロ基が反応し、エーテル結合を介して結合したポリニトロ化リグニンが得られる。次いで、ポリニトロ化リグニンを還元することで、ポリアミノ化リグニンに変換され、さらに無水マレイン酸と反応させることで、マレイミド基が導入されたリグニン二次誘導体が得られる。
また、イソシアネート基を導入する場合、リグニン誘導体と無水マレイン酸とを混合することで、リグニン誘導体中の水酸基がカルボキシル基に変換される。その後、混合物をジフェニルリン酸アジド存在下で加熱することにより、イソシアネート基が導入されたリグニン二次誘導体で得られる。
以上のようにして本発明のリグニン誘導体およびリグニン二次誘導体を製造することができる。
<リグニン樹脂組成物>
次に、本発明のリグニン樹脂組成物について説明する。
本発明のリグニン樹脂組成物は、前述したように、リグニン誘導体およびリグニン二次誘導体の少なくとも一方と架橋剤とを含むものである。リグニン誘導体およびリグニン二次誘導体には架橋剤の作用により架橋反応が生じ、硬化する。その結果、リグニン樹脂組成物から樹脂製品を製造することができる。
架橋剤としては、リグニン誘導体およびリグニン二次誘導体のフェノール性水酸基または反応性基に架橋反応を生じさせる架橋剤であれば、特に限定されない。
具体的には、フェノール性水酸基に架橋反応を生じさせる架橋剤としては、例えば、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のようなエポキシ樹脂、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートのようなウレタン樹脂、リグニン誘導体の芳香環に対し親電子置換反応して架橋し得る化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラホルムアルデヒドのようなアルデヒド類、ポリオキシメチレンのようなアルデヒド源、ヘキサメチレンテトラミンの他、レゾール型フェノール樹脂等の通常のフェノール樹脂で公知の架橋剤を挙げることができる。なお、反応性、入手の容易さからヘキサメチレンテトラミンが好ましく用いられる。
一方、リグニン二次誘導体の反応性基に架橋反応を生じさせる架橋剤としては、前記反応性基と反応する架橋剤または自己架橋性の反応性基を有する架橋剤であればよく、具体的には、リグニン二次誘導体中の反応性基がエポキシ基である場合、例えば、ノボラック型フェノール樹脂のようなフェノール樹脂、フェノール性水酸基を有するリグニン化合物、ジエチレントリアミン、m−キシリレンジアミン、N−アミノエチルピペラジンのようなアミン系化合物、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸のような酸無水物、ジシアンジアミド、グアニジン類、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等の一般的なエポキシ樹脂用硬化剤が挙げられる。また、自己架橋性の反応性基を有する架橋剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールのようなイミダゾール類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7のようなアニオン系重合開始剤、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロポスフェート、ジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレートのようなスルホニウム塩、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロポスフェート、フェニルジアゾニウムテトラフルオロボレートのようなジアゾニウム塩といったカチオン系重合開始剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。これらの中でも、反応性等の観点からリグニン化合物が好ましく用いられる。
また、リグニン二次誘導体中の反応性基がイソシアネート基である場合、架橋剤としては、例えば、フェノール樹脂、リグニン分解物、ポリビニルアルコール、ポリアミン系化合物等の一般的なイソシアネート樹脂用硬化剤が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
