JP2012173712A - 負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子、その製造方法及びそのシリコーンオイル分散体 - Google Patents

負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子、その製造方法及びそのシリコーンオイル分散体 Download PDF

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Abstract

【課題】帯電極性の異なる複数種類の粒子の存在下でも凝集が抑制された負帯電性の着色樹脂粒子の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】顔料1〜30重量%と、(メタ)アクリル系重合性単量体15〜98.4重量%と、窒素含有基を有する化合物0.1〜20重量%と、電子吸引基を有する化合物0.5〜83.9重量%とを含む重合性組成物を、酸可溶性の難水溶性無機系分散剤の存在する水性媒体中で、重合させることで着色樹脂粒子を得る工程と、懸濁重合後の水性媒体を、酸を添加することで、3以下のpHにする工程と、前記pH3以下の水性媒体から、前記着色樹脂粒子を分離する工程と、前記分離された着色樹脂粒子を、0〜80℃の条件下で水溶性有機溶剤を含むアルカリ水溶液中で保持する工程とを含むことを特徴とする負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子の製造方法により上記課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、画像表示用素子、電気粘性流体用粒子等に好適に用いられる負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子、その製造方法及びそのシリコーンオイル分散体に関する。
電気泳動用着色樹脂粒子は、電圧を印加することにより、相対する電極間を電気泳動により移動する特性を有し、電子ペーパー等の画像表示用素子、電気粘性流体等の用途として、各分野において不可欠な原料として注目されている。
ここで、電気泳動用着色樹脂粒子が画像表示装置の画像表示用素子として用いられる一例を紹介する。スペーサーを介して対向配置された、少なくとも一方が透明である2枚の電極基板の間に、画像表示素子としての電気泳動用着色樹脂粒子が分散媒中に分散された表示液を封入した表示パネルを構成する。この表示パネルの2枚の電極基板間に電界を印加することで、電気泳動用着色樹脂粒子を電気泳動により移動させることにより、表示を得ることができる。このような原理による画像表示装置は、視野角が通常の印刷物並みに広い、消費電力が少ない、メモリー性を有する等の長所を有することから、安価な表示装置として注目されている。
このような電気泳動用着色樹脂粒子の電気泳動を利用した画像表示装置には、表示液中の分散媒として、非極性溶媒のものが一般に用いられる。非極性の分散媒としては、シリコーンオイルやパラフィン系炭化水素等の脂肪族炭化水素類が挙げられる。これらの分散媒中で安定に分散し、帯電性や電気泳動の駆動に優れた着色樹脂粒子が必要となっている。
従来技術として、シリコーンオイルに安定に分散しかつ安定な帯電特性を与える観点から、特許文献1ではシリコーン系高分子分散剤を用いた技術が提案されており、特許文献2ではコアセルベーション法を用いた電気泳動粒子が提案されている。
特開2002−338642号公報 特開2004−279732号公報
ところで、電気泳動を利用した画像表示装置では、正帯電性を有する樹脂粒子と負帯電性を有する樹脂粒子とが同時に使用されることがある。同時に使用すると、画像表示装置に負電圧と正電圧を印加し分けることで、正帯電性を有する樹脂粒子による表示と負帯電性を有する樹脂粒子による表示を行なうことができる。このような表示を行う場合、互いの樹脂粒子の凝集を抑制する必要がある。
しかし、上記従来の技術では、非極性溶媒中において安定した分散性及び負帯電性を有すると共に、帯電極性の異なる複数種類の樹脂粒子が混合された系においても、互いの樹脂粒子の凝集を抑制するという課題を十分解決できていなかった。
かくして、本発明によれば、顔料1〜30重量%と、(メタ)アクリル系重合性単量体15〜98.4重量%と、窒素含有基を有する化合物0.1〜20重量%と、電子吸引基を有する化合物0.5〜83.9重量%とを含む重合性組成物を、酸可溶性の難水溶性無機系分散剤の存在する水性媒体中で、重合させることで着色樹脂粒子を得る工程と、
懸濁重合後の水性媒体を、酸を添加することで、3以下のpHにする工程と、
前記pH3以下の水性媒体から、前記着色樹脂粒子を分離する工程と、
前記分離された着色樹脂粒子を、0〜80℃の条件下で水溶性有機溶剤を含むアルカリ水溶液中で保持する工程とを含むことを特徴とする負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、上記製造方法によって製造された負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子が提供される。
更に、本発明によれば、上記負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子をシリコーンオイルに分散させてなる負帯電性を示す電気泳動用着色樹脂粒子のシリコーンオイル分散体が提供される。
本発明によれば、帯電特性の安定性が付与されており、異なる帯電極性を有する複数種類の樹脂粒子が混合された系においても、互いの樹脂粒子の凝集が抑制されているため、画像表示用素子、電気粘性流体用粒子等として好適に用いられる負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子の製造方法を提供できる。
また、(メタ)アクリル系重合性単量体が、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸エステル系単量体である場合、帯電特性が安定であり、異なる帯電極性を有する複数種類の樹脂粒子が混合された系においても、互いの樹脂粒子の凝集が抑制された負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子を提供できる。