また、リグニン二次誘導体中の反応性基がビニル基である場合、架橋剤としては、例えば、ブチルリチウム、ナトリウムエトキシドのようなアニオン系重合開始剤、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル(BPO)のようなラジカル重合開始剤等の一般的なビニル基含有化合物の重合開始剤が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
また、リグニン二次誘導体中の反応性基がエチニル基である場合、架橋剤としては、例えば、5塩化モリブデン、5塩化タングステン、ノルボルナジエンロジウムクロリドダイマー等の一般的なエチニル基含有化合物の重合触媒が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
また、リグニン二次誘導体中の反応性基がマレイミド基である場合、架橋剤としては、例えば、BPOのようなパーオキサイド、前述したアニオン系重合開始剤等の一般的なマレイミド基含有化合物の重合開始剤が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
また、リグニン二次誘導体中の反応性基がシアネート基である場合、架橋剤としては、例えば、ナフテン酸コバルトのような金属触媒等の一般的なシアネート基含有化合物の重合触媒が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
本発明のリグニン樹脂組成物において、リグニン誘導体またはリグニン二次誘導体の含有量は40〜95重量部であるのが好ましく、50〜90重量部であるのがより好ましい。また、架橋剤の含有量は5〜60重量部であるのが好ましく、10〜50重量部であるのがより好ましい。
なお、本発明のリグニン樹脂組成物は、上記の成分以外に、必要に応じて、メトキシナトリウム、t−ブトキシカリウムのようなアルカリ金属塩、酢酸カルシウムのようなアルカリ土類金属塩、Na2O、K32のようなアルカリ金属酸化物、CaO、BaOのようなアルカリ土類金属酸化物といった硬化促進剤を含んでいてもよい。
また特に、反応性基としてエポキシ基を有するリグニン二次誘導体を含む場合には、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールのようなイミダゾール類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミンのような3級アミン類、トリフェニルホスフィン、テトラ−n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート等を含んでいてもよい。
また、反応性基として、ビニル基、エチニル基、マレイミド基、シアネ−ト基等を有するリグニン二次誘導体を含む場合には、例えば、前記重合開始剤を含んでいてもよい。
さらには、その他の成分として、後述する添加剤を含んでいてもよい。
かかる添加剤としては、例えば、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシランのようなシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アルミニウム/ジルコニウムカップリング剤のような各種カップリング剤、カーボンブラック、ベンガラのような着色剤、ポリエチレンワックス、高級脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、ケトン・アミン類、水素硬化油のような合成ワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス、ステアリン酸のような天然ワックス、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛のような高級脂肪酸およびその金属塩類、パラフィンのような離型剤、シリコーンオイル、シリコーンゴムのような低応力化成分、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、フォスファゼンのような難燃剤、酸化ビスマス水和物のような無機イオン交換体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせたものが用いられる。