更に、窒素含有基を有する化合物が、(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル、スチレンのアミノアルキル誘導体、及びピリジル基を有する重合性単量体から選ばれる少なくとも1種以上である場合、帯電特性が安定であり、異なる帯電極性を有する複数種類の樹脂粒子が混合された系においても、互いの樹脂粒子の凝集が抑制された負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子を提供できる。
また、難水溶性無機系分散剤が、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム又はコロイダルシリカであり、前記酸が、塩酸、硝酸又は硫酸であり、前記アルカリ水溶液が、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、水溶性アミンから選択されるアルカリ性化合物の水溶液である場合、互いの樹脂粒子の凝集が抑制された負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子を提供できる。
電子吸引基を有する化合物が、クロロエチル(メタ)アクリレート、ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO(エチレンオキシド)変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリヨードフェノール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、テトラフロロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフロロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフロロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフロロデシル(メタ)アクリレート、クロロスチレン、電子吸引基を有するアゾ含金属化合物、サリチル酸系化合物及びカリックスアレーン系化合物から選択される場合、互いの樹脂粒子の凝集が抑制された負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子を提供できる。
更に、上記の電気泳動用着色樹脂粒子をシリコーンオイルに分散させてなるシリコーンオイル分散体は、負帯電性を示し、表示ムラや動作不良のない画像表示装置の表示液として好適に用いられる。
本発明の負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子(以下着色樹脂粒子)の製造方法は、
(A)顔料と、(メタ)アクリル系重合性単量体と、窒素含有基を有する化合物と、電子吸引基を有する化合物とを含む重合性組成物を、酸可溶性の難水溶性無機系分散剤の存在する水性媒体中で、重合させることで着色樹脂粒子を得る工程と、
(B)懸濁重合後の水性媒体を、酸を添加することで、3以下のpHにする工程と、
(C)pH3以下の水性媒体から、着色樹脂粒子を分離する工程と、
(D)分離された着色樹脂粒子を、0〜80℃の条件下で水溶性有機溶剤を含むアルカリ水溶液中で保持する工程とを含む。
(負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子)
負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子は、中実粒子でも、中空粒子でも、多孔質粒子でもよい。着色樹脂粒子の各粒子間に大きな比重分布が生じることにより、着色樹脂粒子が電気泳動でバラついてしまう結果、画像表示装置が表示ムラや動作不良を起こしてしまうことを防ぐという観点から、着色樹脂粒子は中実粒子であることが好ましい。ここで、中実とは、実質的に空間の存在しないことを意味し、意図せず形成された空間を含んでいてもよい。
着色樹脂粒子の平均粒子径は、0.2〜60μmが好ましい。より好ましくは、1〜25μmである。平均粒子径が0.2μm未満では、表示に必要な色濃度を確保することが難しくなり、分散媒中の着色樹脂粒子の濃度を高めることが必要となる。そうすると分散体の粘度が非常に高くなり、着色樹脂粒子の電気泳動による移動が困難となる場合がある。一方、60μmを超えると、粒子径が大きすぎるため分散媒中で直ぐに沈降してしまい動作不良等を起こしてしまう場合がある。
着色樹脂粒子は、単分散性に優れていることが好ましい。単分散性とは、粒子の大きさが略均一であって凝集せずに散らばりやすい状態のことを指す。単分散性の1つの指標となる粒度分布において、変動係数(CV値)が40%以下であることが好ましい。より好ましくは、30%以下である。CV値が40%を超えると、着色樹脂粒子同士の電気泳動性に大きなバラツキが見られるようになるため、表示ムラ、更には動作不良が生じる可能性がある。なお、CV値測定方法については、実施例において述べる。
(工程A)
工程Aでは、顔料と、(メタ)アクリル系重合性単量体と、窒素含有基を有する化合物と、電子吸引基を有する化合物とを含む重合性組成物を、酸可溶性の難水溶性無機系分散剤の存在する水性媒体中で、重合させることにより、着色樹脂粒子が形成される。この工程の着色樹脂粒子は水性媒体中に分散した状態である。
(1)顔料
顔料は着色剤として使用される。顔料には、公知の無機顔料や有機顔料を使用できる。
無機顔料としては、例えば、アルミナ、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ微粉体、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化チタン等の粉末又は粒子が挙げられる。
有機顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、153、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1、
60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(ベンガラ)、104、105、106、108、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が挙げられる。
顔料は、酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等により表面処理されていてもよい。