また、本発明のリグニン樹脂組成物が離型剤を含む場合、離型剤の含有量は、リグニン誘導体またはリグニン二次誘導体100重量部に対して0.01〜10重量部であるのが好ましく、0.1〜5重量部であるのがより好ましい。なお、離型剤の含有量が前記未満である場合、リグニン樹脂組成物を成形型に充填して成形したとき、離型性が不十分となるおそれがあり、一方、離型剤の含有量が前記上限値を上回る場合、リグニン樹脂組成物の硬化性が低下するおそれがある。
このようなリグニン樹脂組成物は、例えば、リグニン誘導体およびリグニン二次誘導体の少なくとも一方と、架橋剤と、必要に応じて添加されるその他の成分と、を混合機により均一に混合することで得られる(架橋剤混合工程)。なお、必要に応じて、得られた混合物を、熱板や、加圧ニーダー、ロール、コニーダー、二軸押し出し機等の混練機等を用い、混合物が硬化する温度未満で加熱溶融融合してもよい。具体的な加熱温度は、選択する組成に応じて若干異なるが、好ましくは50〜100℃程度とされる。
また、本発明のリグニン樹脂組成物を成形して成形体を得る場合、リグニン樹脂組成物に充填剤を添加した成形材料を調製し、これを用いて成形するのが好ましい。
充填剤としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、クレー、アルミナ、マイカ、ガラス繊維のような無機充填剤、木粉、パルプ、粉砕布、熱硬化性樹脂硬化物粉のような有機充填剤等が挙げられ、これらの1種類以上を用いることができるが、これらに限定されない。
この場合、充填剤の含有量は、リグニン樹脂組成物100重量部に対して、10〜900重量部であるのが好ましく、20〜500重量部であるのがより好ましい。
このような成形材料は、例えば、リグニン樹脂組成物と、充填剤と、必要に応じて添加されるその他の成分と、を混合機により均一に混合することで得られる。なお、必要に応じて、得られた混合物に加熱混合、混練等を施し、冷却後に粉砕するようにして顆粒状の成形材料としてもよい。
得られた成形材料は、所望の成形方法により成形され、これを硬化させることで樹脂製品を製造することができる。成形方法としては、例えば、トランスファー成形、インジェクション成形、圧縮成形等が挙げられる。
また、成形時の温度は150〜220℃程度、成形時間は1〜5分程度であるのが好ましい。なお、これらの条件は、目的に応じて適宜調整される。
得られる樹脂製品としては、例えば、半導体部品、航空機部品、自動車部品、産業用機械部品、電子部品、電気部品、機構部品等が挙げられる。
<プリプレグ>
次に、本発明のプリプレグについて説明する。
本発明のプリプレグは、リグニン樹脂組成物を基材に含浸してなるものである。
基材としては、例えば、ガラス織布、ガラス不繊布のようなガラス繊維基材、クラフト紙、リンター紙のような紙材、綿繊維、麻繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維のような天然繊維または合成繊維等の織布や不織布からなる有機合成繊維基材、金属繊維、カーボン繊維、鉱物繊維のような織布や不織布からなる無機繊維基材、またはこれらのマット類等が挙げられる。なお、これらの基材の原料繊維は単独または混合して用いるようにしてもよい。
このようなプリプレグは、例えば、基材にリグニン樹脂組成物を含浸させた後、乾燥させることにより製造される。このとき、リグニン樹脂組成物は、有機溶媒に溶解させたワニスとして用いられるが、無溶媒の粉末状等の状態で溶融含浸などによる方法で用いるようにしてもよい。
リグニン樹脂組成物を基材に含浸させる方法は、例えば、基材をワニスに浸漬する方法、各種コーターによりワニスを塗布する方法、スプレーによりワニスを吹き付ける方法等が挙げられる。
なお、乾燥により得られるプリプレグにおいては、ワニスに使用した有機溶媒の80質量%以上が揮発しているのが好ましい。
上記乾燥では、乾燥条件は特に限定されないが、乾燥温度が80〜180℃程度であるのが好ましく、乾燥時間はワニスのゲル化時間を考慮して、目的のプリプレグ特性に合わせて自由に選択される。
また、プリプレグにおける樹脂含浸率は、プリプレグの全質量に対するリグニン誘導体およびリグニン二次誘導体と架橋剤との合計質量の割合で表わされるが、好ましくは30〜80質量%程度であるのが好ましく、40〜70質量%程度であるのがより好ましい。なお、これらの割合は、プリプレグの目的とする性能、プリプレグを積層して得られる基板(複合構造体)における絶縁層の厚さ等に応じて適宜調整される。また、ワニスの含浸量は、ワニス中の固形分の量と基材との総量に対して、ワニス中の固形分が35〜75質量%を占めるように設定されるのが好ましい。
<樹脂板>
次に、樹脂板(本発明の複合構造体)について説明する。
樹脂板は、上記のようなプリプレグを1枚または2枚以上積層してなる積層体を硬化させることにより製造される。
具体的には、プリプレグまたはその積層体を、加熱加圧成形により基板状に成形しつつ、リグニン誘導体およびリグニン二次誘導体を硬化させることにより製造される。
加熱加圧時の温度は、100〜280℃程度であるのが好ましく、120〜250℃程度であるのがより好ましい。また、圧力は、0.5〜20MPa程度であるのが好ましく、1〜8MPa程度であるのがより好ましい。
また、このような方法であれば、成形時の金型により任意の形に形成することができ、得られた樹脂板は、プリント回路基板などの電気・電子材料、構造材、建材、絶縁材等として好ましく用いられる。
前記プリント回路基板などの電気・電子材料用途としては、加熱加圧成形の前に、プリプレグまたはその積層体の片面または両面に金属箔を積層し、これらを加熱加圧成形することにより、金属張基板(金属張積層板)を製造することができる。さらに、この金属張基板において、金属層を所定の形状に加工することにより、回路を備えたプリント配線基板を製造することができる。
金属箔としては、銅箔やアルミニウム箔が一般的に用いられる。また、その平均厚さは5〜200μm程度とされる。
また、上記金属箔としては、ニッケル、ニッケル−リン、ニッケル−スズ合金、ニッケル−鉄合金、鉛、鉛−スズ合金等の金属材料からなる中間層と、その両面に設けられた、平均厚さ0.5〜15μmの銅層および平均厚さ10〜300μmの銅層とを有する3層構造の複合箔、あるいは、アルミニウム箔と銅箔とを複合した2層構造複合箔等を用いるようにしてもよい。
このようにして得られた樹脂板は、例えば、プリント配線板、マザーボード、半導体用プラスチックパッケージ等に適用される。
一方、前記プリント配線板、マザーボード、半導体用プラスチックパッケージ等の電気・電子材料用基板以外の用途としては、自動車用内装材などの構造材、住宅・オフィスビル等の内装材などの建材、配電盤などに使用される絶縁材に適用される。
以上、本発明について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばプリプレグや樹脂板には、任意の構成物が付加されていてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.積層板(樹脂板)の製造
(サンプルNo.1)
<リグニン誘導体の製造>
孟宗竹粉(60メッシュアンダー)15gと純水120gとを、300mlオートクレーブに導入し、内容物を500rpmで攪拌しながら、4MPa、150℃で30分間処理して、孟宗竹粉を分解した。圧力の調整はアルゴンガスの吹き込みによる加圧により行なった。次いで、分解物をろ過し、純水で洗浄することで、水不溶部10.0gを分離した。この水不溶部をアセトン200mlに一晩浸漬し、ろ過することでアセトン可溶部を回収した。次いで、前記アセトン可溶部より、アセトンを留去後、乾燥することで、リグニン誘導体2.7gを得た。
ここで得られたものについて、H−NMR分析に供したところ、テトラメチルシランを0ppmの基準物質とした化学シフトのスペクトルにおいて、6〜8ppmに芳香族プロトンに帰属する複数のピークが、0.5〜5ppmに脂肪族プロトンに帰属する複数のピークがそれぞれ認められた。
そこで、検出された各ピークについて、芳香族プロトンに帰属する複数のピークの積分値を1としたところ、脂肪族プロトンに帰属する複数のピークの積分値は20であった。すなわち、芳香族プロトンに帰属する複数のピークの積分値は、脂肪族プロトンに帰属する複数のピークの積分値の5%であった。