顔料の混合割合としては、顔料の種類により多少異なるが、重合性組成物中、1〜30重量%が好ましい。より好ましくは1.5〜15重量%である。顔料の混合割合が1重量%未満では、得られる着色樹脂粒子における着色度が充分なものとならない場合がある。一方、30重量%を超えると、重合性組成物の粘度が非常に高くなり、着色樹脂粒子が得られ難いことがある。また、粒子の比重が増加するため分散媒中において沈降凝集等を生ずる場合がある。
また、顔料分散剤を使用してもよい。顔料分散剤は、従来から使用されているものを特に制限なく使用できるが、その中でも高分子分散剤を使用することが好ましい。例えば、脂肪酸アミン系分散剤、カルボジイミド系分散剤、ポリエステルアミン系分散剤、変性ポリウレタン系分散剤、変性ポリアクリレート系分散剤、多鎖型高分子非イオン系分散剤、高分子イオン活性剤等が挙げられる。これら顔料分散剤は単独で又は2種以上を混合して使用できる。上記顔料分散剤の使用量は、全顔料100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは1〜40重量部である。
(2)(メタ)アクリル系重合性単量体
(メタ)アクリル系重合性単量体としては、重合可能なものであれば特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸i−オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル等のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸エステルが得られる樹脂粒子の重合安定性や耐光性の点から好ましく、(メタ)アクリル酸イソステアリルがより好ましい。これら単量体は1種のみ使用しても又は2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、重合性組成物中、15〜98.4重量%含まれていることが好ましい。より好ましくは、25〜95重量%である。15重量%未満では、着色樹脂粒子の物性が低下する懸念がある。一方、98.4重量%を越えると、得られる着色樹脂粒子の帯電特性の制御が不十分になりやすく、電気泳動がばらつく原因となる場合がある。
(3)他の単量体
(メタ)アクリル系重合性単量体以外に、他の単官能ビニル系重合性単量体を使用してもよい。他の単官能ビニル系重合性単量体としては、広く一般的に用いられる各種単官能ビニル系単量体を使用できる。例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等のスチレン系単量体、塩化ビニル、酢酸ビニル等が挙げられる。
但し、着色樹脂粒子を画像表示素子に使用する場合、耐光性の低いスチレン系単量体を使用しないか、又はその使用量を減らすことが好ましい。
これらの単官能ビニル系単量体は、1種のみ使用しても又は2種以上を併用してもよい。更に、ビニル基を2個以上有する多官能ビニル系重合性単量体としての架橋剤を使用してもよい。架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、これらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のジエチレン性不飽和カルボン酸エステル、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルサルファイド、ジビニルスルホン酸の全てのジビニル化合物及び3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。
架橋剤の添加量は、重合性組成物中、1〜40重量%が好ましい。より好ましくは、2〜30重量%である。架橋剤の添加量が1重量%未満では、樹脂の架橋度が低く、また耐溶剤が低くなるため、得られる着色樹脂粒子が膨潤することや一部溶解することがあり、また着色樹脂粒子同士が合着することがある。また、架橋剤の添加量が40重量%を超えると、架橋剤の添加量にみあった効果が得られないばかりか、架橋剤は比較的高価であるため経済的でない。
また、架橋剤の添加量は、(メタ)アクリル系重合性単量体100重量部に対して、2〜100重量部の範囲であることが好ましい。
(4)窒素含有基を有する化合物
窒素含有基を有する化合物を構成する窒素含有基としては、一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基、四級アミノ基(4級アンモニウム塩中の窒素含有基)等のアミノ基等が挙げられる。アミノ基は、窒素含有基を有する化合物の末端に位置する基以外に、環中に存在する窒素含有基も含まれる。
具体的な窒素含有基を有する化合物としては、例えばN−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジ−tert−ブチルアミノエチルアクリレート、N−フェニルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジフェニルアミノエチルメタクリレート及び2−N−ピペリジルエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル、アミノスチレン、ジメチルアミノスチレン、N−メチルアミノエチルスチレン、ジメチルアミノエトキシスチレン、ジフェニルアミノエチルスチレン、N−フェニルアミノエチルスチレン等のスチレンのアミノアルキル誘導体、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニル−6−メチルピリジン等のピリジル基を有する重合性単量体等が挙げられる。更に、4級アンモニウム塩のような電子供与性の化合物も使用できる。重合性単量体は、上記(メタ)アクリル系重合性単量体と共重合させてもよく、共重合させずに樹脂粒子中に、重合体として含ませてもよい。なお、上記化合物中、3級アミノ基を有する化合物が好ましい。また、これらの化合物から1種のみを使用しても又は2種以上を併用してもよい。
窒素含有基を有する化合物の添加量は、重合性組成物中、0.1〜20重量%が好ましい。より好ましくは、0.1〜15重量%である。窒素含有基を有する化合物の添加量が0.1重量%未満であっても、20重量%を超えても、粒子の負帯電性が十分得られない場合がある。
(5)電子吸引基を有する化合物