また、上記で得られたリグニン誘導体の分子量は、テトラヒドロフランを溶離液として、ポリスチレン換算のゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したところ、数平均分子量(Mn)=2200、分子量分布(Mw/Mn)=1.3であった。
<リグニン樹脂組成物の製造>
次に、得られたリグニン誘導体90質量部に、ヘキサメチレンテトラミン10質量部を常温で添加し、リグニン樹脂組成物を得た。
<基材含浸用ワニスの製造>
次に、上記で得られたリグニン樹脂組成物をメタノールで希釈して樹脂分50質量%の基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
<プリプレグおよび積層板の製造>
次に、上記で得られた基材含浸用の樹脂ワニスを樹脂含浸率55質量%(プリプレグ全体に対する割合)となるように、クラフト紙(坪量135g/m)に対してディップコーター装置で塗工し、その後、160℃で5分間乾燥してプリプレグを得た。このようにして製造したプリプレグ8枚を重ね合わせ、200℃、5MPaで10分間の加熱加圧成形を行った。これにより平均厚さ1.6mmの積層板(樹脂板)を得た。
(サンプルNo.2)
バイオマスの種類、分解処理における温度および圧力を、表1に示すように変更した以外は、それぞれ、サンプルNo.1の場合と同様にしてリグニン誘導体を得るとともに、積層板を得た。
また、サンプルNo.2のリグニン誘導体について、H−NMR分析による化学シフトのスペクトルを取得し、脂肪族プロトンに帰属する複数のピークの積分値に対する芳香族プロトンに帰属する複数のピークの積分値の割合を表1に示した。
さらに、サンプルNo.2のリグニン誘導体について、数平均分子量(Mn)を測定し、表1に示した。
(サンプルNo.3)
スギ粉(60メッシュアンダー)15gと純水120gとを、300mlオートクレーブに導入し、内容物を500rpmで撹拌しながら、前処理として室温で15分撹拌を行いスギ粉と純水とを十分なじませた後、6MPa、240℃で60分間処理して、スギ粉を分解した。なお、圧力の調整はアルゴンガスの吹き込みによる加圧により行った。次いで、分解物をろ過し、純水で洗浄することで、水不溶部10.0gを分離した。この水不溶部をアセトン200mlに一晩浸漬し、ろ過することでアセトン可溶部を回収した。次いで、前記アセトン可溶部より、アセトンを留去後、乾燥することで、リグニン誘導体2.7gを得た。
ここで得られたものについて、H−NMR分析に供したところ、テトラメチルシランを0ppmの基準物質とした化学シフトのスペクトルにおいて、6〜8ppmに芳香族プロトンに帰属する複数のピークが、0.5〜5ppmに脂肪族プロトンに帰属する複数のピークがそれぞれ認められた。
そこで、検出された各ピークについて、脂肪族プロトンに帰属する複数のピークの積分値に対する芳香族プロトンに帰属する複数のピークの積分値の割合を表1に示す。
また、サンプルNo.3のリグニン誘導体について、数平均分子量(Mn)を測定し、表1に示した。
以下、サンプルNo.1と同様にして積層板を得た。
(サンプルNo.4〜9)
バイオマスの種類、分解処理における温度および圧力を、表1に示すように変更した以外は、それぞれ、サンプルNo.3の場合と同様にしてリグニン誘導体を得るとともに、積層板を得た。
また、各サンプルNo.のリグニン誘導体について、H−NMR分析による化学シフトのスペクトルを取得し、脂肪族プロトンに帰属する複数のピークの積分値に対する芳香族プロトンに帰属する複数のピークの積分値の割合を表1に示した。
さらに、各サンプルNo.のリグニン誘導体について、数平均分子量(Mn)を測定し、表1に示した。
(サンプルNo.10、11)
バイオマスの種類、分解処理における温度および圧力を、表1に示すように変更した以外は、それぞれ、サンプルNo.1の場合と同様にしてリグニン誘導体を得るとともに、積層板を得た。
また、各サンプルNo.のリグニン誘導体について、H−NMR分析による化学シフトのスペクトルを取得し、脂肪族プロトンに帰属する複数のピークの積分値に対する芳香族プロトンに帰属する複数のピークの積分値の割合を表1に示した。
さらに、各サンプルNo.のリグニン誘導体について、数平均分子量(Mn)を測定し、表1に示した。
(サンプルNo.12)
<リグニン誘導体の製造>