電子吸引基を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、クロロエチル(メタ)アクリレート、ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO(エチレンオキシド)変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリヨードフェノール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、テトラフロロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフロロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフロロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフロロデシル(メタ)アクリレート、クロロスチレン等のビニル系単量体、並びに電子吸引基を有するアゾ含金属化合物、サリチル酸系化合物、カリックスアレーン系化合物等が挙げられる。これらの化合物から1種のみ使用しても又は2種以上を併用してもよい。
なお、「電子吸引基」としては、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、ケト基等が挙げられる。
電子吸引基を有する化合物の添加量は、重合性組成物中、0.5〜83.9重量%が好ましい。より好ましくは、1〜50重量%である。添加量が0.5重量%未満では、負帯電性を示すことが難しいことがある。一方、添加量が83.9重量%を超えると、樹脂密度が高くなって、得られる樹脂粒子の真密度が大きくなってしまい、分散媒中での樹脂粒子の沈降が起きやすくなり、沈降凝集等を生ずる場合がある。
(7)酸可溶性の難水溶性無機系分散剤
無機系分散剤としては、酸可溶性であり、難水溶性であり、目的とする着色樹脂粒子が得られるものであれば何ら制限されるものではない。ここで、酸可溶性とは、分散剤が分散した水に酸を加えてpH3とした時に、分散剤が90%以上水に溶解することを意味し、難水溶性とは、分散剤が水に10%未満しか溶解しないことを意味する。
具体的な、無機系分散剤としては、例えば、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等のリン酸塩、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸アルミニウム、ピロリン酸亜鉛等のピロリン酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、コロイダルシリカ等の難水溶性無機化合物が挙げられる。
中でも、重合終了後に系のpHを3以下に調整することにより容易に溶解し、除去可能な無機化合物である、第三リン酸カルシウムや複分解生成法によるピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、コロイダルシリカが好ましい。
無機系分散剤は、着色樹脂粒子の粒子径が所定の大きさになるようにその組成や使用量を適宜調節して使用できる。無機系分散剤の添加量は、重合性組成物100重量部に対して、0.1〜30重量部が好ましい。より好ましくは0.5〜20重量部である。
(8)水性媒体
水系媒体としては、水、又は水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合物が挙げられるが、分散安定性の点から水が好ましい。水性媒体は、懸濁した粒子の安定化を図るために、重合性組成物100重量部に対して、100〜1000重量部使用することが好ましい。
(9)他の添加剤
水性媒体には、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤が添加されてもよい。界面活性剤の添加量は、重合性組成物100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましい。より好ましくは0.02〜3重量部である。
アニオン性界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキサイドや、リン酸エステル系又は亜リン酸エステル系界面活性剤が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられる。
重合には、重合開始剤を用いる。通常重合に用いられる油溶性の過酸化物系又はアゾ系の開始剤が挙げられる。例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,3,3−トリアゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート等が挙げられる。
重合開始剤の添加量は、重合性組成物100重量部に対して、0.05〜10重量部が好ましい。0.1〜5重量部が特に好ましい。
また、水性媒体中での乳化粒子の発生を抑えるために、亜硝酸塩類、亜硫酸塩類、ハイドロキノン類、アスコルビン酸類、水溶性ビタミンB類、クエン酸、ポリフェノール類等の水溶性の重合禁止剤を用いてもよい。
(10)重合条件
重合は、公知の重合方法、例えば懸濁重合法、乳化重合法等を用いることができるが、重合安定性及び粒子径の調整のしやすさから懸濁重合法が好ましい。以下、懸濁重合法による着色樹脂粒子の製造方法の一例について説明するが、本発明は、この製造方法のみに限定されるものではない。
顔料と、(メタ)アクリル系重合性単量体と、窒素含有基を有する化合物と、電子吸引基を有する化合物と、必要に応じて他の単量体や他の添加剤を含む重合性組成物を、水性媒体に懸濁させる。
無機系分散剤は、重合性組成物の添加前に水性媒体へ添加することが好ましい。
懸濁重合は、水性媒体を、例えば40〜120℃、好ましくは45〜110℃の温度に加熱することにより行うことができる。
(工程B)
工程Bでは、懸濁重合後の水性媒体が、酸の添加により、3以下のpHにされる。より好ましいpHは2.5以下である。ここで、使用される酸は、特に限定されないが、塩酸、硝酸、硫酸等が挙げられる。酸の添加により、無機系分散剤が水性媒体中に溶解する。
(工程C)
工程Cでは、着色樹脂粒子が、pH3以下の水性媒体から分離される。
分離方法としては、例えば、吸引ろ過法、加圧ろ過法、遠心分離法等が挙げられる。
分離後の着色樹脂粒子を洗浄してもよい。洗浄方法としては、例えば、水、溶剤(例えば、低級アルコール)等の洗浄液に着色樹脂粒子を浸漬する方法、着色樹脂粒子に洗浄液を通過させる方法等が挙げられるが作業環境及びコストの点で水で洗浄するのが好ましい。