孟宗竹粉10gを500mlビーカーにとり、p−クレゾールのアセトン溶液(リグニン構成単位当たり3モル倍量のフェノール誘導体を含む。)を加え、ガラス棒で撹拌し、24時間静置した。その後、アセトンを完全に留去して、p−クレゾール収着竹粉を得た。この竹粉に対して、72質量%硫酸100mlを加え、30℃で1時間激しく撹拌した後、混合物を大過剰の水に投入し、不溶解分を回収、脱酸し、乾燥させてリグニン誘導体を得た。
得られたリグニン誘導体について、H−NMR分析による化学シフトのスペクトルを取得し、脂肪族プロトンに帰属する複数のピークの積分値に対する芳香族プロトンに帰属する複数のピークの積分値の割合を表1に示した。
また、得られたリグニン誘導体の数平均分子量(Mn)を測定し、表1に示した。
<リグニン樹脂組成物の製造>
次に、得られたリグニン誘導体90質量部に、ヘキサメチレンテトラミン10質量部を常温で添加し、リグニン樹脂組成物を得た。
<基材含浸用ワニスの製造>
次に、上記で得られたリグニン樹脂組成物をメタノールで希釈して樹脂分50質量%の基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
<プリプレグおよび積層板の製造>
次に、上記で得られた基材含浸用の樹脂ワニスを樹脂含有率55質量%(プリプレグ全体に対する割合)となるように、クラフト紙に対してディップコーター装置で塗工し、その後、160℃で5分間乾燥してプリプレグを得た。このようにして製造したプリプレグ8枚を重ね合わせ、200℃、5MPaで10分間の加熱加圧成形を行った。しかしながら、溶融が不十分で積層板を形成することができなかった。
(サンプルNo.13)
以下の工程によりリグニン誘導体にエポキシ基を導入してリグニン二次誘導体を製造し、これを用いて積層板を製造するようにした以外は、サンプルNo.1と同様にした。
<リグニン二次誘導体の製造>
まず、撹拌機および冷却管を備えた3つ口フラスコに、サンプルNo.1のリグニン誘導体と、エピクロロヒドリン100gとを導入し、100mmHg(1.3×10Pa)の圧力下で減圧還流しながら、20質量%の濃度の水酸化ナトリウム水溶液2gを30分かけて滴下した。その後、90分間減圧還流状態を保持して反応処理物を得た。
次いで、反応処理物から不溶分を濾過して取り除き、エピクロロヒドリン可溶部を単離した。そして、このエピクロロヒドリン可溶部からエピクロロヒドリンを留去し、乾燥することで、リグニン二次誘導体0.8gを得た。
<基材含浸用ワニスの製造>
次いで、上記で得られたリグニン二次誘導体をメタノールで希釈して樹脂分50質量%のリグニン二次誘導体ワニス790gを得た。
そして、リグニン二次誘導体ワニス100質量部と、2−メチルイミダゾール2質量部とを混合し、基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
<プリプレグおよび積層板の製造>
次に、上記で得られた基材含浸用の樹脂ワニスを樹脂含浸率55質量%(プリプレグ全体に対する割合)となるように、クラフト紙(坪量135g/m)に対してディップコーター装置で塗工し、その後、160℃で5分間乾燥してプリプレグを得た。このようにして製造したプリプレグ8枚を重ね合わせ、200℃、5MPaで10分間の加熱加圧成形を行った。これにより平均厚さ1.6mmの積層板を得た。
(サンプルNo.14〜23)
リグニン誘導体の種類、および導入する反応性基の種類を、表2に示すように変更した以外は、それぞれ、サンプルNo.13の場合と同様にしてリグニン二次誘導体を得るとともに、積層板を得た。
なお、反応性基としてビニル基を用いたサンプルについては、エピクロロヒドリンに代えてアリルブロミドを用い、2−メチルイミダゾールに代えてアゾビスイソブチロニトリルを用いるようにした。
(サンプルNo.24)
<リグニン二次誘導体の製造>
サンプルNo.12のリグニン誘導体を以下の方法でエポキシ化した。
まず、撹拌装置、冷却器、滴下ロートの付いた100mlの3つ口フラスコに、サンプルNo.12のリグニン誘導体1.4gと、エピクロロヒドリン100gとを導入し、100mmHg(1.3×10Pa)の圧力下で減圧還流しながら、20質量%の濃度の水酸化ナトリウム水溶液1gを30分かけて滴下した。その後、90分間減圧還流状態を保持して反応処理物を得た。
次いで、反応処理物から不溶分を濾過して取り除き、エピクロロヒドリン可溶部を単離した。そして、このエピクロロヒドリン可溶部からエピクロロヒドリンを留去し、乾燥することで、リグニン二次誘導体1.3gを得た。
<基材含浸用ワニスの製造>
次いで、上記で得られたリグニン二次誘導体をメタノールで希釈して樹脂分50質量%のリグニン二次誘導体ワニスを得た。
そして、リグニン二次誘導体ワニス100質量部と、2−メチルイミダゾール2質量部とを混合し、基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
<プリプレグおよび積層板の製造>
次に、上記で得られた基材含浸用の樹脂ワニスを樹脂含浸率55質量%(プリプレグ全体に対する割合)となるように、クラフト紙(坪量135g/m)に対してディップコーター装置で塗工し、その後、160℃で5分間乾燥してプリプレグを得た。このようにして製造したプリプレグ8枚を重ね合わせ、200℃、5MPaで10分間の加熱加圧成形を行った。しかしながら、溶融が不十分で積層板を形成することができなかった。
2.積層板の評価
2.1.基材含浸性の評価
各サンプルNo.に使用した樹脂ワニス1mlをスポイトでクラフト紙表面に滴下した。室温で風乾した後、クラフト紙の裏面まで浸透しているかを確認した。
<基材含浸性の評価基準>
○:クラフト紙の裏面まで浸透している
×:クラフト紙の裏面への浸透が不十分
2.2.曲げ破断時伸びの評価
各サンプルNo.の積層板について、JIS−C6481に規定の方法に準じて、破断するまでの曲げ試験を行った。そして、試験前寸法に対する試験後寸法の変化の割合(曲げ破断時伸び)を、以下の評価基準に従って評価した。
<曲げ破断時伸びの評価基準>
○:曲げ破断時伸びが1%以上である
×:曲げ破断時伸びが1%未満である
以上、2.1、2.2の評価結果を表1、2に示す。
Figure 2012177035
Figure 2012177035
まず、表1、2から明らかなように、サンプルNo.3〜9、15〜21が実施例(本発明)に相当し、サンプルNo.1、2、10〜14、22〜24が比較例に相当する。
そして、各実施例に相当する積層板は、基材含浸性、すなわちクラフト紙に対する樹脂ワニスの均一性が高く、かつ、曲げ破断時の伸びに優れていることが認められた。これは、積層板の製造に用いた各サンプルNo.のリグニン誘導体の芳香族プロトンの含有比率が所定の範囲内にあるため、リグニン誘導体の反応性および溶融性または溶解性が最適化されているためであると考えられる。
一方、各比較例に相当する積層板には、基材含浸性に劣るものや、曲げ破断時の伸びに劣る(脆い)もの、さらには、成形を行うことができなかったものが含まれていた。

Claims (8)

  1. バイオマスを分解して得られるリグニン誘導体であって、
    H−NMR分析に供されたとき、得られるスペクトルにおける芳香族プロトンに帰属するピークの積分値が、脂肪族プロトンに帰属するピークの積分値の15〜50%であることを特徴とするリグニン誘導体。
  2. 前記リグニン誘導体は、水酸基に対して芳香環のオルト位およびパラ位の少なくとも一方が無置換である請求項1に記載のリグニン誘導体。
  3. 前記リグニン誘導体は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン換算の数平均分子量が200〜2000である請求項1または2に記載のリグニン誘導体。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のリグニン誘導体に、反応性基を導入してなることを特徴とするリグニン二次誘導体。
  5. 前記反応性基は、エポキシ基である請求項4に記載のリグニン二次誘導体。
  6. 請求項1ないし3のいずれかに記載のリグニン誘導体および請求項4または5に記載のリグニン二次誘導体のうちの少なくとも一方と、架橋剤と、を含むことを特徴とするリグニン樹脂組成物。
  7. 請求項6に記載のリグニン樹脂組成物を基材に含浸してなることを特徴とするプリプレグ。
  8. 請求項7に記載のプリプレグを硬化させてなることを特徴とする複合構造体。
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