(工程D)
工程Dでは、分離後の着色樹脂粒子が、0〜80℃の条件下で水溶性有機溶剤を含むアルカリ水溶液中で保持される。この保持により、4級アミノ基の1〜3級アミノ基への変換が行われる。
ここで、保持温度が0℃未満である場合、4級アミノ基の1〜3級アミノ基への変換が不十分となることがある。一方、処理の温度が80℃より高い場合、着色樹脂粒子の加水分解反応が促進され、粒子物性を損なうことがある。好ましい保持温度は、10〜70℃である。
また、保持時間は、5〜300分間であることが好ましい。保持時間が5分間未満である場合、上記変換が不十分となり未反応の4級アミンが多く残存することがある。一方、処理の時間が300分間より長い場合、着色樹脂粒子の加水分解が進行することがある。好ましい保持時間は20〜240分間である。
アルカリ水溶液としては、例えば水酸化ナトリウム、アンモニア、アミン、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム等のアルカリ性化合物を溶解した水溶液が挙げられる。アルカリ性水溶液は、pHが9以上となるような量のアルカリ性化合物を水と水溶性有機溶剤との混合媒体に溶解することで得ることができる。水溶性有機溶剤としてメタノール、エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、アセトン等のケトン類が挙げられる。
水と水に溶解する有機溶媒の混合比率は不溶成分が存在しない範囲で適宜調整できる。例えば、有機溶媒は、水100重量部に対して3〜900重量部混合することが好ましく、より好ましくは15〜600重量部である。有機溶媒が3重量部未満である場合、アルカリ処理中における粒子の分散が不十分となり、アルカリ処理されない粒子が多くなることがある。一方、900重量部より多い場合、アルカリ処理により、生成する塩化合物が溶媒に溶解しにくいため、得られる粒子に塩化合物が残留し物性低下の原因となることがある。更に、水に比べ有機溶媒は高価であるため多量の使用は非経済的である。
工程Dを経た後の着色樹脂粒子を必要に応じてアルカリ水溶液から分離し、洗浄してもよい。分離方法及び洗浄方法は、工程Cと同じ方法を採用できる。
(負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子の用途)
得られる負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子は、画像表示用素子、電気粘性流体用粒子等の粒子の電気泳動を利用する用途に使用できる。この用途では、着色樹脂粒子は、分散媒中に分散させて使用される。
分散媒としては、非極性のものであればよく、特に限定されるものではない。非極性の分散媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン等のパラフィン系炭化水素、イソヘキサン、イソオクタン、イソドデカン等のイソパラフィン系炭化水素、流動パラフィン等のアルキルナフテン系炭化水素、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジアルキルシリコーンオイル、アルキルフェニルシリコーンオイル、環状ポリジアルキルシロキサン又は環状ポリアルキルフェニルシロキサン等のシリコーンオイルが挙げられる。
これら非極性の分散媒のうち、環境への影響、着色樹脂粒子の電気泳動のし易さ等を考慮すると、動的粘度が2〜20センチストークスのジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジアルキルシリコーンオイル、アルキルフェニルシリコーンオイル、環状ポリジアルキルシロキサン又は環状ポリアルキルフェニルシロキサン等のシリコーンオイルを用いることが好ましい。これらのシリコーンオイルの25℃における液比重は、概ね0.79〜1.00g/cm3の範囲である。
シリコーンオイルに着色樹脂粒子を分散させて得られる分散体において、着色樹脂粒子が占める割合は、分散体100重量%に対して1〜50重量%であることが好ましい。より好ましくは、10〜40重量%である。1重量%未満の場合、表示に必要な色濃度を確保できない場合がある。一方、50重量%を超える場合、分散体の粘度が高くなり、着色樹脂粒子が電気泳動により移動できない場合がある。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、平均粒子径及びCV値の測定方法、真密度の測定方法、極性の評価方法、混色の評価方法について説明する。
(平均粒子径及びCV値の測定方法)
着色樹脂粒子の平均粒子径の測定方法は、Coulter Electronics Limited発行のReference MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って、粒子サイズに適した細孔径サイズを有するアパチャーを用いてキャリブレーションを行う方法とする。使用するアパチャーの細孔径サイズは、平均粒子径が1〜10μm未満の着色樹脂粒子に対しては50μmを、平均粒子径が10〜30μm未満の着色樹脂粒子に対しては100μmのものを用いる。
測定には、精密粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製:コールターマルチサイザーIII)が用いられる。具体的には、着色樹脂粒子0.1gを0.3%ノニオン系界面活性剤溶液10ml中にタッチミキサー及び超音波を用いて予備分散させ、これを本体備え付けのISOTONII(ベックマンコールター社製測定用電解液)を満たしたビーカー中に、緩く攪拌しながらスポイドで滴下して、本体画面の濃度計の示度を10%前後に合わせる。次にマルチサイザーIII本体にアパチャーをセットし、Current、Gain、Polarityをアパチャーサイズに合わせた所定の条件で測定を行う。測定中は気泡が入らない程度にビーカー内を緩く攪拌しておき、着色樹脂粒子を10万個測定した時点で測定を終了する。
体積加重の平均径(体積%モードの算術平均径:体積メジアン径)を着色樹脂粒子の平均粒子径(Y)として算出する。
変動係数(CV値)とは、標準偏差(σ)及び上記平均粒子径(Y)から以下の式により算出された値である。
CV値(%)=(σ/Y)×100
(真密度の測定)
島津製作所−マイクロメリティックス社製の乾式密度計アキュピック1330(気体置換法)を用い、着色樹脂粒子4gを10ccセルに採り、繰り返し5回以上測定し、その平均値を求める。
(極性の評価)
シリコーンオイル中における着色樹脂粒子の極性については、次の方法により測定を行う。
20mlのガラス瓶に、着色樹脂粒子を量り取り、そこへ着色樹脂粒子固形分が5重量%となるようにシリコーンオイル(動粘度:2センチストークス、KF−96L−2CS、信越化学社製)を加えて10gとし、これを測定用試料とする。
次に、片面に酸化インジウムスズ(ITO)をコートしたガラス板2枚を、コート面を内側にし、銅テープを貼り付けたスペーサーをガラス板間に挟んでガラス板の間隔を1mmとした平行平板(冶具)を用意する。冶具を測定用試料に浸漬し、冶具の左側に+100Vの電圧を印加して10秒間静置する。10秒経過後、測定用試料から冶具を引き上げ、左側のガラス板に粒子が付着していれば極性は負、右側のガラス板に粒子が付着していれば極性は正とする。
(混色の評価)
シリコーンオイル中における着色樹脂粒子の混色の評価については、次の方法により測定を行う。
シリコーンオイル6g(動粘度:2センチストークス、KF−96L−2CS、信越化学社製)の入った20mlガラス瓶に各実施例で作成した着色樹脂粒子0.3gと極性の異なるマゼンダ色樹脂粒子0.01gとを加え、これを測定用試料とする。
[マゼンダ樹脂粒子の作製]
300mlセパラブルフラスコにシリコーンオイル(KF−96L−1CS、信越化学社製)120gと、予め開始剤として2,2'−アゾ−ビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.4gを溶解した。メチルメタクリレート8.8g、シリコーンマクロモノマー(サイラプレーンFM−0721、チッソ社製)111g及びα−メチルスチレンダイマー(ノフマーMSD、日本油脂社製)0.8gを添加し、窒素雰囲気下70℃にて撹拌を行いながら20時間溶液重合を行い、反応物(A)を得る。
続いて、300mlビーカーにシリコーンオイル(KF−96L−1CS、信越化学社製)185gと、予め開始剤としてラウロイルパーオキサイド0.48gを溶解した。メチルメタクリレート10.5g、エチレングリコールジメタクリレート2.1g、マゼンダ顔料(CROMOFUTAL Pink PT、チバスペシャリティケミカルズ社製)2.1g及び反応物(A)21gを添加し、超音波ホモジイナイザー(SONIFIER 450、BRANSON社製)に分散を行う。得られた分散液を300mlセパラブルフラスコに移し、窒素雰囲気下、60℃にて撹拌及び超音波照射を行いながら10時間重合を行う。
重合終了後、樹脂粒子を遠心分離により沈降分離し、シリコーンオイル(KF−96L−1CS、信越化学社製)に再度分散させる。この操作を3回繰り返し、更にシリコーンオイル(KF−96L−2CS、信越化学社製)に分散し固形分8%の正帯電性マゼンダ粒子が分散したシリコーンオイルを得る。
次に、片面に酸化インジウムスズ(ITO)をコートしたガラス板2枚を、コート面を内側にし、銅テープを貼り付けたスペーサーをガラス板間に挟んでガラス板の間隔を1mmとした平行平板(冶具)を用意する。測定用試料に治具を浸漬し、冶具の左側に+100V、右側に−100Vの電圧をそれぞれ印加して10秒間静置する。10秒経過後、測定用試料から冶具を引き上げ、シリコーンオイルを真空乾燥により除去し、作成した着色樹脂粒子が付着しているITOをコートしたガラス板に基準白板(b値=4.32)をあて、日本電色工業社製の分光式色彩計SE−2000(測定方法:反射モード、測定試料面積:10mmΦ〜6mmΦ)により色度b1値を測定し、続いて静置16時間経過した測定用試料を前記の方法により色度b2値を測定する。得られたb1値、b2値より、
|b1−b2|=Δbを算出する。
(評価基準)
○:Δb≦10(混色なし)
×:Δb>10(混色あり)
窒素含有基を有する化合物の製造例1
500mlセパラブルフラスコにシリコーンオイル(KF−96L−1CS,信越化学社製)150gと、予め開始剤として2,2−アゾ−ビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)(以下ABNV)3gを溶解した。N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート(ライトエステルDE、共栄社化学社製)10g、シリコーンマクロモノマー(サイプラレーンFM−0725、チッソ社製)138g及びα−メチルスチレンダイマー(ノフマーMSD、日油社製)1.2gを添加し、窒素雰囲気下70℃にて攪拌を行いながら20時間溶液重合を行った。重合終了後、減圧下70℃にてシリコーンオイルを除去することで、窒素含有基を有する化合物Aを得た。
窒素含有基を有する化合物の製造例2
500mlセパラブルフラスコにシリコーンオイル(KF−96L−1CS,信越化学社製)150gと、予め開始剤として2,2−アゾ−ビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)3gを溶解した。N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(ライトエステルDM、共栄社化学社製)15g、シリコーンマクロモノマー(サイプラレーンFM−0711、チッソ社製)135g及びα−メチルスチレンダイマー(ノフマーMSD、日油社製)0.8gを添加し、窒素雰囲気下70℃にて攪拌を行いながら20時間溶液重合を行った。重合終了後、減圧下70℃にてシリコーンオイルを除去することで、窒素含有基を有する化合物Bを得た。
実施例1
アクリル酸i−オクチル(以下IOCA)とトリフロロエチルメタクリレート(共栄社化学社製:ライトエステルM3F、以下TFEMA)のモノマー混合物に、顔料Y(商品名Fast Yellow 7416、山陽色素社製)を、直径5mmのジルコニアビーズの入ったビーズポッド中で12時間攪拌することで、モノマー混合物に顔料を分散させた。次に、上記分散液の一部を計り取り、IOCA、エチレングリコールジメタクリレート(以下EGDMA)及び窒素含有基を有する化合物Aを添加してIOCA/TFEMA/EGDMA/窒素含有基を有する化合物A/顔料Y=63/20/10/1/6(重量%)とした混合物を調製した。
この混合物100重量部に、ABNV1.0重量部を添加し溶解して重合性組成物を得た。次に、予め調整された0.025重量%のラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムと1.0重量%のピロリン酸マグネシウムを分散した水500重量部に重合性組成物を投入し、ホモミキサー(特殊機化工社製)を用い4000rpmで5分間撹拌し、1次懸濁液とした。次いで、ナノマイザーLA−33型(ナノマイザー社製)にナノマイザープロセッサーLD−500(ナノマイザー社製)を接続して、一次圧力5kg/cm2で1次懸濁液を処理し、2次懸濁液を得た。
この懸濁液を窒素雰囲気下、全体を均一撹拌しながら昇温し、60℃で12時間重合を行った。次いで常温まで冷却し、塩酸を添加してpHを3以下とし懸濁安定剤としてのピロリン酸マグネシウムを溶解した。次いで、固液分離、水洗浄を繰り返し行った後、得られた湿潤着色樹脂粒子100重量部に対して1N水酸化ナトリウム水溶液100重量部、純水及びエタノール(水/エタノール=100重量部/200重量部)からなる混合溶媒200重量部を加えて密閉下で20℃で120分間撹拌を行った(pHは13.4)。次いで、固液分離、水洗浄を繰り返し行った後、70℃の熱風乾燥機で24時間乾燥し、電気泳動用着色樹脂粒子を得た。
得られた着色樹脂粒子は、平均粒子径10.6μm、CV値25.2%であった。またシリコーンオイル中での極性は負であり、正帯電を有するマゼンダ色樹脂粒子との混色の評価は各極性の粒子が極性を維持して泳動しており(混色なし)、良好であった。
実施例2
重合性組成物をアクリル酸イソステアリル(ISTA)/TFEMA/EGDMA/窒素含有基を有する化合物A/顔料Y=69/10/10/6/5(重量%)に、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.030重量%に、アルカリ水溶液用の媒体として水/エタノール=100重量部/100重量部に、アルカリ処理温度を30℃に、アルカリ処理時間を240分間に変更したこと以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子を得た。
得られた着色樹脂粒子は、平均粒子径7.6μm、CV値24.8%であった。またシリコーンオイル中での極性は負であり、正帯電を有するマゼンダ色樹脂粒子との混色の評価は各極性の粒子が極性を維持して泳動しており(混色なし)、良好であった。
実施例3
重合性組成物をアクリル酸イソステアリル(ISTA)/TFEMA/ジビニルベンゼン(以下DVB、EGDMAに換えて使用)/窒素含有基を有する化合物A/顔料Y=82/5/7/3/3(重量%)に、アルカリ水溶液用の媒体として水/エタノール=100重量部/150重量部に、アルカリ処理温度を30℃に、アルカリ処理時間を90分間に変更したこと以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子を得た。
得られた着色樹脂粒子は、平均粒子径9.9μm、CV値24.1%であった。またシリコーンオイル中での極性は負であり、正帯電を有するマゼンダ色樹脂粒子との混色の評価は各極性の粒子が極性を維持して泳動しており(混色なし)、良好であった。
実施例4
重合性組成物をアクリル酸メチル(MMA)/TFEMA/EGDMA/窒素含有基を有する化合物A/顔料Y=60/20/10/2/8(重量%)に、アルカリ水溶液用の媒体として水/エタノール=100重量部/10重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子を得た。
得られた着色樹脂粒子は、平均粒子径10.1μm、CV値23.1%であった。またシリコーンオイル中での極性は負であり、正帯電を有するマゼンダ色樹脂粒子との混色の評価は各極性の粒子が極性を維持して泳動しており(混色なし)、良好であった。
実施例5
重合性組成物をISTA/TFEMA/EGDMA/窒素含有基を有する化合物B/顔料Y=71/5/15/4/5(重量%)に、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.035重量%に、アルカリ水溶液用の媒体として水/エタノール=100重量部/150重量部に、アルカリ処理温度を70℃に、アルカリ処理時間を90分間に変更したこと以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子を得た。
得られた着色樹脂粒子は、平均粒子径6.6μm、CV値27.6%であった。またシリコーンオイル中での極性は負であり、正帯電を有するマゼンダ色樹脂粒子との混色の評価は各極性の粒子が極性を維持して泳動しており(混色なし)、良好であった。
実施例6
重合性組成物をISTA/TFEMA/EGDMA/窒素含有基を有する化合物A/顔料R(商品名「クロモファインレッド6605T」、大日精化社製)=25/50/20/3/3(重量%)に、アルカリ水溶液用の媒体として水/エタノール=100重量部/100重量部に、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.030重量%に、アルカリ処理時間を150分間に変更したこと以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子を得た。
得られた着色樹脂粒子は、平均粒子径7.6μm、CV値27.0%であった。またシリコーンオイル中での極性は負であり、正帯電を有するマゼンダ色樹脂粒子との混色の評価は各極性の粒子が極性を維持して泳動しており(混色なし)、良好であった。
実施例7
重合性組成物をMMA+スチレン(St)/カリックスアレーン系化合物/EGDMA/窒素含有基を有する化合物A/顔料Y=60+15/3/7/12/3(重量%)に、アルカリ水溶液用の媒体として水/エタノール=100重量部/150重量部に、アルカリ処理温度を30℃に、アルカリ処理時間を120分間に変更したこと以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子を得た。カリックスアレーン系化合物は、オリエント化学工業社製「BONTRON E−89」を使用した。
得られた着色樹脂粒子は、平均粒子径9.9μm、CV値24.3%であった。またシリコーンオイル中での極性は負であり、正帯電を有するマゼンダ色樹脂粒子との混色の評価は各極性の粒子が極性を維持して泳動しており(混色なし)、良好であった。
比較例1
重合性組成物をアクリル酸イソステアリル(ISTA)/TFEMA/EGDMA/窒素含有基を有する化合物A/顔料Y=69/10/10/6/5(重量%)に、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.030重量%に、アルカリ水溶液用の媒体として水/エタノール=100重量部/100重量部に、アルカリ処理温度を95℃に、アルカリ処理時間を40分間に変更したこと以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子を得た。
得られた着色樹脂粒子は、平均粒子径7.6μm、CV値24.8%であった。またシリコーンオイル中での極性は正負どちらともいえず、正帯電を有するマゼンダ色樹脂粒子との混色の評価は各極性の粒子が極性を維持して泳動していなかった(混色あり)。
比較例2
重合性組成物をアクリル酸イソステアリル(ISTA)/TFEMA/EGDMA/窒素含有基を有する化合物A/顔料Y=69/10/10/6/5(重量%)に、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.030重量%に、アルカリ水溶液用の媒体として水100重量部に、アルカリ処理温度を30℃に、アルカリ処理時間を120分間に変更したこと以外は実施例1と同様にして着色樹脂粒子を得た。
得られた着色樹脂粒子は、平均粒子径7.6μm、CV値24.8%であった。またシリコーンオイル中での極性は負であり、正帯電を有するマゼンダ色樹脂粒子との混色の評価は各極性の粒子が極性を維持して泳動していなかった(混色あり)。
比較例3
重合後の懸濁液に塩酸を添加してpHを5.5に変更したこと以外は実施例4と同様にして着色樹脂粒子を得た。
得られた着色樹脂粒子は、平均粒子径10.1μm、CV値23.1%であった。またシリコーンオイル中での極性は正負どちらともいえず、正帯電を有するマゼンダ色樹脂粒子との混色の評価は各極性の粒子が極性を維持して泳動していなかった(混色あり)。
実施例1〜7及び比較例1〜3の原料の使用量及び評価結果をまとめて表1に示す。
Figure 2012173712
実施例1〜3から、特定量の顔料、(メタ)アクリル系重合性単量体、窒素含有基を有する化合物及び電子吸引基を有する化合物を使用し、特定条件のアルカリ処理により、混色が抑制された着色樹脂粒子が得られることが分かる。
比較例1から、アルカリ処理温度が0〜80℃の範囲外の場合、着色樹脂粒子の混色を抑制できないことが分かる。
比較例2から、アルカリ水溶液が水溶性有機溶媒を含むものでないと着色樹脂粒子の混色を抑制できないことが分かる。

Claims (7)

  1. 顔料1〜30重量%と、(メタ)アクリル系重合性単量体15〜98.4重量%と、窒素含有基を有する化合物0.1〜20重量%と、電子吸引基を有する化合物0.5〜83.9重量%とを含む重合性組成物を、酸可溶性の難水溶性無機系分散剤の存在する水性媒体中で、重合させることで着色樹脂粒子を得る工程と、
    懸濁重合後の水性媒体を、酸を添加することで、3以下のpHにする工程と、
    前記pH3以下の水性媒体から、前記着色樹脂粒子を分離する工程と、
    前記分離された着色樹脂粒子を、0〜80℃の条件下で水溶性有機溶剤を含むアルカリ水溶液中で保持する工程とを含むことを特徴とする負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子の製造方法。
  2. 前記(メタ)アクリル系重合性単量体が、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸エステル系単量体である請求項1に記載の負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子の製造方法。
  3. 前記窒素含有基を有する化合物が、(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル、スチレンのアミノアルキル誘導体、及びピリジル基を有する重合性単量体から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1又は2に記載の負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子の製造方法。
  4. 前記難水溶性無機系分散剤が、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム又はコロイダルシリカであり、前記酸が、塩酸、硝酸又は硫酸であり、前記アルカリ水溶液が、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、水溶性アミンから選択されるアルカリ性化合物の水溶液である請求項1〜3のいずれか1つに記載の負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子の製造方法。
  5. 前記電子吸引基を有する化合物が、クロロエチル(メタ)アクリレート、ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO(エチレンオキシド)変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリヨードフェノール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、テトラフロロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフロロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフロロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフロロデシル(メタ)アクリレート、クロロスチレン、電子吸引基を有するアゾ含金属化合物、サリチル酸系化合物及びカリックスアレーン系化合物から選択される請求項1〜4のいずれか1つに記載の負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子の製造方法
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の製造方法によって製造された負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子。
  7. 請求項6に記載の負帯電性電気泳動用着色樹脂粒子をシリコーンオイルに分散させてなる負帯電性を示す電気泳動用着色樹脂粒子のシリコーンオイル分散体。
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